恋人南北アメリカ
種類 |
シリーズEX
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担当 |
ゆうきつかさ
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
10.4万円
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参加人数 |
7人
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サポート |
0人
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期間 |
10/21〜10/25
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前回のリプレイを見る
●本文
<ドラマの内容>
タロットカードの力を封印(もしくは解放)するために世界を回るアメリカンドラマです。
基本的には何でもありの世界観になっていますが、現時点ではメイド役か執事役しか選べません。
●メイド派として参加する場合
<募集職種>
清純派のメイド役からドジッ娘メイド役まで幅広く募集しています。
<基本設定>
主人公はお坊ちゃまと、お嬢様。
彼らの家は大金持ちで隣同士の許婚。
ただし、屋敷の敷地が広いため、家の距離は離れている。
ふたりとも年頃になって、相手が気になっているようが、意地っ張りな性格とプライド、気恥ずかしさのせいで、いつもトゲトゲしい態度をとってしまい、それが原因で、いつも喧嘩になってしまう。
お坊ちゃまはタロットカードの力に危険なものを感じたため、選ばれた者達だけが使用できるように封印を施して行こうと思っています。
そのため、お嬢様と対立する事に‥‥。
<お坊ちゃまの設定>
名前:御剣・翔(みつるぎ・しょう)
容姿:東洋系の顔立ちをしており、喋らなければ美男子。
普段は眼鏡を掛けており、髪の色は銀色。神経質そうな雰囲気。
性格:現実主義でナルシスト。成績優秀で運動神経抜群。エリートタイプ。
口調:僕、君、だね、だろ?
年齢:17歳
●執事派として参加する場合
<募集職種>
正統派の執事役から邪道な執事役まで幅広く募集しています。
<基本設定>
主人公はお坊ちゃまと、お嬢様。
彼らの家は大金持ちで隣同士の許婚。
ただし、屋敷の敷地が広いため、家の距離は離れている。
ふたりとも年頃になって、相手が気になっているようが、意地っ張りな性格とプライド、気恥ずかしさのせいで、いつもトゲトゲしい態度をとってしまい、それが原因で、いつも喧嘩になってしまう。
お嬢様はタロットカードの力を素晴らしいと思い、その力を解放して行こうと思っています。
そのため、お坊ちゃまとは敵対する事に‥‥。
<お嬢様の設定>
名前:パトリシア・ローズ
容姿:西洋系の顔立ちをしており、金髪、碧眼、縦巻きロール。
見た目は育ちのいいお嬢様風。
性格:我侭で高飛車。好奇心旺盛で甘えん坊。
寂しがり屋で意地っ張り。自己中な性格で口が悪い。
口調:わたくし、あなた、ですわ、でしょう?
年齢:17歳
●決めて欲しいもの
自分の演じる執事がどんな設定なのかを教えてください。
アンドロイド型や魔物型でも構いません。
ただし、実在する歴史上の人物や有名キャラクターなどを使用しない事ようにお願いします。
著作権の関係上、色々と問題が出てくる場合があります。
執事達はタロットカードを使用する事で魔法を使う事が出来ます。
最初に配布されるカードは一枚。
キャラクターの性格によって、正位置か逆位置で使用する事が出来ます。
どちらかいいか希望を書いた上で、自分が所有するカードを教えてください。
