【ミハイル日誌】古の聖地へ‥‥

■シリーズシナリオ


担当:一乃瀬守

対応レベル:8〜14lv

難易度:難しい

成功報酬:9 G 96 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:03月16日〜03月31日

リプレイ公開日:2008年03月24日

●オープニング

──事件の冒頭
 カツーーンカツーーーーン
 ミハイル研究室では、最初に回収された精霊武具の調査が続けられている。
 そしてそれとは並行で、次の精霊武具についての調査情報を行なっていた。
 古くから伝えられている遺跡や『神殿』などで、精霊と関連づけられている場所を、古い石碑や口伝から色々と調べていた。
 そしてふと思ったこの言葉。

「この世界での精霊とは‥‥どこからくるのぢゃ?」
 
 ひょっとしたら、精霊の起源がどこかにあるのでは?
 精霊の楽園が存在するのではという思いから、ミハイル教授は様々な資料を読みふけった。


●ということで冒険者ギルド
「また噂の精霊武具探しですか? 本当にそんなものがあるのでしょうかねぇ‥‥」
 と呟いているカウンターの受付嬢。
「ある。絶対に存在する。というかもう二つめの回収も終った。のこりの4つと‥‥あとは‥‥まあそれは置いておくとして。次の目的地が決定したので、人を募集させて貰うぞ」
 ということで書きはじめた依頼書。
 それには、あまりにもとっぴょうしもない事が記されていた。
「‥‥教授、これ絶対に無理。生身であそこに向かうなんて自殺行為です」
「突破できなくても周辺調査ができるぢゃろう? まずはそこから始めないと‥‥」
 と告げられ、渋々依頼書を張り出す受付嬢。
 その目的地は実に簡単であった。

──────────────────────
 第三の精霊武具を求めて、シーハルオン頂上を目指す。
 まずはその手前の『嵐の壁』を突破する方法を調べる為、現地『嵐の壁』手前での調査を行う。
 それと同時に、可能であれば『嵐の壁』を突破、山頂を目指す‥‥。

──────────────────────

 いや、生身じゃ絶対無理なんですけれどねぇ‥‥。

●今回の参加者

 ea0073 無天 焔威(31歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea0244 アシュレー・ウォルサム(33歳・♂・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea1819 シン・ウィンドフェザー(40歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea2449 オルステッド・ブライオン(23歳・♂・ファイター・エルフ・フランク王国)
 ea3486 オラース・カノーヴァ(31歳・♂・鎧騎士・人間・ノルマン王国)
 ea3651 シルバー・ストーム(23歳・♂・レンジャー・エルフ・ノルマン王国)
 ea4919 アリアン・アセト(64歳・♀・クレリック・人間・ノルマン王国)
 ea7891 イコン・シュターライゼン(26歳・♂・ナイト・人間・ビザンチン帝国)

●リプレイ本文

●ナーガの助力
──ウィル王都
 今回はシーハリオン探索ということもあり、件の山の麓に住まうナーガ部族の助力を仰いでみては。
 そう考えた一行は、王都ウィルに来賓として滞在しているナーガ達に繋ぎを取り、シーハリオン周辺について色々と情報を得ようとやってきたのであるが。
「ええっと、我々はこれから、シーハリオンに向かい色々と調査をおこなうのですが、何方でも構いません、ナーガの方にお話を伺いたいのですが」
 そう入り口の御衛士に話し掛けているのはシン・ウィンドフェザー(ea1819)。
 冒険者としての証を立てる為に依頼書を見せながらそう問い掛けたのであるが。
「ナーガ殿は、ドラグーン工房に出向していまして、しばらくは戻らないかと思われますが‥‥」
 そう一行に説明しているのは、彼等の御衛士を務めている騎士。
「では、ゴーレム工房に向かうといいのですか?」
 オルステッド・ブライオン(ea2449)がさらに問い掛けるが、御衛士は頭を左右に振る。
「ドラグーン開発を開始している為、しばらくは工房より外には出られません。彼等は我がウィルでのドラグーン開発の秘密を知っているです。いつ、他国の者にさらわれるか判りませんから‥‥」
 と告げられる。
「工房の中で話を聞ければいいんだが、それも駄目なのか?」
「工房は関係者以外は立ち入り禁止です。以上‥‥」
 と、イコン・シュターライゼン(ea7891)の問い掛けにはきっぱりと無理という言葉が帰ってきていた。
「ふぅ。これ以上は時間の無駄か、ならば先にすすむとしよう!!」
 というミハイル教授の言葉で、一行は定期馬車にて移動開始。
 のんびりと移動を開始した後、国境沿いの森を通り抜け、いよいよシーハリオンの麓に到着した。
 ここから先は険しい大地を越え、さらにその奥に存在する嵐の壁を越えなくてはならない。
 だが、その前に一行は、元に住まうナーガ達の村を訪ねていった。
 そこのナーガ達の話によると、ここに来る来客は久しぶりとのこと。
 そして誰となく、嵐の壁を越える方法や、この近くに存在するであろう遺跡の話に触れると、ナーガ達は言葉を濁らせる。
 
