DOG’S 04南北アメリカ

種類 シリーズEX
担当 ゆうきつかさ
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 難しい
報酬 3.9万円
参加人数 7人
サポート 0人
期間 04/04〜04/08
前回のリプレイを見る

●本文

<参加資格>
 試合に参加する事が出来るのは男性レスラーのみ。
 セコンドのみ女性も可。

<詳しい内容>
 正統派プロレスではなく、ショープロレスです。
 試合の勝敗は実力ではなく、その場のノリで決まります。
 基本的にはベビーフェイス(正義)とヒール(悪)の戦いになるため、自分がどちらに所属するかを選んだ上で、シナリオに参加してください。
 現時点で無所属は選べませんので、ご了承くださいませ。
 試合は全部で4試合。
 対戦相手を選んだ上で一試合だけ参加してください。
 複数の試合に参加した場合は、こちらで適当に割り振られてしまうため、望むような試合は出来なくなります。
 また、あまりにも危険であると判断された場合は、『PET SHOP』の社長であるワイズマン・ウォルター・エルマン(通称:WWE)から試合の中止を宣言されます。

<選択可能な試合一覧>
・チェーンデスマッチ
 両選手の片手にチェーンを繋ぎ、試合を行う形式です。
 チェーンは長めのものを使用しているため、武器として使用する事も出来ます。
・ケージデスマッチ
 リングの四方を金網で囲み、逃げ場を無くして行う試合を行う形式です。
 相手をKOすればケージから出れます。
・有刺鉄線デスマッチ
 ロープの代わりに有刺鉄線を張ったリングで行う試合を行う形式です。
 追加オプションで爆破や電流なども選べます。
・ガチンコマッチ
 ストーリー重視の試合になります。
 筋書きなどを決めた上で、魅せるプロレスを心掛けておきましょう。

<テンプレート>
所属:
リングネーム:
試合形式:
対戦相手:
登場シーン:
登場時の台詞:
コスチューム:
アピールポイント:
得意技:
苦手技:
決め台詞:

<説明>
所属:ベビーフェイス側(正義)かヒール側(悪)のどちらを選んでください。
リングネーム:未記入の場合はPC名になります。
試合形式:チェーンデスマッチ、ケージデスマッチ、有刺鉄線デスマッチ、ガチンコマッチのうち、どれかひとつを選んでください。
対戦相手:対戦相手の名前とPCIDを記入してください。
登場シーン:登場の仕方を教えてください。
登場時の台詞:キャラクターの口調でお願いします。
コスチューム:コスチュームの説明をお願いします。
アピールポイント:一番アピールしたいポイントは?
得意技:得意な技を教えてください。
苦手技:苦手な技を教えてください。
決め台詞:勝利した場合の決め台詞。

●今回の参加者

 fa0126 かいる(31歳・♂・虎)
 fa0360 五条和尚(34歳・♂・亀)
 fa2572 キング・バッファロー(40歳・♂・牛)
 fa2594 ドン・ドラコ(30歳・♂・竜)
 fa2653 レオナード・レオン(29歳・♂・獅子)
 fa2748 醍醐・千太郎(30歳・♂・熊)
 fa3177 ビッグ・ザ・グリズリー(24歳・♂・熊)

