【ドラゴン・インパクト】 余響
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■シリーズシナリオ
担当:深白流乃
対応レベル:6〜10lv
難易度:普通
成功報酬:3 G 72 C
参加人数:8人
サポート参加人数:2人
冒険期間:06月26日〜07月03日
リプレイ公開日:2007年07月07日
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●オープニング
ボォルケイドドラゴンが確認されし洞窟‥‥今、その洞窟でちょっとした出来事が起こっていた。
「洞窟にいたモンスターが、集団で洞窟から出てきたらしいの」
ギルドの女性職員が、今洞窟で起こっていることを簡潔に説明する。
「たまたま近くを通った人からの知らせなんだけれど、洞窟の近くでモンスターが固まって行動しているのを目撃したらしいわ」
情報としてはそれ以上でもそれ以下でもないため、本当に洞窟から出てきたのか、それともまた関係のない別の集団なのか、それは定かではないのだが‥‥
「今回目撃されたモンスターが今までに洞窟で実際に確認された種類の物に近い事から、洞窟から出てきた可能性が高いと考えられているわ。人のあまり立ち入らない辺とはいえ、狭い範囲にそこまで大量のモンスターがいるとは思えないしね」
ただし、目撃されたモンスター群は、その数から洞窟にいたモンスター全てではないようである。
「洞窟の中で大人しくしているならともかく、外をうろつく分には何か被害が出る前に退治してもらう必要があるわ」
一匹一匹は大したことのないレベルのモンスターなのだが、集団となれば話は違う。
「本当にあの洞窟と関係があるのかないのか、まだ分からないけれど‥‥モンスター退治、お願いするわ」
●リプレイ本文
モンスターの群れを探して森を進む冒険者達。
集まった情報によれば、もういつモンスターの群れと遭遇してもおかしくない所まで来ているはずだった。
「ここは通っていないようですね」
スクロールを広げてシシルフィアリス・ウィゼア(ea2970)が皆に結果を伝える。広げているスクロールの力はグリーンワード、尋ねるのは当然モンスターの群れの行方であり、森の中であれば尋ねる植物にも困らない。
「それらしき形跡もありませんね」
地面や草場に目をやりつつウォルター・バイエルライン(ea9344)、まだ、足跡といったようなモンスターの形跡も見つかっていない。
「三日前は雨でしたから、それ以前の形跡は消えてしまってるかもしれませんけれど‥‥」
「数が多いでござるからな、それでも何かしら残っているはずでござるよ」
道中にここ数日の天候を調べていたキルト・マーガッヅ(eb1118)に磧箭(eb5634)が答える。
「数が多い、か‥‥集団戦闘は苦手だが」
磧の言葉にレイア・アローネ(eb8106)が一人呟く。
「確かに、依頼内容は単純で良いが、敵の数が多いのは厄介だな」
と、こちらはレミィ・エル(ea8991)。
「出てきたモンスターは倒さないといけないけど、洞窟で何かあったのかな?」
「モンスターが洞窟から出てきた理由が分からないな」
エリヴィラ・アルトゥール(eb6853)とマクシーム・ボスホロフ(eb7876)、今回の出来事はまだ謎が多い。
「洞窟内部でなにか異変があったと考えるのが普通ですが‥‥」
「考えられるのは、ドラゴンが戻って来た、とかですね」
ウォルターにシシル、
「そもそも、ドラゴンが暮らしやすい条件とはどんなものでしょう?」
「発見された種類がボォルケイドドラゴンならば、暮らしやすいのは火山だろうが‥‥」
そしてキルトとレイアも推測に加わる。
「火山の噴火が近い、という事だとしたら辻褄が合うが」
「火山の活動が活発になってきたとか‥‥?」
もしそうであるなら、国の一大事。あまり当たって欲しくはない予想であるが‥‥
「事情は後で調べるとして、兎にも角にもまずはモンスター退治だね!」
エリヴィラの言葉に気を取り直してモンスター探索を再会する一行、モンスターの痕跡を発見したのはそれから間もなくしての事だった。
「何か様子がおかしいな」
「そうだな‥‥」
影からモンスターの様子を伺うレミィとマクシームのいつものレンジャーコンビ。
発見したモンスターの群れは特に何かをする訳でもなく、大人しくそこに群れているだけであった。二人の言う通り、どこか様子が普通ではないように感じる。
この様子なら危険は少ないだろう‥‥と、二人は後ろに控えている皆を手招きする。この微妙な違和感は、口で説明するよりも実際に目で見たほうが良い。