<テンプレート>
役名:演じる役名を記入。
性格:演じる役の性格を記入。
特徴:演じる役の特徴を記入。
見せ場:自分の見せ場を記入。
所有カード:所有しているタロットを記入(表か裏のみ)。
特殊能力:カードを使用した時に発動する能力を記入。
(注意:内容によっては修正される場合があります)。
●今回のシーン説明
・シーン1 メイドパート
街中で翔が手当たり次第にナンパをしていたという報告が入ります。
その事に呆れるメイド達。
翔は誤解だといっているようですが‥‥。
・シーン2 執事パート
街中でパトリシアが男達をナンパしていたという報告が入ります。
その事に驚く執事達。
パトリシアは必死になって自分の無実を訴えますが‥‥。
・シーン3 恋人パート
街中で見かけた二人が実は『恋人』のタロットカードである事が判明します。
彼らは色々な姿に化ける事が出来、恋人達の中を引き裂いているようです。
どうやら、その裏には『愚者』が関わっているようですが‥‥。
・シーン4 対決
『恋人』を正位置に戻すため、何か条件が必要なようです。
上手く行けば恋人の力を手に入れる事が出来るようですが‥‥。
[愚者:ジョニー]
能力:相手の能力をコピーする力を持っています。
性格:自分勝手で自己中心、無鉄砲な風来坊。
口調:俺、お前、だ、だぜ
[魔術師:所有者:スミス(24歳)]
能力:地水火風の能力を自由に使う事が出来る。
性格:覚醒前なので不明。所有者の性格は真面目。
口調:(所有者)私、君、だろ、だ
[女帝:キャサリン]
能力:何者かの支配下に置かれている者達を呪縛から解き放つ。
性格:何事にも無関心で冷淡。
口調:私、あなた、です、ですね
[皇帝:ワイズマン(45歳)]
能力:不明
性格:横暴で自己中。
口調:ワタシ、アナタ、デス、デスネ
「法王:封印済」
[恋人:不明]
●リプレイ本文
●メイド・キャスト
ブローディア役:天音(fa0204)
プラナス役:霞 燐(fa0918)
ベル役:鐘下べる(fa1828)
エリー役:大宗院・慧莉(fa2668)
御剣・翔:御剣・翔(fz1029)
●メイド・パート
「た、た、大変ですよぉ〜。翔さんが難破‥‥じゃなかったナンパをしているですよ〜」
青ざめた表情を浮かべながら、ベルが屋敷の扉を開く。
買い物をしている途中で翔がナンパしているところを目撃してしまったためか、何も買わずに戻ってきたらしい。
「ば、馬鹿な!? 翔ならずっと屋敷にいたぞ? 他人の空似じゃないのか?」
納得のいかない様子で目を丸くさせ、プラナスがベルの肩をガシィッと掴む。
「ほ、ほ、本当ですよ〜。他の人ならまだしも、翔さんを見間違うわけ無いですよ〜」
今にも泣きそうな表情を浮かべ、ベルが困った様子で答えを返す。
しかし、何ひとつ証拠が無いため、プラナスとしても納得できない。
「別にお前を疑っている訳じゃない。‥‥実はな。屋敷全体のセキュリティーレベルを上昇させ、翔が勝手に出歩けないようしてあるんだ。当家に保管されているタロットカードに関する資料を総ざらいした上で、カードの制御方法や封印方法の糸口を探すため、翔に協力してもらっていたからな。ずっと一緒にいたのに、街で見かけるわけが無いだろ?」
申し訳無さそうな表情を浮かべ、プラナスが大きな溜息をつく。
彼女もベルに泣かれてしまっては困るため、彼女の見た人物が翔でない事を理解させたいようだ。
「‥‥一体、何の騒ぎだい?」
不思議そうに首を傾げ、翔がヒョッコリと顔を出す。
翔はプラナスと一緒に調べ物をしていたのだが、なかなか彼女が戻ってこないため、心配になって様子を見に来たらしい。
「あっ、この顔ですよ。‥‥間違いありません!」
『この顔見たら11O番』の如く勢いで、ベルが翔の顔をビシィッと指差した。
