『オークを従えし魔物 7』
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■シリーズシナリオ
担当:凪
対応レベル:3〜7lv
難易度:難しい
成功報酬:2 G 70 C
参加人数:10人
サポート参加人数:1人
冒険期間:04月10日〜04月16日
リプレイ公開日:2005年04月15日
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●オープニング
●オークを従えし魔物7
その村はとても平和だった。
辺境の村と言うのは元来山賊や盗賊、追いはぎや鬼の驚異に日夜おびえている物である。
その村も以前は例外に漏れず、山賊や盗賊、山鬼、犬鬼、豚鬼、小鬼、茶鬼‥‥多大な被害が有っていた。そしてその度に冒険者に討伐を頼み、退治が済むと次の問題が発生する。そしてその退治の為にまた冒険者を‥‥そんないたちごっこが続いていた。
ある日を境にその村は例外と成った。漆黒の西洋甲冑を纏い武器を持った男女が数匹の豚鬼達をひきいて、山に住み着いてからである。
彼らは村を襲うことは無かった。それどころか山に救っていた鬼達を退治してくれた。どんな理由が彼らにあるのかは分からないが、そんなことはどうでも良かった。
そんなある日の事である。一人の若者が村の近くで見慣れぬ豚鬼を見かけたのは。
3匹の鎧を纏った‥‥すこし大きめの豚鬼が目撃されたのは‥‥。
彼らの身の丈は7尺弱(210cm程)リーダーらしい豚鬼は他の二匹より小振りだったと言います。
小振りな豚鬼がリーダーたと分かったのは、他の2匹の豚鬼達より身なりが良く、他の二匹が皮鎧で身を固めているのに対して、その豚鬼は大鎧と烏帽子兜で武装し、とげ付きハンマーを肩に抱えていたと言います。
最初は西洋甲冑の戦士達が引き連れて居るオーク達が山から下りてきたのかと思い、村の人達は気にもとめていませんでしたが、一つの問題が発生しました。
次の日の明け方ごろ、家畜小屋の方でバリバリバリバリっと言う大きな音がするので、村人達が見に行ってみると、家畜小屋の壁が壊され、中に居るはずの数頭の山羊と鶏たちがごっそりと居なくなっているのです‥‥。
村人達は事件が山に住み着いている豚鬼達の仕業では無いかと考えました。
直ぐに村長が山に入り、彼らを捜し出して話し合いをしたそうです。もちろん豚鬼達は人の言葉など分かる筈が有りませんので、それを引き連れている漆黒の西洋甲冑を着込んだ代表に。
「それはない、彼らはいつも我らと共にある。それに人間は極力襲わないようにと常々教育している。この山に住むオーク達も同様だ。故に人里に降りて家畜を襲うなど考えられない‥‥。こちらでもその見慣れぬオーク達を見つけ次第とっちめておくよ」
ジャイアントの女性と話をした村長はそれが彼らでないことを確認してから冒険者を雇い入れました。
冒険者の数は6名。そこそこ名の知れた冒険者だと言います。
「たかが豚鬼3匹 直ぐにでも片づけてきますよ」
そう言って彼らが山に入って3日。山から戻ってきた彼らは全身血だらけ傷まみれ、3人が負傷に後の3人も歩けない程の重傷でした。
「奴らは化け物だ‥‥とてもじゃないが我々の手には負えない。金は返す、命あっての物だねだ‥‥」
雇い入れた冒険者達でもお手上げ‥‥とても倒せないと言います。
さらに山に住む漆黒の西洋甲冑の豚鬼を引き連れた者達もその見慣れぬ豚鬼達に襲われ、深手を追ったと聞きます。
「村長すまぬ‥‥我々でも手こずる敵だ‥‥金は私たちが出すゆえ、もう一度冒険者を雇い入れてもらえぬか‥‥頼む」