●リプレイ本文

●第1試合 『オープニングマッチ 五条和尚VS????』
「まぁ、挨拶ぐらいはしておきますかねぇ‥‥」
 袴姿でのんびりと花道を歩いていき、五条和尚(fa0360)がリングに上がる。
 今回はセコンドとして『DOGS』に参加しているのだが、ワイズマンから要請があったため、急遽リングに立つ事になったらしい。
「HAHAHAHAHAHA! 皆サァーーン! お待たせシマシタYOー!」
 能天気な笑い声と共にワイズマン・ウォルター・エルマン(通称:WWE)が派手な音楽に合わせて花道を歩いていく。
 今回の試合はガチンコマッチというよりはオープニング挨拶としての意味合いが強そうだ。
「一体、何をするつもりですか?」
 まったく説明を受けていなかったため、五条和尚が不思議そうに首を傾げる。
 急に試合をしろと言われても、何の準備も出来ていない。
「HAHAHAHAッ! 何も心配する事はありマセェーン! だから、その変態を見るような目でワタシを見るのは止めてクダサーイ! 今回はお客様にも分かるように『DOGS』のルールについて説明をしようと思ってイマァース」
 真っ白な歯をキラリと輝かせながら、ワイズマンが能天気な笑い声を響かせた。
 無駄にテンションが高いため、断るのも難しそうだ。
「なるほど‥‥。『DOGS』の試合で何がOKで、何がいけないのか説明するというわけですね。‥‥分かりました。いいでしょう」
 納得したフリをしながら、五条和尚が適当に相槌を打っていく。
「その通りデェース! まずはレスラーの入場シーンから説明シテおきまショウ。本来はレスラーだけに報告すればイイモノですが、ピンハネがバレて秘書さんから大目玉を食らったので、反省の意味も込めて説明シテおきマショウ。基本的にレスラーの入場シーンで使用されている小物に関しては、こちらですべて負担してマァース。これについては予算が余っているので、ピンハネ‥‥もとい、お客様からの希望も取り込んでいこうと思っているのですYO!」
 今までは余った予算を黙って懐に入れていたためか、ワイズマンが秘書の視線を気にしながら気まずくコホンと咳をした。
「そうする事によって、うまくピンハネしたお金を還元していくんですね」
 色々な意味でワイズマンのやっていた事を理解し、五条和尚が呆れた様子で溜息をつく。
「えーっ、コホン。何の事だがワカリマセンが、続いてルールの説明をシテおきまショウ。基本的に『DOGS』は何でもありのデスマッチでぇーす。相手を殺したり、重傷を負わせたりシナければ、凶器の使用も認めてイマァース」
 全身の筋肉を隆起させてスーツを破り、ワイズマンがアメリカンパンツの中から栓抜きを取り出し微笑んだ。
「それじゃ、金的や目潰しなどもありですか?」
 納得のいかない表情を浮かべ、五条和尚がワイズマンに質問した。
「NOッ! 基本的にシンボルアタックは禁止してイマァース! これはレスラーとしてというよりは、人間としてやってはならない行為デス。また目潰しや秘密の花園に対する攻撃に関しても、禁止しておりマァース。本当ならコレらも認めてデスマッチと呼ぶのかも知れませんが、ワタシ達は本当の殺し合いをシテいるわけではアリませんし、後遺症などが残ってしまうとレスラー生命が経たれてしまう場合があるため、ワタシとしては認めたくありまセン」
 珍しく真面目な表情を浮かべながら、ワイズマンが自分の考えを語っていく。
「‥‥なるほど。あくまでショープロレスである事を念頭において戦えという事ですね」
 ワイズマンもレスラーだった事を思い出し、五条和尚が納得した様子で呟いた。
「もちろん、不慮の事故で負傷する場合もあるカモ知れません。そういう場合はこちらで治療費などを負担し、復帰までの様子を完全ドキュメンタリーとしてお客様に提供シマァース」
 まったく悪びれた様子もなく、ワイズマンが真っ白な歯を輝かせる。
「それってハッキリ言えば、レスラーを利用しているわけですよね? 治療費という名のギャラを払って‥‥」
 ワイズマンでも分かるようにするため、五条和尚が心臓にグサリと突き刺さる言葉を吐く。
「うぐっ‥‥、モチロン。治療費とギャラは別扱いデスし、レスラーが拒否すれば、ドキュメンタリーを撮ったりする事もアリマセェーン。これでイイデスヨネ、秘書サン」
 まるで借りて来た猫のような表情を浮かべながら、ワイズマンが怯えた様子で秘書にお伺いを立てにいく。
「今度、ピンハネしたら、社長の口座を差し押さえますので、覚悟してください」
 ワイズマンとあまり会話をしたくないのか、瀬戸・カトリーヌが疲れた様子で答えを返す。
 この様子では、かなりの額をワイズマンがピンハネし続けていたらしい。

