轟!義侠塾!! 〜勝牙通〜
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■シリーズシナリオ
担当:小沢田コミアキ
対応レベル:フリーlv
難易度:易しい
成功報酬:4
参加人数:12人
サポート参加人数:-人
冒険期間:01月21日〜01月26日
リプレイ公開日:2005年01月30日
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●オープニング
「壱号生、嵐・伊達・風羽! 以上の三名は直ちに塾長室に集合せい!」
惨号生筆頭・毅業院岳との死闘を追えた義侠塾壱号生たち。だが新年を迎えた今日も、まだ彼らに平穏の日は訪れない。修練の日々はまだ始まったばかりなのだ。
「戴逝災での壱号生の働き、大儀であった。本日貴様らを呼び出したのは他でもない、我が義侠塾は新たに唯仁闘(ゆにっと)を組むこととなった!」
鬼髷の校内放送(大声)に呼び出されて三人が向かった先では、既に塾長を始め教官達が集合していた。塾長の脇には、見慣れぬ三人組の姿が。
「犬苦房では世話になったな」
何やら骨付き肉を齧っているその先輩方は。
「俺ら、三面犬を解散することになってな」
「ついに我々も義侠塾を卒業。することになったのだ」
そいう三面犬先輩は揃いの陣羽織姿に三人とも犬の付け耳に付け鼻、おまけにお尻には何やら取ってつけたような悪魔風の矢印尻尾までついている。
「嵐・伊達・風羽! 聞禍災で死闘を演じた貴様ら三名に三面犬の跡を継ぐことを命じる! 今年は義侠塾にとっては再起の節目の年。代替わりに際し三面犬を改名し、本日を以って貴様らの唯仁闘名を義侠記念日。とする!」
「な‥‥」
「わしが塾長の雄田島♂である!」
「「「なんだってぇぇぇ‥‥‥‥‥‥‥‥!」」」
てェ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥!
てぇ‥‥‥‥‥‥!
‥‥‥‥‥‥。
‥‥‥‥‥‥‥‥。
‥‥‥‥‥‥。
「って、いつまで寝ている。早く起きろ」
眼が覚めると、時刻はもう夜が明けようという頃であった。
「‥‥ん‥何だかスゴク嫌な夢を見ていたような‥‥」
「何を言ってるんだ。寝ぼけてないで早く校庭に集合だ」
毅業院との死闘を終え、壱号生はより一層教練に精を出している。今日もまた、どんな厳しい教練が彼らを待っているのだろうか。
「そう言えば三面犬先輩の餌当番、お前だったろう。忘れるなよ」
最後に振り返って言った塾友が餌用の鉄皿を投げてよこし、そうして校庭へ駆けて行った。
「勝牙通(しょうがつ)である!」
義侠塾名物・勝牙通とは、かつて瀬戸内の海の覇者として武名を轟かせた水軍・壬蘇家が新しき年の始まりに際し、その一年の戦の勝利を前祝いするという意味を込めて一族を集めて大宴席を開いたことに由来する。この儀式に際しその前日に当たる師走の末日には壬蘇の一家が瀬戸内中から集い、壬蘇の本家を意味する大壬蘇の日とされた。無論、この大壬蘇日が後の大晦日の語源となったのはいうまでもない。こうして一年の勝利を盛大に祝った壬蘇家は心構えを新たに浪漫のかぎりに突き進んだという。
「一年の計は正月にあり! 今日は無礼講じゃ! 存分にこれからの一年の勝利を祝うがよい!」
