魔術師南北アメリカ

種類 シリーズEX
担当 ゆうきつかさ
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 難しい
報酬 3.9万円
参加人数 10人
サポート 0人
期間 06/30〜07/04
前回のリプレイを見る

●本文

<ドラマの内容>
 タロットカードの力を封印(もしくは解放)するために世界を回るアメリカンドラマです。
 基本的には何でもありの世界観になっていますが、現時点ではメイド役か執事役しか選べません。

●メイド派として参加する場合
 清純派のメイド役からドジッ娘メイド役まで幅広く募集しています。

<基本設定>
 主人公はお坊ちゃまと、お嬢様。
 彼らの家は大金持ちで隣同士の許婚。
 ただし、屋敷の敷地が広いため、家の距離は離れている。
 ふたりとも年頃になって、相手が気になっているようが、意地っ張りな性格とプライド、気恥ずかしさのせいで、いつもトゲトゲしい態度をとってしまい、それが原因で、いつも喧嘩になってしまう。
 お坊ちゃまはタロットカードの力に危険なものを感じたため、選ばれた者達だけが使用できるように封印を施して行こうと思っています。
 そのため、お嬢様と対立する事に‥‥。

<お坊ちゃまの設定>
名前:御剣・翔(みつるぎ・しょう)
容姿:東洋系の顔立ちをしており、喋らなければ美男子。
   普段は眼鏡を掛けており、髪の色は銀色。神経質そうな雰囲気。
性格:現実主義でナルシスト。成績優秀で運動神経抜群。エリートタイプ。
口調:僕、君、だね、だろ?
年齢:17歳

●執事派として参加する場合
 正統派の執事役から邪道な執事役まで幅広く募集しています。

<基本設定>
 主人公はお坊ちゃまと、お嬢様。
 彼らの家は大金持ちで隣同士の許婚。
 ただし、屋敷の敷地が広いため、家の距離は離れている。
 ふたりとも年頃になって、相手が気になっているようが、意地っ張りな性格とプライド、気恥ずかしさのせいで、いつもトゲトゲしい態度をとってしまい、それが原因で、いつも喧嘩になってしまう。
 お嬢様はタロットカードの力を素晴らしいと思い、その力を解放して以降と思っています。
 そのため、お坊ちゃまとは敵対する事に‥‥。

<お嬢様の設定>
名前:パトリシア・ローズ
容姿:西洋系の顔立ちをしており、金髪、碧眼、縦巻きロール。
   見た目は育ちのいいお嬢様風。
性格:我侭で高飛車。好奇心旺盛で甘えん坊。
   寂しがり屋で意地っ張り。自己中な性格で口が悪い。
口調:わたくし、あなた、ですわ、でしょう?
年齢:17歳

●決めて欲しいもの
 自分の演じる執事がどんな設定なのかを教えてください。
 アンドロイド型や魔物型でも構いません。
 ただし、実在する歴史上の人物や有名キャラクターなどを使用しない事ようにお願いします。
 著作権の関係上、色々と問題が出てくる場合があります。
 執事達はタロットカードを使用する事で魔法を使う事が出来ます。
 最初に配布されるカードは一枚。
 キャラクターの性格によって、正位置か逆位置で使用する事が出来ます。
 どちらかいいか希望を書いた上で、自分が所有するカードを教えてください。

<テンプレート>
役名:演じる役名を記入。
性格:演じる役の性格を記入。
特徴:演じる役の特徴を記入。
見せ場:自分の見せ場を記入。
所有カード:所有しているタロットを記入(表か裏のみ)。
特殊能力:カードを使用した時に発動する能力を記入。
(注意:内容によっては修正される場合があります)。

●今回のシーン説明
・シーン1 メイドパート
 調査の結果、ラスベガスの近くに住むレスキュー隊員が『魔術師』のカードを所有している事を知るメイド達。
 『魔術師のカード』を所有しているレスキュー隊員は、人命救助をするためだけにカードの力を使っているようだが、それでも翔はカードを封印しようとしているようだ。

・シーン2 執事パート
 メイド達が行動を開始した事を知り、邪魔をしようと考える執事達。
 今回の場合はカードをすべきでないと判断したため、封印阻止に乗り気な隊員も多い。
 そんな中、ラスベガスのカジノで大火災が起こり‥‥。

