【開発計画】昇降用簡易グライダー・5
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■シリーズシナリオ
担当:天音
対応レベル:8〜14lv
難易度:難しい
成功報酬:5 G 97 C
参加人数:5人
サポート参加人数:-人
冒険期間:02月23日〜03月02日
リプレイ公開日:2009年03月04日
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●オープニング
『昇降用簡易グライダー(仮)』、仮称『サドルバック』とは何ぞや?
ユリディスによれば、フロートシップから迅速に地上戦力を下ろすための装置だという。
ゴーレムを昇降させる装置を作るには、機体固定の問題やスペースの問題、その装置を動かす鎧騎士が座する場所の問題などで実現は難しくあるが、地上戦力――つまり白兵戦を行う人間を下ろすためのものならあるいは、という考えに至ったらしい。
これはゴーレムや人員を下ろす際にフロートシップを停泊させると、敵の的になりやすいから何とかならないものか、という冒険者何人かからの相談により検討に至った装置だ。クリアしなければならない問題は多々あれど、ゴーレムを昇降させる装置よりは実現に近い代物らしい。
ユリディスが工房長に相談した所、現在の技術と魔法的には多分可能だろう、という。挑戦した者はいないらしいが。
具体的にどういうものかというと、チャリオットが垂直移動できて、フロートシップと地上を行き来するものだと考えてもらえれば簡単かもしれない。
飛ぶというより浮かぶというものであることから、航空知識に乏しい鎧騎士でも操作できるものが望ましい。
フロートシップを止めずに、兵士を乗せたサドルバック(仮)を起動させ、歩兵戦力を迅速に地上まで搬送する、それが目的だ。
前回成功したのは8mの機体。着陸の為に浮遊機関の魔法をフロートシップレベルでかけたのだ。すると上手い事にふわんっと着陸してくれた。以前の様ながががっという危ない着陸ではない。
今回はこの着陸を12mの機体で、兵士を乗せた上で実行する。
それと送風管の問題だ。
兵士を下ろすときにフロートシップは止まらなくていいとしても、サドルバックの動きが遅ければ狙い撃ちされる。そのためには巡航速度100km/h、最高速度200km/hのグライダー用送風管ではなく、中型フロートシップまでに使用される中型送風管をつけてみるという選択肢がのこっている。兵士を運べても、動きが遅ければ意味が無いというわけだ。
風信器は携帯用を使用するので搭載はしない。
今回12mで着陸に成功し、送風管の件の決着がつけば、後は実戦投入してデータを取ることになるだろう。
■現時点での情報
名 称:サドルバック
ランク:フロートチャリオット+グライダー
全 高:12m
重 量:1t
戦闘力:0
移動力:未知
起 動:初級
限 界:未知
E F:0
特 殊:搭載量1000EP
●リプレイ本文
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はてさて恐らくこれが一旦の区切りになるだろうサドルバック制作。方針としてはやはり中型フロートシップにつける中型送風管の設置が望まれた。
「まあ、それが妥当なところだし、いいんじゃないかな?」
レン・コンスタンツェ(eb2928)が12mのサドルバックを見ながら漏らす。
「んで稼動精霊力を食いすぎて動かないとか、操縦が難しくなったら矢を妨げる装甲をつけるの変更って感じで」
「俺の案としては単純に搭乗員に盾を持って乗ってもらうってのもいいんじゃないかと。下りるときにそのまま盾を持って下りてもらってもいいし、サドルバックにおいていってもらっても良いかなと」
口を開いたのは布津香哉(eb8378)。彼は更に続ける。
「ただしこれだと、操縦者が無防備なままなんだよね」
「乗員がいるときは一緒に盾で守ってもらうというのはどうですか?」
カレン・シュタット(ea4426)の問いにそれでもいいんだけど、と香哉。
「乗員を下ろした後、操縦者が無防備になることは代わりがないだろう? だからゴーレム魔法で防御力を上げるのがあったよね、それを使用したらどうなるの?」
