魔法少女は振り向かない。3

■シリーズシナリオ


担当:

対応レベル:1〜5lv

難易度:やや難

成功報酬:1 G 35 C

参加人数:10人

サポート参加人数:-人

冒険期間:04月15日〜04月20日

リプレイ公開日:2005年04月23日

●オープニング

●魔法少女誕生
 とある所に一人の魔法少女に憧れる一人の女の子がおりました。
 彼女の名前はシーマ・グリューネワルト、親しい友人からは由美(ゆみ)ちゃんと呼びます。それは彼女の本名が葉月由美(はづき ゆみ)だからです。
 彼女はとある志士の家に生まれました。彼女の家には嫡男が折らず、女性では有りますが、彼女は家を継ぐことが定められておりました。
 厳格なお父様から剣術と精霊魔術、それに武芸や学問を教わる毎日ですが、それでも魔法少女に成りたいという夢は捨てきれず、日々魔法少女に憧れていました。

 ある日を境に、彼女は魔法少女に成るために家をでて、この江戸近郊で見聞を広めていた。(本当はチョット違うけど)

●魔法少女お便りコーナー
「はい、魔法少女お便りコーナーの時間がやって参りました。進行は私、シーマ・グリューネワルトこと、葉月由美でお送り致します」
 唐突に始まるお便りコーナー、シフール便で届いたお手紙を開いて読み始める葉月由美。
「それでは最初のお手紙です。ペンネーム『パンチラ大好き少年』さんからのリクエスト『魔法少女さんこんにちは。魔法少女はやっぱりひらひらの衣装にパンチラだと思います。そう言うわけでパンチラバンバンやってください』っだそうです‥‥」
 パンツという未知の単語に、悩みまくる葉月由美(12才)。

「えーと、続いてのお便りはペンネーム『魔法少女大好き』さんから。『魔法少女さんこんにちは、僕思うんですけど、魔法少女には読者サービスが必要だと思うんです。そこでウチの近所に巨大イソギンチャクが居るのでプリチーに退治してください』っだそうです‥‥」
 世界が一瞬白かった。考える魔法少女。悩み多き12才。

「えーと、巨大イソギンチャクを倒すと、それが読者サービスに成るのかどうかは分かりませんが、取りあえず初めての怪物退治の依頼なので張り切ってがんばってみたいと思います♪」


 お便りに疑問を投げかけながらも、魔法少女最初の冒険が決定した。巨大イソギンチャク退治である。ついでにまだ決まってない、衣装やら必殺技やらその他色々も考えてきてくれると嬉しいです。(持ち込みプレゼント可)

●今回の参加者

 ea0119 ユキネ・アムスティル(23歳・♀・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea3358 大鳳 士元(35歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 ea3586 バルムンク・ゲッタートーア(35歳・♂・ウィザード・ドワーフ・ビザンチン帝国)
 ea9355 十六夜 熾姫(26歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea9789 アグリット・バンデス(34歳・♂・ウィザード・ハーフエルフ・イスパニア王国)
 ea9853 元 鈴蘭(22歳・♀・武道家・ハーフエルフ・華仙教大国)
 ea9916 結城 夕貴(27歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 eb0062 ケイン・クロード(30歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 eb0084 柳 花蓮(19歳・♀・僧侶・エルフ・華仙教大国)
 eb0847 天神 雄三(29歳・♂・浪人・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●魔法少女は振り向かない。3
 ポカポカ春の日差しの差し込む中で、潮風の薫る磯で、魔法少女一行は巨大イソギンチャクを倒すべく準備をしていた。
「うわぁホントにおっきいんだねぇ」
 遠巻きにイソギンチャクを見つめる葉月由美。彼女は京染めの着物に黒塗りの櫛を挿している。
「それ綺麗だねぇ?」
 ユキネ・アムスティル(ea0119)が語りかける。由美は自慢げに着物をひらひらさせた。
「もらったのぅ。えへへへへへ」
 殿方からべべが貰えるなんて初めての事なのでかなり有頂天である。
「しかし、初めての相手がイソギンチャクで良かったですねぇ」
 大鳳士元(ea3358)がそう言ってイソギンチャクを指さす。
 イソギンチャクは磯の岩肌に『生えている』動かないので距離を取れば攻撃されないのである。
「そーいえば魔法少女殿はどのような術の使い手なのじゃな?」
 バルムンク・ゲッタートーア(ea3586)の質問にほえっと答える由美。
「私? 精霊魔法風だよ?」
 そう言って葉月由美はにっこり微笑んだ。
「そう言えば由美ちゃん。依頼の手紙を全部読ませてもらいたいんだけど」
 十六夜熾姫(ea9355)が葉月由美に手を差し出すが、由美は鞄を持ってふるふる首を横に振る。
「ダメですよ。守秘義務が有りますからお見せできません。それに今回の依頼だって料理さんがおいしいハマグリを捕る為に必要な事なんです。だから見物人さんもあんなに多いんですよ」
 そう言って由美が指さした先には数人の若い男達がコッソリ見物に来ていた。
「いや、どう考えてもHな目的で見物してると思うんだが」
 そう言って十六夜熾姫は頭を抱えた。
「これ、俺から葉月にプレゼントな。闘いで服が汚れた時の代用だ」
 アグリット・バンデス(ea9789)は西洋の礼服を一式プレゼントする。
 冠婚葬祭などで身につける洋服一式である。
「わわ、着替えの事なんて気にしてなかったわありがとう」
 葉月はそう言って彼の頬に優しくキスをした。
「そうそう、ペットなんですが、私は猫を薦めておきましょう」
 元鈴蘭(ea9853)の言葉に葉月由美がごそごそと風呂敷包みを引っ張りだす。
「そう来ると思って、一応ペットが決まるまでの仮って事でこれを持ってきました!!」
 彼女が取り出したのは丸ごと猫かぶりである。頭の先から足の先まで猫の着ぐるみである。
「じゃそう言うことで夕貴さんよろしく」
 当然の事のように結城夕貴(ea9916)にそれが手渡された。
「マスコットが決まるまでは夕貴さんがペットの代わりってことで!! チョット熱いけどヨロシクね♪」
 そう言ってペット役を押しつけられる結城夕貴。仕方ないので今着ている服の上からごそごそと着ることにする。
 ケイン・クロード(eb0062)はチョット夢うつつ。
 『黒漆の櫛』と『京染めの振袖』を葉月由美にプレゼントしたところ、頬にキスしてもらった後、今まで着ていた巫女衣装をもらったからである。‥‥どうするんだろ?
「仏陀の教えに背く輩を退治させて頂きます‥‥」
 柳花蓮(eb0084)が決めぜりふの練習をしている。
 そう言えば葉月由美はまだ決めぜりふを決めてなかった。
「決めぜりふはえーと次回までの宿題って事にしておこうかな」
 そう言って頬をぽりぽりとかく葉月由美。
「葉月ちゃん。おいどんの妹に成らないでごわすか?」
 天神雄三(eb0847)が着物姿の葉月を見るや否や、矢も盾もたまらずスカウトする。
 突然の事に目をぱちくりさせる葉月由美だが何かを納得したようだ。

