領民の信頼 〜ノワール〜

■シリーズシナリオ


担当:天田洋介

対応レベル:11〜lv

難易度:普通

成功報酬:9 G 32 C

参加人数:10人

サポート参加人数:3人

冒険期間:01月29日〜02月07日

リプレイ公開日:2008年02月06日

●オープニング

「ルーアンが危ないって聞いたぞ。お前知っているか? 俺には信じられないけどよ」
「何でもブラーヴ騎士団の生き残りがいて、自分達の過去の罪はラルフに嵌められたものだって話だよな。その恨みを晴らす為に決起し、ヴェルナー領の中心地であるルーアンを狙うってやつだろ」
 酒場では様々な噂が流れる。そして噂というのは大抵悪いものが伝えられる。
 多くの噂の中に遠くパリ北西のセーヌ川沿いにあるルーアンの危機を伝える内容があった。冒険者達がブラーヴ騎士団と隊長デュール・クラミルの調査を終えた後に流されたものだ。
 何者が流したのか、当の本人しか知り得ない事だが、そこに意図があるのは間違いない。
 ブランシュ騎士団黒分隊員の一人が噂を聞いて、念の為にラルフ黒分隊長へ報告をした。ラルフは黒分隊長であるのと同時にヴェルナー領の領主でもある。
 ラルフ黒分隊長は緊急性こそ感じなかったが内容に留意する。ブラーヴ騎士団とデュールを調べだした途端にこの状況だ。
 ラルフがブラーヴ騎士団を嵌めた過去はない。
 陰謀説はどんなに正当性のある事実に対しても必ずといっていいほど囁かれるものだ。本気にするパリの民、そしてルーアンの民は極々わずかであろう。まつりごとにおいていちいち気にしていたら身体がもたない。その事をラルフは承知していた。


「エフォール副長、天使を騙るイペスがまた目撃されたようだな?」
 ある日、ラルフ黒分隊長は王宮内にある執務室でエフォール副長と話し合っていた。
「はい。前に冒険者が天使の正体をイペスだと看破してくれた一件が周辺の村や集落に伝わっていて、騙されなかったようです。その代わり‥‥」
「その代わりとは?」
「イペスは村人に怒り、グレムリンを呼び寄せて大暴れをしたようなのです。その窮地を救ったのが三人の騎士。ブラーヴ騎士団だと名乗ったようです。その中の一人がデュールとの話もあります」
「つまり仲間同士で芝居をうったという事か? わざとイペスなどのデビルが敵となり、ブラーヴ騎士団の三人が村人を救うように」
「わたしも分隊長と同じく考えています。欲望に従って生きろなどというより、余程民の心に響くはずですから。そして流れている噂通りに信頼させて決起の民を集めようとしているのかも知れません」
 エフォール副長の言葉に、ラルフ黒分隊長は考え込む。
 冒険者の報告により、黒教義と白教義の両方から山岳部周辺に伝道師が派遣されていた。
 黒教義については前回の冒険者から、白教義についてはラルフからの進言によるものであった。派遣そのものはとても大切な事なのだが、それだけで済むものではなさそうである。
 いざとなれば自分達が身を寄せている集落で皆殺しをする敵だ。このまま放置する訳にもいかないが、ラルフ黒分隊長は他の任務で動けない状況にあった。
「冒険者ギルドに依頼を。イペスとブラーヴ騎士団を倒せるのならそれが一番よいが、少なくとも奴らの芝居を暴いて、民が騙されないようにしてくれるようにと」
 ラルフ黒分隊長の命を受けてエフォール副長は直ちに冒険者ギルドへ依頼をしに出かけるのだった。

