竜の住まう地〜罪と罰〜

■シリーズシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:11〜lv

難易度:難しい

成功報酬:21 G 72 C

参加人数:8人

サポート参加人数:2人

冒険期間:12月25日〜01月09日

リプレイ公開日:2007年01月03日

●オープニング

「‥‥まったく‥‥忙しいというのに‥‥何故こんな雑務を‥‥」
 うろうろと室内を飛び回りつつ、ニライ・カナイ査察官は机の上に置かれている羊皮紙をちらっと見る。
「破滅の魔方陣を何とかする方が急務である筈なのに‥‥また、私が指揮を直接取る事が出来ないとは‥‥」
 羊皮紙の入れられていた封には、王宮の封蝋が付いている。
「まあ、止むをえんか。今回も冒険者に全てを任せて置く事にしよう‥‥信頼は出来る奴等だしな‥‥」


●場所は変わって冒険者ギルド
「あ、これはこれは‥‥いらっしゃいませ」
 にこやかにそう告げる受付嬢のエムイ・ウィンズに、ニライは一言。
「あ、貴様は話にならん。ペリエを呼べ」
「あーーっ。ひっどーい。こう見えても私も一端の受け付けとして‥‥」
「一端だか端っこだか知らんが、ドジッ子受付場は必要なし」
 そう告げられて、エムイは渋々とベテラン受付嬢『ペリエ・ウィンズ』に変わる。
「あら、ニライ査察官。どうしたのですか?」
 そう告げるペリエに、ニライは書類と金貨の詰まった袋を手渡す。
「先月に続いて長期依頼だ。腕のたつ冒険者を8名、目的地は南方・竜の洞窟。宝玉の存在の確認と回収、もし奪われていた場合はそれを奪回するように‥‥」
 と告げた。
 それらの事を依頼書に纏めるペリエに、ニライはさらにこう一言。
「まあ、今回は全てお前たちの判断に任せると‥‥いうことで」
 とだけ告げて戻っていった。


●ニライより事前情報
 執務多忙の為、ニライ査察官から提示された情報はこれが全てである。

・目的地は『未探検地域』の更に奥、実際に存在するか判らない。
・その宝珠の言伝えは、南方の古い民から聞き出したらしいが、その民も、昨年の動乱で村が滅ぼされてしまった為、詳しい場所その他は全て不明
・伝承では竜の他に様々な魔物が住まうらしい。
・最近、その洞窟に向かって旅立った冒険者 がいたらしいが、生還したという記録は残っていない。
・竜の洞窟付近には、『竜の民』と呼ばれる者他達が住まうという。彼等しか、その洞窟に入る術を知らないらしい
・セフィロト騎士団が宝珠回収に動いている模様。

 以上、健闘を祈る!!

●今回の参加者

 ea1671 ガブリエル・プリメーラ(27歳・♀・バード・エルフ・ロシア王国)
 ea2037 エルリック・キスリング(29歳・♂・神聖騎士・人間・ノルマン王国)
 ea2816 オイフェミア・シルバーブルーメ(42歳・♀・ウィザード・人間・フランク王国)
 ea3026 サラサ・フローライト(27歳・♀・ウィザード・エルフ・イギリス王国)
 ea4004 薊 鬼十郎(30歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea4107 ラシュディア・バルトン(31歳・♂・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea5180 シャルロッテ・ブルームハルト(33歳・♀・クレリック・人間・ノルマン王国)
 eb4667 アンリ・フィルス(39歳・♂・ナイト・ジャイアント・イギリス王国)

●サポート参加者

メイユ・ブリッド(eb5422)/ ヴェニー・ブリッド(eb5868

●リプレイ本文

●贖罪のため? 自分のため?
 何故こんなことになったのか‥‥。
 自らの振るった刃は、確実に相手を殺していた。
 もう殺さないと誓った筈なのに‥‥
 あの土地が、侵入者を狂気へと追い込んだのであろうか‥‥


