●リプレイ本文
●という事で〜リベンジだっっっっ〜
──シャルトル地方
「‥‥おお。久しぶりぢゃな‥‥」
のんびりと庭でハーブティーをすすっているのは御存知ミハイル教授。
地下迷宮へと出発する為にやってきた一行は、そのあまりにも元気そうな姿に驚いている。
「教授‥‥元気になったんだねぇぇ☆」
そう叫びつつ、チルニー・テルフェル(ea3448)がミハイル教授に抱きつく。
──グラッ‥‥バタァァァァン
そのまま後に倒れるミハイル。
「教授‥‥無茶ですわ。悪魔に魂の一部を奪われたのなら、確かに外傷はないでしょうけれど‥‥その肉体の辛さは、普通の怪我とは比較に為らない筈ですわ」
「私達に元気な姿を見せたいのでしょうけれど‥‥御自愛下さいませ」
フランシア・ド・フルール(ea3047)とアリアン・アセト(ea4919)が、ミハイルを静かに起こすと、其の場に静かに座らせる。
「う‥‥うむ。やはりばれていたか‥‥」
そう呟きつつも、ミハイルは一行の元気そうな姿を見て安心したのか、そのまま静かに眠り込む。
「シャーリィさん、教授をお願いします‥‥」
ラシュディア・バルトン(ea4107)はそう頼み込むと、一行と共に早速地下迷宮へと向かった。
●移動する壁〜使い物にならない地図〜
──地下迷宮・第五階層
静かに地図を見つめるのはフィル・フラット(ea1703)。
パリを出る際、フィルは友人であるシエラ・クラインに一枚の地図を手渡していた。
それは、この第五階層の地図。
シエラは、パリでフィルから受け取った地図に対して、バーニングマップを発動した。
それにより、水の精霊の住まう部屋までの最短ルートは判ったのである。
それをさらに羊皮紙に記して、再びやってきたのは良かったのだが‥‥。
「最短ルート‥‥どこが最短なのよぉぉぉぉぉぉっ」
背中にぬいぐるみを背負ったオイフェミア・シルバーブルーメ(ea2816)がそう突っ込みをいれる。
「この動く扉までは、理解していなかったのだろう?」
そうオイフェミアに向かって話し掛けるのは御存知、チーム‥‥ワイルドギースのリーダーであるカーツ・ザドペック(ea2597)。
ギミックによるムービングウォール。
その法則性までは、魔法でも理解することは出来なかったのであろう。
それでもなんとか一行は、無事に前回突入した『水の精霊』の待つ部屋の前までやってきていた。
「さて‥‥どうしてもやるのですか?」
目の前で『怪獣のぬいぐるみ・改』の準備をしているオイフェミアに向かって、シルヴァリア・シュトラウス(ea5512)がそう告げる。
「ええ。やっぱへ怪獣のよさを判ってもらいたいですから。それに、今回は私が着るのではないですし‥‥正直、あのフィディエルにもう一泡ふかせたいのはやまやまだけど‥‥」
今回はなんとか我を押さえたオイフェミア。
取り敢えずはシルヴァリア・シュトラウス(ea5512)に協力を頼み込むと、そのまま他の仲間たちの作っている『花籠作戦』の為の手伝いを開始する。
──そして突撃
ゆっくりと扉を開く。
室内には、この前のように気だるそうな表情でボ──────ーツと水に浸かっているフィディエルの姿があった。
扉の外では、ルイス・マリスカル(ea3063)を除く一行が静かに待機している。
まずはルイスが直接フィディエルと交渉を開始。
●ルイス〜掴みはOK〜
──ポロロン♪〜
愛用のリュート『バリウス』を静かに奏でる。
ルイスは、故国イスパニアの曲を、穏やか目のアレンジで演奏していた。
その曲に、フィディエルも耳を傾け、そのままじっと演奏が終るまでうっとりとした表情で聞いている。
そして曲が終った後、ルイスはゆっくりと帽子を外し、頭を下げる。
「先達ての御無礼、詫びるためにと拙きながら一曲献じさせていただきました」
「いい曲ね。また私に色々と持ってきたのかしら?」
どうやらフィディエルは皆の話に耳を傾ける余裕が出来たようである。
「ええ。その前に謝罪をと思いまして‥‥前回『暴走』をした人間は感性が常人と異なるがゆえのことで、悪気はなかったようなのです。今回もこの地下迷宮に私達と共にやって来ていますが、何かやらかしても悪乗りした小妖精に対する程度の寛容で見過ごして欲しいのです‥‥」
その言葉に、フィディエルは少し不満そうな表情を見せるが、すぐに表情を和らげた。
「まあいいわよ。それで、貴方は何を見せてくれるの?」
そう問いかけるフィディエルに、ルイスは懐から『真珠のかんざし』を取り出した。
「真珠がはめられています。水の精霊である貴方には良くお似合いかと思われますよ」
『ラブ評論家』の本領発揮。
その言葉に気を良くしたフィディエル。
そのままルイスは『真珠のかんざし』をフィディエルにさして、そのまま一礼。
次のメンバーにバトンタッチ!!
