●リプレイ本文
●ロイ教授のご意見〜対悪魔用武器として〜
──ロイ研究室
「‥‥つよいあくまは、おなじこうげきがきかないからめんどうなの。もとはひとつでも、なんしゅるいものこうげきしゅだんがかのうなぶきってないのかなぁ? だって、とーさまはオーラをつかえないから、もんしょうけんがあってもいみないの」
そう話し掛けているのはレン・ウィンドフェザー(ea4509)。
出発前に、レンとパロム・ペン(ea2705)、シャルロッテ・ブルームハルト(ea5180)、シィ・スリーピィの3名は先にロイ教授の元を訪れていた。
ワルプルギスの剣は悪魔に有効なのか?
その疑問を解消するためにやってきていたのであるらしい。
「ほう。なかなか興味深い話じゃな‥‥」
そう告げると、ロイ教授は自身の元にもある『風の紋章剣』を手に取ると、それを一行に見せる。
「まず、君の父様の疑問じゃが‥‥」
そして山のように積まれた写本から一冊の本を取り出すと、それを素早くパラパラとめくる。
「かつて、ヘルシング卿はこの剣を携えて悪魔と戦った。その記述は様々な碑文として残っていてのう。その中の一つに、不思議な記述が幾つか存在する。『剣に認められし癒しの使い手、彼の者も輝く剣にて魔を討つ』とな。癒しの使い手はおそらくクレリックか神聖騎士。オーラを使うことの出来ない存在ですら、使っていた事になる」
フムフムと話を聞いているレン。
「つまり、レンにもつかえるのー?」
「無論。但し、剣が認めてくれればの話じゃて。この記述では、ヘルシング卿でさえ、認められてはいたらしいが、その真の力を開放することは出来なかったということじゃて‥‥」
「うーん。なんか、おいらにはどうでもいい話にゅ」
いや、パロムの言葉もごもっとも。
そう告げつつ、パロムも興味本意だけで剣を手にする。
そして静かに鞘を眺めていた。
「ロイじーちゃん、この剣、抜けないにゅ?」
「中で錆びていてのう‥‥この前は抜けたのじゃが‥‥」
──ゴリゴリ
どうにか引き抜くパロム。
そして刀身を繁々と見つめる。
「よく判らないにゅ?」
「でも、何か‥‥凄い剣かなというのは、雰囲気で伝わってきますわね」
シャルロッテがそう告げると、ロイ教授もウンウンと肯く。
「きょうじゅ、これとーさまにもらっていい?」
それはレンの本能。
(とーさまならつかえる‥‥。とーさまはせかいさいきょうのぼうけんしゃだから‥‥)
その思いで告げた、子供の本音。
「駄目。ワルプルギスの13本の紋章剣は、その殆どが各地の村に隠されているらしいからのう。かつて存在した『ワルプルギスの剣士』の子孫達の隠れ棲む村に‥‥。それゆえ、在処を知るのは今でも生きている剣士のみ‥‥」
成る程。
「で、教授はそれを知っているにゅ?」
「い、いや‥‥知らん‥‥それはなぁ‥‥知らんのじゃよ‥‥」
あたふたしつつ、写本を抱しめるロイ教授。
あー、バレバレ。
「その写本にゅ〜。それに秘密が隠されているにゅ!!」
「ふーむ。まあ、そうなのじゃが‥‥。確認しているのは2ヶ所だけでのう、それも、わしが直接いって少しだけ話を聞いていただけじゃから‥‥まだ研究中じゃて、これはだめじゃ」
あら残念。
「それできょうじゅ〜。あくまにつるぎはゆうこうなのー?」
「それは判らん。じゃが、雑魚程度の悪魔には有効過ぎるほど強力な武具。俗に言う中級程度にも致命傷は叩き込めるらしい‥‥。そして如何なる攻撃において耐性を生み出すらしい状況ですら、この剣の存在には驚愕じゃったらしいことから、ほぼ確実に有効。あとは、剣の持ち手の力じゃな‥‥」
それ以上の話は無かった。
そのため、一行は、一旦シャンゼリゼへと向かっていった。
●ディンセルフの魔剣〜いまはまだ眠っていて下さい〜
──ギルド報告書保管室
「この二つが彼の関係する依頼ですか‥‥」
