【I love‥‥】狩人となって
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■シリーズシナリオ
担当:本田光一
対応レベル:8〜14lv
難易度:やや難
成功報酬:4 G 15 C
参加人数:10人
サポート参加人数:-人
冒険期間:08月07日〜08月12日
リプレイ公開日:2007年08月29日
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●オープニング
●セルナー領を越えて
セルナー領を越えて、西部の砂漠地帯をも越えた位置にあるシーハリオンの丘。
メイの国でも滅多に人の踏み入れない、その地域を北に見る森林地帯に、西部より騎士位の者達が追っていた集団が踏み込んだのは、果たして偶然であったのか‥‥。
「引き返すぞ。ここに踏み込むには我々の装備では心許ない」
「では、あの者達を逃がすと言われるのですか?! 仲間の中には、奴らに重傷を負わされた者も居ります!」
騎士達をまとめる者の決断に、若い騎士は憤りを隠そうともせずに、普段では言葉にする筈の無い目上の人物への批判となる一言を放った。
そんな彼を、周囲の表情は苦々しく、同時に悲しく見つめている。
随伴していた騎士達も同じ想いなのだろうが、それを言葉に出来る程『若く』は無かったのだ。
「大丈夫だ‥‥」
騎士達を束ねる壮年を過ぎた男は、予想外の反論に一瞬驚いた表情になったのだが、続けて柔和な顔になって騎士達に語る。
「今までの追撃の結果、皆も判っている通り、奴らの背後の存在にはあの大陸が浮んでいる。‥‥残念だが、これ以上騎士団員である我等が深入りをすれば、領民に不要な争いの種を蒔く事になる。その様な真似だけは出来ないのだ」
だからと、西の空を見て騎士は続ける。
「彼らに託すしかないのかもしれんのだ。国という柵に捕われる事の無い、彼らに‥‥」
羨望なのか、蔑みなのか。
壮年の表情は苦く歪んだものであった。
●面倒ごと
「面倒ごとはいつもこっちかいな!」
「だから、こちらも成り立つというものだがね」
奥の部屋から聞こえてくる声を耳にした冒険者達は飯の種が転がり込んできたのかと瞳を輝かせる。
丁度そこに、奥の部屋からギルドの男が頭を掻き毟る様にして出てきたのが視界に飛び込んできた。
「‥‥はいはい。そないながっつかんの! 正味、生きてるだけで丸儲けな話やさかい、そう言う気合ある人間だけ、こっちに来て聞いてや!」
特に隔離する訳でなく、ギルドの中で自然体に集まれる場所の一角に陣取った男は徐に依頼の書かれた羊皮紙を取り出して、読み上げ始めた。
「依頼。
ステライド領西部に向かい、セルナー領地との境でセルナー領の騎士団の使いから情報を受け取り、追撃戦によって目的の集団を捕らえること。またはその集団の目的地を探り当てること。
集団は、メイの国を大きく東から西に横断する動きで、セルナー領の騎士団によって出された追っ手を振り切ってきていたらしい。
およそ考えられる規模は十から二十程度。
この追撃には乗り手の数の半分まで、ゴーレムグライダーが、一機だけだが、ステライド領に整備の為に戻されていたリザベ分国のモナルコスも一騎準備される。任務後に、全てのゴーレム機器はリザベ分国に返すこと。
補足。
集団は、セルナー領での殺人事件に関与している疑いがあり、その残虐性と訓練された一連の活動内容と身体能力、集団での動きから、騎士、あるいはそれに順ずる集団と思われる。
作戦には、情報伝達役の人間を周囲の村ごとに配置してあるので、彼らに繋ぎを取れば情報伝達を担ってくれるので、今回募集するのは直接の戦闘要員のみであること。
