『メイドインジャパン 放蕩娘の冒険記6』
|
■シリーズシナリオ
担当:凪
対応レベル:4〜8lv
難易度:難しい
成功報酬:3 G 60 C
参加人数:5人
サポート参加人数:-人
冒険期間:04月15日〜04月25日
リプレイ公開日:2005年04月22日
|
●オープニング
■メイドインジャパン
江戸から北東へ4日ほど進んだ山奥の小さな村に西洋風の大きなお屋敷が有りました。
お屋敷の主人の名前はアルフォンス。当年取って125才のドワーフの元騎士です。
若い頃に数々の武勲を重ね、今では喰うに困らない程度の蓄えを持ち、この東の国ジャパンの片田舎で、老後の余生を静かに送る為に引っ越してまいりました。
私有地にはぶどう園を作り、梨園を作り、ワインを作り、果実酒を作り、慎ましくも一人娘(養女)とメイドさん達数名と質素ながらも静かな生活を送っておりました。
「やはり平和が一番じゃ。私が戦場で冒険者として生き残って来れたのも、儂がみんなよりずっと臆病者だったから、生き延びてこれたのかもしれんのぉ。後は娘が、一人娘が元気に育ってくれれば、後は何も言う事はないんじゃがのう」
夕日の差し込むベランダで、丸テーブルで静かにワインを嗜む初老の老人。それが彼の今の姿である。
だが、親の心子知らずという奴か、その娘は元気に冒険者を目指していた。年の頃は数え年で15才。戦災孤児で5才の時にアルフォンスの手に引き取られてからはすくすくと元気に成長していった。いや、元気すぎるのが彼女の難点なのである。
見た目だけなら艶やかな髪と白い肌、絶世の美女と呼んでもおかしくない彼女。アルフォンス曰く『儂があと100才若ければ、娘ではなく妻にするんじゃがのう』と言う彼ご自慢の娘である。
だが、闘う父親を見て育ったせいか、彼女の感覚は偏っていた。
「私は大きくなったらお父様みたいな立派なドワーフの騎士に成るの」
それが彼女が物心ついてからの口癖である。
今では『ドワーフの』は取り除かれてしまったが、それでも騎士に成る夢は捨てきれない様子。毎日剣の修行に励み、オーラの技の修行に励み、日々鍛錬に鍛錬を積んでいるおてんば娘に成ってしまったのだ。
アルフォンスの胸の内は旗本の冷や飯食いの婿養子でももらって、静かに平穏な生活を送ってもらいたいと言うのが願いでは有るのだが。
●要塞完成
ソレイユお嬢様が就職活動で忙しいので、仕方なく一人パタパタとクレッセント・サンダーは裏山の様子を見にやってきていた。雪が解けたらコボルト退治と言う、めどーい下見である。
そしてそこで彼女が見た物は‥‥巨大な石や丸太が積み重なった作られていた山の中腹に作られたお城(軍事要塞)である。こんな物を誰が作ったんだろう‥‥思い当たるのは一つしか居ない‥‥とてもメドイ考えに成ってしまいそうである。
「はっはっはっ、待っていたぞ人間共。おまえたちがいつ攻めてきても良いように、この風雲コボルト城を建設しておいたわ!! は〜はっはっはっはっ‥‥っておチビちゃん一人?」
要塞の上からひょっこりと顔を出した山姥と数匹のコボルト(犬鬼)達。しかし、来たのがシフール一匹なので流石に気が抜けたのか、それとも話し相手が欲しかったのか、取りあえず要塞の中に呼び寄せると、ちゃぶ台でお茶に誘われた。茶請けにたくわんがある。
「おまえたちがなかなか攻めてこないんでなぁ、要塞作ったり助っ人呼び寄せたり色々してたんだぞぉ? 見ろ、本日のスペシャルゲストの牛頭鬼の‥‥おまえたちの言葉ではミノタウロスか‥‥ミノタウロスの五郎くんを」
