魔法少女は振り向かない。4

■シリーズシナリオ


担当:

対応レベル:1〜5lv

難易度:難しい

成功報酬:1 G 48 C

参加人数:10人

サポート参加人数:-人

冒険期間:06月04日〜06月10日

リプレイ公開日:2005年06月12日

●オープニング

●魔法少女誕生
 とある所に一人の魔法少女に憧れる一人の女の子がおりました。
 彼女の名前はシーマ・グリューネワルト、親しい友人からは由美(ゆみ)ちゃんと呼びます。それは彼女の本名が葉月由美(はづき ゆみ)だからです。
 彼女はとある志士の家に生まれました。彼女の家には嫡男が折らず、女性では有りますが、彼女は家を継ぐことが定められておりました。
 厳格なお父様から剣術と精霊魔術、それに武芸や学問を教わる毎日ですが、それでも魔法少女に成りたいという夢は捨てきれず、日々魔法少女に憧れていました。

 ある日を境に、彼女は魔法少女に成るために家をでて、この江戸近郊で見聞を広めていた。(本当はチョット違うけど)

●お買い物。
 その日、葉月由美はご機嫌だった。
 実家からの仕送りをもらって、意気揚々と武器屋を訪ねていた。
「お洋服はこの間もらった着物と礼服があるから‥‥魔法少女っぽい武器が欲しいな」
 日本刀や小太刀‥‥には目もくれず。ロッドやらバトンやらに目を奪われていた。
「お嬢ちゃんは打撃武器が好きなのかな? それならこれなんてどうだい?」
 店の主人に勧められたのは、革をなめして作られた鞭であった。
「なかなか良さそうだね。うん。これにしよう」
 新しい武器を手に入れ、彼女は満面の笑みを浮かべた。

「さて、武器は決まった。服装は決まった。後は‥‥決めぜりふは宿題にしたし‥‥。取りあえず戦って経験値を積んだ方が良いかな?」
 そんな彼女が魔法少女宛のお便りの中から選んだのは巨大ネズミ退治である。
 『裏山で発生した巨大ネズミを退治して欲しい』と言うのがその様な内容だった。
「ネズミか‥‥ネズミは苦手なんだけど‥‥好き嫌いを言ってる訳にもいかないしなぁ」
 そんなわけでネズミ退治の依頼が発生した。
 もちろん宿題の決めぜりふやその他色々も忘れないようにしましょう。

