【死国動乱】変化

■シリーズシナリオ


担当:御言雪乃

対応レベル:11〜lv

難易度:難しい

成功報酬:10 G 13 C

参加人数:8人

サポート参加人数:3人

冒険期間:06月24日〜07月03日

リプレイ公開日:2008年06月28日

●オープニング


 京の夏は暑い。
 冷えた酒を飲み干すと、男は空を見上げた。
 蒼穹に、太陽が白く輝いている。梅雨の晴れ間の空は、もう真夏のそれといっていい。ただ穏やかな風が男の頬をなぶって過ぎた。
「やっと京も静かになったみてえだな」
 男の口からつぶやきがもれた。
 京を襲った動乱。平織の延暦寺攻めはひとまずの決着を見た。今、京は落ち着きを取り戻しつつある。
「なら、俺も動かなきゃならねえな」
 男が茶店の縁台から立ち上がった。その身に纏っているのは浅黄の羽織であった。


 がさり。
 草音に、娘は足をとめた。手に先ほど摘んだ花をもっている。
 娘は何気ない様子で振り返った。
 近くに八郎河童という妖怪がいるという噂は聞いている。が、娘に恐れはなかった。この辺りは娘の庭のようなものであったからだ。
「あっ」
 娘が息をのんだ。背後に立つ者の正体を見とめた故である。
 それは侍であった。鎧を纏っている。
 はっと娘はある事に思い至った。
 今、伊予国と讃岐国は戦の真っ最中であった。戦禍はまだ娘の村にまで及んではいないが。
「恐がるな、娘」
 侍が笑った。
「わしは、お前の住む伊予松山藩主の者じゃ」
「‥‥」
 娘がほっと胸を撫で下ろした。
 刹那――
 侍が娘の手を掴んだ。
「な、何を――」
「静かにせい」
 侍がニィと笑った。
「おとなしくついて来るのじゃ」
「お、お放しを」
 侍の手を振り放し、娘が逃げた。が、その前に別の侍が立ちはだかった。
「逃がしはせぬ」
 云うと、侍は口の端を鎌のように吊り上げた。それはこの世の者とは思えぬ不気味な笑みであった。

●今回の参加者

 ea1661 ゼルス・ウィンディ(24歳・♂・志士・エルフ・フランク王国)
 ea1774 山王 牙(37歳・♂・侍・ジャイアント・ジャパン)
 eb2099 ステラ・デュナミス(29歳・♀・志士・エルフ・イギリス王国)
 eb2918 所所楽 柳(29歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 eb5073 シグマリル(31歳・♂・カムイラメトク・パラ・蝦夷)
 eb5668 ルーフィン・ルクセンベール(22歳・♂・ファイター・ハーフエルフ・イスパニア王国)
 ec0205 アン・シュヴァリエ(28歳・♀・神聖騎士・ハーフエルフ・イスパニア王国)
 ec1064 設楽 兵兵衛(39歳・♂・忍者・人間・ジャパン)

