ぶれいくびーと 天神の弐

■シリーズシナリオ


担当:松原祥一

対応レベル:6〜10lv

難易度:難しい

成功報酬:3 G 71 C

参加人数:10人

サポート参加人数:-人

冒険期間:01月20日〜01月25日

リプレイ公開日:2005年02月06日

●オープニング

「源六兄ぃ、俺に力を貸してくれ」
 黒蛇の銀次が兄弟分の「野火の源六」を訪れたのは少しでも味方が欲しかったからだ。
 恐れていた天神一家と喧嘩が始まり、銀次と5人の子分達の命は風前の灯火と化した。
「力を貸せって‥‥銀次よ、俺もこんなことは言いたくねえがな、この喧嘩はあまりにも分が悪いぜ」
 野火の源六は銀次と同じく、熊五郎親分の生前は天神一家にいた。顔の作りは優しいが頬に黒痣があり、しゃがれ声で喋るので年より老けて見えた。実際の年齢は銀次と5つしか違わない。
「勝ち目なんかねえ、それでもやるのかい?」
「もう覚悟は決めやした」
 銀次の必死の説得により、源六は黒蛇一家と同盟関係を結んだ。無論、それが天神一家を刺激したのは言うまでもない。それまで銀次は天神一家と全面対決する意思は示していなかったが、抜き差しならない状況下でギリギリの選択となった。

「あの外道が、調子に乗りよがって!」
 闇討ちにより、何者かに壷振りを殺されている天神一家の方では下手人を黒蛇一家と決め付けていたから、この知らせには腸が煮えくり返るほどだった。
「銀次も源六も皆殺しにしてやらあ!!」
 若い衆は今にも激発しそうな勢いだったが、天神の藍と先代からの幹部達はこれをひとまず抑えた。
「いま出たら、奴らの思い通りだよ。奉行所にこの天神一家を潰す口実を与えることになるからね」
 賭場の時とは、正反対の立場となった訳である。黒蛇一家を踏み潰すのは難しい事ではなかったが、失う物の少ない彼らと違い、天神には勝っても得るものは無い。逆に奉行所の攻撃を受けて一家を潰しかねない。
「捨て鉢の連中だ、下手な挑発に乗るんじゃないよ」
「いいか、親分のお言葉だ。宿場で黒蛇の若い衆を見つけても刃物は抜くんじゃねえぞ」
「へ、へえ‥‥」
 天神一家は直接出入りはせず、ひたすら黒蛇と野火に圧力を強めた。これには、先の抗争を最終的に終結させた保守派の幹部衆の力が大きく働いた。五人衆と呼ばれる古株で、敵対していた隣町の蜥蜴一家とも手打ちを成立させて宿場を守った功労者だ。若い藍を補佐して構成員三十人強の天神一家を実質切り盛りしているのは彼らである。藍とはよく意見が衝突したが、今回ばかりは一致した。

 ちなみに、この宿場には彼ら以外にもやくざ者がいる。
 隣町の蜥蜴一家の息のかかった赤鬼青鬼と呼ばれる者達がそれで、蜥蜴の子分だった冶衛門と元天神一家の幹部で今は蜥蜴の下についた長佐という博徒だ。彼らは今回の争いに静観の構えだった。
「天神の内々のことでしょうから、あっしらには関わりのねえことで」
 彼らにしても奉行所に目を付けられたくは無いし、あわよくば疲弊してくれればいいぐらいの事は思っている。また蜥蜴一家と天神一家の間には手打ちがなっているので、ここで下手に横槍を入れて外聞を悪くしたくはなかった。

 そんな緊張が続く宿場から、再び二つの用心棒依頼が江戸の冒険者ギルドに届く。
「どちらでも好きな方をお取り下さい」
「何故二つとも受けるのだ、見入りの良い方だけにすればよかろう?」
 冒険者は二つの依頼書を見せられて困惑するが、ギルドの手代は馬耳東風。あくまで中立の立場を崩さないつもりだろうか。
 さて、どうする。

