【黄泉の国、丹波】イザナミ軍、強襲

■シリーズシナリオ


担当:西川一純

対応レベル:11〜lv

難易度:難しい

成功報酬:5 G 42 C

参加人数:10人

サポート参加人数:1人

冒険期間:12月04日〜12月07日

リプレイ公開日:2008年12月09日

●オープニング

世に星の数ほど人がいて、それぞれに人生がある。
冒険者ギルドでは、今日も今日とて人々が交錯する―――

「一海君、イザナミ軍に動きがあったぞ。また大規模な戦いになるかもしれない」
「大規模って‥‥具体的に言うと?」
「イザナミ軍の一部が西から移動して来たらしく、千近い不死者の軍が京都に接近中だ」
 ある日の冒険者ギルド。
 静かに慌てつつ、京都の何でも屋である藁木屋錬術は、自分で入手した情報ながら嫌気が差していた。
 職員の西山一海も同様で、概要を聞いてさぁーっと血の気が引いていった。
「しかも、今回は八雷神の火雷と黒雷が参加していることが判明している。下手をすれば京都に侵入されてしまうぞ」
「えっと‥‥京都軍は‥‥?」
「勿論動いてはいるが、集められて500とちょっとだろう。まず数で負けている上に、八雷神二体だ。上層部は冒険者を緊急戦力として招集するため、そのうち依頼を持ってくるはずだ」
「しかし、なんでまた今になって‥‥。しかも、数が微妙じゃありません? イザナミ軍ならもっと数を集められるはずですし、遊びでちょっかいを出すほど甘い性格じゃないと思うんですよ、イザナミは」
「‥‥ほう? 嫌がらせで刃鋼殿不在の村に八雷神をけしかけるような人柄なのに、かね?」
「あれは‥‥なんていうか、嫌がらせというより念のための用心だったような気がするんです。イザナミの人間に対する憎悪は、そんなチャチなもんじゃあ断じてないと思うわけで」
「ふむ‥‥私も同意見だ。しかし、現実に不死者の軍隊が近づいてきている以上、戦うほかあるまいよ。‥‥ところで、前回不意に話題に上ったアリサ嬢の方はどうなったのかね?」
「あぁ、トンデモ鍛冶屋のアリサさんですね。一応、注文に応えるために日夜頑張っているようなんですが、中々上手くいかないようで。ちなみに、試作品の一つを送ってもらいましたよ」
 そう言って、一海は机の下から一振りの刀を取り出した。
 確か、オモシロ武器を作ってくれとの注文だったはずなのだが‥‥?
「‥‥。‥‥? なんだね、これは。どこがどう面白いのか分からないのだが」
「でしょ? どこも面白くないんですよ。ただ、恐ろしく切れ味のいい武器になっているのは確かなんですが」
「面白そうな武器を作ったら強力な殺傷武器ができる、か‥‥。難儀なことだが、続けて頑張ってもらいたいところだ。あらゆる絆をつなぎでもしなければ、イザナミは倒せないだろうからね‥‥」
 不意に京都に迫るイザナミ軍の一部。
 何かしらの策なのか、不審な点は多い。
 しかし、戦わねば京都が滅びる。これだけは確かだ。
 八雷神二体を含める不死者軍‥‥京都軍と協力して、撃退を望む―――

●今回の参加者

 ea1442 琥龍 蒼羅(28歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea1774 山王 牙(37歳・♂・侍・ジャイアント・ジャパン)
 ea2445 鷲尾 天斗(36歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea4301 伊東 登志樹(32歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea6526 御神楽 澄華(29歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea8384 井伊 貴政(30歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 eb4667 アンリ・フィルス(39歳・♂・ナイト・ジャイアント・イギリス王国)
 eb5668 ルーフィン・ルクセンベール(22歳・♂・ファイター・ハーフエルフ・イスパニア王国)
 eb5868 ヴェニー・ブリッド(33歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・フランク王国)
 ec0129 アンドリー・フィルス(39歳・♂・パラディン・ジャイアント・イギリス王国)

