【黄泉の国、丹波】手がかりの選択
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■シリーズシナリオ
担当:西川一純
対応レベル:11〜lv
難易度:難しい
成功報酬:10 G 86 C
参加人数:10人
サポート参加人数:-人
冒険期間:10月31日〜11月07日
リプレイ公開日:2008年11月07日
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●オープニング
世に星の数ほど人がいて、それぞれに人生がある。
冒険者ギルドでは、今日も今日とて人々が交錯する―――
ある日の冒険者ギルド。
職員の西山一海と、その友人であり、京都の何でも屋である藁木屋錬術は、珍しく重い雰囲気で話をしていた。
話題は専ら丹波の情勢について。
前回の依頼で判明したことは、手がかりもあるが新たな厄介ごとも多い。
「まず、イザナミの十万の兵は本気でハッタリでもなんでもなかったわけですか。しかも、『八雷神』なんていう凶悪な妖怪まで従えているとは‥‥もう意味が分かりません。八雷神ということは、アレと同じようなのが後七匹はいるってことですよ、きっと‥‥」
「神話に記されていることを信じるならそうなるな。仮に例の黒い雷虎を『黒雷』と呼称するなら尚更」
「手がかりの方も手がかりの方で、まさか五行鎮禍陣だなんて‥‥。また五行龍の方たちを犠牲にしろっていうんですか? そんな破廉恥なこと、普通の神経じゃできませんよ!」
五行鎮禍陣とは、その昔、丹波で行われた大規模な術式のことである。
当時、悪いことが立て続けで起こっていた丹波に、京都の陰陽師たちが術の実験場として目をつけたのだ。
日本各地から術の触媒とすべく連れてこられた精霊龍‥‥つまりは今の五行龍たちを丹波各地に封印し、五行の力で禍を祓い、安定化を図る‥‥という効果を持っていたはずだった。
確かに、術の完成後、悪いことは起こらなくなったという。しかし、その術には欠陥があり、祓った禍を陣の外‥‥つまり丹波藩の外に排出する機能が無く、禍は祓われたかに見えて実は藩内に地層のように積もっていたのだ。
そして、長い時を経て、禍の量が陣の許容量を超えて崩壊。
五行龍が復活し、丹波藩ではありえないくらいの高確率で騒動が起こるようになってしまった‥‥というわけである。
失敗作であるこれを完全なものにしようがアレンジしようが、どうしても強力な触媒は必要となるだろう。
それに相応しいものは‥‥今のところ五行龍しか思い当たらない。
「‥‥一海君。私とて、五行龍を犠牲にするのには反対だ。しかし、これは戦争なのだ。犠牲無しで全てが上手くいくほど、現実は甘くない。物語を書く君に分からないはずはないだろう」
「そうですけど‥‥何か他に手は無いんでしょうか? 陳腐な台詞でもいいです。私は、誰も犠牲にならない選択肢が存在しているって‥‥そして、それを掴もうとしなければ掴める物も掴めないって信じています」
「アルトならこう言うな。『‥‥理想を抱いて溺死しなさい』と」
「ぐ‥‥すっごくありそうなんですけど(汗)」
「だが、私は君のそんなところも嫌いではないよ。目指さねば理想も現実にはならないものだ」
「藁木屋さん‥‥!」
「目下、さらなる進展を望むなら接触すべき人物は二人。カミーユ・ギンサ嬢か平良坂冷凍のところに居る黄泉将軍、十七夜だ」
「どっちも何か企むなり隠すなりしてそうな面子ですね‥‥」
「カミーユ嬢は悪魔だ。以前漏らした『中間管理職』という言葉を察するに、まだまだ隠していることは多いだろう。十七夜のほうは、封印されていて現代に復活した、古の陰陽師の術を知る存在。ひょっとしたら五行鎮禍陣の存在やその実行方、あるいは現代の術と掛け合わせての完成も見込めるかもしれない」
「っていうか、どっちも弱みを見せると後が恐くありません?」
「この際気にしてはいられまいよ。どちらも手強い相手だ‥‥両方に接触を試みるのは危険だな」
「どちらか一方にアプローチをかけるわけですね。また重要な選択ですね‥‥」
「人が動いてこそ歴史は綴られる。良いにしろ、悪いにしろ、ね‥‥」
カミーユか、十七夜か。接触して手がかりを探るとすれば、どちらに当たるのが得策なのだろうか?
