【唄って踊れる猫耳巫女 2】
|
■シリーズシナリオ
担当:凪
対応レベル:3〜7lv
難易度:難しい
成功報酬:3 G 19 C
参加人数:5人
サポート参加人数:-人
冒険期間:09月10日〜09月18日
リプレイ公開日:2005年09月18日
|
●オープニング
●唄って踊れる猫耳巫女。
京都左京区区外地域‥‥っと新撰組が呼んでいる京都の東。
そんな場所に一軒のチョット大きなお店がありました。
1階はお食事処とお風呂やさん。
2階は連れ込み宿と旅籠に成っている宿屋さん
ご飯を食べてお風呂に入って寝る‥‥っと言う複合施設にもにたお店である。
そのお店の名は『近江屋』。
近江の特産品等を売るのが目的として作られた半官半民のお店である
そして何故か、猫耳巫女が雇われ店長をしていたりする。
夏限定メニューの冷シャブっぽい物は残念ながら売れなかった。
美味しいしゴマ醤油でヘルシーな味わいだが、京都の人間に獣を喰う習慣がない‥‥っと言うか、宗教的に獣の肉は食っちゃダメっぽい。
それとは別に枝豆と冷や酒とゴマ豆腐のセットはよく売れている。
豆腐は高いけどね。
「っと言うわけで、そろそろ秋の名物料理を看板料理にしたいので、またまた冒険者さんに新しいメニューを考えて貰いましょう。秋味で琵琶湖の山海の珍味を使ってくれれば、なおok。っと言うか琵琶湖は海じゃないけどね」
相変わらず御神託と他力本願な猫耳巫女店長の冒険依頼によって次の依頼がギルドに並ぶ。
『近江屋の秋の新メニューを考えて欲しい。』っである。
ちなみに鮎とか鱒とか松茸とか良い感じな時期である。
●リプレイ本文
●今日も京都は日本晴れ?
楽しい時間というのは何故こんなに早く過ぎてしまうのだろう。
美味しい物を食べている時、友達と遊んでいるとき、恋人と過ごしている時。
彼女に悩みは無いのだろうか? いや、そんなことはない。ただ彼女にはすばらしい座右の銘がある。
『他力本願』
そう。彼女の人生は御神託と他力本願で出来ているのである。
この物語はそんな猫耳巫女が雇われ店長をしている近江屋での何でもないお話である。
‥‥たぶん。
ぐつぐつと煮物の煮える良いにおいが部屋に漂っています。
里芋の煮えるほくほくとした甘い香りが店の中に漂っている。
焚雅(ea7662)の提案により、キノコと里芋の煮物。それに栗おこわが作られいた。
蒸籠でしゅーしゅー音を立てて作られたほくほくとおこわもこれまた甘い香りを秋の賑わいを醸し出している。
匂いでお客さんを釣ろうとしているのか、そうでないのかは分からないが、結果的にこの匂いはお客さんの心を大きく擽るだろう。
っと言うか、待ちわびてる。5人の冒険者達が我先に待ちわびている。
「本当は秋の魚と言うことで、鰹や秋刀魚も用意したかったのじゃが、今回は山の幸で纏めてみたのじゃ」
焚雅がそう言ってにっこり微笑む。
「うむ。美味い。なかなか行ける味だと思うぞ?」
高町恭華(eb0494)がそう言って栗おこわをほおばりこむ。今回は前回の様に大量の食材に埋もれることは無いだろう。取りあえず一安心である。
「ふむ‥‥なかなか良い味だと思いますよ。しかし、魚とは良いところに目を付けましたね。俺は今回魚料理なんですよ」
拍手阿義流(eb1795)がそう言って栗おこわと里芋の煮物をつつきながら言う。
「‥‥美味しいです。実はわたくしの提案したのも栗料理なんですよ」
所所楽柚(eb2886)がそう言ってにっこり照れ笑いを浮かべる。
「ジャパンの料理も風情が有って良いんじゃないですか?」
パレット・テラ・ハーネット(eb2941)がそう言って碗を空けると、次の料理が運び込まれた。
「次は私の発案だな。何点か小物を用意させたんだ。試してくれ」
彼女がそう言って用意させたのは銀杏料理である。
マズ、山鳥と京野菜の炒め物銀杏入り。
至って普通のシンプルな料理である‥‥が、野菜炒めは斬新かも知れない。
普通は野菜は漬け物や煮て食べるのであり、サラダや野菜炒めは余りメジャーな料理では無いのだ。
「悪くないと思うのじゃな。しかし、銀杏が入っていない方が良いのかも知れないのじゃな」
焚雅がそう言って皿に盛られた野菜炒めを箸でついばむ。