そのため、翔は訳も分からずキョトンとした表情を浮かべ、頭の中のハムスターをフル回転させて何とか状況を理解しようとする。
「えーっと、詳しい事を教えてくれるかな?」
メイド達の視線が集中したため、翔が気まずい様子で汗を流す。
色々と心当たりはあるのだが、それは翔にとっても暗黒面であるので、あまり口にはしたくない。
「偽」
翔が動揺していたため、ブローディアが手短に状況を説明する。
「‥‥なるほど。僕の偽者が現れたってわけか」
そのやり取りに唖然とするメイド達。
落ち着いているのは、翔とブローディアのふたりである。
「えーっと、そのやり取りでよく分かるね、翔」
苦笑いを浮かべながら、エリーがボソリと呟いた。
「ああ、付き合いが長いからね」
キッパリと答える翔。
その言葉に偽りは無い。
「ま、まぁ、いいんだけどね。あんまり真面目に考えると、頭が痛くなってきそうだから‥‥」
引きつった笑みを浮かべながら、エリーが疲れた様子で溜息をつく。
「以心伝心」
当然とばかりにブローディアが胸を張る。
どうやら、これ以上のツッコミは無意味のようだ。
「それで翔の偽物についてだが、詳しい事を教えてくれないか? たまたま目撃したのがベルだったから良かったものの、ローズ家の連中に見つかったら、あらぬ疑いをかけられるからな」
最悪の事態が脳裏を過ぎり、プラナスが詳しい話をベルから聞く。
「えーっと、翔さんが手当たり次第に女の子を口説いて‥‥、あれ? いつもと変わりませんね? 本人でしょうか〜?」
不思議そうに首を傾げながら、ベルがハテナマークを点滅させる。
よくよく考えてみると、あれは本物の翔だったのかも知れない。
「判決、死刑」
裁判官のような雰囲気を漂わせ、ブローディアが翔の首元に剣を突きつける。
「だから翔は無実だって! 翔に生き別れの双子がいるのならまだしも、そんな記録も残っていないからな。‥‥となると可能性はふたつ。翔の偽物か、‥‥ドッペルゲンガーのどちらかだ」
ドッペルゲンガーと言った途端、プラナスがハッとした表情を浮かべて翔を睨む。
仮に後者だとすれば、翔の死が近づいている事になる。
「そう言えば、何だか頭が痛いし、意識が朦朧と‥‥って、これは単なる寝不足だろ? こんな事で死んだらシャレにならないぞ!」
青ざめた表情を浮かべながら、翔がテーブルをドンと叩く。
次第に不安な気持ちが膨らんでいったため、翔が魂の抜けた表情を浮かべている。
「と、とにかく現場まで案内するですよー」
そう言ってベルが慌てた様子で翔達を現場まで案内するのであった‥‥。
●執事・キャスト
マコト役:皇・皇(fa0043)
リャン役:羅蓮華(fa1695)
村井 琢磨役:辰巳 空(fa3090)
パトリシア・ローズ役:パトリシア・ローズ(fz1030)
●執事パート
「ひ、人違いですわ。わたくしと翔の馬鹿が一緒にデートしていたなんて! そんな事は絶対にありえません。例え世界が滅亡したとしても、翔の馬鹿とデートなんてしませんもの! きっと、この写真も何者かが悪意を持って作り出したニセモノですわ!」
不機嫌な表情を浮かべながら、パトリシアが写真を叩きつける。
‥‥事件の発端は琢磨が撮った一枚の写真だった。
散歩の途中でパトリシアと翔が仲良くデートをしていたため、不思議に思って撮った携帯電話のカメラで撮影したのが始まりだ。
写真を撮った本人もパトリシアの言葉にはどう突っ込んでいいのか分からず、気まずい様子で咳き込んだ。
「だから落ち着けって! それじゃ、まるで琢磨が悪者じゃねえか! 琢磨だって気になったから、写真を撮ってきたんだろ! もう少し落ち着いて話を聞けよ!」
呆れた様子で溜息をつきながら、マコトがパトリシアにツッコミを入れる。
マコトはパトリシアの扱いに慣れてきたため、彼女がキレても対応する事が出来るようになってきた。
