●リプレイ本文
●裏切ったのか〜リッターキラー〜
──現場調査1・果樹園
「・・・・狐の化け物ねぇ・・・・」
ボディラインが強調された華国のドレス。
深紅の布地に虎と牡丹の刺繍、太股まで入ったスリットが、彼女? の姿を悩ましく(怪しく)彩っていた。
調査員としてマスカレードに勧誘されたニュイ・ブランシュ(ea5947)は、『調査員アニュイ』として、与えられた制服を身につけて颯爽と果樹園を調べていた。
「敵もかなりの規模らしいからな・・・・そう簡単に尻尾を出すとは思えないが・・・・」
そのまま奥へと進んでいくアニュイ。
「・・・・ふむ。その話は本当なのか?」
ふと奥から聞こえてくる謎の声。
「ああ。ノーヴァンリッターの技は魔法主体。なら、それに耐えうる方法さえ判れば、対処はなんとでもできる筈だ」
もう一人の声は明らかに仲間。
サクラ・クランシィ(ea0728)は森の奥で、敵幹部の一人と密会していた模様。
「成る程。いい情報を得る事が出来たな・・・・感謝する」
相手は仮面を付けた貴族。
深紅のマントを翻し、そのままサクラの元を立ち去ろうとする。
「まて!! 俺は仲間の情報を貴様達に渡したんだ!! 約束を・・・・獣耳の情報をよこせ!!、」
手を伸ばして仮面貴族を止めようとするサクラ。
と、男は立ち止まり後ろを振り返る。
「獣耳・・・・とあるデビルにより作られた秘薬。それだけは伝えておく。それが欲しければ、貴様達を支援している貴族、そいつの命と引き換えだ・・・・」
そのまま仮面貴族は立ちさって行った。
(サクラ、裏切ったのか?)
そのままアニュイは、敵のアジトの情報を得る為に仮面貴族の後を付けることにした。
──村
「うにゅ、兎の肉のワイン蒸し・・・・兎のソーセージ・・・・美味しいんだよね」
へろへろに為りながら飛んでいるのはエル・カムラス(ea1559)。
新しく入った調査担当のアニュイが男であるという事を知ったエル。
先程までは木陰で『兄ぃなんてい〜や〜だ〜〜〜!!』と震えていたのだが、リュリュに説得されて調査を開始していた。
「そ、それは本当ですか?」
「ああ。あんなに凄いのは見たことがない」
村人達に『狐の化け物』についての情報を訪ねていたウィル・ウィム(ea1924)は、様々な情報から一つの結論に達していた。
そして最悪な可能性を示す更なる情報。
それらを纏める為に、ウィルは仲間たちの待つベースキャンプへと向かっていった。
──敵アジト
調査員は潜入するのが仕事。
アニュイは敵の仮面貴族を追跡し、アジトのある洞窟裏へとたどり着いた。
表からは険しい崖を昇る必要があったが、丘陵にあった洞窟が実は繋がっている事を確認、敵に見つからないように静かに潜入したのである。
そこでアニュイは、大量のウサギが閉じ込められているエリアを発見。
4名のスマイリー達が其の場を監視していた為、アニュイはウサギ達を救出することはできなかった。
止む無く洞窟の別の場所を調査。
そこで信じられないものを見てしまったのである。
(‥‥皆に知らせなければ‥‥)
──果樹園付近
きょろきょろと挙動不審な行動をしているのはリスター・ストーム(ea6536)。
敵『狐の化け物』がシスター・オニワバンである可能性を考えたリスターは、彼女を助け出す為に敵アジトを探している。
だが、果樹園より先に向かう途中、どうやら道に迷ってしまったようである。
「完全に獣化しちゃってるのなら、俺が愛の力で姿を戻してラブラブハッピーエンドに一直線だー─!」
そう叫びながら周囲を調査、なんとしてもアジトに向かおうとしていた刹那!!
