【失われたモノを探して】 遺跡で探せ!
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■シリーズシナリオ
担当:雪端為成
対応レベル:6〜10lv
難易度:やや難
成功報酬:5 G 32 C
参加人数:6人
サポート参加人数:-人
冒険期間:09月05日〜09月14日
リプレイ公開日:2007年09月15日
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●オープニング
「ふむ、どうもこの領地近辺では精霊に関する伝承が豊富と‥‥とすると、精霊関連の遺跡があるのかもしれんな」
遠く故郷のケンブリッジを思いやるアラン先生。
彼が教師をしていたケンブリッジの近くには、精霊たちが住まう場所があったとか。
ここはキエフ近郊のシュマールハウゼン領。
現在、シュマールハウゼン領の領主居館にて部屋を与えられ、資料の調査に余念のないアラン先生。
彼はそろそろ次の依頼を出さねばと重い腰を上げたのだった。
アラン・スネイブル先生を筆頭にして行われている、シュマールハウゼン領の遺跡探索。
今回は、前回の資料整理の結果、まだ未探索の遺跡の発掘に取り掛かることになった。
場所は領主の館から馬で半日ほど進んだ場所にある暗い森の中が舞台である。
前回の調査によって、小規模な遺跡があることは確実のよう。
残された資料によれば、概観は大きな石が立つストーンヘンジ状のものとか。
その調査が冒険者に求められたものである。
さて、遺跡の調査には遺跡の守護者との戦闘が発生することが多い。
また人が踏み入らない場所に遺跡があるためモンスターとの遭遇が問題となることも。
ゆえに前回と異なり、戦闘が発生する可能性は高い。
また、夏とはいえ数日間は野外での生活を余儀なくされるのも自明の理。
それらの準備を含めて、全て冒険者へとまかされているらしい。
「ところでいくつか、現時点で話し合っておきたいことがある」
調査隊の中心となっているアラン・スネイブル先生が言う。
「まず一つ目は遺跡にて資料や宝が見つかった場合の対応を決めておきたい」
たとえば、遺跡にて正体不明のアイテムが見つかったとする。
その場合、そのアイテムを持ち帰って調査するのか、はたまたその場所においておくのか。
ただし発掘・発見された全てのものは基本的に領地の物となるのは決定している。
なので今回、個人所有という選択肢はない。
「また、遺跡の調査後、その保存や保護にはどのようにして行うのか」
遺跡の継続的な調査と、保存のためにどういうアイディアを取りうるのか。
これらのアイディアは必要となってくるようである。
なお、アラン先生を納得させられる場合、スクロールやアイテムの貸与がありえます。
「今回より、本格的な調査を開始するのだが‥‥」
アラン先生はこの依頼の間は、シュマールハウゼン領に滞在し陣頭指揮を執るとのこと。
「逸る者もいるだろうが、思わぬ油断が危機を招く。各自、心して依頼にあたることだな」
得るものも大きいだろう遺跡探索、その逸る心に釘を刺して注意を呼びかけるアラン先生であった。
さて、どうする?
●リプレイ本文
●交渉
「ふぅむ、なるほどな。ということは帰ってきてからどんな危険があったか、さらに追加するということじゃな?」
「はい、特に近隣の村にそういう触れを出していただければ助かります」
「ならば、なるべく早く出すようにしよう。なに、それぐらいならたやすい仕事じゃよ」
にかっと笑いながら、冒険者と会話をしている領主パヴェル。
冒険者のフェノセリア・ローアリノス(eb3338)と緋野総兼(ea2965)はパヴェル老に対して、遺跡の保護に関する相談をしていた。
基本的な狙いは、遺跡周辺への立ち入りをなるべく禁ずること。
その理由はというと‥‥
「まず一つは、遺跡が何かの封印や、危険に対する守りである場合ですね」
「ふむ、まかり間違って何者かを解放してしまえば危険じゃの」
フェノセリアの言葉にうんうんと頷くパヴェル。そして
「それに、遺跡周辺には遺跡を守るモンスターをはじめ、危険がいるかもしれませんし」
と、フェノセリアは言う。
遺跡の保護と同時に、領民の安定を願う総兼とフェノセリアの提案は、領主にとっては非常に重要。
ゆえに、即決で採用されることとなったのであった。
「ところで総兼殿、どの範囲まで触れを出せば良いと思うかね?」
「ふむ、いま地図を調べてみましょう」
と言って総兼は、前回依頼で注文した大きな机に視線をやる。
そこには、領地全体の地図が。まだそれほど細かく書き込まれてはいないものの、いろいろな資料から、わかった情報が要所要所に書き込まれている。