●今回の参加者

 ea0780 アーウィン・ラグレス(30歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea0861 緋邑 嵐天丸(25歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea3582 ゴルドワ・バルバリオン(41歳・♂・ウィザード・ジャイアント・イスパニア王国)
 ea5062 神楽 聖歌(30歳・♀・侍・人間・ジャパン)
 ea6216 ミハイル・ベルベイン(22歳・♂・ナイト・エルフ・ロシア王国)
 ea7675 岩峰 君影(40歳・♂・ナイト・人間・ジャパン)
 ea8257 久留間 兵庫(37歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea8470 久凪 薙耶(26歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea8802 パウル・ウォグリウス(32歳・♂・ナイト・ハーフエルフ・ビザンチン帝国)
 ea9269 イェルハルド・ロアン(34歳・♂・ファイター・人間・ビザンチン帝国)

●リプレイ本文

●凶の日向
 ずずず‥‥。
「蟻を潰すのに大騒ぎすることもねえ、温情処置で円満解決といこうや?」
 武芸者のパウル・ウォグリウス(ea8802)は天神一家の縁側で茶を飲んでいた。雪景色を眺めて、干し柿に手を伸ばす。
「ほぅ」
 何気ないパウルの言葉に、用心棒の岩峰君影(ea7675)は眉尻をあげて、旨そうに湯飲みの茶をすすった。
「‥‥お前とこんな話しても仕方ないがね。藍お嬢は早く来ないかね‥‥」
 屈強な用心棒二人が縁側で仲良く茶をしばく姿はどこか滑稽だ。
 彼らの雇い主である天神の藍は五人衆との話が長引いていて、彼らは暇を持て余している。
「お前は行かないのか? 壷振り殺しを捕まえれば大手柄だぜ?」
 さっきからパウルばかり話している。君影の返答は少し間が空いた。
「お前さんと同じ理由さ。俺も藍に話がある」
 彼ら以外の冒険者はそれぞれ行動を始めていた。ひどく穏やかな空気が二人の間に流れている。

「藍様」
 ようやく幹部衆との話を終えて一息つく天神の藍に、メイドの久凪薙耶(ea8470)が話しかけた。
「なに?」
「黒蛇一家と会合の場を設けては如何でしょうか」
「今のままで黒蛇一家は終りだよ」
 天神側は直接手は下さないものの、経済的な制裁は容赦がない。冒険者も指摘していたが資金的に脆弱な黒蛇一家は早晩存亡の危機を迎える。
「藍様‥‥この度の殺し、恐らくは相手の冒険者によるもの」
「どうしてそう思うの?」
「今の天神に手を出す真似は、抗争を知る者ならば極力避けるはず。何の得にもなりません。これは町の仕組みを知らぬ者の仕業かと」
 広くない宿場で腕の立つ余所者の所在など知れている。それが分からないとなれば、自ずと居場所も絞られてくると薙耶は自分の推理を話した。
「そうね」
 藍の顔に驚きは無い。壷振り殺しの下手人の予想と言えば、黒蛇の冒険者か、或いは蜥蜴一家の陰謀説くらいしか無かった。無関係の辻斬りでないと百パーセントは言えないが、その可能性は最初から除外している。
「事実が在る以上証拠は必ず在ります。奉行所との係わり合いを避けて口を閉ざしている者も居る筈」
「考えておくわ」
 藍は即断即決の人だが、この件は即答は避けた。