リスターの前方を、綺麗なお尻が歩いていた。
身体にぴったりと密着する真紅のドレス。
長く綺麗な髪を紫色のリボンでポニーテールに縛っている。
「あの後ろ姿はオニワバン? お、お嬢さーーーーーーーん」
そのまま後方から抱しめると、右手は胸に左手は股間へ‥‥。
──フリーーーズ
そして硬直するリスター。
「き、貴様!! 何をしやがる!!」
振り返ると、アニュイ。
素早く鉄拳3連撃をリスターに叩き込むと、アニュイは崩れた衣裳を直す。
「リスター、とうとう見境が付かなくなったか?」
「そ、そんな恰好でうろつくなぁ!! 俺はてっきり、オニワバンが俺の為にここで待っていくていたかと。そのまま二人で愛の逃避行に‥‥ウッウッウッ」
泣き崩れるリスター。
「まあ、そんな事はどうでもいい‥‥一旦戻るぞ」
そのまま嫌がるリスターを連れて、アニュイはベースキャンプへと戻っていった。
●依頼拒否〜ここで出ますかノリア&ヘブン〜
──ベースキャンプ
「うわぁぁぁぁぁぁん、うわぁぁぁぁぁぁん」
「うっうっうっうっ‥‥」
テントの隅では、ひたすら大泣きしているエルと、何処から持ち出したのかワインを片手に飲んだくれているリスターの姿があった。
一体何が起こったのか。
このベースキャンプにら戻ってきた一行は、まずブラックの裏切りに驚かされた。
「‥‥獣耳に誑かされたか‥‥流石変質者、己に素直だぜ」
フーリ・クインテット(ea2681)が舌打ちしながらそう呟く。
「で、問題は敵の正体です。狐の化け物ですが」
その言葉の瞬間、リュリュ・アルビレオ(ea4167)は耳をピクピクさせる。
「シスターだろ? 俺に任せろ。俺の愛の力で、彼女を助け出してみせる!!」
グッと拳を握り締めるリスター。
「狐耳の化け物は、男でした。偶然見てしまったのです。装備を整える為に着替えていたのを。この前のソードベアーのように狐の被り物を脱いだ、筋骨隆々のマッチヨでした‥‥」
──カチッ
「マッチョ‥‥うわぁぁぁぁん、うわぁぁぁぁぁん」
「はいはい。マッチョは恐いよねぇ‥‥」
泣きじゃくるエルを呼ぶと、頭を撫でながらそう呟くリュリュ。
その横では、リスターがごろっと後ろを向いて寝転がった。
「俺、この依頼パス」
そして村人から失敬してきたワインを片手に、静かに酒飲みモードに突入。
「パスって‥‥まったく、この人も己の欲望に素直なんですから‥‥いいですか、私達は困っている人たちの為に戦っているのです。その精神はどこに行ったのですか?」
ウィルの説法モード炸裂。
「知るか。いいか良く聞け、俺は正義の為に戦っているんじゃない!! いい女と出会い、幸せになる為だ。俺が守るべきはいい女、それ以外は許容範囲外だ。それをなんでわざわざマッチョ相手に戦わにゃならんのだ? 相手が美女でナイスバディだったら目の保養にもなるが、男の、それもマッチョのピクピク動く筋肉を見て癒されるか?」
その叫びで、さらにエルは泣きじゃくる。
ついでに、リスターも最後のほうは涙声。
そんな泣きながら力説せんでもという皆の突っ込みも無視して、リスターは飲んだくれはじめた。
「ノリア・ヘルッ!!」
──ドッゴォォォン
怒涛の叫びを上げながら、ノリア・カサンドラ(ea1558)が怒りの鉄拳をリスターに叩き込んだ。
「あーーーんと、ノリアヘブンッ!!」
──ドゴォォォォン
さらに一撃。
「甘ったれるんじゃない!! その拳は何の為にあるのっ。大切な何かを守る為じゃないの? 今の貴方を見ているといやになるわ‥‥考え直しなさい!!」
そのままノリアはテントから外に出ていった。
そして一行は、泣いているエルを連れて一人、また一人と外に出ていった‥‥。
「けっ‥‥男が欲望のままに生きて何が悪い‥‥」
リスターはそう呟きながら、手に持った杯の中で揺れている『古ワイン』をじっと見つめていた。
●奇襲〜やっぱりピンチ〜
──敵アジト
その後一行は、アニュイの先導で敵アジトに侵入。
エルとアニュイはスマイリー達の監視を突き破り、ウサギと化した子供達の救出に成功。そのままアニュイは子供達を連れて洞窟の外へ。
別の空間では、フーリとリュリュ、ウィルが敵『狐の化け物』と仮面貴族に相対峙している。
フーリとリュリュのウィンドスラッシュ、さらにウィルのホーリーでさえ無効化してしまう肉体。
魔法戦隊にとって、魔法攻撃が効かないというのは致命的である。
「‥‥そこまでよっ」
「そこまでだっ!!」
──ドゲゲゲゲッ
突然横手から現われたノリアとリスター。二人がかりで飛び蹴りを叩き込む。
「貴様達っ、何処から!!」
その仮面貴族の叫びに、二人は間髪入れずにこう叫ぶ。
『入り口からだっ!!』
そしてあっけに取られる敵を前に、素早く体勢を整えると、御存知お決まりポーズ!!
──さて、それではいきますか‥‥
「不埒で無茶な悪行三昧、セーラ様の名の元に、あたしたちが許さないっ」
その声はリュリュ。
拳をギュッと握り締め、目の前の幹部達に突き出す。
「灼熱のレッド!!」
そして御決まりのガッツポーズ。
「蒼き月光に導かれ‥‥我、その名の下に一条の光とならん」
その言葉と同時に空中に羽ばたく。
そしてくるりと回転すると、飛び蹴りのようなポーズ。
震える声から察するにエル。マスクに涙が滲んでいる。
「蒼蝶のブルー!!」
そして同じくガッツポーズ。
「正義の風が俺を呼ぶ‥‥」
その場で力強く構える。
パワーファイターが板に付きはじめたその勇士。
その声から察するにフーリ。
「‥‥初恋の味レモンイエロー!」
あ、また塗り変えてあるし。
っていうか初恋ってなんだ?