リュオン・リグナート(ea2203)は冒険者ギルドを訪れると、過去の報告書の中からディンセルフの魔剣についての調査を行なっていた。
「成る程。これほどの魔剣なら、確かに『ワルプルギスの紋章剣』すら破壊可能。ですが‥‥」
リュオンの危惧。
その剣が、再び世に出てしまうのではないかと、リュオンは心配している。
そのため、この報告書を封印書庫に送ってもらうよう頼み込もうとするが、依頼主の許可なくては、そのような事を行うことは出来ない。
そのため、リュオンは一通りの情報を羊皮紙に纏めると、まずは其の場を後にした。
●という事で〜いきなり合流失敗かい!!〜
──パリ冒険者酒場シャンゼリゼ
「‥‥つまり、マスカレードは現在、シルバーホークによって包囲されているッていう事か‥‥」
静かにそう告げると、無天焔威(ea0073)は傍らに置いてあった武器を手に取ると、そのままゆっくりと立上がろうとして‥‥。
「シャーリィの依頼を受けている以上、余計なことをしている隙は無いんじゃない? それにあっちは、歌劇団が動くでしょうから‥‥」
冷静にそう告げつつ、荷物を背負っているのは逃亡者・アルジャーン。
「まあ、そうなんだけれどー。話では、あそこにも紋章剣があるんだよねー。それをあっちのメンバーにも教えないといけないカナーって‥‥ということだから‥‥そこんところ宜しくねー」
そう、横の通路を急ぎ足で歩いているカタリナ・ブルームハルトに話し掛ける。
「ちょっと待ってよ、さきにそれを言ってよ!!」
「カタリナも頑張ってねー」
「おっし、姉貴もね〜☆」
それを見送るシャルロッテと、そう告げつつ慌てて走り出すカタリナ。
そんなこんなでシャンゼリゼは兎に角忙しい。
そののち、王国歌劇団のメンバーも走りまわっているところを見ると、最近はどこも大変なんだなーと、一人考えているパロムであった。
「まあ、おいらには関係ないにゅ!!」
あ、そっすか。
「‥‥参りました。酒場マスカレードにいこうと思っていたのですが‥‥」
ギルドから戻ってきたリュオン。
途中のシャンゼリゼにて何やら一騒動が起こっているのに気がつくと、まずはパロムに何が起こっているのか問い掛けていた。
「うーん。どうやら酒場マスカレードがシルバーホークの襲撃を受けているにゅ。それで、この酒場に待機していた王国歌劇団ご一行様の出撃となったにゅ〜。ということで、こっちもそろそろ出発にゅ。外にミハイル研究室からの迎えの馬車が来ているにゅ!!」
そう告げるパロム。
情報屋のミストルディンから先に情報を仕入れたかったリュオンだが、そのような状況では致し方ない。
「ぶっつけ本番で勝負という所ですか‥‥判りました」
そして一行は、迎えの馬車に乗ると、真っ直ぐにプロスト領へと向かっていった。
●早速いってまいりましょう〜手掛りを探せ〜
──プロスト領・ミハイル研究室
パロム達は、一旦ここに集るとシャーリィと軽く打ち合わせ。
「では、今回も預からせて貰う‥‥」
「はい。依頼が終了舌時点で戻して頂けたらOKです。今回は変則ですので、十分に気を付けてくださいね」
『竜の紋章剣』を受け取ったグラン・バク(ea5229)と、それを手渡したシャーリィ。
「それにしても、じっちゃんはいつ戻ってくるかにゅー」
心配そうな表情のパロムと、ハァ‥‥と溜め息をするシャーリィ。
「まあ、教授でしたら、きっと他の皆さんが探してきてくれますわ。それよりも、私はお嬢様の方が心配なのですわ」
相変わらずオロオロしているシィ・スリーピィ。
「今回から私も皆さんのバックアップに回りますので。必ず助け出して見せますわ」
そのシャルロッテの言葉に、シィは素早く其の手を握り締める。
「助かりますわ。いままでずっと女性の方がいなくて心細かったのです‥‥」
そう告げるシィにニコリと微笑むシャルロッテ。
そして一通りの打ち合わせを終えると、一行はいよいよ目的地へと移動開始!!