鬼髷が声を張り上げ、その号令で宴会は始まった。校庭に設えられた宴席では壱・弐号生が教官と共に酒を酌み交わしている。その様を遠く見ながら塾長・雄田島は小さく呟いた。
「塾生たちよ、今はただ来るべき勝利を祈り、塾友たちと存分に酒を酌み交わすがよい」
その表情は重苦しい。まるでその光景から視線を逸らすようにして塾長は目を伏せた。
(「果たして、あの中から何人が次の試練に打ち勝ち、再びこの義侠塾の校庭へ戻ってくることができるか‥‥」)
ふと遠くに見える毅業院岳に薄く雲がかかった。塾長が頷く。
「毅業院よ、やはり壱号坊には荷が重いというか。分かっておる」
そう毅業院へ答えを返すと塾長は踵を返した。その背が語る言葉は重い。
「戴逝災‥‥その真の恐ろしさは悟吾の武(ごごのぶ)にある。悟禅の武は無事に乗り切ったが、果たして‥‥」
●リプレイ本文
今日は新しき年に向けて英気を養う祝いの席。鬼髷の音頭で乾杯すると宴が始まった。
「でござるが‥‥何やら猛烈に嫌な予感がするでござるよ」
久方歳三(ea6381)は苦笑を零しているが、一方で伊達拳(ea7036)はいつもの如くである。
「やっぱり酒だよなぁ〜宴会といえばよー」
早々に杯を空けるとうんうん唸っている。
「勢いよく酒飲んで、どばーって行こうぜ!!」
「うむ。これからの俺たちを祝福する為にも、今日はひとつ派手にいこうか」
伊達に限らず皆もどんちゃん騒ぎができればそれでイイらしく、嵐真也(ea0561)も杯を傾けながら珍しく笑みを零している。
「さし当たっては、俺から皆に、名酒うわばみ殺しを進呈だ」
秘蔵の名酒はうわばみをも酔わすという程強い酒だ。
「しかも混ぜる」
「って混ぜんのかよ!」
菊川響(ea0639)が持参の化け猫冥利をチャンポンにして一気に煽った。
「いやもう絶対負けませんから! 今年の勝利を確信だ!」
何に?というツッコミは置いておいて、すっかり出来上がってしまっているようだ。
「って早っ! 俺も負けてらんねーぜ」
勢い伊珪小弥太(ea0452)が銚子を取ると、負けじと伊達も杯を煽った。
「俺も酒はじぇんじぇん強くないけどお構いないにのみまくるぜ!」
「うむ! よい飲みっぷりである!」
塾長も校庭へ降りてきて宴席に顔を出している。
「昨年はお世話になったでござる‥‥まま、塾長殿も一杯」
久方が新年の挨拶も兼ねて酒を勧めると、たちまち銚子の一本が空になった。
「‥義侠(うぉとこ)の道は、深く険しきもの‥‥、拙者はまだ入口に立ったばかりでござる‥‥今年も宜しくお願い致すでござる」
「堅苦しい挨拶はなしですよー。だって無礼講ですし?」
そこへ割って入った堀田小鉄(ea8968)が空いた杯に酌をして、少し赤くなった顔でにまっと笑う。
「うむ。返杯である!」
「遠慮なく頂きますー」
まだ幼さが残る小鉄だが、元服を済ませた男児足る者、このくらいの酒は嗜みというものである。
「入塾早々に勝牙通とは‥‥ふっ」
そこへ唐突に横から現れたのは虎杖薔薇雄(ea3865)。
「なんとも粋な計らいではないか。ならば勝牙通、美しく過ごして見せよう!」
やたら長い睫が瞬けば溢れる美で全身が眩い輝きに包まれ、何か発光体のような薔薇雄は台詞の合間に入るポーズまでもいちいち美しい。
「ふっ、押忍‥‥今日より世話になる、よろしくね」
