【夏祭り】浴衣パーティにご招待ですぅ☆
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■シリーズシナリオ
担当:深空月さゆる
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:4
参加人数:7人
サポート参加人数:-人
冒険期間:07月22日〜07月25日
リプレイ公開日:2009年08月02日
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●オープニング
物騒な世の中であればある程、潤いを求めたくなるのが人情(?)というもの―――。
王都メイディアの外れにある庭付きの立派な屋敷、その二階の日当たりの宜しい一室、お気に入りの長椅子に横たわり。羽扇をばさらばさらと仰ぎながら、スリッドの入ったドレスから美脚を惜しげもなく晒していた金髪碧眼美女(年齢不詳)は、その部屋で自分の足の爪磨きをさせていた侍女のミーアに何気なく話しかけました。
「近々、裏庭を使って浴衣パーティでも、する? 暑い夏の夜、涼しい恰好して流しそうめんとか食べるの。冷たいデザートとか持ちよって食べたり、さ」
嵐はマチルダ・カーレンハート様のとっておきの笑顔と共にやってくる―――。なんてことは当人には絶対言えず、うにゃ? とにゃんこ口になったミーアは首を傾けました。
「YUKATA? ああ、前にマチルダ様が仰っていた涼しげな天界の服ですね〜」
「うん、そうよ。珍しい布が手に入ったし、作り方も同封してもらったからオリジナルの浴衣が作成できると思うのよね」
「ん〜。でもそうめんってなんですかぁ? それもやはり天界の食べ物?」
「そっ。今日沢山荷物が届いたでしょ? 安くはないけど、ずーっと儲けは出てたし、珍しい品だから高かったけど思い切って買っちゃったわ」
好事家の彼女は結構金銭にシビアなので、基本取引で損になるような事はしません。そしてその美貌とS的性格にころりとやられた小父様がたから結構貢いでもらったりしていて、マチルダ邸で働く侍女として、安泰ではありましたが。今回はほぼマチルダのポケットマネーのようです。珍しい、というのがミーアの個人的な感想でした。目をくるんと丸くしています。
「楽しそうですぅ☆ 私としては大賛成ですけど、マチルダ様、それどなたかに売ったら凄く高い値段がつくんじゃありません?」
なんせ総じて価値が高い、天界の品です。市などで買ったら値が張ること間違いなし、でしょう。普段の彼女なら儲けに走っているところです。
「まぁ〜、たまには、ね。こう暑いと娯楽も必要って言うか、あの子達も大変なこと続きでちょっと不憫になったっていうか。いいじゃない? 夏の思い出に」
自分らしくないことをしている自覚があるのか、マチルダは扇の影で若干憮然と、やや照れくさそうに言いました。ミーアの顔がみるみる綻びます。
「あの子達って、ロゼさん達? 冒険者の皆様?」
「ん、まぁそうね」
「マチルダ様優しいっ。素敵ですぅっ。それでこそ私のお師匠、ただ金銭にがめついえらそーな人じゃなかったんだって皆に想ってもらえるチャンスですよ!!!」
「ちょっとちょっとミーア‥‥蹴っ飛ばされたいの‥‥??」
ミーアは聞いちゃいません。その場でくるくる回ったり、私も作って貰いたいです浴衣! とテンションが上がっています。
「うふふふ。そうと決まれば善は急げ、ですね☆ えーとロゼさん達にシフール便を飛ばして、冒険者ギルドに行って。なんだか楽しくなってきましたっ。早速、宣伝して参りますぅっ☆☆」