「我輩は間違っていた!」
 力士のゴルドワ・バルバリオン(ea3582)は憤っていた。
「出来れば穏便にとか平和的に等と我輩の考える事ではなかったのだ! まさかカジノに入った途端、罠まで仕掛けておろうとは! 向こうは戦る気満々ではないか!! だったら遠慮する理由は‥‥ない!」
「そいつはひでぇな。あの銀次は腹の底で何を考えてるか分からねえ所があるぜ」
 話し相手は五人衆の歴々だ。
「おたくらは銀次のことを良く知ってるのか?」
 アーウィン・ラグレス(ea0780)が言った。ゴルドワとアーウィンは藍の護衛だったが、今は屋敷内なので藍の事は久凪に任せて幹部達と話をしていた。
「小僧の頃から知ってるぜ。あの銀次を拾いなさったのだけが、熊五郎親分一生の不覚よ」
 しみじみと言う。
「それにしても『かばやき』? 一体どういう意味があるんだか‥‥」
 ガッ、ドタん。
「あてて‥‥」
 障子の外で、仮眠から目覚めた緋邑嵐天丸(ea0861)が派手に転んでいた。
「?」
「あ、や‥‥何でもないんだ」
「寝惚けてるのか。黒蛇の奴等、今夜にも来るかもしれねえんだから確りしろよ」
 嵐天丸は埃を払って立ち上がると、息を吐き出した。
「目が覚めたよ。‥‥黒蛇が何人来たって俺が捕まえてやる。絶対な」
 表情を引き締めて少年は外の警備に向った。その様子を眺めて、アーウィンが言う。
「どう思う? 破れかぶれで仕掛けて来るか、身の潔白を証明しに来るか」
「あの野郎が潔白だなんて誰も思っちゃいねえぜ?」
 幹部達は銀次を憎んでいる。それが今は身内を殺された事で倍増している。本当は今直ぐにでも殴りこんで叩き殺したいと冒険者に零した。

 茶屋で買った団子を食いながら、古着屋のイェルハルド・ロアン(ea9269)は宿場の中を歩いていた。
「団子代までくれて、気前の良い依頼人だよね」
 宿場での冒険者の行動に天神一家は何かと便宜を図った。飯代は当然で、往復の経費も天神持ちだ。詳しくは知らないが黒蛇側の冒険者とは待遇が違うらしい。
「信頼されてる感じはしないけど、一応腕の立つ用心棒ってことで下には置かない扱いだし」
 それもこれも働きを期待されてだ。ロアンは頭の中で情報を整理しながら、ノンビリとした足取りで壷振りが殺された場所まで来た。
「お兄さん、団子食べる? 少し話を聞かせてくれると嬉しいんだけど」
(「何をやってるんだ、あいつは‥‥」)
 武芸者のミハイル・ベルベイン(ea6216)は、物陰からロアンが通行人に声をかける様子を見ていた。ミハイルは壷振り殺しの下手人が現場に戻るのではと張り込んでいたのだが。
 聞込みを終えて離れるロアンをミハイルは呼び止めた。
「捜査はもっと慎重にやれ。犯人に警戒されたらどうする」
「そう言われても、な。聞かないことには分からないことはあるだろう?」
「何か分かった事があるのか?」
 ロアンは困ったように余った団子を口に運ぶ。目撃者は見つからない。関わりになるのを恐れているのか、或いは相手が手練れなのか。いずれにしても事件はまだ闇の中だ。
「でも、役人の目が光ってるのにわざわざこっちの壺振りを殺して何の得があるんだろう」
「さあな。だが、どこの世界にも殺せば話が解決すると思ってる奴はいるものだ」
「‥‥いるのか?」
 ミハイルは頷く。世界は不条理に出来ている。ことにヤクザ世界では思惑も超えた激発が大事の要因となるのは珍しくない。いやそんな事はヤクザに限らず、どこでもあることだ。
「だから犯人を捜して上手く処理すれば、収まるんだが‥‥」
 そこまで単純でないと知りながらミハイルは言った。ロアンは片目を瞑って考えている。
「おい、聞いてるか?」
「聞いてるよ。俺が思うに、銀次さんを厭がってるのは上役さん達で藍さんじゃなさそうだ。もしかすると、藍さんは銀次さんを頼りたかったけど、出ていったのを裏切りと感じて憎んでるんじゃないか?」
 ミハイルは一瞬怪訝な顔をしたが、ロアンの言いたい事を得心して口元を歪めた。つまりロアンは天神と黒蛇には和解の方法があると、そのことを考えているのだろう。

