ジョーンズ・リポート〜魔人リベンジ〜

■シリーズシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:6〜10lv

難易度:やや難

成功報酬:3 G 40 C

参加人数:10人

サポート参加人数:-人

冒険期間:03月10日〜03月16日

リプレイ公開日:2005年03月15日

●オープニング

──事件の冒頭
「‥‥教授、良く生きていましたねぇ・・・・」
 いつもの冒険者ギルド。
 カウンターに立っているミハイル教授にそう問い掛けているのは、御存知薄幸の受付嬢ニア・ウィンズ。
「うーむ。思ったよりもイフリートは難敵じゃったわい。ということで、追加依頼じゃ。精霊に詳しくて、イフリートも一撃で倒せて、さらに回復魔法のエキスパートを頼む」
「無理です!!」
 キッパリと言い切るニア。
「精霊に詳しいのはウィザード、イフリートも一撃で倒せるのはおそらくファイター、回復はクレリック・・・・全ての能力を兼ね備えたスーパーファイターなんて・・・・あ!!」
 そう言いかけて、ニアは何かを思い出した。
「あ?」
「あ・・・・りえなーい。ハハハッ。ぶっちゃけありえないですよ、うんうん」
 何かうまく護魔化したようですが、何はともあれ。
「うーむ。なら、今のうちどれかを2名追加人員で頼む!! 予算はある!! スポンサーが付いておるからのう!!」
 ちなみに『スポンサー』と書いて、『持つべきものは昔の仲間』と読みます。
 とりあえずプロスト卿に合掌。
 ガシャッとお金の詰まった袋をテーブルに置くと、依頼書を作成するミハイル。
「判りました。で、いつ頃からですか?」
「直に、直ちに、とっとと頼むって・・・・おーーーーーい」 
──ずるずる
 あ、どうやら今回の仲間たちが教授を引きずって連れていった模様。
「と言うことで、お願いしますねー」
 シフールの少女はパタパタと飛びながら連れ去られていくミハイル爺の横を飛んでいった。

●今回の参加者

 ea1703 フィル・フラット(30歳・♂・ファイター・人間・ノルマン王国)
 ea2100 アルフレッド・アーツ(16歳・♂・レンジャー・シフール・ノルマン王国)
 ea2816 オイフェミア・シルバーブルーメ(42歳・♀・ウィザード・人間・フランク王国)
 ea3047 フランシア・ド・フルール(33歳・♀・ビショップ・人間・ノルマン王国)
 ea3063 ルイス・マリスカル(39歳・♂・ファイター・人間・イスパニア王国)
 ea3448 チルニー・テルフェル(29歳・♀・ジプシー・シフール・ノルマン王国)
 ea4107 ラシュディア・バルトン(31歳・♂・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea4791 ダージ・フレール(29歳・♂・ウィザード・シフール・ノルマン王国)
 ea4919 アリアン・アセト(64歳・♀・クレリック・人間・ノルマン王国)
 ea5512 シルヴァリア・シュトラウス(29歳・♀・ウィザード・人間・フランク王国)

●リプレイ本文

●という事で〜まずはミーティング〜
──ミハイル研究室
 リベンジを近い、研究室に集った一同。
 まずは前回の反省も踏まえて、これからの作戦を考えることにした。
「前回再挑戦を誓ったのに、二人も欠席者がいるわ!! 今度あったらブチのめしてやるんだから」
 そう呟きながら、シャーリィのテーブルの上に置かれていた『装飾の施された剣』をブンブンと振るのはオイフェミア・シルバーブルーメ(ea2816)。
「あーーっ。それはまだ調査中の剣なんですから、駄目ですってば!!」
 慌ててシャーリィが、オイフェミアから剣を取り上げる。
「はいはい。でも、それも魔法王国の遺跡に関するものなのかしら?」
 そう問い掛けるオイフェミア。
「いえいえ、私は別の遺跡調査ですから・・・・古代魔法王国は教授の専門分野です。私はこの剣に秘められた歴史の調査です・・・・」
 まあ、それはそのうちでしょう。
「御無沙汰していますわ、教授。今回もよろしくお願いしますわね」
「私も、頑張らせて頂きますので」
 丁寧に挨拶をするのはシルヴァリア・シュトラウス(ea5512)とアリアン・アセト(ea4919)の二人である。
「おお、これは丁寧に。わしこそ宜しく頼むぞ」
 丁寧に挨拶を返すと、早速本題に入ることになった。
「教授。とりあえず質問があるんだが・・・・。ご先祖様はどうやってイフリートを2体かそれ以上、封印するだなんて大技に成功したんだ? 参考に出来る部分があるなら、是非真似したいんだが・・・・」
 そう問い掛けるフィル・フラット(ea1703)だが、ミハイル教授は静かに頭を左右に振る。
「恐らくは、失われし王国の秘術であろう。今まで調べた石碑や写本にも、それにまつわる話しは記されていないのじゃ」
 その言葉の後で、チルニー・テルフェル(ea3448)がエヘンと咳払いしつつ、皆に話を始めた。
「あのねー。あたしね、あのあといろんな所で精霊について勉強したんだよー。それでイフリートの事も色々と判っちゃったんだ!!」
 おお、それは凄いぞ。
「では、ちょっとチルニーにイフリートについて説明して頂きますか」
 ルイス・マリスカル(ea3063)が皆にそう話すと、一行はそのままシャーリィの持ってきたハーブティとミハイルの出したお茶菓子『団子』を食べつつ、話に耳を傾けた。