●サポート参加者

酒井 貴次(eb3367

●リプレイ本文

●作戦の基盤
 年も押し迫った師走の序盤。
 京都にもたらされたイザナミ軍およそ千の軍勢進軍すとの報告は、混乱を引き起こすに充分であった。
 現在は沈静化しているものの、京から逃げ出そうとする民や商人はそう少ない数ではなかったという。
 そんな事態を打開すべく、京都軍は必要以上の示威行動を伴い、軍を出撃させて迎撃の構えを取った。
 作戦に参加している冒険者の提案により、戦場となりえる森林地帯への工作も行わせたが‥‥?
「‥‥駄目ね、全然効いてないみたい。やっぱりアンデッドに精神系のフォレストラビリンスは無理があったみたい」
「‥‥俺たちが張った罠はどうですか? ロープや倒木などは物理的なものですが」
「望み薄ですかね。足止めはできても数は減りませんし。それに、如何せん罠の数が追いつきませんよ」
 ヴェニー・ブリッド(eb5868)がテレスコープ及びインフラビジョンのスクロールを使用、遠方からイザナミ軍の動向、増援の有無などを確認しつつ周りに伝える。
 山王牙(ea1774)は京都軍が行っていた森に罠をこしらえる作業を手伝っていたが、それが徒労に終わったと聞いて歯噛みする。やはりルーフィン・ルクセンベール(eb5668)の言うように、そもそも罠の数が足りなかったか。
 とりあえず、現在彼らや京都軍は森を抜けてしばらく離れた場所に陣を構えている。
 事前の魔法や工作に自軍が引っかからないようにするためだったが、今から前進しても戦場は森にはならない。
 あとはもう、森から次々と出てくるであろう不死者の軍勢をひたすら迎撃するしかないか?
「ちぇっ、しゃあねぇや。おいてめぇら! 作戦通りいくぜ! 連中を真っ向から分断してやるぜぇっ!」
「大方は京都軍に迎撃してもらって、あぶれたのは僕たちの戦力で応戦ですかー。一気に敵軍全員と戦うわけじゃありませんけど、やっぱり厳しそーですねー(汗)」
「拙者は京都軍の補助に回る。あちらに八雷神が現れた時の対抗策は必要ぞ」
 今回、作戦の大本というか基礎を考案したのは、なんと伊東登志樹(ea4301)である。
 彼なら『とりあえず突っ込んでブッ潰す!』とでも言い出すかと思ったが、さにあらず。その作戦は、確かに荒っぽくはあったが思いのほか繊細であった。
 井伊貴政(ea8384)が作戦の概要を反芻するが、冒険者たちの負担は大きい。
 確かに五行龍の芭陸や丹波の魔法戦士たちが加勢するとはいえ、千の敵を切り取りつつの交戦だ。
 自殺行為に等しいかもしれないが、『囮』という役目も背負う彼らはやるしかないのだ。
 その『囮』に敵が引っかからなかった場合の保険として、アンリ・フィルス(eb4667)は仲間を離れて京都軍に従軍する。
 そして、軍のお偉方の号令の下、戦線が移動し始める。
 果たして、千もの敵を分かつ策とは―――

