【脚】
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■シリーズシナリオ
担当:小沢田コミアキ
対応レベル:7〜11lv
難易度:やや難
成功報酬:2 G 48 C
参加人数:8人
サポート参加人数:1人
冒険期間:12月17日〜12月20日
リプレイ公開日:2005年12月25日
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●オープニング
もはや調べられることは出尽くした観がある。冒険者達は至極不本意ながらもこの事件を人智の及ばぬ不可思議な力による怨霊騒動とせざるを得なかった。犯人は将門の怨霊。まさか幽霊を捕まえる訳にもいかない。となれば、残された手立ては如何にしてこの殺しをやめさせるか、である。怨霊将門の真意は人の身には計りかねるが、動機は強い怨念。それが何に向けられた恨みなのかは分からないが、それを鎮めることが出来れば、或いは――。
「認めることには強い抵抗があるんだが」
そう前置きすると冒険者の一人は語り始めた。
「この事件の元凶は怨霊将門。将門の強い怨念が夢を介して生者を引きずりこんでいる。そこは将門の記憶の中とでもいうか、史実に語られているのとはまったく別の将門の乱とでもいうか‥‥」
「―――夢の中に『世界』があると?」
「そう、まさにそれだ」
「やれやれ。こりゃあ、とてもギルドには報告できねェなあ?」
「およそ信じ難いがひとまず話を進めるとして。それで、どうやって事件を解決に導くつもりかな?」
「将門の夢の中に潜り込んで、俺達が事件を解決する」
些細な偶然からといえ、冒険者の調査は将門の夢の片鱗を掴んだ。その事実を知った一人が再び将門の夢から目覚めたとき、ほんの微かな印象ではあったが夢の記憶を留めることができた。ひょっとすると、その逆もあり得るのでは‥‥? 夢世界があるという認識で夢から記憶を持ち込めだように、今度は夢世界があるという認識を夢の中へ持ち込むのだ。
「決まりだな。売られた喧嘩だ、ならば土足でその場所へかちこみするのが礼儀ってものじゃないか?」
仲間の一人がニヤリと笑う。
将門の最後は五体に引き裂かれるという尋常ならざる末期。いったいどうやって死んだのか。誰に殺されたのか。そこに事件解決の鍵があるはずだ。
「やるしかあるまい。或いは、将門の夢へ干渉することで将門の末期を我らで変えることもできるやもしれんな。不退転、前進あるのみだ」
「これまでいろんな冒険をしてきましたけど、まさか夢の中にまで行くなんて思いませんでした」
これが成功すれば、おそらく
もっとも、そんな話など誰も信じはしないだろうが。
「いざ、将門の夢世界へ」
‥‥‥。
‥‥‥‥‥‥。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
その身は刀をき、鎧をその体に纏っていた。ざわめきは戦場の音だ。尾を引くホラ貝。怒号、鬨の声。地を揺るがす馬蹄の響き、雄叫びと悲鳴。熱い空気がこみ上げて天を突くように、幾千の怨嗟のざわめきが群れを成して鬨を待っている。
「こ、ここは‥‥」
一面には雪景色。無数の人馬がひしめくそこは。
「ホントにあったんですね‥夢の中の世界が‥‥」
神聖暦864年師走。
将門軍は最後の時を間近にして、いままさに将門の乱を戦っているさなかであった。新皇将門とその剣の下に集った諸将は間違いなくこの日ノ本における至強の軍。だが歴史は、逆賊としての悲惨な末路をその先に用意している。将門は討伐軍の悉くを撃破するも、あるとき奥州の地にてわずか一晩にて壊滅的な敗戦を喫し、討死したとされる。
