DOG’S 07南北アメリカ
種類 |
シリーズEX
|
担当 |
ゆうきつかさ
|
芸能 |
2Lv以上
|
獣人 |
2Lv以上
|
難度 |
難しい
|
報酬 |
3.9万円
|
参加人数 |
8人
|
サポート |
0人
|
期間 |
07/25〜07/29
|
前回のリプレイを見る
●本文
<参加資格>
試合に参加する事が出来るのは男性レスラーのみ。
セコンドのみ女性も可。
<詳しい内容>
正統派プロレスではなく、ショープロレスです。
試合の勝敗は実力ではなく、その場のノリで決まります。
基本的にはベビーフェイス(正義)とヒール(悪)の戦いになるため、自分がどちらに所属するかを選んだ上で、シナリオに参加してください。
現時点で無所属は選べませんので、ご了承くださいませ。
試合は基本4試合。
状況によって増えたり、減ったりしています。
対戦相手を選んだ上で一試合だけ参加してください。
複数の試合に参加した場合は、こちらで適当に割り振られてしまうため、望むような試合は出来なくなります。
また、あまりにも危険であると判断された場合は、『PET SHOP』の社長であるワイズマン・ウォルター・エルマン(通称:WWE)から試合の中止を宣言されます。
<選択可能な試合一覧>
・チェーンデスマッチ
両選手の片手にチェーンを繋ぎ、試合を行う形式です。
チェーンは長めのものを使用しているため、武器として使用する事も出来ます。
・ケージデスマッチ
リングの四方を金網で囲み、逃げ場を無くして行う試合を行う形式です。
相手をKOすればケージから出れます。
・有刺鉄線デスマッチ
ロープの代わりに有刺鉄線を張ったリングで行う試合を行う形式です。
追加オプションで爆破や電流なども選べます。
・ガチンコマッチ
ストーリー重視の試合になります。
筋書きなどを決めた上で、魅せるプロレスを心掛けておきましょう。
<テンプレート>
所属:
リングネーム:
試合形式:
対戦相手:
登場シーン:
登場時の台詞:
コスチューム:
アピールポイント:
得意技:
苦手技:
決め台詞:
控え室での行動:
<説明>
所属:ベビーフェイス側(正義)かヒール側(悪)のどちらを選んでください。
リングネーム:未記入の場合はPC名になります。
試合形式:チェーンデスマッチ、ケージデスマッチ、有刺鉄線デスマッチ、ガチンコマッチのうち、どれかひとつを選んでください。
対戦相手:対戦相手の名前とPCIDを記入してください。
登場シーン:登場の仕方を教えてください。
登場時の台詞:キャラクターの口調でお願いします。
コスチューム:コスチュームの説明をお願いします。
アピールポイント:一番アピールしたいポイントは?
得意技:得意な技を教えてください。
苦手技:苦手な技を教えてください。
決め台詞:勝利した場合の決め台詞。
控え室での行動:控え室で何をやっているのか書いてください。
●リプレイ本文
●ビッグ・ザ・グリズリー(fa3177)の控え室
「お、お願いしますだっ! オラをメイプルシロップのCMに出させてくんろ! そのためにはオラ、何でもやるだっ!」
地面に頭を擦り付けるようにして土下座しながら、ビッグ・ザ・グリズリーが瀬戸・カトリーヌに頼み込む。
メイプルシロップの会社が自分のスポンサーについてくれれば、夢のような一時を過ごす事が出来るため、ビッグ・ザ・グリズリーも必死である。
「‥‥そうね。問題ないと思うわ。あちらの会社も看板キャラクターのリニューアルを考えていたようだし‥‥。いっその事コラボレーションとかしてみるといいんじゃない?」
手帳をペラペラとめくりながら、瀬戸がクールに答えを返す。
瀬戸にとっても大金を稼ぐチャンスとなるため、ワイズマンの承認を得ずに話を進めていく。
「ほ、本当だべか!? そうと決まれば、さっそく交渉だべ」
満面の笑みを浮かべながら、ビッグ・ザ・グリズリーが鼻歌を歌う。
