【騎士育成物語】2歩目のお話

■シリーズシナリオ


担当:桜紫苑

対応レベル:4〜8lv

難易度:普通

成功報酬:3 G 12 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:01月13日〜01月21日

リプレイ公開日:2005年01月21日

●オープニング

「おはよう、アリアス」
 少しだけ扉をあけて、中を覗きこんでいる青年に気づき、彼女はそう声を掛けた。
 その途端、青年は、びくんと肩を震わせ、飛び上がらんばかりに驚く。思いも寄らぬ反応に、彼女も驚いて目を瞬かせた。
「え、あ‥‥、お、おはようございます」
 驚いた事を恥じたのか、はたまた女性に話し掛けられて照れたのか、頬に朱をのぼらせて振り返った青年に、なぜだか声を掛けた方まで狼狽えてしまう。
「ど、どうしたのよ? こんな所で」
「あ、その」
 もじもじと、青年は口籠もって俯いた。
「中、入ればいいのに」
 扉を押しあけて、怪訝な顔をした彼女に、青年は何でもないというように、ぶんぶんと頭を振る。
―‥‥なぁんか‥‥変な気分よね‥‥
 ほんのり透き通るような白い肌、ほんのり染まった頬、綺麗に切り揃えられた髪の毛の間から覗く、ほっそりとした項。
 青年から目を逸らして、彼女はふ、と息を吐いた。
 一見、清楚なお嬢様に見えるこの青年は、これでも騎士で冒険者だ。見習いよりも何も出来ない、剣どころかクラブも振るえないが、騎士なのだ。先輩達の力を借りて、初めての依頼も無事に終わらせた冒険者なのである。
「依頼、探しに来たんでしょ?」
「いえ、その‥‥。お気になさらずに、どうぞ中へお入り下さい」
 照れ隠しに笑う笑顔がやはり少女めいていて、彼女は胸の奥深く、正体の掴めぬざわめきを感じた。
―なっ、何なの!? 今の気持ちは!
 一瞬、頭を過ぎった言葉を慌てて振り払い、努めて明るく語りかける。
「そういえばっ! アリアス、確か、ダガーの素振りを課せられていたでしょ? そろそろ型になって来たんじゃないの?」
 素振りの言葉に、彼は動揺を見せた。先ほどにも増して挙動不審となった青年に、ぴんと閃くものがあった。
「さては、素振りをサボっているわね? 駄目じゃないの。こういう事は、日々の積み重ねが大事なのよ!」
「ち‥‥違います」
 後退る青年に迫ると、壁際へと追い詰める――と見せかけて、先ほどから彼が入るのを躊躇していたギルドの中へと押し込んだ。
「うわっ!?」
 押された勢いで青年はよろけ、床に倒れ込む。
「おいおい。それぐらいで倒れるんじゃない」
「は‥‥はい」
 中で依頼を吟味していた冒険者から注意を受けて、青年は床に手をつき、身を起こそうとした。その時、別の冒険者が目敏く彼の手に巻かれた包帯に気づいて声を上げた。
「アリアス! お前、怪我をしているのか? いつ? 依頼を受けたのか!?」
 隠そうとする青年の手を掴み、詰問する。
 半人前のアリアスが知らぬ間に依頼を受け、怪我したとあってはアリアスの指導役としては黙ってはいられない。
「何の依頼を受けたんだ!?」
「いえ、あの、違うんですぅ〜」
 半分泣きそうになった青年が詰問してくる男を押し留めた。
「こっ、これは実は‥‥」
 ごにょごにょと呟いた青年に、周囲で耳を澄ましていた者達が呆れて声をあげる。
「素振りで出来た肉刺だと〜っ!?」
 額に手をあてて首を振る。肉刺が潰れたなど彼らにとっては怪我のうちに入らない。彼らの安堵半分、呆れ半分の眼差しを避けるように、アリアスは入り口近くで蹲った。
「アリアス、‥‥もしかして泣いてる?」
 彼をギルドの中へ入れた女が硬直する。
 しくしくと手布で涙を押さえる姿は、またもや怪しげなざわめきを生む。
「自分が情けなくて‥‥」
 ああ、と彼女は天を仰いだ。
「あのね、アリアス‥‥」
 自分の中でざわめく心の正体を悟ったのだ。それは、淑女のような騎士に対する戸惑いと、頼りない半人前以下の冒険者への母のような、姉のような保護欲。
「誰だって最初から何でも出来るわけじゃないわよ。肉刺だって初めてでしょう?」
 こくんと素直に頷いた青年に、彼女は言い募った。彼に自信をつけさせたかったのだ。
「何でも、これから慣れていけばいいの。ね、依頼を探してらっしゃいよ。冒険に出ないままじゃ慣れようがないもの」
 今は蚤の心臓の青年も、依頼をこなす内に度胸もついて来るだろうし、剣の腕も磨かれてこよう。
 そうですね、と青年は青ざめた顔に落ちた髪を払って立ち上がった。壁に貼り出されている依頼を1つ1つ確かめていく。モンスターが暴れているから何とかして欲しい、盗賊から村を守ってほしい‥‥等、今日も依頼は多い。
「‥‥どれも、難しそうですよ? 僕には無理ですよ。あ‥‥」
 1つの依頼に目を留めて、青年は声を上げた。
「これなら、大丈夫かもしれません!」
 その声に、他の冒険者達も集まって来る。