こうして新たな依頼が発生しました。
『村(裏山)に現れた、見慣れぬ豚鬼を退治してください』っと
●リプレイ本文
●彷徨う心解き放つ
江戸から数日、目的の小さな村にたどり着くと負傷したアリサと負傷した3匹のオーク達が手当を受けていた。っと言っても村の外れの空き家を借りての養生である。
「人間達にいらぬ心配を与えてはいかんからな」
上半身裸で胸さえも隠さず、腹に包帯を巻いている彼女は多少目のやり場に困る。
「状況を簡素に説明してくれ」
風間悠姫(ea0437)の言葉に、アリサがぽつりぽつりと説明を始めた。
「三匹のオーク、彼らは皆棘付きの槌を装備した肉弾派だった‥‥」
「風呂に入ってたらいきなり不意を打たれて‥‥私とリキロスが腹部に強打を浴び、その後味方のオーク達がやられた‥‥。何とか反撃して相手に手傷を負わせたが、奴らには逃げられた。奴ら人間の冒険者から回復薬を奪っているらしい。次に対峙するときは向こうは傷を癒しているだろう」
そう言ってアリサは一つ大きなため息をついた。
「大丈夫こちらもちゃんと傷を癒せば、何とかなります」
そう言って瑠黎明(ea6067)がアリサの前に踊り出し、彼女の傷を魔法で治療する。
分け隔て無く治療するのが彼女のもっとーらしい。
「奴らは山の中腹に居を構えている。襲うなら夜明けと共にが良い」
傷の治療を受けながらアリサは皆にコレまでのいきさつと情報を伝えた。
無論山や森の地形なども含めてだ。
●オークロードとの一戦
山の中腹でたき火を焚いているのが見える。
まるでそれは我々を挑発するように、木を燃やし、肉を焼いて食べている。
その臭いはかなり遠くまで流れているのは分かっていた。
「あの中からボスだけを引き離さないとな」
そう言って、オーク達を見つめていると、取り巻きオークの一匹がこちらを見つめながら立ち上がろうとした。だが、それをボスオークが制する。
そして槌を肩に背負うと、ゆっくりとこちらへと近づいてきた。
そうまるで一人で十分と言わんばかりにである。
木々を縫うようにしてレヴィン・グリーン(eb0939)の唱えた雷がオークを襲う。
オークはそれを身体で受け止め、何事も無かったかのように、レヴィン・グリーンの方向へと身体を向け、静かに近づいてくる。
鎧を着込んだそれは長い牙を生やした豚の顔。紛れもなくオークである。だが、その気配はオークをそれを凌駕している。恐ろしいまでの存在感である。
バチバチバチバチ!!
踏み込んだ草むらから雷がほとばしる。ライトニングトラップ、踏み入れた物に痛恨の雷撃のダメージを与える罠である。落雷がオークの全身に浴びせられる。
「よし、今です」
レヴィン・グリーン、彼の指先から直線上に落雷が飛ぶ。
それはオークに飛来し、更なる追加ダメージを与えている‥‥筈なのだが。
「ムグ・ムググ‥‥」
痛みを感じて居ないのか、やせ我慢なのか、オークは真っ直ぐこちらに突き進んでくる。
島津影虎(ea3210)と風月陽炎(ea6717)がオークの前に踊りでる。
その間にアリサがひっそりとオークの後方へと回り込む。
レヴィン・グリーンが鳴弦の弓をかき鳴らす。
「これで!! どうです!!」
風月陽炎のダブルアタック+ストライクが炸裂する。その拳は大鎧の上から確実にオークをとらえているのだが、有効なダメージには至っていない。
オークが槌を身構える。
その攻撃が風月を襲わぬように島津が間に入って防御する。
だが、それが災いした。
島津の回避力を上回る攻撃力で槌が島津の身体に炸裂したのである。
中傷ダメージを喰らい、後方にはじき飛ばされる島津影虎。
「利かない事は分かっている。しかし!!」