●生きた証人
──パリ、とある隠れ家
 ベルゼルク騎士団。
 彼等の中の一人が、命をかけてこのノルマンに持ってきた『竜の彫像』。
 それを受け取ったアンリ・フィルス(eb4667)は、甦生した騎士と無事に会い、ゆっくりと話を聞いていた。
「竜の彫像は、竜の民の住まう村に一つずつ安置されています。私達ベルゼルク騎士団は、元々はシャルトル南方に展開しているオーガなど魔物の討伐部隊でした‥‥」
 ゆっくりと話を始める騎士。
「ですが、あの日。わたしたちがオーガを討伐した直後、ヘルメスと名乗る悪魔が私達の前に姿を表わしました。そして彼女は私達と取引きを迫ってきたのです。一瞬の隙をついて奪われた私達の魂の断片、そして騎士団の肉親、恋人達の命と引き換えに、竜の為の持つこの彫像を回収しろと。当然回収した直後には、村の民を全て殺せと‥‥」
「非道い‥‥」
「私達は騎士です。そのような悪魔に屈伏することは出来ません‥‥ですが、自らの命は捨てる覚悟は出来ても、肉親達を人質として取られている以上‥‥とくに騎士団長は、妻と生まれたばかりの娘の命を握られていて‥‥」
 沈黙する騎士。
「何故、我々が村に行ったときに、それを告げてくれなかったのだ?」
「私達は常に監視されています。もし外にこの事を告げたら、その告げたものの肉親はおろか、全ての騎士団の命が‥‥」
 そう告げてから、騎士は懐から一枚の布を取り出した。
「ここに記してある点は全て竜の民の村の位置です。×の付いている場所には、もう民も村も存在しません‥‥」
 すでに地図には12ヶ所の×が記されている。
「竜の彫像、それには何か秘密が?」
「詳しくは判りません。ただ、竜の彫像にはみっつの種類があるそうです。右手に白い石を握っているもの、左手に白い石を握ってるもの、そしてなにも握っていないもの‥‥私達はそれらを入手し、このパリで連烙員に渡すように指示されていました‥‥」
 そしてあの日の夜中の惨劇。
 アンリの中で、全てのできごとが一つに結び付く。
「判った。貴公はこのままここに隠れているがいい‥‥」
 それだけを告げて、アンリは酒場に向かって走った!!


●情報屋の苦悩
──パリ・冒険者酒場マスカレーード
「エルハンスト・ヨハネスう? 随分と物騒な名前だしてくるわねぇ‥‥」
 酒場の二階席で、情報屋のミストルディンが目の前ののガブリエル・プリメーラ(ea1671)にそう告げる。
「今回の一件の親玉のようなのですわ。セフィロトだの、探索隊だの‥‥親玉をしらないとね?」
 にこやかにそう告げるガブリエルだが、ミストルディンの表情は暗い。
「エルハンスト卿とは、一体なにものなんだ?」
 サラサ・フローライト(ea3026)もそう問い掛けるが、ミストルディンは頭を左右に振りつつ静かに呟いた。
「このノルマンがまだ国として存在しなかった時代‥‥このシャルトルが竜の民の土地であった時代にいた、竜の民の末裔‥‥現在のシャルトル地方の小さな領地の領主、そしてたった10人で荒れ狂うドラゴンをも抹殺する『セフィロト騎士団』の団長‥‥」
──ゴクリ
 息を飲むサラサとガブリエルにたいして、ミストルディンはさらに言葉を繋げる。
「ここまでの話で驚くのなら‥‥ここから先の話しは聞かないほうがいいわ」
 サラサとガブリエルが視線を合わせる。
『御願い』
 そう告げる二人の声に、ミストルディンがさらに言葉を繋ぐ。
「先代シルバーホーク卿につかえていた執事でもあり、高位のウィザードでもある人物‥‥そして、新しいシルバーホークの頭首」
 絶句。
「シルバーホークの魂は、アンリエットの中に眠っている筈。なのにどうして?」
「詳しくは判らない。けれど、私の部下がその命を賭けて得た情報だから‥‥全てあの『ヘルメス』が関与しているという事以外は‥‥」