・シーン3 大火災
 瞬く間に火の手が上がってしまったため、人命救助が間に合わずカジノ内には多くの客が残されている。
 彼らを助けるためにはカードの力を使わねばならないのだが、何も知らずに翔が阻止しようとしているため、救出に手間取っている。

・シーン3 愚者のカード
 『魔術師』のカードを目覚めさせ、逆位置の力を使ってカジノを炎に包む愚者のカード。
 前回よりも力をつけているためか、倒す事は出来ないものの、行動次第で何とかする事は出来る‥‥はず。

[愚者:ジョニー]
能力:相手の能力をコピーする力を持っています。
性格:自分勝手で自己中心、無鉄砲な風来坊。
口調:俺、お前、だ、だぜ

[魔術師:覚醒途中 所有者:スミス(24歳)]
能力:地水火風の能力を自由に使う事が出来る。
性格:覚醒前なので不明。所有者の性格は真面目。
口調:(所有者)私、君、だろ、だ

●今回の参加者

 fa0043 皇・皇(21歳・♂・一角獣)
 fa0204 天音(24歳・♀・鷹)
 fa0509 水鏡・シメイ(20歳・♂・猫)
 fa1695 羅蓮華(23歳・♀・狐)
 fa1828 鐘下べる(20歳・♀・小鳥)
 fa2074 ハンマー・金剛(18歳・♂・獅子)
 fa2668 大宗院・慧莉(24歳・♀・狐)
 fa3090 辰巳 空(18歳・♂・竜)
 fa3589 リップ・ザ・ウルフ(24歳・♀・狼)
 fa3595 スイート・ザ・ウルフ(25歳・♀・狼)

●リプレイ本文

●メイドパート・キャスト
御剣・翔役:御剣・翔
ベル役:鐘下べる(fa1828)
エリー役:大宗院・慧莉(fa2668)
ブローディア役:天音(fa0204)

●メイドパート:前編 『魔術師』のカード
「‥‥調査の結果、『魔術師』のタロットカードがスミスという名のレスキュー隊員の手元にある事が判明した。いまのところ『魔術師』のタロットカードが悪用されている様子はなく、人助けをするためにしかタロットカードの力を使っていない。すなわち『正位置』の力しか使っていないという事さ。現時点で『逆位置』の力が使われた形跡はなし。完璧なまでにタロットカードの力を使いこなしている事から、『適格者』である可能性が非常に高い。だからと言って安心してはいられないけどね」
 険しい表情を浮かべながら、御剣・翔が『魔術師』のタロットカードに関する資料をテーブルの上に置く。
 『魔術師』のタロットカードを所有しているレスキュー隊員はラスベガスの近郊にある町に住んでおり、偶然『魔術師』のタロットカードを手に入れたようだ。
「見た目は悪い人じゃなさそうですね〜。資料を見ても悪い人ではなさそうですし、『魔術師』の力を封印する必要も無さそうですね〜」
 テーブルに置かれた写真を見つめ、ベルが不思議そうに首を傾げる。
