静けさの中で 〜アーレアン〜
|
■シリーズシナリオ
担当:天田洋介
対応レベル:11〜lv
難易度:やや難
成功報酬:13 G 14 C
参加人数:8人
サポート参加人数:2人
冒険期間:10月07日〜10月17日
リプレイ公開日:2009年10月14日
|
●オープニング
ドレスタットから離れた北東の方角には巨大な湖が佇む。北海に面する海岸から非常に近く、いずれは繋がって湾になると思われる湖には島が存在していた。
人々はそれを精霊とドラゴンが住まうイグドラシル遺跡の島と呼んだ。
島を治めるのはオーディンの名を持つ高度な知性を備えたウィザード・ゴースト。
精霊の代表はヴァルキューレのブリュンヒルデ。ドラゴンの代表はミスティドラゴンのペルル。その他にも多種に渡るビーストマンの集落が存在する。
イグドラシル遺跡の島はデビル・ダバのドステリィーアから度々襲撃を受けていた。ノルマンの地を支配するにあたり、イグドラシル遺跡の島はデビルにとって許し難い存在のようである。
様々な事情が絡み合う中、青年ウィザード冒険者アーレアン・コカントは、ドレスタットを統治するエイリーク辺境伯からイグドラシル遺跡の島への立ち入り許可を得る。
最初は精霊のフィディエル・クールネと共に舞踊の横笛を運ぶ為であったが、結果として人の世界とイグドラシル遺跡の島との架け橋を双方から望まれる立場となった。
精霊とドラゴンとの話し合いは比較的簡単に済んだものの、多様な考えを持つビーストマン達との信頼を築くには相応の時間が必要だった。しかしアーレアンを含めた冒険者達は様々な事件を経て、ビーストマン達との絆を深めてゆく。
イグドラシル遺跡の島に住まう者達と人々との共通の敵であるデビル。ドステリィーアを中心とするデビルの軍団はイグドラシル遺跡を襲う次の機会を狙っていた。
イグドラシル遺跡の島と隣接する海岸線からは帆船五隻が望めた。ブリュンヒルデが周辺警戒の為に、エイリーク辺境伯へ要請した海戦騎士団の船籍である。
当事者の一人、エイリーク辺境伯の姿は船上にあった。
海岸を挟んだ向こうに広がる巨大な湖。
その湖にある島のイグドラシル遺跡。海からはとても小さく見えるが、実際の広さはかなりのはずだ。
「ようやく口を割ったか。以前の奴はすぐに喋ったものだが」
エイリーク辺境伯のマントが潮風にはためく。部下からの報告は冒険者達が捕まえたノームに関するものであった。
ノームはデビルのダバ・ドストリーアに汲みするエルフ女性の地の精霊ウィザード。
一度はブリュンヒルデがノームを尋問したのだが、取引によって今はエイリーク辺境伯の手の内にある。ブリュンヒルデも様々な支援を受けた身としては引き渡し要求を断り切れなかったのだろう。
魔法を含めて、あらゆる手を使ってようやく吐いたノームのデビル側の情報。
イグドラシル遺跡の島にあるという世界樹には古代から伝わる様々な魔法の物品が眠るという伝説がある。ギャラルホルンもその中の1つだ。別所で発見された舞踊の横笛も、広い意味で捉えればイグドラシル遺跡の島の遺産ともいえる。
精霊と龍、ビーストマンを殲滅するだけがデビルの目的ではなかった。強力な武器にも転用出来るであろうそれらを手に入れて地上を蹂躙する野望が含まれていたのである。
ノームの口から洩れたのは真実であろうが、そうだと思い込まされているだけの場合もあるので全面的に信じるのは迂闊であろう。とはいえノルマン王国側のエイリーク辺境伯にとっても由々しき事態なのは間違いなかった。
エイリーク辺境伯はドレスタットを出航する前に、火の精霊ウィザード・冒険者アーレアン・コカントと連絡をとる。