彼らとの本格的な戦闘さえ想定される今回の依頼。
歴史は、ゆっくりと‥‥再び分岐点を迎える―――
●リプレイ本文
●悪魔を探して
冒険者たちの一部は、悪魔であるカミーユ・ギンサと接触すべく、不死者蔓延る丹波藩へと入った。
地方はまだマシとはいえ、それでもありえないような確率で不死者と出くわす旅路であったが、そこはそれ、熟達の冒険者たちが苦戦するようなことまではない。
問題なのは、会おうとしている人物‥‥カミーユの所在が不明なこと。
元々は東雲城に居たのだろうが、そこがイザナミに占拠されてしまってからはどこを拠点にしているのか知られていないし、空を自由に飛びまわれる彼女の行動範囲は正直広すぎる。
「‥‥アルトノワール様の言ではありませんが、呼びかけて出てきたりは、しないですよね?」
丹波の民を守っているというカミーユの言を信じるなら、御神楽澄華(ea6526)が提案した『五行龍の守護の及ばない地域』の探索を行えば出会える確率は高いだろう。
「いかんせん、範囲が広すぎるんだよなぁ。丹波の東方面にいるのか西方面にいるのかだけでも大違いだぞ。オーラセンサーにも反応ないしなぁ」
「小藩と言えど、丹波は広い。イザナミの勢力化であるというのも行動の妨げになる」
鷲尾天斗(ea2445)とアンドリー・フィルス(ec0129)の言葉からも分かるように、現状は芳しくない。
いくつか村などを回ってみてもカミーユの姿は確認できなかったし、不死者と戦うことで無駄に体力を消耗する。
「このまま会えなかった、では拙すぎますねー。御神楽さん、駄目もとで呼んでみてはいかがでしょうかー」
「そうだな‥‥試せる手段は試した方が良い。ほら、恥ずかしがらずに叫んでみろ」
「ご、御自分が叫ぶわけではないからと言って‥‥(汗)」
井伊貴政(ea8384)と鷹村裕美(eb3936)に急き立てられ、叫ぶことに難色を示していた御神楽も覚悟を決める。
すぅーっと息を吸い込み―――
「誰をお探しですの?」
「げほっ、がほっ、ごほっ! か、カミーユ嬢!?」
「て、てめぇ、相変わらず背後に立つのが好きな野郎だな!? ってかいつから居たぁ!?」
「ヒュゥ。相変わらず神出鬼没なことですね。接触は早い方がいいとは思っていましたが」
いきなり一行の背後に現れ、いつもの笑顔を見せるカミーユ。
伊東登志樹(ea4301)にせよルーフィン・ルクセンベール(eb5668)にせよ、心臓に悪いと思うことに違いは無い。
むしろ、カミーユが悪意を持って近づいてきたらと思うと洒落にならない。
「‥‥おい、カミーユ。俺のオーラセンサーはまだ効果時間内なんだが、なんで反応が無いんだ? 前に不死城近くでは探知できたはずなんだがな」
「簡単ですわ。あなたはわたくしの本体しか感知できない。今日のわたくしは、カミーユ連れですもの♪」
「本物のカミーユの身体か? 東雲城から連れ出してたのか」
「あたりまえでしょう? カミーユは、わたくしがいないと完全に壊れてしまいますもの‥‥♪」
無邪気な笑顔。
