【船宿綾藤・細腕繁盛記?】雪見の宴

■シリーズシナリオ


担当:想夢公司

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 71 C

参加人数:8人

サポート参加人数:4人

冒険期間:02月18日〜02月24日

リプレイ公開日:2007年02月27日

●オープニング

「今年は雪が少ないらしいのだけど‥‥良い感じに泊まるときには雪が積もっていそうなんですよぅ」
 何だかちょっと楽しそうなのは船宿綾藤の女将・お藤。
 ギルド受付の青年はお藤に呼ばれて綾藤に顔を出しているところでした。
「泊まると言うことは、他所に出かけていくのですか?」
「ええ、昭衛様が何とか時間を作って、親子で少し出かけて親睦を深めたいようなことを言って居られましたので、ちょっと知り合いの温泉宿さんに予約を入れて居たこともあって、お誘いしたんですよ」
「‥‥‥‥えーっと、わかりやすくかみ砕いて説明お願いします‥‥」
 困ったように言う受付の青年に頷いて改めて説明を始めるお藤。
 どうやらお藤はいつもお世話になっている皆さんと思って温泉宿を予約していたよう、たまたまそれを昭衛と話していたところ、温泉も良いなぁと思ったと言われたようで。
「ですので、どうせでしたらとお誘いしたんです」
「はぁ‥‥では本日の依頼というのは、いつもの皆さんに温泉宿へご招待という?」
「ええ。皆さん日頃お忙しくしてらっしゃるでしょうから、温泉でのびのびゆっくりと楽しんで欲しいんですよ。うちの料理人も来ますので、なにか希望が有ればおっしゃってくださればと思いますし」
 にこにこしながら言うお藤に、なるほどと頷くと、受付の青年は依頼書へと筆を走らせるのでした。

●今回の参加者

 ea3269 嵐山 虎彦(45歳・♂・僧兵・ジャイアント・ジャパン)
 ea4927 リフィーティア・レリス(29歳・♂・ジプシー・人間・エジプト)
 ea5927 沖鷹 又三郎(36歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 ea6764 山下 剣清(45歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea7179 鑪 純直(25歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea8922 ゼラ・アンキセス(23歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・ビザンチン帝国)
 eb0862 リノルディア・カインハーツ(20歳・♀・レンジャー・シフール・イギリス王国)
 eb4902 ネム・シルファ(27歳・♀・バード・人間・ノルマン王国)

