●リプレイ本文
『さて、今回の教練の災殺闘句でやすが、まずはこの陰山黒子(eb0568)がご説明させて頂きやす。字数先輩が見せてくれた目でやすね』
【お題】カチコミにいってドタマかち割った話
『略して‥‥カチ割りッ!!』
用意してきた巻物を取り出しながら黒子頭巾の奥で陰山が怪しく笑う。
『‥‥カチコミといえば、我等裏方組でやすねぇ‥‥』
あっしが所属する裏方組は最近とある依頼を請けやした。冴えない冒険者を一人前のモテモテ冒険者にする――。その冒険者に出会った瞬間、正直、体中に稲妻が奔りやした。うん。この人すっげーダサイ。間違いない。
組全体の意思は決まりやした。
『野郎ども! カチコミじゃあ〜〜〜〜ッ!!』
揚がる鬨の声。
そして演出の始まりでやす。
専門家が付きっ切りでの個人指導。あっしも体力面での指導を行い、依頼人もめきめきと力をつけていったもんでやす。全てが終わった頃には、一人前の侠の顔をしておりやした。
ドタマ‥でやすか? 芸技の道はそれは厳しいものでやす。あっしの厳しい特訓のせいで依頼人のドタマがカチ割られ‥‥なんてことも、ありやしたねえ(ニヤソ)。
カチ割りッ!→ クリア!
『とまあこんな風にやるのが義侠塾風でやす』
陰山のレクチャーを済ませて、という訳でさっそくほい。早速、久方歳三(ea6381)が転がした所‥‥。
【お題】愛の話
「拙者が知っているのは哀血灸吐苦の話でござる」
哀血灸吐苦(あいちきゅうはく)というと、守り神の一人として護丹(○もたん)がここ地元では知られているでござる。拙者の話すのはその斬殺(き○ころ)とその飼い象守象(も○ぞう)の事でござるな。‥‥愛知において、種族の愛を乗り越えた二人は‥
しゅーりょー!
カンカンと鐘が鳴り、久方を字数先輩の容赦ない攻撃が襲う。杜掌拳秘奥義、死期厳禁(しごげんきん)! 剃刀入りの本が久方を切り刻む。どうでもいいが、あの万博の名称はやぱり愛・知を強調しているのだろうか。
「歳ちゃん感激〜っ!」
→ フリダシに戻る
という訳で最初からやり直し。
「この災殺闘句、警戒すべきは主とも言うべき禍根(かね)だな」
今回から筆頭に就任した嵐真也(ea0561)は何かを知っているようだ。
「話し手があまりにも下ない話をした時に、その恐怖は訪れる。闇の中、甲高い唸りを上げながら話し手を闇の中葬り去ると言う。恐ろしい」
小さく身震いした嵐の横で誰かの高笑い。
「久しぶりだな、学友よ。はっはっは」
天現寺礼(ea9915)だ。おっこらせと災殺に手を掛けて。
「って天現寺、話はまだ途中――」
「とぅ!」
ごろごろ。
「情けない話とな。‥‥何、違う?『情け容赦無い話』? ふむ、ではだな‥‥」
(中略)
「‥‥むぅ。たくさん話したはずなのに、全く話していない気がするぞ。まさか、字数制(略)先輩の秘技の1つ、『手羅鱗』か? いや、それとも『吏定苦』か!? なるほど、流石災殺闘句。一筋縄では行かぬと言う訳か!」
「言わんこっちゃない。禍根の脅威を退ける為のまじない、『護鬼幻耀(ごきげんよう)』を忘れてはいかんな。うむ」
「そんな古い様式を知っているとは、流石だな嵐」
風羽真(ea0270)が災殺に手を掛ける。唱えるのは古式に則ったお題目。
「何が出るかな 何が出るかな‥‥」
【お題】必殺技誕生秘話
「‥‥ふむ、俺の代名詞とも言えるあの技について語るとするか‥」
普段は用心棒として糊口を凌いでる俺だが、仕事柄揉め事は茶飯事だ。或る道場に厄介になっていた時だ。別の道場の連中が殴り込みを掛けて来やがった。敵の手勢はこちらの倍。気が付いた時には、残ってるのは俺とそこの道場の師範だけだった。
流石の俺も思ったよ。‥こりゃ、袋叩きの目にあうな、と。その時だ。師範が俺に聞いてくるんだ。「昨夜の話を憶えているか?」。ちょうど前の晩のことだ。師範と酒を酌み交わしていた際に、古今東西の武術に詳しい師範から『挑転自護魔』の事を話に聞いていた訳だ。そして敵に取り囲まれたこの状況。これはもう、やるしかないよなあ?