●リプレイ本文
●祭り準備編☆
マチルダ邸は一気に賑やかになった。明後日に控えた夏祭り本番を徹底的に楽しむ為に、準備をすべく冒険者の皆――総勢六名が来てくれたからだ。約束の時間に現れなかったもう一人は、急用が入ってしまったのかもしれない。
「こんな異世界で、まさかそうめんやだし汁の材料に出会えるなんて‥‥。ほんとうにビックリです。これは小町流花嫁修業目録の腕がなります!」
うきうきとそう言ったのは、美芳野ひなた(ea1856)。そしてすぐに彼等は知る事になる。彼女が来てくれなかったら、浴衣のデザインが相当に珍妙になっていたであろう事を――。
「皆さん、ようこそですー! じゃ、じゃーん☆ 試作品・一号ですぅ☆」
冒険者らを出迎えてくれたのはミニスカに、二の腕でばつりときられた袖の藍色の生地に金糸で☆の刺繍を施した着物を着たミーアだった。長いふわふわの赤毛は、両耳の上で無造作に二つに括っている。
「!!? えっと、をを生足ー! うん、ロリロリで可愛いぞミーアたん!」
「う、うむ、よく似合うぞミーア」
村雨紫狼(ec5159)とアマツ・オオトリ(ea1842)が。他の皆も頷いてくれたので、ご機嫌な様子だ。確かに可愛いが、これはちょっと違うのではと思ったのか煉淡も密かに苦笑した後、彼女に尋ねた。
「時に試作品はまだ一号、なのですね。マチルダ女史の浴衣などはまだ」
はい、まだですぅと頷くミーアにほっとする一同。ミニスカ浴衣のマチルダ‥‥どんな反応すればいいのか困る人続出すること請け合いである。
「雇ったお針子さん達に、今日明日と急ぎで作ってもらう予定なんですよ☆」
「あっじゃあひなた、浴衣作りのお手伝いをしますよ。そのつもりで来たので!」
「ひなたさんが手伝ってくだされば百人力です☆ えっとでは料理に関しては、なのですけど」
「本日はお越しくださり、ありがとうございます。改めて、執事のレンです。料理に関して何か追加したい物があれば、私が承ります」
「レンさんと打ち合わせお願いします☆」
「ひなたさん、紫狼さんには、先日はわたくしどもの結婚式の為にお手伝い頂き、本当に感謝しておりますの。そのお礼といっては何ですが、このわたくしも御手伝い致します。本日はひなたさんの手となり足となり食材や布といった材料集めに奔走致しますわ!」
と言ったのはシャクティ・シッダールタ(ea5989)。
「えと、布は購入してあるから大丈夫ですよぉ☆」
「あ、そうでしたか。でしたら食材の方はお任せくださいね」
「市に行くならば私も共に行こう。愛馬に荷物を積む事もできるしな」
「私も参ります。必要なものは手分けして購入したほうが早く済みますしね」
「では、紫狼さん、私達は屋敷で、会場作りの手伝いをしましょうか」
「賛成、俺は雀尾先輩とのこっから買い出しは頼むぜー!」
「では、とりあえずメニューに関してお尋ねしてもよろしいですかな?」
水を魔法で凍らせ砕き、かき氷にし、果汁や蜂蜜をかけるなどの案が出された。ひなたからは他のデザートにムース、またチキン等、冷たい物以外のメニューの提案も。
「それでは買い物にはミーアを連れていってやってください。村雨さんと雀尾さんは、力仕事の後に箸とめんつゆに関して助言を頂きたい」
皆頷くと、階段の上から拍手が聞こえた。
「うん。やっぱり当日だけじゃなく準備の方もってミーアに書き添えてもらって正解だったわねぇ」
そこには、涼しげな水色の薄地のドレスをまとった金髪美女が。
「本日はお招きいただきありがとうございます」
唐突な登場に最初に動じず真っ先に反応したのは煉淡。