「よし、今日は新入生もいることだしな」
頃合を見て嵐が立ち上がった。
「さて、ただ食うだけというのもつまらん。ここは一つ、俺も料理を披露する事にしよう」
「勝牙通に料理を‥‥もしや!」
「そう。俺が披露するのは、雄瀬血料理だ」
雄瀬血とは侠が侠の為に用意する侠の料理である。古来より日本では男子厨房に入らずといい、料理は女の仕事とされてきた。唯一男児に調理を許されるのが勝牙通の日に食されるというこの料理である。その調理方法は豪快にして変幻自在。材料は適当にそこら辺で目に入ったものをふんだんに使用し、調理法は主に感情の赴くままに煮たり焼いたりとかしながらその日その時を面白おかしく調理する。素材の味をやたら大胆に生かした野趣溢れる料理である。無論、火をしっかりと通すことも忘れない。
我が国の修道研究の大家である秘之里臣はこの調理法の源流を武士達の育んだ男色文化に見ている。料理は愛情と言うが、雄瀬血とは正しく戦友(とも)との性別を超えた愛に貫かれた、まさに侠の料理と言えよう。
「さあ重箱に盛ってこれで完成だ。存分に、食してくれ」
そういう訳でこんがり火の通った何かが完成。
「見た目は悪いけど愛情は本物だよ」
嵐の横にはなぜかエプロン姿の冬呼国銀雪(ea3681)が甲斐甲斐しく嵐にお手伝いをしている。
(「戴逝災あたりから体がおかしいみたいなんだけど‥‥でも医者に診てもらっても異常無いって言われたから、まぁ大丈夫だよね」)
だが銀雪はまだ知る由もない。嵐と二人きりで熱い夜を明かしたあの晩、人肉の味を知った(?)銀雪の体を、蟹刃理頭夢が蝕みつつある事を‥‥。それは蟹が己の身の美味さを知り共食いする事に由来する、同族への食欲が湧く危険思考である。
「肉、美味いよ。さぁみんな、遠慮せずどんどん食べてね‥‥」
何となく家畜に給餌してるっぽい気もするのがちょっとあれだが。つーか怖ぇよ。
「勝牙通‥‥一年の戦勝の前祝と共に、食し平らげた皿と飲み干した杯の量でその年の武運を占ったと我が家の口伝に聞く」
銀雪が仕留めて来た猪(の焼けた奴)を前に気を昂ぶらせているのは新入生の物部義護(ea1966)。
「今年も武運長久を願うべく儀式の料理、出された品は全部残さず食してくれようぞ! どちらが先に胃拡張で倒れるか、いざ勝負!」
勝負と聞いては、他の壱号生も黙ってはいない。惨面拳らが勝負に加わったのを見て物部はもう一度声を張り上げる。
「皿木先輩や諸先輩方ににも御衝合願いたく、押忍!」
「壱号坊の小童が、この己に勝てるとでも思ったか! ひねり潰してくれよう!」
「皿木がやんのなら俺も参加するぜ! 呑苦腑姶吐(どっくふぁいと)だ。飲み勝負で勝ったら誰かに命令出来、負けたら言う事をきかなきゃならねー、単純且つ一撃必殺の戦いだぜ」
こうして皿木達も巻き込んで大食い競争が始まった
「ドンドンとハジけて行くぞ! じゃんじゃん、リズムを上げてよ!」
「‥‥ふっ、私も負けてはいられない。今日からここの同胞(はらから)なのだから‥‥その勝負、受けて立つ!」
樽から直接いった伊達に負けじと薔薇雄も美しく立ち向かう。
「だがここは一つ勝牙通ということで趣向を凝らして、華苦死迎(かくしげい)の一つである煮忍把汚鯉(ににんばおり)で勝敗を決するというのはどうだい?」