だが話に聞いていただけで満足にやれる程、あの技は簡単じゃない。回転を維持するのが想像以上に辛くて足元がおぼつかねぇ。足を滑らせた俺を目掛けて敵が上段に構えた真剣を振り下ろす。俺は無我夢中で体勢を立て直そうと床を蹴った。そしたらこれが巧い具合に敵を迎撃しちまったんだ。あの手応えは今も忘れてねぇ。
そう。これが『挑転自主彬』が誕生したその時な訳だ。
必殺技誕生秘話→ クリア!
「次、伊珪小弥太(ea0452)いくぜっ!」
トレードマークのレースの褌を締め直し、愛用の六尺棒で災殺を底から突き上げると。
「何が出るかな 何が出るかな‥‥」
【お題】コイバナ
「‥‥‥ち、仕方ねぇ。俺も義侠塾壱号生一の正直者、話してやっから耳の穴かっぽじってよく聞けや」
出会い、それは突然だった。
だいたい一年くらい前の武闘大会になるか、俺の目の前にカミサマが現れた。って、少しも大袈裟じゃねえぜ? そんくらい衝撃的で流石の俺も声を失った。すぐにお互いふぉーりんらぶだ。
ああいうのを綺麗っつーんだろうな(ぽ)。夜空の星を落としたつぶらな瞳、ちょっと長い鼻梁が愛嬌をかもしだし、引き絞られた流れる肢体、きゅっとしまった足首、棚引く美しい白銀の毛が俺の心を鷲掴みだ。俺を呼ぶ時に甘えた声でひひーんと‥‥
んあ?相手? 俺の相棒、駿馬の「ぴゅんぴゅん丸」だ。
コイバナ→クリア?
「うるせー! 人間のオンナなんて義侠塾でどうやってオシリアイになるんだっつーの!」
だばー、と泣きながら拳を突き上げる伊珪。これには塾友達も同じく涙しながら頷くしかなかった。
「てか誰が災殺にコイバナなんて入れやがったんだドチクショー」
ハリセン振り回しながら泣きダッシュ。
「伊珪殿、待つでござるよ。そっちは‥‥」
伊珪の背中が通路の先に消える。悲鳴が聞こえ、それきり静かになった。徐に天現寺が口を開く。
「矢張りそうか‥‥。災殺を使用した試練は災殺闘句だけに非ず! おそらく我らを待ち受けるは第二の試練、その名も主護麓(すごろく)」
かつて華国のある策士が山麓を望む城を築いた。これを攻める敵は様々な拳法の奥義を尽くして山を登ろうとしたが神の知略により悉く一網打尽にされたという。
「無論、杜掌拳の達人たる先輩が知らぬはずが無い、おそらくこの屠処室にも仕込んであるに違い有るまい」
義侠塾一の知者を自負する天現寺が来歴を紐解く。例えば、「三升喪怒流」と書いてある床。これを踏むと突然三つの升が飛んで来て、それを回避しようとすると必ず三歩後ずさってしまう。
「一番危険なのは拙者の足下にあるような『不離山車煮喪怒流』と言う奴で、踏むとフリダシへと連行されてって今回拙者こんな役ばかりかあああぁぁぁぁ」
光の速さで天現寺が閉禍の彼方へと連れ去られた。それを災殺の陰に隠れてやり過ごしていた菊川響(ea0639)が顔を出す。
「そうは言っても武勇伝など持ち合わせがないが‥‥」
【お題】死超者からの破牙器
陰山が差し出した手紙を手に取り、菊川が読み上げる。
「それでは武蔵国PN地獄極楽丸さんからのシフール便。字数制(略)先輩の略された名前の話」
略して、略。
「聞いたことがある。その本名の長さゆえに出席確認ではいつもじゅげむと呼ばれていた男の話を。一度教官が本名の点呼を試み、彼一人を呼ぶためにその日の教練は潰れたという‥‥その彼の本名とは字数制うわーなにをするおまえらー」
暗転。
「はっ! 菊川殿!!」