●サポート参加者

コパン・ラパン(ea8348)/ キドナス・マーガッヅ(eb1591)/ 所所楽 苺(eb1655

●リプレイ本文


 ふらりと現れた男を見て、所所楽苺は大きな眼を細めた。
 その男には見覚えがあった。一升徳利を肩に担いだ酔いどれ浪人のように見えながら、そのくせ一分の隙もないその身ごなし――
「あれー?」
 苺はぱちぱちと眼を瞬かせた。
「組ちょ」
 むぎゅっと苺の口が塞がれた。姉である所所楽柳(eb2918)の手によって。
「苺」
 柳は唇に指を当ててみせた。その間、苺はじたばたと――
 その拍子に持参した弁当――焼き鮭やわかめの混ぜご飯二種類の握り飯にお新香を添えたもの――が空に舞い――
 男――新撰組十一番隊組長・平手造酒が片手で受け止めた。
「所所楽の姉妹ってのは変わったのが多いな」
 苦笑する。
 その洒脱な笑みを、ちらりと冷たく一瞥する者がいた。氷に血肉を与えたかのような印象の美しき魔道師、ゼルス・ウィンディ(ea1661)だ。
「此度の依頼の事ですが」
「うん?」
 平手が顔を振り向けた。
「依頼がどうした?」
「急に戦を始めた領主と、その戦に乗した人攫い。‥‥何だか、小賢しい悪党が裏で糸を引いているような気がするのですが」
「それならば、まだ良い」
 一人の男が声をあげた。
 へらへらと笑ってはいるが、どこか油断ならぬ雰囲気を漂わせた男。名を設楽兵兵衛(ec1064)といい、浪人の身形はしているが、これでも忍びである。
「もし藩の意志で行っていたとするなら‥‥私達の行動は藩一つに喧嘩を売るって事になります」
「‥‥」
 冒険者達は声を失った。
 当初は只の妖怪退治だと思っていた。が、蓋を開けてみればどうだ。
 下手をすると八対三千。冒険者が息を飲んだのもむべなるかな。
 が――
 たった一人、蒼き瞳に炎を宿した者がいた。パラのカムイラメトク、シグマリル(eb5073)だ。
「それがどうした」
 軋るような声音でシグマリルは云った。
「何の罪もない娘を苛むとするなら、それはすでに人ではない。人という名の妖怪だ。ならばやる事は一つ。妖怪を斃し、鶴を奪還する」
「単純でいいよね」
 くすり、と。微笑ったのはアン・シュヴァリエ(ec0205)という名の騎士であった。同じ年でありながら、彼女は姉のような眼でシグマリルを見つめると、
「でも、単純な人って好きだよ。ね、造酒兄さん」
「誰が兄さんだ、誰が」
 閉口する平手であるが。アンは平然と身を摺り寄せる。
「商隊に巡礼として参加した体を装おうと思うんだ。で、私達、兄妹って事でどう? 妹を可愛いがる優しい兄なんて、良い役どころだと思わない?」
「妹を可愛がる、ね」
 呆れる平手に対し、にっと微笑むとアンは平手の手から一升徳利を取り上げた。そしてごくごくと喉に流し込む。
「兄妹の契りをかわした盃だよ」
 ふっ、とアンの口から酒臭い息がもれた。


 海原を吹き渡る風は強く、心地よかった。
 深い青の海を遠く見渡しながら、溜息を零すのはアンであった。
「まさに乱世ね」
「本当に」
 応えを返したのは、ステラ・デュナミス(eb2099)という名のウィザードだ。大きな碧の瞳の可憐な顔立ちの娘で、歩くたびにぷるんと胸が揺れる。
「あっちで戦、こっちで戦。‥‥どうしたものかしらね」
「どうしようもないのかもしれない。でも」
 アンはぐっと唇を引き結んだ。
「戦に巻き込まれる弱き者達は守ってあげたい」
「優しいのね」
 ステラは柔らかに微笑むと、
「ところで伊予松山藩の藩主の事だけれど」
「河野通宣?」
「そう。その河野通宣。噂だと良いお殿様だったらしいし、何か考えあってのことか、考えを歪めた何かがいるのか。早めに見極めないといけないと思うの」
「ステラ」
 アンが眉をひそめた。
「ステラもやはり、人攫いは藩主の命で行っていると思っているのかな」
「わからないわ」
 ステラはかぶりを振った。
「でも、早い段階で敵の正体を掴んでおく事は必要よ」
「何だか難しそうだね」
 再び溜息を零すと、アンは口に手を添えて大きな声をはりあげた。
「造酒! 造酒兄さん!」
「てめえ!」
 平手がすっくと立ち上がった。
「兄貴って呼ぶなっつったろ!」
「なあに、てれちゃってえ」
「誰がてれるか。なあ、山王」
「ふん」
 面倒くさげに、帆柱にもたれた男が鼻をならした。
「酔いどれ同士、お似合いじゃないですか」
「てめえなあ‥‥」
 云いかけて、平手は男――山王牙(ea1774)の眼にたゆたう光に気づいた。
「気になるか」
「この世に正義などはない。そうわかってはいますが‥‥笑ってください。やはり鶴を助けてやりたいのです」
「心配するな。正義はあるさ」
 ニヤリとすると、平手は牙の胸に拳を当てた。
「ここに、な」 