加えて、国からの援助は期待できないので、それらに付随する権利を有している者は、準備された以外には地位、職業等による恩恵は無いものとして任務に当たること。‥‥」
暫く、羊皮紙を見ていたギルドの男は冒険者達を見て表情を引き締めた。
「もし、追いかけた連中を捕らえ切れなかった場合には、引き続いて現地から再度の追撃を依頼することになる筈やで」
●リプレイ本文
●砂漠を越えて
冒険者達はリザベ分国とセルナー領に跨るサミアド砂漠のオアシスで、補給と支援物資であるモナルコスを受領して、ヒスタ訛りの人物を追い求めていた。
「見つけたぞ。そちらは何か?」
ペガサスに騎乗し、空路でセルナー領騎士団の連絡員が待つオアシスを回ってきたランディ・マクファーレン(ea1702)の声に、集合場所で身を潜めるようにしていたマグナ・アドミラル(ea4868)達はモナルコスの影から姿を現した。
「相手は砂漠を越えて南へと進路をとっているらしい。かなりの速度だ」
マグナと共に情報を得ていたバルディッシュ・ドゴール(ea5243)が地図の上で指を走らせる。
「急ぐとなれば、モナルコスには馬車から降りて急いでもらうとして、だ。見つかる可能性が高くなるがな」
マグナは今までの旅程から、相手に追いつくまでの時間をエルトウィン・クリストフ(ea9085)に尋ねて舌打ちを一つ。
「無理無理。この地図だと判るけど、馬車じゃサミアド砂漠を越えるまでに相手が海まで行っちゃう……」
そこまで言って、エルトウィンの言葉が止まる。仲間達の前でだけ、彼女はフードを外している。人間よりやや長い耳がピクリと動いたのは、思い当たった事象が余りに危険だった為だ。
「神よ、我等に祝福を……」
日課となっているアタナシウス・コムネノス(eb3445)の祈りが判る者達は心底その祈りが通じて欲しいと願う以外なかった。
「何やらキナ臭い事になって来た様だが、国家間のゴタゴタは 何処の世界でも同じと言う事、かな」
ランディの言葉に、テントの中が水を打った様に静かになるのだった。
●酒場で
ランディは何度目かのオアシスでエールという男と酒場で出会っていた。そこでメイの国の冒険者ギルドからの紹介だと渡りをつけて、今回の事件についての情報を交換したところ、調査中に補給に困ったときにはと、砂漠を越えるオアシス伝いの行路を紹介され、そのオアシスの酒場に行くと良いという情報を得ていた。
「助かる」
出会った男と同じく、酒場にてラムと名を呼ばれる男を紹介されたランディは、酒場の奥で数名の男と鮮やかな装束をつけた女と飲み明かしている男に近づいた。
「エールという男から紹介されてここに来た。俺は冒険者ギルド……」
「待ちな」
十分に気をつけて小声で言ったつもりだが、ランディは苦笑した男から小声で話せと手の動きで示されて頷いた。
「話は聞いてる。少し遅いぜ?」
「……」
「怒るなよ。奴ら、既に砂漠を越えて水路に入ったぜ。足止めはしたが、これ以上は無理だ」
無言のランディが、怒っているのだと勘違いしたラムは薄く笑って続ける。
サミアド砂漠を越えて、リザベ分国の中央部、広大なデルタ地帯が広がる地区の事を指しているのだろうと頷いたランディ。
「ゴーレムはイカダの下に括り付けるとして、だ。もう少し急ぎな。巧くいけば川の中流で追いつけるだろう。川の港町、アーダンに行けば、仲間が居る」
あばよと、話は終わったと言いたげに手を振るラムにランディは、
「何故、俺達に手を貸す気になった?」
と問いかける。
「意趣返しと思ってくれたらいい。俺達のシマに手を出したらどうなるか、そこのところを思い知らさないとな。無駄に殺した奴は特に、だ」
「……」
暗いものを感じて、ランディは酒場を立ち去った。
「国家間だけではないということか……」