すでにビッグ・ザ・グリズリーの脳裏には、大量のメイプルシロップが浮かんでおり、口からは大量の涎が流れている。
「その前に試合でしょ。食べ物の事もいいけど、試合の事も忘れちゃ駄目よ。とりあえずスーツはこっちで用意しておくわ」
そう言って瀬戸がビッグ・ザ・グリズリーの控え室を出て行った。
●かいる(fa0126)の控え室
「おっ! さっそく弁当が届いているな!」
山篭りの修行を終えて会場に辿り着き、かいるが控え室の前に置かれた弁当の山に満足する。
ワイズマン社長の厚意により毎日大量の『DOG’S』弁当が送られてきているのだが、最近はかいるからの感想を参考にして弁当のボリュームもアップしていった。
「それにしても、他のレスラーはなんでこんなにうめえモンを残しているんだろうな?」
納得のいかない様子で首を傾げ、かいるが弁当の山をテーブルの上に置く。
『DOG’S』の弁当はカロリーが高いため、控え室に置かれていてもレスラーが食べる事はない。
そのため、かいるが『DOG’S』の弁当を平らげているのだが、彼の意見が反映されているため、高カロリー高タンパクな弁当になりつつある。
「うめぇ! やっぱ『DOG’S』の弁当はうめぇなあ‥‥」
幸せそうな表情を浮かべながら、かいるが次々と『DOG’S』の弁当を頬張った。
途中で残しても処分する事になるため、一粒残らず弁当を平らげていく。
「ふぅ〜。満腹だぁ‥‥。それじゃ、一眠りしておくか」
そして、かいるは自分の腹を愛しそうに撫でながら、試合が始まるまで昼寝をするのであった‥‥。
●第1試合 『チェーンデスマッチ ビッグ・ザ・グリズリーVSへビィカーペンター』
「クマーーー」
顔が出る熊の着ぐるみを着て大きな斧を担ぎ、ビッグ・ザ・グリズリーが観客達に挨拶する。
試合直前でスポンサーがついたため、上機嫌な様子で鼻歌を歌いながら、リングに上がって着ぐるみを脱いでいく。
「くまー!」
ビッグ・ザ・グリズリーの真似をして雄たけびを上げ、へビィカーペンターが虎縞をした熊の剥製型のマントを羽織り、花道をギリギリ通る事が出来る巨大な台車をビルダー体型の新人レスラー二人に押させて現れた。
「オ、オラの真似をするなんて卑怯だど! ちゃんとスポンサーの許可は取っているだか!?」
納得のいかない様子でへビィカーペンターをジロリと睨み、ビッグ・ザ・グリズリーがブツブツと文句を言う。
叫び声以外はビッグ・ザ・グリズリーと共通点を探すさえ難しいのだが、このまま無視するわけにもいかないようだ。
「‥‥何の事かな? これは俺のオリジナルくま!」
途中で台車が止まってしまったため、へビィカーペンターが億劫そうに歩いてリングに上がっていく。
ビッグ・ザ・グリズリーを挑発しているのか、わざと語尾に『くま』をつける。
「うぐっ‥‥、なんだか悔しいずら! この試合におめえさ負けたら、おらに夕飯を奢るだぞっ!! 約束だからな!」
解説席にあったマイクを強引に奪い取り、ビッグ・ザ・グリズリーがフンと鼻を鳴らす。
しかし、へビィカーペンターはニヤリと笑い、待っていましたとばかりにマイクを奪う。
「俺が勝っても飯をおごって貰うからな! 覚悟しろよ」
マイクと一緒にマントをリングの外に放り投げ、へビィカーペンターが間違った増量をして、はちきれそうな肉体を披露する。
そのためレフェリーは驚いた様子で目を丸くさせ、ふたりの利き腕にチェーンを嵌めていく。
「ほ、本物の凄さを教えてやるどっ!」
ゴングの音が響いたのと同時にへビィカーペンターと両手を合わせ、ビッグ・ザ・グリズリーが悔しそうな表情を浮かべてギリギリと歯を鳴らす。
へビィカーペンターは相手の挑戦に乗って両手を掴み、そのまま全体重を掛けて押し倒そうとした。
「お、お、おら! 負けねえど!」
えびぞり状態から思いっきり力を入れ、ビッグ・ザ・グリズリーが全身から噴水の如く血を流しながら、へビィカーペンターをリングに倒しモンキー・フリップで投げ飛ばす。
