【新撰組三番隊 番外編1−2】

■シリーズシナリオ


担当:

対応レベル:5〜9lv

難易度:難しい

成功報酬:2 G 19 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:06月21日〜06月25日

リプレイ公開日:2005年06月26日

●オープニング

●黄泉の兵の露払い。

 闇を切り裂く一陣の風、閃光あまねく鋼鉄色の刃。
 京都左京区区外地域。新撰組三番隊が主に巡回している治安地区。
 新撰組三番隊組長斉藤一、そして組長補佐の小春。
 2人は今回京都を離れ、大和のとある村を訪れていた。
「ほう、これがお前の言っていた魑魅魍魎って奴か?」
 斉藤一が腰の小太刀を左手で抜いて襲いかかってくる死人憑きを切り裂く。
2匹3匹と寄ってくる死人憑きを、斉藤一の小太刀と小春の雷を纏ったキックでなぎ倒していく。
「お〜い。小春ぅ〜。このしわしわの奴、斬っても斬っても倒せないんだが?」
 右手で指さすその先にはミイラの様な出で立ちの強敵『黄泉人』である。通常の武器では一切ダメージを被る事はない。
「一さん。鬼神丸使ってください。鬼神丸」
 言われて斉藤は右手で腰の刀を抜き、胴薙ぎに黄泉人を切り裂いた。
「おっ、今度は切れるぞ」
 左手の小太刀で相手の攻撃を受け流しながら、カウンターで右手の鬼神丸で切り裂く。
その攻撃によって黄泉人はあっけなく倒された。
「斉藤さん。気を付けてください。そいつは黄泉人と言って雑魚の部類、その上にまだ強力な敵が存在している予感ですよ」
 小春の言葉に斉藤はふぅとため息をついた。
「一度京都に戻ろう。区外地域の巡回をしている冒険者達にも声をかけて、有る程度人数を作らないとどうしようも無いだろう」

 斉藤達2名はそう言って京都に戻ることを決意した。

「大和のとある砦の救出の為に兵が必要だ。討伐部隊本体が乗り込むための露払いも兼ねて、腕の立つ奴を数名見繕ってくれ」

 そんな依頼が発生した。

●今回の参加者

 ea1765 猛省 鬼姫(31歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea3207 ウェントス・ヴェルサージュ(36歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea4138 グリューネ・リーネスフィール(30歳・♀・神聖騎士・エルフ・ビザンチン帝国)
 ea5480 水葉 さくら(25歳・♀・神聖騎士・人間・ジャパン)
 ea6147 ティアラ・クライス(28歳・♀・ウィザード・シフール・ノルマン王国)
 ea7278 架神 ひじり(36歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea8428 雪守 明(29歳・♀・侍・人間・ジャパン)
 eb0712 陸堂 明士郎(37歳・♂・侍・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●いざ行かん大和の地へ
 新撰組組長斉藤一。新撰組でいちにを争う剣の達人である。
っが、酒と女にめっぽう弱く、それで居て女癖が悪く手癖も悪い。
 何か悪口に聞こえるが、それが世間の評判である。真相は定かではないが。
「っと言う訳で斉藤さん。この集団ではまとめ役を欠きます。斉藤さんがチームリーダと言うことで統率してくださいね?」
 小春の言葉に大きくため息をつく斉藤。
「おいおい、今日は女のケツ眺めてのんびり出来ると思ったのに‥‥そもそも俺は集団をリーダーは苦手なんだよなぁ」
 自分の存在を根本から覆す様な大問題発言をする斉藤。一行はそれを見つめる。
「だって、仕方が無いじゃないですか、他に適任が居ないんですから、本来なら依頼受けた冒険者が作戦打ち合わせをして、その打ち合わせ結果を報告に来た人を小隊長にするんだけど、今回は誰も報告に来なかったんですから!!」
 耳が痛い話である。
 確かに斉藤と合流する前に冒険者達は入念に打ち合わせした。
 だが誰もそれをまとめ上げて報告する者は居なかった。
「やれやれ‥‥。俺は人外を斬るのは好きじゃないんだがなぁ‥‥」
 そう言って渋々と装備を調え前衛に立つ斉藤一。小春は後衛で荷物の見張りの様である。
「それでは、しゅっぱーつ進行!!」
 小春の言葉に一行は大和目指して出発した。
 ちなみに輸送物資は荷車で運ぶ‥‥のではなく、馬三頭にくくり付けて輸送する。