●第2試合 『ケージデスマッチ レオナード・レオンVSへヴィ・カーペンター』
「I LOVE AMERICA!!」
 入場曲(ロック)が響いたのと同時にアメリカンヒーローっぽいコスプレをして入場口から登場し、レオナード・レオン(fa2653)が雄叫びを上げて花道を歩いていく。
 観客達は新しいレスラーの登場に歓喜し、拳を突き上げてレオンコールを連呼する。
「‥‥ステージとしては悪くないな」
 リングに上がって身に纏っていたコスチュームを脱ぎ捨て、レオンが赤地に流れ星の絵が白く描かれたショートタイツ姿になった。
『ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!! 頑張れええええええええええええ!!!!』
 観客達の熱い声援がリングに届く。
 自分達の想いをレオンに託し、彼の勝利を願っている。
「‥‥相変わらず賑やかだな」
 地響きを鳴らして花道をドスンドスンと駆け抜け、かいる(fa0126)が勢いをつけてコーナーポストにタックルをかます。
 本当はコーナーポストを飛び越えるつもりでいたが、あまりにも身体が重過ぎたため途中で失敗したようだ。
 ちなみに彼はリングネームをボディ・カーペンターからへヴィ・カーペンターに改名し、試合が始まるまで厳しいトレーニングを積んでいたらしい。
「見ろ! お前のために体を増築してやったぞ!」
 アナウンサー席にあったマイクを強引に奪い取り、へヴィ・カーペンターが関係者席に座っているワイズマンを指差した。
「HAHAHAHAHAッ! まだまだデスネ。今度、最高級のプロテインを送ってあげマショウ!」
 勝ち誇った様子で笑みを浮かべ、ワイズマンが自慢の筋肉を隆起させる。
 ワイズマンの場合、ピンハネしたギャラをトレーニング代に利用していたため、完璧なまで自らの肉体を鍛える事が出来たらしい。
「んな物はいらねえよっ! どうせ毒でも入っているんだろっ! それが分からねえほど俺だって馬鹿じゃねぇ! ‥‥待ってろよ、次こそお前を潰してやるからな!」
 ずしんに足を踏み鳴らし、へヴィ・カーペンターが鼻を鳴らす。
「おいおい、宣言する相手を間違っているんじゃないのか? おまえの対戦相手は俺だぜ!」
 へヴィ・カーペンターが余所見をしていたため、レオンが呆れた様子で溜息をつく。
「ははっ、待たせたなっ! だが、そんな細い筋肉で俺に勝てると思うなよ!!」
 まったく負けるつもりがないのか、へヴィ・カーペンターがニヤリと笑う。
「ふん、甘いな。それじゃ、肉のつけ過ぎだ。筋肉があるからって、試合が有利に進むとは限らないんだぞ」
 マッチョとデブの中間としか呼べない身体を見つめ、レオンがへヴィ・カーペンターを挑発する。
 それと同時にゴングの音が辺りに響き、天井からリングを囲むようにしてケージが降りていく。
「喰らえっ!」
 ゴングと同時にロープに飛んで反動をつけ、レオンがへヴィ・カーペンターにドロップキックをお見舞いする。
 しかし、へヴィ・カーペンターの巨大な肉の壁に阻まれ、まったくダメージを与えていない。
「それでドロップキックをしたつもりか? ‥‥笑わせるな! 本当のドロップキックってのはなぁ‥‥。こうやって、やるんだよっ!」
 ドスンドスンと巨体を揺らして飛び上がり、へヴィ・カーペンターがスレッジハンマー(ドロップキック)を炸裂させた。
「当たるかっ!」
 寸前のところで横に飛び、レオンがマットの上を転がった。
「危ないところだったな。もう少しで仕留める事が出来たのに‥‥」
 スレッジハンマーを喰らってへし折れたコーナーポストを放り投げ、へヴィ・カーペンターが再び地響きを立てて突進する。
「これじゃ、迂闊に攻撃を喰らう事も出来ないな」
 へヴィ・カーペンターの攻撃を喰らわないように避けていき、レオンが悔しそうに舌打ちした。
 大半の技は筋肉の壁に防がれてしまうため、へヴィ・カーペンターが疲れて自爆するタイミングを待つしかない。
「はぁはぁ‥‥、どうしたっ! 逃げて‥‥ばかりじゃ、いつになっても勝負が‥‥つかないぜ‥‥」
 ハアハアと息を吐きながら、へヴィ・カーペンターが恨めしそうにレオンを睨む。
 筋肉をつけ過ぎたせいでスタミナ不足に陥り、早くも疲れてきたらしい。
「おまえだって、さっきまでの威勢がないな。それじゃ、俺には勝てないぜ!」
 それと同時にレオンが助走をつけてウエスタン・ラリアートを放ち、転倒したへヴィ・カーペンターに覆い被りフォールを決めた。
「ふぅ‥‥、終わったな。一時はどうなるかと思ったが‥‥」
 ホッとした表情を浮かべながら、レオンがマイクを握って観客達に微笑んだ。
「勝利の女神にキッスしたいぜ!!」
 途端に観客席が歓声に包まれ、再び『レオンコール』が響くのだった。
『勝者:レオナード・レオン(ベビーフェイス) 決め技:ウエスタン・ラリアート』