数日後には冒険者ギルドで仲間を集めたアーレアンがイグドラシル遺跡側との橋渡し役として現れる予定になっていた。
●リプレイ本文
●島へ
夜明けと共に海戦騎士団のエグゾセ号はドレスタットを出航する。暮れなずむ頃には海上で停泊していた海戦騎士団所属の五隻と合流した。
上陸する前に諫早似鳥(ea7900)は渡されたロープを伝い、エイリーク辺境伯が乗る帆船へと移った。シフールのシャクリローゼ・ライラ(ea2762)とルイーゼ・コゥ(ea7929)は自らの羽根でひとっ飛びする。
そしてデビルへの協力者ノームの様子を確認させて欲しいとエイリーク辺境伯に請うた。エイリーク辺境伯は見るだけならばと三人に許可を出す。
船室の錠に鍵が差し込まれて金属音が響く。
開いた小窓から三人は順に囚人部屋を覗き込んだ。両手足を縛られて口には猿ぐつわがはめられている。頬はやつれ、髪の毛も乱れていた。
甲板に戻るとエイリーク辺境伯がノームについて話してくれる。
辺境集落で生まれ、幼い頃は慎ましく暮らしていたようだ。しかし成長して精霊魔法が使えるのが周囲に知られると迫害されたらしい。特に一族とは違う血が流れていると二人の姉からは嫌われたという。
やがてノームは生まれ育った集落を壊滅させてしまう。
虐殺の盗賊稼業で糧を得ている間にダバのドステリィーアと知り合ったらしいが、時期についてはわからない。
ノームの処刑はイグドラシル遺跡の島に関する一件が落ち着いてから執行されるとエイリーク辺境伯は語った。
「ヴェルナー候の力になるのと同じ位、あたいのお嬢がそれを知る事を望んでいらっしゃるのでね」
エイリーク辺境伯に何故ノームについて知りたいのかを訊ねられた時に諫早似鳥はこう答えた。
「柳絮君にこの船の近くで待っているようにといってあります。臆病なので、もしいなくなったらデビルが近づいているかも知れませんので」
壬護蒼樹(ea8341)は船団周辺にヒポカンプスを残すと見張りの騎士団員に伝えておいた。海中から近づくデビルへの備えである。
冒険者九名、エイリーク辺境伯と部下二名の合計十二名は、海面に降ろされた三艘の小舟に分かれて海と湖の狭間にある岸へと上陸する。
ひとまず空飛ぶ絨毯で湖畔にある船の係留所まで移動して一晩を過ごす。事前に連絡があったとはいえ、エイリーク辺境伯の姿に駐在の兵士達はストーンで固められたかのように緊張していた。
「あんたが直々に出向くなんてな。軽く驚きだぜ、赤毛の領主さんよ」
焚き火を囲みながらの夕食時、リュリス・アルフェイン(ea5640)はエイリーク辺境伯に話しかける。ある野心を持って世界樹に関わるこの依頼に参加し始めたリュリスだが、まさかこのような状況に巡り合うとは夢にも思わなかったのである。
「俺がイグドラシル遺跡に行くとしても、まあ、なんだ。だからといって大した事はないがな」
『大した事はない』というエイリーク辺境伯の言葉を隣で聞いていた雀尾嵐淡(ec0843)は考えさせられる。口先だけの否定をしてもエイリーク辺境伯自ら島に出向くのは緊急の事態に他ならない。護衛として自分達がいるとはいえ危険も冒している。
(「狙われても不思議ではない‥‥」)
雀尾嵐淡は定期的にデティクトアンデッドを唱え、周辺にデビルを含む不死者がいないか探るのを忘れなかった。
(「緊張状態が続くと疲れますわよね‥‥」)
シャクリローゼはアーレアンが渡してくれたハーブティに口をつけると軽いため息をついた。今もジニールのネフリティスに手伝ってもらって周辺の偵察を続行している。デビルに反応する指輪にも注意を払っていた。