●という事で〜いよいよ本番〜
──マクシミリアン自治区
「さて‥‥どこにいそうかなぁ‥‥ミスミは何か情報を持っていない?」
移動中の馬車の中でそう問い掛けているのは焔威。
その側には、変装したアルジャーンが同行。
「ミスミ? ああ、私の事か。話に出ていたレイアー嬢とアールの二人なら地下闘技場に。助けに来ていた剣士のおじさんなら、トラップで地下階層のさらに下に落ちていった筈だな‥‥」
「地下にゅ? うーん。おいら達は、近くにある『剣士の村』にいってくるにゅ。何かあったら、すぐに駆けつけれるようにはするから大丈夫にゅ〜」
あ、結局一つは聞き出したのね、パロム。
「どの辺だ?」
「ここから馬車で1時間にゅ。ちょっと見てくるだけにゅ」
それぐらいなら‥‥。
そんなこんなで、各員それぞれ行動開始。
──酒場周辺
とりあえずユワンは地下闘技場。
そこに至る方法は、焔威は実に簡単。
焔威自体は『トーナメントランカー』。次はいよいよセミファィナル、準決勝らしい。
「ミスミは変装して、一緒に来るといい‥‥。でも気を付けてね〜。君はこの前の闘技場での戦いで『死亡』しているんだからね〜」
そんなこんなで変装して、二人は取り敢えず地下闘技場へと移動開始。
──酒場『ワイルドヘブン』
静かに酒を飲んでいるグラン。
その側では、コトセット・メヌーマ(ea4473)とリュオンが待機中。
「やあ、これはめずらしい」
そうグランに話し掛けてきたのは、御存知地下闘技場のスカウトマン『クリストフ』。
「卿も戦いますか? そちらの方はお仲間で?」
「いや‥‥その者は私が呼びだした。すまないがクリストフ君は下がっていて欲しい」
そう告げつつ入り口から入ってきた一人の貴族。
そしてクリストフは、やれやれといった顔で酒場から出ていく。
そのままグランの元に歩いていくと、静かに席に腰を降ろす貴族。
「君がグランだね。私はヴォルフ。手紙を読ませて貰ったよ‥‥」
そう告げるヴォルフの目の前に、ゴトッと紋章剣を置くグラン。
「用件は手紙に書いてあった通り。俺は、冒険者を引退する‥‥。最近はニライ査察官が横辛口を出してきてやりずらい。それに、納得の行かない解雇理由など、どうも腑に落ちない‥‥」
ゆっくりと話を続けるグラン。
「この地の新たなる領主『ヴォルフ卿』なら、俺の実力は見て判る筈。どうだ? この剣と俺、ひとまとめで雇わないか? シルバーホークには内密に‥‥」
その言葉で、ヴォルフはにぃっと笑みを浮かべる。
「確かにいい話だな。代償は何を?」
「騎士団長の席を‥‥それと、この剣、現在の所有権は別にあるため今すぐどうこうは無理だが信頼は受けている。今後の状況次第では他の紋章剣の伝も‥‥」
そう告げると、ヴォルフはパン、と手を叩く。
「結構。ですが、こちらとしてもすぐに『騎士団長の座』ということはできません。一端は『自警団長候補』として私の領地の自警団に参加し、その実力を見させて頂きます。この地下闘技場で鍛えた猛者ばかり、その中で貴方がどこまで通用するか見させて頂きましょう‥‥それでよろしいかな?」
「結構だ。こっちの話もひと区切りついたら、改めてうかがわせて頂く‥‥それと、地下闘技場の方も見てみたい。以前はさっきの奴に頼んで入ったのだが‥‥」
