盗賊仲間 〜ツィーネ〜

■シリーズシナリオ


担当:天田洋介

対応レベル:6〜10lv

難易度:普通

成功報酬:4 G 46 C

参加人数:5人

サポート参加人数:-人

冒険期間:03月24日〜03月31日

リプレイ公開日:2008年03月31日

●オープニング

「そうか。ありがとう」
 ここ数日、ツィーネはパリの街を歩き回り、ある人物について聞き回っていた。
 その名は『ロジャー・グリム』。
 この前、彼の遺留品である小箱をツィーネは冒険者仲間と元に探し当てた。
 依頼であった為、発見した小箱は依頼人である紳士的な中年男性に渡してしまった。
 依頼人は再び依頼を出すと語るだけでギルドから姿を消してしまい、詳しい事は聞けず仕舞いであった。
 ロジャー・グリムという名前以外にツィーネが知っているのは依頼人の手だ。まるで貴族のような身なりをしていた依頼人であったが、手は持ち主を物語る。
 依頼人は貴族ではあり得ないようなゴツゴツとした手をしていた。しかもただの労働者の手ではない。特定の部分にだけタコが出来て固く、その他の部分はとても柔らかかった。こういう手は、まず職人のものだ。
 問題は何の職人であるかなのだが、ツィーネに思い当たる節があった。同じような手を知っていたのだ。
 その人物とは『鍵開け』の職人。鍵開けの職人といえば聞こえはよいが、ようは盗賊である。
 ちなみに鍵開けの職人はとうに死んで今はいない。なのでツィーネは相談する事は出来なかった。
(「盗賊だとして、なぜわざわざ依頼を出して小箱を探させたんだ? あの手から想像するにかなりの熟練者。苦労こそするかも知れないが、自分でこなせる技量もあるはず」)
 ツィーネは自宅に戻って考える。周囲ではテオカが遊んでいた。
 結局のところ、ロジャー・グリムについても何もわからない。ツィーネは仕方なく、次の依頼が出るのを待つ事にした。

 何日か経ち、冒険者ギルドに一枚の依頼書が貼られる。
 またもやロジャー・グリムが住処であった場所に向かい、捜し物を取ってくる依頼であった。
 見かけたツィーネはカウンターで受付嬢に訊ねる。この依頼人はどういう人物なのかを。
 受付嬢は詳しい事は知らないが、ツィーネ宛てに預かったと一枚の羊皮紙を手渡した。
(「ロジャー・グリムはかつて盗賊仲間だった者です。ゴースト系アンデットにお詳しいツィーネさんには是非今回も参加して頂きたいと考えておりますので――」)
 ツィーネは黙読し終わると、ため息をついた。盗賊であるのを隠す為に、こんな回りくどい事をしているのかと想像する。
「何をもったいぶっているのか‥‥。まあ、いい。手続きをしたい」
 ツィーネは二度目のロジャー・グリムの遺留品探しの依頼に参加するのだった。

●今回の参加者

 eb0339 ヤード・ロック(25歳・♂・ウィザード・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 eb1875 エイジ・シドリ(28歳・♂・レンジャー・人間・神聖ローマ帝国)
 eb7341 クリス・クロス(29歳・♂・神聖騎士・ハーフエルフ・イギリス王国)
 ec1713 リスティア・バルテス(31歳・♀・クレリック・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 ec1850 リンカ・ティニーブルー(32歳・♀・レンジャー・ハーフエルフ・イギリス王国)