彼は一路仲間達の元へと急ぐのであった
●航路
「つまり、ヒスタ大陸のものがこのメイの国を荒らし、それに対して怒りを覚えた何某かの組織が後ろ盾となっているといいたいのだな?」
「そうだな」
サリトリア・エリシオン(ea0479)の問いに、アーダンでエールと合流したランディは頷いた。
エール達の一党は、彼ら冒険者に先んじて砂漠を渡り、ヒスタ大陸から来た者達を船着場まで尾行できたのだが、その先で決定打となる戦力に欠けて彼ら冒険者達を待っていたのだという。
「統率された騎士団のような動きといい、国自体が動いているとなると厄介だ。何としても、集団を捕らえねばならん」
後ろ盾がやや後ろ暗い組織であると気付いたサリトリアは眉根を寄せる表情にはなったが、追跡の後押しと様々な準備をして貰っただけに、文句の付けようもなかった。
「ヒスタ大陸というと、海の向こうの大陸だったな。確か、バとジェトという国があると聞く」
「目的を明らかにしなければいけませんが……」
嵯峨野空(ec1152)の言葉にエル・カルデア(eb8542)が一瞬言葉を止めて、考え込む。
「……」
メイの国で跋扈するヒスタ大陸の騎士について、空の知識だけでも、ヒスタ大陸にあるバの国はカオスニアンと手を組んで色々仕掛けてきているのは周知の事実。件の騎士達についても、バの者ではないかと考えるのが普通だった。
「帰ってきた様子だ」
ゴーレムの制御胞に何時でも乗り込める準備をしていたシャノン・マルパス(eb8162)がグライダーの特徴ある風切り音を耳にして準備を始める。ストーンゴーレムであるモナルコスは水に浮くが、相手を止める為に起動するならば、浅瀬で背が立つ場所でなければならないからだ。
「相手が風上になるけど、川の上だと余り意味がないかも。ここから先は草も生えてないし、見晴らしが良過ぎるみたいだよ」
グライダーで帰還したフィオレンティナ・ロンロン(eb8475)は、僅かな興奮と悔しさを隠しきれていない。川の上でなければ、遮蔽物も利用出来たかと思うと、逃走経路にここを選んだ連中の意図がよくわかる。そして期待の込められた目をエルに送る辺り、援護の攻撃を二人乗りでやって欲しいと言う意図は明らかだった。
「判りました。メイの国に手を出したことを後悔させてあげましょう」
やれやれと言いたげに肩を竦めたエルだが、相手が逃げ出した時にはという約束でフィオレンティナの希望を了承した。
「うーし、頑張るぞー」
拳を振り上げ気味に、気合だけは充分に飛び立っていくグライダー。
「聞いた凶獣は見当たらなかったけど、アレだけの船だと隠して置けると思う」
「矢張り、先の港で仕入れた肉が怪しいな。あの船に積み込むには半端過ぎる」
甲板からも遠目で見られる距離になり、空とエルトウィンが小さな声で船の中に居ると思われる凶獣の脅威を噛み締めていた。
その横で。
「いざとなれば、簡易の避難所として活用ください」
「いや、大いに頼りになる」
アタナシウスの控えめな発言にバルディッシュは小さく返し、前方の船が一番よく見える位置に立つ。
「見えたぞ!」
小さく叫ぶマグナに合わせて、サリトリア、が船を乗り移る位置に構え、エルトウィンと空がイカダの上で援護出来るようにとそれぞれの得物を構える。
「では、こちらも待機する」
シャノンは虎の子となるモナルコスの制御胞内部でゴーレムの操縦席に腰を下ろし、二つある椅子の肘掛位置の制御球に握った拳を何時でも広げて置ける位置で備える。
「気付かれた!」
マグナが剣呑な言葉とは裏腹に、してやったりという表情で吼える。
「遅い!」
火矢と投擲武器を構える船上の人物めがけて、気弾がランディから放たれる。
突然の襲撃に対応出来なかった一人が腹にそれを受け、甲板に吹き飛ばされていく。