香哉の瞳がユリディスに向く。彼女は困ったように首を傾げて。
「ゴーレム魔法[水]の防御力制御の事ね。あれはゴーレム機器自体の防御力を上げるものだから、操縦者の守りをあげるものじゃないわ」
「やっぱりだめか」
予想通りといえば予想通りの返答に、ちょっとばかり落ち込む香哉。
「まあまずは中型送風管をつけてやってみましょう。8mの方で」
白金銀(eb8388)が何とか香哉を励まして、そして送風管の取り連れが行なわれる。これもすぐにできるわけではなく、相当な時間を要する作業だ。
「力仕事は任せておくれよ」
鷹栖冴子(ec5196)は8mの機体に12m分の重量を乗せるのを手伝っている。船体バランスなどもあるので、必ずしも重さを同じにすれば同じ効果が得られるというものではないと思うのだが‥‥。
実験の準備が進む間、レンが一枚の図面を持ってユリディスに近づいてきた。どうやに追加装甲案らしい。
「追加装甲とかアーバレストをオプションでつけることが可能なら、側線の幅が広がるしね」
「アーバレストって‥‥サドルバックは兵士輸送の為のゴーレム機器よ?」
「でも自衛が出来た方がいいでしょう?」
「兵士を迅速に乗り降りさせるのが目的なのに、その途中で足を止めて攻撃に回るつもり?」
自衛という案はいいものの、攻撃に回るとなると話が違う。当初の目的とずれが生じるのだ。
「もちろんしっかりと設置って形じゃなくて、本体外延に窪みを削って作っておいてアーバレストや装甲の足を窪みに添えて縛るとかいう感じで。別に精巧な凹凸をつける必要は無いんだよ」
「対矢レベルの追加装甲を取り付けるか、逆に機体の各所に強度を損なわないように気をつけながら穴を開け、軽量化して速度を上げるのはどうでしょうか?」
レンの次は銀が案を持ってくる。
「穴を開けるの? 穴の大きさはどのくらい? その穴から矢が刺さったりする可能性は?」
「うぐ」
そう言われてみるとなんとも言えない。
「とりあえず重量を増やした8m型を見てみましょう」
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というわけで、12mと同じ積載量にした8m型だったが、もちろん浮かない。これは以前積載量限界を調べたときに確かめたはずだ。重さは同じにしても、元の大きさが違うのだから集積される精霊力も異なる。
ただし、中型送風管の調子はよさそうだったので、そちらを12m型に付け加えてみる。
「とりあえず動かしてみるさね!」
動いてもらわぬことには乗員を守る云々とは言ってられない。冴子が操縦者として搭乗し、カレンがその側でメモを手に様子を伺っていた。彼女は記録係だ。
起動――これは間違いなく冴子の操縦レベルでも行えた。
そして発進。上方にすーと浮き上がりそして左右移動をする。
「あたいの腕前じゃまだまだ全てを御し切れてないって感じさね! 最低限動かすのに問題はないだろうけどね!」
上空から冴子が叫ぶ。恐らくもっと操縦技能に長けた者が操縦すれば、動きも早くなるのかもしれなかった。
「サドルバックの限界はどの辺りかな」
続いて香哉が乗ってみる。冴子の時よりは確実に動きもスムーズで早く、手足の様に動いている。
「俺でもここまでかー」
香哉の技量にも限りがある。冴子や銀よりも上であることは確かだったが、それ以上の調査となるとそれなりの技量持ちが必要だった。
「ただ、俺の持てる力の全てを出し切ったって感じはした」
と、香哉が語ったのをカレンはしっかりとメモをしていた。
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追加装甲などはまだ早いという事で、取りあえず今回は送風管を付与した12m型の動きを見るにとどまった。
中型送風管を付与した12m型だが、動きには特に問題は見られなかった。さすがについていないときに比べると動きも早くなったし、着陸の安定度も増す。
必要な装甲などは実際に実践に出して見ないと判らないと行ったところだろうか。
「‥‥そうね、実戦訓練をしてみる?」
やるなら相手と場所を用意するわ、ユリディスはいつもの様に妖艶に微笑んだ。