そう告げるグランに、ヴォルフ卿は静かに肯く。
「私も多忙ですが‥‥まあ、入り口まで一緒に行きましょう。そこでガードに話を通します。今日は見学だけですが、後日改めて、正式な通行許可証を発行しましょう」
そう告げると、グランは自身と共に行動する仲間とコトセットとリュオンを紹介。一行はそのまま地下闘技場へと移動していった。
●潜入〜一般区画ではない秘密のエリア〜
──地下闘技場・一般区画
じゃりっ
闘技場内部の円形コロシアム。
そこをリュオン達は静かに歩く。
「この向うは、対戦相手となる魔物の区画か‥‥」
そこは一般参加者は入ることの許されていないエリア。
だが、其の日はトーナメントもなし、フリー対戦もカードを組んでいない『休日』であった為、安易に侵入することは可能に思えた。
「さて、それじゃあこっちは『ミスミ』の話していた場所に向かうとするか‥‥グランはどうする?」
そう問い掛けるコトセット。
「先に行ってくれ‥‥奴が来た」
ここにやってきてから感じる『負の気配』。
グランはそれが、自分に向けられているものであると感じ、そのまま闘技場中央で静かに待っていた。
──そして
大量のゲージ。
頑丈な檻の配置された巨大なエリア。
そこが魔物用に準備されたエリアであることを、二人はミスミから聞いていた。
監視は全部で2人、だが、休日の為、今はそこに人の気配は感じられない。
そーっと内部を調査する二人。
暫くは、そこの中に入っている魔物に気付かれないように動いていた。
「‥‥あそこのゲージは」
と、リュオンが奥にある一つのゲージにきがつく。
そしてゆっくりと近づいていくと、そこには二人の人物が閉じ込められていた。
「あ、そこから先は危険です‥‥足元に罠が‥‥」
そう声をかけたのは中に閉じ込められている女性。
そしてその横には、静かに座っているアールの姿もあった。
「レイアー嬢ですね。助けに参りました」
そうリュオンが告げる。
「罠‥‥落とし穴か。そこからスイッチは判りますか?」
そう問い掛けるコトセット。
「右の壁の燭台がスイッチで‥‥」
そう告げるアール。
「ここ‥‥と‥‥」
ゆっくりと燭台を引く。
──ガチッ
何かが噛み合う音。
そしてリュオンが床の感触を確かめると、そのまま二人の入っている檻に近付く。
「この程度の鍵なら‥‥」
専用工具はない。
だが、リュオンは近くに雑多に落ちている魔物を捕らえておく為の道具から適当なものを取り出すと、それで素早く開鍵。
──カチッ
どうにか鍵は開いた。
あとは脱出するだけ‥‥だが。
●そして大規模戦闘開始〜さらば師匠〜
──地下闘技場・コロシアム
カツーン、カツーン
コトセット達が奥での調査をしていたとき。
グランは静かに響く足音に意識を集中していた。
「やはり貴公か‥‥」
そう告げるのは漆黒の鎧を身につけた男、ダース・ブラウザー。
──ブゥゥゥゥン
そしてダース卿の手の中に、一振りのオーラソードが生み出される。
それをゆっくりと構えると、ダース卿はグランに向かって切りかかる。
──ザシュッ
不意にいつもの癖で紋章剣を構え、その剣を受け流そうとするグランだが。
オーラソードは紋章剣をすり抜け、グランの身体を激しく切り付けた!!
