【ミハイル日誌】海底ににんまり参る
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■シリーズシナリオ
担当:一乃瀬守
対応レベル:8〜14lv
難易度:難しい
成功報酬:9 G 96 C
参加人数:7人
サポート参加人数:-人
冒険期間:06月05日〜06月20日
リプレイ公開日:2008年06月13日
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●オープニング
──事件の冒頭
「うーーーーむ‥‥」
静かな研究室。
その中で、ミハイル・ジョーンズ教授は腕を組んで悩んでいた。
目の前のテーブルには、現在までに集めた3つの精霊武具が置かれている。
『知識の兜』
『道標の剣』
『月光鎧』
現在までに集められたのはこの3つ。
そして残りの『守りの楯』『陽炎の衣』『清水の靴』『一対のペンダント』を探し出さねばならず、さらにそれぞれの精霊から加護を授からなくてはならなかったのだが。
現在、眼の前に置かれている3つについては、その形状がいつのまにか変化していた。
──ガチャッ
「失礼します。ハーブティーを持ってきました。あまり根を詰めすぎないでくださいね」
と助手のジョディ・ジョーカーが室内にやってくる。
「ジョディ。済まないが、これを見てほしい。どうだ?」
と道標の剣を差し出すミハイル。
「あら? 教授。これって‥‥」
と、なにかに気が付き、そう呟く。
「うむ。わしのいたジ・アースでは、精霊の加護は直接精霊から得なくてはならない。ぢゃが、このアトランティスは竜と精霊の加護の世界。その武具でもあるこれらには、自然と加護が宿っていったようぢゃ‥‥」
すなわち、『知識の兜』はすでに加護を得て『ウィンドヘルム』に、『道標の剣』は『大地の魔剣』、そして『月光鎧』は『ムーンライトアーマー』に変化していた。
「ということは、のこりの4つを見付ければ、最後にアルティラを探し出して道が開けると?」
ジョディも興奮ぎみに告げる。
「う、うむ‥‥そうなのぢゃ‥‥で、次の場所も見当がついたのぢゃが‥‥」
と告げると、ミハイルは地図を広げて海を指差す。
そこには小さな島があった。
「ウィル沖合の無人島ですね。漁師がたまに立ち寄る漁場でもありますが?」
「この地下、正確には海の底。そこに眠る『水竜の神殿』。そこに何かが眠っているというのぢゃが‥‥」
そこに向かうのはちょっと面倒くさい。
漁師に頼んで船を出してもらう、さらに切り立った絶壁をあがり、島の内部から地下に下りる。
さらに地下から『海底』を通って神殿の入り口へ。
まあ、万全の準備ができていれば問題はない。
「特に問題はないのですけれど?」
「全てが集ってから。どうも、その先のヴィジョンが以前よりはっきりと見えている‥‥しかしのう」
ミハイルはウィンドヘルムを被る。
そこから天界へと戻る道を模索すると、以前よりもはっきりとそのヴィジョンが見えた。
巨大な壁。
そこを突破し、さらなる奥へ。
封印されしアルティラを解放する。
その為に必要な鍵が、6つの精霊武具と対のペンダント。
そしてアルティラが解放されたとき、新たなる道が‥‥
「ふむ。まあいい。取り合えずは目先のことからぢゃな‥‥」
ということで、ミハイルはいつものように冒険者ギルドへと向かっていった。
丁度その頃、巷では件のヴィジョンに見えていた『巨大な壁』が姿を表わしていたのを、ミハイル教授はまだ知らない‥‥。
●リプレイ本文
●はてしない水の世界へ
──とある島の手前
ザッパァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアン
激しく打ち付ける波飛沫。
今回の目的地は、この目の前の島から地下へと向かい、海底神殿へと向かう。
ここにやってくるまでは、ミハイル教授の知人であるニモ船長の『のーちらす号』にて移動。
今回は様々なペット達もお供に加わり、愉しい移動となった訳で。
「あと‥‥3つ‥‥」
静かに甲板の隅でスクロールを加工しているのはシルバー・ストーム(ea3651)。
今回は海底へと向かう為、切り札であるスクロールが水で駄目になってしまわないよう、あらかじめ蝋を使って防水処理を行なっているらしい。
そして他のメンバーもまた、海底を突破する為の準備を行なっていた。
「この鍋ですと、二人で被って移動すれば大丈夫ですよね?」
と、港町の鍛冶屋でゲットしてきた巨大な鉄鍋を被り、そう呟いているのはイコン・シュターライゼン(ea7891)。
「そうですわね。けれど、私は力が弱いので、この樽を使いますわ」
とイコンに告げているのはアリアン・アセト(ea4919)。
「樽は一体何個ぐらい必要になると思う?」
「さあな。最低限、人数分は必要だと思うが?」
「その数の空樽と、万が一用に皮袋にも空気を詰めたほうがいいだろう」
オルステッド・ブライオン(ea2449)の言葉に、シン・ウィンドフェザー(ea1819)とアシュレー・ウォルサム(ea0244)が返答するが。
「なあ、一つ思い付いた事があるんだが‥‥」
と無天焔威(ea0073)が一行に告げる。
「なんだ?」
「ふと思ったんだが‥‥遺跡の場所が海底で、移動方法がその回廊だかを通るのなら‥‥何かギミックがあるんじゃないか?」
そう告げるのは無天。
「ああ、可能性はあるが‥‥判るか?」
と、アシュレーは無天の被っている兜を指差す。
「あー、そうか。こいつがあったか‥‥」
と、無天が兜に意識を集中する。
そして記憶の断片から、この神殿について導き出そうとしているが。
「‥‥年に1度、この島の周囲の渦が収まる。その満月の夜に、潮が引いて道が出来るらしいが‥‥とっくに終っている!! つかえねーー」
絶叫し苦悩する無天。
「ということだ。無天も作業を手伝ってくれ」
というシンの言葉に、無天も仕事に戻った。
え?