「ぐおっ‥‥、ちょっと馬鹿にし過ぎたか。まさにクマ並みの馬鹿力だな」
背中から腰に掛けてダメージを受け、へビィカーペンターがふらりと立ち上がる。
わざと相手を怒らせて隙を作ろうとしたが、ビッグ・ザ・グリズリーの力が強かったため、技を回避する事が出来なかったようだ。
「おらを怒らせてタダで済むと思ったら大間違いだど!」
容赦なくチョップとビンタを連打しながら、ビッグ・ザ・グリズリーがへビィカーペンターをロープに振り、ネックハンギング・ツリーから首を絞めたままジャンピングボムを炸裂させてフォールを決めた。
へビィカーペンターは寝転がったままゲラゲラと笑い、満足した様子で立ち上がる。
「ははっ、やるな! 利き腕が引き千切れるかと思ったぞ! それじゃ、約束だっ! 一緒に飯でも食いに行くか!」
そう言ってへビィカーペンターが肩を組み、ビッグ・ザ・グリズリーと一緒にリングを降りて行った。
『勝者:ビッグ・ザ・グリズリー(ベビーフェイス) 決め技:ネックハンギング・ボム』
●レオナード・レオン(fa2653)の控え室
「‥‥おっ! 随分と金が掛かっているな」
控え室に届いたコスチュームを見つめ、レオナード・レオンが満足した様子で溜息を漏らす。
試合前に披露するコスチュームを発注していたのだが、予想以上に出来が良かったため驚いているようだ。
(「‥‥まさかギャラから引かれているのか」)。
嫌な予感が脳裏を過ぎり、空がダラリと汗を流す。
今までコスチューム代を支払う必要がなかったため、色々と安い作りになっていたが、ここまで出来がいいと心配になってくる。
(「えっと‥‥、請求先は‥‥『DOG’S』か‥‥!? あ、危ねぇ‥‥。お、驚かせやがって‥‥。だが、ギャラが支払われるまで‥‥油断は出来ないな」)。
青ざめた表情を浮かべながら、レオンが乾いた笑いを響かせた。
ワイズマンの性格がとてもヒネているため、最後まで気を抜けないのが本音である。
●辰巳 空(fa3090)の控え室
「はあ‥‥まあ‥‥」
サンドバックを相手にスパーリングに励みながら、辰巳 空が徐々に自分のテンションを高めていく。
空のまわりを囲むようにして床に線が引かれているため、ケージを意識したイメージトレーニングのつもりらしい。
(「‥‥これじゃ駄目だ。もっと早く! ‥‥風のように」)。
自分の限界に挑戦するようにしてパンチのスピードを上げていき、空がサンドバックをバシバシと叩く。
レベルの高い試合をするためにも、自分が納得するまでトレーニングは止められない。
(「極限までテンションを高め‥‥限界を超えるんだ‥‥」)。
自分自身に言い聞かせるようにしながら、空が雄たけびを上げてサンドバックを破壊する。
それと同時にサンドバックに穴が開き、中から大量の砂が零れ落ちるのであった。
●第2試合 『ケージデスマッチ レオナード・レオンVSブドーカメン』
「I LOVE AMERICA!!」
派手なロックが会場を支配したのと同時に、レオナード・レオンがアメコミヒーロー風のコスプレで登場し、観客達に手を振りながらリングに上がる。
「いくぞぉー」
和太鼓のBGMと共にスポットライトを浴び、ブドーカメンが炭酸ガスの演出とワイアーアクションでリングまで一直線に移動した。
そこで背中のワイヤーを切り離し、滑り込むようにしてケージの中に入っていく。
「よろしく頼むなっ!」
爽やかな笑みを浮かべながら、レオンがブドーカメンに握手を求める。
しかし、ブドーカメンはレオンの右手をぱちんと弾き、警戒した様子でジロリと睨む。
「‥‥ツレないな。せっかく仲良くなろうと思ったのに‥‥」
残念そうな表情を浮かべ、レオンが冗談まじりに微笑んだ。
「本気でそう事を思ってますか?」
徐々に間合いを取っていきながら、ブドーカメンが相手の隙を窺った。
一見するとレオンは隙だらけに見えるが、それが作戦である可能性も捨てきれない。
