【虎僧行脚5】新たなる門出

■シリーズシナリオ


担当:シーダ

対応レベル:4〜8lv

難易度:やや難

成功報酬:2 G 40 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:02月02日〜02月07日

リプレイ公開日:2005年02月12日

●オープニング

 今日も今日とて虎太郎は修行の真っ最中。
 掃除、洗濯、炊事、読経や托鉢に加えて、寺で世話をしている者たちの世話や子供たちの遊び相手と寸暇を惜しんで働いている。
 そんな姿を住職は微笑ましく思っていた。
 虎太郎がこの寺に来たとき、彼は沈み込んでおり、なかなか心を開こうとしなかった。ただ、仏門の務めにだけは熱心で信心深くいよういようと頑張っているように見えた。
 近頃では、努めて明るく振舞おうとしていた虎太郎はなりを潜め、溢れる笑顔で周囲に接している。作り物の笑顔でないことは一目瞭然。そんな彼に、寺に関わる者たちは温かく接した。一方で、面識のあった一部の冒険者たちとの関係も良好である。教え、教えられ、助け、助けられ、彼らは互いに成長していったのである。

「虎太郎、来なさい」
「はいっ」
 呼ばれた虎太郎は、住職の後について部屋に入ると腰を下ろした住職の前にちょこんと座った。
「昔、この寺と付き合いのあった寺が廃れしまってのう。何年も経つのじゃ」
 虎太郎が頷く。
「久しぶりにその寺の噂が耳に入ってきたのじゃ。骸骨が徘徊し、美しい女子(おなご)の姿をした魔性が現れるという」
「大変だ。何とかしないと」
 見れば虎太郎は今にも飛び出して行ってしまいそうである。
「檀家の皆に話してみたら、お前と同じに放ってはおけぬと言う話になっての。金を出してくれることになった」
 住職は虎太郎の前に金の入った袋を置いた。
「これで退治を手伝ってくれる冒険者を雇うと良い。頼んだぞ」
「はいっ!」
 虎太郎は冒険者ギルドへ一目散。果たしてどうなることやら‥‥
「和尚様、そのお寺はどこにあるんだい? オイラ、聞くの忘れちゃった」
 微笑をたたえて待ち受けていた住職は、道筋の書かれた木板を虎太郎に渡した。

●今回の参加者

 ea1257 神有鳥 春歌(30歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea1289 緋室 叡璽(30歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea1774 山王 牙(37歳・♂・侍・ジャイアント・ジャパン)
 ea3096 夜十字 琴(21歳・♀・僧侶・人間・ジャパン)
 ea4352 馬籠 瑰琿(47歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea4530 朱鷺宮 朱緋(36歳・♀・僧侶・人間・ジャパン)
 ea5708 クリス・ウェルロッド(31歳・♂・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea8257 久留間 兵庫(37歳・♂・浪人・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●出発
「虎太郎様、またお会いできて嬉しゅう御座います。
 ‥‥とは申しましても、本当は依頼でお会いせずに済むが泰平の証なのですけれど」
 声をかけられた虎太郎が振り向くと、苦笑いを浮かべた朱鷺宮朱緋(ea4530)が手を合わせていた。
「久しぶりだね」
 虎太郎は嬉しそうに手を合わせて軽く頭を下げた。
「噂を伺う限りでは、厄介な相手が揃っているようです。
 虎太郎様も時間が許すならば、ギルドの報告書にて知識を得ておくのも良いかもしれませんね。
 『知』は如何なる時も必要なもの。
 故智による知もあれば、其れにより生まれる新たな知も御座いますから。
 準備万端に越した事は御座いません」
「じゃあ調べようよ」
 しかし、膨大な量の報告書の中から特定の魔物の特徴を探すような作業には根気と時間がいる。
 運が良くなければ一朝一夕には見つからないし、これはという情報を得るにも知識が必要である。
 時間短縮のためにとギルドの職員に聞き込んで、迷惑がられながら得た情報と言えば、怪骨がいるのは間違いないだろうという‥‥
「冒険者って大変なんだね」
 虎太郎の笑顔に朱鷺宮は再び苦笑いを浮かべるのであった。