●今回の参加者

 ea0119 ユキネ・アムスティル(23歳・♀・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea3107 月詠 御影(27歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea6780 逢莉笛 舞(37歳・♀・忍者・ジャイアント・ジャパン)
 ea9355 十六夜 熾姫(26歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea9789 アグリット・バンデス(34歳・♂・ウィザード・ハーフエルフ・イスパニア王国)
 ea9916 結城 夕貴(27歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 eb0084 柳 花蓮(19歳・♀・僧侶・エルフ・華仙教大国)
 eb1987 神哭月 凛(30歳・♀・陰陽師・人間・ジャパン)
 eb2545 飛 麗華(29歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 eb2641 静月 久遠(24歳・♀・浪人・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●魔法少女は振り向かない。4
 ぽかぽか春の日差しがまぶしい今日この頃。
でも、突き刺さるような暑さはなんだろう?
 なんだか知らない間に初夏の陽気。そんな中で一人満面の笑みを浮かべているのは葉月由美。魔法少女のローブをもらってご満悦。流石に魔法少女の杖はないが、買ったばかりの革製ウィップを振り回し、魔法少女としてはご満悦な状態である。
「戦う〜♪ 乙女の〜♪ ど根性〜♪」
 適当に主題歌らしい物を考えつつも(誰も考えてくれないので)適当に歌っている由美であるが、乙女にど根性はどうかというツッコミ満載で付いていく一同。
 約一名地獄のような苦しみを味わっているが。
「先生!! ポトフ君が倒れました」
 ユキネ・アムスティル(ea0119)が結城夕貴(ea9916)を指さして言う。
このくそ暑いのに丸ごと猫かぶりをかぶってずっと行動していた物だから、完全に熱射病である。
「だいじょうぶ!! ポトフ!! ポトフ!! しっかりしてぇ」
 取りあえず役になりきっている由美。
 ポトフの肩を持って前後にぐわんぐわん揺する揺する。かなーり中は大変なことに成っている。
「まぁ、彼の意志は私が受け継ぐわ。ほら、猫も買ってきたの」
 ユキネ・アムスティル(ea0119)がそう言って買ってきた猫とゴスロリ風衣装でくるりと回る。
「敵は近いよ。シーマ。注意して!!」
 月詠御影(ea3107)がそう言って前方を指さす。
 さらさらと清流が流れる小川のせせらぎの中に、ビーバーの様に木の枝集めて巣を作って居る巨大どぶネズミ? らしき物が見えた。
 洋服の中に入ってきたらどうしよう。服が汚れちゃう。なんて心配も有ったのですが、なんとビックリ、巨大ネズミは1m程の巨大に太ったまるまるネズミであったのだった。
「でか〜」
 思わず声が漏れる由美。
「えーと。人の悲しむ声あるところ、どこでも参上!! 清めの風、魔法少女シーマが雷様に代わって成敗しちゃいます!! ‥‥ってうわ〜恥ずかしい」
 耳まで赤面しながらシーマが決めぜりふを唱える。
 もちろんネズミがそれを聞いている訳がない。
っが外敵が近づいてきたのだという反応はある。
「ちなみにアレは正式には巨大ネズミでは無く、お化け鼠ですけどね。まぁ演出的に細かいことは気にしませんが‥‥」

「よし、巨大ネズミ退治用の罠をしかけよう」
 逢莉笛舞(ea6780)がロープを取り出し、くるくると罠を設置する。
 今回シーマに魔法少女のローブを渡した人物である。
 っと言っても敵は目の前なんだけどね。
「えーと、取りあえず私は後ろに下がるね? 出番が来たら呼んでね?」
 そう言って後方に下がる由美。
「それじゃ僕は今の内に木の上へ」
 えっちらおっちらと十六夜熾姫(ea9355)が木を昇っていく。
「猫耳魔法少女、紫電の熾姫、見参!!」
 名乗りを上げて木から一回転して水の中へ飛び込む熾姫。
 水柱と水しぶきから、結構水たまりが深いことが判明する。
そして、敵の大ネズミは全部で3匹がこちらを窺っている。
「敵はこっちよりも弱くて、しかもこっちより数は少ない。無理して倒す必要は無いが、敵の縄張りだから何があるか分からない。特に水の中では注意しろよ?」
 アグリット・バンデス(ea9789)がクリスタルソードを構えながら回りに注意を促す。
 ジャイアント・ラットは1レベル冒険者でも苦戦しない敵である。
 ただ、水の中に引きずり込まれたり、泥で足を取られたりすると危険である。
 それさえ注意すればなんでもない敵なのである。
「仏陀の教えに背く輩を退治させて頂きます‥‥」
 柳花蓮(eb0084)が決めぜりふと一緒にスクロールを取り出す。
 水に濡れないように丁寧に扱いながら、グラビティーキャノンの一発。
 水の上を重力砲が水を切り裂きながら突き進み、瓦礫の山に直撃して水しぶきをあげる。
「うわぁ派手ですねぇ」
 神哭月凛(eb1987)がスクロールの技に見とれつつ、自らも術を唱える。
 ライトニングサンダーボルト。こんちこれまたスクロールでの発射である。
 一条の雷光が木々を削りネズミを直撃する。
「水しぶきにご注意下さい。濡れるとスクロール二度と使えなく成ったりすることもありますよぅ」
 由美がそう言ってすいと前にでる。ざばざばと水の中を突き進む。
 魔法少女のローブが水に濡れて、胸やお尻が透けて見えている。
 ついでにポトフが水に沈んでいる。
 飛麗華(eb2545)ざばざば水の中を進んでいく。
 大ネズミの一匹が襲いかかってくる。
 飛麗華がニャオ・ジャオ・ジィの一撃を放った。っが水がもの凄い抵抗になり、尚かつ水底がコケでメチャメチャ滑るので、一気に水没する。
 勢いで由美も水没する。ポトフがぷっかり浮かんでくる。
「大丈夫かシーマ?」
 アグリット・バンデスが水没したシーマを引きずり上げる。
 大胆にも後ろから手を回し、脇の下を通して‥‥つまり後ろから胸を鷲づかみで‥‥である。
「ほーら、ねずみ。こっちに美味しそうなチーズがあるぞぅ?」
 今回のシナリオ用に取り寄せられた高級チーズを餌にして大ネズミを呼ぶ静月久遠(eb2641)だが、ネズミは興奮していて手が付けられない。