「ワルプルギスの剣。その本当の力を見切ることなく、ここで死ぬのも一興」
ふたたび剣を振るうダース。
必死にそれを躱わしつづけるグランだが、ついに闘技場の奥まで追い詰められてしまう。
(ハアハアハアハア‥‥まだ、オーラは基礎しか‥‥あのオーラソードに対抗する為の手段を‥‥俺は‥‥)
息を整えつつ必死に思考するグラン。
──ブゥーーン
と、ダースの背後に、一人の剣士が姿を表わす。
「グラン!! ワルプルギスの剣は、オーラを体得したものに更なる力を与える。正しきオーラの導き手ならば‥‥ダースは、それをまだ体得していない!!」
其の手にオーラソードを構えたユワン・ケノーヴィスがそう叫ぶ。
「師よ!!」
そう告げたとき、ユワンはダースに向かってオーラソードを構えた。
「くたばりぞこないが‥‥よく、あの地下迷宮から脱出できたな‥‥」
「ダース‥‥参る!!」
──バジッ!! バジッ!!
激しく飛び交うオーラの閃光。
二人のオーラソードはお互いに撃ちなり、激しく撃ち鳴った。
だが。
──ガクッ
迷宮から脱出するために使った体力。
激しい疲労から回復する間を与えずに戦ったユワン。
その胴部に、ダース卿のオーラソードが深々と突き刺さった!!
「ユワン師っ!!」
紋章剣を構えて飛び出すグラン。
だが、ユワンはグランに向かってニコッと微笑む。
「忘れるな‥‥暗黒面に捕われることなく、常に自身にオーラがあることを‥‥」
そう告げて、ユワンは絶命。
「残るは貴様だ‥‥」
──ブゥン
オーラソードを振り、グランに間合を取るダース。
「師よ‥‥」
心が爆発。
体内を、グランのオーラが駆け巡る。
──ブゥン!!
刹那、ダースはグランに向かって最後の一撃を叩き込んだ!!
──バジッ!!
だが、グランはそれを受止めた。
紋章剣の覚醒。
ルーンの刻まれた刀身は音を立てて抜け落ちる。
そしてその柄の部分からオーラの閃光が発生した。
オーラセイバー・ワルプルギス
その本当の力が、ここで覚醒したのである。
──ブゥゥゥゥゥン
振るたびに共鳴するオーラセイバー。
そして体内に沸き起こる力。
(竜の紋章剣‥‥その魂は、偉大なる竜の如く、高く‥‥)
何かがグランに語りかける。
「師よ‥‥」
「まさか‥‥紋章剣が貴様を主と認めたのか‥‥」
驚きを隠せないダース卿。
そして自身も紋章剣を引き抜く。
以前砕かれた刀身は再生されている筈もない。
そしてオーラを込めてみるが、『不死鳥の紋章剣』は反応しない‥‥。
──バジッ!!
素早くグランは間合を詰め、ダース卿に一撃を叩き込む。
が、右手のオーラソードでなんとかそれを弾くダース。
「本当の剣士‥‥ならばっ」
素早く後方に下がると、ダースはそのまま通路の向うに逃げていく。
そして入れ代わりに入ってくるホワイトトルーパーとホークガード達。
「力は上だが、意識は劣勢‥‥そこがダース、貴様の限界か‥‥」
そう告げるグランだが、ふと意識がぐらつく。
オーラセイバー・ワルプルギスが光を失い、それと同時にグランも片膝を付いた。
全身から力が抜けていく。
「使いこなせていない‥‥剣を‥‥」
すぐ眼の前に襲いかかってくるホークガード。
だが!!