 ギルドの部屋に虎太郎と朱鷺宮が向かうと久留間兵庫(ea8257)たちが既に集合していた。
「来たな、虎太郎君。ここに来たってことは退治を手伝うのか?」
「そうだよ。和尚様に頼まれたからね」
「そうか。なら、頼りにさせてもらうぞ」
「任せといて」
 六尺棒の石突を床で鳴らすと虎太郎はニコッと笑った。
「期待しているぞ」
「うん」
「虎太郎さん、今回は幽霊騒動みたいですね」
 一時沈んでいた彼を知っているだけに、神有鳥春歌(ea1257)は虎太郎の様子が嬉しかった。
「水子の霊とか骸骨とかでしょ?」
「ん‥‥ これだけ多くの噂なら原因はあるのでしょうが、信憑性に欠けるのも事実‥‥
 しかし、絶世の美女、か‥‥ う〜む‥‥ 話の分かる相手ならば良いのだけど‥‥」
「女性が捕らわれているのかな?」
 真剣に悩み始めたクリス・ウェルロッド(ea5708)の横で虎太郎も六尺棒を抱えながら腕組みをしている。
「まぁ、今の段階でできることといえば、神に祈る事くらいしか‥‥ 皆様の御無事と成功を願いましょう‥‥」
「オイラは御仏に念じるよ」
 クリスは体の前で手を組み、虎太郎は数珠を取り出して手に絡めた。
「主よ‥‥ 全ては貴女の御言葉のままに‥‥」
「御仏のご加護がありますように‥‥」
「な、なるようにならぁね! なのです!!」
 そんな2人を見て、夜十字琴(ea3096)は僧の先輩として虎太郎に情けないところは見せられないと必死だ。
「‥‥ 水子の霊が背中に‥‥ ? ええと、何処かで聞いたような?」
 夜十字は、お化けのことを思うだけでべそをかいていた。
「大丈夫ですか? 幽霊が出たらあなたたち僧の力が必要になるのですからね。期待していますよ」
「と、ともかく、頑張りますぅ!」
 クリスの服に必死にしがみついて幽霊という単語にすら怯える姿が、彼女を護ってあげたいという衝動に駆り立てる。
「女の子に涙は似合わないよ」
 しゃがみこんで思わず涙を拭いてやるクリス。コクリと頷くと、夜十字はヒシと肩に頭を埋めた。
「行って確かめるしかないだろう。何の因果か、人を襲うんだったら退治しなくちゃならんね」
 その様子を見て馬籠瑰琿(ea4352)は呆れ気味に話を元に戻した。
「不浄なる者が徘徊している‥‥‥‥ 例えそれが事実でも虚実でも‥‥混乱を招く者は問答無用で叩き潰す‥‥」
「村の人たちのためにも頑張らないとね」
「あぁ」
 無計画なところがある虎太郎を緋室叡璽(ea1289)は、どこか愛らしく思った。
 必死に人のために尽くしたい。そんな気持ちを感じると思わず助けずにはいられない。いつだったか朱鷺宮は、そのことを彼の徳だと言っていた。
「ところで虎太郎は防寒着はもってきたか?」
 馬籠が保護者の目つきで虎太郎を見つめている。
「ううん」
「じゃ、これ使いな」
「でも、オイラいつもこれだもん。へっちゃらだよ」
 肌着の上に綿入りの着物。首周りを帯の切れっ端だろうか、布でグルリと巻いていた。その上から袈裟をかけている。
「こういう好意は素直に受けておくものでございますよ」
 朱鷺宮が虎太郎に耳打ちした。
「そうだね。ありがと」
「いいって」
 馬籠はどこかホッとしていた。気になるあのバカ弟子の雰囲気に虎太郎が似ているからかもしれない。
「荷物は俺の馬に積んであげよう」
「ありがと」
 緋室たちは出発の準備を手早く済ませると、はやる虎太郎をなだめつつ目的の村へと旅立っていった。

●女
 聞き込みを重ねながら件の寺へと向かう一行。
 どことなく空もどんより曇り、気持ちも落ち込み気味。
「よくわからなかったね」
 虎太郎は1人元気である。
 肝試しに行った者が帰らなかった事もあり、実際に様子を見た者は意外に少なかった。又聞きの噂だったりして、真偽を確かめるにはやはり直接赴くしかないようである。
「骸骨は昼となく夜となく徘徊しているようでございますが」
 朱鷺宮の言葉に夜十字がビクッと辺りを見渡した。
 昼に出るのであれば、何も夜に行く必要はないと明るいうちに寺を目指しているのだが、それでも琴嬢には怖いらしい。
 2人乗りの駿馬の鞍の上で震える夜十字の頭を軽く叩くと、彼女は少し安心したように硬い笑顔を見せた。
「クリスさんって優しいんだね」
「虎太郎君も女性には優しくしなければならないよ」
「うん」
「まずは調べるところからです。しっかりと相手を確かめないといけませんしね」
「寺の噂があまりに多いのが気になりますからね。ひとつひとつ確かめていきましょう」
 神有鳥と緋室は虎太郎にさりげなく冒険者の心得を教えていた。
 
