踊る猫耳巫女4

■シリーズシナリオ


担当:

対応レベル:1〜5lv

難易度:やや難

成功報酬:1 G 48 C

参加人数:10人

サポート参加人数:-人

冒険期間:01月23日〜01月29日

リプレイ公開日:2005年02月01日

●オープニング

●猫耳!! 猫耳モード!!
 江戸から北東に3日ほど。小さなお山がありまして。猫神様を祭っている祠が有りました。
 お山は猫神様に守られている‥‥と、地元の村々の人は、そう口を揃えて言います。
 山は村人達に沢山の幸を与えてくれます。木の実、魚、キノコ、薪、そして‥‥。
 山の麓には猫神様を信仰する小さな神社が存在しました。そして、そこには一人の美しい巫女が存在しました。
 彼女の名は五月(さつき)。猫神様を信仰する猫耳巫女です。
 猫神様の声を聞くことが出来る唯一の存在です。
 今日も今日とて五月さんは神社で飼っている黒猫のミーコちゃんと御神酒を飲んでほろ酔い気分で猫耳音頭を踊っています。神様から御神託が下るのを待っているのです。
 黒猫のミーコちゃんも腰ミノと猫サイズの褌を付けてフリフリ踊っています。
 これだけでも村の名物に成るんじゃないかと言うくらいの一芸です。
「猫耳♪ 猫耳モ〜ド♪ 猫耳音頭♪」
 御山は雪で白んでいるけど、彼らはお酒を飲んで陽気にぽかぽか。
 真っ赤に袴に扇子片手にほろ酔いで踊る巫女様。
 そんな一晩の神楽舞(?)の後に静かに巫女様は御神託を村の長老達に卸す。
 コレが彼女のお仕事であり、日常なのだ、決してうらやましがっては行けない。

「猫は炬燵で丸くなる。」
 火鉢内蔵の炬燵に入ってぬくぬくの猫耳巫女様。炭団(たどん)と呼ばれる炭をもやして暖まる火鉢の上に布団を乗せたような炬燵。それが巫女様のお気に入りの炬燵です。
 所が最近の大雪で村の炭団が不足気味。しかし、炭団を仕入れようにも隣村にいく山道は雪で埋まっている上に、オークが出ると言う評判の街道なのです。
「御神託が下りました。冒険者の皆さんに炭団を運んできてもらいましょう」

猫耳巫女様の御神託です。
オークのでる雪山を越えて、隣村から炭団を仕入れてきてください。
猫ソリはこちらでご用意させて頂きます。

●今回の参加者

 ea3164 魅意亞 伽徒(31歳・♀・忍者・パラ・ジャパン)
 ea4301 伊東 登志樹(32歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea5875 ファルマ・ウーイック(19歳・♀・クレリック・エルフ・フランク王国)
 ea5927 沖鷹 又三郎(36歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 ea6354 小坂部 太吾(41歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea6356 海上 飛沫(28歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea6357 郷地 馬子(21歳・♀・志士・ジャイアント・ジャパン)
 ea6358 凪風 風小生(21歳・♂・志士・パラ・ジャパン)
 ea6359 黒部 幽寡(37歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 ea6656 ラヴィ・クレセント(28歳・♀・ジプシー・人間・エジプト)

●リプレイ本文

●猫耳巫女さま巫女巫女ダンス。

 深々雪が降る小さな村の小さな神社で猫耳巫女様は猫のミーコちゃんと一緒に踊ってました。
 彼女が踊っているのは直径1m以上ある巨大な鏡餅の前、今回のお雑煮に使うべく、奉納されていた鏡餅を引っ張り出してきたのである。外には大きな鉄鍋も用意されている。