「銀‥‥ですか」
銀に触ると狂化してしまう。パレット・テラ・ハーネットがおそるおそるそれを口にするが、特に問題はない。
ごま油で炒められたとても美味しい野菜炒めである。
「さて、次の料理も私だな。うどんの入った茶碗蒸しだ。食べてみてくれ」
今風に言うと『小田巻蒸し』と言う奴であろう。
茶碗蒸しの中には銀杏、かまぼこ、椎茸、きざみ油揚げ、ネギ、そしてうどんが入っている。
箸で食べるのかスプーンで食べるのか、なんとも不思議な食べ物である。
「チョット地味じゃないかな? でもコレもなかなか美味しいですね」
所所楽柚がそう言って器用に茶碗蒸しを食べる。
「自然をありのまま食べる。これが風情って奴ですよね」
拍手阿義流が下心を必死に隠した顔で所所楽柚に微笑みかける。
ここでやっと猫耳巫女様登場。できたての衣装その壱を持ってきてくれたのである。
高町恭華の意見と焚雅の意見を混ぜ、作務衣と巫女服を足して動きやすいように袖を取ってしまった物を用意した。上半身は白く極薄の絹の布で、袴は膝までオレンジ色で、オレンジ色の発案はパレット・テラ・ハーネットの発案である。
「じゃ恭華さん試着ヨロシク」
猫耳巫女様に言われて奥の部屋で屏風越しにごそごそ着替える恭華。
出てきた彼女はとても色っぽかった。
白い着物を通して彼女のピンク色の胸が透けている。
オレンジの袴も麻を使っているが、光を通して透けて見える程度の薄さである。
汗をかけばより一層透けてしまうだろう。
「まぁアレだ。台所は火を使うし熱い。仕事をしていれば汗もかく、これぐらいの薄着が丁度良いだろう。」
柿色の袴に白い衣を纏ってどうやらコレが秋の制服に決定しそうである。
「あっそうそう。猫耳は3倍で作っておいたから」
っと一つの大きさが直系20cm程もある猫耳を2つ頭に付けさせられて完成だ。
「何か‥‥恥ずかしいな」
流石に高町恭華も頬を赤らめる物が出来上がったが、今更引くには引けない。コレで行くしかないのである。
「続いては俺の料理‥‥鮎と鱒の蒸し焼きです。」
拍手阿義流がそう言って料理を紹介する。
結局、高町恭華はその恥ずかしい格好で食事を続けることになる。
魚を蒸し焼きにする‥‥っと言うのは存外難しい。
なぜなら西洋の様にパンを焼くような大きな竈は無いからである。
大きな木の葉に鮎鱒をつめて、様々な茸と一緒に蒸し焼きする
そのために今回は大きな七輪の上に空鍋を置き、鍋の中に具材を入れて、弱火でじっくり鍋事焼くという技法で調理された。
「美味しい‥‥けど、これ、量産は出来ないね‥‥」
猫耳巫女様がそう言って魚をついばむ。
蒸し焼きは良い料理法である。芯まで火が通る上にしっとりとみずみずしい。
キノコなどの味もしみこんで格別の味には成っているが。
手間がかかりすぎて量産出来ないのが問題だ。
『ガスコンロ』が有れば用意なのだが。
「わたくしが考えたのは栗の甘煮です。」
所所楽柚がそう言って料理を運ばせる。
栗のアクを抜き、蜂蜜と一緒にコトコト煮詰め、最後にミリンで味を調えた物である。
「コレはまた甘くて美味しいのじゃな」
焚雅がそう言ってひょいひょいと口の中に放り込む。
他の面々も酒を呑みながら甘い栗を口に運んでいる。
「最後に私は鮎のお刺身を考えてみました」
そう言って出されたのは何の変哲もない刺身である。
だが、コレが一番味を楽しむことが出来ると言えば、やぶさかでもない。
薄くスライスした鮎をお醤油につけてさっと頂く。酒の肴としては問題ないが、インパクトには少々欠ける一品である。
「それじゃ協議に入りたいと思いま〜す」
今回冒険者5人と猫耳巫女さま。猫のみーこちゃん。料理人達の話し合いで採用される料理が決定される。
まずどんな食材を使っているか。
次にお客さんへのアピール度。
そして作り安さ等を考慮して検討される。
その結果、栗おこわ、里芋の煮付け、野菜炒め、茶碗蒸しが採用されることになった。
残念な事に栗の甘煮や魚の蒸し焼きは美味しかったが、酒の肴に成らないとか、作るのに手間がかかりすぎるという問題で採用は見送られた。
そして、猫耳衣装を着せられた5人は、また一週間楽しくお店の経営をするのであった。
めでたしめでたし。