 寺の塀越しに音がしないか耳を澄ますが、中から音はしないようだ。
 賊の類なら声がしたり、炊事の煙が昇っていてもおかしくはない。それがないところを見ると‥‥
「私の術にも反応しない」
 ブレスセンサーを使って調べていた山王牙(ea1774)からも人が住み着いているという情報は上がってこない。
「待たせたな」
 魔法の大凧で上空から様子を覗いていた久留間が地面に境内の見取り図を描き始めた。
「敵の姿は見えず。で、戦うならここだな」
 指差したのは庭。他に戦いに向きそうな場所がなかった。
「幽霊見たり枯れ尾花‥‥なんてことになってくれた方が楽だった気もするけどね」
 馬籠たちが境内の庭へ入ったとき、女の人がこちらに走ってくるのが見えた。
「助けてください」
 見ると骸骨たちに追われている。
「虎太郎様‥‥ 戦えますか?」
「大丈夫! 相手は骸骨でしょ? 死んじゃった人を成仏させてあげるのが、オイラたちの務めだからね」
 虎太郎は六尺棒を構えて女の方に走り出す。
「気をつけて下さい。女怪は魅了を使うことがあると聞いた事があります」
 目を合わせないように山王は太刀を構えた。
「少しは疑え!」
 久留間は虎太郎を制した。女は駆け寄ってくるが冒険者たちの方からは近づこうとはしない。
 山王の体が緑色の淡い光に包まれた。
「あの女の辺りから呼吸を感じません。おそらく生あるものではないでしょう」
 驚くように虎太郎が女を見つめた。久留間は日本刀を抜き、十手を構える。
「お出ましか」
 馬籠は両手に鬼神ノ小柄を構え、鬼面を着けた。封魔の外套が風に靡いて経文がチラリと覗く。
「準備はいいかい? 行くよ」
 冒険者たちは馬籠を中心に陣を組んだ。様子に気づいた女の表情が残忍な笑みを浮かべる。
 ガシャッ、ガシャッ‥‥
 止まった女を避けるように骸骨が進んでくる。
「成仏するんだね!!」
 馬籠は骸骨の群れに突っ込んでいった。山王と久留間と緋室もそれに続く。
「虎太郎様」
「任せて!!」
 動きの止まった骸骨を六尺棒が打ち据えた。パラパラと骨が砕けるが、完全に砕くには時間がかかりそうだ。
「骸骨相手じゃ、穏便には済みませんか」
 短く声をあげて山王は大きく太刀を振るった。衝撃波が骸骨の骨を吹き飛ばすが動きを止められない。
「う‥‥」
 5体もの骸骨に囲まれては、範囲攻撃で薙ぎ払うにも限度がある。
 全てをかわしきることはできず、何発かは骸骨の剣を体に受けてしまった。1つ1つの傷は深くはないが‥‥
「オイラに任せて回復して」
「すまん」
 山王は虎太郎の好意を素直に受けた。
 虎太郎は防戦に専念しているようである。1撃くらったものの他は危ないところでかわした。
「行かせるか」
 別の場所で囲まれていた久留間は1体1体を相手にせずに満遍なく斬りつけていた。序盤に運良くほとんど攻撃をくらわなかったために1人で何とか戦線を維持している。
 こけっ。
「痛くない、痛くない‥‥」
 骸骨に叩かれた夜十字は前衛の頑張りで何とか安全圏まで下がり、自前でリカバーをかけた。
「こ‥‥怖くなんかありませんよ!!」
 そう言って前衛のすぐ後ろまで出ようとするが、やはり骸骨が怖いらしく、強がるのが精一杯だった。
「あたしから離れて。できるだけ引き付けるから頑張って!!」
 攻守に秀でた馬籠に敵が殺到すれば、もっと楽に戦えているのかもしれない。しかし、不幸にも彼女を襲ってきたのは僅か2体。骸骨に斬りつけながら歯噛みするしかない。しかも、あの女が笑っているのが、いかにも悔しい。