●第3試合 『チェーンデスマッチ 醍醐・千太郎VSキング・バッファロー』
「今日は、DOGSの選手の中でも一番平均年齢を上げているキング・バッファローが相手という事で、若さを強調してみたぞ」
 会場内の明かりを暗くしてカラフルなレーザーを光らせ、醍醐・千太郎(fa2748)がリング端に置いてあるマイクを拾ってノリのいい曲と共に登場した。
 本人は洒落のつもりで言っているようだが、それが相手に伝わっているかどうかは微妙である。
 ちなみに今回のコスチュームはエナメル素材の派手なジャケットとロングタイツで、本人が言っている通り若さを強調しているらしい。
「ふっ‥‥、神様に会う用意はしたか?」
 会場内にカントリーソングが流れる中、キング・バッファロー(fa2572)がクールな笑みを浮かべて赤いポンチョに白いテンガロンハットを被って花道を歩いていく。
「‥‥随分と余裕だな。まぁ、ハッタリかも知れないが‥‥」
 自分の利き腕にチェーンを取り付け、醍醐がキーをレフェリーに渡す。
 『DOGS』のレフェリーは目立つ事を嫌うため、醍醐からキーを受け取りすぐに離れていく。
「ハッタリかどうか確かめてみればいいだろう。その時間は充分にあるんだしな」
 赤いポンチョを脱ぎ捨て黒地に野牛の頭部が赤くプリントされたショートタイツ姿になり、キング・バッファローが醍醐を見つめてニヤリと笑ってチェーンを装着した。
 彼らの試合は観客達も注目している試合のため、会場はシーンと静まり返っているようだ。
「確かに‥‥なっ!」
 試合の開始を伝えるゴングと共に、醍醐が相手の首を狙ってチョップを放つ。
「ふっ‥‥、若いな」
 チェーンを素早く醍醐の足に絡ませ、キング・バッファローが雄叫びを上げてチェーンを引っ張りダウンさせる。
「クッ‥‥、しまった!?」
 尻餅をつくようにしてマットに倒れ、醍醐が悔しそうに唇を噛み締めた。
 それと同時にキング・バッファローがアキレス腱固めを仕掛け、醍醐の首にチェーンを巻く。
「伊達にトシは取っていない‥‥よう‥‥だな‥‥」
 朦朧とする意識の中でチェーンを掴み、醍醐が何度も頭突きを放つ。
「‥‥安心しろ。殺しはしない。ただし、天国を見るかも知れないが‥‥」
 冗談まじりに微笑みながら、キング・バッファローがチェーンを持ってジャイアント・スウィングを炸裂させた。
 次の瞬間、醍醐の右腕が悲鳴を上げ、グキィッと嫌な音が辺りに響く。
「グハッ‥‥、畜生ツイてねぇ‥‥」
 投げられた拍子に利き腕を捻ってしまい、醍醐が右腕を押さえて立ち上がる。
 何とか試合を続ける事は出来そうだが、大技を仕掛けるほどの体力は残っていない。
「‥‥無理はするな。ギブアップするのなら今のうちだぞ」
 険しい表情を浮かべて腕を組み、キング・バッファローがジロリと醍醐を睨む。
「ふ、ふざけるな。まだ試合は終わっちゃいねぇ」
 右拳をギュッと握り締め、醍醐がダラリと汗を流す。
 予想以上に右腕に受けたダメージが大きいため、いまにも意識を失ってしまいそうである。
「‥‥愚かな。わざわざ屈辱的な敗北を選択してしまうとは‥‥。ならば一思いにトドメをさしてやろう」
 悲しげな表情を浮かべて醍醐の右腕を見つめた後、キング・バッファローが醍醐めがけてタックルを放つ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
 それと同時に醍醐が雄叫びを上げて右腕を突き出し、アイアンクローでキング・バッファローの動きを止めた。
「ぐあああああああああああああああっ!」
 限界を超えた右腕が断末魔の悲鳴を上げる。
 あまりの激痛に耐え切れず、醍醐がその場に倒れ込む。
「何をやっているんですか! すぐに担架の用意です!」
 すぐさま担架を要請し、五条和尚がリングに上がっていく。
 醍醐が意識を失ってしまった以上、キング・バッファローの勝利は確定したのと同じである。
「俺のタックルを止めるとは、なかなかやるな。‥‥安らかに眠るといい」
 気絶した醍醐を抱き上げ、キング・バッファローが担架まで連れて行く。
 試合が終わった以上、醍醐は敵でないのだから‥‥。
『勝者:キング・バッファロー(ヒール) 決め技:低空タックル』