『依頼。2日おきに村に現れ、悪さをする1本の角が生えたモンスターの子供を追い払って欲しい』
 
「ね? 子供のモンスターを追い払うぐらいなら、僕にも出来るかもしれません!」
 思い当たるモンスターに、彼らは言葉を失った。このモンスターを相手にした時、青年が勝てる確率は如何ほどだろうか。
 だが、当の青年は、初めて自分で選んだ依頼にやる気満々である。
「‥‥仕方がない。俺達も行くか‥‥」
 誰かがぽつり、呟いた。

●今回の参加者

 ea0509 カファール・ナイトレイド(22歳・♀・レンジャー・シフール・フランク王国)
 ea0664 ゼファー・ハノーヴァー(35歳・♀・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea0705 ハイエラ・ジベルニル(34歳・♀・ジプシー・人間・神聖ローマ帝国)
 ea3041 ベアトリス・マッドロック(57歳・♀・クレリック・ジャイアント・イギリス王国)
 ea3143 ヴォルフガング・リヒトホーフェン(37歳・♂・レンジャー・人間・フランク王国)
 ea5352 デュノン・ヴォルフガリオ(28歳・♂・神聖騎士・人間・神聖ローマ帝国)
 ea5430 ヒックス・シアラー(31歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea6870 レムリィ・リセルナート(30歳・♀・ファイター・人間・ノルマン王国)