じじいはどうしたかって?
波の激しいこの船で、酔わない筈がない!!
●島内突入
──島手前
巨大な、切り立った崖によって道が阻まれている。
そこを昇るには、魔法か、それとも空を飛ぶしか選択肢はない‥‥。
ない筈だった‥‥。
──ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥツ
3匹のグリフィンとペガサス、ヒポグリフが次々と冒険者達を崖の上まで運んでいく。
そして荷物を全て運びおえると、いよいよ調査開始となったのだが。
「なにもないのう‥‥」
島の上には、ただ草と木々牙生い茂っているだけであり、建物らしきものはどこにも見当たらない。
「それじゃあ、ちょっと調べてくるね‥‥」
と、いきなりスクロールを広げると、アシュレーはエックスレイビジョンを発動。
──きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん
静かに大地を睨みつける。
やがて、草原の一角に、大地にうまく隠された『地下へと続く階段』を発見。
「教授、ここの地下に階段があるけれど、それか?」
というアシュレーの言葉に、ミハイルは告げられた場所に移動。
さらにシンと無天はその両サイドでがっちりとミハイルをマーク。
「う、いきなりぢゃな」
「まあな。前科があるので、ちょっと‥‥」
「ということだ」
ということだそうで、シルバーがミハイルの代わりにまず階段のあった場所の地表を調査。
──スススススッ‥‥
巧妙に隠されていた地下への扉を確認するが、そこに仕掛けられているトラップがあったかどうか確認できなかった。
「済まない。仕掛けはないと思うのだが、今ひとつ核心が持てない」
というシルバー。
「では、わしの番じゃな‥‥」
ということで、いよいよミハイルの出番。
素早く道具を取り出すと、周囲の土を全て除去、細かい砂粒を刷毛で飛ばすと、扉に記された紋様を解読開始。
「‥‥どうだ?」
オルステッドがそうミハイルに問い掛ける。
「ふむ。とりあえずここが入り口で正解ぢゃな‥‥無天、ここに剣を立ててくれ」
と、近くで『精霊武具フル装備』の無天に告げる。
「ああ。ここでいいのか?」
と、無天はミハイルに指示された場所に剣を立てる。
──キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン
突然周囲の空間に共鳴反応が起きる。
そして静かに扉が姿を消していった。
そこには、地下へと続く階段があった。
●呼吸します? できます?