「だったら確かめてみるか? 俺が本気かどうかを、な!」
ゴングと同時にオーベーヘッド・キックを放ち、レオンが倒れたブドーカメンを見つめて見得を切る。
その隙にブドーカメンが立ち上がり、お返しとばかりにパンチとキックを連打した。
「ちょっと熱くなり過ぎじゃないか? まだ試合は始まったばかりだぞ?」
ブドーカメンの攻撃をすべて受け止め、レオンが余裕の態度でクスリと笑う。
「そっちだって試合を長引かせるつもりはないでしょう?」
少しずつ相手のペースを掴んでいき、ブドーカメンが隙を見て攻撃を仕掛けようとする。
しかし、それよりも早くレオンがエルボー・スマッシュを繰り出してきたため、攻撃を仕掛ける前にケージまで追い詰められていく。
「‥‥まあな。分かっているじゃないか」
含みのある笑みを浮かべながら、レオンがコーナーポストの最上段から、ミサイル・キックを繰り出した。
「もう‥‥、負けられんのだ」
それと同時にブドーカメンがレオンの攻撃をかわし、立ち三角締めからノーザンライトスープレックス・ホールドを炸裂させる。
それでもレオンは立ち上がろうとしていたが、ブドーカメンが雄たけびを上げてフォールを決めた。
「もう‥‥負け犬は勘弁だ‥‥」
自分自身に言い聞かせるようにしながら、ブドーカメンがふらりと立ち上がる。
‥‥その一言は自分に対する戒めの言葉でもあった。
『勝者:ブドーカメン(ヒール) 決め技:ノーザンライトスープレックス・ホールド』
●モハメド・アッバス(fa2651)の控え室
「HAHAHAHAHA! そろそろ試合の時間デェース! 準備は出来てイマスか〜?」
真っ白な歯をキラリと輝かせながら、ワイズマンがモハメドの控え室に入っていく。
モハメドはヒップ・ポップを聴きながら、楽しそうにダンスを踊っていたが、ワイズマンに気づいてスイッチをオフにする。
「わざわざ呼びに来たのか? ‥‥すまないな」
タオルを使って汗を拭い、モハメドがワイズマンと固い握手をかわす。
時間を忘れて踊っていたため、ワイズマンが迎えに来なければ、試合に遅れていた事だろう。
「マァ、これも仕事デスからネ。HAHAHAHAHA!」
えっへんと胸を張りながら、ワイズマンが独特な笑い声を響かせる。
最近、『CAT’S』で遅刻が増えているため、『DOG’S』でも同じような事がないように、様子を見に行く事にしているようだ。
「それなら道案内を頼むか。この会場は初めてでな」
そう言ってモハメドが真紅のマントを羽織るのだった。
●キング・バッファロー(fa2572)の控え室
「‥‥そろそろ試合の時間か」
キリのいいところで柔軟体操を終え、キング・バッファロー(fa2572)が汗を拭う。
隣の部屋から奇妙な笑い声が聞こえてきたため、面倒な事になる前に試合に出る準備を進めておく必要がありそうだ。
「‥‥と、その前に」
テーブルの上に置かれたダンボールに気づき、キング・バッファロー(fa2572)が蓋を開ける。
ダンボールの中にはたくさんのファンレターが入っており、その大半は子供達から送られてきたものだ。
(「子供達のためにも卑怯な真似だけは出来ないな」)。
ヒールらしくないな、と自分でも思う。
しかし、ヒールだからと言って、何でもありだとは思っていない。
ヒールにはヒールなりのルールがあるのだから‥‥。
●第3試合 『ガチンコマッチ ファラオマン13世VSキング・バッファロー』
「アメ〜ン、アメ〜ンホテップ‥‥」
クラシックをヒップ・ホップにアレンジしたものを入場曲にして使い、ファラオマン13世が真紅のマントを羽織ってエジプトのファラオをイメージした格好で両手を広げて花道を歩いていく。
観客達はまるで映画の中から飛び出してきたようなレスラーに驚き、ポカンと口を開けたままファラオマン13世の動きに心を奪われている。
「‥‥ふっ、神様に会う用意はしたか?」
