【ジャパン大戦】出た! 突然出た!【剣】

■シリーズシナリオ


担当:成瀬丈二

対応レベル:11〜lv

難易度:難しい

成功報酬:10 G 85 C

参加人数:4人

サポート参加人数:-人

冒険期間:10月06日〜10月11日

リプレイ公開日:2009年10月17日

●オープニング

「で、確認します。ぼくの仕事はこの『雷王剣』を藤豊さまを通じて、神皇さまに渡す事‥‥で、いいんですよね?」
 柳生智矩が冒険者一同を見渡す様に、言葉をかける。
 こまった事に記憶喪失だ。原因は物理的なもので、呪いなどではない。
 とはいえ、智矩も監督不行き届きという事で、京都出入り禁止になっている。
 先日、力試しという事で御所に侵入した者があり、御所出入り禁止を受けた者、京都出入り禁止を受けた者、様々にあった。
 故に街道沿いの宿を貸し切っている。
 ともあれ、その蛮勇によって『雷王剣』を朝廷に寄進して、源徳と朝廷の中を修復しようという大久保長安の企図した所は崩れ去っているようだ。
 しかし、冒険者は諦めない、と古来から語られているらしい。
 とはいえ、殆ど謎かけの様な問題である。
 御所に入らずして、如何に神剣を献上するか。
 幸い、デビル魔法のかかった鞘は力を失った(そして、解析した術者集団が美味しくいただいた)事により、『雷王剣』は京都に持ち込んだ段階で、直ぐさまお縄になるものではなくなった。
 現在は北(武蔵や奥州ではない)で、様々な動きがあり、それにより伊達政宗の使者『伊織』という女性の陰陽師が握っている名剣『村正』の献上が延期されたという。
 多分、これが最後の機会かもしれない。様々な意味で。
 最近御所で色々と動きがある。
 詳しい事は直接には判らない。
 しかし、智矩は御所出入り禁止になっていないものならば(額面通り)京都に入っていいのでは、と? 考えている。
 その上で、源徳勢に関係している冒険者、中でも将の器足る面々に声をかける。
 
 色々と話がある、と。

 目的は御所に『雷王剣』を持ち込ませる事。
 最終的には関白の顔をつぶさずに、源徳一門と、神皇の関係を修復する事。

 神ある京都の神無月の戦いが始まる。

●今回の参加者

 ea3597 日向 大輝(24歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea6264 アイーダ・ノースフィールド(40歳・♀・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea8147 白 銀麗(53歳・♀・僧侶・エルフ・華仙教大国)
 eb3601 チサト・ミョウオウイン(21歳・♀・ウィザード・人間・イギリス王国)

●リプレイ本文

「私は大丈夫です」
 担架で運ばれてきた白銀麗(ea8147)は儚げな笑みを浮かべた。
 エルフである彼女はもとより体力はない。しかし、それに加えていきなり倒れたのである。理由は不明。医者は匙を投げた。
 多分、病気。詳細は不明。
「とりあえず、歩き回ったけど──良く判りません。ただ、見廻り組関係で京も──」
 アイーダ・ノースフィールド(ea6264)は言葉を遮った。
「無理しない事。じゃあ、接触は当分控える。養生して」
「永遠の命、大宇宙と小宇宙の合一。こんなに体が弱いなんて」
「泣き言言えるなら大丈夫ね」
 アイーダはカツラをかぶり、眉毛を染め、出で立ちを変えていた。
 異国情緒あふれる姿を紛らわそうとしているのであり、銀嶺のもとをそそくさと去る。
 銀嶺は彼女なりの用心として、仲間との接触を最低限に控え、捕縛された時に記憶を読まれない様にしていたが、根本的に冒険者と判れば、冒険者ギルドの記録、とそこで一緒に依頼を受けたメンバーの名前程度は割れる。
 勿論、彼女の精神力は、魔法的な手段では容易に記憶を明かさないつもりではあるが、万が一という事はいくらでもあるのだ。