●今回の参加者

 ea2350 シクル・ザーン(23歳・♂・神聖騎士・ジャイアント・イギリス王国)
 ea3047 フランシア・ド・フルール(33歳・♀・ビショップ・人間・ノルマン王国)
 ea4481 氷雨 絃也(33歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea5808 李 風龍(30歳・♂・僧兵・人間・華仙教大国)
 ea5970 エリー・エル(44歳・♀・テンプルナイト・人間・神聖ローマ帝国)
 ea8820 デュランダル・アウローラ(29歳・♂・ナイト・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 eb0828 ディグニス・ヘリオドール(36歳・♂・ナイト・人間・ビザンチン帝国)
 eb1421 リアナ・レジーネス(28歳・♀・ウィザード・人間・ノルマン王国)
 eb3979 ナノック・リバーシブル(34歳・♂・神聖騎士・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 eb5818 乱 雪華(29歳・♀・武道家・ハーフエルフ・華仙教大国)

●サポート参加者

マミ・キスリング(ea7468)/ 大宗院 亞莉子(ea8484)/ リン・シュトラウス(eb7758

●リプレイ本文

●企み
「イペスよ。これから伝える事実、うまく使うがよい」
 深夜、星明かりだけの森の拓けた草原に佇むものが二体。
 一体はガチョウや獅子、ウサギの身体が組み合わさった奇妙な姿のデビル『イペス』。
 もう一体はシルエットだけなら天使と見間違う容姿を持つデビル『アガリアレプト』であった。
 風が吹き荒ぶ中、アガリアレプトはイペスに告げる。それはラルフ・ヴェルナーの過去であり、特に副長エフォール・ヴェルタルに関する事だ。
「アガリアレプト様、このイペスでは到底思いつかぬ事。お知恵を授からせて頂き、感謝の極みで御座います」
「励むがよい」
 言葉を残し、アガリアレプトは一瞬で姿を消した。上位のデビルが持つ転移能力を使って。
 イペスは夜空に浮かび上がり、ブラーヴ騎士団が潜む隠れ家へと向かうのであった。

●村
「本当に鳥なの?」
 雪が降り積もる空き地で子供達がペンギンのペンペンの回りに集まっていた。
 エリー・エル(ea5970)は子供達の頭を撫でながら『そうだよぉん』と答える。
 パリを馬車で出発してからすでに六日目。
 ヴェルナー領の山岳部周辺のある村に冒険者達は滞在する。
 山岳部を訪れてすでに数日が経ち、付近で一番狙われそうな村を探し当てたのだ。まだイペスが現れておらず、比較的人口の多く、ブラーヴ騎士団に否定的な意見が根強い村や集落を条件として。
(「抵抗できない子供まで手にかけるなんてぇ、絶対に許さないんだからぁん」)
 エリーは誓いを心の中で呟いた。

「そのような猿芝居であっても、時として惑わされてしまうものなのでしょう」
 フランシア・ド・フルール(ea3047)はこの村を訪れていた伝道師と教会の片隅で話し合いを行う。滞在している村が次に狙われると判断するのにフランシアはかなりの貢献をしたのだが、さらに情報がないものか聞き回っていたのである。