含みのある笑みを浮かべながら、キング・バッファローがカントリーソングを入場曲にして、赤いポンチョに白いテンガロンハットで花道を歩く。
キング・バッファローには子供のファンも多く存在しているため、この試合のためだけに特別席が用意されている。
「神の化身たるそれがしを捕まえて、神に会う用意とは‥‥。何かシャレの利いた冗談かな? すまないが、笑えないネタだ」
金色に輝くギザのピラミッド群をプリントさせた赤いショートタイツ姿になり、ファラオマン13世がキング・バッファローを睨んでファイティングポーズを取った。
「‥‥神の化身だと? 紛い物じゃないのか?」
胡散臭そうにファラオマン13世を見つめ、キング・バッファローがフンと鼻で笑う。
その言葉がファラオマン13世の闘争本能に火をつけたのか、ただならぬ雰囲気を漂わせてパンチを放ってくる。
「‥‥いいパンチだ。俺もお返ししないとな」
ファラオマン13世のパンチをモロに喰らい、キング・バッファローがカウンターパンチを繰り出した。
しかし、ファラオマン13世はキング・バッファローの攻撃を寸前でかわし、ハイ、ミドル、ローの順番で連続キックをお見舞いする。
「クッ‥‥、やるじゃないか!」
相手の攻撃をすべて受け止め笑みを浮かべ、キング・バッファローがミノタウロス・アックス(ショルダー・チョップの連打)を放ってショルダー・タックルをかます。
「ぐあっ!」
コーナーポストに激突したショックで悲鳴を上げ、ファラオマン13世が大袈裟に尻餅をつく。
その隙にキング・バッファローがファラオマン13世を掴んで、コーナートップまでムンズと持ち上げた。
「喰らえっ!」
すぐさまキング・バッファローの頭を挟み、ファラオマン13世がコウモリを仕掛けて場外に逃げる。
不意打ちを喰らってキング・バッファローは驚いていたが、ファラオマン13世が振り下ろしたパイプイスを弾き、雄たけびを上げながらマットめがけてDDTを放つ。
「‥‥そろそろトドメかな」
そのままコーナートップに立ってギロチン・ドロップを放ち、キング・バッファローがスピニング・バックブリーカーで敵の頭が後ろになる様にカナディアン・バックブリーカーで担ぎ上げて回転し、相手の頭が下になる様にして片足と首を固定すると、そこからジャンプして尻餅をつくようにしてマットに着地した。
「‥‥終わったな。みんな、プロレスラーは鍛えているから危険な試合が出来る。良い子は真似しちゃダメだぞ」
ファラオマン13世にフォールを決めて立ち上がり、キング・バッファローがマイクを握って子供達に声を掛ける。
子供の頃に見たヒーローのように笑顔を浮かべ‥‥。
『勝者:キング・バッファロー(ヒール) 決め技:テキサス・トルネード・エンド』
●牙龍(fa3034)の控え室
「‥‥なるほど。レスラーとは常に観客のヒーローで在り続けなければならないのか」
日本から輸入した大量の漫画本を控え室に持ち込み、牙龍が物凄いスピードで本を読んでいく。
牙龍の読んでいる本はプロレス関係のものが多く、レスラー達が誇張された感じで描写されている。
「おっ、この技は試合の参考にする事が出来そうだな」
漫画本に描かれていた技を頭の中でイメージしながら、牙龍が実際に使えるかどうか訓練生を使って試してみた。
一応、漫画と同じように技を決めてみたのだが、見た目の派手さと比べて抜け出す事が簡単なため、実際の試合では使い物になりそうにない。
「うーむ、使い方次第で試合にも使えるものがあるといいんだが‥‥」
漫画本をペラペラとめくり、牙龍が落ち込んだ様子で溜息をつく。
牙龍が日本から取り寄せた漫画の大半がヒーローものであったため、ダメージの大きな技よりも派手な技ばかりが目立っている。
「‥‥仕方ない。今回は参考だけにしておくか」
そう言って牙龍が漫画本を置いて立ち上がり、力強い足取りで控え室を出て行った。
●グリード(fa0757)の控え室???
