【多田銅銀山】その起源は

■シリーズシナリオ


担当:西川一純

対応レベル:11〜lv

難易度:易しい

成功報酬:2 G 74 C

参加人数:7人

サポート参加人数:-人

冒険期間:06月18日〜06月23日

リプレイ公開日:2008年06月27日

●オープニング

世に星の数ほど人がいて、それぞれに人生がある。
冒険者ギルドでは、今日も今日とて人々が交錯する―――

 多田銅銀山。
 丹波藩南部に位置し、その財政を大きく支えるその鉱山は、大量の埴輪が徘徊する遺跡と繋がったり、麻痺性の毒霧が発生したりと散々な状況となっていた。
 冒険者の活躍で、遺跡の一番奥と思わしき場所にたどり着き、謎の紫色の液体に浸かる埴輪大魔神らしき姿を発見したまではよかったが、青銅製の大量の雑魚埴輪と、赤銅で作られた埴輪、そして白銀で作られた埴輪に行く手を阻まれてしまう。
 仕方なく撤退した冒険者たちであるが、そんな彼らを笑う者がいた。
「えー、キモーイ。逃げるのが許されるのはゴールドゴーレムからだよねー。キャハハハ」
「‥‥ふざけてるんじゃないわよ。自分だってゴールドゴーレムなんて見たことないくせに」
「っていうかですねー、西洋のゴーレムと埴輪はまったくの別物なんですってば。似たような敵だとしても、大きさも能力も全然違うんですから混同しないでください」
 京都の情報屋に居候しているナイト、アルフォンス・ブランシュタッドが無責任な発言をしたのを、流石に不快に思ったのか姉のアルトノワール・ブランシュタッドが鉄拳制裁で(!)ツッコむ。
 それを華麗にスルーして、ため息混じりにゴーレムと埴輪の違いを強調するのは、冒険者ギルド職員の西山一海。
 そもそも、アルフォンスには大してゴーレムの知識は無い。彼女はゴーレム使いではなく、一応ナイトだからだ。
「あぁ‥‥お姉ちゃんの愛の鉄拳‥‥ス・テ・キ♪ もっとぶってー♪」
「‥‥こーゆー趣味もある方なので?」
「‥‥ノリで言ってるだけよ。無視しなさい」
 ごん、と肘を妹の脳天に叩き落し、アルトノワールは続ける。べぶっ、とか妙な声がしたようだが気にしない。
「‥‥結局、この遺跡は何なの? 陰陽寮にも詳しい資料がないし、冒険者の話じゃ一番奥にも埴輪の製造工場みたいな施設は見当たらなかったって言ってたじゃない。あんな数の埴輪がうろついてるくせに」
「それは私も疑問なんです。中で作ってたんじゃないとしたら、あんな場所にわざわざ運び込んだてことになっちゃいますからね。無理に突っ込んでも埴輪たちにたこ殴りにされちゃうでしょうから、今回は丹波藩の主城、東雲城の資料庫で多田銅銀山にまつわる事柄を調べさせてもらってはいかがでしょうか」
「‥‥ふぅん。ま、何かしらわかるといいわね」
「幸いというかなんと言うか、丹波藩の処遇は保留になってます。豪斬様も喜んで調べ物をさせてくれるかと」
 敵を知れば百戦危うからずという言葉もある。
 無理にごり押しで埴輪と戦うより、少し回り道でもその起源や情報を探ったほうがより良い対処法が見つかるかも知れない。
 聖徳太子の財宝がどうとかいう噂もある多田銅銀山‥‥さて、何がわかりますことやら―――

●今回の参加者

 ea1774 山王 牙(37歳・♂・侍・ジャイアント・ジャパン)
 ea3190 真幌葉 京士郎(36歳・♂・ナイト・人間・ジャパン)
 ea6381 久方 歳三(36歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 eb1422 ベアータ・レジーネス(30歳・♂・ウィザード・人間・フランク王国)
 eb2018 一条院 壬紗姫(29歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 eb6553 頴娃 文乃(26歳・♀・僧侶・人間・ジャパン)
 ec0154 鳳 蓮華(36歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)