「このままでは役に立ちませんね」
 クリスは骸骨に矢を射掛けるが、隙間だらけの体には矢で傷を負わせることはできなかった。
 狙いを変えて女に狙いをつけるが、必中の矢は弾かれてしまった。
 それは神有鳥にしてもそうだった。
「春歌嬢、頼みます」
「はい」
 クリスは下馬すると手持ちの長弓を馬の荷へ吊るした。
 詠唱を終えた神有鳥はアイスチャクラをクリスに渡した。その間にも前衛では激戦が繰り広げられている。
 緋室が骸骨に斬りつけながら女に迫ろうとしていた。そのとき‥‥
 女の歌が妖しく響いた。
「何‥‥」
「倒さなくてはならないのに‥‥」
 緋室とクリスの思考から戦意が抜け落ちていく‥‥
 しかも、弓での支援ができず、回復役は前衛に耐えられないでは、どうにも虎太郎たちに分がない‥‥
「く‥‥」
 必死の形相で戦意を搾り出したクリス。投げたアイスチャクラは女を捉え、歌の中断と共に頭の中に響いていた歌声も消えた。
 しかし、2人の中から戦意は薄れ気味である。
「こんなことで!!」
 得物を握りなおして小さく一息入れた緋室は骸骨の繰り出す剣をかいくぐった。
 虎太郎と入れ違いで前衛から引いた山王は傷だらけ。
「早く‥‥」
 山王は焦るが、朱鷺宮の念仏は暫く続いた。
「お待たせしました」
 傷が癒えるのを感じた山王はダッと駆け出した。
「はぁっ!!」
 気合一閃。衝撃波が虎太郎の窮地を救う。髑髏を砕かれた骸骨が尚も迫るが攻撃力は有していないようである。
 側面を突かれた別の骸骨の剣が山王を捉える。再度、血が飛び散った。
「ここは私に任せて、一度下がりなさい」
「うん」
 虎太郎が乱戦に巻き込まれない位置まで下がると、朱鷺宮がリカバーをかけようと近寄ってきた。
「動かないで」
「オイラは大丈夫。久留間さんを助けてあげて」
 虎太郎は念仏を唱え始めた。朱鷺宮はその意図に気がついて久留間の方へ向くと念仏を唱え始めた。
「やっと使えるようになったんだ」
 虎太郎が白い光を放つのを視界の隅に捕らえながら、朱鷺宮はコアギュレイトを発動させた。
「助かる!」
 久留間は動きを止めた骸骨を押し倒すと、他の骸骨へと一撃を加えた。
(「癒しの術を使えるようになったのでございますね」)
 朱鷺宮には、それが嬉しかった。

「ハァッ、ハァッ‥‥」
 馬籠に行くかと思っていた骸骨が自分に来たことと女の歌の影響がまだ残っていて、緋室は苦しんでいた。
 必死に自分を叱咤して戦わなければならない分、普段より疲れているような気がする。
 回避に自身があるとはいえ、他の仲間より多くの骸骨を相手に動き回っているのである。疲れて当たり前ではあるのだが‥‥
「何故、俺ばかり‥‥」
 緋室はかわしまくり、骸骨の攻撃に合わせて反撃を加えているが、反撃の手数は少ない。
「主よ‥‥ あまりに残酷な運命です‥‥」
 彼の最も愛すべき美しい者を攻撃しなくてはならないことに涙しながら、駿馬に跨ったクリスは氷の戦輪を投げた。
 涙で曇った瞳を拭きながらでも達人級の投擲は狙いを外さない。
 庭を駆けながら位置を変え、敵を混乱させながら、クリスは馬上の体1つ抜け出した高い射点から淡々と戦輪を投げた。
 いつしか山王は自分を囲っていた骸骨を蹴散らして女を狙っている。
「うわっ」
「うひひひ‥‥」
 不幸にも、思わず転んだ山王は女に噛み付かれた。血を吸われてクラッとくる。
「女怪め! 離れろ!!」
 もう1撃くらうといけない。そう思った山王は、咄嗟に鬼神ノ小柄で噛み付いた女怪の牙を受け止めた。
「危ない」
 神有鳥の投げたアイスチャクラが女を切り裂いた。
「許せないね!! いろいろと」
 馬籠の怒りの一撃が骸骨を捉え、耐え切れなくなった骨は崩れ落ちた。
 複数の氷の戦輪が戦場を飛び交う。その1投1投ごとに骸骨たちは傷つき、壊れていく。
「これで終わりです」
 戻ってきた戦輪を受け取ったクリスが天を仰いだとき、女は地に伏して動かなくなっていた。
 数がいた骸骨も殆どが砕けてしまっている。
「頑張る‥‥」
 女の傍に近寄っていった夜十字は、ピュアリファイを唱えた。
 白く広がる光を浴びて女の体が浄化された。
「最近またこういった者達が出回ってきたみたいですね。何かの兆しでしょうか‥‥」
「そうなったら大変だよ」
 虎太郎が骸骨の胴を払った。
「杞憂だと良いのですが」
 骸骨が次々と砕かれていく中、神有鳥はアイスチャクラを投げた。そして、ついに最後の骸骨が崩れ落ちた。
「俺は不浄の者を滅する力しか持ってません‥‥ 彼らの魂を救ってください」
「和尚様のお導きで傷を癒す術は使えるようになったけど、死者にはオイラは経を読んであげることしかできない。
 だからさ、今は生きてる人の役に立つことにするよ」
 緋室の問いに虎太郎は少し寂しそうに笑った。虎太郎と朱鷺宮は念仏を唱え、仲間の傷を癒し始めた。
「偽りの命に縛られる必要は無いのです‥‥ もう迷わないでください‥‥」
 夜十字の念仏により骸骨たちも浄化されていった。
「みんな、ありがとね。これで安心だよ」
 虎太郎は冒険者たちに深々と礼をすると、夕陽に顔を赤く染めながら満面の笑みを見せた。