──階段地下回廊
静かに階段を下りていった一行。
しばらく下っていくと、やがて階段が海水で満ちている空間にたどり着く。
そのまま階段は海水の中、海の底へと続いている‥‥。
「この壁の壁画‥‥これにもなにか意味があるような気がするんだが‥‥」
と告げる無天に、ミハイルも静かに肯く。
「文字はセトタの文字ですわね。壁に記されているのは巨大な竜と精霊ですか?」
アリアンもそれらの絵画をじっと見つめる。
「偉大なる6竜と、王たる虹の竜。そして周囲には6精霊の王達が記されている‥‥」
アシュレーはこのアトランティスの人間。
それゆえ、絵画が古い物語の一節を語っているのがよく判った。
「ほほう。そういうことか。で、これの物語はなんなのぢゃ?」
「カオスの穴から生まれた混沌八王との戦いの物語だね。俺も詳しい所までは解らないけれど、吟遊詩人とかなら、そういう話を知っているんじゃないかな‥‥」
と告げるアシュレー。
「アシュレーさん、これなんだか判りますか?」
とイコンが問い掛ける。
そのイコンの指差した先には、巨大な『壁』から出現するカオスの魔物の姿が描かれていた。
「さあね。そこまでは判らないけれど、何か封印されていたものが解放されたっていうかんじだね」
と告げる。
そして一行はそれらの壁を調査した後、いよいよ水中へと向かうための準備を開始した。
まずはシルバーがスクロール発動、地下回廊の水位などを透視し、水位を下げても呼吸する事が不可能と確認した時点でウォーターダイヴを発動。
そのまま命綱を付けて水中に突入。
真っ直ぐに階段を突破し、さらに海底へと続く回廊に突撃。
そこで1度、携帯した樽の中に頭を突っ込んで呼吸を整えると、さらにその場でスクロールを発動。
樽はそのポジションに固定しておき、真っ直ぐに海底神殿へと向かう。
その入り口の扉が開かれていた事を確認すると、来たときと同じ方法で階段まで帰還する。
「‥‥ということだ。神殿まではまっすぐに向かうことができるが、神殿の内部までは調べる事は出来ない。扉が開かれていたから、内部調査は可能だとおもうが‥‥空気があるとは思えない。どうする?」
そう一同に問い掛ける。
が、すでに方向性は決定していた。
「無論突入ぢゃよ‥‥その為の準備は万端ぢゃからのう‥‥」
ということで、シルバーは再びスクロールを発動。
その他のメンバーはそれぞれが空気の入った樽や皮袋を装備し、シルバーの張ってきた『ロープ』を頼りに、そのまま海底神殿へと向かっていった。
●神殿よいとこ1度はおいで
──海底神殿
ロープを伝ってやってきたのは正面の扉前。
すでに朽ちている扉の向こうには、元々は豪華な作りであったのだろう神殿が広がっている。
すでに内部には海草や藻が繁っており、その隙間を魚達が優雅に泳いでいる。
海底には砂が沈殿し、巨大蟹や貝類があちこちに見えている。
(‥‥やばいってば‥‥あれはグランパスじゃねーか)
と、最後尾についていたシンが、後方からゆっくりと泳いでくる全長10mの巨大な魚影を確認。
前のオルステッドに連絡して急ぐように指示すると、そのまま全員が建物の中に飛込んでいった。
そのまま周囲を確認し、一行はさっそく建物の内部調査を開始。
(‥‥シルバー、これをつかうのぢゃ‥‥)
と、水中の為言葉は通じないが、ミハイルは小さな袋を一つシルバーに手渡す。
(へぇ‥‥準備がいいですねぇ‥‥)
それを受け取ると、シルバーは空気樽の中に頭を突っ込み、アシュレーから借りた手回し発電機で灯を確保すると、スクロールを発動させた。
──キィィイン‥‥ゴホゴボコボコボコボコボッ
突然目の前の空間に空気の塊が発生。
それは天井まで届くと、そこに空気の層を作りあげる。
さらに空気は発生しつづけ、部屋の天井部分、上から1mほどを新鮮な空気で満たした。
「ぷはーーーーーーーーーーーっ。生き返ったぜ‥‥」
「ああ、全くだ‥‥でも、おかげで活動しやすくなったな‥‥」
「この空気はしばらく発生を続ける。また止まったらスクロールを発動させるといいだろうて」
「ああ、その時はまた使わせてもらうさ‥‥」
と、皆の言葉に返答を返しつつ、シルバーはソルフの実を口の中に放り込む。
「で、どうするんだ?」
「このまま神殿の内部調査を続けるのは構いませんけれど、どういうふうにいきましょうか?」
オルステッドの言葉にアリアンが捕捉を告げる。
「どうもこうも、しらみつぶしに。それぞれ空気樽を装備し、二人ぐらいに分かれて調査に向かうのがいいだろうな」
シンがそう告げると。そのまま適当なメンバーにチームを振り分ける。
そしてそのまま全員が移動して調査開始、シルバーはイコンとともにこのポイントにて待機、空気が止まらないように見張りを続けた。
●そして
──地上・島の上の草原エリア
大量の出土品に混ざって、目的であった『清水の靴』も回収。
既に精霊の加護によって活性化していたらしく、『ウォーターウォーキングブーツ』という形に進化していた。
その他の調度品はすでに使い物にはならなくなっていたものの、遺跡発掘物としてミハイルが持ち帰ることとなった。
いずれにしても、敵の襲撃が存在しない海底での調査も無事に終了、一行は次なる場所へと向かう為、ウィル本国へと戻っていく事となった。
──Fin