「正義の名のもとに参上。貴方がたの所業‥‥たとえ天の神々が許そうとも、私たちが許しません!」
静かに立ち、組んでいだ右腕を敵に伸ばし、指先をビシッと向ける。
声から察するとウィル。
「天啓のホワイト!!」
出ましたノーヴァンリッター最後の秩序。
「唸れ鉄拳、轟け拳!! 勇気と正義の名の元に!!」
左右のジャブ、そしてそのままバク宙。
ビシッと綺麗に立ち上がり、ぐっと両手を開いて威嚇の構え。
声から察するにノリア。
「太陽のゴールド只今参上!」
でたな、一人勇者王で黄金戦士。
「天呼ぶ、地呼ぶ、俺を呼ぶ、美女を愛せと俺を呼ぶ!!」
やる気半分、ノーヴァンリッターの欲望戦士。
クネクネと体をよじらせ、前モッコリのスーツでそう叫ぶリスター。
「歪愛のピンク!!」
そして鶴のポーズ。
「参上!! 魔法戦隊ノーヴァンリッター!!」
そして全員がポーズを取る。
「シスターを出せ!! 俺の元に戻すのだ」
リッターピンクが仮面貴族にそう叫ぶ。
と、そのピンクを制して前に出たリッターレッド。
「仮面貴族!! アナタは一体何者なの?」
そのレッドの力強い叫びに、仮面貴族は静かに口上を述べた。
「私か。私の名はアール・ヘンドリックス。人呼んで『黄昏貴族ヘンドリックス』。貴様達ノーヴァンリッターに死を与える為に推参(推して参った)!!」
静かに剣を引き抜くと、そのままリッターたちに構える。
「ダークフォックス。ここはお前に任せる‥‥」
そのまま狐の化け物に指示を飛ばし、後ろの通路から逃走するヘンドリックス。
「待て!! シスターを返せ!!」
そのピンクの言葉に、ヘンドリックスは何も告げずに立ち去った。
「ここから先は、この私が通しません‥‥」
ムキッと筋肉が脈動するダークフォックス。
「うう‥‥マッチョ‥‥」
その姿にリッターブルーが後ずさるが、ピンクがその肩をポンと叩いた。
「あいつを倒せば、次は綺麗なねーちゃんに違いない‥‥」
よこしまな目標を、どうやらリッターゴールドさんに吹き込まれたらしい。
「相変わらずだな‥‥」
一匹のウサギを抱きしめながら、リッターブラック華麗に参上。
「ブラック!! やっぱり裏切ったんだね‥‥」
ブルーが哀しそうな声を出す。
「お、オニワバンが居るなら俺も!!」
ピンクも相変わらず暴走。
「貴方の心に正義はないの? まだ間に合うわ!! 帰ってきてブラック!!」
そしてレッド必死の説得。
「暑苦しい!!」
ブラックが冷酷にそう吐き捨てる。
「この世に獣耳に敵うものなどありはしない‥‥ハーーッハッハッハッ」
激しく高笑いをするブラックだが‥‥。
「‥‥愚か者っ!!」
──ドガガガガガガガガガガガガガガガガガカァ
リッターレモンイエローが、一気にブラックとの間合を詰めると、そのまま高笑い中のブラックに向かって鉄拳制裁。
ちなみに鉄拳はゴールドより拝借。
オラオラですか。
「‥‥たかが獣耳萌えだと? ‥‥見ろ、その兎はふるふる耳を震わせながら喋るぞ」
聞こえているか定かではないが、倒れているブラックに向かってそう叫ぶレモンイエロー。
「真の獣耳マニアへの道は遠い‥‥」
そのままがっくりと崩れた後、直に立ち直るブラック。
「おのれ、よくも俺をハメたな!」
素早く腰からメイスを引き抜くと、そのまま構えを取るブラック!!
「みんなも、行くわよッ!! 必殺、『ノーヴァン流星地獄落とし!』」
そのレッドの叫び声に合わせて、全員が一斉にフォーメーションを取る。
──ガチッ
敵ダークフォックスの側面に回りこみ、肩を掴んでそこを支点に飛び上がるゴールド。
「ノリアボンバー3―『ブルーインパクトゥ!!(神々の衝撃)』」
ダークフォックスは立上がれない。
そのまま次々とダイビングボディープレスを叩き込むノーヴァンリッター。
そして止めはゴールド。
全員が重なりあっている上に、きりもみで強烈なドロップキックを叩きこむ!!
だが、こんなので止めを刺せる筈もなく、ダークフォックスは一気に全員を跳ね飛ばすと、そのまま全力で逃走。
ノーヴァンリッターの必殺技の弱点の一つ(まだあるで)、魔法攻撃を無効化する敵と戦うときの方法は生み出したが‥‥威力がない。
それは今後の課題というところであろう。
そして一行は、助け出したウサギ達と一緒に居るアニュイの元へと戻っていった。
アニュイとウサギ達の元にもどったノーヴァンリッター。
その瞬間、ウサギに変えられていた子供達の姿が元にもどった。
どうやら薬はまだ゜未完成だったらしく、時間が経った為に効果が切れてしまった模様。
いずれにしても無事に子供達を村に送り届けた後、一行はパリへと戻っていった。
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