 彼等いわく、シーハリオンは聖地。
 精霊と竜、それらの集る場所であり、シフールやドラゴンパピー達の故郷。
 それらを護る壁を越える方法については、ナーガ達は誰も語らない。
 それも当然であろう。
 何者かが嵐の壁を越え、重大な事件を起こしたという噂もある。
 その為か、嵐の壁の内部では精霊力に大きな乱れが起こっているらしい。
 とくに月精霊の力の減少が著しい事から、月の竜・エクリプスドラゴンに何かがあったのではという噂も伝えられている。
 ならば、何者をも壁を越えさせたくないというのが、アトランティスに住まう古き民・ナーガの心情でもあろう。

「しかたあるまいて‥‥我々で独自に進むとしようかのう‥‥」
 ということで、いよいよ孤立したミハイル調査隊であった。



●現地到着、無謀者ここに眠る
──シーハリオン麓・嵐の壁最前線
 ナーガの村を離れて、ミハイル教授の手にした地図を頼りに、一行は麓の森林にやってきていた。
「ふぅん。ここからだと、嵐の壁が一本の柱のように見えるな‥‥」
 と呟いているのは、道標の剣と知識の兜を装着した無天焔威(ea0073)。
「ええ、その通りですね‥‥」
 と告げているのは、上空からグリフィンに載って降りてきたアシュレー・ウォルサム(ea0244)。
「教授、この先、森の中に不自然な丘陵が存在しますが、それが教授の探している遺跡ではないのでしょうか?」
 と叫びつつゆっくりと降下してくる。
「ああ、そのようぢゃな‥‥ではそちらに参ると‥‥オラース、何をしとるのぢゃ?」
 と、嵐の壁を睨みつけて準備体操をしているオラース・カノーヴァ(ea3486)に告げる。
「何って‥‥嵐の壁を突破するんだろう?」
 ああっ。
 オラース、生身で突撃する気十分。
「正直、それは無謀と思われます。どうしてもというのでしたら止めませんけれど、明らかに死にに逝くようなものです‥‥」
 と呟くのはアリアン・アセト(ea4919)。
「そんなに危険なのか?」
 と問い掛けるオラースに、アリアンは壁の方を指差す。
 そこでは、他の仲間たちが様々な実験を行なっていた。
「‥‥駄目ですね。ウィンドレス程度の魔法では、嵐の壁は全く沈静化できません」
 と告げつつ、スクロールをしまっているのはシルバー・ストーム(ea3651)。
「同じく。この辺りには、ナーガ達の告げる『風の留まる岩』はないですね‥‥」
 オルステッドはそう告げると、もう一度周囲を見渡す。
 ナーガの村で、嵐の壁を越えるのではなく近くに在る古い遺跡について問い掛けていたオルステッド。
 そして物好きなナーガが教えてくれたのが、『風の留まる岩』。
 それがなんであるかは告げてはくれなかったが、どうやにら『嵐の壁突破』に関係しているようである。
「さて。道標の剣よ。俺達をアトランティスからジ・アースに返す道を示しやがれ!! 俺は、俺はノルマンかえりたいんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 絶叫を揚げる無天。
 と、剣と兜が輝く。
 そして無天の脳裏に写るのは何処か古い遺跡。
 そしてそれは、確かにこの嵐の壁の向うに存在する。
「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 と威勢良く叫んで嵐の壁に向かおうとするが、さすがに危険だと判断した為そこでストップ。
「おーい、皆の衆、遺跡に向かうぞい」
 ということで、一行は遺跡と思われる丘陵に向かって移動開始。



●伝承に歌う、軌跡の音色
──丘陵地帯
 ということで、一行はいよいよ丘陵地帯にやってくる。
 その情報を持っていたアシュレーを筆頭に、全員で調査を開始。
 万が一逸れたりしないようにというオルステッドの提案で、仲間たちはロープによって体を固定。これで逸れることはない。
「まあ、これで問題がないというか‥‥こんな丘陵地帯に何があるというんだ?」
 シンがそう告げると、ふと、丘陵のある場所でミハイル教授が何かを掘り出している光景に気がつく!!
「ん? どしたじいさん。何か見つかったか?」
 と問い掛けると、ミハイルは奇妙な逆三角形のプレートを掘り出した。
「古代魔法語ではないのう‥‥精霊碑か」
 と呟く。
 そしてその掘り出した穴の中に、どうやら台座らしきものが見えると、シンはパチンと指を鳴らす。

──ガシッ!!