●リプレイ本文

●疑惑
 馬車に揺られながら、ツィーネは摘んだ硬貨をまじまじと見つめた。
 出発前にギルド員から渡された依頼人からの調査資金だ。気前のよい依頼人にツィーネは逆に不審感が募る。
「ねえ? ツィーネはどう思う? あの依頼人の人‥」
 リスティア・バルテス(ec1713)も、もらった硬貨を眺めていた。
「ギルドには内緒にしているが、あの中年紳士は盗賊だ。まあ、依頼そのものは合法の内容のようだし、幽霊に関わる依頼なので引き受けたのだが。注意してあたらないといけないと感じているよ。ティア」
 ツィーネは右隣りに座るリスティアに頷く。
「ところで珍しいわね。ずっとヤードが寝転がっていないなんて」
 リスティアが前屈みになり、ツィーネの左隣りに座るヤード・ロック(eb0339)を見上げた。
「そんな事はないぞ、と」
「でも、座るときはいつもツィーネの隣りよね」
「きっと偶然なんだぞ、と」
「ふ〜ん」
 ヤードを半目でじっとリスティアは眺める。
「俺が作業をしているから、ヤード・ロックは場所をあけてくれたのだろう」
 馬車内の後ろでエイジ・シドリ(eb1875)は道具を組み合わせていた。
「エイジは優しいんだな。ところで、ツィーネ、やはり必要だと考えて今回は鍵開けの道具を用意してきた。これで小箱も開けられるはずだ」
 リンカ・ティニーブルー(ec1850)は鍵開けの道具を取りだす。
「助かる。あの依頼人はどうも本当の事をいっていない気がしてならない。こちらから調べるしか手はなさそうだ」
 ツィーネはリンカに道具を見せてもらう。
「日が暮れます。そろそろ停まりましょうか」
 御者台のクリス・クロス(eb7341)が振り返り、馬車内の仲間に話しかける。
 空から周囲を警戒してくれていたペガサスのホクトベガも地上に降りて馬車に併走し始めた。
 森の近くに停まり、野営の準備を始める一行であった。

●到着
 二日目の夕方、一行の馬車は村に到着した。
 冒険者達は調査資金の中から出し合って宿をとる。ロジャー・グリムが住んでいたという家には明日訪ねる事となる。
「それじゃあ俺は酒場にいって聞き込みをしてくるぞ、と」
 ヤードはてきぱきとした動きで準備を整えるとドアの前に立つ。
「怪しい感じの酒場なら女性陣に入らせるわけにはいかないしな、と」
 仲間が止める隙を与えずにヤードは出てゆく。
 深夜に戻ってきたヤードによれば、ロジャーが住んでいた家の女性の酒場は見つからなかったという。
 ただ、村には幽霊の噂が流れていた。漂う青白い炎を見かけた村人はたくさんいるが、毎日目撃されている訳ではないらしい。
 冒険者達は男女で二部屋に分かれ、明日に備えて眠りにつくのだった。