日中にミスラ・ルーミスがサンワードで太陽に質問した時の答えを思いだす。今の所、デビルは湖近くにはいないようだ。ドストリーアに関しては何度訊ねてもわからないとしか返事はなかった。
(「不気味といえば不気味ですね‥‥」)
リーマ・アベツ(ec4801)はフォーノリッヂのスクロールで未来予知を試してみる。明日にも再度やってみるつもりだが、様々な単語を指定してみても特に重要な景色は現れない。複雑な未来が待ち受けているのかも知れないとリーマは想像する。
「じゅんび、じゅんびだにゃ〜♪」
食事が終わるとパラーリア・ゲラー(eb2257)はロープの張りを調節する為に湖へ係留されている中型帆船の甲板を駆け回った。ルイーゼが行っていた中型帆船の整備を諫早似鳥と一緒に手伝ったのである。
「♪な〜みをちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷ――♪」
ルイーゼは灯したランタンを手にご機嫌な様子で飛び回って中型帆船の各部を点検する。
借り物とはいえ、この船はルイーゼに任されるようなものだ。こうなってくれば自然と愛着も湧いてくる。
ちなみに今回の食料やランタンの油などの必要物資は、すべてエイリーク辺境伯持ちである。
肌寒い夜は過ぎ去って朝が訪れた。
一行は中型帆船へと乗り込むとイグドラシル遺跡の島を目指す。
「あ〜、ペルルさんだぁ〜♪」
航行し始めてまもなくパラーリアが水中のミスティドラゴン・ペルルを発見して両手を振った。湖上に顔を出したペルルが顔を向けて頷く。
イグドラシル遺跡の代表としてエイリーク辺境伯を出迎えたペルルであった。
●島
一行は数日間、島の中央にある城のような廃墟に泊まる。
エイリーク辺境伯はヴァルキューレ・ブリュンヒルデ立ち会いの元で、オーディンとの会談の場を持つ。
パラーリアはロック鳥のちろに乗って島上空を飛ぶ。元気になった空飛ぶドラゴン達と一緒に並んでの警戒である。
韋駄天の草履を履いた壬護蒼樹はユニコーン・水角と一緒に獣人の集落を訪ねて不安がないか訊いた。
雀尾嵐淡は万が一のデビル潜入を危惧してデティクトアンデッドを活用しながら島を巡った。その際リーマも同行し、バイブレーションセンサーによる探査も併用する。
結果、デビルを含めた不死者は唯一の例外を除いて島には誰もいなかった。例外とは島をまとめる特別なゴースト・オーディンである。
滞在の最後にするつもりだったが、機会があったので諫早似鳥はブリュンヒルデにいくつかの質問をする。
答えとしてノームはデビノマニ化しておらずエルフのままなのがわかる。
もう一つ、魔法障壁については難題を知る事となった。島のすべてを魔法障壁で包みたいのはやまやまなのだが、地下まで覆うのは難しいとブリュンヒルデはいっていた。
島のすべてを包み込もうとすれば、持つのは約二時間。その後、十日はみないと再度の使用は不可能であるらしい。
ある時、諫早似鳥と壬護蒼樹の二人はヒリーノと会う為にワーシャークの集落を訪れた。通りすがりの者から三日ほど前にヒリーノが出産したと聞かされる。
産まれたのは男の子。母子共に健康だと知ってさっそく住処に向かう。
「お元気そうでなによりです」
壬護蒼樹はすやすやと眠る赤ん坊からベットに寝ているヒリーノへ視線を移す。以前より刺々しさが抜けてヒリーノは母親の顔になっていた。
「ノームは捕えられ、あんたは仲間に守られ子を産む、か。あれは出産祝だ」
諫早似鳥はテーブルに置いたたくさんの新巻鮭を指さしてからベット近くの椅子に座る。
「ありがとうございます」
ベットの上のヒリーノが上半身を起こす。