 その瞬間、ミハイルの両脇をオラースとイコンががっちりとガード。
「むむむ。またわしが何かすると思っているのか?」
「いや、この遺跡の鍵を握っているのはじいさんだから、万が一の為にガードを付けただけだ」
 と告げるシン。
 そして穴の周辺の土砂を全員で掘り返すと、そこにある3m四方の台座を完全に掘り出した。
 その中心にはプレートを填める穴が開いてあり、さらに台座の周囲には、びっしりと精霊碑が刻みこまれている。
「‥‥遠い日の記憶‥‥でもすぐ近くの時間‥‥精霊の歌ですか‥‥」
 と呟いているのはシルバー。
 実は精霊碑については、かなり読み込めるらしい。
 そしてそのままミハイルと一緒に解析を続けると、二人同時に解読を完了した。
「どうですか?」
 と問い掛けるアリアンに、ミハイルが静かに肯く。
「とりあえず全員、台座に昇ってくれ。起動はシルバーでいけるな?」
 と問い掛けると、シルバーは静かに肯く。
「全員乗ったら、台座に組み込まれている精霊碑を起動させます‥‥」
 と告げる。
 そして全員が乗ったとき、シルバーが最後に中央に乗り、プレートをはめ込む。
「偉大なる月精霊よ。かの力で、我等を古き神殿へと誘いたまえ‥‥」
 と呟く。

──キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン

 突然台座が共鳴を起こし、そして全員がその場から姿を消した。



●影のみちは神殿への道
──?????????
 そこは暗い空間。
 どうやら何処かの遺跡の内部であるらしい。
 空気がかび臭く、そして異様に湿気が高い。
 一同の立っている台座もその表面が苔で覆われており、バランスを崩すとそこから落ちてしまいそうである。
「‥‥知識の兜によると、この遺跡の中に『月光鎧』があるようだが‥‥」
 と告げる無天。
「それじゃあ、とりあえず」
 と告げると、アシュレーが腰に付けた手回しライトを点灯する。

──カッ

 そこで見えたのは、見た事のない遺跡。
 その神殿部分なのであろう、壁には巨大な竜の彫像が刻みこまれていた。
 そしてその近くには、大量の白骨死体が転がっている。
「ふむふむ。随分と懐かしい遺跡の形ぢゃな」
 と告げて降りようとするミハイルをシンが止める。
「とりあえず周囲の安全を確認したほうがいい‥‥」
 と告げる。
 そしてオラース、オルステッド、イコンらが飛び降りて転がっている骨の調査を開始。
「アトランティスではアンデッドは存在しませんから、これがスカルウォリアーということはないと思いますけれど‥‥」
 と白骨を調べるイコン。
「ああ。こっちの世界のモンスターにも、動く骨は存在しない‥‥とりあえず安全という事だな」
 とオルステッドも告げる。
 そしてオラースが周辺の白骨を除けて道をト来ると、シルバーが飛び降りてトラップの調査。
 それらが終ると、ようやく全員が台座から飛び降りた。
「このタイプの遺跡はジ・アースでも見たのう。この彫像の両側の壁を調べてくれぬか?」
 とシルバーに頼むミハイル。
「この壁‥‥確かに、この向こうには空間があります。どうやら隠し扉か何かがありますね‥‥」
「では反対側ぢゃ」
 ということで、反対側も調べる。
 案の定、こっちにも隠し扉があり、その向うには『何か巨大なものが蠢いている音』が聞こえてきた。
「‥‥こっちは危険です。何かよからぬものがいそうですね‥‥」
 というシルバーの言葉に、とりあえずその扉は後回し。
 ということで、そのまま寝殿内部の調査をしていた一行は、隠し扉以外の部分の調査で幾つかの情報を得る事が出来た。

・白骨はどうやら『ナーガ達』のものであるらしい
・この神殿は、竜信仰のものである
・壁に刻まれているレリーフは『エクリプスドラゴン』のものであり、その左右には月の紋章が刻まれている
・台座はここと外の空間を繋ぐものである。これ以外には外に出る方法は見つからない
・神殿中央手前には、外からここに来る為の回廊があるが、それも途中で崩れて進めない
・この神殿自体、地面の地下もしくは丘陵の奥に作られたものである

 ということで、ここまでの調査で残ったのは、レリーフ左右の隠し扉のみ。
 だが、シルバーの力でも、その扉を起動させる方法が見つからない。
 何か手掛りを調べていたのだが、既にかなりの日数が経過しており、これ以上の調査は続行不可能。
 ということで、一行は再び台座に飛び乗り、来たときと同じ方法で外の世界へとダッシュッ、そのまま帰路に付いた‥‥。

──Fin