──そして1時間後
「・・・・もし、今のチルニーさんの話が本当ならば、イフリートに勝てる方法もあるということですね?」
 そのアルフレッド・アーツ(ea2100)の言葉に、一行は静かに肯いた。
「これは私からの提案なのですが。お話を伺った所、守りの盾というのは、炎の迷宮で『火の精霊』によって守護されていたと伺っています。ならば、今回のイフリートとの戦いにおいても有効に使えるのではないでしょうか?」
 アリアンがそう提案する。
「ふむ。ならばルイス、今回はこのシールドを装備していくとよい」
 ゴトッとテーブルの上に『守りの楯』を置くミハイル。
「しかし、大丈夫でしょうか? 戦闘で壊れたりしたら・・・・」
「なーに。長い年月を得てもなお劣化していない精霊の楯ぢゃ。多少手荒に扱ってもびくともせんじゃろうて」
「き、教授、俺には!!」
 慌ててフィルがそう叫ぶが。
「お主には戦の女神の加護のこもった楯がありぢゃろう?」
 ガクッ・・・・。
 と言うことで、作戦はさらに詰められていく。
 問題は二体のイフリートの対処。
 一体ずつ相手をするのでありればまだ勝てる見込みはあるが、イフリート二体の連携ともなると、勝率はほぼ皆無。

──バラララツッ
 前回作り出したマップ。
 最後の行き止まりエリアを含めても、書き記されていないのは最後の回廊の先のみである。
「行き止まりの部分が数カ所。ここをどうにかして、追込まれないようにしないと・・・・」
 シルヴァリアがそう皆に説明する。
「対火魔法でしたら、私のレジストが有効になりますね」
 ダージ・フレール(ea4791)がそうルイスとフィルに説明。
「そうですね」
「中に入ったら直に頼むよ」
「判りました」
「では、私は前回と同じくホーリーフィールドでの援護を行ないます。大いなる父の加護を、皆さんに・・・・」
 手を組み、静かに瞳を閉じてそう告げるのはフランシア・ド・フルール(ea3047)。
「この前も、フランシアさんのホーリーフィールドがなかったら、みんな真っ黒だったかもねー」
 そう告げるチルニー。
「さて・・・・私は、グラビティキャノンでも叩き込んであげましょうかねぇ。相手の反撃する隙間さえなくしてしまえば、あとはどうとでもなりますからね・・・・それと、フランシアさん、ちょっと今回は協力して下さいますか?」
「私ですか?」
 そう自分を指差して告げるフランシア。
「そう!! 貴方のホーリーフィールドと私の魔法によるコンボ。ちょっと思い付いたのですよっ!!」
──キラーーン
 ちっょと恐い感じのするオイフェミア。
 今宵の彼女は危険です。
「・・・・うーーーん」
 アルフレッドは腕を組んでパタパタと考えている。
 果たして自分に出来ることはなんであろう?
 前回の仲間が二人、別の依頼の為に協力できない。
 そのために、自分が代役としてやってきたのはいいが、既に第四階層の大半は踏破され、地図まで出来上がっている。
「もう一体からの襲撃に対しての警戒かな・・・・」
 そう自分に言い聞かせると、アルフレッドは考えるのを止めた。