●リプレイ本文

●せんもん
「諸君、私は埴輪が好きだ。諸君、私は埴輪が好きだ。諸君、私は埴輪が大好きだぶぼっ!」
「それ以上は色々危ない気がするので勘弁願うでござるよ‥‥(汗)」
 丹波藩中央部、主城たる東雲城。
 城の端っこに配置された(というか隔離された?)別棟の一室に、冒険者たちはいた。
 一人ばかり、冒険者でないものも混ざっているが。
 自称、埴輪愛好会会長の小左(しょうざ)という小太りで背の低い男。
 いつもいつも演説を最後まで言わせてもらえない彼は(主に長すぎるからである)、今日も久方歳三(ea6381)にハリセンでツッコミをもらい、中断させられていた。
「小左殿‥‥埴輪への愛は後でじっくりお伺いしますので、今はお仕事をお願いします」
「いや、ペットの埴輪と戯れながら言っても説得力が無いぞお嬢さん」
 専門家の意見が聞きたいと、小左を呼んだのは一条院壬紗姫(eb2018)である。
 実際問題、彼の知識自体には素晴らしいものがあったが、実物を見てみないことには、というのがネックであった。
 やんわりと小左にツッコミを入れた一条院もペットのはにー(当然埴輪)と遊んでいるので、真幌葉京士郎(ea3190)に逆にツッコミを入れられる羽目になったのだが。
 自分とはにーを縄でつなぎ、迷惑にならないように配慮したつもりだったのだが、常にそばにいる分ふっと手を伸ばして遊びに走ってしまうのがアレだったりする。
 そんな中、真面目に調査を行っている者も当然いた。
「‥‥しかし、これでは資料庫の意味合いを為していませんね。目当ての資料を見つけられないで何の資料庫ですか」
「廃材置き場やゴミ置き場と言った方がしっくりきますね。あぁ、そちらは銅銀山区分です。聖徳太子区分はこちらに」
 山王牙(ea1774)とベアータ・レジーネス(eb1422)は、周りをすぱっと無視して調査に専念している。
 ボケに乗ることも無く、ツッコミも入れない。
 つまらないリアクションではあるが、本来の目的からすればこちらが正しい。
「正直調査ってガラじゃないんだけどねェ(苦笑)。でも強敵相手に策を練る機会でもある訳だし‥‥まァ頑張ってみますか」
「はいはーい、どいてどいてー。こっちは埴輪区分の資料だよー。でもさー、あとどれくらいあるわけー?(汗)」
 頴娃文乃(eb6553)と鳳蓮華(ec0154)は、ごちゃごちゃのめちゃめちゃに積まれた資料たちをパラ見し、特定のキーワードを見つけては区分して整頓していく係り。
 棚に入りきらない程の資料は床にも乱雑に積まれており、人が一人通るのがやっとくらいの隙間しかない。
 しかも殆ど掃除をしていないらしく、埃は積もり放題だし本は勿論、一体いつのものかも分からない古い木簡竹簡が廃棄同然状態。いや十分にゴミの山だが。
 触れたら崩れそうな本も珍しく無いし、木簡などは字が掠れて読めないものも多い。
 こんな暗い場所で資料漁りなどをしていると気分が滅入るが、久方と一条院の連れて来た埴輪やら小左やら、想定外の来客は良い気分転換になった。
 まぁ、久方などは男泣きしながらパタパタとはたきで埃を払っていたりもするのだが。
「あーもう、無理ー! レンはやっぱり多田銅銀山に行って、破片を取ってくるよー!」
「ほう。この会長とか言う男に見せるのか?」
「それもあるけどー。鍛冶屋さんとか、金属の専門家に見てもらったほうが確実かなーって」
「はいはい、わかったよ。そんじゃァ、こっちは任せとて。保障はしないけど頑張ってみるわ」
 鳳は一人、東雲城を出て多田銅銀山へ向かう。
 無理はしない。ただ、ちょっと行って破片をいくらか拾ってくるだけである。
 はに○とはにーが息ぴったりでくるくる踊る資料庫を後にし、人員は7名となった―――