 ヘルメス。
 その正体は悪魔アルオーシュ。
 裏切りと絶望を糧とし、人々に逃れられない運命を植え込んでいく。
 
「エルハンスト領自体は静かなものよ。普通に統治されているし、昨年の『グレイファントム動乱』の際にも屈しなかった誇り高き領主‥‥っていうことになっているからね。誰もその裏がシルバーホークなんていう事は解らないでしょうね‥‥」
 ああ、ややこしい。
 様々な情報の中で、何が真実かを、サラサとガブリエルは改めて考えさせられることとなった。
「ふう。なら、エリア23については? なにか変わった事はなかったか?」
 サラサのその問いに、ミストルディンは静かに肯く。
「あの村も最近はおとなしいものよ。攫われていた人なんてもうどこにも存在しないし‥‥」
「それって? どういうことなのかしら?」
「皆、馬車に乗せられてそのまま破滅の魔法陣に‥‥つまり、あそこにはもう殆ど人は残っていない筈よ‥‥」
 絶句。
「エリア23については判った。あと、『竜の背骨』についての新情報はないのか?」
 それはラシュディア・バルトン(ea4107)。
「‥‥それを聞くと、貴方たちがまた無茶するから‥‥」
「ということはあるんだな?」
「海賊シーラットの本拠地だった場所。今はネオ・シルバーホークの拠点の一つとして使われている場所よ」
「ネオ・シルバーホークねぇ。随分と御大層な名前を付けているな。魂はあのちっちゃいのに入ったままなのによ」
「ああ、先に行っておくけれど、そっちのシルバーホークとは別組織だからね」
 そのミストルディンの言葉に、眉を潜めるラシュディア。
「どういう事だ?」
「これはまだ確定情報じゃないから。悪鬼、ウォルター、ジェラール、そしてアンリエットとアサシンガール&チャイルドによるシルバーホークではない、別の組織よ。頭首の名前はエルハンスト・ヨハネス。破滅の魔法陣の制御法はまだ旧シルバーホークがもっているけれど、それよりも大掛かりな‥‥うーん」
 なにか困っているミストルディン。
「持ったいつけないで早く説明してくれ」
「話が判り辛くから、ネオの方をヨハネス・シルバーホークとして説明すると。表に見える破壊は『旧シルバーホーク』が、国の内部に食い込んで、目に見えない中から破壊していくのが『ヨハネス・シルバーホーク』という事になるらしいわ。そして二つのシルバーホークの掛け橋が」
「ヘルメス‥‥」
 ボソッと呟くサラサに、ミストルディンが肯く。
「成る程ねぇ‥‥」
「ああ、ラシュディア、あの『マグネシア』っていう女性、あれもヘルメスだから」
 ちょ、おま!!
「ああ、そのマグネシアについて教えてもらおうとなにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
 絶句するラシュディア。
 あ、叫んでいるか。
「私が調べた所によると、ヘルメスはいくつもの姿を持っているらしいから注意が必要ね‥‥もしもし? ラシュディア?」
 ロイ教授を助ける為の最後の手掛り。
 それが今、儚く砕けていく。
「じ、じゃあ、この地図に載っている所に行っても、会えないということか?」
 サラサから受け取った地図を広げて、ミストルディンに示すラシュディア。
「‥‥ここ、廃墟」
──プシューーーーーーーーーーーーーーーッ
 ラシュディアから何かが抜けていく。
「でもまあ、最近の幽霊騒動の場所でもあるから、行ってみて損はないと‥‥おーーーい、聞こえているかーーーー」
 フラフラと店の外に向かうラシュディア。
 そのまま停車場に『竜の背骨』に向かう為の船を探しに行ったが、誰もそんなところに行きたくはないらしく、いい返事が貰えたのは一件だけ。
「ああ、交易船『グレイス・ガリィ号』ならそこに行った事もあるからねぇ‥‥」
 グレイシー商会のマダム・グレイスがラシュディアにそう告げる。
「出してくれるか?」
「でもねぇ‥‥あの場所に行くのは、以前海賊が出て以来航路閉鎖になっているから、どこか御偉いさんからの紹介状でもないとねぇ‥‥」
 ああ、ラシュディア前途多難。
「確か、ミハイル研究室のシャーリィ・テンプル女史がここから出る船を借りたって言う話をききましたけれど‥‥」
「ええ。貴族の紹介状を持ってね。学術調査という名目で出してあげたけれど、竜の背骨までは向かってないからねぇ‥‥その手前の小島で降りて、次に迎えに行った時は居なかったから‥‥小舟で渡ったのかもねぇ‥‥」
 とりあえずそれを聞いて、ラシュディアはさらにプロスト領までダッシュ!!
「あの‥‥ミストルディンさん。ゼロという名前の鍛冶師を御存知ですか?」
 そう問い掛けていたのはシャルロッテ・ブルームハルト(ea5180)。
「ええ、マイスターゼロね。トールギスの一番弟子で、禁断の邪法に手を出した鍛冶師ですね‥‥」
「邪法?」
 そう問い掛けるシャルロッテに、ミストルディンはゆっくりと話を始めた。
「マイスター・ゼロは腕のいい武具師でした。その腕を認められてマイスター・トールギスの元に弟子入りし、様々な武具を作っていたのです。が、ある日、古い文献から魔法武具の秘術を見出し、ゼロは魔法武具の研究を始めました‥‥」
 サラサとガブリエルも、この話をじっと聞いていた。
「いくつもの試行錯誤の上、ゼロは貴族のバックアップを受けつつ、幾つかの魔法剣を作り出したのです。が、それはトールギスやマシュウの鍛えし剣には及ぶことなく、ゼロは様々な研究を続けたのです。そして行き着いた先が、『魔剣』の作成でした‥‥」