「だからと言って、この写真は酷過ぎますわ! まるで、わたくしが翔の馬鹿を‥‥好きみたいじゃありませんか! いくら温厚なわたくしでも、ブチ切れましてよ」
大きく頬を膨らませ、パトリシアが顔を真っ赤にする。
よほどショックを受けたのか、不満そうに愚痴をこぼしながら‥‥。
「まずは『温厚』って言葉がどういう意味なのか、教えてあげる事から始めた方がいいんじゃないのかな? このままじゃ、いつになっても話が進まないよ」
パトリシアがひとりで熱くなっているため、リャンがリラックス効果のある紅茶を淹れる。
「わたくしだって温厚の意味くらい分かりますわ。温厚で清楚で可憐な、わたくしを象徴する言葉ですわ」
恍惚とした表情を浮かべ、パトリシアが自分の世界に酔いしれた。
既に写真の事など忘れているのか、鏡を見つめてウットリとした表情を浮かべている。
「‥‥ごめん。まずは病院に連れて行く方が先みたい。どうせなら鉄格子がついていた方がいいかな?」
パトリシアがどんどんアッチの世界に旅立っていったため、リャンが彼女をキッパリと切り捨てた。
「‥‥って、待てぃ! 気持ちは分かるが、落ち着けって。‥‥まったく。俺がいなきゃ、ローズ家崩壊の危機だぞ、本当に‥‥。それよりもマズイんじゃないのか? これがお嬢様じゃなければ、コイツらはニセモノって事だろ? だったら早めにとっ捕まえないと、取り返しのつかない事になるぞ!」
猛犬注意のシールをパトリシアのおでこに貼り、マコトが指をパチンと鳴らしてモニターにニセモノの目撃地点を映し出す。
ふたりが目撃されたのは、御剣家とローズ家の間。
メイド達が目撃している可能性も高い。
「どちらにしても早めに捕まえておく必要がありそうですね。‥‥妙な噂が流れる前に‥‥」
そう言って琢磨がパトリシア達を連れて現場にむかうのだった。
●恋人パート
「確か、この辺りのはずですが‥‥あっ!」
自分の記憶を頼りにふたりを目撃した地点に向かい、琢磨が気まずい様子で視線を逸らす。
なんとパトリシア達のニセモノは人目もはばからず、濃厚なキスをしている最中だった。
「うわっ‥‥、本物のふたりじゃ有り得ないシチュエーションだな。あんな事までしちゃっていいのか!? ‥‥だ、駄目だ。何だか頭が痛くなってきた‥‥」
青ざめた表情を浮かべながら、マコトが頭を抱えて溜息をつく。
本物のパトリシアでは絶対に有り得ないくらい清楚で可憐な雰囲気が漂っているため、色々な意味で羨ましくなってきたらしい。
「何ていうか、毒の無いお嬢様って感じだよね。いっその事、本物と交換しちゃおうか? その方がボク達の仕事も減りそうだし‥‥」
本物とニセモノを交互に見つめ、リャンが冗談まじりに微笑んだ。
「いい加減にしなさい! そんな事をしている暇があったら、早くふたりを引き離しなさい! しくじったらタダじゃ済みませんわよ!」
恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら、パトリシアがリャン達をドツいていく。
「‥‥本当にお嬢様は人使いが荒いなぁ。そんな事くらい分かっているよ。ボクだっていまやろうと‥‥あれ?」
不思議そうに首を傾げ、リャンが自分のタロットカードを睨む。
‥‥恋人がいない。
いつの間にかブランクカードになっていた。
「ま、まさか‥‥。あれがボクのタロットカード!? それじゃ、力を使えないって事だよね? 早めに回収しないと大変な事に‥‥って、どうやればいいんだろ??」
タロットカードの力が使えなくなったため、リャンがふたりを捕まえようとする。
それと同時にふたりの姿がパッと消え、リャンが勢いあまってズッコケた。
「アイタタタタタ‥‥。なんでボクがこんな目に‥‥」