山姥と言うかおばぁちゃんが紹介した方向を見ると、身の丈2.5m。首から上が牛で首から下が人の巨大な鬼が君臨していた。
「うわぁ〜見るからに勝てそうも無い敵ですねぇ〜」
クレッセントがお茶を啜りながらミノタウロスを見つめる。
「だろう? 牛頭鬼の中ではそこそこ頭も良いし穏和な性格してるんじゃがな。問題はコイツは私と同じくらい大飯ぐらいでな、一回の食事に一升(10合)の米を喰うんだ」
そう言って山姥は大きくため息をついた。
「里に下りて子供の2〜3人も捕まえて丸飲みしてやろうかと思ったんじゃが、要塞からでたところをねらい打ちにされても困るからな、こうしてここで待ち伏せしてるんじゃが全然お前たち来ないし‥‥」
そう言って山姥はお茶を啜りながら大根を一本丸飲みした。
「兵糧が無いのに籠城戦なんですか‥‥」
あまりの事に言葉を失うクレッセント
「そこで提案なんだが、早く攻めてきてくれんか? それでおまえたちが負けたら食べ物を差し出す事‥‥私らが負けたらおとなしく帰るから‥‥な? 悪い条件じゃないだろ?」
山姥の言葉にほぅとため息をつくクレッセント。
「短期決戦の籠城戦もどうかと思いますが‥‥一応お嬢さんには伝えておきます」
そう言って、クレッセントは風雲コボルト城を後にした。
●そして
就職活動で願書書きまくっていたソレイユの元に、クレッセントが戻り、状況の説明をしたのは、その日の夕方の事だった。
「面白そうじゃない、風雲コボルト城。早速冒険者募集して特攻しようよ!!」
相変わらずのノー天気なご意見に、クレッセントは突っ込む気力も無かった。
「所で就職活動の願書って何してたんですか?」
ソレイユの就職活動に疑問を浮かべるクレッセント。
「これ? いや、どっかの藩で私の事取り立ててくれないなかーっと思って、あちこちの藩に願書送ってるんだけど、全然ダメでさぁ。面接すらさせてくれないんだよね」
そらそうだろう、普通そう言うのはコネで何とかする物だろうと言うツッコミ所満載な状況で有ったが、今日はボケが多すぎてツッコミに疲れていたクレッセントは諦めて突っ込むのを止めた‥‥それがあんな事態を招くとは思わずに‥‥。
っと言うことで風雲コボルト城を一緒に攻略してくれる冒険者募集。
コボルトが石を投げてくる丸太橋を越えて、ミノタウロスが待ちかまえるどろんこ沼での決戦を!!
●リプレイ本文
●『メイドインジャパン 放蕩娘の冒険記6』
風雲コボルト城。夢と浪漫が溢れるテーマパーク。テーマ(大盛りご飯が食べたいな)。
そんなドリームハウスを前にして、立ち向かうのは五人の精鋭+いつもの二人であった。
「5人? 何かいつもより少なくない? 私依頼の出し方間違ったかな?」
相変わらずの紅白のクリスマス使用のビキニアーマー(ビキニという物はこの世界に存在しないがそんな感じのデザインの柔らか皮鎧)に身を包み、忍者刀片手に持った自称騎士のソレイユは人数が少ないような気がする現状を嘆いていた。
「いや、依頼の出し方つーかもっと定期的につーかその前に内容つーかもうツッコミ所が満載なんだけどな?」
やたら脱力しまくりのリューガ・レッドヒート(ea0036)に説教されるソレイユ。
「それはエーとお色気が足りないってことかな。もっと露出度を上げた方が良いのかな‥‥って言ってもこれ以上露出度上げたら全裸に成っちゃうしどーしたもんだろね? いっそクレッセントが脱ぐとか‥‥」
後ろでごそごそとなにやらランチの準備をしてるクレッセントに視線を送るソレイユ。