●アリアン〜誠実さは私の標準装備です〜
──噴水前
「これをどうぞ‥‥」
そう告げたのはアリアン・アセト(ea4919)。
目の前で余韻に浸っているフィディエルに、アリアンは『湖沼の精なら、海とは余り縁がないのでは?』と考え、『波打ち際の貝殻』を差し出した。
「これは何かしら? 見た事のない貝殻ね?」
「ええ。それは以前、海賊退治に出掛けた際に、海岸を散歩中に見つけたものですわ。そっと耳に当ててみてください」
そう告げるアリアンの言葉に従い、フィディエルは静かにそれを耳に当てた。
聞こえてくるのは、遠く潮の音。
「貴方は水の精霊。そのようなものを聞かせるのは本来必要はないものなのかも知れません‥‥ですが、今一度思い出してください」
そう告げるアリアン。
フィディエルはその間、じっと聞こえてくる波の音に耳を傾けている。
「水は湖から流れ、川を下ります。そして海へとたどり着きます。そして雨となり、また山へと戻ります。水の精霊である貴方にこういう事をお話ししても面白くないでしょうけれど‥‥
それらは、唯有り様の違いだけで本質は同じだということを再確認頂ければと思いまして」
そう告げるアリアン。
だが、フィディエルはそのアリアンの言葉に静かに耳を傾けている。
「私達の事を知っている人がいるなんて‥‥珍しいわね‥‥」
「ええ。色々と学んできましたので。それと、これはプレゼントですわ」
アリアンはそう告げてから、一枚の護符を取り出してフィディエルに手渡した。
「いつの日か、貴方が解放されたときのために‥‥ですわ」
そのまま静かに受け取るフィディエル。
反応はあったが、それがどう繋がったのであろうか。
●チルニー〜小手先の技より真心を君に〜
──やっぱり噴水前
大量の花籠を手に、姿を表わしたのはチルニー・テルフェル(ea3448)。
ちなみに花籠は冒険者有志による作成、デザインアドバイザーはオイフェミア。
前回作った花籠は『春の花』を集めて作ったものである為、チルニーは今回、『夏の花』をメインとした花籠を作った模様。
「プロスト城の庭に咲いていた花を集めて、綺麗な花籠を作ってみましたぁぁ」
そう告げつつ、花籠を手渡すチルニー。
「綺麗な花ね‥‥」
その香りを楽しむフィディエル。
「退屈だったんでしょ‥‥こんな地下に閉じ込められて‥‥」
そう告げるチルニーに、フィディエルは入り口の方をそっと見る。
「向うの扉からは、城の前の湖に繋がっているのよ。湖の底に沈んでいる地下神殿にね‥‥そことここを行き来できるから、私はまだ退屈じゃないわよ。優しいシフールさん!!」
とりあえず、チルニーの花かご作戦は成功の模様。
●ラシュディア〜花からさらに花へ〜
──噴水前
「キャンドルが入った数多の花籠がゆっくりと湖に流れ、空の星々が湖に映りこみキャンドルの炎の静かな光とあいまって空と湖とに星があふれていた‥‥その光景は、本当に幻想的だったな‥‥」
ラシュディア・バルトン(ea4107)は、以前見た『祈花祭』での出来事を静かに話し始めた。
一つ一つ、自身の心の中にある風景を、フィディエルに語りかけるラシュディア。
「外の世界では、色々なお祭りがあるのね‥‥」
ちょっぴりうらやましそうなフィディエルの呟き。
と、ラュディアは、そっと後から一つの花籠を取り出して、フィディエルに差し出した。
「君のために作ってみたんだ。どうか受け取ってほしい」
──バチャバチャバチャバチャ
突然噴水の中が騒がしくなる。
と、ラシュディアの今のセリフに反応した『水のフェアリィ達』がお腹を抱えて転がって? いた。
「こら。この人は本気なんだから、そんなに微笑っては駄目。楽しいお話を ありがとう。受け取らせて頂くわ!!」
●フランシア〜呑み会に突入〜
──噴水横
護衛のカーツより預かったワインをまずは差し出すフランシア・ド・フルール(ea3047)。