破滅へ向け、刻は加速する。
「日ノ本の戦国の世の始まりよ! つわものどもよ、今はその激情を内に抑えよ。その心胆に恨みを刻み、北へ逃れて牙を研ぐべし! その時こそを我らの覇業の起こりぞ。これより、将門は奥州を目指す!」
一方、冒険者ギルド。
「何だ、まだ事件は解決せんのか」
現れた冒険者を見るなり番頭は肩を竦めて返した。
「これだけ長引いて碌な証拠も出せぬようならば、残念だがこの件はお蔵入りかも知れぬな」
「こればっかりはなぁ。相手が悪いとでもいうか」
「だが無辜の民が死んだのだろう? 義憤に駆られて
「俺が今のところ一番守りたいのは依頼人の名誉で、次に事件の解決、どん尻最下位で民草の命ってところかね」
「やれやれ。常から命のやり取りなどをする商売だ、たまには善行も積んでおいてもよかろうに。気分転換にこんな依頼はどうだ」
番頭が取り出したのは冒険者ギルドによる江戸復興基金の運用案を作成する依頼だ。
「大火で寛永寺が焼けたのは知っているか? その復興に基金の一部を利用しようという話があってな」
基金はギルドが主導して行い、既に千両近くの額が集りつつあるらしい。だがまだ具体的な運用の計画は定まっておらず、その都度ギルドが依頼して様々な事業の中から何にどれだけの額を充てるかを検討することになっているらしい。
「どうせ暇なのだろう? たまにはこういう依頼でもやってみたらどうだ?」
●リプレイ本文
行き先が夢の中などという仕事を体験する冒険者はおよそ彼等が初めてだろう。これまでの調査もオカルトに傾倒していたのは否めないがここまで来るともう笑うしかない。それでも嵐真也(ea0561)はいつもの生真面目な顔のままで事も無げに口にする。
「さて、いよいよ雲を掴むような話になってきたな。まあ、掴めば良いだけだな」
皆ここまで根気よく手探りの捜査を続けて来た仲間だ。聰暁竜(eb2413)の決意も固い。
「まるで馬鹿げた試みだとは思うが、挑戦する価値はある」
ただ無意識に夢を彷徨うのでなく、自覚を持って事へ臨む。その認識の落差で話は違ってくる筈。提案者の飛鳥祐之心(ea4492)が皆に心構えを語って聞かせる。
「何処まで意識を持ち込めるかだな‥‥」
既に何度か夢と現を行き来した飛鳥だが、それでもまだ殆どは手探りだ。どんな危険が待ち受けるか分からないが、風斬乱(ea7394)はいつもの不敵な笑みを絶やさない。
「夢の中に行けばあいつに会える‥‥ならば、迷うことはない」
ただ強くありたい。その先に将門が待つのなら、ただ彼と刀を合わせるだけ。
「夢の中の出来事はこちらにも影響がある、死ぬなよ?」
それぞれの思いを胸に冒険者達は将門の呪いの夢へとこれより乗り込む。
双眸を閉じ。
そして夢の中へ。
風斬が気がつくと、そこは夜陣のさなかだった。満身創痍。腰には無銘の黒刀。体は重く、降り頻る雪は全身を冷たく苛む。
「風斬殿、将門様が闇鳩はどこかと先からお探しです」
兵卒の言葉から察するにここでは『闇鳩』の二つ名で風斬は呼ばれているらしい。他の仲間の姿は見えない。だがおそらくこの将門軍の何処かに『居る』筈だ。
風羽真(ea0270)は馬廻り衆の中に自分を見出していた。
(「話だけ聞いてりゃ眉唾モンだと思ってたが、実際に目の当たりにするとよっぽど信じ難いもんだねえ?」)
真は、風羽刃という名でこの将門の乱に存在するらしい。富士大噴火での月道封鎖の前に日ノ本へ渡っていた欧州帰りの猛者として従軍しているようだ。将門直属の護衛軍である一人という立場のようだ。
(「好都合だな。将門の護衛なら常に行動を共にしても怪しまれない。その死の謎に迫り、かつ記録に残すには絶好の立ち居地か‥」)