「相変わらずお酒呑んで踊ってるですピョン?」
 巫女巫女踊りに加わったのはラヴィ・クレセント(ea6656)。巫女服を着込み、その上から綿入り半纏やら防寒具を着込んでもこもこの状態である。エジプト生まれの彼女には、この寒さはこたえるのだろう。
「ようこそいらっしゃいました。遠いところ寒かったでしょう。さぁ火鉢に当たってください。今熱い甘酒を入れますね」
 そう言って火鉢を3つ用意すると炭をくべ、その上に鉄瓶を置いてお湯を沸かし始めた。
江戸から来た面々は身体についた雪を払い、火鉢を囲む用にして暖につく。
「あぁそうだ、私たちの荷物を運ぶから、荷ソリをもう一つ貸して欲しいんですが」
 ファルマ・ウーイック(ea5875)がそう言って猫耳巫女にソリをもう一つ増やして欲しいと願い出る。
「それはダメで〜す。明日の朝一番のココを出れば、お昼には隣町に、そして夕刻にはこちらに到着する予定です。皆さんの重い荷物はこちらで預かって置きますので、ご安心下さい。」
 そう言って猫耳巫女さまはにっこり微笑んで皆に湯飲みと甘酒を振る舞った。
「そう言えば、冒険者ギルドから荷物を預かって来ただべ。ほれ」
 米俵ほどの大きさの俵をドカリと放り出す郷地馬子(ea6357)。猫耳巫女様はそれをそそくさと受け取った。
「ありがとうございます。これで今年の冬は暖かく過ごせます」
 俵の中には‥‥沢山の炭が入っていた。
 ‥‥炭が‥‥入っていた。
 ‥‥炭‥‥。
 世界が一瞬白かった。
「ちょーっと待ってください。大量に炭があるなら隣村まで炭団を取りに行く必要ないんじゃ!?」
 魅意亞伽徒(ea3164)が異論を唱える。
 もの凄くもっともな意見である。
「そーいわれればそうですが、炬燵は炭団じゃなきゃダメっと言う村のしきたりが有りますし、御神託で隣村まで炭団を取りに行かなければ成らないと出てますから、やっぱり取ってきてもらわないと困ります。特に猫たちが‥‥」
 指さす方向には16匹の猫+猫のミーコちゃんがいる。
 猫たちは炬燵の周りで丸く成りながら、ジッと物欲しそうな目で冒険者達を見つめた。
 雪山をソリ引いて隣村まで行きたくなくてウルウルしてるのか、炬燵に入りたくてウルウルしているのかは分からないが、取りあえずウルウルした目でジッとこちらを見つめていた。
「かんじきを用意して欲しいんだけど、無ければ木の板でもいいが」
 伊東登志樹(ea4301)の言葉に猫耳巫女様がぽんっと手を叩き納屋を探索する。
 そんなこんなででかい木の板にわらじを貼り付けた不思議な靴を用意してもらった。
 っと言うか、せくせくと目の前で作られたという方が正しいのだが。

●出発進行猫ゾリ

 そして、猫に囲まれながら静かに眠る一夜。日の出と共に皆山へと繰り出した。

「私は料理を作るために残る事に成ったでござる。出発する皆さん後は頼むでござる」
 沖鷹又三郎(ea5927)がみんなから材料を集めてでかい鉄鍋でお雑煮を作り始める。
「夕方までには帰ってくるからな〜」
 海上飛沫(ea6356)が手を振り応える。
 16匹の猫達が空の猫ゾリをにゃんにゃかにゃかにゃかと引っ張る。雪をかき分け、雪兎の様に器用にソリを引っ張りながらせっせかせかせかとソリを引っ張る。
 観ているとすごく和んで微笑ましい。

「ブレスセンサーに反応あり!! 距離50。陸の上だ」
 凪風風小生(ea6358)が先行して偵察に向かう中で、複数の動物の息づかいを発見する。
それが、人なのか、獣なのか、豚鬼なのかは分からない。とにかく中型動物以上の何かであることは間違い何のである。
「インフラビジョンにも反応あり、敵影5つ」
 敵なのか味方なのかは分からないが、小坂部太吾(ea6354)のインフラビジョンに影が見える。それは、ワラで出来た防寒着を着込んだ豚鬼達である。
 ワラのミノ、ワラの靴、ワラの帽子で装備を固め、ナタの様な武器を右手に持った5匹の赤褐色の豚鬼達。それは日本の民話に出てくる『なまはげ』にも似た出で立ちだ。
「5匹の豚鬼の後ろに、もう一匹隠れているようですよ」
 黒部幽寡(ea6359)がデティクトライフフォースを用いて伏兵を探索する。
「よっしゃー!! 突貫!!」
 海上飛沫がオークにアイスコフィンを唱えるべく、気高い陸めがけてズカズカ雪をかき分けて行く。そして雪の中に埋まって動けなく成って行く。
「アイスコフィンの射程3mはチョットしんどいです」
 雪の中に埋った彼女をロープで縛り、猫達に引っ張ってもらって雪の中から助け出す。
その間にオーク達は影も形も見あたらない。
「おのれオーク共め、次に見つけたら許さないですピョン」
 ラヴィ・クレセントがそう言ってムチをぶんぶん振り回した。
(注:日本人は豚鬼、外国人はオークと呼んでいます)