●分かってきたこと
 結局、資料庫の片付けと整理整頓だけで3日もかかってしまったが、何とか本格的な調べ物に入ることが出来た。
 手分けして資料を読み込み、埴輪、多田銅銀山、聖徳太子というキーワードを纏めていく。
 問題は、それだけ古い話だと一次史料が殆ど無い事だ。聖徳太子、推古神皇の時代は約五百年前。埴輪が制作された時代は更に前と言われるが、当時の生の資料は皆無と言って良い。基本的には後世の人々が記した二次史料に頼る事になる。
「遺跡の奥にも埴輪を作る施設がなかったのなら、何らかの方法でそこに運び込まれたはず‥‥。聖徳太子の時代と言えば、ジャパン最初の月道が発見された頃だ。或いは近年発見された京都と江戸の月道のように、丹波にも何処かと繋がる月の道があるやもしれぬ‥‥。人知れぬ門を通り、作られた場所よりこの遺跡の中に、埴輪は今も沸きだしているのかもしれない」
「埴輪が湧き出す泉がこの遺跡のどこかに‥‥(きゅんきゅん)」
 月道絡みの書物が無いと聞いて真幌葉がため息交じりであるのに対し、一条院は己の妄想で軽くときめく。
「埴輪の起源は死者に手向ける食料などを入れる器から始まったとか。やがて形を変えて死者の供として祭礼用に一緒に埋葬される事例が増えていったと聞きました」
 ベアータは資料を整理しながら考古学者らしいウンチクを語る。
「死者の供に、殴って踊れるゴーレムが必要でござろうか?」
 久方が疑問を呈する。この遺跡にあるのはただの埴輪ではない。動くし、侵入者を攻撃もする。
「彼らは墓守、なのでしょう。
 以前に読んだ華国の書物によれば、埴輪が栄えた頃のジャパンは5人の王が治めていたそうです。そのうちの一人‥‥今の神皇陛下の祖先より朝貢を受けていた、という記録があります」
 ふむふむとベアータの話に耳を傾ける仲間達。資料調べにそろそろ飽きてきたか。
「ここから先は推測になりますが、多田銅銀山奥の遺跡はその残り4人の『王』のうちの誰かの墓、なのかも。そして神皇陛下のご先祖様と争った『王』の一人が黄泉人の『王』大国主神さまであった事から推測して、あの遺跡は同じクラスの存在が葬られた、あるいは封印されている場所なのかもしれません。そう考えればあのような強大な埴輪達が多数存在する事も説明はつきます。埴輪達の活動は、そうした神々の復活や降臨に触発されたものと考えれば符号しますし」
 ベアータは今回の調査で何らかの「王」の存在や、遺跡を墳墓である事を示す証拠が出てこないかと期待していた。
「なるほどねェ。学者さんは色々と考えてるね。強大な王様の墓かも、って所は興味をそそられるけど‥‥それって、もっと強い敵がここに在るかもしれないって事よね?」
 頴娃の問いに、ベアータは当然とばかり頷く。
「‥‥」
 今でも割と持て余し気味だが、更に強敵が出るとなれば丹波はどれだけ呪われているのだろうと思ってしまう。
 もっとも、死人の手に落ちた国もあるのだ。イザナミに蹂躙される出雲、今なお立ち直ったとは言い難い大和、丹後、水戸‥‥。この程度はまだ始まりに過ぎないのかもしれない。
「鳳さんが言ってましたが、あの埴輪は聖徳太子様の頃に作られたものなのでしょうか?」
 疑問を投げかけた山王は難しい顔をしていた。
 聖徳太子は推古神皇の摂政として今のジャパンの基礎を作った伝説の偉人である。月道発見や京都遷都も彼の時代の話であり、神皇家による精霊魔法技術の独占もこの時が起源である。そう考えると聖徳太子は今の丹波と都の戦いの原因を作った人とも言える。
「つまり、どういうこと?」
「神皇家に伝えられた精霊魔法技術が、強力なゴーレムを生み出すほどの物とは私には思えないのですが」