同じ頃、黒崎流(eb0833)も黒崎直衛としての自分を認識していた。
(「なるほど、概ねの所は見えてきた、かな」)
ここでの流は四天王玄明の腹心であり、彼に並んで一千の騎馬兵を率いる一軍の将だ。とはいえ黒崎流としての自意識がどこまで持つか分からない。
(「用心はしておくべきだろうね。飛鳥殿‥‥いや、日高殿は首尾よく動いてるだろうか」)
話に聞いた所では飛鳥のこの世界の姿である日高雄之真とは巫女ミズクの軍に所属する将の一人。彼もまた流に同じく忍びを囲っている。飛鳥は既に行動に移っていた。飛鳥は子飼いの忍びにある密名を下していた。
「もしも志し半ばに我らが斃れたときは、この乱の真実を後世に残す必要がある。これはその重要な任務。磨いた技を存分に出し切り、何があっても成し遂げること。いいな?」
将門様の今までの行動、そして軍の全容を記録に残し、後世まで守り抜く。
「そして神聖暦一千年になって将門の事を調べるものが居たら、その正しき歴史を伝えて欲しい」
「‥‥神聖暦一千年‥‥?‥」
「この任務に関しては俺から告げるまで聞き返す事を禁じる。以上だ」
そこまで告げると忍びは音もなく散った。飛鳥は胸を撫で下ろす。
(「‥‥ここまでは意識が持ったか。まだいけるか‥‥? それなら‥」)
一方、現実の世界。
ギルドを訪れていた加藤武政(ea0914)は持ちかけられた依頼を前に思案中だ。
「プロ意識が高いといってもらいたいの〜、け、聖人しかギルドにはいらないってか」
「まあそういじけて見せるな。それよりどうだ、受けるのか?」
番頭に覗き込まれて加藤は観念したようにこう答えた。
「嫌みに心が傷ついたし、息抜きついでに募金運用活動にでも精を出してみるかなー」
「そうか、それは助かるな」
「ん〜、結局さあ、人間仕事やってないと不安になるからな」
募金箱へ懐から数両入れると、小さく肩を竦めて。
「国やギルドで目が利く仕事場に人を集めておかないと、弱みにつけ込んでろくでもない仕事をさせようとする輩もでるし」
「確かに冒険者も破落戸と変わらぬような者もいるしな。中立を標榜するとはいえ、そういう役目を引き受けているのも事実。難しい所だ」
それに答える代わりに、加藤は依頼書を引っ掴むとギルドを後にする。
嵐もこの江戸で動いていた。目的は同じく寛永寺。復興活動は江戸全体で思うように進んでいないようだが、寺社などを拠点に被災者の救援を行おうという動きもある。それに寛永寺の復興が絡めないかと嵐は考えていた。
現地で被災者を慰問して回って分かったことがある。今必要なのは何をおいても食料と住環境の確保。余りの被害の大きさに源徳の対応も追いついていないのが現状だ。嵐自身、仏門に帰依した者としてこの窮状を容易には見捨てられぬ気持ちでいる。
「俺も色々と迷っていると言う事だな。精進が足りんか」
事件を解決するために将門の御霊を鎮める儀式を執り行えないかち嵐は考えていた。それなら僧侶としての力を活かせるかも知れない。問題は朝敵である将門を祀ることが許されるのかということだが。
そもそも古来は「悪」という字は、純粋に強さを表す文字であった。悪名も紙一重。御霊として祀るのであれば、強大な悪霊も霊威において評価される。死して鬼となり世に災いを成す存在であれば、その力を利用するために鎮めることはある。
「やはり将門を祀って事件を鎮めることはできるやも知れんな」
その考えは加藤もまた同じであった。
「問題は金なんだよなー。いま集ってる基金が千とちょっとだろ」
用途は被災者の救援が優先されるだろうから、寛永寺復興に回せる額はせいぜい2.3百両がいいとこだ。大寺院の復興は千単位でなければ数にならない。間を埋めるには策しかない。