「ダメで〜す。メイド服(っと言う単語は無くて本当はエプロンドレスと呼ぶのが正しい)を着たシフール娘がけなげにジャパンに来てがんばるお話(略してメイドインジャパン)と言うタイトルなのでこればかりは脱げませぬ〜。主役は脱がないんです〜」
そう言ってパタパタとメンドそうにランチの支度をするクレッセント
「え〜私が主役じゃなかったの!? 酷いよクレッセントぉ」
ソレイユに首もたれてぶんぶん振り回されるクレッセント。
「ソレイユお嬢様も主役です〜放蕩娘がそうでしょうとも〜」
そう言ってソレイユをなだめる。
「良かった。私も主役だったんだ。お父さんお母さん。ソレイユはがんばって生きていきます」
放蕩娘は全然全く褒め言葉に成ってないんだが、その辺は良いのだろうか‥‥。
「話も付いたところで本題だが、どうやってあの丸太橋を越える? 越えた後は泥沼の中でミノタウロスとの一戦が待っている訳だが」
リューガの言葉にひょいと顔を入れるパフィー・オペディルム(ea2941)
「ソレイユお嬢さんやリューガ・レッドヒートさんが正面から攻撃。私が魔法で援護。
そして男性陣二人が飛び道具で援護と言うのはどうでしょう?」
日向大輝(ea3597)と山下剣清(ea6764)が首を縦に振る。
日向大輝が手にしているのは中弓である。威力もそこそこ、射程もそこそこの良い武器だ。これなら沼から半分以上姿を出している牛頭鬼を狙うのも容易であろう。
山下剣清の必殺技はソニックブームである。
剣圧を乗せ遠くに剣のダメージを飛ばす技である。
「クレッセントさんも手を貸してくれませんか?」
レディス・フォレストロード(ea5794)がクレッセント・サンダーの口説き落としにかかる。
実は護衛メイドの彼女は一番のダメージディーラーに成れる存在ではあるのだが、いかんせんめんどくさがりなのが玉に瑕である。
「もし手を貸してくれたら、『レディス・フォレストロード一日貸し出し券』かもしくは鬼の褌を贈呈しましょう!!」
彼女の言葉に腕を組んで考えるクレッセント。
彼女がランジェリーコレクター(褌マニア)なのは抜群に秘密である。
「それじゃぁ一日貸し出し券の方で妥協するのです。久々にハリケン流剣術(謎)4連殺をお見せするのです〜」
そう言ってパタパタとエプロンドレスのままで前に飛んで行く彼女。
ちなみにレディス・フォレストロードはコボルト橋のコボルト引きつけ要員である。
●かくして闘いは始まった。
レディス・フォレストロードが身体に10枚の干し魚を付けてコボルトの上を飛び回る。
一枚、また一枚と落としていくと、コボルト達はそれに文字通り群がり干物の取り合いをしている。
「こりゃおまえたち、しっかり相手をしてやらんと相手に失礼じゃろう。しょうがないのう」
山姥の食欲は高い。その気になれば子供程度なら丸飲みに、子馬だっておいしく頂いてしまう能力があるのである。飛んでいる彼女そのものに喉を鳴らすのもムリはない。
だが、せっかく招き入れた冒険者を歓迎しないのは失礼に当たると考えるのである。
鬼族の割りには律儀だね。
「ようし行きますわよぉ!!」
先手必勝のパフィー・オペディルムのマグナブローが炸裂する。
炎の柱に飲み込まれる牛頭鬼。範囲魔法は誰かが接近戦闘してると巻き込んじゃうのでその前にである。
そしてその間に橋を渡ったリューガ・レッドヒートが日本刀片手に牛頭鬼に切り込みをかける。
袈裟懸けの一撃が牛頭鬼を襲う。
「ふっふっふっ、ここで私が新たに習得した超必殺技を見せる時が来た!!」