「お久し振りです、斉藤組長。斉藤さんと呼んだ方がいいですか?」
 ウェントス・ヴェルサージュ(ea3207)が斉藤に挨拶をする。斉藤は元気なくその挨拶に応えた。
「砦の周辺や状況はどうなっていますか?」
 ウェントス・ヴェルサージュが皆が知りたがっていた質問をする。斉藤はそれにも力無く応える。
「ん? あぁ、俺に話が来た時には敵と交戦中で救援求む‥‥だった。もちろん伝令が砦をでてから3日経ってるから、既に陥落してるおそれも有るわけだが‥‥」
 斉藤はそう言って引きつった笑いを浮かべる。
「あのぉ斉藤さま‥‥」
 水葉さくら(ea5480)が斉藤の元へ寄り添う。
 女性の接触に多少は心が晴れたのか笑みを見せるが、小振りな少女は首尾範囲外なのか、ほうっとため息をついてから彼女に応えた。
「と、ところで、斉藤さまにお願いがあるのですけど‥‥も、もし良ければ、移動中の合間など、少し稽古をつけてくれませんでしょうか‥‥。えっ?いえ、も、もちろん、戦闘に関しての稽古、です‥‥けど‥‥」
 斉藤はその言葉を聞いて首をかしげる。
 移動中に木刀片手に殴る訳にもいかないだろう。
 ましてやいらぬ体力の消耗は無意味である。
「‥‥んじゃとてもつまらない戦闘考察を話してやろうか?」
 斉藤の言葉に水葉さくらは喜んで首を縦に振った。
「例外も有るが、実戦ではいくつかの技を合成した必殺技が有効だ。そして必殺技は3つのタイプに別れる。一つはスマッシュやチャージングを基本にした一撃必殺型。2つ目は先の先を取るブラインドアタックを基本にした先生攻撃型。最後の一つは後の先を取るカウンターアタックを基本にしたカウンター型だ」
 そう言って斉藤は水筒の水を一口飲んで続けた。
「必殺技には利点と欠点がある。例えばスマッシュは破壊力は上がるが命中精度が下がる。それに有る程度重い武器を持ってないと効果的な破壊力は生み出せない。いくら威力があがっても、相手が剣で受け止めては意味が無い」
 言われて水葉さくらはどきりとした。彼女は野太刀でスマッシュを撃つを良しとしている。
「でも、バーストアタックを合成すれば‥‥相手の刀事‥‥相手を斬る事が‥‥出来ます」
 水葉さくらの言葉に斉藤は歩みを止めた。
「初歩的な剣術指南だ。それならその一撃必殺を打ってみな?」
 斉藤が左手で左差しの小太刀を抜いて構える。
「その両手に持ってる野太刀で良い。力一杯斬りかかってきな」
 斉藤の言葉に、水葉さくらは半信半疑で力一杯斉藤に振り下ろされた。
 スマッシュ+バーストアタックの一撃は、剣で受ければ剣が壊れる。
 鎧で受ければ鎧が壊れる一撃である。
 っが、斉藤はそれを空いている右手で、彼女の手を押さえつけて止めた。
 そして左手の小太刀を彼女の首元に近づける。
「まぁ俺みたいな事をする奴は少ない‥‥っだろうが、注意するに超したことは無いぜ」
 そう言って水葉さくらの頭を優しく撫でてやると斉藤は小太刀を腰にしまいまたトボトボと戦列に戻った。

●戦闘 激しい攻防。
「へぇ、タダのスケベおやじかと思ったら、結構やるじゃねぇか」
 猛省鬼姫(ea1765)が斉藤の腕前を褒める‥‥余り褒められている気はしないが、彼女なりには褒めているのだろう。お尻の撫でられた事は根に持っている様だが。
「それはどうも‥‥所で前方に見えるアレが敵じゃないのかな?」
 斉藤がやる気のなさそうに目の前を指さす。
 そこには数体の死人憑きとそれを指揮する黄泉人の姿が‥‥。
「斉藤殿は敵の首領各を、我々は雑魚を相手にいたします」
 グリューネ・リーネスフィール(ea4138)が陣頭指揮をとる。
 斉藤は右手で鬼神丸を抜くと、それを左手に持ち替えた。
「黄泉の化け物よ。炎の翼で滅ぶが良い」
 架神ひじり(ea7278)がファイヤーバードの術を使い、死人憑きに突進する。
 ファイヤーバードの効果時間は約10秒。一匹の死人憑きに4回の体当たりを行うと、その場で術が溶け元の状態に戻る。
 無防備な彼女に死人憑き達が遅いかかる。
「チェストー!!」
 その一匹に雪守明(ea8428)がチャージングで斬りかかる‥‥が、チャージングも使用後は全てのAPを消費して動けなく成る技である。
 前線に2人動けずに取り残されたりしてる。
「もう少し後先考えて技を使え‥‥っていうかせっかくなんだから連携を考えろ」
 斉藤が2人をかばうように間に入る。
 斉藤の身体に死人憑きの爪が傷痕を残す。
 カウンターの一撃で首を銅を切り裂き数を減らす斉藤。
 雪守明も通常攻撃に以降する。
「まずは敵の数を減らすことが先決だ、雪守は左翼を頼む」
 言って斉藤は中央の敵を減らしていく。
 右翼に展開するのは陸堂明士郎(eb0712)
 軍配で敵の攻撃を受け、日本刀「相州正宗」+1でカウンターの一撃を放つ。
「斉藤殿‥‥右翼はお任せあれ」
 陸堂明士郎が次々に数を減らして行く。
 4人の攻撃に寄って、その殆どの死人憑きは動かぬ死体に変わって行く。
 斉藤が黄泉人へと斬りかかる。
 1分ほどであろうか、達人と呼ぶにふさわしい激しい攻防が繰り広げられ、斉藤はその身にいくつか傷痕を付けつつも、何とかそれを倒すことに成功した。
「ふむ‥‥奴に触れられると‥‥それだけでダメージを受けるらしいな」
 斉藤が雪守明に膝枕をしてもらい、傷の手当てを受けながらぽつりとつぶやく。