 志士として精霊魔法を学んだ山王にとっても、クリエイトゴーレムは遠い魔法だ。五百年前の精霊魔法伝来当初に、強力な埴輪ゴーレムが造れたとは俄かに信じ難い。
「魔法は昔の方が強力な事がありますからね‥‥ゴーレム魔法も最近の魔法研究の成果ですが、大昔の遺跡には強力なゴーレムが眠っていますし」
 うーむとベアータは考え込んだ。
 学者と志士が唸っている間に、一乗院達は資料庫の整理を行う。とりあえず、ゴミとしか思えない木片や読めない本など大掃除して一ヶ所に集めた処分品に火を付ける。膨大なゴミを片付ければ作業も楽になるはずだ。
「‥‥ヒヒ?」
 燃える木片に消えかけた文字が。
 目を閉じて考えていたベアータは壬紗姫の呟きにハッとすると、高速詠唱して火の中に手を突っ込んだ。崩れかけた木片の文字を読み取る。
「‥京‥丹波‥‥ヒ‥イロ‥ネ‥」
「ヒイロネ?」
「いや、もしやそれはヒヒイロカネでは無いのかな」
 小左が興味深そうに後ろから覗き込んでいる。
「ほぉ、冷やかし半分だったが、存外に君達はついているぞ。ふむふむ‥年号はかすれて読めないが、この木片は数百年は経っている年代物だよ、おめでとう。元は荷札かな、そこに、かのヒヒイロカネと読み取れる文字が。ヒヒイロカネで出来た埴輪‥‥絶頂すら覚える」
 忘我の表情を浮かべる小左。
 彼の言にあるヒヒイロカネとは、ジャパンにおける伝説の希少金属である。
 名前だけなら知っている者も居るが、実際にヒヒイロカネを見た人間は滅多にいないので、詳しい事が分からない。伝説と言われる所以だ。
 そう言えば、神皇家に伝わる三種の神器もヒヒイロカネで出来ているというが‥‥?
「まさか、埴輪大魔神はヒヒイロカネゴーレムでござるか!?」
「それは無い。あの大きさでヒヒイロカネ製なら、もはや神にも匹敵する。人造神、心躍る響きだがね、人の手に余る代物だよ‥‥まったく‥‥くすん」
「なんでそこで残念そうなのサ」
 妄想と踊り始めた小左を放置して冒険者達は調査結果を考える。
「多田鉱山に関する記述に、埴輪のことは出てこない。遺跡発見の経緯も考えると、埴輪遺跡は鉱山より前の時代の物なんだろう。つまり、丹波藩もあの山にそんな遺跡があるとは知らずに掘り進んでいたということになるな」
「なるなって‥‥それだと幾ら調べても無駄という事にならない?」
 丹波藩の資料室に、どれだけ古くても皇藩体制が出来る前の史料は無い。
「いや。そもそも、すぐ調べて分かる話なら俺達が呼ばれる理由が無い。案外、一見無関係な伝承の中に鍵は隠されているものだ。
 ‥‥昔、友が言っていた言葉を思い出すな。伝承や伝説が生まれた背景には、必ずそれが生まれる何かがあると」
 頴娃と真幌葉はそう言って、思いつく限りの伝承を調べ直す。多田銅銀山の伝承と言えば、東大寺の大仏鋳造に銅を献上した話がある。大仏造顕は聖武神皇の頃であり、推古神皇まで鉱山の歴史を遡る史料は見つからない。にも関わらず、聖徳太子の遺産が眠るという特異な伝承がこの地にはある。
「話を戻しましょう。もし鉱山と遺跡が別物なら、掘っている最中に偶然遺跡を見つけた事になります。しかし、だとすれば、遺跡本来の入り口はどこなのでしょう。埴輪大魔神は山を崩して現れ、そこから例の奥まった空間に戻った。しかし、私たちが探索した範囲には、出入り口らしきものもその跡も見つけられませんでしたが」
 一番奥にも、天井にあけられた穴以外には外に通じそうな場所は見られなかった。まさか天井の穴が本来の出入り口という事もあるまい。月道も調べたいが、ムーンロードが無いし、そもそも調査期間に月道が開く日時が含まれていない。
 ‥‥分からない事だらけだ。