●隣町到着
 途中雪を何度も何度もかき分ける場面に出くわしたが、何とか昼前に隣村に到着した。
 一同はココで昼飯を頂くことも出来たが、腹を空かせて帰って、雑煮を食べるためにチョット我慢して帰投することにした。

 帰り道は行きよりダイブ楽だった。
 踏み固められた雪道は歩きやすく行きの苦労に比べたら雲泥の差である。
 ‥‥タダ一人を除いては‥‥。
「とまらねーーーー」
 伊東登志樹はかんじき代わりにと、足に板を履いていた。
 両足に履いた板は、それ自体がスキーの役割を果たし、踏み固められた雪の上をドンドンドンドン滑って行く。猫ソリを追い抜き、道をドンドン滑り進んでいった。

 そんな彼がオークの仕掛けた罠にはまったのは、それからしばらくしてである。
 木のしなりを利用して、踏み込んだ物を網でとらえて宙づりにするトラップ。
 それを冬固められていた雪道に仕掛けていたのである。
 おそらく人間達が帰りもこの道を通るのだろうと見越しての事だろう。
「くそ、捕まったこのままではオークの餌食に‥‥あ‥‥う‥‥」
 絶対絶命を予期した伊東が目にした物は‥‥熊の肉を捌いている豚鬼達の姿だった。
一人は肉を捌き、一人は毛皮を取り、もう一人は火を焚こうとしているのである。
 そして、残りの2名が罠にかかった伊東をぼーっと見つめている。
 熊肉と伊東を交互に見つめるオーク達。
 それに猫ソリと一同が追いつく。
 オークリーダらしい6匹目が残りの2匹に指示を出す。
 オークは罠にかかった伊藤を引き下ろすと、何もせずに罠から外してくれた。
 キャッチアンドリリースである。
「熊捕まえたから、人間はいらないって事なのかしら‥‥」
 魅意亞伽徒が不思議そうにオークを見つめた。オーク達は肉を焼いて食べる準備を進めている。
「親切なオークも居るものですピョン。何かお礼をしなければ成らないですピョン」
 ラヴィの言葉に一同はすこし首をかしげたが、炭団をすこし分けてあげることでオークとはお別れすることにした。オーク達は取りあえず炭火焼き肉を満喫することになる。

●そして‥‥。
「皆さんに悲しいお知らせがあるでござる。」
 沖鷹又三郎が帰ってきた一同みんなに申し訳なさそうに頭をさげる。
「なっ、何があったんですが‥‥」
 海上飛沫が詰め寄ると、沖鷹又三郎は申し訳なさそうに鍋を指さした。
「誰が持ち込んだのか分からぬのでござるが、大量の草餅(アンコ入り)を入れたら、雑煮が汁粉に化けたでござる‥‥」
 世界が一瞬白かった。
「まぁ誰が持ち込んだのかは詮索しないですピョン。美味しければ問題無いですピョン」
(目線をそらしつつ‥‥)

 こんにゃく、椎茸、山菜と手作りかまぼことナルトが入ったお汁粉。
 猪の肉、魚のツミレ、大根、それにはまぐりが入った時点ですごいことに成っている。
さらに実は梅干しも入っているのは抜群に秘密である。

「みなさんお疲れさまでした、さぁターンと食べてくださいな」
 半ば拷問に近い料理を目の前にして、残す訳にもいかず、皆涙涙に完食するのでした‥‥。

 追伸:猫達は今日も元気です。