●サポート参加者

天風 誠志郎(ea8191)/ 霧島 小夜(ea8703)/ 柳 花蓮(eb0084)/ アウレリア・リュジィス(eb0573

●リプレイ本文

●雪に埋もれた宿
 さくさくさく、軽い雪を踏みしめる足音、嬉しそうなくすくすと笑う声。
「おきたかのおにいちゃん、いくところ、どんなところ、かな?」
「そうでござるな、落ち着いた宿で評判も上々と聞くでござるな」
 兄の清之輔が来るのでと比良屋に声をかけた沖鷹又三郎(ea5927)は、二言三言義父である彦坂昭衛と会話をしている兄の姿を嬉しげに見てから、にこにこと見上げるお雪に笑みを浮かべて頷き。
 江戸を出てから暫く、時折負ぶって貰ったりのんびり茶店で休憩をしたりしながら行く道行き、もう少しだけ進むと、宿が見えてくる頃です。
「しかし‥‥食べて呑んで興じるのがこの仕事、いったい何処の何方がお足を出してくれているのであろう」
 むむ、と不思議そうに首を傾げる鑪純直(ea7179)には、呵々と笑う嵐山虎彦(ea3269)。
「まぁ細かいこたぁ気にしねぇこった」
「いや、しかし‥‥まこと不可解‥‥深い事は気にするなとか云われてもなぁ」
 さくさくと雪を踏みしめながら首を傾げた純直、何やら決意したかのように大きく一つ頷いて。
「いずれ必ずや! この謎解き明かしてみたいものだ!」
「まぁ‥‥仕事らしくない仕事というのはありますけどね」
 ぱたぱたとそんな2人の側で、愛馬・カティオの先導をしながら行くリノルディア・カインハーツ(eb0862)。
「そうねぇ‥‥やはり報酬はお藤さんが持っているんじゃないかと思うけど」
 ゼラ・アンキセス(ea8922)が良いながら一行をぐるりと見回すと、清之輔が楽しげに手習いや稽古の話をするのに、昭衛が珍しく微笑を浮かべて頷きながら歩いている姿を見てくすりと笑って。
「昭衛さんって明らかに子煩悩ね。子供と一緒に過ごすのが楽しみで仕方がない感じよ」
「本当に。なんだか微笑ましいですね」
 ゼラに笑って頷くネム・シルファ(eb4902)。
「それにしても、噂に聞いていた温泉、楽しみです」
「大浴場のようなものかしらね。雪景色の庭が綺麗と聞くけど‥‥」
 嬉しそうに笑いかけるネムに笑みを返して頷くゼラ、寒そうに防寒具を身につけて小さく息を吐くリフィーティア・レリス(ea4927)に目を向ければ、リフィーティアは小さく頷いて。
「暖かい風呂に入りながら眺める雪が良いと、そう言う評判を聞いたな」
 何はともあれ、日が温かく照るの救いとでも言うように、寒いのは苦手だと呟いて歩くリフィーティアは、ネムと着いた先の宴について、幾つか相談を始めるよう。
「つい先日も白華亭には行って来たばかりだが‥‥ゆるりと出来る良い宿だったな」
 山下剣清(ea6764)の言葉に、自分の店が褒められたかのように嬉しげに微笑むお藤。
 最も先にきたときに皆がみなゆるりと出来たかはなんとも言えない所ではありますが。
「お、見えてきたねぃ。お雪ちゃん来てみな、もうちっと高い場所から見せてやるぜ、そうすりゃ見えてくるぞー」
「うん、ありがとう」
 すっかりと慣れたものなのか、嵐山にてこてこ歩み寄って、ひょいと肩に乗せられれば、ちょこんと座りながら見えてくる建物に嬉しそうにはしゃぐお雪。
 やがて一行は白い雪に覆われた立派なお宿に辿り着くのでした。