一瞬、そんなものかと思ったが、はぐらかされたのかもしれない。
鷲尾と鷹村は、カミーユの答えに渋い顔をした。
「まーまー、お目当てのカミーユさんが出てきてくれたわけですしー(汗)。ところで、カミーユさんはどうしてここにー?」
「そんなの決まっていますでしょう? 御神楽さんの気配が近づいてきていたからですわ♪」
「へぇ。それってそんなに遠くからでも分かるものなんですか?」
「分かりますわよ。悪魔に身を委ねると言うのは、そんなに安いことではないんですの‥‥♪」
「っ‥‥! ‥‥この際、そのことはいいです。悪鬼の楔が撃ち込まれていようとも結構。カミーユ嬢、今日は相談事があってあなたに会いに来ました。是非御協力ください」
井伊とルーフィンの質問に、さらっと怖いことを言うカミーユ。
しかし当の御神楽は、感情を飲み込んで会談へと話を持っていった。
「構いませんわよ。お茶もお菓子も無いのが残念ですけれども‥‥午後のティータイムと参りましょう♪」
「そんな悠長な話ではないのだがな。イザナミへの対抗策の話だ‥‥そちらにも益になるだろう」
「ったく、何が午後のティータイムだ。気取りやがって、何モンだてめぇは!」
「あくまで(悪魔で)‥‥お嬢様ですから‥‥♪」
上手いことを言ったつもりか、と思うアンドリーと伊東であった―――
●文献
京都、陰陽寮。
ここに篭り、五行鎮禍陣のことについて調べているのは山王牙(ea1774)と琥龍蒼羅(ea1442)。二人を案内した陰陽師は五行鎮禍陣の事を知らなかった。
「そもそも、亡者に対するは僧侶の領分でしょう。精霊魔法でイザナミを抑えるとは、変な話ですね」
と首をひねるばかり。
アンデッドに効果があるのは神聖魔法である。陰陽師が扱う精霊魔法とは扱う力自体が違う。精霊魔法は世界を構成する地水火風陽月の精霊力を使う。神聖魔法は信仰心により神の力を借りるもの。
「どのようにして、精霊力にて黄泉人を祓うのございましょうか?」
逆に陰陽師から問われ、山王はうなった。
それらしき資料を集め、紐解いてみる二人。おそらく現代でなく、昔試みられたものと推測して古い資料を探る。
幸い琥龍の日本語に関する知識は深く、読めない資料は無かったが‥‥。
「‥‥無いな」
「それでは失伝してしまったか、或いは禁忌として隠されているのかも‥‥」
「そうなると手が出ないな‥‥。志士といえど、神皇家の精霊魔法技術、全てを知る権利は無い。ならば諦めるか。犠牲を前提にした手段は取りたくないものだ、それが友であるなら尚更な」
蒼羅は鎮禍陣に懐疑的だ。良く分からぬものに頼って問題を先送りするのは避けたい。
「ですが。虐殺の下、生み出されたイザナミの十万の兵‥‥何としてもイザナミを封じなければなりません。‥‥まだ始めたばかり、もっと調べてみましょう」
「おい、二人で全部調べきれるものではないぞ」
読める事と理解する事は違う。志士は実践魔法の技術を学ぶが、研究分野は不得意で、山と積まれた古文書を前に二人の調査は難航した。
●説得開始?