 スミスはとても正義感が強く、街の評判も悪くは無い。
 そのため、強引に『魔術師』の力を封印すれば、御剣家の信頼を失墜させる事にもなるだろう。
「‥‥ああ、だから困っているんだよ。タロットカードが悪用されているのなら、何の躊躇もなく封印する事が出来るけど、こんな状況でタロットカードの力を封印する事なんて僕には出来ない。だからと言って、このまま何もしなければ、『愚者』によって『魔術師』が暴走させられてしまう‥‥」
 何処か悲しげな表情を浮かべながら、翔が力任せにテーブルを叩く。
 本音を言えばこのままスミスを放っておきたいのだが、そんな事をすれば『愚者』の思う壺である。
「私はぁ、翔が正しいと思った事をすればいいと思うよぉ。何が正しいかなんてぇ、誰が決める事じゃないもんね! だから、頑張ろぉん!」
 わざと明るく振舞う事で、エリーが落ち込む翔を慰めた。
 エリーも翔の気持ちが分かっているため、それ以上の事を言うつもりがないようだ。
「‥‥分かっている。分かっているけど、辛いんだよ。いくら役目とはいえ、正しい事に使われているタロットカードを封印するなんて‥‥。本当に僕達のしている事は正しいのかな? 何だか自信が無くなってくるよ‥‥」
 自分のしている事に対して疑問を感じ、翔が自信のない表情を浮かべて溜息をつく。
 スミスは『魔術師』のタロットカードを使って人助けをしているため、無理矢理その力を取り上げる事に対して躊躇いがある。
「正」
 無表情のまま翔の肩をぽふりと叩き、ブローディアが小さくコクンと頷いた。
 先日までブローディアは魔界に帰っていたため、いまいち自体が飲み込めていないのだが、翔のやる事に対して反対する気はまったくない。
「とにかくスミスさんに会ってみませんか〜? きちんとお話すれば分かってくれるかも知れませんし、何かいい方法が見つかるかも知れませんよ〜」
 のほほんとした表情を浮かべながら、ベルがニコリと微笑んだ。
 ここで悩んでいても仕方が無いため、本人に会ってきちんと話をする必要がある。
「‥‥そうだね。本人に会った事がないのに、結論を早めるのは良くないか。‥‥ありがとう、みんな。おかげで気持ちが楽になったよ。それじゃ、本人に会ってこようか」
 爽やかな笑みを浮かべながら、翔が指をパチンと鳴らして車を呼ぶ。
 既にスミスが住んでいる家と仕事場の住所は調べてあるため、今から行けば『愚者』より先にスミスと会う事が出来る。
「‥‥急ごうっ! 『愚者』よりも早くスミスさんに会うために‥‥」
 屋敷の玄関に停められた車に飛び乗り、エリーが自動操縦のボタンを押す。
 それと同時に車が猛スピードで走り出し、ブローディアが翼を生やして飛んでいく。
 『愚者』よりも早くスミスと接触するために‥‥。