そして今回向かう依頼の場所にもピンが刺され、総兼はその周りの集落の名前をざっと羊皮紙にメモすると。
「この範囲にお触れを出せば良いかと。あとは森の周囲には立て札を立てておこうかな、と」
「おお、こりゃ助かるの」
とパヴェル老はその羊皮紙を受け取り。
「帰ってきたら、冒険譚を楽しみにして折るからのう。領主の仕事ばかりじゃ気が詰まってのう‥‥」
とぶつぶつ良いながら遠ざかっていくパヴェル老。
どことなく哀愁漂う領主の背中を見送って、総兼とフェノセリアはぷっと吹き出すのであった。
●対決
さて、冒険者一行は遺跡があるといわれている森の近くまでやってきていた。
ここの周囲は微妙に街道からはずれ、あまり人が立ち入らないところ。
キエフの木々は背の高い針葉樹が多く、森と言っても北国の森である。
その背の高い木々が生い茂る森は、あまり下草が多いわけではなく。
木々のこずえの隙間から投げかけられる光が明るく照らし、夏も終わり気温は下がってきてもどこか明るい雰囲気がただよう。
そこで何の作業をしているかというと。
「よっと、とりあえず立て札はこんな感じかな?」
クルト・ベッケンバウアー(ec0886)は立て札を地面に突き刺していた。
立て札の内容は、領主の名において立ち入りを禁ずるというお触れ。
クルトも総兼やフェノと一緒にこのことについて領主に頼み、この立て札をあらかじめ運んできたのだ。
この場所が一番近い人里からまっすぐ来れば通る道ということらしく。
ここから一行はそれぞれの荷物を運び森へと踏み込んでいくことになるのであった。
フェノセリアはペガサスのエルフォードに荷物を積んで先導役。
迷いやすい森、その中でも一番森になれていて迷わず先導できる彼女だからこそ先導役なのであるが。
その後ろを一行はぞろぞろと歩みながら、周囲に警戒しつつ進んでいた。
さて、そんな道中話に出るものといえば。
「‥‥もし、モンスターが潜んでいて、遺跡と関係の無い金目のものを集めていたらそれは貰って良いんですよね?」
ローザ・ウラージェロ(eb5900)をはじめ、気になるのはお宝の話である。
遺跡の浪漫といえば、やはりだれも知らない秘法やお宝。
だれも踏み込んだことの無い遺跡といえば、やはり心踊るものである。
「ふむ、パヴェル殿に発見したものは見せねばならないが、それがモンスターの集めたものならば冒険者の諸君が所有権を主張してもいいだろうな」
「でも、アラン先生? 遺跡に潜むようなモンスターでなにかを集めたりするようなモンスターっているんですか?」
こちらはアラン先生の愛弟子、キラ・リスティス(ea8367)。
するとアラン先生は、ふむ、と口ごもり顎をひと撫でしてから。
「‥‥ドラゴンの類は、長い年月秘境に住まい、宝物を蓄えるという話を聞いたことはあるが‥‥」
言ってて縁起が悪いとでも思ったのか、眉をしかめるアラン先生。
冒険者たちも、もちろんそんなのが出たら逃げますと顔に書いてあるよう。
「でも、ドラゴンなんかが遺跡にいたらきっともっと大きな噂になってるでしょうし」
とおっとり言ったのはメアリ・テューダー(eb2205)、そこで彼女はぴたりと足を止めた。
その視線の先には一本の大きな木が。
フェノセリアが手綱を引いて歩んでいたペガサスのエルフォードも足を止め。
おそらくは、なにかの危険に気付いたのだろう。
メアリが指差す先、そこにどっしりと生える巨木には大きなうろが。
「あの木、おそらくガヴィッドウッドです」
そういわれて、はっとアラン先生を見上げるキラ。
彼女は以前、師のアラン先生とともにこのモンスターと戦ったことがあり。
そのときはメアリも同じ依頼にいたので覚えていたのだろう。
「‥‥ふむ、以前一度倒したことがあるというのなら、あまり手間をかけずに撃破はせねば」
総兼は呟く。そしてガヴィッドウッドに気付いた一行は‥‥しごくあっさりとこれを撃破したのだった。
今回の面子で前衛はなんと僧兵の総兼1人。
動かない植物形モンスターといえども、接近せねば魔法は当たらないので、ある程度危険を冒して総兼は前に。
そこに襲い掛かる木の枝。
総兼はディストロイを詠唱し枝を吹き飛ばし、さらにはアラン先生の付与したストーンアーマーで攻撃をはじく。
その隙に、後衛からの魔法攻撃。
今回は同じくストーンアーマーを付与して、キラまでライトニングアーマー付きの鞭で中衛から援護。
クルトのダガーは狙いたがわず枝を穿ち、メアリの周りの木々をプラントコントロールで操って隙を作り。
さらにローザのウィンドスラッシュがなんども表皮を抉るが、さすが樹木型モンスター、頑丈である。
そこについに、フェノセリアのコアギュレイトが決まって、ぴたりと動きを止める怪木。
「‥‥時間はあまりない、手分けして切り倒すのだ」
