【華の乱】留守の勤め・守 其の三
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■シリーズシナリオ担当：想夢公司 対応レベル：11〜ｌｖ 難易度：難しい 成功報酬：10 G 86 C 参加人数：8人 サポート参加人数：3人 冒険期間：08月18日〜08月25日 リプレイ公開日：2007年08月29日 |
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●オープニング
その日、凶賊盗賊改方の役宅へと呼ばれて緊張した面持ちで顔を出したギルド受付の青年を待っていたのは、改方長官・長谷川平蔵が妻の久栄と筆頭与力の津村武兵衛。「よう来てくれた‥‥早速で申し訳なんだが依頼の話をさせていただこう」
そう言う武兵衛の表情は僅かに曇っており、久栄の手ずからのお茶を頂くと目を向ける受付の青年の表情も思わず引き締まり。
「先達て捕らえた者達の事をまず‥‥女が首謀者であったあれは、身内を助け出すための牢破りをするようであったことが１つ、そして今一つが、長谷川様の煙管を懐に隠し持っていた男のことであるが‥‥」
そう言って話をどう切り出すべきかを迷う様子の武兵衛の代わりに口を開く久栄。
「実は同心達の責めにも禄に口を割らなんだ男達なのですが、うちの１人が乱の直後にとある村跡に立ち寄り拾うたものと‥‥」
「‥‥とある村跡って‥‥」
「先日、その村には別件にて弔いの香を上げにいった方々も居たそうにございますね。わたくしが正確に伺った訳ではございませぬが、どうにも村の弔いをした者達は負傷者らしき者を運び出していたらしい、と‥‥」
「それに村から物が持ち出された様子はなく、武装の下、懐深くに仕舞っておられたはずの煙管を落とすかときつく問うても答えぬ」
「‥‥それって、もしかして‥‥」
「儂や他の同心達は長谷川様は牢内にいる者達の村に居られるのではないかと思っておる。しかし警戒をしておるのか、我らにとってもっと‥‥」
「悪き事態が殿様の身の上に降りかかり、身の保身として口を噤んでいる可能性もありますれば‥‥なればこそ尚のこと、男達の思惑を確認せねばなりませぬ」
言い辛そうに僅かに言葉を途切れさせる武兵衛の代わりに言葉を引き取るようにして言う久栄。
「それと今一つ急ぎに対処せねばならぬ事が‥‥こちらは牢より逃走せし盗賊の捕縛‥‥現状逃げた者達の中で残されているのは雹害の八十助のみ」
武兵衛の言葉に先程まで書いていた依頼書の手を止め、新たなものを取り出して武兵衛を見る受付の青年に現状を説明する武兵衛。
「現状数名の密偵と同心が連係をして八十助の塒を張っている状況であったのだが‥‥焦臭い動きがあり密偵達の身の安全を第一に考え、一部の者を除き同心達で対処しているのが現状だ」
「はい、あれですね、密偵達が狙われていて、そちらの方の原因をと言う」
「うむ、それで気になるのが、先日改めて捕縛することが出来た流れ盗めの盗賊、あの者の接触していた相手なのだが、あやつは相も変わらず口を割らぬゆえ、如何ともし難く」
眉を寄せる武兵衛に頷きながら筆を走らせる受付の青年。
「そこで、今までそれぞれに別れて動いて貰っていた者達で、協力し男たちの村と長谷川様の足取りを追うことと、雹害の八十助の捕縛及び流れ盗めの男と接触をしていた者の調査、是を頼みたい」
武兵衛の言葉に受付の青年は難しい顔で頷きながら筆を走らせるのでした。
●今回の参加者
ea2175 リーゼ・ヴォルケイトス（38歳・♀・ナイト・人間・ノルマン王国）ea3269 嵐山 虎彦（45歳・♂・僧兵・ジャイアント・ジャパン）
ea3731 ジェームス・モンド（56歳・♂・神聖騎士・人間・イギリス王国）
ea8703 霧島 小夜（33歳・♀・浪人・人間・ジャパン）
eb0939 レヴィン・グリーン（32歳・♂・ウィザード・人間・ロシア王国）
eb1098 所所楽 石榴（30歳・♀・忍者・人間・ジャパン）
eb4994 空間 明衣（47歳・♀・浪人・人間・ジャパン）
ec1132 ラスティ・セイバー（32歳・♂・ファイター・ハーフエルフ・イギリス王国）
●サポート参加者
所所楽 林檎（eb1555）／ リィーナ・ソラ（eb3955）／ 笠原 留吉（eb5596）●リプレイ本文
●説得「済まないな、ここ数日は余り相手をしてやれずに済まないな」
「いえ、お役目お疲れ様です！」
空間明衣（eb4994）が凶賊盗賊改方の門番・一太に声をかければ、一太は元気良く返事を返し、明衣も僅かに口元に笑みを浮かべます。
暑い最中の改方の門のところで捕り物出立前の霧島小夜（ea8703）に軽く稽古を見て貰っていた一太は、見れば一月前に比べればずっと体つきも整ってきており、未だ表情は幼いながらも役目の為にも教わったことを胸に日々精進しているようで。