自分の身に降りかかった不幸を呪いながら、リャンがションボリした様子で溜息をつく。
こんな事は一度も無かったため、未だに現実を受け入れる事が出来ないようだ。
「とにかく落ち着きましょう。何か手があるはずです。‥‥おや?」
リャンを励ましている途中で翔達の存在に気づき、琢磨が険しい表情を浮かべて彼らを睨む。
「‥‥君達も失敗したか。途中で姿を消されたら、手も足も出ないよね」
爽やかな笑みを浮かべながら、翔が真っ白な歯をキラリと輝かせる。
何処か物陰に隠れて様子を窺っていたのか、パトリシア達が失敗してとても嬉しそうな雰囲気だ。
「覗き見なんて卑怯ですわ! ‥‥まったく骨の髄まで卑怯者ですわね」
不機嫌な表情を浮かべながら、バトリシアが翔を睨む。
翔も勝ち誇った様子で胸を張り、眼鏡をキラリと輝かせる。
しかし、先程まで同じ姿をしているニセモノ同士が愛し合っていたためか、辺りから笑い声が聞こえてきた。
「ふたりとも落ち着いてくださいですよ〜。こんな場所でケンカをしても、何の解決にもならないですよ〜。これは、きっと『愚者』の仕組んだ罠に違いありません! そうじゃなきゃ、わざわざ翔さん達と同じ姿をしているわけがありませんよぉ〜」
大粒の涙を浮かべながら、ベルがふたりを説得しようとする。
そのため、ふたりはお互いの顔を見合わせ、フンと鼻を鳴らしてそっぽをむく。
「多分、パトリシア様と御剣様の間には、タロットを通して宿命的な繋がりがあるため、それに『恋人』が反応しているのに過ぎないんだと思います。すなわち、自分達がどう付き合っていくのか、ここではっきりと決断する必要があるというわけです。御二人とも本当は気づいているはずです。これから来るであろう試練の時、そして最後の審判の時に備えて力を蓄えるべきなのだと‥‥」
ふたりの肩をぽふりと叩き、琢磨がボソリと呟いた。
彼らの答えは決まっている。
例えどんな理由であろうとも、必ず答えは『否』なのだから‥‥。
それが分かっていて、琢磨はあえて口にした。
いずれ彼らの考えが分かると信じつつ‥‥。
それは『運命の輪』のタロットカードが告げた未来のビジョン。
「どちらにしても『恋人』のタロットカードを封印する必要がありそうだな。‥‥とは言え、問題のカードが何処に行ったのか分からないが‥‥」
居なくなった『恋人』の消息を掴むため、プラナスが携帯電話を使って他のメイド達と連絡を取る。
しかし、相手は翔とパトリシアのカップルだと口にした途端、妙な勘違いをしてパニックに陥る事が多いため、無駄な時間ばかりが過ぎていく。
「カードを封印するって事はリャンの出番だな。後で文句を言われても困るから言っておくが、取り込んだ後はしばらく寝言に悩まされるぞ。どうやら『法王』の正位置は説教好きのオッサンらしい。そのせいか俺が眠りかけた時にペチャクチャと話しかけてくる。しかも説教を聞かずに眠ったりしたら大騒ぎ。しばらく力が使えなくなったからな。‥‥まったく。困ったもんさ」
冗談まじりに呟きながら、マコトがリャンを見つめてクスリと笑う。
どこまで本当の事を言っているのか分からないが、マスターカードを使いこなすのは困難らしい。
「そ、それじゃ、ボクの場合は夜な夜なカップルにいちゃついている声を聞かなきゃいけないの!? そんなのお断りだよ! どうせならプラトニックな恋愛をして欲しいなぁ‥‥」
一瞬、脳裏に危険な映像が過ぎったため、リャンがブンブンと首を横に振る。
マコトの言葉が半分冗談である事は分かっているのだが、もう半分は真実である可能性が高いためホッとしてはいられない。
「大変! 大変! 街中でカップルが大喧嘩をしているよ! しかも、みんな喧嘩をするキッカケになったのが、恋人が浮気をしている現場を見たからなんだって! 何だか妙だと思わない?」
同僚のメイドから連絡を受け、エリーが慌てた様子で口を開く。