●執事パート・キャスト
パトリシア・ローズ役:パトリシア・ローズ
リャン役:羅蓮華(fa1695)
金剛 薫役:ハンマー・金剛(fa2074)
村井 琢磨役:辰巳 空(fa3090)
マコト役:皇・皇(fa0043)
カゲツ役:水鏡・シメイ(fa0509)

●執事パート 『封印阻止』
「‥‥御剣の馬鹿がとうとう本性を現したようですわね。何の罪もない善良なレスキュー隊員から、『魔術師』のタロットカードを奪おうとしているなんて酷過ぎますわっ! ‥‥これで、わたくしの言っていた事が分かったでしょ? あいつはタロットカードの力さえ封印する事が出来れば、何もしてもいいと思っているのよ」
 自信に満ちた表情を浮かべながら、パトリシア・ローズがニヤリと笑う。
 パトリシアは執事達を使って御剣家のメイドを尾行させ、翔が『魔術師』のカードを封印しようとしている事を知ったため、今回も彼らの邪魔しようとしているようだ。
「目覚めさせるべきか封印すべきかはいずれ答がでるさ。‥‥その前に翔お坊ちゃまが死なないといいけどね」
 冗談まじりに呟きながら、カゲツがティーアップに紅茶を入れる。
 どちらにしても本人にあってみなければ、決める事など出来ないのだから‥‥。
「‥‥状況などを鑑みるに、今回はカードを悪用される事はないでしょう。ただし、あちらのお坊ちゃまは、どうにも融通が利かないようですが‥‥」
 『魔術師』のタロットカードに関する情報を確認しながら、金剛 薫が困った様子で溜息をつく。
 既に翔達が動き出しているため、薫達も彼らを阻止するために動かざるを得ない。
「‥‥仕方がありませんわね。今回もこのパトリシア・ローズが出向くしかないようですわっ! わたくしにとってラスベガスは庭のようなものですからね。久しぶりにカジノで豪遊するのも悪くはありませんわ。おーっほっほっほっほっ!」
 高笑いを響かせながら、パトリシアが瞳をキラリと輝かせる。
 ラスベガスにはローズ家と取り引きしている相手も多いため、直々に彼女が行けば御剣達の足止めをしてくれる可能性が高い。
「‥‥カジノですか。悪くはありませんね。でも、いいんですか? 取引相手の店を潰すほど、稼いでしまうかも知れませんよ?」
 冗談まじりに微笑みながら、村井 琢磨が紅茶を飲む。
 パトリシアの場合、他の客と比べて賭ける金額がケタ外れなので、相手の店が潰れてしまう可能性が高い。
「そうなったら、わたくしが店ごと買い取ってあげますわ。そうと決まれば、すぐにでもカジノに行かねばなりませんわねっ! ガンガン稼いで今日はパーティをしますわよっ!」
 いつの間にかラスベガスに行く理由がすり替わり、パトリシアが宝石箱を抱えて庭に停めてあった車に乗り込もうとした。
「お、お嬢様っ! いつの間にか目的が変わってないかっ? 今回の目的は『魔術師』のタロットカードを使って人助けをしているレスキュー隊員を助ける事だろ? カジノなんかで遊んでいる暇はないはずだが‥‥」
 パトリシアの腕を掴み、マコトが呆れた様子で溜息をつく。
 今回の場合はパトリシアの言い分の方が正しいと思っているので、彼女に口を出すつもりはなかったようだが、途中からカジノに行く話にすり替わっていたため、思わずツッコミを入れてしまったらしい。
「そ、そうでしたわね。わたくしとした事が、本来の目的を忘れるなんて‥‥。どうかしていましたわね。と、とにかくラスベガスに行って、レスキュー隊員に会ってみる必要があると思いますわ。この資料を見る限り勤務先はラスベガスのようですし、署長に金でも掴ませれば素直に彼を渡してくれるでしょう」
 含みのある笑みを浮かべながら、パトリシアが扇子を扇ぐ。
 金で心が動かなければ他にも方法があるため、すべて試すつもりでいるようだ。
「‥‥相変わらず腹黒いね。まぁ、そこがお嬢様の魅力だけど‥‥。それじゃ、ラスベガスに行ってみようか。新しく手に入れた『愚者』の力も試してみたいからね」
 そして、リャンは前回の戦いで覚醒した『愚者』のタロットカードに口付けをした後、パトリシアを連れて車に乗り込みラスベガスを目指すのだった‥‥。