そしてその後でねフランシアは自分の実家に伝えられている逸品を取り出した。
それは『遠来姫絵巻』。
異国‥‥遥かジャパンに生まれ、波乱の生涯を送られた姫君の絵が書き記されている。
「これは、私の家に伝えられている絵巻です」
そう告げると、フランシアはまずフィ出てえるにワインを注いだカップを差し出すと、そのまま話を続けていった。
「この絵巻きに記されている人物は、かつてフランクで起きた大きな戦いで、ジャパンよりの援軍の旗頭として国を渡られた姫君です。ですが姦計により、悪魔に囚われ生贄とされそうになりました。しかし勇気ある騎士の手で救い出され‥‥その後も影となり日向となり常に姫君を支え続けた騎士は遂に姫君と結ばれ、今もその血脈は彼の地に息づいているということです」
そのまま話をじっと聞き入れているフィディエル。
そこでカーツも自分の持っている『フランク記念メダル』を取り出すと、それもまた、先程の絵巻きに記されていた戦乱での勲の証であることを告げた‥‥。
「私の知らない異国ね‥‥いいお話しよね‥‥」
●シルヴァリア〜誠実さが勝負の鍵〜
──噴水から壁際に移動
「先日の一件では、大変ご迷惑を御掛けしました‥‥」
まずは シルヴァリア・シュトラウス(ea5512)、丁寧に頭を下げて前回の無礼を侘びている。
「もういいわよ。皆さん謝っていますし、また同じことがあったら問答無用で叩き潰すけれど‥‥そんなことはないんでしょ?」
そう告げるフィディエルに、シルヴァリアはその通りと返答を返す。
「これはお詫びの品です。もし許して頂けるのでしたら、受け取って欲しいのですが、いかがかしら?」
そう告げつつ、シルヴァリアはフィディエルにシルクのスカーフを進呈した。
「そこまでしていただかなくても結構よ。それよりも、私は貴方がどんな話をしてくれるのか興味があるのよ‥‥」
そう瞳を輝かせつつ呟くフィディエル。
「私からのお話しは‥‥」
そう切り出して、シルヴァリアは『キューピットタリスマン』と『スターサンドボトル』取り出す。
「こっちが『キューピットタリスマン』。恋心を成就させる為のお守りね。そしてこっちが『スターサンドボトル』。恋人同士が持っていると、幸せになれるお守りの砂なのよ‥‥」
そう告げるシルヴァリアだが、フィディエルは今ひとつ興味を示さない。
「恋愛ねぇ‥‥したことがないから、今ひとつ判らないわねぇ‥‥」
「なら、こっちはどうかしら?」
くじけずに差し出したのは、『ドラゴンのぬいぐるみ』。
「この愛らしい外見、フワフワモコモコとした手触り。お部屋に飾ってもよし、抱しめてもよしというすぐれものよっ」
そのままフィディエルもぬいぐるみを手に取ると、ギュッと抱しめる。
──モコモコモコモコッ
ギュッ
──モコモコモコモコッ
ギュッ‥‥ギュッ
──モコモコモコッモコモコッ
(あ、なんだか楽しそう‥‥)
シルヴァリアの心の呟きのとおり、フィディエルはじっに楽しそうにドラゴンのぬいぐるみを抱きしめていた。
●フィル〜巫女巫女エレメンタル!!〜
──再び噴水前
「前回は本当に申し訳なかった、同行者のやる事を止めれなかったのは不味すぎたな。今回以降はあんな真似、やらせるつもりはないが‥‥」
そう頭を下げているのはフィル・フラット(ea1703)。
さすがにこれだけ謝られまくると、フィディエルの方もそろそろ飽きてきている模様。
「それで、貴方は何を見せてくれるの?」
気だるそうにそう呟くフィディエル。
と、フィルは荷物の中からジャパン伝来の様々な物品を取り出した。
「これは月道を越えた先、太陽が昇る地にある国の神職用装束だそうだ。フィディエルなら結構似合いそうな気がしたんでな、取り寄せてみた。‥‥ところで、お茶は飲める? いいお茶も入手出来てるんだ」
そう告げるフィルだが、すでにフィディエルはワインを飲み干して満足している。
「お茶‥‥よくわからないが、今は必要ない‥‥」