「どうしてバの国の兵士がこんな所に!?」
「始まったようだな」
フィオレンティナの聞きなれたそれは芝居がかった声だが、相手にしてみれば急に上空から振ってくる声は脅威だろう。旋回を続けるゴーレムグライダーに気を取られる者も出て、川下にある船の上に一瞬混乱が生まれた。
「参る」
盾を構え、激突の瞬間に備えていたサリトリアが敵船上に躍り出る。
「貴様等が何物かは知らぬが、メイを好きにはさせん。一人残らず捕えてくれる!」
敵船上の乱戦に踊りこんでいくマグナの背を、エルトウィンと空の攻撃が守る。
「甘いぞ!」
空の鞭で絡め獲られた腕めがけ、返す刀でマグナの剣閃が唸りをあげる。
叩きおられるようにして、体をくの字に曲げた人物が川面に落ちていくのを見送ったマグナの耳に、エルトウィンの声がする。
「危ない!」
危険を叫びながらも、彼女の放ったダーツが乾いた音を立てて巨大な肉に突き刺さる。
キシャァーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
痛みに吼えたのか、それとも気を殺がれたことに腹を立てたのか、咆哮するそれは鋭い牙と強靭な体躯、恐るべき力強い爪を振り上げて川の上に揺れる船に立っていた。
「……凶獣という奴か」
ペガサスに跨るランディと、グライダーで飛ぶフィオレンティナにはよく見えた。
強靭な肉体を誇るマグナやバルディッシュに並んでも劣らない、獣の咆哮で相手を威嚇する存在が5頭。その背に馬やグライダーに跨る騎士の様に人を乗せ、立ち上がった姿は月夜に浮かび上がった悪夢のようだった。
「う、わーアレ、硬そう」
どうしようか、モウと頬を膨らませながらも攻撃の手を止めないエルトウィンの横で、エルが紡ぎあげた精霊魔法が完成する。
「メイに仇名す者達よ、この地が貴方達の最後です。 観念しなさい!」
間近に迫った凶獣目掛けて、解き放たれた大地の精霊力が暴虐な破壊力となって襲い掛かる。
「よし!? 下がれ、マグナ!」
「!!」
バルディッシュが叫んだ刹那、マグナは左右の確認もなく一気に飛び退る。その真横を、空気毎突き抜くバルディッシュの両手剣が轟音を上げて突き出されていき、迫る凶獣の腕を引き裂いていた。
「すまんな、わしとしたことが相手に呑まれていたようであるな!」
一歩下がった勢いを引き上げる刃に乗せて、マグナもバルディッシュと同じ凶獣に切りつけていくのだが、これは背に乗った人間の剣で払われてしまう。
「ッツ!!」
馬に拍車を掛ける様に、凶獣に跨る男が迫り出す様に冒険者達目掛けて突進する。
「押し負ける!」
「いかんのである」
直ぐ後方にはイカダがあり、そこにはエルトウィン、空、エルと言う、近接戦闘には不慣れな者達が居る。
凶獣三体の猛攻を何とか押し留めようとした所が、バルディッシュ、マグナ両人の膂力をしても押し負ける力が凶獣にあった。
「ちょ、ちょっとちょっと、二人とも頑張って!」
「……近すぎる!」」
エルトウィンの呼気まで聞こえてきそうなほどに近くに声を聴き、バルディッシュの額から汗が流れる。
エルも後方から援護の攻撃を行おうとしている様子だが、二人の巨体が視界を塞ぐ形で魔力を紡ぎ上げたところで放てないことは判っていた。
「!!」
「危ないですよ!」
騎乗した敵が高らかに剣を振り上げ、打ち下ろす勢いで二人が徐々に下がっていくのを、フィオレンティナが上空から援護に回ろうとして残る二体の凶獣、更には甲板に残る敵から射掛けられた矢に急旋回で対応に追われることになる。
「何とか、凌がねばな!」
ペガサスの加護もあって何度か襲撃に成功しているランディだが、腕の良い者によって射掛けられた矢が数本だけ、彼の腕にかすっていた。