●メイド&執事パート:後編 『スミス』
「ば、馬鹿な‥‥。このカードにそんな力があったなんて‥‥」
 『魔術師』のタロットカードを見つめながら、スミスが信じられない様子で汗を流す。
 スミスは『魔術師』のタロットカードをお守り代わりに持っていただけで、カード自体に特別な力があるとは思っていなかったため、翔達からの説明を聞いて唖然とした表情を浮かべている。
「‥‥やはり『適格者』だったようだね。しかも、高レベルの‥‥。これなら『愚者』が欲しがるわけだ。‥‥自らの器としてね」
 納得した様子でスミスを見つめ、翔が頭を抱えて溜息をつく。
 『愚者』の目的がハッキリとして来たため、今のうちに手を打っておく必要がある。
「あ、あの‥‥。『適格者』とか『愚者』とか一体、何の話をしているんですか? ただでさえ分からない事だらけなのに‥‥。く、詳しく説明してください」
 不安げな表情を浮かべながら、スミスが翔の肩を掴んで激しく揺らす。
 本当に何も知らなかったのか、純粋に真実を知りたいようである。
「ご、ごめんなさいっ! もう時間が無いのっ! もうすぐあなたを狙っている人が、ここに来るからっ! 私達の指示に従って!」
 このままでは『愚者』に襲撃されてしまうため、エリーがスミスの腕をガシィッと掴む。
 スミスの上司に無理を言って呼び出してもらってはいるのだが、『適格者』である事が分かった以上ここにおいて置くわけにはいかない。
「はっ、放してくれっ! 本当は君達が僕を狙っているんじゃないのか! いきなり私を呼び出して、訳の分からない話をするんだから‥‥。も、もう騙されないぞっ! こ、この、悪党めっ!」
 警戒した様子で後ろに下がり、スミスが胸ポケットからボールペンを取り出し、翔達のいる方向に素早く向けた。
「は、早まった事をしたら駄目ですよぉ〜! わ、私達は本当にスミスさんの味方なんですから〜。だ、だからボールペンをこっちに渡してくださいですよぉ〜」
 慌てた様子でスミスに駆け寄り、ベルがボールポンを奪い取ろうとする。
 しかし、スミスは強引にベルの右手を振り払い、怯えた様子で壁伝いに逃げていく。
「そ、そんな言葉に騙されるか! そ、それ以上、近づいたら、自殺するぞ!? い、いいのか!? わ、私が死んだら君達の計画もパアになるんだろ! はははははははっ‥‥、コイツは面白いっ!」
 自分の喉元にボールペンを突きつけ、スミスが警告まじりに呟いた。
「呆」
 それと同時にブローディアが一気に間合いを詰め、素早く手刀を放ってボールペンを弾き飛ばす。
 ボールペンは弧を描いて宙を舞い、地面にザクリッと突き刺さる。
「‥‥仕方ない。少々、手荒な真似になるが、他に方法がないからね」
 疲れた様子で溜息をつきながら、翔がスミスから『魔術師』のカードを奪い取ろうとした。
 次の瞬間、何処からかパトリシアの高笑いが響き、彼女に仕える執事達が次々と攻撃を仕掛けてくる。
「おーほっほっほっほっほっ! そこまでですわっ! ‥‥ようやく本性を現しましたわね。何だかんだ言っても、あなたは力が欲しいだけ‥‥。タロットカードの力を独占する事が目的でしょ? わたくしが何も知らないとでも思っていたのかしら? あなたの事なんて骨の髄までお見通しですわっ!」
 執事達を従えて建物の上に立ち、パトリシアがビシィッと翔を指差した。
 格好良く登場するために隠れていたのか、登場するタイミングがやけに早い。
「パ、パトリシア‥‥!? ご、誤解しないでくれっ! 僕はタロットカードの力を独占したいわけじゃないっ! この力が危険過ぎるから、封印しようと思っているんだっ!」
 真剣な表情を浮かべながら、翔が必死になってパトリシアを説得しようとした。
 しかし、翔の言葉は彼女の心に届いておらず、小馬鹿にした様子で鼻を鳴らす。
「あ〜ら、とうとう白状しましたわね! 本当に封印する気があるのなら、『契約者』だけが使えるようにする必要は無いでしょ? あなたの言っている事は単なる言い訳っ! 自分を正当化するためのハッタリですわっ!」
 タロットカードの力を使って華麗に舞い降り、パトリシアが腰に手を当てニヤリと笑う。
 この状況で翔が何を言ってもスミスの心が動く事はないので、パトリシアも安心して自分の考えを語っていく。
「‥‥どうやら君達が私を保護しに来てくれた人のようだね。た、助けてくれっ! こいつらが私の命を狙っている!」
 ホッとした表情を浮かべながら、スミスがパトリシアの後ろに隠れる。
 パトリシアはその事に満足したのか、さらに翔を追い詰めていく。
「ほら、見なさい。スミスには分かるのよ。どちらの方が正しいのかね。‥‥分かったら、早くここから去りなさいっ!」
 よほど翔の事が嫌いなのか、パトリシアが吐き捨てるようにして呟いた。
「クッ‥‥、ここまでか」
 悔しそうな表情を浮かべながら、翔が拳をギュッと握り締める。
 次の瞬間、レスキュー本部から次々とレスキュー車が出て行き、ラスベガスのある方向にむかって走っていく。
「何かあったようですわね。‥‥行きますわよっ!」
 そしてパトリシアは執事達を連れて、スミスと共に現場へむかうのだった。