「さて、それじゃァそろそろ会長サンにも役に立ってもらおうかしら。情報が話だけで悪いんだけど、多田銅銀山にうじゃうじゃいる埴輪をどう分析する? 専門家サン」
「ふっ‥‥そうだな。ここでの調べ物の成果を考えるに、ベアータ君の説が有力か」
「私ですか」
「埴輪は安くない。それは今も昔も変わらない真理だ。ただの埴輪でもあれだけの数、その上に金属埴輪まで登場とくれば、王以外の財力で出来る事では無いよ。
 加えて埴輪への妄執を感じる。いいかね、埴輪は金がかかるんだよ。あんなハーレム、羨ましすぎ‥‥いや、国が傾くほどの資金が必要じゃないかね。そこまでする理由――埴輪への愛しか考えられないな。古代の埴輪愛好家に私はジェラシーを感じる。彼、いや彼女かもしれないが、かの者こそ埴輪王、いや埴輪神と言っても良いだろう!」
 呼ぶんじゃなかったと何度目かの溜息を吐く面々。壬紗姫だけは目をキラキラと。
「埴輪さんたちの神様‥‥?」
 と、そんな時である。
「ただいまー。ちょっと時間かかっちゃったけど、調べてきたよー」
 鳳がひょいと顔を出し、風呂敷に包んだ埴輪の欠片を広げてみせる。
 帰ってくる途中で鍛冶屋に鑑定してもらったが、古い物であるのは確かだが、良く分からない部分もあるという。埴輪というと、鍛冶屋はそういう話は魔法の専門家に聞いた方がいいと言っていた。
 複数の埴輪の残骸を持ち込んだが、少なくとも現代の物が混じっている事は無いらしい。
「ほう‥‥素晴らしい。この割れた断面の斑がまた時代を感じさせて感動すら覚える」
「そういえば、埴輪とゴーレムと、骸甲巨兵‥‥がしゃ髑髏の違いとはなんでござろう?」
「最後のは妖怪ではないかね? 私の専門外だ。埴輪とゴーレムの区別か。ふむ、元となる魔法は同じ物だよ。問題は、物の違いだ。ベアータ君が言ったじゃないか、埴輪は副葬品だったと。西洋のゴーレムは死者の供というには無粋‥‥いやいや、戦闘人形として機能的と言えよう。性能差は一目瞭然だ」
「埴輪さんのほうが弱い、ということですか‥‥?(うるうる)」
「初めから墳墓や遺跡の警備用を想定するなら、もっと違う設計をしたとは思うね。西洋ゴーレム技術を模倣して作られたが、技術が劣っていて再現できなかったという研究家もいるが、私は違うと思っている。埴輪はあの姿で完成している! 見たまえ諸君、破片でさえこの美しさ、まさに至上だ‥‥(うっとり)」
 残念ながら、結論と言えるものは得られなかった。
 木片に残された伝説の金属ヒヒイロカネの文字。そして鉱山と遺跡を別の物と考えるなら、必要な遺跡の本来の出入口。鉱山の出自や、無数の埴輪から浮かぶ埴輪そのものの謎。
 埴輪大魔神が復活してしまうかもしれないので、あまり時間はかけたくないのが本音だが‥‥果たして―――