「たまにゃあイキな事すんじゃんマチルダのオバはん!! いやだってさ〜、オバはんからモノもらったりオゴッてもらうなんて滅多にねーじゃん!」
ドビシッと、扇子が紫狼の眉間に命中した。慣れた動作ですかさずレンがそれを拾う。いてててっとうめく紫狼を軽〜く睨んだ後、すぐに機嫌を戻した様子でにこっと笑った。
「どういたしまして。頑張れ諸君、楽しい夏祭りの為に」
「準備から関わるのもまた一興だとは思いますが。マチルダ様も御一緒に何かなさいますぅ?」
「私はこれからお昼寝タイムだもん」
「マチルダさん、こんにちは!」
「あらー、ひなたちゃんいらっしゃい♪」
ひなたが浴衣の採寸を取りたい事を告げると、それを聞いてハロウィンでの一件を思い出したのか女傑は大層喜んだ。
祭り当日切る浴衣は、冒険者らは持参してきた者も多くいた。この国で浴衣を着て祭りを楽しむというのは異文化に違いないが、今後それなりに浸透していくかもしれない。
皆拠点となる一室へ移動し、荷物を置き。
「ロゼさん、クインさんにも渡すつもりで、持ってきました」
ルエラ・ファールヴァルト(eb4199)がそう言って二着の浴衣を荷物から出した。
「素敵ですね! ではお二人の分は用意する必要はないですね」
「きっと喜びますわね」
とはひなたとシャクティが。
「ではまず紫狼さんの方、ですね」
「あ、じゃあさ忍者ちゃん! マイ嫁ズの浴衣も頼めっかな?」
「はい、お安いご用ですよ。頑張って作らせてもらいますね♪」
紫狼と二人の精霊の採寸が賑やかに済み、色も決まり、その後ひなたはお針子達とその一室にこもり。
布を断つところから、製法の確認を他の女達をちくちくちく、縫い縫い縫い。実に鮮やかな手並みだ。遠方から来る者らの採寸は当然行えないので、フリーサイズで仕上げていく事に。彼らが到着後実際に着てもらい丈など調整を行う事になる。
「ドラゴンさんのも、アレンジして法被のようにすればきっと着れますね」
偶然だが紫狼がマチルダより譲り受けた青地にド派手な模様を施された法被に、似た感じになりそうだ。お揃いみたいで可愛いかもしれない。
先に話した通り、会場へ備品の設置は、レンを煉淡と紫狼が手伝い行っていった。屋敷の裏庭にはご存じグリフォンの小屋もあるが、そのスペースを差し引いても、それなりの人数が出入りするのは可能な程の広さはある。草は使用人らが刈り取り、後はベンチやテーブルやらを運びこみ、そして肝心な『あれ』を運びこみ設置していった。
●浴衣パーティ当日☆
煉淡とシャクティ、ひなたの合作の『冷蔵庫』。適度な大きさの木箱はマチルダ邸に何箱もあった。そこにアイスコフィンをかけた石を敷き詰め、藁をひき、その上に酒や傷みやすい食材などを置いていく。
夏季、食べ物が傷まないようにマチルダ邸でもアイスコフィンで即席の冷蔵庫を時として作っていたらしいが、全く同じ物ではなかったようで、感心したように見ていた。そこに買い出し組に購入してきてもらった酒や、果物など、また準備されたムース等の菓子もしまわれている。蜂蜜や果物のシロップも完備。後程クーリングを使用し、全員分の氷を準備、皆で手分けしてやれば祭りで必要時にすぐ提供できるだろう。ルエラの提供してくれた桜の蜂蜜なども大いに使用させてもらう予定だ。
流しそうめんは既に準備万端。そうめんに合うのではとルエラが持参してきたパーチ、また市場で買ってきた魚に味付けし、乗せて食べられるようにしてある。勿論悪くならないようにこちらも冷蔵庫の中に並べてある。めんつゆもひなたに味を見てもらい、OKが出ているので中々の味だろう。天界人からしてみたら多少は薄いかもしれないが、完全に一緒じゃない、それも御愛嬌だ。