●リプレイ本文

●冒険者心得その2
 男性とは思えない細い首を腕に抱え込んで、レムリィ・リセルナート(ea6870)は声を荒げた。
「ちょっと! あたしの可愛い子分になんて事させてるのよッ」
 突然の騒ぎに振り返った仲間達へ小さく微笑んで、ヒックス・シアラー(ea5430)は「特訓」と事も無げに返す。その涼しげな様子が、レムリィの怒りに油を注いだようだ。
「特訓はいいのよ、特訓は! しごき上等よ? でもね、これは駄目ッ」
「どうして? このままだと、近い内に『鎧の重さで動けない』アリアス君の姿を見る事になりますよ。確実に」
 聞くとは無しに聞いていた仲間達が納得して頷く中、ただ1人、レムリィだけはアリアスをしっかと抱えたままで首を振る。
「冗談じゃないわよ! こんな事して、アリアス君に筋肉がついちゃったらどうするのよ〜っ!」
「‥‥いや、だから、その為の特訓なんですけど‥‥」
 却下!
 不許可!
 断固反対と高らかに宣言すると、レムリィはおぶおぶと暴れるアリアスの頭を掴んでヒックスへと突きつけた。
「この子にムキムキ筋肉が似合うと思う? 腹筋が割れたアリアス君なんて、想像も出来ないっっわぁぁぁっっ」
「‥‥確かに似合いませんね」
「納得してどうする」
 息を漏らし、すかさず合いの手‥‥もとい、突っ込みを入れたのはゼファー・ハノーヴァー(ea0664)だ。
「そもそも、割れる程の腹筋など、そうそう付くわけでもなかろう。そんな事よりも、腕立て伏せ3回、腹筋0回! で音を上げたアリアス殿の方が問題だと思うのだが」
 ゼファーの言う通りである。
 それが正しいと分かっているので、レムリィもうっと言葉に詰まった。
「そ‥‥そりゃそうだけど」
「せめて、ヒックスの課した特訓をこなせる程度には力をつけないと‥‥な?」
 口元を微かに引き上げて、ハイエラ・ジベルニル(ea0705)が意味ありげな視線をアリアスに投げる。
 気のせいだろうか。
 何やら危険が危ない雰囲気が漂っているのは。
 居心地の悪さにもぞもぞと体を動かして、カファール・ナイトレイド(ea0509)がヴォルフガング・リヒトホーフェン(ea3143)の金の髪を引っ張った。
「大丈夫かな?」
 張り直した弦の具合を確かめて、ヴォルフは小さな友人を安心させるように笑う。
「大丈夫だ。皆、あいつを鍛えようとしているんだ。あいつも、それを分かっている」
 仲間へと強い信頼の籠もった眼差しを向けたヴォルフに、相槌を打って彼に倣ったカファの目の前‥‥
「さぁ‥‥」
 つ、と伸ばされたハイエラの指先がアリアスの顎を上げた。
「冒険者の心得その2。思考は常に広く持て、だ」
「あ、あの‥‥?」
「手持ちの情報から起こり得る事態を幾通りも想定し、どんな状況にも対応出来るようにしておく事だ」
 戸惑うアリアスに、ぐいと顔を近づけるハイエラ。見習いへの先輩の教えにしては、些か声に艶があるような、ないような?
「‥‥ほっ、本当に大丈夫かなぁ?」
「た‥‥多分」
 自信なさげなヴォルフとカファの姿に、ベアトリス・マッドロック(ea3041)は溜息をついた。
「なんだい、なんだい。だらしないねぇ」
 むんずとアリアスの襟首を掴むと、ベアトリスはかんらかんらと笑う。
「い、今、猫の子を掴むように摘み上げなさったな?」
 細身とはいえアリアスも青年。それをいとも容易く掴み上げるとは。包帯に覆われた額にじわりと汗が滲むのを感じつつ、デュノン・ヴォルフガリオ(ea5352)は呟いた。
「あっはっは! 自分の子に、坊主や嬢ちゃん達、何人も子供の面倒をみてるんだ。これぐらい何でもないよ」
 肝っ玉母さん、恐るべし。
 心の中にしっかとその一言を刻みつけて、デュノンは何が起きたのか理解していない様子のアリアスを振り返る。
「戯れ言はともかく。村での聞き込みはうまくいったのか?」
「当たり前でしょ。あたしが同行したんだから!」
 レムリィを目で窘めて、ヴォルフはアリアスに答えを求めた。レムリィと共に村を回ったのならば、効率良く情報を集められた事だろう。だが、それだけでは駄目だ。
「アリりん、レムりんと一緒に聞いたお話を皆に教えてあげなきゃ」
「え? は‥‥はい。えーと‥‥レムリィさんと一緒に聞いて来たのですが、そのモンスターの身の丈は子供とさほど変わらないようです。依頼書にあった通り、子供のモンスターだと思われます」
 調べた内容を語るアリアスに、ヴォルフは腕組みをした。
「で?」
 短く問い返したヴォルフの意図を掴めず、アリアスは目を瞬かせる。
 だが、周囲から助けの手が伸びる事はなかった。
「お前さんが子供のモンスターと断定した根拠は? 子供だと言うのなら、何のモンスターの子だ?」
 答えられないアリアスに、ヴォルフは淡々と言葉を続ける。
「敵の見極めに失敗すれば、死なずに済む戦いで死ぬ事もある。さっき、ハイエラも言っていただろう? 手持ちの情報から起こり得る事態を幾通りも想定しろ、とな」
 己の短慮を恥じて俯いたアリアスを慰めるように、カファはぺしぺしと小さな手でその頬を叩いた。
「アリりん、知らないのは悪い事じゃないよ? 誰だって最初からいっぱい知ってるわけじゃないもん。今からお勉強しても遅くないよ」
「カファールさん‥‥」
 荷物の中から取り出した羽根ペンを抱えて戻り、カファはそれをアリアスに差し出す。
「依頼でお勉強した事、書いておくの。そうすれば忘れないでしょ?」
 羽根ペンを手に、強く頷いた見習いの姿に微笑みを交わし合い、冒険者達は村で得た情報から考えられる状況とその対処法について語らった。
 勿論、初心者のアリアスにも分かるように、最初から順立てて。