●黄泉将軍現る
「あちらに砦らしい物が見えます‥‥」
 ティアラ・クライス(ea6147)が両手にマラカス振りながら、意気揚々と皆に継げる。
 指し示す方向には砦らしき物が見える。
皆安堵のため息をつきつつ、砦の方向へ向かう一向に別方向から悲鳴が聞こえる。

「たっ助けてくれぇ!!」
 2匹の黄泉人に追われた一人の村人がこちらに駆け寄ってくる。
「斉藤さんゴー!!」
 雪守明に命令されるままに刀を抜いて黄泉人に突入する斉藤。
 猛省鬼姫と水葉さくらがもう一匹を倒すべく前に出る。
 オーラパワーを付与した鬼姫のパンチと水葉さくらの野太刀「鬼霧雨」+0が黄泉人を襲う。
 斉藤の方はと言うと、左手の小太刀で敵の攻撃を受け止め、右手の鬼神丸で相手を切り倒している。
「塵は塵に、灰は灰に。亡者は地獄に帰りなさいっ!」
 グリューネ・リーネスフィールのブラックホーリーが炸裂する。

「もう大丈夫ですよ。安心してください」
 雪守明が逃げてきた村人を受け止める‥‥。
「あの‥‥大変です‥‥大変です‥‥。死んじゃいます‥‥死んじゃいます‥‥」
 おびえているのか村人は彼女の懐で震えている。
「もう、大丈夫だ。落ち着いて‥‥」
 雪守明がそう言って、落ち着かせようと、村人の背中をポンポンっと叩いてやる。
「あの‥‥死んじゃいます‥‥貴方がね!!」
 そう言って顔を上げた村人の顔はひからび、ミイラのような姿へと変貌していた。
 黄泉人である。
 黄泉人の本性を現したそれは、雪守明胸に爪を立て引き裂いた。
 傷はたいしたこと無い。だが、それ以上に精気を一気に吸い取られダメージを被った。
 膝をつく雪守明。
 っと今までしわがれていたミイラの様な黄泉人は、その容姿を雪守明と動揺に変貌させた。
 誰が見てもうり二つの状態である。
 さらに黄泉人が雪守明に対して右手を振り上げる。
「‥‥!?」
 斉藤一のギアが入る。
 一足飛びに間合いを詰めると、雪守明に変身した黄泉人の右手を切りつけた。
 っが、その傷はみるみるウチに回復してゆく。
「キシャシャシャシャシャ。我は黄泉将軍が一人、陸鬼一(くが・きいち)いずれまた会おう!!」
 そう言うと一気に間合いを取り、茂みの中へと走り去った。
 一行が追うそぶりを見せたのを、小春が止める。
「まって、伏兵が居るかも知れない。深追いは禁物!! 今は砦に合流することを考えて!!」
 小春の言葉に動きを止める一同。
 そんな中斉藤は雪守明の服を脱がしていた。
「大丈夫か? 毒か? 今吸い出してやる‥‥」
 斉藤が傷口に口を付け、血を吸い出して吐き捨てる。
 幾度かそれを繰り返した後に、荷物の中からサラシを取りだし、それを彼女の胸に巻いていた。
 実際には毒ではなく精気を一気に吸い取るのであるが、それは理解しがたい攻撃だ。
並の黄泉人も精気を吸い取るが、それとは比べ物に成らないほどのダメージであった。
「これでもう大丈夫な筈だ‥‥しかし雪守‥‥お前‥‥結構胸でかいんだな‥‥」
 斉藤が彼女の耳元でぽつりとつぶやく。
 その言葉にふと我に戻り、斉藤の首を絞める雪守明
「まて‥‥俺が悪かった‥‥」
 首を絞められもだえる斉藤。なんだかそのまま窒息してしまいそうな勢いだ。
「その‥‥元気が有れば‥‥大丈夫‥‥だな」
 何とか抜け出し息を整える斉藤、一同はそのまま砦を目指すのであった。

●そして
 砦に到着した一行は、砦の武士団との合流によって死人憑きの集団と戦う事になった。
 ティアラ・クライスの作り出すクリスタルソードが配られ、補給物資のおかげもあって、徐々に死人憑きを排除して行く‥‥無論それらを操る黄泉人も何体か発見されたが、特に手こずる事無く排除することに成功した。

 ‥‥だが、雪守明に化けた黄泉人‥‥黄泉将軍の姿を見つける事は出来なかった。

 50時間眠らずの強行軍で補給物資を届けた彼らは、既に砦で一眠りする気満々であった。
「なにいってるの、早くギルドに戻って依頼の達成報告しないと!!」
 魔力を殆ど使わず、元気満帆の小春に引きずられるように、京都へと向かう。
 そして彼らは4日間の不眠不休の依頼修了後、斉藤一の用意した宿屋の一室で、泥の様に眠るのであった。

どっとはらい