アラン先生の号令で、持ってきていた斧や武器で人食い樹は伐採されてしまうのであった。
●探索
ガヴィッドウッドを撃破して、情報にあった場所まで進んだ一行は、遺跡にたどり着いた。
到着したらすぐさま調査開始とばかりに一同は張り切るのだが。
「ふむ、わたくしの目が曇ってるわけじゃないならば‥‥なんにもないんじゃないかなー‥‥」
総兼が一体を見回して言う。
そう、森の中にぽっかりとあるのはそこだけ小高く盛り上がった場所。
どうやら地面にもしっかりと石が敷いてあり、雑草は生えているが木がそこだけ無い。
そしてその広場のような空間に等間隔に並ぶ巨石。
「これは‥‥遺跡というよりは、石だけですね‥‥」
遺跡の様子などを記録するためのメモを手にしているメアリなども呆然と。
「でも、とりあえずわかるところから調べていきませんとね‥‥」
キラは気を取り直すようにそういうと、巨石に近づきひとつひとつ調べ始めるのであった。
さて、遺跡の調査は少々拍子抜けの様子で始まったが、一行は当初の予定通りそれぞれの行動を開始した。
周辺の地形や、植物、地図を製作しているのは総兼やクルト。
周囲の環境を調べている彼らは、途中でこの遺跡をぐるりと囲むようにまばらに生えているガヴィッドウッドに気付いた。
「‥‥ほうっておけば、これ自体が遺跡を守る壁にもなるんじゃないだろーか?」
「たしかに。あとで報告するときは危険だって書き加えておかないとな」
総兼とクルトはとりあえずその場を離れ、結局この危険な守護者は話し合いの結果放って置かれることになった。
「ところで、わたくし、ひとつ気になることがあるんだが」
「ん? なにか見落としてることでもあったかな」
「この人食い樹って生えてる場所が妙にいびつだが、もしかして当初予定されてたより増えたんじゃなかろーか?」
「‥‥まぁ、あの遺跡を作った者たちも、植物までは自由にならなかったのかな?」
と総兼とクルトは会話していたり。
「うーん、盗賊に荒らされるも何も、荒らすものがありませんね‥‥」
お宝一つ見つからずちょっと残念そうなのはローザだが、彼女は巨石のスケッチをしていた。
同じようにメアリも詳細なスケッチを作って、情報の保全につとめようとしているのだが‥‥。
「‥‥! 皆さん、こちらへ来てもらえませんか!」
何かに気付いたような驚きの声はキラだ。彼女はなにか隠されたものが無いかとエックスレイビジョンのスクロールを使って透視を試みていたのだ。
彼女が驚きの表情を浮かべて見つめる先は、一枚の石畳。それを指差すキラは。
「この下に階段があるみたいなんですけど‥‥」
大発見であった。
●発見
「これは凄いな‥‥」
「とりあえず手をつける前に、現状をなるべく書きとめておきましょうか‥‥」
アラン先生も無言で見詰める先は地下室の内部であった。
皆で協力し、サイコキネシスなんかを使いながら、石畳をどかせばそこには階段が。
その中を下るとすぐに大きな石室にたどり着いた。
全員で入れば手狭に感じるような小さな石室だったが、そこにはいくつもの粘土板。
そして、壁一面の壁画や文字と、壁際の祭壇に供えられた不思議な形をした小さい剣であった。
刃は水晶で出来ているのか透き通っており、祭壇に突き立つようにして置かれていた。
一行はあらかじめ相談してあったように、なるべく触れないようにしてその小剣を覗き込み。
キラはその祭壇に記してある文字をなんとか読もうと四苦八苦していた。
もちろん彼女がリヴィールマジックのスクロールで鑑定したところ、この小剣は魔法のアイテム。
しかし、その祭壇の文字には‥‥。
「大きな‥‥いや、大いなる‥‥災い? ‥‥止める、いえ、封じる、かな‥‥」
その言葉に一同は息を呑み、その不思議な祭壇と石室の様子を眺めるのであった。
「‥‥どうやら、最初から非常に重要な場所にたどり着いたようだな」
アラン先生は静かに告げる。
「皆が言うように、我輩もこの祭壇にみだりに手をつけるのは危険だと思う」
触らぬ神にたたりなしですもんね、という総兼の言葉にアラン先生も頷き。
「とりあえず、そのほか、粘土板の類で魔力を帯びてないと確認できたものは全て書き記したあとに持ち帰るぞ」
罠などが無く、祭祀の場所だったと確証が持てたことで一転、皆はあわただしく動き始め。
「さて、キラ。解読は進んだか? 他に何かわかったことは‥‥」
「はい、アラン先生。‥‥『封は三つ』‥‥と読めるんですが」
「‥‥前後の文脈から考えるなら、封印が三箇所という意味だな。北という単語もあるようだ」
新たなる目標も決まったようだ。
そして冒険者たちは貪欲に資料を集めながら。
「次の遺跡にはいろいろとお宝があるといいんですが‥‥」
さて、いかなる遺跡が次は待っているのだろう。