「‥‥たくっ! 控え室じゃのんびり昼寝も出来やしねぇ‥‥。いくら『PET SHOP』からギャラを貰っているからって、プライベートまで売った覚えはねぇぞ、コン畜生っ! まぁ、ここなら隠しカメラを仕掛ける野郎もいねぇだろ!」
豪快な笑みを浮かべながら、グリードが両脇に侍らせている美女の肩を抱く。
このまま控え室に行けば隠しカメラを探す手間が出てくるため、移動用に使っているリムジンの中で時間を潰す事にしたらしい。
「さてと‥‥、今回の相手は牙龍、だったか? 見た感じ、俺より身軽なようだが‥‥」
事前に取り寄せておいた資料を手に取り、グリードかせ険しい表情を浮かべて口を開く。
資料には牙龍に関してのデータが載っており、いくつか注意すべき点が事細かに書かれている。
「まっ、何とかなるか。難しい事を考えていたら頭が腐る。せっかくのんびり出来るんだから、美女達と一緒に精神統一しておかないとな」
精神統一の意味も分からぬまま、グリードが美女達と楽しい時間を過ごす。
美女達はグリードの胸に指を這わせ、幸せそうに笑みを浮かべる。
「‥‥ん? 待てよ。確か、この車って『PET SHOP』のモンだよな? つー事は、まさか! ここにも隠しカメラが仕掛けてあったのか!? ふざけんじゃねえぞ、馬鹿野郎!」
そしてグリードの雄たけびと共に、凄まじい破壊音が響くのだった‥‥。
●第4試合 『有刺鉄線デスマッチ 牙龍VSグリード』
「‥‥やれやれ、ようやく試合かよ」
ガンガンにハードロックが響く中、牙龍が昇り竜のプリントされたガウンを着て、全身にスポットライトを浴びる。
それと同時に牙龍が観客達に向かって拳を掲げ、堂々とした態度で花道を歩いていく。
「随分と盛り上がっているじゃねえか。そんなに血が見たいのか?」
熱狂した観客達を見つめながら、牙龍がガウンを脱ぎ捨てる。
牙龍のショートタイツには西洋の龍がリアルな色彩でプリントされており、彼をイメージするかのように荒々しい。
「そりゃあ、見たいだろうさ。お前の流血シーンがな!」
邪悪な笑みを浮かべながら、グリードが美女達を侍らせ花道を歩く。
グリードの口には葉巻が咥えられており、そのせいで会場のスプリンクラーが反応する。
「‥‥たくっ! ワイズマンの野郎、‥‥わざとだな。絶対に殺す!」
不機嫌な表情を浮かべながら、グリードが重くなったガウンを脱ぎ捨てた。
「まぁ、その前にやっておく事があるか」
含みのある笑みを浮かべながら、グリードが指の関節を鳴らす。
それと同時にゴングの音が辺りに響き、牙龍が力比べをするためガシィッと両手を組み合わせる。
「分かっているじゃないか。‥‥死ぬ前に気づいて良かったな」
すぐさまヘッド・バットを繰り出し、牙龍が怪しくニヤリと笑う。
しかし、グリードは怯む事なく雄たけびを上げ、牙龍を有刺鉄線めがけて投げ捨てた。
「はあ‥‥はあ‥‥。馬鹿にするんじゃねえ! この程度の事で死ぬほど俺はヤワじゃねえ! もうちっとマシな攻撃をしてくるんだな」
頭からダラダラと血を流し、グリードがペッと唾を吐く。
「‥‥後悔するぞ」
有刺鉄線を纏うようにして立ち上がり、牙龍がグリードに向かって走り出す。
しかし、グリードは攻撃を避ける事なく、牙龍めがけて破壊力のある蹴りを放つ。
「甘いっ!」
グリードの蹴りを食らう寸前で攻撃をかわし、牙龍が後ろに回りこむようにしてフィッシャーマンズバスターを炸裂させた。
「ははっ、ようやく温まってきたぜ! それじゃ、そろそろ決着をつけるか!」
流血で全身を真っ赤に染め、グリードが獣の如く勢いで牙龍の首を掴む。
次の瞬間、グリードがネックハンギングツリーを仕掛け、そこからジャイアントスイングを炸裂させる。
牙龍は有刺鉄線にめり込むようにしてリングの外に転がり落ち、徐々に広がっていく血溜りの中で意識を失った。
『勝者:グリード(ヒール) 決め技:ジャイアントスイング』
お知らせ:次回の『DOG’S』は8月20日を予定しています。