「いかん!」
間に合わない。
凶獣の頭上から振り下ろされる剣に、誰もがそう思った時。
敵の剣はマグナの額には触れず、乾いた音を立てて弾き返された。
「神よ、残虐なる集団に終焉を。
神よ、人々を助けるものに祝福を。
神よ、戦いを選ばざるを得ない人々に御加護を。
神よ、我らに祝福を。
神よ、すべての死者に安寧を」
「アタナシウスか?」
高らかに、歌うように聖なる言葉を唱え続けるアタナシウスが生んだフィールドが、騎士の剣を防いでいた。
「助かるのである!」
意気を取り戻したマグナにリカバーを唱え、サリトリアが切りかかる凶獣の騎士の攻撃を盾で防ぐ。
「皆さん。神は偉大です。ですが私はまだ修行中の身。ゆめ、油断なされませぬよう……」
「わかっている!」
何度か剣で受けた攻撃は、目の前の凶獣の攻撃ではいくらアタナシウスのフィールドが強固であっても、叩き割られる気配がある。
バルディッシュは振り上げた剣を押し出す重みと叩きつける勢いで凶獣に切りつけていく。
「やった! ……え? うそーー!」
フィオレンティナが敵兵を川面に落としながらバルディッシュの一撃を見て興奮した声を上げる。
だが。
「出来るな……」
ジャイアントの一撃を、騎乗した男は盾で受けることが適わないと見たのか、一瞬で騎乗状態から甲板の上に飛び降りて、凶獣に何事かを指示した様に見えた。
そのとたん、残る二体の凶獣に騎乗していた者達も飛び降りる様にして凶獣を押し出し、冒険者達目掛けて一斉に五体の凶獣が迫る。
「!」
「させない!」
鋼のきしむ音。
鋼鉄と、鋼鉄のせめぎ合う音が川面に満たされる。
巨大な腕が、その鎧に食いついたままの凶獣を押し戻し、歪んだ装甲にも一切の恐怖を感じることなく、振りぬいた腕に握られた剣が凶獣に叩きつけられる。
「皆さん、無事ですか?!」
遠くから聞こえるような、シャノンの叫び声。だが、鋼の擦れ合う音の中から響いてくるらしいその声は、剣戟の中では聞こえるかどうかといった判断に苦しむもの以外の何物でもなかった。
「……こちらも、長くは持たない……」
川底に着いた足が沈み込むのが判る。徐々にだが、足元の砂がゴーレムの重みを飲み込まんとして動いているのだ。
「攻撃は任せます!」
ゴゥン!
体中に響く音が、周囲からシャノンを攻め立てる。ストーンゴーレム、モナルコスの纏った金属の鎧が、ゴーレムが動くたびに擦れ、犇めき、騒音となって操者であるシャノンの耳に飛び込んでくる。
巨人の参戦した戦いに、勢いを取り戻したマグナとバルディッシュの剣が吼え、サリトリアとエルトウィン達はエル、空を守りながら矢で攻撃してくる敵を一人、また一人と倒していく。
「逃げたよ! エルお願い!」
「判りました。慌てないでください」
ようやく戦闘も落ち着いたと思った矢先に、フィオレンティナがグライダーで舞い降りて、エルを後ろに乗せて飛び立っていく。
「俺も行こう」
縛り上げた賊を転がしたランディがペガサスに跨って去った時。
エールと呼ばれた男と、捕らえた賊の一人の姿が消えていたのを冒険者達は知ったのだった。
●行方
捕らえた賊の中で自決した者を除き、ギルドに連行しようとして冒険者達はカオスニアンの男の死体が川に上がったのを発見した。
「戦闘中には暗くてよく判らなかったが……」
マグナが唸るのを見て、空は自分達の戦闘が非常に危険だったことを改めて知った。
エル達の働きで逃亡した敵も捉えることが出来たが、ランディの懸念通り、彼らの目を抜けて逃げた者も居るらしい。
それが向かったのは恐らく南だろうと言うこと、戦った凶獣は1m程の体躯の凶獣、ヴェロキラプトルだということ、それだけは判っていたが……。今のところ、判らない事が多すぎた。
【To be continued】