既に彼の姿は見えなかった。変わりに鴨の人形がぽつんと残されている。
「何とも恐ろしい試練であるな‥‥」
凪里麟太朗(ea2406)が鴨の頭を叩くと人形が「クワッ」と鳴く。ここまでで早くも三名脱落、恐るべきは字数(略)先輩である。続いて虎杖薔薇雄(ea3865)が災殺へしなだれかかる。
「ふっ、まさか災殺闘句をしなければいけないなんてね‥‥少々驚いてしまったよ」
【お題】苦しかった話
略して、せーの。
「美し――」
気を取り直して。
「あれは以前にここ名古屋を訪れたときの話。魔雲天(まうんてん)という名の茶屋を訪れたときのこと。あの日も私は美しかった‥‥」
何故その茶屋をわざわざ訪れたかというと、色々と曰くつきの茶屋だったから。そして、薔薇雄が何にも負けない美しき茶恋塵愚酢辛屠(ちゃれんじんぐすぴりっと)の持ち主だからだ。
「奇遇だな虎杖君。私も聞いたことがある」
そこへ凪里も重ねて己の体験談をを語り始めた。ここ名古屋は、志士一番の権力者と呼んでももよい京都守護職の平織殿のお膝元である。そのため志士の修業場にも富んでいる。
「その中でも最も過酷と言われる『喫茶山』での死闘を語ろう。数多の益荒男が遭難した山岳だ」
師匠より単独登頂を命じられ私は『喫茶山』へ赴いた。いかにも、茶屋・魔雲天が軒を構える峠道はこの喫茶山にある。そこには二派の武道家集団が待ち構えていた。抹茶小倉守派(まっちゃおぐらすぱ)は、拿摩駒履威武(なまくりいむ)という名の鎧を纏い、オーグラを率いて敵を圧倒する。罵菜奈守派(ばななすぱ)もやはり駒履威武を纏い、こちらは貯琥嶺刀(ちょこれいとう)や罵菜奈と呼ばれる得物を武器に闘う。凪里と二派の戦いは数時間にも及び、熾烈を極めた。
「‥‥一番の強豪である畏致御守派(いちごすぱ)が冬の遠征により留守でなかったら、私も遭難の骸に加わっていただろう」
身震いする凪里。だがその横で薔薇雄は自らの肩を掻き抱いてわなわなと震えている。
「私はその、畏致御守派を相手に死闘を演じたのだよ‥‥」
畏致御守派とは残る二派の食を賄う者達である。彼らの繰り出した想像を絶するおぞましい料理を前に薔薇雄は驚愕した。あまりの凄まじさ、そしてそれでもこれを作る職人魂の気高き美しさに。薔薇雄もその美しき魂に触発され、出された品へ箸を入れたのだ。
『アンマァエアウエァ〜!』
薔薇雄は叫んだ。そう、それでも食べたのだ! 胸焼けを起こして、むせるあまり鼻から噴出しながら!
「さしもの私もボロボロだったが、美しく完食して見せた‥鼻から薔薇色に甘く熟れた迸り(苺邪夢)を垂れ流す私もまた、美しい‥‥」
苦しかった話→ 正直苦しかった。
「次は私の番だな」
代わって今度は雷山晃司朗(ea6402)が災殺を持ち上げ、力の限りに放り投げる。
【お題】新婚生活の苦労話
「なるほど、いつも以上に知恵を絞らねばならぬ修練であるな。皆に祝福され塾長にも逸早く次代の日本男児や大和撫子をと約束したからには、この場を借りて報告するのもよいだろう」
思えば、私とラティの新婚生活はかなりの苦難の連続であったな。いや、家事関係は別に差し支えなかったのだが‥‥その、あれだ。伽だけはどうしようもなく困難な道程であった。それはもう、義侠塾の修練に勝るとも劣らぬ苦しい道行であった。そもそもラティは私との婚姻のときまで純潔を保っていた乙女。まさに白無垢。だからこそ特に初夜のことと言ったら、それはもう語るに尽くせぬ‥‥
かんかんかーん。
しゅーりょー!