そしてその後、マチルダ邸へと招待客らが――ロゼ、クイン、ちびドラ、エドにラス、そしてロゼの弟と一座を代表してフール・パーターとシフールのテッサの八名が先に到着した。後は天界人の桜庭幸人と、彼の教え子達、そして教会の三人のシスターらが来る旨連絡が入っている。そしてひなたが以前関わった料理人のリザとアルマの兄妹も、これから来る予定だ。多忙なひなたに代わって、リザらの迎えにはミーアが。二人には冒険者ギルドまで来てくれるように頼んであるので、うまく合流は出来る筈だ。
「よう。そうめんとか浴衣ってやつは判らないが、きっと珍しい物が見られるんだろう?」
「エドあんた、相変わらずねえ。ふん、楽しみにしてなさいよ」
「そっちこそ相変わらず偉そうだな。また無茶言って皆に準備させてお前はのんびりしてるんじゃ」
「エドってば! ええとお招き頂いて、ありがとうございます。マチルダさん。ルエラさんも」
「いえ、たまには息抜きも必要かと思いまして。お二人に渡したい物があります、どうぞこちらへ」
「「?」」
『ルエラ―、僕には?』
「あなたにも用意してありますよ。甘酸っぱい保存食を」
『なぁにそれー? 食べるけど♪』
ロゼの弟とマチルダらは初対面だが、それぞれ人見知りとは無縁の者達なので彼もうまく溶け込めるだろう。
一人で着られぬ者もいる為、浴衣の着付け等を、皆で行っていく。そうこうしている内に皆合流した―――賑やかだ。
ロゼとクインに贈られたルエラの「太陽」と「昇竜」はそれぞれのイメージにぴったりの浴衣で、二人は感謝しながら受け取った。嬉しそうな様子を見て、ルエラも相好を崩す。
「‥‥子爵めが予告した『宴』が、丁度一ヵ月後。これからの一ヶ月が、子爵領、ひいてはロゼ達の命運を決めるのか‥‥」
「だな。けどさ、ひとまずせっかくの祭りなんだから楽しもうぜ。なっ」
「それはそうだな。今はゆっくりと楽しもうか。久方ぶりにそうめんも食せるからな」
アマツはくすりと笑う。よーこがオレンジ色の、ふーかが水色の浴衣をまとい楽しもう! と言いたげににこにこと周囲を飛び回っていたからだ。
「浴衣は前から持ってたんですが、こういう機会で着る事になるとは思ってませんでした」
「本当に。それに異国でこういった事ができるとは私も思っていませんでしたわ」
自前の着物を身に付けたシャクティがそう言い、しっとりと笑う。
皆続々浴衣を身に付けていった事もあるが、マチルダ邸の裏庭は、少々不思議な様相を呈していた。木々の枝にぶら下がっているランタンは、間違いなくあのハロウィンのあれを元に作ったらしく、不思議な照明が揺れている。
それに客として陽精のスフィンクスが来ていて、彼にはミスラのお供も数名ついているので夕刻から夜に差しかかるその時でも、彼らがいる場はそれなりに明るかった。
「おー着たかスフィンクス、待ってたっぜー♪」
「ああ。‥‥この屋敷で吾輩がお前達と話すのは、黙示録の兆しを伝える為現れて以来だな」
ロゼらが初めてスフィンクスと出逢った時の事だ。そうだね、とロゼは微笑した。そして今までの想いでに浸る皆の回想を、あの三つ子のシスターがなだれ込んできて粉砕したのだった。
「ロゼ! 久し振りっ!」
「ローズマリー! 元気だった?」
「元気よ元気! あらっ。紫狼ちゃん暫く見ない間にますます男らしくなってー!!」
「うわあああ俺はもう結婚してんだ、来るなー!! ●×△○×!」
紫狼は、ここで皆に結婚の挨拶をする事になった。
「では流します、皆さんいいですか〜行きますよ〜〜!!」