●家
 三日目の昼、冒険者達はかつてロジャーが住んでいた家に向かう。
「ここか。大分傷んでいるな」
 エイジは庭からざっと家を見渡す。木造の一軒家は大きいが、建てられたのは古い印象がある。そもそもロジャーが住んでいた時期については情報がなかった。
「無理に女性の部屋に入るのは俺の主義に反するしな、と。力仕事必要なら呼んでくれよ、と」
 ヤードは玄関に向かうツィーネに声をかけた。
 男性陣であるエイジ、ヤード、クリスは離れた場所で待ち、女性陣のリンカ、リスティア、ツィーネがまずは交渉の為に玄関のドアを叩いた。
「どこのどなた?」
「パリから来た冒険者で、クレリックのリスティアと申します。こちらの家に住んでいたロジャー・グリムという方について訊きたい事があります。それと幽霊の噂も聞きました――」
 リスティアがなるべく丁寧な言葉でドアの向こう側から聞こえる女性と交渉する。しばらくしてドアが開く。
 男性陣も許可をもらい、一緒に部屋へ通される。女性の一人暮らしには不釣り合いな大きなテーブルがあり、全員が席についた。
「全然知らないのよね。そのロジャーなんとかって。わたしがこの家に住み始めたのは三年前だし、その前は老夫婦が住んでいたと聞くわ」
 話す女性はかなりの薄着である。男性陣が目のやり場に困る。
 ヤードは最初大喜びであったが、ツィーネが側にいるのを思いだし、一人で葛藤していた。
「あ、あ、あの、これ似た小箱はありませんでしたか? 引っ越しの時、掃除の時にとか、ロジャーの持ち物らしく、探しているのです」
 クリスは女性から目をそらしながら、前に探し当てた小箱を描いた絵を見せる。ツィーネが持っていたものだ。
「見たことないわ。この家はわたし一人じゃ広すぎて、全部を使ってないの。どこかにあるのかもね。もっとも、それどころじゃないのだけど‥‥」
 女性がしばらく考え込んだ。リスティアとツィーネは互いに顔を見合わせてから、視線を女性に向ける。
「さっきもそちらのクレリックさんがいっていたけど、幽霊に悩まされているの。幽霊退治をしてくれないかな? そうすれば小箱を探して持っていっても結構よ」
 女性が幽霊について切りだす。依頼書にはほんの少しだけ触れられていた事だ。
 女性が働いているのは夜の酒場であった。男性客と女性が喋っている時には幽霊は現れず、閉店間際に現れるという。
 幽霊はクドクドと女性に恨み節の会話をするのだが、内容がだんだんと脅迫じみてきたらしい。
「幽霊はお店に来ていた客だといっているんだけど覚えてないのよ。わたしにフラれて自殺したっていってたけど‥‥。いくらわたしがバカだからって、常連さんは覚えているわ。狭い村だしね。きっと外から一、二度来店した客だと思うのだけど」
 女性の話を聞きながら、リンカは首を傾げる。すれた生き方をしている百戦錬磨の見本のような女性だ。本当かどうか、とても怪しい。
 他に交渉する余地はなく、冒険者達は幽霊退治を引き受けた。
 今晩は女性も酒場に出るようなので、それを含めて冒険者達は作戦を立てる。
 夕方頃、女性は酒場に向かい、冒険者達も配置につくのだった。