──ブゥゥゥン
その胴部に衝撃が走り、後方に吹き飛ぶホークガード。
「待たせたなグランっ!!」
リュオンの放ったソニックブームが直撃。
そしてコトセットも後方で印を組み韻を紡ぐ。
「兎に角、あのダース卿をそこまで追込んだから良しというところだねー」
ホワイトトルーパーの一人が静かに倒れる。
その後ろでは、武器を構えた焔威の姿がある。
そして側には、両手にナイフを持ったアサシンガール・ミスミの姿も。
やがて、入り口の方から大勢の警備員が書けつけてくると、其の場はすでに乱戦状態。
激しく打ち鳴る剣戟と、コトセットの魔法が炸裂。
詠唱阻害を防ぐ為、リュオンはひたすら敵とコトセットの間に入り、ただひたすら切りあう。
「とうちゃくしたのー」
入り口方向から、素早く印を組み韻を紡ぐレンと、いつのまにかその傍らに横になっているグラン。
「ふう。こういうのこそ、レンジャーの仕事にゅ」
額を流れる汗を拭うパロム。
どうやらどさくさに紛れてグランをここまで連れてきたらしい。
そして素早くシャルロッテがリカバーを詠唱。
傷ついた身体を癒していく。
「怪我はもう大丈夫です‥‥あとは、失った力を‥‥」
体内を駆け巡るオーラ。
それが失われつつあるグラン。
「あわわわ、とりあえずこれを‥‥」
シィがそう告げつつ、バックから取り出した小さな壷から木ノ実を一つ取り出すと、それをグランに食べさせる。
──シャキッ
と、全身に活力がみなぎり、勢いよく立上がるグラン。
「これは?」
「ソルフの実ですか。効果はありましたでしょうか?」
「十分だ‥‥」
そう告げると、グランはパロムがついでに回収してきてくれた紋章剣の刀身を柄に治め、そしてそのまま鞘に納める。
──カチッ
刀身と柄が一体化したのを体感すると、グランは再び紋章剣を引き抜く。
スラリとした刀身を眺め、そこに刻まれている文字を心に留めると、そのまま乱戦に飛込んでいった。
そこからはまさに修羅の世界。
敵として戦ったら脅威であるアサシンガールが、中間にいるだけでここまで違うとは、一行も思っていなかったであろう。
傷ついた身体は後方に下がることでシャルロッテが癒し、レンは後方に敵が来ないように魔法によるダイレクトサポート。
パロムはナイフを構えると、シャルロッテ達に向かってくるホワイトトルーバー相手に楯となる。
「くっ‥‥なぜそこまで躱わす!!」
「それはあんちゃんが坊やだからじゃん‥‥」
回避の達人相手に、ただ手数を潰されるホワイトトルーパー。
そこにレンが魔法によるダイレクトサポート。
「後方の守りも完璧ですわね」
ニコッと微笑みつつ、リュオンの傷を癒すシャルロッテ。
「よし、これでいい」
「それではいきますか!!」
横で待機していたコトセットと共に再び戦闘に飛込むリュオン。
闘技場中心では、さらに激しい戦いが繰り広げられていたが、タイミングを見計らって全員が其の場から一斉に逃走!!
外に素早く逃げ出すと、待機している『ファルコン号』で一気にその場を後にした。
●帰路〜さらば師よ〜
──ファルコン号
「もうすぐ大聖堂です。オズ老師もそこに‥‥」
そう告げるグラン。
だが、側に眠るユアンは、既に絶命している。
『グラン‥‥私の剣はオズに‥‥彼とともに、剣の使い手を探し、育てなさい‥‥』
それはユアンの言葉だろうか‥‥。
静かにプロスト領に到着する。
そしてユアンは大聖堂に運ばれると、静かにその亡骸は埋葬された。
●そして〜じじい、無言の帰還〜
──プロスト領・ミハイル研究室
「じっちゃん‥‥」
ベットに横になったまま、じっと動かないミハイル教授。
ちょうど入れ違いに帰還したらしい。
そこには魂を失い、横たわっているミハイル教授の姿があった。
「大司教さまの話では、魂を取り戻さないと教授は‥‥」
そう告げるシャーリィ。
グランは二度剣をシャーリィに戻す。
そして一行は、パリへと戻っていった‥‥。
この報告書は、また封印書庫へと。
〜To be continue