「手に入れたのは一本‥‥」
 シクル・ザーン(ea2350)はテーブルに置いてある聖遺物箱を見つめる。
 冒険者達は教会の好意で村の使われていない小屋を貸してもらっていた。食事こそ自前であったが、暖炉もあって暖かい。
 シクルが呟いたのはデビルに効果がある大聖水の事だ。出発前に黒分隊から譲ってもらったものである。聖遺物箱の中に仕舞われていた。
「わたしも一本提供します。これで二本です」
 乱雪華(eb5818)が自前の一本を取りだしてにっこりと笑う。
「乱、そろそろ始めましょう」
 まるごとぎんこを着込んだリアナ・レジーネス(eb1421)が乱雪華を呼んだ。二人でこれから大道芸を行おうとしていた。少しでも村人達とうち解けておけば話しもしやすいからだ。
 乱雪華とリアナが出かけてしばらくすると、歓声が小屋の中にも聞こえてくる。
「よそ者であるため信頼は得難いかもしれんが、この大聖水によって正体を暴き事実を突きつければ村人達も納得させる事は可能だろう」
 氷雨絃也(ea4481)は聖遺物箱の蓋を開けて中身を確かめる。
「しかし敵もよくやる。自演して民を騙すとは。だからといって、指をくわえて見過ごす事など出来る訳がない」
 李風龍(ea5808)は窓の戸を開けて外を眺める。高い教会の塔の上で風精龍の飛風が監視をしている。冷たい風が吹き込むので、すぐに戸を閉める李風龍であった。
「見え透いた三文芝居など見たくもないが、利用させてもらおう」
 デュランダル・アウローラ(ea8820)は何本もの魔剣の手入れを行う。とにかく無理矢理にでも敵の芝居に入り込もうと仲間と既に相談してある。
 自分達がイペスと戦った時、デュールを含むブラーヴ騎士団がデビル側を守るのなら、それだけで村人達は真実を知り得る。イペスを見殺しにするのなら、敵の一角が崩れる事となる。どちらに転んでも冒険者側に有利になると踏んでいた。
「デュールは憑依されているのか、それともデビノマニなのか‥‥。人間であるはずなのに、歳を取らないのは不自然極まりない。とにかく大聖水をかければおのずと答えは出るはずだ」
 ディグニス・ヘリオドール(eb0828)は呟くように仲間に語りかけると、隣りの厩舎に繋がる扉をあけた。
 ディグニスは仲間の馬も一緒に愛馬の世話を始める。雪の山岳部を登るのはとても大変であったはずだ。
 いつもの仲間が一人来られないのを残念に感じていた冒険者達であった。