●宿でまったり
「身内に覚える気がなくてね、相手お願いできるかしら」
「おう、俺でよけりゃ相手するぜ?」
 ゼラが囲碁と将棋一式を用意して声をかければ、縁側で庭を眺めていた嵐山がにと笑い返し。
 縁側に台を置き始めれば、なんだなんだと覗き込む一同、将棋は決まりを応用するのに苦戦するゼラと、伊達に平蔵相手にやられていない嵐山、なんだかちょっぴりいい勝負。
「むぅん、そうくるか‥‥じゃあこれはこっちを‥‥」
「それを取るのか‥‥」
「え? あ、じゃ、じゃあこっちを‥‥」
「‥‥ふぅ‥‥」
「そこ、教えない」
 嵐山が首を傾げて駒を進めようとしたところ、昭衛の言葉にぴたりと手がとまり、あわあわと変えようとすれば、更に溜息でぐるぐるし始めますが、そこでゼラの突っ込みが。
「これは‥‥あれがこうで、それで‥‥こちらのほうが有利に見えるけど‥‥」
「そこをとると三手後に飛車が取られますよ」
「あら、ほんとね」
「‥‥清之輔‥‥」
 これは出来たかしらね、と決まりを確認しながら言うゼラに覗き込んでいた清之輔が言えば、なんだか切なげな目でそれを見る嵐山。
「んっ‥‥これで王手ね」
「あ、っと、待った、ちょっと待ったっ!」
「某思うに、王手になってから一手戻してもどうにもならぬと思うのだが‥‥」
 ゼラの王手に慌てて止める嵐山ですが、純直が笑いながら言う言葉にやっぱり? と聞き返してみたりしています。
「くっ‥‥俺の敵はきっと昭衛の旦那か清之輔坊が!!」
「こら、嵐山、御主は目先の利益に捕らわれ過ぎておる。大体――」
「あぁ、では私がお相手しましょうか?」
 どうも溜息混じりにいう昭衛の言葉と一手一手確認している清之輔に、のんびりした口調で言う比良屋主人。
「あら、比良屋さん。じゃあお願いするわ」
「では、今度は碁の方で行きましょうか」
 にこにこしながら言う比良屋、先代が好きだったんですよ、と言ってゼラと勝負を始めてみたり。
 暫くのんびり楽しく碁や将棋を指したゼラと比良屋、意外と将棋や囲碁は最近面白くなってきたとかで荘吉相手に練習しているそうで、ゼラは比良屋に勝利は持っていかれたよう。
「荘吉にはまだ勝てないんですけどね」
 照れたように笑う比良屋、将棋をにこにこ眺めて幾つか決まった動きがある事などを楽しげに説明し、ふむふむと感心したようにゼラは頷くのでした。
「雪像作り?」
「皆でやれば楽しいと思うのだが‥‥折角庭に雪が降り積もっているのだ、色々なものを作り、絵師で芸術に造詣も深いであろう嵐山殿に審査をして頂くというのは如何だろうか?」
「おう、面白そうじゃねえか、審査は任せな。っと、昭衛の旦那は清之輔坊と強制参加な」
「お雪殿は拙者と一緒に雪兎を作るのはいかがでござるか?」
「うんっ、おゆきがんばる」
 雪で像が造れるのではという話を聞いていた沖鷹は何やら用意していたものがあるらしく、お藤がお盆を持ってくると手を繋いで庭の隅へといき、屈み込んで楽しそうに何かを作り始めます。
「さて、私もさっそく‥‥」
「おう、じゃあその間に俺はかまくらでもこさえとくかねぃ」
 ゼラと嵐山が立ち上がれば、リフィーティアも何か考えがあるようで、雪を積み上げててぺたぺたと形を作り始めて。
「む‥‥」
 冷たいにもさることながら、時折きょろきょろと他に者が作る様子を窺い、見まねで形を削り付け足しとやっていくリフィーティアの側では、純直が何やら雪を高く積み上げて踏み固めという行動を繰り返し。
 有る程度の大きさになってから棒で確認をしながら削りはじめ、徐々に形が出来ていけば、荒削りで形を作っていくと、立派な翼を広げた鼻の長い天狗の姿が。
 純直は実際に見たこと処か関わったことがあるので良く姿を現しています。
 ゼラはまぁるい雪玉をいくつも作ってふたつ、みっつと積み上げての雪だるま、実や枝を使い顔を作り上げているようで。
「これがお父さん雪だるま、こっちがお母さん、これがお兄さんでこっちがお姉さんで‥‥」
「ぜらおねえちゃん?」
「あら? お雪ちゃん、可愛い雪兎ね」
 大きさを色々と変えて楽しんでいた様子のゼラにお雪が持ってきたのは雪兎。
 葉っぱの耳に赤い目は布で作っているよう、差し出される兎を受け取ると、それはお姉さんの雪だるまにのっけてみたようで。
「可愛いわ、ありがとうね。‥‥‥ところで、清之輔君達は?」
「あにさま、たのしそうにぺたぺたしていて、ひこさかのおじさま、むーってかおでゆきをけずってるの」
 その言葉にゼラが目を向けてみれば、ちょうどそこで『こういう作業は苦手なのだ』と言いつつそうっと雪の固まりを削る昭衛の姿があり、何やら猫の像を造っているようなのですが、細かいところは清之輔が作っているようで。
「図面や帳場ならば得意なのだが‥‥」
「確かに昭衛の旦那はなんだか凄いことになってるなぁ。それに較べて清之輔坊は器用なもんだ」
「そ、そんなことは‥‥父上は筆を使ったものの方が慣れておられるのではと」
 何はともあれ上手くやっている様子の父子に笑みを浮かべるゼラ。
「‥‥できた」
 何やら作り上げて少し満足げな色を滲ませて呟いたリフィーティアの雪像は、どうやら人の形らしくはあり。
「皆さん、お汁粉が出来ましたよー」
 聞こえてくる声に振り返れば、ちょうどお藤とネムがお汁粉のお鍋を持ってきて、それをお椀によそっているところで。
「点数をつけんのが難しいなぁ」
 笑いながら言う嵐山、一行は賑やかに和やかに、そして子供たちは嵐山が作っていたかまくらに入ったりしてお汁粉を楽しむのでした。