煮忍把汚鯉とは、一つの羽織を二人一組となって鍋を突付く芸である。煮えたぎった鍋には鯉の刺身が用意され、菜箸で上手く掴むことが要求される。二人の息が合えば鯉を得るが、ダメならばその腕を熱湯に浸すのみ。特に、後ろになる者には指示を信じひたすら耐え忍ぶことが求められる。一説にはこれが忍者を意味する忍びの語源ともされる。華やかながらも苦しく死を賭したまさに命がけの芸である。
「おお、都合よくあんなところに鯉と羽織と菜箸と煮えたぎった鍋があるじゃないか」
「そういえば俺もこんな話を聞いたことがある。勝牙通にのみ紐解かれるという覇死語典(はしごのり)という禁断の書物があると」
解説
覇死語典とは古今東西のあらゆる失われた言葉(死語)が記されたとされる伝説上の書物である。古代華国の賢人達はこの書物をネタに、立てた梯子の先端から飛び折りて札を奪い逢う命をかけた狩他殺(かるたとり)と呼ばれる勝負を行ったと言われている。
「お、都合よくあんなところに梯子と覇死語典が」
偶然道具が揃っているということで薔薇雄と菊川の提案で華苦死迎大会が始まった。そんな中思い出したようにふと小鉄が座を見回す。
「そういえば雷山さんの姿が見えませんねー」
雷山晃司朗(ea6402)は裏手にある滝に打たれていた。その顔は晴れない。雷山の悩み、それは思いを寄せる女性のこと。想い人は異国の娘であった。
「雷山よ」
「塾長‥‥」
「言わずとも分かっておる」
「お叱りは覚悟の上。塾長殿、お裁きをお願い致します」
沈黙。そして。塾長が踵を返した。
「半人前の身で色恋に浮つく未熟さを猛省すべし! 会場へ戻り、追って沙汰を待てい!」
「押忍!ごっちゃんです!」
その背に垂れた頭で、真一文字に唇を引き結んだその顔を伝って顎から水滴が雫となっている。滝の水は雷山の頭上に身を切る冷たさで降り注いでいた。
「前回は寒さで今回は熱さで御座るか。酷い目にあったで御座るよ」
流れで煮把馬汚鯉をやらされたらしく、久方はマンガ処理で包帯ぐるぐる巻きになっている。
「しかし戴逝災では凍死したままだととうしようかと思ったで御座るな」
言い終えるや否や突如寒風が巻き起こって吹き荒び‥‥‥‥久方歳三、凍死!
「こら久方! 凍死(風邪)くらいで斃れておって塾生が務まるかぁ!」
「と、歳ちゃん感激〜っ!」
鬼髷の怒声と共にタイミングよく熱湯を浴びせられた久方は湯気を上げながらお約束の叫び声を上げた。と今度は鬼髷の後頭部をハリセンが殴打した。
「貴様、伊珪! 上官に向かって‥!」
「無礼講であります教官殿! つーか、俺、死んでねーし!」
いつの間に脱いだのか褌一丁なのになぜかやたら偉そうにしていたりする。
「俺の褌は心意気が違う!褌壱号、塾歌うたいます!」
イントロが流れ出すと紙吹雪が舞い、どこからともなく拍手が巻き起こり塾生達からも歓声が上がる。
「ええと褌弐号、僕も頑張って歌いますー!」
小鉄と更に他の塾生達も続き、塾歌の大合唱が始まった。
「盛り上がってきたー!」
すっかり褌一丁の伊達が感極まって絶叫し、カクカクと珍妙な動きでステップを刻み始めた。
「憤怒死威闘血酔兎拳(ふんどしいっちょうけん)の極意を見せてやるぜー!!」
解説
憤怒死威闘血酔兎拳とは、褌一丁になる事で全身の神経を研ぎ澄まし‥‥(略)‥‥な闘法である!