(「目出度いところでなんだがね。精霊の森の住人にとっちゃ親を、或いは子を奪った立場に代わりはない。それは覚えといて欲しい」)
壬護蒼樹にわからないように、諫早似鳥は指輪で付与したテレパシーでヒリーノに念波を送るのだった。
●世界樹
島滞在の中日に多くの冒険者はブリュンヒルデの案内で世界樹を見学する。オーディンが長時間の対談に耐えられないので、その合間であった。
特に興味ない諫早似鳥は廃墟に残る。雀尾嵐淡はエイリーク辺境伯が心配だとして会談が開かれている近くで見張りを続けるようだ。
世界樹はこれまで魔法によってすべてが見えなくされていた植物に覆われた塔である。
野原でブリュンヒルデが何かを唱えると、突然巨大な緑の柱が一同の目前に浮かびあがる。上層については未だ不可視化されていて目で捉える事は出来なかった。
表面を覆う草木が動きだして、やがて真っ白な入り口が現れる。
「こんなに大きいんかぁ、ええ事や〜♪ あれ? この扉、もしかして魔法金属ブランちゃうかな?」
「そうですの?! だとすればこれだけでも一体いくらの価値があるのかしら?」
ルイーゼの商人としての勘が大きな扉をブランだと見抜く。それを聞いたシャクリローゼは何度も瞬きをしてしばらく扉から目を離さなかった。
「これが世界樹か」
ブリュンヒルデに続いてアーレアンが世界樹内に足を踏み入れた。中は暗かったが、ランタンで照らしてみれば、たくさんの品が棚に置かれているのがわかる。
(「もしもに備えて‥‥」)
リーマは朝に付与しておいたバイブレーションセンサーで周囲の動くものすべてを把握するように努める。雀尾嵐淡と共に調べた結果、島にデビルがいないのは確認済みである。しかしノームの存在が示すようにデビルに協力や、または脅迫されている島の住人がいないとも限らない。
「ほえ〜、この弓ってもしかしてウルさまの使っていたやつなのかな?」
背伸びしたパラーリアは大きな弓を見つけると、ブリュンヒルデに訊いてみた。残念ながらウルの使っていたものではないらしい。ウルとは弓の神といわれるブリュンヒルデと同じく北欧の神々の名だ。ブリュンヒルデによれば、ウルは今この地にいないという。
「ここにグラムの魔剣は? それに匹敵する剣もあるのか?」
リュリスの質問にブリュンヒルデはわからないと首を横に振る。おそらくはあるはずだが、ブリュンヒルデでさえすべての品を把握している訳ではなかったからだ。
「ロキは‥あいつは後一歩まで世界樹の秘密に迫った。それと同じ場所に、後からノコノコきたデビル屑をいかせやしねえ。こいつは意地なのさ。オレとロキは似たもの同士だったからな」
どうせオレはここを守り抜くといってリュリスは一階のすべての品を見て回る。
「壬護さん、これこれ」
「何だかよく知っている形だ。すごそうだなあ」
アーレアンが錫杖によく似た武器を見つけて壬護蒼樹を呼んだ。文化というのは不思議と繋がっているものである。壬護蒼樹が所持する物と源流はきっと同じなのだろう。
「これはどんな力が秘められてますの? もしかして精霊の森の地下遺跡の壁画と関連性がある品等はありまして?」
興奮気味のシャクリローゼは矢継ぎ早にブリュンヒルデへ質問をした。効果は他言無用とされたが、どれも大きな力を秘めていた。その気になれば島を跡形もなく吹き飛ばせるに違いない。
精霊の森の壁画は当時の精霊が描いたもの。ここに眠る魔法アイテムの効力を表現した絵もあったはずとブリュンヒルデは説明する。
「ここを奪われたら大変やなぁ、きっと」
シャクリローゼの隣で一緒に説明を聞いていたルイーゼは腕を組んで何度も頷く。