●リターンマッチの2〜突入・そしてリベンジ〜
──第四階層
 コツーンコツーン。
 静かな回廊を一行の足音が響く。
 前回やってきたときよりも、さらに壁などの破損が激しくなっている。
「随分と荒れているようだな・・・・」
 フィルが静かにそう呟く。
「ここに来るのは始めてですけれど、随分と荒廃しているようですわ・・・・」
「そうですね。そうそう。フィルさんとルイスさんはこっちに・・・・」
 アリアンの言葉の後、ダージがレジストファイアーを詠唱。
 ダージの身体が青く輝き、そして静かに光が消える。
「これで大丈夫です!!」
 さらにラシュディア・バルトン(ea4107)も詠唱開始。
 ブレスセンサーでイフリートの呼吸を捕らえようとしたのだが、魔法は発動するものの、反応はなし。
「あっちゃあ・・・・やっぱり精霊は呼吸していないかぁ・・・・」
 惜しい、残念!!
 そして一行は無事に出発した。
 周囲を警戒しつつ、後方からの不意打ちに対しても対処の出来るように・・・・。
 という事で、いつものアレ。

〜〜〜図解〜〜〜
・上が先頭になります
・遺跡内部での灯はチルニーとオイフェミアが担当
・二人はメンバーからランタンを借用
・マッパーはダージが担当
 トラップ関係はアルフレッドが、そのサポートにチルニーが付く
・戦闘時はミハイル教授が荷物の護衛
・また、必要に応じて各員が松明の準備
・調査時はフィル、ルイスは後方へ、アルフレッドは後方へ