●第4試合 『有刺鉄線デスマッチ ビッグ・ザ・グリズリーVSドン・ドラコ』
「クマーーー」
 顔が出る熊の着ぐるみを着て雄叫びを上げ、ビッグ・ザ・グリズリー(fa3177)が大きな斧を担いで花道を歩く。
 ビッグ・ザ・グリズリーは故郷の母親に雄姿を観せるため、レスラーとなって『DOGS』に参加したらしい。
「クマァーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
 雄叫びを上げて着ぐるみを脱ぎ捨て、ビッグ・ザ・グリズリーが大きな斧を放り投げる。
 彼のコスチュームはカナダの国旗風デザインの赤いショートタイツに素足。
 色々な意味で、野性味溢れる豪快なスタイルだ。
「うふふふふっ、あたしのサムライ・ソウルに勝てるかしら?」
 遠山の金さん風奉行の衣裳を身に纏い、ドン・ドラコ(fa2594)が日本の雅楽に合わせて片肌を脱ぎ、桜吹雪の刺青シールを披露し毒霧の要領で火を吹いた。
「いいかぁ、負けた奴は夕飯を奢るんだからな」
 事前に何か取り決めがあったのか、ビッグ・ザ・グリズリーが興奮気味に鼻を鳴らす。
「もちろん、分かっているわよぉん。確かあたしが勝ったら、そのままお持ち帰りをしてもイイのよね?」
 舐めるような視線を送り、ドラコが妖しくニヤリと笑う。
「い、いや! 夕飯を奢るだけだべ!」
 激しく首を横に振り、ビッグ・ザ・グリズリーがドラコの言葉を訂正する。
 ドラコに関しては色々な噂を聞いているため、決して心(もちろん、身体も)を許そうとしない。
「うふっ、恥ずかしがっちゃって♪」
 色っぽく衣装を脱ぎ捨てウインクし、ドラコが赤いショートタイツ姿になってニコリと笑う。
「うぐっ‥‥、絶対に背後は取らせん。この命に変えてもな」
 貞操の危機を感じながら、ビッグ・ザ・グリズリーが拳を握る。
 試合に負けた時点で何か大切なものを失いそうな気がするため、だんだん嫌な予感が脳裏をあはーんと過ぎっていく。
「あらあら、強がっちゃって♪ 嘘つきは泥棒の始まりよ。このハート泥棒が☆」
 ビッグ・ザ・グリズリーをからかいながら、ドラコが面白がってクスクスと笑う。
「絶対に‥‥倒すっ!」
 ゴングの音を合図にショルダータックルを放ち、ビッグ・ザ・グリズリーがドラコを転倒させようとした。
「ふふっ、甘いわね。それじゃ、あたしのキスより甘いわよ。喰らいなさい、マツバ・クズシー」
 マットに滑り込むようにしてスライディング・レッグシザースを放ち、ビッグ・ザ・グリズリーが倒れた瞬間を狙ってドラコがアキレス腱固めを炸裂させる。
「し、しまった!? ぐおおおおおおおっ!」
 ドラコが叫んだ技の名前に動揺し、ビッグ・ザ・グリズリーがアキレス腱固めの餌食になった。
「早くしないと、次はマナイタ・ショーを喰らわせちゃうわよ〜」
 含みのある笑みを浮かべながら、ドラコが瞳をキラリと輝かせる。
「いっ、嫌だああああああああああ!」
 モザイクに包まれた自分自身が脳裏を過ぎり、ドラコが雄叫びを上げてショルダータックルを放ち、そこからカナディアン・バスターを仕掛けていく。
「クマァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
 己の肉体に熊の魂を降ろしたような感覚に襲われながら、ビッグ・ザ・グリズリーがサンダー・ファイヤー・ボムを炸裂させた。
「きゃあああああああああ!!」
 倒れた拍子にドラコの身体に有刺鉄線に触れたため、凄まじい電流と共に火薬が次々と爆発していった。
 あまりの激痛に気絶するドラコ。
 ビッグ・ザ・グリズリーがホッとした表情を浮かべている。
「ううっ、おかあちゃん、オラやったど〜〜〜!!」
 ドラコが気絶した事を確認し、ビッグ・ザ・グリズリーが勝利を祝って万歳した。
『勝者:ビッグ・ザ・グリズリー(ベビーフェイス) 決め技:サンダー・ファイヤー・ボム』

●ワイズマンの言葉
「皆サァーン、お疲れ様デェース。今回はちょっとしたアクシデントがありマシたが、如何だったデショウか? 次回の『DOGS』は15日を予定シテイマァース。その前に『PET SHOP』でファン感謝祭をやるので、皆さんヨロシクお願いシマァース」
 ピンハネ騒動で元気がないのか、ワイズマンが簡単な報告だけしてリングを降りた。
 ‥‥どうやら今月の給料も九割カットされたらしい。