●芝居
 天使の降臨は七日目に起きた。
 今回は予告もなく、突然の訪れである。
 村人達が騒ぎ、すぐに冒険者達も知る事となって駆けつける。
 確かに姿だけを見れば、白い翼を広げた天使そのものだ。
 だが冒険者の中にはプリンシュパリティ・ハニエルを目撃したものもいる。比べるのも失礼な程、頭上の天使には尊厳の欠片もない。ただ姿を真似ただけの出来の悪い偽者というしかなかった。
「これはセーラ神のお告げです。聞くのです。ノルマンの民達よ」
 天使が大仰な態度で話し始めた。冒険者達が化けの皮を剥がそうとした時、蹄の音が近づいてくる。
 三騎の騎士が雪を蹴って現れる。ディグニスは一人の顔を確かめた。確かにデュールであった。
「お前の考えなど承知している。惑わしの言葉など投げかけても、誰も耳を貸すはずがない。正体を表せ! デビルよ」
 デュールが叫び、天使がニヤリと笑う。
「また貴様等か! 死を持って償ってもらうぞ!」
 天使がイペスへと変化し、村人達が悲鳴をあげた。ほとんど同時に黒い何かが村の上空を覆う。冒険者達は以前に同じような体験をしていた。グレムリンの襲来である。
 デビルとブラーヴ騎士団の戦いに冒険者達も参戦する。まずはデビルが敵だ。
「ひとまずこちらに!」
 フランシアは一時の退避用にホーリーフィールドを位置をずらしてたくさん作り上げる。
「みんな、こっちだよぉん!」
 エリーは子供達を優先して避難させる。戦いはその後だ。村の司祭や伝道師も誘導を手伝ってくれた。
「早く‥‥逃げて下さい!」
 乱雪華は鳴弦の弓をかき鳴らし、魔力が続く限りデビル共を弱らせて村人達が逃げる余裕を作り上げる。
「相手は私よ!」
 リアナはフライングブルームで屋根の上に飛び降りると、ライトニングサンダーボルトを空中のグレムリンに向かって放つ。飛んだままだと不安定で当てるのが難しくなるからだ。
「俺に任せろ!」
 李風龍は大錫杖の先を勢いよく雪面に突き立る。反対側を掴んで高く飛び上がり、グレムリンに蹴りを食らわせた。落下した所を改めて大錫杖を叩きつける。
 戦う際、李風龍はわざとブラーヴ騎士団の行動を邪魔する。相手が苛立つように。
「イペス退治をさせてもらおう」
 氷雨はデュールとすれ違い様に話しかけた。剣を手に襲来するグレムリンを斬り裂いた。
 イペスを狙っていた氷雨であったが、空高く飛ばれてはどうにもならなかった。
 調べておいた村の重鎮を見つけ、氷雨はフランシアに任せる。敵の正体を看破した時に目撃者がいたほうがよいからだ。
 グレムリン共に地上の村人達を襲わながら、イペスは空高く舞い上がって高見の見物をしていた。
 それをデュランダルが破る。
「ここで倒す!」
 デュランダルはヒポグリフのミストラルに跨り、イペスに空中戦を仕掛ける。力でいえばデュランダルは圧倒的であった。一撃でイペスは風にさらわれた木の葉のように吹き飛んだ。ただ二撃目は効果はない。
 デュランダルはイペスがエボリューションを使うのを想定していた。用意しておいた別の武器と交換しようとする。
 その間にイペスは教会の屋根の上に降りた。そこにはシクルとディグニスの姿がある。
「悪しき者達よ、聖水の力を受けなさい!」
 すでにイペスがデビルなのは明白だが、村人達を完全に信用させる為に少しだけ自分にかけた大聖水をミミクリーで伸ばした腕で振りかける。フランシアに守られた村の重鎮が教会の屋根を見上げていた。シクルはイペスが苦しむのを重鎮に見届けさせる。
「邪魔だ! 退け!」
 ディグニスが邪魔をするグレムリンをなぎはらい、イペスに近づこうとした。
 デュランダルが屋根の上に降りた時、イペスはグレムリン共に囲まれる。そして透明になって姿を消した。
「どこにいる!」
 シクルはイペスを探すものの、どこにいるかわからなかった。臭いや音を探るにもグレムリン共がたくさんいて、どれなのか判断がつかない。
「たくさんいるのねぇん」
 避難させて戻ってきたエリーは広場の状況に驚く。グレムリン共と戦うブラーヴ騎士団の騎士達は三人だけでなく、もっとたくさんになっていた。
 イペスは去り、グレムリンも大半が倒されるとわずかな数が逃げてゆく。
 教会近くの雪が降り積もる広場には、冒険者八人とわずかな村人、そしてブラーヴ騎士団二十人が残される。乱雪華は村人を証人にする為に連れ戻しに行って、この場にはいない。
 牽制し合いながらそれぞれが集まって対峙の構図となる。
「未だデビルの反応があります」
 リアナは仲間に小さな声で伝える。石の中の蝶が激しく羽ばたいていた。目の前にいるブラーヴ騎士団の誰かがデビルもしくはデビノマニである。ブレスセンサーを使ってみるがわからない。呼吸をするマネならデビルでも出来るので判断材料にはしにくかった。
「デビル退治、手伝ってもらい助かった。我々はブラーヴ騎士団。どこの者か教えて頂けるか?」