そう言って忍者刀を水平に構えて深呼吸をするソレイユ。
その瞬間に彼女を取り巻くオーラが爆発的に向上していくのが分かる。オーラエリヴァイションである。
その間に人混みを迂回してパタパタとクレッセントが牛頭鬼の後ろへと回る。
日向大輝の弓が牛頭鬼を襲う。
泥沼に足を取られている為に美味く避ける事が出来ずにパスパスとその身体に矢が刺さっていく。
「さて、私も接近戦に参加するかな」
山下剣清が接近戦に参加しようとすると、腰になにやらひっついている。ソレイユである。
「専門でかけるのは失敗確立が高くてドキドキですよ。だんな」
専門レベルで唱えられたオーラパワーが彼の刀に付与される。
「メドイけど、攻撃シマース」
いつの間にか雷の剣を右手に携えたクレッセントが牛頭鬼の背中に4回連続攻撃を行っている。
後ろを振り返ろうとする牛頭鬼にリューガ・レッドヒートの重い一撃が炸裂する。
「おまえさんはこっちが前だよ」
牛頭鬼の斧が振り下ろされる。
それを山下剣清がライトシールドで受け止める。
牛頭鬼を挟み撃ちにするような固いでジリジリとその体力と生命力を奪って行く。
もしその一撃が当たれば一発で瀕死の重傷を負いかねない、そんな一撃を紙一重で交わしながら、盾で受け流しながらものの見事に倒しきった彼らには感無量の感動が残っていた。
「ふっ、チームワークの勝利と言うことか‥‥貴様達には闘いのなんたるかを教えてもらった‥‥個人が強いだけでは勝てないんだねぇ‥‥」
何かを悟ったようにして静かに語る山姥。
「約束通り我々はこの山から出て行こう‥‥だがその前に‥‥一つだけ頼みがある‥‥」
山姥はそう言って静かにぽつりとつぶやいた。
「何かくわせてくれ!!」
●そして
何がどうなったのかよく分からないが、山姥とコボルトを交えて炊き出しを行い焼き肉パーティーが行われた。肉肉肉米肉肉米と言った感じで激しく激しく喰われていく。
朝日が昇る頃には二斗焚いた米も無くなり、10kgの肉も無くなり、皆意気揚々とどこかへ消えていった。
「さて、願書は12通出して11通が不採用だった訳ですが‥‥」
ソレイユが侍願書をあちこちに出して、ことごとく不採用だったししたことを発表する。
「藩の就職口なんてそうそうないぞ、大体長男が親の変わりに入って空きなんて出ない。運がいいと次男辺りが入れるくらいだ。‥‥で、俺みたいな三男は、家を飛び出しても文句言われない‥‥と。そういうことだからいきなりいろいろ送りつけても無理だろうな‥‥って最後の一通はどうしたの?」
12通のウチ11通が不採用。残りの一通が気になる。
「えーと、腕に覚えのある方、人が切れる方、豚鬼退治が出来る方、経験者歓迎。山奥の小さな村でひっそりと働いてみませんか?‥‥給与・待遇要相談‥‥2次面接受付中だって」
よく分からないので差し出しの手紙を確認してみる。
差出人は今津町奉行所で同心としての取り立てらしい。
「今津って何処だ!? 東北の山奥か!?」
まさしく誰もが思うツッコミである。
「私が同心におとり立てになったら、リューガさんやパフィーさんは付いてきてくれる?」
コボルト追いやってすることが無いのか、すっかり就職活動にご熱心な彼女である。
「ひょっとしてそれは私も付いていくことになるのですか?」
おそるおそる質問するクレッセントにソレイユがにっこり微笑んだ。
「ほら、ここに家付き(リフォーム済み)って書いてあるから大丈夫。一緒に住めるよ?」
ものすごーい田舎の町方役人の就職先(まだ決まった訳じゃないけど)
貴方ならどうしますか?