 ステラが見つめていた海原を、柳もまたじっと見つめていた。その脳裏をよぎるのは、儚げな、しかし真っ直ぐな一人の少年の面影であった。
 もうとっくに忘れたと思っていたのに――
 柳の胸に、甘くほろ苦い想いが満ちた。その時、
「所所楽さん」
「?」
 振り向いて、柳は心に漣が立つのを覚えた。そこに立っていたのはルーフィン・ルクセンベール(eb5668)であった。
 ルーフィンは蕩けそうになる微笑をむけた。
「聞きましたよ。私のところの専属芸人になっていただけるとか」
「あ、ああ」
 ややどぎまぎして柳は肯いた。
「依頼の間は試用期間で、延長するかは互いの気分次第‥でどうかな。僕はお買い得だと思うんだ」
「けっこうですよ。というより、柳君のような美しく腕のある方が専属で居てくださるのは良い宣伝ですし、何よりこう気分が弾んで嬉しいものです♪ できる事ならずっと私の専属でいていただきたいくらいです」
「えっ」
 柳は眼を丸くした。ルーフィンの云うずっと専属という意味がわからない。
 が――
 ルーフィンは黙したまま、ただ謎めいた笑みを浮かべていた。


 四日後。
 船は松山の港に着いた。往路にかかる日数を短縮したかったのであるが、牙の移動手段が馬であった為、結局は四日という時を消費する事となったのである。牙は現地での活動時間を増加させようと図ったが、いかんせん、松山にむかう船の本数が少なかったのだった。
 港はざわめいていた。前回訪れた時よりもさらに剣呑の度が増しているようである。
 港の役人の調べも、それに比例するかのように厳しかった。が、柳の奏でる笛の音にシグマリルがとんぼをきって見せ、さらにはステラが水芸――実際はクリエイトウォーターとウォーターコントロールなのだが――を披露するに及んで役人の疑いも解けたようですぐに放免となった。そそくさと隊商に扮した冒険者達は港を後にし――
 冒険者達は二手にわかれた。
 一人は鶴の村へと。
 そして平手を含む八人は松山城下へと――。


「‥‥八郎は関係ねえと?」
「ああ」
 信じられぬといった顔つきの長吉の前で、シグマリルは暗鬱な眼で肯いた。
「おそらく間違いはあるまい」
「で、では‥‥いったい鶴はどうなっちまったんです?」
「手掛かりはある」
 シグマリルは答えた。
「それよりも、この二月の間に何か変化がなかっただろうか」
「松山のお侍様の姿をよく見かけるようになりました」
「戦、か」
 シグマリルが呟いた時だ。戸が蹴り開けられた。
「おい」
 声が発せられた。慌てて眼をやった長吉は、戸口に立つ侍の姿を見出している。
「お、お侍様‥‥」
「見かけぬ者がうろついていると聞いたが」
 侍がじろりとねめつけ、はじかれたように長吉は眼を戻し――
 愕然として長吉は眼を見開いた。
 シグマリルの姿がない。先ほどまで眼前に座していたというのに。
 侍は部屋を見渡すと、
「高松藩の間者が入り込んでいるかも知れぬ。見馴れぬものが者を見かけたら、すぐに知らせるのだぞ」
 命じ、姿を消した。その一瞬後の事だ。
 天井の梁からひらりと舞い降りた影が、音もなく床に立った。シグマリルだ。
「お、お前様は――」
 長吉が息をのんだ。その前でシグマリルの眼は青く光った。
「俺達は鶴を無事見つけ出す事を諦めたりはしない。だから長吉、心強く待っていてくれ」