「お前さん、銀次に気があったろう?」
 やっと来た藍に開口一番、君影はそう切り出した。
「冗談を言うほど暇なら、こっちで仕事をお願いしてもいいけどね」
 返答は淡白だ。可愛い反応を期待した訳でもないが、表情を見せてくれるほど信頼もされていないらしい。君影は藍に湯飲みを差し出す。
「良かろう。自分を許せん者は他人も許せん。それだけだ」


●日常の縁
 黒蛇の銀次が天神一家にやってきた。供は警護の岩倉実篤、殺し屋のヴァラス・ロフキシモ。それに少し前から蟒蛇の御堂鼎が賭場に姿を見せていて、天神は皆殺気だった。
「‥‥それにしてもうまくやったよなぁ〜天神の藍様はよぉ? 先の手打ちにしたってよ、その若いお体でたらしこんだんだろぉ? 蜥蜴一家をよぉ〜、ムヒヒヒヒ」
 エルフの殺し屋の挑発に天神の若衆は体を震わせた。
「貴様」
「あん?」
 ゴルドワはヴァラスに近づくとその襟を掴み、片手で力任せにエルフの体を投げ飛ばした。柱に叩きつけられてヴァラスは呻く。
「喧嘩を売りに来たなら、買ってやろう! 此度は手加減は期待するな!」
「ヒヒヒアバァアアアハハハハッ、やったな、やりやがったな〜〜っ!? もうこうなったら全面対決だよなぁーっ? 抗争だよ〜〜〜〜っ!」
 唾を吐いて立ち上がるヴァラス。
「騒がしいね」
 今にも大乱闘が始まろうかという時に、幹部と供の冒険者を連れて藍が現れた。
「親分、あの野郎が‥‥っ」
「馬鹿野郎! 親分の前でおたつくんじゃねえ。天神の看板に泥塗る気か」
 五人衆の言葉に、場の温度が冷えてくる。この場の貫禄では銀次や藍より幹部衆が勝るだろう。銀次を見据えて言った。
「銀次、てめぇ、よく天神の敷居を跨げたもんだな。冒険者を道連れにして粋がってるようだが、詫びを入れるなら少し遅いんじゃねえか?」
「俺は詫びを言いに来たんじゃねえ。天神の看板に泥を塗ったのは一体どっちだ」
「なんだと?」
「弥太と八郎を忘れたのか。そいつは先代の顔に泥を塗ることにはならねえのか」
「おめえ、まだそんなことを言ってやがるのか」
 弥太と八郎とは抗争で殺された藍の兄達だ。殺し屋を雇ったのは蜥蜴一家、そこまで最悪の状態が修復するのは部外者の冒険者らには信じられない事だが、現在は天神一家と蜥蜴一家は中立の関係にあった。
「俺は蜥蜴を生かしちゃおけねえ。そいつが気に入らねえって言うなら、いつでも受けて立つぜ」