そう告げると、そっと巫女装束を手に取り、自分の身体に併せる。
「そうだ、ちょっとこれを着てみてくれないか?」
そうフィルに告げると、フィディエルは巫女装束をフィルに手渡す。
「えーーーっと。それは女性のものなので、男性が着ると‥‥」
「着てみてくれないか?」
「つまり、巫女装束というものは、それ自身が神聖な」
「着てみてくれないか?」
とほほ。
そのまま押され、フィルは部屋の片隅でそれを手に取ると、静かに巫女装束に着替える。
「こ、これでいいか?」
そう告げるフィル。
「うーん。こういうものなのか‥‥くるっと間をってくれないか?」
──クルッ
「頼む。そろそろ勘弁してくれ‥‥」
そう告げたとき、ふと入り口の方からフィルに注がれている視線に気が付いた。
それは外で待機している筈の仲間たちの視線。
──カーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ
途端に全身が真っ赤になり、慌てて隅っこに走りこむと着替えを始めた。
それでも、フィディエルは十分満足した模様。
●オイフェミア〜氷づけの怪獣〜
──噴水前
「あら‥‥性懲りもなく‥‥」
そう告げると、フィディエルは早速戦闘モードに突入。
「ち、ちょっとまったぁ。今回はこいつを持参したのよっ」
そう告げつつ、仲間たちに手伝って貰って『氷づけの怪獣』を室内に搬入する。
予め持ってきていたぬいぐるみに雑多な荷物を詰め込み、シルヴァリアに頼み込んでアイスコフィンを施して貰った模様。
「さあ、遠くの者は近くによって、この物体を御覧下さいっ!!」
突然啖呵を切るオイフェミア。
その光景に、フィディエルもキョトンとした表情でじっと耳を傾ける。
──パンパンッ!!
教授の家から持ってきたと思われるハリセンで床を叩き、さらにヒートする語り口調。
「ノルマン南部の洞窟で発見された6500年前に地上を荒らしまわった兇暴な怪獣! 体内の重力ぶくろにはパリを3分で全滅させるほどのグラビティーキャノンがたくわえられている。氷漬けにされているがいつ再びよみがえらないともかぎらない!!」
──パンパンッ
「なんだ、只のぬいぐるみじゃない‥‥」
そうボソリと告げるフィディエル。
「なんだですってぇぇ。おねえちゃん、それをいっちゃあおしめぇよっ。浪漫のかけらもなにもない‥‥」
啖呵を切りつつ、オイフェミアはスゴスゴと退場。
●ロックハート〜トリでいきます、プロポーズ〜
──噴水前
静かに前に進むと、ロックハート・トキワ(ea2389)はそっとフィディエルの手を取り、一つの指輪を其の手にはめる。
「これは冒険者仲間から聞いた話。昔、海を越えた先のとある‥‥」
静かに話を始めるロックハート。
「とある国に水の精霊に恋をした細工師がいた。彼はどうしても彼女に思いを伝えたかったらしい‥‥。そして、自分の思いを作った指輪に込めて送ろうと決めたんだ。彼は自分の持っている技術の全てを使い、美しい指輪を造り上げた
その指輪は、彼の純粋な思いと同じで透き通った色合いだった‥‥」
そう真剣に語るロックハート。
「彼の純粋な思いに心を打たれた精霊は、指輪に祝福を与えたそうだ。結末は‥‥どうなったのかな? 答えは誰も知らない‥‥」
その話しに耳を傾けつつ、フィディエルはジッと何かを考えている。
「ふぅ‥‥皆さん出てきて。ここまでしてもらったら、私もしてあげないとねぇ‥‥」
その言葉に、全員が其の場から外にでる。
そしてラシュディアが代表として『清水の靴』をフィディエルに差し出す。
しばらくののち、フィディエルは『清水の靴』に加護を刻みこむ。
全面にびっちりと『精霊碑』が刻みこまれた靴。
「これでいいわね。古の盟約に従い、私の力を必要とするときはいつでも読んでくださいね‥‥それまでは、ここの土地にも、この湖でのんびりとしているから‥‥」
ようやく二つめの加護ゲット!!