●宴会前にのんびり
「さぁて、今のうちに仕込みをやっておきましょう」
 白華亭の厨房に顔を出し、綾藤と白華亭の料理人に手伝ってもらって運び込んだ食材を前に小さく腕まくりをするのはリノルディア。
 彼女の前には俎板に並べられた牡蠣・イカ・ホタテ・ネギ・大根・春菊という、旬の食材の数々。
 お手伝いに来ていた天風誠志郎や高取サヨ
「これはどの味付けにするんで?」
「そうですねぇ‥‥御味噌仕立てにしようかと。お醤油ですとさっぱりとするとは思いますけど‥‥」
 言いながら鍋に水を入れて火にかけるリノルディア、あいなめを醤油で煮込む白華亭の料理人や、野菜を煮付ける綾藤の料理人と共に精を出していると、沖鷹が戻ってきます。
「皆さんの方はどうでしたか?」
 リノルディアが聞けばお盆に載った小さな可愛らしい雪兎を見せながら笑う沖鷹。
「今はお汁粉を食べたり、後は宴会前に温泉に浸かりに言ったりでござるな。子供たちはかまくらで楽しげに遊んでいるでござるよ」
 言って沖鷹は前もって頼んでいたらしい酒粕を受け取ると、鍋を用意し手早く準備を始めています。
 慎重にお鍋を持って出て行く沖鷹を見送ると、リノルディアは改めてお鍋に向きなおるのでした。
「ほう、これは旨い」
 かまくらの中では七輪を持ち込んで甘酒の鍋から良い匂いをあげており、湯飲みに掬ったものを受け取り、目を細めて飲み満足げに頷く純直。
「お雪ちゃん、もう少ししたら一緒に温泉に入りましょうね」
「うん、ぜらおねえちゃんとねむおねえちゃんといっしょにはいる」
「ここの浴衣は淡い蒼で綺麗ですよね。後で着るのが楽しみです」
 お雪の言葉に頷きながら微笑むネム。
 そんな和気藹々とした会話の中、なんだか隅っこで切なげに雪をいじりつつ甘酒を啜るのは昭衛、どうやら自分の不器用さにがっくりとしているようで。
 その近くで何を作ったのか、人型ということ以外分からない雪像を作ったリフィーティアは満足げに頷くと甘酒を受け取って縁側に腰をかけて、防寒着の襟を合わせるように肩をすくめます。
「おし、荘吉、風呂行くぞ風呂」
「へ‥‥僕はまだ甘酒が‥‥もって行けば良いですか」
 嵐山に言われ沖鷹お手製の鮭粕汁を口にしていた荘吉が顔を上げ、あわあわと湯飲みに入れた甘酒を手に立ち上がります。
 その言葉が引き金となったのか、各自温泉へと移動となったようで。
「おー、絶景かな絶景かなっと」
 嵐山が声を上げるのも当然の事、一面雪化粧で覆われた庭が眼前に広がる露天風呂。
 広々とした風呂に浸かれば嵐山に言われて背を流しあいながら言葉を交わす昭衛と清之輔の父子、甘酒を啜る荘吉にのんびり浸かりながらお銚子を手ににこにことそれを嵐山に勧める比良屋。
「何はなくとも夜は暖まる鍋でござるな」
「鍋は野菜も魚もたっぷりと味わえる、良い料理でやすからねぇ」
 沖鷹と綾藤の料理人は宴の相談に余念がなく。
 それを温泉にゆっくりと浸かっていた山下が聞いて楽しみだと小さく笑みを浮かべて呟いたり、ゆっくりと温泉に浸かりながら、心地よさそうにじっくりと浸かっているリフィーティアに純直。
 一方女湯のほうもほのぼのとした雰囲気の中、少し離れたほうから男風呂の声が聞こえるのに小さく笑うゼラ。
「あっちは賑やかね」
「本当に。あ、でも覗かれない様に注意ですよ」
 リノルディアにはなにやら温泉は覗きが出るものと囁いた人間がいたようで。
「温泉は健康にも美容にも良いと聞きました。こんなに気持ち良くて美容に良いというのは嬉しいですね」
 にこにことお湯を掬っては零しながら言うネムに、お藤も心地良さそうに目を細めながら頷いて。
「それにしても、足が伸ばせるのって良いわねえ‥‥」
 しみじみと言うゼラに、時折手を伸ばして雪を触っては笑うお雪。
 宴前ののんびりした時間、一行は温泉をゆっくりと楽しむのでした。