 ゾクッ‥‥

 一瞬、其の場の温度が下がったように感じる一行。
「魔剣‥‥ですか」
「ええ。それも邪法。呪われ師剣を自ら生み出そうとして、ゼロは巨大な炉を作りあげ、その中に剣の材料を放り込み、高温で溶かし‥‥最後に、近くの村からさらってきた人たちを炉の中に‥‥」
 ゴクッ
「そして生み出された『人の怨念のこもった金属』を鍛えあげ、ゼロは様々な剣を作りました。その剣は確かに強大無比でしたが、それでもなおマシューやトールギス、そしてディンセルフに及ぶことなく。ついにはゼロは人里を離れ、今もなお何処かで剣を鍛えているということです‥‥」
 そこで話しは終った。
「ふぅ。間に合ったか‥‥」
 息を切らせつつ、アンリはサラサ達の元にやってくる。
「どうしました? 私達もそろそろ出発しようとしていたのですが‥‥」
 そう告げるガブリエルに、アンリは先程の話をすべて説明した。
 そしてサラサ達も、ここでの情報をアンリに伝えると、一行はパリをあとにした。
 目的地は『シャルトル南方』。


●賢人の俊樹
──プロスト領
「はぁ、ああ、ヨハネス卿ですか。普通の領主ですよ?」
 あっけらからーーーんとそう告げるプロスト卿に、薊鬼十郎(ea4004)もはぁ、としか告げる事は出来ない。
 鬼十郎はヨハネス卿や巫女しぃについて、そして理由の民の事を色々と教えてもらおうとやってきていたのである。
「普通ですか‥‥では、彼の元のセフィロト騎士団については?」
「優秀な騎士団という話を伺っています‥‥と、ここまでなら普通の話なんですけれどねぇ‥‥」
 パチンと指を鳴らし、プロスト卿はメイドや執事達を人払いする。
「さて、何故貴方たちがヨハネス卿に関っているのかは知りません。ただ、手を出すのは得策ではありません」
 真面目な表情でそう告げるプロスト卿にたいして、鬼十郎は頭を傾げる。
「グレイファントム動乱、そして破滅の魔法陣。彼の領地にのみ、その火種は飛んでいかない。それは何故か判りますか?」
「いえ‥‥なにか裏があるのですか?」
「彼の私兵であるセフィロト騎士団、そしてその背後にいる『ドラゴンティマー(竜使い)』の存在が、他の領主が彼の土地に対して『沈黙の不可侵』を植え付けているのです。もし手を出したら、竜の力で全てを焼き払う‥‥とね?」
「それは事実なのですか?」
「さぁ‥‥私もその『ドラゴンティマー』を見た訳ではなく、そしてそれはグレイファントムもでしょう。他のヨグ卿なども実際に見たという報告はしていません。ですが、彼がシャルトル南方に広がる『竜の民』に対して惜しまない援助をしていたということを考えると‥‥彼は竜の民を味方に付けているといっても過言ではないでしょうねぇ‥‥」
 えーっと。
 鬼十郎もしばし熟考。
「え? つまりヨハネス卿はいい人なのですか?」
「その地の民と竜の民にとっては良い人です。まあ、あのニライ査察官が査察に入っても、あの人に不正があるかどうかを知ることは困難でしょうから‥‥」
「つまり、その本質を調べる必要があるということですか?」
「そうなんですけれど。ミストルディンクラスの情報屋があの町を調べても判らなかったという事実もあります。シーフギルドか、若しくは冒険者の中でも手練れの人に調べてもらうという事か無難なんでしょうねぇ‥‥」
 そのプロスト卿の言葉の瞬間、鬼十郎の脳裏にリスターの顔が浮ぶ。
(それはない‥‥)