そしてうずうずしていたロックハート、ついに満を持して口を開く!!
「幾つか質問していいか?」
「ええ、どうぞ‥‥」
「名はあるのか? 何と言うのか?」
その問いに、フィディエルは頭を捻る。
「私は私だから‥‥」
「何故此処にいるのか?」
「最下層の結界を維持する為でしょう? 破滅の魔法陣『デス・サークル』のね?」
おっと。
いきなり全員の背筋が凍り付く。
それでもロックハートは気にせず質問を続ける。
「『覇王剣』という魔剣を知っているか?」
「さぁ?」
「偶に遊びに来てもいいか?‥‥一人じゃ退屈だろうし‥‥」
そう告げると、フィディエルは小悪魔のように笑みを浮かべてこう告げた。
「それって‥‥この指輪と意味があるのかしら?」
そう告げると、指にはめられている『誓いの指輪』を見せる。
「ああ‥‥君の話をもっと聞きたい‥‥が、そろそろ時間だ‥‥また、話を聞きに来ていいか? 勿論、俺も面白い話があれば教える‥‥その指輪に誓おう」
それで十分。
かくして一行は、そのまま次の階層へと向かうのであるが。
その前に、フィディエルの手によって、祈の間へと回廊から水が抜きとられ、そこかに地下へと続いていく階段を発見。
そこで一行は、とりあえず様子を見る為に地下へと降りていった。
●第6階層〜風の精霊〜
──小さいフロアー
そこは非常に小さいフロア。
階段を降りた先には、10m四方程度のフロアが存在するだけ。
中央には、一枚の石碑と、その奥にはさらに地下へと続くのであろう扉が施されている。
そして石碑には、古代魔法文字が刻みこまれている。
「さて‥‥ロックハート‥‥って早っ」
素手に石碑に近づき、罠などが仕掛けられていないか調べているロックハート。
「とりあえずOK」
「ならいきますか」
ラシュディアが古代魔法語の解読開始。
──そして1時間後
「6つの塔に昇りなさい。選ばれし6人は私に勇気を示しなさい‥‥さすれば、地下への扉は開かれるであろう‥‥か」
しばし考えるラシュディア。
「あっちゃあ‥‥またあの塔かよ‥‥」
ロックハート、6つの塔に聞き覚えあり。
「それはなんだ?」
カーツが静かにそう問い掛ける。
「このプロスト領には、ここの地下立体封印を固定する為の6っつの塔が存在するんだ。まあ、そんな話しはおいといて、それぞれが『囁きの塔』『呟きの塔』『歎きの塔』というふうに名前が付けられている。そこの事を差すんだろうけれど‥‥」
「なら、次の依頼が来るまでは塔について調べるしかないですか‥‥それにしても、『勇気を示せ』ですか。チルニー、心当りの精霊は?」
そう問い掛けるルイス。
──ガクガクブルブル
チルニーは、階層の片隅で震えている。
「風の精霊で勇気を示せ‥‥恐いよぉ。『ヴァルキュリア』が来るよう‥‥」
ヴァルキュリア‥‥正式には『ヴァルキューレ』。
勇気あるものの魂を冥界へと誘う戦の精霊。
その呟きに、一行は『死』を直感した‥‥。
でも、チルニー、ちょっと強いのと間違えている模様。
そしてとりあえず、一行は其の場を離れてミハイル教授の元へと帰還する。
そして。
次の依頼の為、一行は英気を養う為にパリへと帰還した。
〜To be continue