「修繕事業で人足を雇いあげれば雇用が生まれるから、施しではないスタイルでの援助にはできる。被災者の自立には復興っていうお題目が一等分かりやすい。だけど将門の件をねじ込む説得力にもう一味欲しいんだよな、何かないか、値千金の策は」
再び夢の中へ場面を戻す。
聰は華国渡りの拳士として軍中に存在している。それとなく兵士から聞き出した所、軍は奥州平泉への途上にあるようだ。
(「身体に違和感はない。ここでの肉体もよく鍛え上げられているな」)
軽く肩をなぞって見ても現実と大差ない動きができる。装備品は見当たらないが、左腕に巻いた包帯はこちらでも身に着けている。或いは持ち込む意思があれば行き来できるかもしれない。
(「確かにここには世界がある。過去か夢か。そこは些細な問題だ。いずれも現実では『思い出す』ことしか出来ぬ点では同じ」)
現在の将門陣営で力を持っているのは、四天王の藤原玄明。そして参謀の興世王。そして巫女ながら千里眼の能力で将門を支えるミズク。この三人が重鎮。そして女性と見紛う紅顔の美青年、姫将の二つ名を持つ火乃瀬紅葉。玄明旗下の出で今は一千の軍を任される智勇両道の将、黒崎直衛。この二人の新鋭が続く。
この将門の乱で頭角を現したのはミズク、姫将、直衛の三人。直衛は風貌から間違いなく流と分かる。姫将は武門の出、対してミズクは東国の巫女だったというが出自は定かならない。
(「姫将とミズクか―――」)
この世界は現実と結びついている。ならば冒険者達には歴史の改竄すら出来うる可能性があるということ。それは即ち、彼らに出来る以上は、他の誰でも条件さえ満たせば成し得るということ。聰の調べた条件、これに該当する者は同じような方法でこの世界に来た者である『可能性がある』。
ミズクの下へは少し前に飛鳥が訪ねて行っている。
「金山城での予言ですが、やはり」
「ええ。奥州では新皇様に災いが降りかかるでしょう」
ミズクには真実を見通す不思議な力が備わっていた。聰は外から様子を窺っていたが、ミズクの力は底が見えぬものがある。
(「余り近づきすぎると感づかれかねないか。―――要注意だな」)
一方、流は玄明と接触を持っていた。
「秀郷様が万が一、新皇様を謀り討とうとしたなら如何される」
「お前、そんなこと考えてやがったのか」
流の問いに玄明は珍しく苦笑を見せた。
「相変わらず苦労性だな、直衛。ンなこと考えてもしょうがねェよ。俺は将門の兄貴が戦えってったら戦うし、それに従うだけだ」
直衛としての己を自覚する流は知っている。それは自分や他の仲間達を信頼するが故の言葉であることを。歴史の先を知るりながら流は今動く訳にはいかない。末路を知る者として出来ることは一つ。覚悟を持つことだけ。
「その時、我々は敵の裏の裏を掻き動かねばならぬでしょう」
「分ーった。そンときゃお前に命を預けとくぜ。その刻だと思ったら遠慮なく俺の命で駆け引きを打て。直衛、今でもお前は俺にとっちゃ副官だ」
夜は更け行く。
帷幕に呼び出された嵐は将門と杯をかわしていた。
「闇鳩嵐よ、金山では見事な戦いぶりであったな」
将門の親しげな話し振りから、『闇鳩』は将門と親交を結んでいるようだ。
(「夢の中の俺が、いや一人の武士が友と認めた男か。ならば、俺は奴を助けることを厭わない」)
瞳を見ればその気高き心が窺える。将門の抱く強い想いも。
イリス・ファングオール(ea4889)はこの世界では異人の癒してとして従軍している。
将門の手当てをしながらふとこう尋ねた。
「この国の王様になって‥‥それから、どうしたかったんですか?」