「説明短っ!」
まあ、その略の間にいろいろ、本当にいろいろあったらしく。歯形のついた嵐が荒い息で肩を上下させるその足元には銀雪と伊珪が互いに頭をぶつけて転がっている。その横ではぴょんぴょん飛びながら小鉄が一人で龍飛翔を繰り返していて、大の字になった伊達は豪快にいびきをかいて爆睡している。あと嬉しそうな顔で気絶している久方は何があったのか褌を締めてない。
「ふっ、私はどんなことをしていても美しい‥‥。おや、先輩方、あまりの美しさに嫉妬されてはいけませんよ」
その様を横目に薔薇雄が自分を肴に杯を傾けていて、一方の菊川は何があったのか桶一杯にたわし満載で酔い潰れている。
「よぉし!完食!!」
雄瀬血を平らげた物部が茣蓙に体を投げ出した。惨面拳と張り合って黙々と料理と格闘していたその腹はぱんぱんに膨れ上がっている。
(ついで展開も省略)
「でも無礼講ですしねっ!」
小鉄が無邪気に笑い、思い出しように毅業院岳を振り返った。
「あ、毅業院先輩も淋しがってるかもしれませんね、通訳しますー! えーと‥‥儂も仲間に入りたい? そりゃー大先輩ですし上座にお願いしたいところですけど無理ですし?」
それに続いて伊珪が遠く毅業院岳に向けて声を張り上げる。
「押忍!新年明けましておめでとうございます! 毅業院、今年こそぶっ倒す!!」
ゴゴゴゴゴ‥‥
「な、なんだこの地鳴りは!」
「毅業院先輩がお年玉をくれるっていってるですー!」
突如雷鳴が轟いたかと思うと‥‥
「あれは‥‥みんな散らばれー!」
毅業院岳は火炎を吹き上げた! それと同時に飛び出したのは火山弾!! 菊川の指示ですぐさま塾生は一斉に散開するが、それは頭上を越えて遠く北へ向かって飛んで行った。
「毅業院の奴め‥‥よりにもよってあの種目を選びおったか」
「塾長!」
その険しい表情を察して塾生が見守る中、塾長は重い口を開いた。
「これより三災尽死の最後を飾る戴逝災・悟吾の部を執り行う!」
パチンを指を鳴らすと、塾長の傍らでめくりが開かれ、そこには「雄々大魔転死(おおだまころがし)」の文字が。
「それは彼方へ飛んだ雄闘死大魔(おとしだま)を追い、この校庭まで転がして戻るという過酷な教練である。だが既に戦勝祈願は済んでおる。見事成し遂げて見せい!」
「押忍!」
「そして雷山よ、真に侠たることを証明し堂々と妻を娶るがよい!」
「押忍。ごっちゃんです塾長殿」
いよいよ義侠塾生は三災尽死最後の試練にに赴く。戦いを終え、果たして何人の塾生が生きて再びこの校庭に戻ってこれるのだろうか。
「待ち受けるのがどんな戦いだろうと俺達は勝たねばならない。いや、勝つ。その為の前祝も済ませたことだしな」
「ふっ‥‥何にしても楽しそうだね」
「新年、今年も欲するは、我等が勝利。精進だな」
「俄然燃えてきたぜ! こうしちゃいられねえ!」
勢い余って伊達が駆け出し、それに塾生達が続く。
「そういえば」
と思い出したように物部。
「誰も言わないからアレで普通なんだと思ってたんだが‥‥塾生に混じってさりげなく酌とか配膳とかしてた黒子は何だったんだ?」
『押忍!』
と無言でポーズを決めたのは、仲間達の背を見送りながら袖に控えた黒装束の侠。用意してあっためくりには――。
『裏方組所属の任侠、陰山黒子(eb0568)と申しやす。居並ぶ兄さん方には宜しくご指導賜りたく存じておりやす!』
――は、置いといて。更にめくりを進めると。
『かくして遂に毅業院岳三災尽死の最終試練の幕が開いた。彼らを待ち受ける新たなる試練、雄々大魔転死とは!』
ちなみに陰山、薀蓄の解説ボードを掲げてみたり破是路!の掛け声で宙を飛んで流宇列斗(るぅれっと)に突き刺さったりと、注意してみれば本リプレイ中では少なくとも十一箇所でこっそり活躍している。其処に居ない人間、それが彼の目標なのである。そのキャラの濃さ故に世間の目はそれを許してくれない‥‥はずが、今回は周りが十分濃かったようだ。
でででででで、でん。
どこからか鼓の音がし、気を取り直して陰山がめくりを進める。
『一時閉幕、そして舞台は北へ――』
ででん!!
『次号「轟!義侠塾!!〜雄々大魔転死〜」、乞うご期待!』