「ここは未来の為に存在し続けなければなりません。しかし、もしデビルの手に落ちるものなら‥‥」
(「まるで恋人を見ているような瞳だな」)
天井を眺めながら呟くブリュンヒルデの姿が印象に残ったアーレアンであった。
●協定
八日目の昼過ぎ、光に溢れたオーディンが住まう塔の中での会談は終了した。
エイリーク辺境伯は廃墟の一室に戻ると部下に二つの命令を出す。一つは茶の用意、もう一つは冒険者全員を呼ぶ事である。
冒険者達にも紅茶と菓子が振る舞われた。そして決定事項を話してくれる。
すべてといいながらすべてではないのは冒険者達もわかっていた。秘密の決定事項もあるのだろうが、ここは黙ってエイリーク辺境伯の言葉を記憶に刻む。
海上の帆船五隻の戦力の他に、湖周辺へ二百名の兵士が新たに配置される。島内部に駐留させないのは占領の意志がないのを示す配慮である。中間の立場である冒険者は当然別だ。味方を示す合図や旗なども決められたが、敵は小賢しいデビルなので過信は禁物とされた。
島側は二百名の兵にウォーターダイブ、もしくはウォーターウォークをかけられるだけの精霊を用意する。
デビルの大規模な侵略が始まったのなら空の護りは主にドラゴン達の役目であり、ペルルが指揮を司る。
ビーストマン達には得意な現場を護ってもらう。ワーシャークなら湖、ワーウルフなら湖外縁の森の中などだ。島の内部も含まれる。
精霊の多くは魔法障壁の維持と世界樹の護りを担当する。
冒険者達とブリュンヒルデには打倒ドストリーアの為に遊撃隊として備えてもらう。必要ならば他戦力への協力要請も可能だ。
「ドストリーアを倒すのは任せたぞ。俺は海に出るであろう奴らを討つ。そっちの方が性に合ってるからな」
エイリーク辺境伯はアーレアンの背中を勢いよく叩くのだった。
●海魔
九日目の朝、一行は島を後にして夕方前に海上の船団まで辿り着いた。
「急に天気が悪くなってきたな」
「そやな。突然過ぎる気がするなぁ」
マスト上の見張り台に登っていたアーレアンとルイーゼが話していると空が輝いて海面へ稲妻が落ちる。
「います。海中にデビルが。近づいています!」
「猛烈な勢いでこの船の真下まで約五十メートルまで接近!」
雀尾嵐淡がデティクトアンデッド、リーマがバイブレーションセンサーで知った海中の危機を叫んだ。
「えらいこっちゃ〜」
ルイーゼが他の帆船四隻にも状況を伝えに飛んでゆく。アーレアンはいつでもファイヤーボムを放てるように備える。
「これで戦える。助かります」
「冷たそうだが仕方ねぇな」
アーレアンを見送りにきていたフィディエル・クールネが壬護蒼樹とリュリスにウォーターダイブの魔法をかけてくれた。二人は装備の一部を外すと海へ飛び込む。
「ヴェパールかね? この状況だと」
諫早似鳥は手裏剣を手にして船首に立って海中を覗いた。
「ここにきてやってくるなんて」
シャクリローゼはジニールと一緒に船団上空を飛んで他に敵の来襲がないかを見張る。
「ちろ、いくよ〜」
パラーリアは海面すれすれで帆船とすれ違おうとするロック鳥のちろにマストの上から飛び移った。そして上空の警戒に加わる。
しばらくして壬護蒼樹とリュリスが海中から甲板に戻ってくる。確かにヴェパールはいたが、特に攻撃もせずに海中深くに姿を消してしまったと二人は報告した。
「からかったつもりか。つまらない真似をしやがる奴だ!」
甲板に現れたエイリーク辺境伯が持っていたカップを握って粉々にしてしまう。
十日目の夕方、エグゾセ号は島に上陸した者達を乗せてドレスタットへと入港した。追加の報酬を受け取った冒険者達は報告の為にギルドへと向かうのであった。