「先生!! アイスブリザードで全員巻き込んで良いですか?」
 ユキネ・アムスティルがとんでも無い事を言う。
「それなら私だって、ライトニングアーマー唱えても良い?」
 葉月由美もとんでも無い事を言う。
「両方とも却下します。がんばって倒してください」
 逢莉笛舞がぶっきらぼうに応える。まぁ誰かがツッコミを入れないと収まらないのだろう。
「ちがうんだ、えと、これはその、事故なんだ!!」
 アグリット・バンデスがおどおどしながら葉月由美に謝る。胸を触ったことをだ。
「必殺!! 猫パンチ!! 猫キック!!」
 ポトフがやっと復帰して、状況よく分からずネズミと格闘戦を始める。
「ポトフ防寒着着てるから寒くないよね?」
 シーマが何か思いついたらしい。一気にネズミ達のバリケードを乗り越えて、一人敵の反対側へと回り込む。
「魔法少女最大奥義、高速詠唱準備完了。ユキネちゃん。アイスブリザードを私に撃ち込んで!!」
 ちなみに高速詠唱に準備なんていらない。
 それよりとんでも無いことを口走ってるのは葉月由美。
 彼女に向かってアイスブリザードを撃ち込んだら、90度コーンの扇型にダメージ範囲が広がるのである。敵味方問わずそれはダメージを受ける対象になる。
「(レジストコールドでも有るのかしら?)分かった。唱えるよ!!」
 ポトフ含む数名の前衛人+由美+ネズミ三匹を巻き込むようにして、ユキネはアイスブリザードを唱えた。
「魔法少女奥義!! アイスブリザードクロス!!」
 彼女がいきなり高速詠唱で唱えたのは『レジストコールド』ではなく、『ストーム』であった。
 前衛達にダメージを与えて吹き抜けて行くアイスブリザードが、ストームの魔法に乗って、そっくりそのままユキネにUターンしたのである。
 挟まれた方は一往復したアイスブリザードに巻き込まれまくりである。
 ついでにユキネもアイスブリザード直撃である。

「‥‥やりすぎ‥‥」
 ネズミ退治を終えて、疲れた身体をぷかぷかと水に浮かべる魔法少女ご一行達。ポトフは水吸って重くなってるので、天日干し。
「今日の戦いには勝てたけど、明日の戦いにも勝てるとは限らないの。だから由美ちゃん‥‥んん、シーマ・グリューネワルト!! これからも気を抜かずにがんばるの!!」
 そう言ってシーマに着替えの魔法学校女子制服一式を渡す柳花蓮。
 シーマは物陰でコッソリ着替えながら魔法少女のローブを天日干し。

 一行は疲れながらも何とか仕事を終わらせ、何とか依頼を解決することが出来た。
 果たして次もモンスター退治なのか。
 それとも美味しい物を食べてゴロゴロするのか。
 それは誰にも分からない。