鷲尾「人助けご苦労様。まぁ、それだけじゃないだろうがな」
「‥‥ぞっとするので止めてくださる? 思い出させないでくださいまし(汗)」
鷲尾「さよけ。じゃあ、お前さんの力で対抗できるものがあれば協力して欲しいのだが。前に使った黄泉人の命令を書き換える力と、天守閣で見せたイザナミの動きを止める力。俺個人の意見だが、イザナミは封印するより禍根を絶ちたい」
「イザナミもアンデッドに違いありませんから、魔法は効きますけれど。アレを倒すほどの力は、正直わたしにはありませんわ。アレを封印した時にどれだけ騒ぎになったか知りませんの?」
鷲尾「‥‥知るわけないんだが」
伊東「そんな野郎の封印を解かせるためにあーだこーだ動いたのはどこのどいつだ固羅ぁ!?」
「わたくしもやりたくてやったわけじゃありませんわよ。誰が好き好んであんないけ好かない連中を復活させたりするものですか。中間管理職は悲しいですわ‥‥」
御神楽「ではカミーユ嬢、あなたの『上司』はイザナミに対抗する策を何か持っていないのですか? 利用するなり共闘するなりにしても、優位に立つための材料は用意してあるのでは‥‥」
「何故ですの? イザナミ相手に、そんな策なんて必要ありませんわ」
アンドリー「つまり悪魔勢力は、その気になればイザナミ軍を駆逐できるだけの戦力があると?」
「‥‥あら、いけない。少々喋りすぎてしまいましたかしら。だけど、悪魔の云うことをあまり真に受けない方がよろしいと思いますよ。本当の事なんて、云うと思います?」
鷹村「ふん、腐っても悪魔だな。まぁいい、とにかく、お前には妙案は無いわけだ」
「残念ながら」
ルーフィン「それじゃあ話はここまでかな。お互い時間の無駄っぽいですし」
井伊「(こそっと)ルーフィンさん、もう少し食い下がってもいいのではー」
ルーフィン「(こそっと)いや、駄目です。ここでこちらが有益な情報を持っていると知られるのは上手くありません。カミーユ嬢に余計な材料を与えるだけで、こちらの益が無いですから」
「レディの前でこそこそ話なんて、マナーがなっていませんわね。あなた方には何か妙案でもありますの?」
伊東「あるかンなもん。でなきゃテメェなんぞに相談に来るか!」
「‥‥パラディンのあなたは? まさかパラディンともあろう者が、嘘なんて吐きませんわよね? 例え悪魔相手でも」
アンドリー「黙れ、悪の僕よ。人は何千年の昔から、悪を葬る法を磨いてきた。貴様が知らぬはずはあるまい」
ルーフィン「ちょっと!?」
「ふふ、我に秘策ありですか‥‥興味ありますわね。御神楽さん、話してくださる?」
御神楽「っ‥‥! そ、その‥‥私は‥‥! き、拒否させて、いただきます‥‥!」
「あら残念」
ギラリ、と真紅に輝くカミーユの瞳。
瞬間、大気が濁った。冒険者一行に鋭い痛みが走る‥‥!
鷲尾「なん‥‥だっ!?」
鷹村「お、怨霊だ! 地面から怨霊が出てきてる‥‥!」
井伊「すでに準備万端だったってわけですかー!? あなたそこまで自由ですかー!?」
「あら? あなたがた、わたくしを脅しすかして情報を得るつもりだったのでしょう? 当然、この程度は予想していたのでは? さぁ‥‥踊りなさい。踊り疲れた後で、ゆっくりとお話を聞かせていただきますから‥‥♪」
空中に逃れ、本来の姿‥‥蒼い炎に包まれた馬の姿を現すカミーユ。
本物のカミーユの身体は、ぐったりとしたままその背中に乗せられている。
熱くはないようだが‥‥?
アンドリー「くっ! 不意の上に装備が役にたたん‥‥!」
御神楽「か、カミーユ嬢‥‥! お願いします、ここは退いて‥‥」
「あまり勝手なことを仰らないでくださる? どうもあなたがたはわたくしのことを侮っている節がありますので、たまにはきつくお仕置きしてさしあげますわ。ほらほら、御神楽さんも甘えたことばかり言っていると死んでしまいますわよ。そんなことにはならないでくださいまし♪」
怨霊が渦をつくる。
如何にカミーユでも自在すぎないか。それとも、ここが黄泉に浸食された土地だからか。
微笑をたたえ、カミーユは体勢を立て直そうとする冒険者を威嚇する。一行はこのままなす術がないのか?
いや!