「朝廷にもはや力なし。百年か、或いは二百年か。必ずや権威は失墜し、列島で臥龍たちが首をもたげよう」
治世に飼い慣らされた龍達が相食めば、それは数百年の大乱となる。西海、東海、東山‥‥王城の力が弱まれば都の外に群雄は蠢動するだろう。
「ならばこの将門が日ノ本を平らげ、揺るがぬ千年の世を築く。旧き物を打ち捨て、新しき文物を興す。それは新たな千年紀の開闢となろう」
夢を語る将門の眼差しは遠く、新たな都を眺めているかのようだ。イリスもその同じ風景を目にしようとするように目を細めた。
(「思いが叶うと良いですね‥‥とは、言えないですけど‥」)
「私も一緒に頑張りますね」
この先の悲しい結末を知ってしまってはいるけれど、せめてもの笑顔で。
「私にできることはこれくらいしかないですけど‥‥」
胸の前で腕を組むと、唇から洩れるはこの国の素朴な子守唄。鈴のような声が夜に染み渡っていく。
天に昇れば 星の数
‥星のひとつも かけがえの無い‥
ふと風斬が問い掛ける。
「思えばこの軍には国や身分、果ては男女の別を問わず多くの才が集っているな。綺羅星の如くそれらを集めて競わせ、将門殿、あんたは何を目指す?」
「言わずと知れたことよ。ただ、覇道と。闇鳩よ、ならばお前は何故にこの将門の天の下に従う」
「死なせたくない男がいる‥‥俺が背を貸す理由にこれ以上の言葉はいらぬだろう?」
そんなことも分からぬのかとばかりに風斬は苦笑して見せた。
「言っただろう?」
そこで不意に。
「俺はあんたの剣となると」
二つの意識が重なる。
乱と嵐。二つの気高き魂。そして乱の意識が剥離する。
(「たとえ記憶を無くそうと‥‥」)
たとえ、歴史に真実が埋もれようとも。魂に深く刻まれる思いがある。
どんなに月日が流れたとしても。
(「俺は‥将門殿、俺はあんたの友でいたい‥‥‥」)
次に気づいたとき、風斬は目覚めを迎えていた。既に聰らは目覚めている。
「気がついたか。無事で何よりだ。おおよその時間間隔も肌で覚えられた。動くなら次だな」
皆それぞれに手応えを得て現実へと戻ってきた。真は目覚めての素直な感想を口にする。
「現に体験した以上、これは平将門の怨霊による超常現象以外の何物でもねえな」
では何故その様なことが起こったのか?
「あくまで憶測だと前置きしておく」
一連の事件や事象は神剣争奪の騒ぎと時期が重なる。草薙の剣と何かの因果関係があるとは考えられないか。
「巷じゃ、狐が京の神剣を奪うだのって話も出てる。一時は神剣の主でもあった将門の霊がそれに対抗しようとしても可笑しくはないかもな? だが将門は肉を持たぬ御霊。たとえば嘗ての配下達の転生した霊をかき集めようとしてる、とかな」
そこへ不意に加藤が顔を出した。
「よく考えてみれば、将門が死んだのは奥州なんだから奥州人が将門には一番詳しいか。狐と奥州は組んでるのか? やるなー」
「ふむ。なるほどな。仮に狐が奥州と手を組んだなら将門にとっては仇敵と見做し得るともいえるな」
嵐に続けて流も手応えを確かめるようにこう口にした。
「薄々透けて見えてきた、という所かな。後は利用出来る駒を探し、夢の結末を捻じ曲げるだけだね」
「けどナー。古くは蜀魏の昔より、民草を理由にして勝った奴はいない、将門公もこれから先もそれはかわらんだろうね」
恨みを抱えて死んだ将門の無念を晴らせれば、或いは御霊を鎮める助けとなるかも知れない。
将門の軍はもう奥州平泉を目前としていた。次に夢を見る時には藤原秀郷の下へ辿り付いているだろう。将門の夢の結末を変えるのに、好機は一度。今度の敵は余りに強大だ。歴史の真実も、歴史の必然も。それらを乗り越えた先に勝利は待っている。