 御所に入ったチサト・ミョウオウイン(eb3601)は戦時下の空気に推され、影響力のある≒実力のある文官、武官とコンタクトをとるのは困難であると直感した。
 そして、この場で論拠無く、源徳と藤豊との橋渡しを──と唱えても、一笑に付されるだろう。
 東国の乱により、勅命が果たせない、互いに街道を押さえあって、西進する事が事実上不可能。
 それが彼女の認識。
 改善するには源徳との改善を求め、家康公が秀吉の裁定を受け、諸大名と和睦を結ぶ。
「確かに家康公は朝敵です、それを無条件に許せば、関白さまは快く思わないでしょう。
 家康公が西にこれないのは、自分自身の責任──それでいいのでしょうか? 確かに難事かもしれませんが、試みる事を諦めては」
「試みる事、それ自体が、朝廷の権威に砂をかける事になるのですよ。ミョウオウインどのはご理解頂けないようで──」
 つまり、源徳を御所に招くのは裏を返せば再び、朝廷の一員として、源徳家を認める事である。
 己の顔をつぶした源徳を秀吉が許す。
 家康が緒戦を勝った上で、恭順すればいいだろう。
 しかし、その必要はない。家康は既に朝敵なのだ。これを許す事は秀吉の裁定を無視する事である。
 源徳は勝てば朝廷の後ろ盾を必要としない。
 階位に背を向けたのだ。位階社会に入れ、と秀吉が言っても無視できるだけの力がある。
 負ければ朝廷にとって源徳の軍勢としての力には価値がない。
 場合によっては、神皇自らが祖父である家康の助命の勅を出すかもしれないが、その時点で秀吉はいい顔をしないだろう。
「祖父を助命する、それでも勅命が必要なのですか? 関白とはそれだけの力を持っているのですか? 源徳側にも乱を治めようという気概をもったものがいます。私がそうだなどと口幅ったくて言えませんけど、確実にいます。忠輝さまなどそうです。現に雷王剣を献上を奉じています」
 乱を治める気概を持った者が源徳側にいるというアピールは、先日の村正盗難騒動で見事に消え去った。逆にあの事件がなければ、雷王剣は献上できていた筈である。
 秀吉は諸々の異形の者との戦いに、人と人の争っている場合ではない、と確かにそう語った。
 だが、その『場合』に和睦の詔を無視したのは家康である。
 誤解ではなく、十分に意図を認識した上で、無視した事を無かった事にするのは、あまりにも無原則であり、朝令暮改が過ぎる。
 その様な体制に諸将の求心力は得られるだろうか?
「あなたは、そういう上役のいる事に耐えられますか? 自分の指示を無視し、相手が謝らずともそれを許してしまう。そんな上司はあまり、高い地位には向かないものですよ。向き不向き以前にその地位にはつけないでしょうが」
「家康公は──呼べば来るに違いありません」
 彼女の意図を通して、家康を京都に呼ぶのは、まず先の命である家康和睦の違反を無かった事にし、諸将に街道、あるいは江戸の月道を解放、という横紙破りの連続である。
「どうやら、お判り頂けないようですね」
 彼女は自分が中立派であるという認識で動いていたが、家康を朝廷に招こうという体勢は、殆どの官民から『源徳贔屓』と取られている事に全てが終わってから気づいた。

「なるほど、叔父ではなく、従兄弟からの献上か」
 大久保長安のお墨付きはさほど効力はなかったが、日向大輝(ea3597)が、志士の家の出身であるという事は、数日の間に確認され、秀吉と話し合いの場を持つ事が出来た。
「まずは先日の不心得者に関して、忠輝より公式な謝罪を」
 武官として正式の出で立ちをし、折り目正しい行為は好感を与える。
 型どおりの文句の応酬の後、源徳の大罪からは、長千代は除外された。
(言葉遊びか‥‥面倒くさい事になっているな)
「大久保長安の後ろ盾は怖くない、何しろ金で殺せる。
 噂に聞くが、マンモンの様なものだろう。
 しかし、弓の与一は如何ともし難い。
 源氏嫡流も握っているとあっては、な」
(秀吉は血が怖いんだ。流血ではなく、貴賤とかの生まれ持った血筋が)
 大輝は脳裏にひらめいた。
「いつと確約はせぬが、茶会などを催そう」
(噂に聞く、関白ご自慢のブランの茶器の公開ってやつか?)
「忠輝殿をお招きしたいのでな、そうだな十月中ではいかがか? 中秋の名月を逃したが、まだ月を見る機会はあろう。それまで武運をお祈りする」
 そして、さらりと秀吉は語る。
「それはさておき、日向殿。そなたの若いながらも政治的な感覚は、源徳家に味方するだけの一員では惜しい‥‥わしの所へ来ぬか?」
「──八王子に思い人がいます故」
 秀吉は含み笑いをした、と大輝は感じた。
 これが冒険の顛末である。