●戦場の雷たち
「奏でろ、蒼き風よ。猛り狂う荒々しい調べを‥‥!」
「さて、この『アリサ試作品壱号』(仮名)はどんなもんかねぇ。ホント、面白い娘だなぁ。あいつは」
 琥龍蒼羅(ea1442)や八卦衆・風の旋風をはじめとする風魔法の使い手が、断続的にストームやら竜巻の術やらを連射し、不死者たちの機動を大きく変える。
 主に京都軍がイザナミ軍と戦うのだが、冒険者たちが風で軌道変更を余儀なくされた不死者たちを駆逐する予定。
 鷲尾天斗(ea2445)は鍛冶屋のアリサ・シュヴェールトに特注した刀を握り締め、オーラパワーなどを発動。
 事前に聞いていた素晴らしい切れ味で怪骨を叩き斬った。
「オーラパワーの乗りがいい? つーか、オーラ魔法を発動しやすくもなってるのか? 無茶苦茶だなぁ、あいつ(笑)」
「この厳しい戦で武器の試し切りとは悠長だな。途中でポッキリいきましたなどというのは勘弁願うぞ」
「そりゃあないさ。使ってみりゃ分かる。神様も眉をひそめるようなオモシロ武器だぞ、こいつはな!」
「それは何より! しかし、刀一本で戦局を変えられるはずもなく!」
「わーってらい。そのために芭陸たちもいるんだろ!」
 関心仕切りの鷲尾に対し、突っ込みながらも隙を見せないアンドリー・フィルス(ec0129)がツッコミを入れる。
 御神楽澄華(ea6526)も心配しているようだが、鷲尾は別に慢心しているわけではない。
 培ってきた歴史。絆という名の力が、芭陸や旋風、真紅、水銀鏡といった存在となってそばにいてくれる。
『邪魔です。轢かれても文句は無しですよ』
「そっちには行かせないわよん。これぞ妨害美!」
「鬱陶しいのよねぇ、あんたちぃ! 壊れちゃいなさぁい!」
「巻物があれば、私でも攻撃に参加できるのだわ!」
 足りない範囲火力を補ってくれるし、芭陸の身体は強固な盾にもなる。
 囲まれることさえ注意すれば、アンドリーも、御神楽も、鷲尾も存分に腕を振るえる。
 勿論、伊東、ルーフィン、ヴェニー、山王、井伊もそれぞれ不死者を迎撃しており、並みの相手に遅れは取らない。
 水銀鏡のテレパシーでの連絡によれば、アンリもまた京都軍の前線で巨大な石の棒を担ぎつつ大活躍とのことだ。
 体力的な問題は残るが、このまま推移すれば被害はあれど勝利は近い。
 だが、このままで終わるはずがない。いると分かっている強敵が出てきていない。
 即ち‥‥!
「まさかこんなにも早く君たちと出会えるとはな。運命論者の私としては、感傷にも浸れる運命を感じずにはいられない」
「なっ‥‥!? 瑞鶴!?」
 主人に向けられた不意の剣閃を、身を挺して防いだ御神楽のグリフォン。
 電撃をももらい、地面に倒れ付してもがくそれを意にも介さず、骨馬を駆る白骨鎧武者は姿を現していた。
 八雷神の一角、火雷は、逸る愛馬と自分の気持ちを抑えきれないようであった。
「それとも、君たちが我らを呼び寄せるためにわざと派手な動きをして見せていたからか‥‥。恐らくは後者だ!」
「出たな、ミスター! 話に聞いて会いたいと思ってたぞ!」
「てやんでぇ、ミスター不死道! この前のオトシマエ、きっちりつけさせて貰うぜっ!」
「‥‥みすたー‥‥何と? 生憎私には火雷という名があるのだが‥‥勝手な名で呼ばれるのは迷惑だ」
 鷲尾と伊東が意味の分からないあだ名で火雷を弄るが、火雷は至って素であった。
 それよりも、一行には無視できない火雷の変化があった。
 身体の前に浮かぶ、五つの光点。紋様のようなそれは‥‥!
「‥‥レミエラ‥‥!? まさか、イザナミ軍がレミエラを‥‥!」