●経験の代償
 解けかけた包帯を巻き直しながら、ベアトリスは不安げなアリアスに静かに話しかけた。
「主の癒しをもってこれを治すのは簡単さ。でも、それじゃ駄目だ。肉刺が何度も潰れるうちに、手の皮は強くなる。アンタ自身も同じだよ。いろんな経験を積んで、成長していくんだ」
 素直に頷いたものの、彼の不安が晴れたわけではなさそうだ。当然だろう。仲間がいると言われても、彼らの姿は見えない。森のどこかで待機していると分かっていても、モンスターと対峙するのが2回目のアリアスは心細く感じているはずだ。
「主のご加護は、いつだってお前さんと共にあるよ。失敗なんざ気にせずに頑張っといで!」
 ベアトリスの後押しに応えるように、アリアスは心許ない歩みで森の中へと入っていった。
 その後を追って、いくつかの気配が移動する。
「ま、何事も経験さね」
「そう言う事だ。まぁ、心配する事もなかろう」
 ベアトリスの背後からひょっこりと顔を覗かせたヴォルフは、頭の中に描いた仲間達の配置を確認して小さく笑ったのだった。
 その配置の1地点に、デュノンとハイエラは潜んでいた。
 ゆっくりと森の道を辿っていくアリアスの姿を確認して、デュノンは額を押さえた。
 ガチガチのアリアスは、彼らが真横の繁みに潜んでいた事にも気づいていないようだ。これでは、森の奥から近づいてくる気配にも気づいていないだろう。
「ま、おいおい察知出来るようになるさ」
「なって貰わねば困る」
 小声での軽口の応酬も、いつもとは少し違う。
 どれほど策を練っていても、場数を踏んでいないアリアスの反応次第で状況は変わるのだ。それが、彼らに奇妙な緊張を生んでいた。
「モンスターと出会った時が分かれ目だな」
「策は講じているが‥‥果たして、アリアスくんがそれを思い出すかどうか‥‥」
 通り過ぎていくアリアスは懐を押さえている。彼が村を出る前に渡されたものを覚えている証だと、デュノンは己に言い聞かせた。
「‥‥来た」
 デュノンとハイエラとは反対の繁みには、ゼファーとヒックスが潜んでいた。
 近づきつつある気配に、ゼファーは乾いた唇を湿した。モンスターとアリアスが出会うまで、あと僅か。自分が前衛に立つよりも緊張しているようだ。
「バカ弟子がッ」
 不意に声を上げて、ヒックスが駆け出す。
 はっと我に返ったゼファーの目に、モンスターを前に竦んだアリアスの姿が映る。
 動けなくなったアリアスの様子は、ハイエラとデュノンの場所からもはっきりと見てとれた。
 舌打ちして、デュノンは呪を唱えた。
 黒い球が放たれ、モンスターの足下に炸裂する。だが、アリアスは、デュノンから渡されたパンを手に、どうしてよいのか分からずに立ち竦むばかりだ。
 仲間達が駆け寄るまでの僅かの間、そのモンスターはアリアスへと何事かを囁きかけた。動けないアリアスを見て、モンスターは笑った。不快な笑い声が響く。
「アリアス殿!」
 咄嗟に、ゼファーはアリアスの腕を引いた。倒れ込んで来た体を支え、代わりとばかりに傍らを駆け抜けたヒックスへとシルバーダガーを投げる。
「借ります!」
 宙で受け取ったダガーの柄を握り直し、小さな体のモンスターへと振り下ろした。
 耳障りな笑い声が潰れた苦鳴に変わると同時に、ゼファーの背後に庇われたアリアスががくりと膝をつく。
「アリりん! アリりん!?」
「やられたの!?」
 後衛として待機していたレムリィとカファの声に、アリアスは肩を揺らす。
「アリアス君? 大丈夫? アリアス君!」
「ぼ‥‥僕‥‥」
 ベアトリスが包帯を巻き直してくれた己の手を呆然と見つめて、アリアスは呻いた。
「僕は‥‥冒険者になんて‥‥なれっこないんです‥‥」
「アイツに何か言われたの?」
 子供の背丈程のモンスター。グレムリーと呼ばれるオーガの一種である。
 だが、アレはデビル並みに厄介な相手だ。
「いい? それは奴の手なの。傷つける言葉を使って、相手の攻撃を封じちゃうのよ!」
 必死に呼びかけるレムリィの声にも、アリアスは己の体を抱きかかえるようにして首を振るばかり。かなりのダメージを受けているようだ。
「世話の焼ける‥‥。だが、あんなでも一応、可愛い後輩だ」
 ゼファーが投げたボーラに絡め取られて地面に転がったグレムリーの手を踏みにじり、ハイエラは笑みを浮かべた。
「ふふ‥‥。絶望なんて言葉が生温く感じるような地獄を見せてやろうか」
 冷たい瞳に見下ろされ、冒険者達に囲まれたグレムリーが上げた叫びは、もはや誰の心も突き刺す事の叶わぬ、何の意味ももたない悲鳴であった。

●課題
「依頼は完了したが、アリアスくんは重傷のようだな」
「逃がすつもりは無かったのですが」
 這々の体で逃げ出したグレムリーは、もう二度とこの近辺に現れる事はないだろう。手緩いとぼやくヒックスを宥めると、デュノンは大鎌を下ろした。息を吐き出し、レムリィやカファが一生懸命に語り掛けているアリアスへと気遣う視線を向ける。
 グレムリーは言葉を武器にする。
 人が不快に思う言葉を投げつけて、相手の心を傷つけるのだ。
「これも経験と言ってしまえばそれまでですが」
 今にも切れそうな、か細い神経の持ち主であるアリアスにグレムリーの言葉の刃は鋭すぎたようだ。 
「武器の扱い、筋力に加えて精神力か。‥‥まだまだ先は遠いですね」
 鍛えなければならない項目を指折り数えて、ヒックスは肩を竦める。手の掛かる弟子が彼の元を巣立っていくのは一体いつになる事やら。
「だが、その前に、今はアリアス殿を立ち直らせねばな」
 グレムリーを退治するよりも骨が折れそうだと、ゼファーは落ちたボーラを拾い上げて苦笑した。