「話が逸れてるぞ。天神の壷振りを殺した件は棚上げか? まずその下手人を差し出すのが先だろう」
 言ったのはパウル。答えたのは岩倉。
「まるで黒蛇がやったような口ぶりだが、蜥蜴の仕業とは考えぬのか? 天神と黒蛇を共倒れさせようとした策略、それを見抜けぬとは天神も大したことがない」
 否定するとは思ったが、パウルは心中で溜息をついた。こうなると泥沼である。それでも続ければどちらかに白黒はつくが、後味は良くない。
(「いっそ、アレをやるか‥‥」)
 パウルの脳裏に浮かんだのは、バードの魔法による犯人探査。証拠能力は皆無で、使い手の気持ち次第で幾らでも冤罪が可能な代物だが、博徒同士の争いの決着には相応しいか。さしずめ先程からパウルを「薄汚いハーフエルフが」と罵っているエルフなどは最有力容疑者だが。
「痴話喧嘩はそれぐらいにしな!」
 君影が話に割って入った。
「なっ、てめぇ何を言いだしやがる」
 これには天神一家の若衆も呆然とした。依頼人を捕まえて痴話げんかとは恐れ入るが、君影はそういう男だ。先日は単身で黒蛇の賭場に乗り込んだ彼だから、無礼を今更言うのもおかしい。
「なんだ、手前の思うままにならぬからと言って女に頼られていたのを知らずに飛び出した男と、男が後を信じて出ていったってぇのに気づかない女。痴話喧嘩だろう?」
「岩峰様、お止めください」
 藍の側に付き従っていた久凪は君影を止める。彼女にして見れば、岩峰の行動は出過ぎた振る舞いだ。それに、冷静に見て、この場は彼の望む結末にはならない。


「それで結局、どうなったんだ?」
 代書人の久留間兵庫(ea8257)は縁側に腰をおろし、顛末をアーウィンから聞いていた。
 久留間は天神の身内を守る為に、護衛として若衆の用事や旦那衆の送り迎えについていた。自ずと、四六時中、藍や幹部の側にいる他の者とは違う視点で宿場を見ている。
「どうもこうも決着をつける事になったんだ。宿場から離れた荒れ野で、日にちを決めて決闘だと」
 その場にいたアーウィンにも理由は説明しにくい。銀次にも藍にも互いを潰そうという明確な言葉のやり取りは無かった。しかし、黒蛇にも天神にも相手を憎らしく思う理由は沢山あって、その解決には決闘という方法しか無かったのだろうか。
「それ、また両方から依頼が来るのか? ‥‥いい加減な依頼の受け方をしてると思われかねんぞ」
 あからさまに嫌な顔をして、兵庫は舌打ちする。
「待遇ならこっちが上なんだ。宿場を守るって大義もある、黒蛇の依頼を受ける必要は無いだろう?」
 兵庫は今回良策が浮かばなかったが、とりあえず防衛の強化は必要と思って色々と進言した。呼び子を大量に作り、また若衆の単独行動を戒めるなど藍は兵庫の意見を聞き入れている。
「俺に言われても困るよ。ゴルドワは張り切ってるぜ」
 ゴルドワ・バルバリオンは暴れ足りないのか、決闘が決まって晴れ晴れとした顔をしている。銀次が乗り込んできた時には仮眠を取っていて、出遅れた嵐天丸も同じだ。
「俺も決着つけるのは構わないと思うが、冒険者同士でやりあうのはな‥‥やりにくい」

「一般人を巻き込まないのは、賛成ですね。両者の争いで困るのは宿場の人々ですから」
 話を聞いた神楽聖歌(ea5062)は納得したように頷く。彼女は本来、天神に雇われた一人だが町に来ているただの冒険者として振る舞い、天神一家に草鞋を脱がなかった。
「黒蛇の人達が蜥蜴一家の人達と揉めたそうです。人死には出なかったみたいですけど、早く終わらせないと犠牲者は増えてしまいます」
 黒蛇一家は天神に攻撃を仕掛けてこなかったが、その代わり周りに波紋を広げていた。宿場の平和を守りたい天神としては見過ごせない。隣町の蜥蜴一家まで歩いて数時間の距離だ。火種が爆発すれば簡単に引火する。
「これでよかったのでしょうか」
 真っ当な決闘なら、まず天神一家の勝利は揺るがない。喧嘩は数ではないと良く言われるが、多い方が有利なのは自明だ。宿場はその噂で持ちきりで、どちらが勝つのかと今から様々な予想が立っていた。


つづく。