伊東「ざけんなっ! こんなこともあろうかと備えてきたこの装備ぃ! くらいやがれぇっ!」
伊東が身に着けている装備は、護りの効果があるものが多い。
直接ダメージを減らすわけではないが、怨霊がなるべく近寄りたがらなかったせいかダメージが少ない!
手にした槍を投げつけ、怯ませたところに‥‥!
ルーフィン「今です! 矢の雨‥‥流星の如く!」
流石にカミーユの身体を背負っている状態で矢をしこたま射られては困ると判断したのか、蒼い炎の馬は身を翻した。
どうやらルーフィンのような遠距離攻撃が得意な面子が来るとは思っていなかったようである。
カミーユが後退し、何とか怨霊は撃退したものの、交渉の決裂に、一行は疲労以上に落胆した。
どこかに油断は無かったか。
●単騎駆けの危険
アンリ・フィルス(eb4667)は、剣捌きにおいて比類なき腕であり、オーラ魔法においても達人級だ。
また、実力に見合った装備を有し、その総合戦闘能力は凄まじいものがある。
しかし、だからと言ってたった一人でイザナミの勢力下を飛んで行こうと考えたのは考えが甘かった。
空飛ぶ木臼で丹波北部に行こうとしていたアンリであったが‥‥!
「何っ!? 上から‥‥ぐぉぉっ!?」
突然、空から何かが降ってきて彼を直撃。
正確には牙を以って噛み付き、電撃を流し込むという荒業だったわけだが。
「こ、こやつは‥‥黒雷!? 八雷神は、丹波の空を駆け回っているとでも‥‥ぐぅっ!」
木臼の上では満足に戦えない。地上に降りる暇もなく、叩き落とされた。
「南無三!」
地面に激突するアンリ。
激しい痛みが走ったが、構わず起き上がる。
「地上ならば遅れは取らぬ! 全力でいくぞ!」
スクロールを広げ、レジストライトニングを発動。これでやつの電撃は恐くない。
となれば、基本能力の差で上回るこちらの勝利は揺ぎ無い‥‥と、アンリが思った瞬間。
黒雷の獣の顔が目前にあった。
(やはり‥‥速いっ)
「‥来いっ!」
急所を守る。巨獣の鋭い爪が、アンリの装備の薄いところを狙う‥‥ポイントアタック!
「ぬぅぅっ、これほどとは」
予想したより少しだけ重く、手数が多かった。これでは迎撃に移る前に‥
先にスクロールを使った事を後悔する。アンリにそれほどの失策があった訳ではない。だが高レベルの攻防は一手の差が勝敗をわける。
「ぐぉぉっ! 馬鹿な‥‥拙者に、油断があったと‥‥!」
虎に似た姿を持つ、黒い獣。
こんなところで‥‥と思った、次の瞬間。
『ゴアァッ!?』
黒雷がアンリから飛びのき、飛んできたソニックブームを回避。
次いで、グラビティーキャノンの二連撃を受けて更に後退する。
『なんじゃあ? 妙な奴を見つけたと思ったら、やられとる方もどっかでみたような気がするけぇのぉ!』
「あんれま、アンリさん。だいじょぶけ?」
「ふっ‥‥美しくないな冒険者。この美しき陰陽師金兵衛が助けてやろう」
『気取るな陰陽師が! ワシゃぁお前らが嫌いなんじゃあぁぁっ!』
「おらも陰陽師だべが‥‥」
『おまえはいい。陰陽師に見えんから』
「褒められてる気さしねぇべ‥‥(汗)」
木鱗龍・森忌と天の明美、金剛の金兵衛が現れ、アンリの救助に回る。
スクロールが使える明美と金兵衛のサポートをもらい、かつ森忌がいれば形勢は逆転している。
黒雷もそれを感じたのか反撃はせず、あっという間に地を駆けて退いた。
なんとか危機を脱したアンリであったが‥‥今回は手痛い教訓をもらったようである―――