●雪見の宴
 夜になって宴会が始まる頃には空にははらはらと雪が舞い始め、暖かなお鍋やお刺身を囲んでの穏やかな宴です。
「刺身も鍋も申し分ないな」
「あら、そう言って頂けるとお誘いした意味がありますわ」
 山下が言う言葉に、お酌をしながら笑うお藤。
「ねむおねえちゃん、きれぇ」
 そして温泉を出た後、お藤に着付けて貰い、ほんのり薄化粧ではにかみながら料理を頂くネム。
「そろそろでしょうか‥‥」
 そう言って竪琴を手に音合わせをするネムは、やがてゆったりと穏やかな旋律を奏で始め、それをのんびりと聞く一行は、やがて料理やお酒、そして楽しい会話の中でだんだんと賑やかになっていき。
「っと‥‥」
 ひょいと立ち上がるリフィーティアに気がついたネムは曲を踊りの伴奏へと変え、少し温泉でのんびりとした為気だるげな様子ではありますが、むしろその様子が穏やかな宴や外を降りしきる雪にはよく合い。
「む‥‥僕この味好きですね‥‥」
「某はこちらの鍋の味わいが好ましく」
 沖鷹の鱈鍋にかぶりつきな荘吉に、リノルディアの作った御味噌のお鍋に舌鼓を打つ純直、そして鰤のお鍋では昭衛が具をよそったお椀を渡すと清之輔が嬉しそうに笑い。
「っと、俺もこうしちゃいらんねぇな」
「お饅頭もありますよ?」
 昭衛が実は甘いものが好きだということを聞いていたリノルディアが差し出せば、む、と饅頭をつまみに雪見酒と洒落込む昭衛。
 酒の杯を開けながら笑い絵筆を取る嵐山。
 そうして賑やかに宴の夜は更けていき。
「あら、ネムさんは温泉?」
「ええ、なんだかとても気にいりまして‥‥」
 宿での滞在の間、温泉を堪能するネムに、庭では純直が竹を割って小刀で細工した竹すべりで子供たちは楽しげに笑い声を上げていて。
 その間に子供たちに引っ張り出されて昭衛が埋まって出てこないなどと言うこともあったりはしましたが、それぞれが目一杯に楽しんだようで。
「たまにはこんな風にゆっくりも‥‥」
「良いものですよねぇ」
 微笑ましい様子を眺めながら、ゼラとお藤はそう言って笑いあうのでした。