──パッパッ

 ああ、瞬殺で消しているし。
「竜の民についてですが、巫女と竜の関係ってなんなのでしょうか?」
 そう問い掛けた鬼十郎に、プロスト卿も頭を捻る。
「私自身色々と調べてみたのですが。どうも今ひとつ有力な話が聞き出せなかったのですよ。ただ、巫女は竜と婚姻を結び、村に平和をもたらすという事しか‥‥。でも、巫女は竜の怒りを沈める為の贄となる運命ですし‥‥」
 流石のプロスト卿も、そこまで古い伝承となるとお手上げなのかも。
「こっちについても、1度私が王宮の賢人達に問い掛けて見る事にしましょう。明日は国王の元に呼ばれているので‥‥」
「こここここここ、国王様にですか? なにかしたのですか?」
 いや、鬼十郎、それは失礼。
「はっははっは。爵位叙勲です。このシャルトルを護るという立場とその功績が王の耳にも届きまして。新たに『辺境伯』という称号を受ける事になったのですよ」
 なぬ。つまりプロスト卿は伯爵位に。
 すっげー。
「それはおめでとうございます。これからはプロスト伯爵なのですね?」
「うーん。皆さんは今まで通りで結構ですよ。爵位を持つ貴族はすべて『卿』がつきますから」
 あ、成る程。
「鬼十郎さん、シャルトル南方には大小あわせて20以上の『竜の民』が存在します。中でも大きいのが『ネラーの村』『ミクシ村』の二つと、その間にある『民の村』と呼ばれているところです。『ネラーの村』は巫女の村、『ミクシ村』は竜の騎士の村です。そしてその間の『民の村』の湖に、竜は眠っているそうですから‥‥」
 ここまでがプロスト卿の調べてくれた情報。
 鬼十郎はしばしの別れを『ギュンター君の彫像』に語り、急ぎ合流地点へと向かっていった。


●竜の民と
 シャルトル南方の砦でオイフェミア・シルバーブルーメ(ea2816)とエルリック・キスリング(ea2037)と合流した一行は、まず、自分達の襲撃した『竜の民の村』へと向かった。
 その入り口で、一行は再び警戒されたが、長老がゆっくりと前に出ると、頭をさげて話を始めた。
「ノルマンの民よ。我等にどのような用か?」
 そう告げたとき、ガブリエルはゆっくりと話を始めた。
「私達は巫女しぃを探しています。ですが、巫女がいると言われていた隣村はすでに何者かによって滅ぼされてしまっていたのです‥‥」
 そう告げたとき、後ろから『嘘だ、きっとお前たちが殺したんだ!!』という叫び声も聞こえたが、それは長老が制した。
「すいません。森の民というのを御存知でしょうか? 私達は独自の調査で、騎士団と森の民が繋がっていて、となり村を滅ぼしたという事を知りました」
「そして、この村から来たのかは判らないが、パリでは『竜の民の騎士』が殺されていた。全ての背後で悪魔が暗躍しているようだな」
 ラシュディアとアンリがそう告げたのち、フィーンは前に一歩でると、剣の柄を示した。
「ご無沙汰しています‥‥長老」
「おお‥‥カリバーンの拳士フィーンよ‥‥そなたも彼等と共に?」
 アンリによってこの地に導かれたフィーン。
 その姿を見た竜の民たちからは、ざわざわとしたざわめきが消えはじめる。
 冒険者たちに向けられていた殺気はほどなく消え、別の怒りが村人達を包んでいる。
「長老様。悪魔は復活の儀式に『清らかな魂を持った竜の民』を利用してる可能性があります。そう信用してもらえないのはわかる‥‥でも、危険の情報を聞くのは損じゃないでしょう?」
 その言葉に、長老は其の場で深々と謝罪した。
「貴方の目は嘘をついていない。『友』よ。危機を告げてくれた事に感謝します‥‥」
「長老様。私に皆さんを護る事を許してください!!」
 それは鬼十郎。
 その言葉に動揺を見せる村人だが、長老の、
「‥‥今の貴方の瞳には迷いはない‥‥先程、墓に花をそえてくれたのもあなたですな‥‥御願いします」
 の言葉に従うしかなかった。
「長老、『森の奥の民』とは何者なのでしょうか?」
 そのエルリックの問いに、長老はゆっくりと口を開く。
「我々と敵対しているものたちです。この地方の古い民なのですが、我々のような竜信仰ではなく、古き精霊信仰の者たちです。我々は彼等を『精霊の民』とよんでいます。それでも、彼等と我々の間では取り決めがなされており、お互い不可侵の筈ですが‥‥」
 その言葉に、冒険者達は瞬時に悟った。
 その背後でヘルメスが絡んでいるだろうと。
「ひょっとしたら、巫女しぃは彼等に連れ去られた可能性があるっていうことかな?」
 オイフェミアの言葉に、一行は肯く。
「可能性は十分にある。巫女がいなければ竜の力は使えない。そのうちに、この地を‥‥っていうところか?」
 ラシュディアがそう呟く。
「もしそうなら‥‥シィは‥‥頼む。シィを救って欲しい。危険なのです‥‥シィが戻らなくては、我等では『竜の怒り』を沈めることは出来ない‥‥」
 長老がそう告げたとき、アンリは出発支度を始めた。
「長老どの、彼等の住まう地域を教えてください。直接出向いてみて話をしてみたい」
「それは構いません。が、彼等は我等のような定住する民ではなくうつろう民。方角とこの辺ということしか判りませんが‥‥」
 それでも良いということで、一行は精霊の民の集落を探す事になった。