その言葉を聞き、翼を広げるブローディア。
迷わず騒ぎのあった現場にむかう。
●対決パート
「それ以上、悪い事をするなら、容赦はしないよ!」
『恋人』達が暴れている場所に辿り着き、エリーが『力』のタロットカードを解放した。
既に上空にはブローディアが待機しており、『恋人』達が逃げないように監視を続けている。
「君達が僕らの愛を邪魔する奴は‥‥。『愚者』から話は聞いているよ。僕達を封印しようとしているんだろ?」
含みのある笑みを浮かべ、翔と同じ姿をしたモノがエリーを睨む。
‥‥本物とは違う気配。
同じような表情を浮かべても、ニセモノの場合は違和感がある。
「こんな事をして許されると思っているのですか! 『愚者』から何を聞かされているのか分かりませんが、ここで封印させていただきます」
『恋人』達の逃げ道を塞ぎ、琢磨が大声で叫ぶ。
「‥‥仕方がありませんわね。相手になって差し上げますわ」
日本人形のような表情を浮かべ、パトリシアがニヤリと笑う。
それと同時にふたりの姿が変化し、バラバラになって逃げ出した。
「あれれ? 戦わないんですか〜?」
『恋人』達が予想外の行動をしたため、ベルが大袈裟にズッコケる。
しかし、このまま『恋人』達を逃がすわけには行かないため、すぐさま『太陽』のタロットカードを正位置で解放し、サンライズビートを発動させた。
「クッ‥‥、しまった!」
あまりの眩しさに動きを止め、翔のニセモノが舌打ちする。
それと同時にプラナスが攻撃を仕掛け、パトリシアのニセモノに当て身を放つ。
「こ、こら! いくらニセモノとは言え、わたくしと同じ姿をして相手にパンチとはなんですの!」
自分のニセモノが集中的に攻撃されていたため、パトリシアが顔を真っ赤にしながら文句を言う。
例えニセモノといえども自分と同じ姿をしているため、だんだん気分が悪くなってきたようだ。
「我慢してくれ、お嬢様。コイツらを封印しなきゃ、今まで以上に面倒事を抱え込まなきゃいけなくなる! なんとしてでも封印しなきゃいけないんだ!」
険しい表情を浮かべながら、マコトがニセモノ達の行く手を阻む。
それと同時にブローディアが急降下してニセモノ達に攻撃を仕掛け、ベルが再びサンライズビートを放って敵の目を眩ませた。
「は、早く! 封印を!」
ニセモノ達の動きを封じ込め、琢磨がリャンにむかって声を掛ける。
「ふ、封印って言われても‥‥。えーっと、『恋人』達が望む事をすればいいんだっけ?」
パトリシアと翔の顔を見つめた後、リャンがブランクカードを取り出した。
それだけでふたりは全てを察し、『断る!』と答えてそっぽをむく。
「こんな時に『断る』ってなんだよ。‥‥たく。それじゃ、時間稼ぎをするから、説得よろしく!」
呆れた様子で溜息をつきながら、マコトが『法王』の力を解放する。
次の瞬間、マコトの身体に激痛が走り、危うく気絶しそうになった。
「ど、どうやら『法王』はご機嫌斜めのようだな。まだ完全に契約完了ってわけじゃないのか」
青ざめた表情を浮かべながら、マコトがガックリと膝をつく。
そのため、ふたりは気まずい様子で顔を見合わせ、『今回だけ』という約束でぎこちなくキスをした。
「こ、これで封印する事が出来るはず! 行くよっ!」
『恋人』達に向かってブランクカードを突き出し、リャンが契約の言葉を呟いていく。
それと同時に『恋人』達の身体が光の粒となってブランクカードに吸い込まれ、リャンがホッとした様子でその場にペタンと座る。
「あ、危なかった。これで『恋人』のカードも封印する事が出来たね。完全に支配下に置いたとは言い難いけど‥‥」
そう言ってリャンが『恋人』のタロットカードを懐にしまうのだった。
その後、『恋人』のタロットカードは時々リャンのカードから抜け出し、彼女を悩ませていたとか、いないとか‥‥。