だが禍根にも負けず話を続ける雷山。聞く者が砂を吐き、鼻血を迸らせ、嫉妬の涙を溢れさせるような大層あま〜い話が続き、それとともに一行は揃って屠処室の彼方へと連れ去られた。
→ フリダシに戻る
「当面の問題は隣近所へどうにかしてご迷惑をおかけしないように励むか‥‥まあ、私の最近の武勇伝というか苦闘話はこれくらいだ」
漸く話し終えた雷山が満足げに頷いた頃には、一行は再び屠処室の入り口にいた。
「ええい、めげていても始まらん。気を取り直して進むぞ!」
嵐筆頭が号令し、壱号生は再び死処室を目指す!
「気を抜くな、金のシャチホコ(=アドゥール)は手強いぞ」
『受けよッ! 襲愕虜皇・恥病覇羅剣!!』
「鯖刻、お前の死を無駄にはしねえぜ!」
「仲間の死を乗り越える私も美しい‥‥」
「クワッ!」
『馬鹿な、奥義・災殺苦辣射が通用しない!?』
「BUT、だが、しかし! 我等の前に道はなし、我等征く後に道はあるのだ!」
「いでよ護丹、力を貸してくれでござるよーー!」
「みんな! 聖戦・琥魅卦の戦利品はすぐそこだ!」
「ホー‥ホケキョ!」
「こうなることは、我が天現寺流秘奥義、不応乃律痔で既に予測済みだ!」
「食らえ、災殺返し!!」
「ひ、久方殿ォォォオオオ!」
(字数制限により大幅に割愛)
とまあ、そんなハイライトシーンは置いといて。嵐がマイペースに災殺へ手を掛ける。
【お題】初めて死にそうになった話
「略して『はじしに』か‥‥」
そうだな‥‥俺が仏門に入り、修行を始めて間もなくの頃だったか。まあ、その、何だ。あまり真面目に修行に取り組んでいたとは言えん訳だあの頃は。ある日、肝試しでもやろうという事になってな。でだ‥‥出た訳だな、腐乱死体がさ。
あれには参った。今なら兎も角、あの当時は対処しようもなかったからな。そこに、先輩の僧がその法力であっという間に木っ端微塵にしてしまった。俺は、あの時初めて仏の加護を信じるようになったね。思うに、人は死に近い体験を経ることにより初めて仏の‥‥
(以下やば気なので削除)
「ところがこの話、落ちがあって、その死体は先輩が作った不死人だったとか。当然、報復として、密告。その先輩は破門となったそうな」
何と恐ろしい試練だっただろうか。そう懐述し、嵐は最後にこう結んだ。
「だが、まだ止まるわけにはいかん、そう言う事だ」
「流石は壱号生、あの総代を下しただけはあるということか‥‥」
気がつくとボロボロの字数(略)先輩が本棚にもたれて荒い息をついている。
「ふっ‥‥貴様らには負けたよ‥」
「え?何? もう終わり!?」
そこへ陰山が駆け寄ると嵐へ向けてメクリを進める。
『もう字数もないことでやすし、何か一言お願いしやす筆頭殿』
「な、急に話を振られてもだな、その準備というかその」
『これもまた筆頭の仕事でやす、この場面に割けるの残り71字でやすね』
「って、ちょっと待て。そもそも黒の仏教の教えに寄れば――」
『残り33文字』
「ええとその、筆頭に就任したからには不退転の覚悟でよりいっそうの‥‥」
しゅーりょー!
***襲愕虜皇の死嗚裏(しおり)***
■襲愕虜皇の死嗚裏〜見学施設では静かに行動しましょう。→ 予想通りぐだぐだ
カンカンカンカンカン、カーンカーンカーン!
高らかに鐘を突いた陰山がばばっとメクリを捲る。
『轟!義侠塾!!〜襲愕虜皇〜 次回、大阪会場に殴りこみやでしかし!』
惨面拳・鯖刻狂、死亡確認
菊川響、行方不明
→TO BE CONTINUED...