「蜜柑を商いたい、と?」
「はい」
 薄く笑みを浮かべつつ、ルーフィンが肯いた。
 松山城下。蜜柑問屋の中である。
「こちらの蜜柑は紀州のものにも劣らぬほど素晴らしいとか。が、やはり浪花辺りは紀州の蜜柑が多く出回っております。それではもったいない」
「ふむ」
 問屋の主人が考えに沈んだ。市場が大きくなるのは望むところである。
「それはようございますが」
「ありがたい」
 ルーフィンが顔を輝かせた。が、主人の顔色が晴れぬ様子に気がついて、
「どうかなさいましたか」
「いや‥‥肝心の蜜柑なのですが。今は品薄でして」
「品薄? どうしてなのですか」
「戦でございますよ」
 主人は溜息を零した。
「まだ戦は国境辺りの小競り合いのようですので城下は静かですが、それでも品物の流れが滞っておりましてな」
「それでは、このようなものを買ってくれる人は見つかりそうもありませんね」
 ゼルスがマタタビと薬用人参を差し出した。主人は、いや、と答えると薬用人参を取り上げた。
「戦の最中ですからな。もしかすると、これは売れるかもしれません」
「そうですか。しかし‥‥どちらの方に売り込めばよいのでしょうか。松山藩のお侍様に直接――」
「いいや」
 主人は破顔した。
「貴方様が直接商うなど無理でございますよ。薬種問屋に持ち込めばよいと思います」
「なるほど」
 ゼルスが肩を落とした。
 が、その肩をぽんと叩いた者がいる。兵兵衛だ。
「戦には怪我人がつきものですか」
 兵兵衛がニッと笑った。
 牙は肯くと、
「ご主人、私からも尋ねたい事がある」
「何でございましょう」
「妖怪についた、だ」
 牙は云った。本当なら寺神等と繋がりをもちたかったのだが、商隊の護衛という役所の為、勝手に動く事はできなかった。故に蜜柑問屋の主人に問うしか仕方なかったのだ。
「妖怪が人を浚うなどという話を聞いた事はないだろうか。もし妖怪退治の仕事があれば、京から腕利きを連れてくるが」
「ご城下でそのような噂は聞きませんな。お殿様も、松山には妖怪などおらぬと仰せのようでございますし」
 主人は答えた。


「鶴がいるのはお城かしら?」
 アンが足をとめ、平手を見た。
 先ほどまで松山城下で鶴の捜索を行っていたのだが、半日ほどでは得るものはたいしてない。今、アンと平手は巡礼として太山寺にむかっていた。
「どうかな」
 平手は答えた。
「藩ぐるみの仕業ならそうかもしれねえが」
「そうね。もし藩主が魔に憑かれたとしても、家臣全員がというわけじゃないだろうし。‥‥そうなると人目につきにくい山の中の屋敷か寺社あたりが怪しいよね」
 ふむ、と一人肯くと、アンは足を速めた。その背にむかい、平手は待てよ、と声をかける。
「この先には何が待っているかわからねえんだぞ。一人でさっさといっちゃ危ねえだろうが」
「大丈夫」
 振り返ると、アンは片目を瞑って見せた。
「私には、北辰流の小天狗と噂された強いお兄ちゃんがついてるから」