●大火災パート 『災厄』
「こ、これは‥‥!? 一体、どういう事なんだ!?」
 唖然とした表情を浮かべながら、スミスがガックリと膝をつく。
 何者かによってラスベガスにあるカジノが炎に包まれており、救助に向かったレスキュー車が次々と爆発していった。
「はははははっ! ‥‥遅かったじゃないか。既にパーティが始まっているぜ! 早く『魔術師』のカードを使うんだっ!」
 含みのある笑みを浮かべながら、ジョニー(愚者)が建物の上から高笑いを響かせる。
 どうやらスミスを誘き寄せるために、わざと手下を使ってカジノを襲撃したようだ。
「こっ、こらっ! わたくしの真似をしたら、承知しませんわよっ!」
 自分の登場シーンを真似されたため、パトリシアが不機嫌な表情を浮かべてジョニーを睨む。
 しかし、ジョニーはパトリシアの事を無視したまま、スミスとだけ話をしようとする。
「こ、こんな真似をして許されると思っているのか!」
 怒りに満ちた表情を浮かべ、スミスがジョニーの事を非難した。
 しかし、ジョニーは怯む事なく、笑みを浮かべて指を鳴らす。
 次の瞬間、カジノが吹っ飛び、あちこちから悲鳴が聞こえてくる。
「‥‥言葉には注意するんだな。お前に選択する権利は無い。もっと、素直になれよ」
 勢いをつけて建物の上から飛び降り、ジョニーがスミスの前に降り立ち胸倉を掴む。
「悪いが君に指図される筋合いはない。私は自分の意思で彼らを救うっ!」
 バシィッとジョニーの右手を振り払い、スミスが『魔術師』の力を解放する。
 それと同時に炎の防ぐ膜が出来、スミスが建物の中に入って行く。
「‥‥それでいいんだ。それで‥‥」
 満足した様子で笑みを浮かべ、ジョニーがフッと姿を消した。
「これは罠だっ! 騙されちゃいけないっ! それ以上、タロットカードの力に頼れば、敵の思うツボだぞ!?」
 ハッとした表情を浮かべながら、翔がスミスの後を追う。
「‥‥そこまでです。いくら何でも酷すぎませんか? 彼は人助けをしようとしているのですよ?」
 すぐさま『星(逆位置)』の力を解放し、カゲツが翔めがけて無数の短剣を降らす。
 翔は物陰に隠れてカゲツの攻撃をやり過ごしたが、マコトが『法皇(正位置)』の力を解放したため、逃げ道が無くなってしまう。
「邪魔をするな、御剣っ! 困っている人々を見殺しにするのが貴方達のするべき事か! そんなに封印したいのなら、この『法皇』を封印すればいい!」
 真剣な表情を浮かべながら、マコトが『法皇』のタロットカードを突きつけた。
 パトリシアには叱られるかも知れないが、スミスを守るためには仕方が無い。
「‥‥悪いが君のカードは『マスターカード』ではない。封印したところで、『法王』の力が封印されるわけではないんだよ」
 残念そうに首を振り、翔が服についた埃を払う。
 これ以上、マコト達とは戦いたくないのか、翔はタロットカードの力を使っていない。
「あ、あの‥‥。翔さんの言っている事も分かりますが、沢山の人命を救うためには仕方の無い事ですよ〜」
 炎の中からカジノ客を連れてスミスが戻ってきたため、ベルが申し訳無さそうな表情を浮かべて翔に意見を言った。
 本当なら翔の意見を尊重したいが、その事によって人命を無視する事など、ベルには出来ない。
「要救助」
 『世界(正位置)』の力を使ってカジノ内の状況を把握し、ブローディアが大剣を使って壁を木っ端微塵に破壊した。
「私もみんなの意見に賛成だな。タロットカードの力を封印するのなら、みんなを助けてからでも遅くはないと思うよ」
 何処か悲しげな表情を浮かべながら、エリーが『愚者』の力を使って『魔術師』の力を解放しようとする。
「だ、駄目だっ! 『愚者』の力を使っちゃいけないっ! その力を使えばヤツに力を与える事になるっ! それに『魔術師』の力も既にヤツの支配下にあるんだっ! アイツがスミスの身体に『触れた』時にっ!」
 エリーの腕を素早く掴み、翔が大声を上げて警告した。
「何でそれを早く言わないんだよっ! それじゃ、彼はどうなるの!?」
 青ざめた表情を浮かべながら、リャンが呆れた様子で翔を叱る。
 それと同時にカジノが大爆発を起こし、炎の中からスミスが姿を現した。
「‥‥心ここにあらず、というわけですか」
 スミスが虚ろな表情を浮かべていたため、琢磨が残念そうに溜息をつく。
 ある程度は覚悟していた事だが、こうなった以上スミスを止めるしか方法がない。
「いっ、一体、何があったんだ!? カジノがいきなり爆発して‥‥」
 『皇帝』の力を解放して半径10m以内にドーム状の力場を構成し、薫が逃げ遅れたカジノ客を守る。
 何とか自分の近くにいたカジノ客を救う事は出来たが、大半の人達は先程の爆発で跡形も無くなってしまったようだ。
「う、嘘でしょ!? スミスさんがそんな‥‥」
 信じられない様子でスミスを見つめ、エリーが駆け寄ろうとした。
 しかし、スミスの身体は紅蓮の炎に包まれており、まったく近づく事が出来ない。
「‥‥諦めろ。あいつの持っているカードは『マスター』だ。僕達の持っている力とは違う。こちらも『マスター』の力を手に入れない限り‥‥」
 現時点でスミスの力を封印する事が出来ないため、翔がエリーの肩を掴んで首を振る。
「こんな事って、あるのかよっ! ふざけるなっ!」
 ‥‥そしてマコトの雄叫びが辺りに響くのであった。