        
    フィル ルイス  
  フランシア アリアン
  チルニー 教授 オイフェミア
 シルヴァリア ラシュディア
 アルフレッド ダージ
  

〜〜〜ここまで〜〜〜

「古代魔法王国には凄い化粧品とかないかな〜」
 ダージがそうミハイルに問い掛ける。
「ふーむ。まだはっきりとしたものを確認したわけではないからのぅ・・・・あるかもしれんな。じゃが、男のお主がどうして?」
 そう問い返すミハイル。
「いえいえ。純粋に探求心ですよ。不老長寿は魔法で可能かもしれないけれど、『美しさ』は魔法では難しい。錬金術がそれが出来るかと言えば何ともいえないけど・・・・そういうのが無くても彼らが構築した『美』には興味ありですよ」
 キッパリとそう告げるダージ。
「成る程のう・・・・」
 とりあえずは納得するミハイル。
 やがて一行は、一番最初にイフリートと遭遇した場所に到着。
「あの角から姿を表わしたのですよ・・・・」
 そうルイスが告げたとき、ヌッと姿を表わすイフリート。
──ガシャン
 一斉に戦闘モードに切替える一行。
 だが、イフリートはニィッと笑みを浮かべると、素早く奥へと戻っていく。
「また剣を取りに向かったな・・・・」
 武器を取られると明らかにこちらが不利。
 そう判断したフィルとルイスは急いで曲がり角まで走っていき、そして曲る。
──ドドドドドドッ
 そして走って戻ってくる。
「いきなり二体だぁ!!」
 フィルのその叫びに、メンバーは一斉に戦闘態勢に入る。
 アリアンは詠唱スタンバイ、フランシアとオイフェミア、ダージ、シルヴァリアは詠唱開始。
 チルニーは観察モード、アルフレッドは防御姿勢に移行する!! 
 そして全員の荷物の番人をするミハイル。
「後ろから来るのは引き受けますっ!!」
 前衛二人は踵を返すと、襲いかかるイフリートに向かって身構えた。
「大いなる父よ。その守護の力をっ」
──ブゥゥン
 まずはフランシアのホーリーフィールドが展開される。
「いきます!! グラビティキャノンっ!!」
──ドゴォォォッ
 相手に反撃の暇を与えないようにオイフェミアが先制でグラビティアタックを叩き込む。
「グォォォォォォォォッ」
──ゴゥゥゥゥッ
 絶叫を上げるや否や、イフリートが高速詠唱でファイアーボムを叩き込む。
 この前と全く同じシチュエーション。
 見事にグラビティキャノンは消滅し、さらにファイアーボムが襲いかかるが。
──ビシィィィッ
 ホーリーフィールドにより、その攻撃は相殺。
 さらに結界は破壊されず、維持されたままである。
「いまだっ!! ウィンドスラッシュ!!」
 さらに追い撃ちでラシュディアが反撃。
──ドシュッ
 いきなりイフリートの皮膚が切り裂かれた。
 そして。
「氷よッ。彼の者を捕らえ、永劫の眠りにっ!!」
「氷よっ、我が周囲に結界をっ!!」
 ダージとシルヴァリアのアイスコフィンが発動。
 シルヴァリアは手近に落ちている洞窟から剥がれた岩を、そしてダージは後方から走ってくるイフリートに向かって。
──ガシィィィッ
 近くの岩は瞬時に氷つき、僅かではあるが冷気を発する。
 そしてダージのアイスコフィンで、後方から走ってきたイフリートは瞬時に氷によって固定されてしまう。
「いやったぁ!!」
「やりましたわっ!!」
──パーーーン
 両手を叩きあわせて喜ぶシルヴァリアとダージ。
「これで敵は一人。ならばっ!!」
 ルイスとフィルの反撃が開始される。
──ガギィィィィン
 激しく打ち鳴る剣と剣。
 ルイスの一撃をイフリートはなんとか剣で受止める。
「そこだっ!!」
──ザシュュュュッ
 そして側面からフィルが切り付ける。
「グォ・・・・グォォォォォォォッ」
 低い唸り声を上げつつ、イフリートは後退。
「させるかっ!!」
 さらに追い撃ちを掛けるように、フィルが切りかかるが、それを難無く躱わすイフリート。
 そして左手をフィルに向けた瞬間!!
──ゴゥゥゥゥゥゥゥッ
 フィルの足元から灼熱の炎が巻き起こる。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ」
 全身が火だるまになったフィルは慌てて転がった。
──ドゴォォォッ
 さらにフィルを中心とした爆発が発生。
 全身を灼熱の炎に焼き焦がされ、フィルは歩くことすら出来ずに其の場に崩れていく。
「フィルさん!!」
 咄嗟にアリアンがフィルの元に飛び出すと、リカバーの詠唱を開始する。
「駄目です・・・・顔も焼けて・・・・呼吸が・・・・急いで大聖堂に連れていかなくては!!」
 アリアンのリカバーも間に合わない。
 ヒーリングポーションを飲ませるにも、咽も焼けてしまっているらしく、満足に呑ませることもできない。
「大いなる父よっ!!」
──ブゥァン
 フランシアのブラックリーが発動。
 さらにシルヴァリアのアイスブリザードが、ダージのウォーターボムが、ラシュディアのウィンドスラッシュが、そしてオイフェミアのグラビティキャノンが炸裂していく。
──ドゴドゴドゴドコッ
 その全てを全身に受けて、イフリートは両腕で顔を被いつつ後退。
 手にした剣は其の場に落ち、じっと再生を待つ。
──シャキーーーン
「フィルの仇です。」
 ルイスが手にしたルーンソードでイフリートに一撃を叩き込む。
「グッ・・・・グォォォォォッ」
 絶叫を上げて其の場に崩れるイフリート。
 と、突然イフリートは片膝を付き、右拳を地面に付けて頭を項垂れる。
「グルルル・・・・グルルルルルッ・・・・」
 低く唸るものの、もう抵抗するような仕種を見せないイフリート。
「イフリートが降参したんだ!! もう戦う必要はないよっ!! 1度大聖堂に戻らないとフィルが死んじゃうょっ!!」
 そのチルニーの言葉に、ルイスは一旦剣を鞘に修める。
「イフリートよ。もし貴方が降伏したのならば、この守りの楯に加護を与えるのです!!」
 そう告げてルイスはイフリートに対して楯を見せる。
「グルルルルルッ・・・・」
 右手を楯にかざすイフリート。
 と、突然右手が業火に包まれる。
 そのまま楯を静かに撫でていくと、イフリートはそのままさっきと同じ体勢のまま動かなくなった。

 守りの楯には、精霊文字が刻まれていた。
 
 守りの楯から『灼熱の楯』として生まれ変わったのである。 
「では・・・・」
 そのまま一行は、一旦プロスト領内にある『シャルトル大聖堂』に向かうと、大司教に謁見し、フィルの治療を頼み込んだのである。

──翌日
 無事にフィルの治療を終えた一行は、これ以上の無理は掛けないほうが良いだろうと判断。
 残った時間を研究室での調査にあて、パリへと帰還していった。

〜To be continue