「おにぃちゃん。貴方は13年前に生き別れになったおにぃちゃんですね!!」
 そう言ってひしと天神雄三にしがみつく葉月由美。感動の対面である。
 そんな彼女の足下にスリスリと触手が近づいてくる。彼女の足にぐるりとまとわりつくと、一気に本体の方へと彼女を引き寄せていく。
 砂浜を引きずられていく葉月由美。
 着物の裾を抑えて、悲鳴を上げながら巨大イソギンチャクの方へと吸い寄せられていく。
「ごっくん」
 何事もなかったかのように彼女を飲み込む巨大イソギンチャク。

「「あー!!」」

 全員が全員一斉に悲鳴を上げる。
 そして、強制的に戦闘はスタートした。
「魔法少女ユキネ参上‥‥契約者ユキネ・アムスティルの名のもとに命ずる。凍てつく息吹よ、我が手に集え。絶対零度の嵐となりて仇名す者に降り注げ!‥‥アイスブリザード!!」
 決めぜりふを言ってから詠唱するんで多少タイムラグはあるが、ユキネ・アムスティルのアイスブリザードが炸裂して、磯とイソギンチャクに凍てつく氷の嵐が襲いかかる。
 そして、彼女の足にもぐるりと触手が‥‥。
「あっあぅ」
 麻痺毒が全身を回り、ユキネの自由を奪い取る。
「斬ったら彼女ごと真っ二つに成らないかな?」
 大鳳士元がそう言って刀を構えたけど止まる。
 動けなくなったユキネの身体を触手がうにょうにょとはい回る。
「猫耳魔法少女、紫電の熾姫、見参!!」
 十六夜熾姫が高台から颯爽とポーズを決める。
 しかし巨大イソギンチャクには目も耳も無い。
 アグリット・バンデスがクリスタルソードを持って触手を切断してゆくが、肝心の本体にはなかなか近づけない。飲み込まれた葉月由美が心配である。
 元鈴蘭がユキネ・アムスティルを観察する。
 どうやら麻痺毒で動けなく成ったところを触手がウネウネ襲っているらしい。
 仕方なく‥‥本当に仕方なく彼女は右手の手袋を取って前にでる。
 触手の一本が彼女の右手に巻き付く。
「ふっ‥‥毒手に毒とは片腹痛い‥‥」
 実際毒手に毒が効くかどうかは別問題にしてそんな決めぜりふで前に進む元鈴蘭。
 麻痺毒対麻痺毒の壮絶な闘いである。
「だっちゃ〜〜〜〜〜!!」
 巨大イソギンチャクの中から叫び声が聞こえる。っと同時に巨大イソギンチャクを電撃のダメージが襲う。
 ついでに絡まっているユキネ・アムスティルと元鈴蘭にも襲う。
 数分後、黒こげに成ったイソギンチャクの中から葉月由美は無事救出された。
 麻痺が襲う前に彼女はイソギンチャクの中でライトニングアーマーを唱えたのである。
 偉い迷惑な話である。
「目には目を‥‥しびれにはしびれを‥‥」
 やっと麻痺から回復した彼女が最初に口走ったセリフはそれだった。

「取りあえず着物がべたべただから水浴びしてくるね。えーと名前決めてなかった‥‥ポトフでいいや、今日から君の名前はポトフ!! 替えの着物と手ぬぐい持って来てちょーだいな」
 葉月由美がそう言ってこっそりと水浴びを始める。
 ポトフと命名されたまるごと猫かぶりをかぶった結城夕貴が替えのドレスを持って水辺で水浴びの見張りをさせられている。
 すっかり女性だと思いこまれているらしい。
「これ、胸とか背中とか出過ぎじゃない? 大丈夫なのかな?」
 胸元が大胆に開いた、脇の下や背中を大きくだした現代風にいうならば、ハルターネックマーメイド型の黒いドレスである。
 取りあえず長い裾をずりずり引きずりながら、町に帰ったら着物を洗ってドレスの裾あげをしようと考える葉月由美なのでした。

どっとはらい