風月陽炎がさらに数発の拳をオークにたたき込んだ。
島津に追撃させない為である。
今度はその風月の身体に槌がたたき込まれた。
風月はさらにそれにカウンターアタックを重ね、ダブルアタック+ストライクが炸裂する。
しかし、それでも微動だにしない。
「すまん、待たせた」
後方に回り込んだアリサが渾身の一撃を振り下ろした。
クレイモアでのスマッシュがオークの左肩口に炸裂する。
だが、オークの動きは止まらない。
振り向きざまにアリサの腹へ渾身の一撃を放ってアリサを吹き飛ばし、自分も吹き飛び距離を取った。
アリサの腹に槌のスマッシュが炸裂し、アリサは真っ赤な血を吐き出す。
同時にオークもどす黒い血を吐き出す。
『やばい‥‥追撃が有っては不味い‥‥』
誰もが脳裏に横切った。負傷は行動を鈍らせる。現在3名は地に伏している。オークの槌の一撃はアリサのクレイモアの一撃に相当するほどのダメージだ。もう1〜2発喰らっては確実に命取りになる。
「むっ‥‥ぐぐっ」
オークの目線が流れる。
その先には瑠黎明の姿が有った。
再度地に伏した3人へとオークの目線が走る。
無防備な彼女を襲うのか‥‥っと思いきや、オークは槌を肩に乗せ、静かにその場を後にした。
逃げ出した‥‥っと言うよりは、『倒せるがこれ以上の闘いはこちらも深手を負う』と考えて諦めたのだろう。
「ばっ化け物め‥‥」
アリサの口から負け惜しみが漏れる。
瑠黎明はオークが居なくなったことを確認してから、改めて3人の治療に当たった。
●オーク戦士との一戦。
取り巻きオークの一匹を風間悠姫とネフェリム・ヒム(ea2815)の二人で対処し、残りを礼月匡十郎(ea1352)三菱扶桑(ea3874)黒畑丈治(eb0160)の3人で対処する。その様な手はずで取り巻きオークへと闘いが始まった。
オークの初手の一撃が風間悠姫の腹部を強打した。肋骨の軋む音がするが、致命傷ではない。
風間悠姫が返す刀でスマッシュを放つが、オークはそれをかろうじて回避した。
三菱扶桑が刀をもってオークを斬りつける。有効打にはほど遠いがそれでも傷を負わせることに成功した。そして、相手の槌の攻撃を刀で捌き闘いの段取りを整える。
頭部に、礼月匡十郎のメタルロッドの改心の一撃が炸裂した。
歯を食いしばり、血を吐き出すオーク。
「もう一丁!!」
さらにEXスマッシュで振り下ろしの一撃を入れる礼月匡十郎。
その一撃でオークの頭部は砕け血が滴り落ちる。
生死を彷徨う程のダメージを受けたオークがふらつく。そこへ黒畑丈治が炸裂した。
動けなくなったオークにとどめを刺す一同。取り巻きオークの片割れは何とか倒すことに成功した。
●そして‥‥
「くっ」
着物が破け、腹部からの血がだらりと足を滴る。
数発のオークの棘付きの槌を腹部や肩部浴びて、服は裂け、血がにじんでいた。
ネフェリム・ヒムのリカバーでは治らないダメージである。
彼女の左手が身代わり人形に手をかけたとき。
もう一つのおぞましい気配を感じ取った。
そう、今一匹のオーク‥‥いや、ボスオークが戻ってきたのである。
「ぶぉ、ぶぃぶぃ」
何らかの言葉を発し会話を交わすオーク達、そのまま襲ってくるのかと思いきや、2匹は山の奥の方へと引き返して行く‥‥
「助かった‥‥のですか‥‥」
ネフェリム・ヒムが声を漏らす。
敵を分散させたまでは良かったが、分散させることに寄って、味方にも大きなリスクが帰ってきた今回の闘い。1勝1敗1分けの状況に取りあえず満足しつつも、追撃を考える彼らであった。
そして‥‥闘いを退け、乱れた衣服の風間悠姫に新しい服を用意すると、彼らは静かに勝利の美酒に酔いしれるのであった。