●幽霊
「大丈夫かな‥‥。ツィーネ」
「そうだな。かといってあたいは男に触られるなど論外だし、ティアも聖職者である以上、やるべきではないしな‥‥」
 暗闇の中、リスティアとリンカは酒場の裏口近くでテントを張って待機していた。他の仲間は酒場内で女性と一緒にいる。
「ツィーネ、俺が守るから安心してくれていいぞ、と」
 酒場のテーブルで、ヤードはツィーネの手に触れる。女性に借りた肌の露出が多いドレス姿のツィーネだ。幽霊は閉店頃に現れるらしいが、あらゆる可能性を考えなくてはならないとツィーネからの発案であった。
「痛たっっ!」
 笑顔のツィーネに手の甲をつねられて、ヤードは手を引っ込める。
「幽霊について、少し他の客に聞いてみる。それでは‥‥んっ!」
「ダメよ、野暮なことしたら。無粋でしょ? 楽しみに来ているのに自殺した男の話だなんて」
 他のテーブルに向かおうとしたエイジは女性に腕を引っ張られて椅子に戻される。
「こちらもお酒、すすんでいないわね。どうぞ」
 クリスは女性にカップを持たされて酒を注がれた。
「いや自分は‥‥」
「あら、わたしが注いだお酒はイヤ?」
 クリスは仕方なく酒を口にする。
(「神聖騎士であるわたしが、このような‥‥。いやしかし聖書にも――」)
 クリスが酒を飲み干しながら考える。
「そ、そうです。その幽霊が今まで話した事を詳しく教えて下さい」
「え〜。お酒、まずくなるわよ」
 幽霊退治を頼んだのは自分自身の事なのに結構アバウトな女性だとクリスは感想を持った。
 夜は更けてゆき、客がひけて閉店時間となる。
 ヤード、エイジ、クリスは一旦外に出て、リンカ、リスティアと合流し、裏口から入った酒場の控え室で待機する。酒場の経営者からはすでに許可を得てある。
「イイイッショニ〜シノノノウ‥‥」
 青白い炎が突然酒場に現れる。酒場の従業員達が退避する中、女性とツィーネのみがフロアに残った。
 他の冒険者達はいつでも入れるようにドアをわずかに開けて様子を窺う。
「いくらこの店で一番の売れっ子だからといって、これ以上邪魔をされたらわたしが追いだされてしまうわ。邪魔をしないで。わたしは生きていかなければならないんだから」
 女性は青白い炎のレイスに最後の言葉を投げかける。
「シノノノウゥゥゥ〜〜」
 レイスに襲われようとした女性をツィーネが被さるように移動させる。そしてテーブルの下に隠してあった魔剣をツィーネは手に取る。
「こっちだ!」
 エイジの声がフロアまで届く。
 ヤードによってドアが開けられ、控え室の窓がフロアからよく見えるようになる。
 エイジは建物の外に出るとクリスから借りた降霊の鈴を鳴らした。
 女性を狙おうとしていたレイスは一瞬迷いながらも、エイジに向かって宙を漂う。
「退け!」
 クリスがムロニの長針と小盾を持ち、エイジの前に立って壁となる。道返の石は発動済みだ。レイスは大きく跳ね飛ばされた。
「しつこい男は嫌われるんだぞ、と。女性の敵は消えろ!」
 ヤードがムーンアローを放つ。
「それほどの固執をなぜ‥‥」
 リンカは魔弓で狙う。
 矢が突き刺さったレイスは悲鳴をあげた。
「どうであれ、ここにあなたの居場所はないの‥‥。どうか心安らかに」
 リスティアは弱ったレイスにピュアリファイをかけて浄化した。
 その様子を建物から出てきたツィーネと女性も目撃する。
 女性が涙を一粒零す。その姿をエイジは見かけたが、理由を訊ねなかった。知られたくはない秘密ならば無理に引きださなくてもいいからだ。ただの感傷なのかも知れない。
 ツィーネは消えてゆくレイスに祈る。仲間の何人かも祈るのであった。

●小箱
 五日目、冒険者達は女性の家で小箱探しを始める。
「ゴホッ‥‥、ありました」
 四時間程が経過し、ランタンを手にしていたクリスが小箱を発見する。
 窓の戸が打ちつけられ、真っ暗な部屋の中の積み重なった壊れた家具の中にあった。
「こんな綺麗で高そうな小箱が隠されていたの! ‥‥ちょっと惜しいけど、約束だもの。貴方達にあげるわ」
 一度手に取った小箱を女性は冒険者に返す。
 エイジを残して他の者は宿へと戻る。エイジは傷んだ屋根の修理をするそうだ。
 リンカはさっそく鍵開けの作業を開始する。道具を用い、苦労をしたが、日が暮れる前には蓋を開けるのに成功した。
 中にはとても高価そうな、金と宝玉が贅沢に使われた腕輪が入っていた。そして何かしらの図形が描かれた羊皮紙もある。
「地図を分割したものだな。これは」
 宿に戻っていたエイジが羊皮紙をしばらく眺めた後で呟く。
「すごいわね‥‥。これって盗賊が盗んだものなのかしら」
 リスティアはブルースカーフで直接触らないように腕輪を手にする。
「怪しさ一杯だ、と。やれやれ、と」
 ヤードはリヴィールポテンシャルで品物を鑑定してみる。小箱や腕輪は偽物ではなく、ちゃんと本物の金や宝玉が使われていた。
「隠した者の意図はどこにあるのか‥‥。ロジャーも鍵開け職人であったのか‥‥。依頼人はこの前と同じように品物を取りに来るはずだ。慎重に対応したほうがいいかもしれないな」
 リンカは腕を組んで考え込む。
「依頼人が欲しかったのは腕輪、それともこの地図の一部、それとも両方‥‥」
 ツィーネも品物を前にして考え込んだ。