設置された『樋』の両側で、わくわくしながら待つ数十名。傾斜の先には、大きな桶が置かれている。紫狼、アマツ、煉淡の意見を元に細い木の棒――箸はいくつも用意されてはいたのだが。その後、その場にはわああだのムリムリムリ! だの掴めるかー!! だの悲鳴があがった。
「みんな不器用だなぁ〜。(ずるずる)〜〜〜〜あーうめえっ」
「出来るかっ。天界人って皆こんなの使うのか?」
結論から言おう、皆ハシを使いこなす事はできなかった。中々この道具、熟練を要する。初心者ながらひょいひょい使いこなしていたのは変わり者の道化師くらいだ。
「おお、中々どうしてこのめんつゆというものも、そうめんなるものも、美味ですねぇ」
「フール・パーター‥‥器用だな、あなたは」
ロゼの弟のアレクが若干呆れを滲ませ、化粧は絶対落とさないという拘りを持つ中々不思議な格好の仲間に一言。煉淡やアマツが苦笑しながらも皆に助言。もうこうなったらフォークでもありである。アレクはテッサにフォークでそうめんを食べさせてあげていた。
「しょっぱーい、けど美味しい♪」
「アマツさん、器用だねっ」
「ああ、私は使い慣れてるからな。ラス、フォークを使え。多少行儀が悪くても構わんさ。そなた達も」
「ん〜お箸って、難しいですね。でもこの料理は美味しいな」
ロゼがくるくるとフォークでパスタを巻くみたいにして食べている。だな、と相槌を打つクインに、法被を着せられご機嫌のちびドラが周囲をぱたぱた飛んでいる。クインはロゼの艶姿に少々見とれていたり。
ひなたが呼んだリザとアルマも物凄く異国の料理に刺激を受けた様子で、製法を聞き作り出せないのを知って相当残念そうだったり。幸人は自国を想いだしたのか懐かしそう。子供達も初めてのそうめんや珍しい料理の数々に、心から喜んでいる様子だ。皆招待された事に感謝しつつ、しっかりと料理を平らげていった。(ちなみに冷やした抹茶風味の保存食は、お菓子というには若干微妙な味わいだったようだ)。余興で、ジ・アースへと渡り磨いてきた技、二天一流の演武を紫狼が始めた時には、パーターとアレク、楽器演奏を出来る者が持参してきた楽器でその舞を盛り上げた。
「ぷは〜うん、美味しい。さいこーね☆☆」
赤系の華やかな浴衣に身を包んだマチルダもご満悦。手には煉淡から差し入れされた、ラガービールが握られている。ペガサスや精霊らに、ルエラと煉淡がかき氷を食べさせてあげている姿が見られた。珍しい体験に彼らも、夏を感じる事ができただろうか。
シャクティから結婚式のお礼にと、紫狼に小さな奥さん二人へと水着が二着贈られ、ひなたにはホットケーキミックスが贈られた。
お土産にそうめんとめんつゆを希望されたが、中々に好評の為どんどんなくなり、皆に配りきる量がない事をミーアに物凄く申し訳なさそうに言われ、二人はなら、と遠慮した。
「ひなたさんにはお給料も用意しました。すごく頑張ってくださったので、レンさんが」
「いえ、いいですよ。皆さんすっごく喜んでくれたし、それで満足です」
「そう、ですか? 判りました。それにしても‥‥そうめん、浴衣パーティ、中々よいもの、ですね♪」
皆和気あいあいと、楽しい時間は過ぎていき――。
「さて‥‥ロゼよ。先の風精との邂逅で思うところも多々あったろうが‥‥生まれが替わっておれば、そなたが子爵の立場になっておったのだろうな‥‥。だが、あくまで『かもしれぬ』話よ。
そう思うならば、なおさら彼奴の凶行を止めねばならぬ。我等一同、そなたの味方だ」
ありがとう、とロゼは微笑んだ。
マチルダから戦いに役立ちそうなものをと、ある品を冒険者らは手渡された。
つかの間の休息、夏の夜の想い出。それは確かに皆の胸に刻まれたのだった。