 笛の音が鳴り止んだとたん、拍手がわきあがった。
 一礼すると、柳は居酒屋の中を見渡した。
「京から芸を披露しに来ているんだ。良ければ皆にも見に来てほしいんだが」
 柳は一人の客の前に腰をおろした。そして流し目をくれて、
「ここらで有名になると、藩主おかかえ芸人の座を狙えるなんて話はないかな?」
 と、問うた。すると客の男はどうだかねえと笑い、
「売り込んでみたらいい。何でも河野様は美人好みらしいからな」
「ふうん」
 艶っぽく笑んで、
「ところで松山というところは行商や興行なんかはやりやすいのかい」
「どうだろうなあ。どっちかというと閉鎖的らしいがな」
「じゃあ余所者が襲われたりするんじゃないのか。浚われたりとかさ」
「そいつはねえよ。少なくともご城下は平和さ」
「それはいい。では、もう一つだけ。何か行事などあるだろうか。興行などやってみたいのでね」
「夏祭りなんかはあるかもしれねえが」
「そうか」
 鉄笛を胸にしまうと、柳は立ち上がった。


「すまぬ」
 シグマリルは地に額をすりつけた。脇には胡瓜が積まれている。
 驚いたのは相手の方だ。それは異形で――
 河童。
 沼の主と呼ばれる八郎である。
「お、おめえ」
 声をなくした。
 シグマリルは、先日八郎達をぶちのめした冒険者の一人である。力こそ全て――そう八郎は思っていた。その論理に基づくならばシグマリルが詫びるいわれはない。それなのに――
 八郎は、こんな人間を見た事がなかった。
「も、もういいよ。頭をあげなよ」
「許してもらえるか」
 ほっと息をつくと、シグマリルは顔をあげた。
「ところで‥‥一つ訊きたい。先日、あなたは人攫いの下手人を松山の侍と指摘した。何故、松山の侍とわかったのだ」
「喋っていやがったからさ。娘っ子を浚う時にさ」
「何っ!」
 シグマリルの眼がかっと見開かれた。
「何と喋っていたのだ」
「松山藩の松浦与助って名乗ってやがったのよ」


「はい!」
 ステラの掛け声とともに水が踊る。水滴に濡れた衣服がへばりつき、ステラの胸の膨らみがくっきりと浮かび出て、それは息をのむほど艶かしい。
「いいぞ、姉ちゃん」
 男が叫び、財布に手を突っ込んだ。
 と――
 ステラがその手をそっとおさえた。
「金子はいりません。それよりも近頃の藩主さんの政策について教えていただけませんか」
「そのような事、聞いてどうする?」
 浪人らしき侍が問うた。野良犬のような目つきの侍だ。
「いえ‥‥藩主さんと藩の方針を知っておけば、知らずに危ない橋を渡らずにすむと思いまして」
「さて」
 兵兵衛が割って入った。
「余興はここまで。近く興行を行いますれば、その時にまたお越しくださいませ」
 愛想笑いをふりまき、そして兵兵衛はステラの耳に口を寄せた。
「怪しまれるのは避けた方がいい。今のところ藩主についておかしな噂はないようですが、どうやら長期戦になりそうですからね。――うん?」
 兵兵衛の眼が微かに光った。無数の視線の中に、一つだけ異様なものがある。
「‥‥殺気、か」
 兵兵衛の口の端が小さく吊り上がった。


 太山寺、円明寺、石手寺と巡り――
 しかしアンと平手は、未だ鶴の情報を得られずにいた。ジーザス教も、さすがに愛媛までは布教が及んでいないようで、それらしき噂は聞かない。
 すでに夕刻。そろそろ松山に戻らなければならないだろう。
「お坊さんの様子、おかしかったね。何だかよそよそしいというか」
「ああ」
 アンに肯いてみせ――
「どうやらつけられてるようだ」
 平手が囁いた。
「えっ」
 振り向きかけたアンを、しかし平手は小声で制した。
「振り向くな」
「わかった」
 一度とめかけた足を、アンは再び進めた。
「何者なんだろ」
「さあて。ともかく今は知らん顔をしていた方がいいだろ」
「うん」
 アンはこくりと肯いた。そして眼をくるりと回すと、
「面白くなってきたね、お兄ちゃん」
「そうだな」
 平手がニヤリとした。