●精霊の住まう地
──通称エリア9
 竜の民の住まう森のさらに奥。
 いまだ人知れぬ獣道を、冒険者達はゆっくりと進む。
 ガブリエルのラファガ、ラシュディアのブレスセンサーなど、とにかく使えるものは全てを使って、人の気配を捜していた‥‥。
「‥‥そこに広場があるな」
 数日野調査の結果。
 とある場所に『村があったと思われる場所』を発見した一行。
「その中央か。人の呼吸が5つ‥‥」
 まだ物陰に隠れているときに、ラシュディアは人の気配を感じ取る。
「‥‥石の中の蝶は‥‥反応なし」
 サラサも石の中の蝶を時折確認しては、悪魔の存在に気をつけていた。
「悪魔の反応もなし‥‥精霊の民?」
 そのサラサの言葉に、ゆっくりと周囲を警戒して近づいていく一行。
 と、そこには一人の騎士らしき男が立っている。
「‥‥隠れていなくてもいいですよ‥‥別に怪しいものではありませんよ」
 何処かで聞いた事のある声。
「ん? ミハイル研の奴か?」
 ラシュディアがそう呟いてむかうと、そこには『ミハイル研究所』の所員達が立っている。
「どうしてここに?」
「それは私達の言葉ですよ。精霊信仰を調べていて調査にやってきたのに、なんで皆さんが?」
 そのままお互いの情報を交換する冒険者と所員。
 精霊の民の集落は、ここからまだ奥に在るということ、村の構成は一つにつき50名前後、外から来る者たちには心を開かないということ。
「お前たちは彼等とあったのか?」
 というラシュディアの問いに、研究員達は
「ええ。会いましたよ。話をしましたが、あまり快く迎えてはくれませんでしたから‥‥」
「その中に、明らかに別の村のような人はいましたか?」
 鬼十郎の言葉に、研究員は静かに肯く。
「ええ。なんでせも別の村の人とかで‥‥いたというよりは、捕まっていたのかな? まだ若い女性でしたよ‥‥」
 その女性の特徴と、長老から聞いてきたしぃの特徴は一致。
 そして一行はそのままさらに追撃に向かう。
 が、幾つかの跡地を見付けるとしか出来ず、時間も過ぎていったので断念となった。
 それでも、どうにか再び竜の民の信頼を取り戻した一行。
 帰路の途中、エリア23を偵察に向かったのだが‥‥。

 すでにエリア23は、破滅の魔法陣に呑み込まれていた‥‥。

「こ、これって‥‥」
 離れた場所から、茫然と見つめている一行。
 成長した漆黒の球体によって、村はすでに呑み込まれている。
 そして、一行は、脈動を続ける魔法陣の漆黒のドームに、なにかえもしれぬ危険を感じだ。
 まるで、その中に何かが息を潜めて蠢いているような‥‥。
 そんな危険を、一行は感じ取った。

──To be continue