「居るのは‥‥全て洞窟で見たものと同じ種類ですね。全種類が居るわけではないですけれど」
ざっとモンスターを見回しシシル。
「でも何してるんだろう‥‥?」
「何もしていないのが逆に不自然でござるな」
エリヴィラと磧‥‥というより、皆がすぐに様子が普通でない事は感じる。
「モンスター同士で喧嘩にならないんでしょうか?」
前回の洞窟の中でのグランドスパイダとホーンリザードの抗争を思い返しキルト。
「喧嘩をするどころではないほどの一大事、という事でしょうか」
先ほどの火山噴火云々の話がウォルターの頭をよぎる。
「しかし、いつまでもこうして大人しくしているとは限らん」
「そうだね、それに早く退治して洞窟の様子も見に行かないといけないし」
レイアの言葉にエリヴィラが返すと、それぞれはモンスター討伐の準備に取り掛かり、
「この感じなら使えるかな‥‥?」
間際に固まってじっとしているモンスターを見てポツリとシシルが呟いた。
「いきますよー、アイスブリザード」
先制攻撃、と放たれたシシルの魔法による吹雪がモンスターの群れを包んでいく。
「‥‥すごいですね」
後ろから様子を眺める他のメンバーが誰ともなく呟く。
群れのほぼ全てのモンスターに効果が及んだシシルの魔法は、そのほとんどに大ダメージを与えていた。
「私達の仕事が無くなってしまいそうだ」
とレイア、
「それは大げさだろうが、仕掛けた罠は無駄になるかも知れないな」
罠を仕掛けた辺りに目をやりつつレミィ。
「罠のある場所まで動いて行けそうなモンスターはそんなに残ってないみたいだしね」
エリヴィラが吹雪の勢いが弱まり徐々に姿を現しすモンスターを見回す。
「ともあれ、残りは一体一体に止めを刺していくだけですね」
吹雪が完全に止んだ後、ウォルターが手近なモンスターに小太刀を振り下ろした。
続き、エリヴィラとレイアも近くのモンスターへ剣を突き立て止めを刺す。
「後はお任せします」
前に出たメンバーと入れ替わるように後ろへ下がるシシル。
道中のスクロールの使用や先ほどの魔法のせいで、実はもう魔力が残り少ない。
「任せるでござるよ」
答えて磧も飛び上がるようにして拳を振るう。
「この様子だと対空の心配はなさそうだな」
「飛べる種類のモノも先ほどの魔法で撃ち落されたのだろう」
マクシームとレミィが弓を引き視線を上に向けるが、空を飛んでいるモンスターは今のところいない。格闘では対処しにくいそれらのモンスターは弓を使う二人の役割だが、いないのであれば放つ矢は陸上のモンスターへと突き刺す。
「なんともいえない光景ですね‥‥」
後ろから客観的に戦闘の様子を見ることが出来るキルトの呟き。大量の息絶えなモンスターに冒険者が容赦なく止めを刺していく光景は微妙な感情を呼ぶ。そういうキルトもウィンドスラッシュの魔法でモンスターの命を次々絶っているのだが。
「一般人のメリアさんにはあまり見せられない光景ですね」
「今回は着いて来なくて正解だったかも」と続けてシシル。
その子供の情緒教育などにはかなりよろしくなさげな光景は、今しばらく続くのであった。
さて、モンスターの群れを軽〜く蹂躙し終えた冒険者達は、例の洞窟の入り口へとやって来ていた。
「モンスターの群れがここから来たのは間違いないみたいですね。」
入り口の周りを見回すと、ちょうどモンスターの群れを発見した方向に向かって一筋に群れが移動した痕跡が残っている。
「だが‥‥それ以外は特に変わった様子はないな」
マクシームの言う通り、洞窟の入り口周辺は相変わらずノホホンとした感じだ。
「どうだ? マリッサ」
レイアが頭上を飛ぶエレメンタラーフェアリーに尋ねると、フェアリーは首をかしげていたがすぐに首を横に振った。火の属性を持つマリッサだが、この場所で特に何かを感じはしないらしい。
「火山の噴火は関係ないのでしょうか」
火山の噴火が近いのであれば、火の属性のエレメンタラーフェアリーが何かを感じるとることができる‥‥可能性はある。
「実際に中の様子を見るしかないでござるな」
冒険者達は、もう何度目かになる洞窟へ再び足を踏み入れた。
さすがに目標とする地底湖まで行く事は時間的に無理があったが、中に入ってみて分かった事。
それは、洞窟自体には何も変化がなかった事である。
外に出て行った分とちょうど同程度のモンスターの数が減っているが、依然として洞窟の中にはさまざまなモンスターが住み着いていた。外に出た種類のモンスターも、外に出て行った分だけ数は少なかったがまったくいない訳ではなく、その様子も特に変わった所はない。
謎は‥‥解決することなく、増えるばかりであった。