 デュールが馬から降りて一歩、冒険者達に近づく。
「‥‥ブランシュ騎士団黒分隊隊長ラルフ・ヴェルナーからの依頼で遣わされた者だ。各々が信じる道があるので集まりとしては特別に名はない。一ついっておく。デビル退治を手伝ったのではなく、拙者達が倒したのだ。勘違いするな」
 ディグニスはデュールから視線は外さずに話す。武器の鎚は未だ握りしめたままだ。
「あの、ラルフか」
 デュールの言葉と同時にブラーヴ騎士団の騎士達が鼻で笑う。
 乱雪華は村人達を連れてきたが、安全の為に遠巻きにさせた。
「今の事は別にしてもこれまでデビルを退けて来た事、聖職者として感謝致します。いくつかお聞きした事がありますが、よろしいでしょうか?」
 フランシアは訊ねる。ラルフにはめられたのなら何故長きに渡って国王に訴えなかったのか、そして歳を重ねていないかを。
「すべてはラルフの権謀術数による事。ブランシュ騎士団分隊長ともなると、王宮内でもかなりの発言力がある。嘆願を退けるのは容易なのは誰にも想像出来るはず。歳を重ねていないとは、よい褒め言葉だ」
 デュールはとぼける。フランシアが聖書と十字架を手に取り、宣誓と大聖水の験しを求めても応じようとはしなかった。
「これは異な事。確かにわたくしは黒教義ジーザス教の聖職者。しかしノルマン王国の騎士であるならば、聖書に誓いを立てるのは至極真っ当であるはず。そちらにいらっしゃる白教義の教区司祭様ならよいというのであれば代わりましょう」
 フランシアの語句に少しだけデュールは目を泳がせた。
「一つ教えておこう。うまくやったラルフは別として、エフォール・ヴェルタルが当時の王国軍を裏切ったのは事実として記録に残されている。後のラルフの取りなしによって不問にこそされているが、奴の裏切りによってかなりの兵卒がローマ軍の犠牲となった。すべての罪を被せられたのだ。我らブラーヴ騎士団は」
 デュールの言葉にエフォール副長を知る冒険者は驚きを隠せなかった。
「よくそこまで話をでっち上げられるものと感心します。それならば何故先程の験しを拒否なされたのでしょうか?」
 シクルがデュールの話しを遮った。そして少々強引ながら大聖水をミミクリーで伸ばした腕で周囲に振りまく。わざと村人達にもかかるように。
 ほんのわずかな水滴が降ってきたところで誰も気にしない。せいぜい服を払う程度である。デュールを除いては。
「悪魔にしか効かないはずの大聖水で苦しむとは! 貴方も悪魔だったのですか!?」
 演技がかっていたものの、シクルの言葉は村人の心に響いた。
 デュールが雪の積もる地面に一瞬だがうずくまる。
 機を逃さずに、氷雨が上段から剣をデュール目がけて打ち込んだ。だが抜いた剣でデュールは受け止め、そのまま下がる。馬から降りた他の敵騎士達が氷雨に襲いかかる。
 李風龍、デュランダル、ディグニス、シクル、エリーが前衛として参戦する。
 乱雪華は連れてきた村人達に被害が及ばないように後ろに下がらせた。
 リアナは残った魔力を使い、密集するブラーヴ騎士団にライトニングサンダーボルトを見舞う。
 フランシアはホーリーフィールドを張り直し、安全地帯を形成する。
 一言でいえば、ブラーヴ騎士団の騎士達は強い。
 幾多の困難を越えてきた冒険者に比べれば一人一人は弱いものの、矛と盾の役割に特化した二人で一人と戦う体制は侮れない。
 騎士団とはいえ、何名かは後衛として全体の支援を行っている。
 ブラーヴ騎士団は集団戦に長けていた。
 黒分隊と一緒に戦った経験のある冒険者は思いだす。この戦術と黒分隊と一緒だと。
 ブラーヴ騎士団は機会をみて撤退する。冒険者側も手傷を負っていた。追わずに戦いを終わりにした。
 ブラーヴ騎士団と直接相対して完全にわかった事がある。
 最終段階のデビノマニはデュールのみだ。
 魔法は使わなかったのではっきりとしないが、他の騎士達は最終にはなっていないようだ。
 エフォール副長に関する事実を確かめなくてはならないと冒険者達の心にわだかまりが残る。
 フランシアは司祭と伝道師に今回の出来事を多くの村や集落に伝えるように頼むのであった。

●パリへ
 八日目の朝、冒険者達は馬車に乗ってパリへの帰路につく。
 九日目の夕方にパリに到着した冒険者達はギルドでの報告の後、復興戦争当時の資料を見せてもらう。
 残念ながらエフォール副長の行動で旧王国軍の一部が被害を受けたのは事実のようだ。ただし細かい部分までは記されていない。
 今は時間はないが、ラルフ黒分隊長とエフォール副長に確かめる必要があると冒険者の多くは考える。
 エリー宛ての大宗院からの手紙によれば、デュールの目撃はルーアンでもされているようだ。
 ギルドに届けられていた追加の謝礼金を受け取って、今回の依頼は終了となった。