「ふ‥‥我ら八雷神はイザナミ様の思し召しに従い、事を成すことためにだけ存在している。例えどんな邪法であろうと、勝利のためならば遠慮なく使わせてもらう」
「確かにイザナミ軍が滅ぼしてきた町や経路などを考えれば、ありえない話ではないが‥‥」
「むしろ私は君が心配だぞ、異郷の神に仕える者よ。君はこのレミエラなるものがどういう出自のものか分かった上で使用しているのか? 私のように、愛刀を私色に染め上げるだけでも禁忌と見た」
「なんだと‥‥?」
 闘破、八雷神と書かれた旗を持ち込んでいた山王だったが、火雷にすぐさま突っ込むことはできなかった。
 レミエラが多種多様な効果を持つことは先刻御承知。
 しかも、八雷神である火雷が自慢の愛刀に埋め込むからには並みの効果ではあるまいと思うのは当然だ。
 そして、アンドリーが火雷の言葉に一瞬気を逸らした瞬間。
「ゴァァァッ!」
「黒雷! させませんよー!」
 上空から流星の如きスピードでアンドリーに突っ込んできた黒雷を、井伊がすんでのところでガード。
 相変わらず帯電しているらしく、電撃のダメージが井伊を襲う‥‥!
「八雷神が二体とも来たのか。黒雷に風魔法が効き辛いのは知っているが‥‥お前はどうだ‥‥!」
 琥龍がライトニングサンダーボルトを叩き込もうとしたのを見て、火雷は骨馬を操り、逆に琥龍に突っ込んでいく!
 放たれた雷光は‥‥効き辛いどころか、まったく効いていない!?
「こんなものではあるまい、冒険者ぁっ!」
「がっ‥‥!?」
 騎乗したまま琥龍の横を駆け抜け、すれ違いざまに斬撃を放つ。
 しかし、その行く手にはルーフィンとアンドリーが待ち構えていた!
「‥‥有象無象の区別無く、私の矢は逃しませんよ。不意打ち上等‥‥と言ったところですね」
「一瞬でも戯言に惑わされたのは俺の不覚だ。その代償‥‥きっちりと払ってもらう!」
 ルーフィンの破魔矢は、アンデッドである火雷にはやはり効果があるようだ。
 怯んだところに、同じくアンデッドに効果のあるオーラ魔法を纏ったアンドリーの渾身の一撃が‥‥!
「そんな道理、私の無理でこじ開けるッ!」
 片や西洋剣。片や日本刀。両者はお互いに斬撃を浴びる!
 となればオーラパワーとスレイヤー効果の分、電撃を差し引いてもアンドリーに分がある‥‥はずだった。
「甘いな。私色に染められた愛刀は、それらすら無力化するッ!」
「野郎、本気でレミエラ使いこなしてやがる! っておい、雑魚もまだ来んのかよ!?」
「くっ! 雑魚は私たちが担当するから、接近戦のできる人たちで八雷神を抑えて! いいわね、真紅さんたち!」
「くそっ、任せたぜヴェニー! 鷲尾、井伊、御神楽、俺たちは黒雷だぁっ!」
「とっくに始めてるわぁっ! つったってこいつ、速いし重いし痛いし‥‥つぁっ!?」
「鋭い‥‥! やはり、私とほぼ同等の腕前‥‥!」
「当てるのは結構できるんですけどねー‥‥ダメージを蓄積させようにも、こちらにも電撃がー!」
 黒い虎に似た猛獣、黒雷。
 圧倒的な手数と闘争本能むき出しの思考は、生半可に考えて動いたところで梨のつぶてであった。
 耐久力もそこそこあるようで、COを混ぜないで戦うとどうしても決め手に欠けてしまう!
 とにかく動きを止めたい。そう、誰もが思ったとき。
「傷ついた瑞鶴のためにも‥‥多少の無茶は!」
 何を思ったか、魔法の詠唱に入る御神楽。
 黒雷は不穏な気配をすぐに察知、無防備な御神楽へと大地を蹴る!
 鷲尾たちは間に合わない。そのまま御神楽が牙の餌食になるかと思われたが‥‥!
『御冗談。小生をお忘れですか?』
 いつの間にアースダイブを使っていたのか、芭陸が地中から現れて黒雷の攻撃を代わりに受ける!
 岩肌の芭陸には電撃も通りづらいらしかった。