●小箱の中身
 六日目の朝、一行は村を後にして七日目の夕方にパリへと戻る。
 冒険者ギルドでは依頼人の中年紳士が待っていた。
「この前は聞きそびれたが、名前を聞かせてもらえないか?」
「これは失礼。ウエスト・オリアイリと申します。以後お見知り置きを」
 ツィーネの問いに帽子をとりながら中年紳士は名乗る。
「これが依頼の品です」
 クリスに小箱を渡されたウエストは眉を動かす。
「‥‥開けられたのですね。そんな事をせずとも、いって頂ければお見せしたものを」
 小箱の蓋は閉められていたがウエストはほんのわずかな鍵穴の傷に気づく。
 この前は中身を知られるのを嫌がったのにとリンカは心の中で呟いた。
 ウエストは持っていた鍵で箱を開けて中身を確かめる。
「思った通りの品が入っています。調査資金の余りは差し上げます。皆様、ごくろうさまでした」
「もう少し聞きたいことがある」
 帽子を被り、帰ろうとしたウエストをツィーネが呼び止めた。
「‥‥話しをするのなら、他の人に聞かれない場所がよいのですが」
「わかった」
 ツィーネはギルドの個室を借りる。ウエストを連れて仲間と一緒に入る。
「ロジャー・グリムは、かつての盗賊仲間だと伝言にはあったが本当なのか?」
「その通りです」
「なら、わたし達が探してきた二つの小箱はロジャーとどういう繋がりがあるのだ?」
「ロジャーは得た物を独り占めして姿を消したのです。その足取りを追う唯一の手がかりが、ロジャーがいろいろな場所に隠した小箱なのです。本来は恋人の為に小箱を残したようです。ですが、恋人はすでにお亡くなりになっています」
「得た物とは盗んだものなのか?」
「そうです。ですが、勘違いなさらぬように。私達は義賊でした。悪行で集めた財宝や金を、民衆に分配しております」
「‥‥地図の一部がすべて集まったとして、示された場所には何があるのだ?」
「財宝の隠し場所‥‥と考えています。もしかするとロジャーの隠れ家かも知れませんが」
「二つの小箱に入っていた地図の一部以外にもすでに手に入れたものはあるはずだ」
「察しの通り、これでほとんどの場所が揃いました。また依頼を出すつもりですが、出来れば参加して頂きたい。何やら幽霊の噂がある地域らしいので。詳しくは次の機会に」
 ウエストは挨拶をしてが立ち去る。個室には冒険者のみとなった。
「ウエストがいってた事、本当かな? そうは思えないけど」
「ティア、わたしもそう思える。時として冒険者も情報を得るために、勝手に他人の家へ侵入したりするかも知れない。だが程度がある。それに『自らを義賊だ』などという輩は、やはり信じられない」
 ツィーネはウエストが出ていったドアを見つめたままリスティアに答えた。
「なんなのでしょう。あのウエストという人物の禍々しさは」
 クリスは厳しい表情を浮かべた。
「鍵開けの後継者選定の試験‥‥ではなさそうだ。別の企みがあると、考えて置くべきか」
 リンカはウエストの言葉を頭の中で反すうする。
「どうであれ、やれる事をやるだけだな。ツィーネ・ロメール、次の依頼にも参加するのか?」
「そうするつもりだ、エイジ。依頼人とはいえ、妙な事を企んでいるとすれば見過ごす訳にはいかない」
 エイジにツィーネは目と目を合わす。
「今回は行きも帰りもツィーネと一緒だったな、と。つまり、俺はいつでもツィーネと一緒だぞ、と」
「あ、ありがとう。ヤード」
 ヤードはツィーネの右手を両手で握りしめた。
「痛っ!」
 誰かがヤードの頭を後ろから小突いたが、犯人はわからない。
 しばらくウエストの事を話してから、冒険者達は解散するのであった。