『存分に、御神楽さん。あなたは小生がお守りしましょう』
「感謝いたします‥‥芭陸様。今、我が身を火鳥へ‥‥!」
 じゃきん、と七桜剣を構えた状態でファイヤーバードの魔法を発動。
 黒雷に匹敵するスピードで翔る御神楽は、四連続攻撃で逆に黒雷を圧倒する!
 接触は一瞬でも、電撃は瞬時に身体を駆け巡る。
 御神楽は魔法が解かれた瞬間、地面に倒れ付してしまった!
「動きが止まった! ここで一匹でも討ち取っておく!」
「八雷神がなんぼのもんじゃあ!」
「山王さん、御神楽さんの補助もお願いしますー! 黒雷は僕たちがー!」
 鷲尾、伊東、井伊が黒雷に突っ込んでいく。
 魔法使い組みに一人は護衛が欲しいという意図を察してか、山王はまたしても八雷神戦に加われない。
「‥‥だが、それでも‥‥八雷神が討たれるのならば‥‥!」
 しかし、その願いは叶わなかった。
 三人の攻撃でそこそこのダメージをもらったであろう黒雷だったが、それでもまだまだ動ける。
 しかも、火雷が予想外の行動に出たのだ。
「失礼、その辺りにしておいていただこう。彼女の命が惜しければ、な」
 なんと、火雷は水銀鏡を小脇に抱え、その首筋に刀を押し当てているではないか!
「それが武将のやることか貴様ぁぁぁっ!」
「失礼だと言った。私も本意ではないが、どうも劣勢なようなのでな。黒雷を失うわけにも、私がやられるわけにもいかん。目的は果たした頃だろう。撤退する」
「目的‥‥!? そういえばインタビュゥしたかったのよね。ミスター、ズバリ、戦力を小出しにした理由は!?」
「ふ‥‥それも交換条件の一つということにさせていただく。無論イザナミ様の御指示。イザナミ様が直々に京都に赴き、とある場所へと向かわれた。この大袈裟な作戦も、全てはイザナミ様のためにあるのだよ」
「い、イザナミ本人が京都内に入った、と‥‥!? し、神皇様の御身が‥‥!」
「京都内で不死者召喚なんてされたら、どれだけ被害が出るかー!?」
「我らは退かせて貰う。どうも、イザナミ様のお気に入りが張り切っているようでな。被害が思ったより大きい」
「‥‥アンリ殿のことですか。火雷、俺は是非ともあなたと決着をつけたいのですがね‥‥!」
「‥‥どれだけ私の顔に泥を塗れば気が済むのだ‥‥冒険者。人質などという真似をこれ以上させないで貰いたい!」
 退くと決めてしまえば、火雷の手腕は見事なものであった。水銀鏡も後に無事に解放されたという。
 黒雷も大人しく従い、退いていったのは意外であったが。
 かくして、イザナミ軍の強襲は、八雷神撃退という事実を以って京都軍の勝利となったのである―――

●勝利の代償
「太母様が都に!? ぐっ‥‥こうしてはおれん‥‥!」
 京都軍の最前線で戦っていたアンリであったが、周りに比べ地力が強すぎる彼は、どうしても孤立することが多かった。
 八雷神に匹敵するような大物はいなくとも、囲まれすぎればいくらアンリでも死が見える。
 それをちょっと寝ていれば動けるようになる程度で済ませたのだから、やはり彼は規格外である。
 彼が京都軍にいたおかげでその被害がかなり減ったことは確かだし、火雷が退いた理由にも繋がったのだ。
 しかし、それでも。今から京都に入ったイザナミ捜索等できようもない。
「‥‥戦闘には勝利したが、その代償は大きかったか‥‥。これほどのことをしなければ京都への進入は難しいと捉えるべきか‥‥それとも、それを許してしまった我らの不覚を悔やむべきか‥‥!」
 こんな大袈裟な真似をしてまで、イザナミが京都に入った理由は何か。
 彼女が向かった『とある場所』とは?
 報告を聞いた誰もが、嫌な予感を感じずにはいられなかったという―――