素振りや手練し力を蓄えるための手段を助言する明衣に真剣な面持ちで聞き入る一太。
「基本が大事だからな。よく例えにあるが土台が大事だという話は本当だからな。ただほどほどに休みをいれる事だぞ」
特にこの夏の暑さは下手をすれば命に関わりかねないからな、そう告げる明衣に元気良く返事を返す一太に笑みを浮かべて頷いてみせると、明衣は牢へと足を向け。
「‥‥そう言えば、長谷川様は大丈夫、でしょうか？」
「まさか煙管が出てくるとは、まさに『瓢箪から駒』だ。良くも悪くも王手に近そうな駒だが‥‥」
不安げに呟く一太に、そこまで言ってそろそろ捕り物に出る刻限のようで一度役宅を見やってから続ける小夜。
「まぁ持ち主が持ち主だし、そう悪い結果にはなるまいよ」
殺しても死にやしない、長谷川平蔵を知る者達にしてみれば皆、願望もあるでしょうが、それ以上に信頼とも理解とも言える、確信にも似た思い。
そしてそれは、明衣が向かった牢に隣接した部屋に居る人々も同じ思いでした。
そこには既に牢から出され座る１人の男の姿がありました。
「他の連中は今涼雲先生が見てるぜぇ」
明衣に嵐山虎彦（ea3269）が言えば、驚くほどに食事などに気を配られて体力を保っていた中年男が一行に囲まれるように座っていました。
「どれ、手を見せてごらん？」
明衣が男の手を取りいえば、その手は拷問時に行われたことによって痛々しい状態になってはいるものの手当にも気を使っているのがよく分かり、明衣は爪の間の傷口へと軟膏を塗り覆うように包帯を巻いていき。
「‥‥」
探るような鋭い視線を巡らす男は、まだ改方という組織について理解している風ではなく、ある意味その苛烈な取り調べと相反するかのような手当や食事などの扱いに訝しげな表情で。
「僕たちは、どうしても教えて貰いたいことがあるんだっ、だから、まず僕たちの話を聞いて欲しいんだよっ？」
「教えて貰いたいこと‥‥さて、見当も付かないねぇ」
所所楽石榴（eb1098）の言葉にそう返す男ですが、その聞きたいことが煙管の持ち主であることを男が理解しているのは誰の目から見ても明らか、男自身もそれを理解しながら一行を伺うように見ます。
「ま、何にもねぇのも味気ねぇ、呑みな」
男へと嵐山が差し出したのは湯飲みに汲んだ一杯の酒、男はそれを受け取るとぐっと煽ってから、目で嵐山と石榴へ話を先へと促し。
「お前さんがもってた煙管、ありゃ俺ら改方の長官、長谷川平蔵様の持ち物だ。このお方に見覚えはねぇか？」
嵐山が人相書きを見せるも、それが予想できていたからか眉一つあげずに知らないなと返す男、改方というものが何かを石榴と嵐山が説明をするも半信半疑で。
「‥‥」
「江戸より余り離れていない近隣であることには間違いないが。道具ってやつは、それを使ってるやつの事とか、暮らしている環境を如実に語ってくれる事も多い‥‥まぁ、それで近辺の地形と照らした時に何かわかるか‥‥？」
男が頑なに口を噤んでいるのを見てジェームス・モンド（ea3731）が他の持ち物が誰もが思ったよりも軽装であったことなどを見て考えるように呟くと男の説得の様子をちらりと窺って。
「‥‥私は‥‥」
やがて口を開いたのはレヴィン・グリーン（eb0939）。
「私のような異国の者がこの様なところにいるのは不思議に思われるかも知れません。ですが、私は改方、ひいては長谷川さんの考えに共感しお手伝いしているのです」
レヴィンの言葉は切実でした。
盗賊に苦しむ当たり前の生活を送る人々のためにと言う平蔵のことを思い、そして教典の力を借りれば心を読むことが出来ても、無理矢理その人の考えること、心に踏み込むことは出来るだけしたくないという思い。
「みんな‥‥平蔵さんが無事に戻ってきて欲しいって思って‥‥あの略奪を受けた村の埋葬をしてくれたのも、貴方達、だよねっ？」
埋葬をしてくれていたことについての感謝とそこから運び出された怪我人の事を妹から聞いていた石榴は祈るような思いで男へ銀煙管の持ち主のことを、長谷川平蔵のことを教えて欲しいと訴えて。
今捕り物に出ている仲間達の思いも込めて告げる石榴が村のことを知っているのも幸いしたのか、男は改めて村と改方の話と引き替えに重い口を開くのでした。
●男の素性
「そんじゃ、江戸の町に出てくることもめったにねぇって事か？」
嵐山の言葉に頷く男。
男達の村は森の奥にあり、江戸が出来た頃には既にそこに隠れ住んでいたとか、老人達に聞けば詳しいことはわかるだろうとのことですが、あえて語らないことは訊ねていないと男の言葉。
「近いこともあった、それで隠し通せることもないと、その村の村長や猟師の一部とは交流を続け、我々も山で採れたものなどを必要な物があればまとめて買い求めて貰っていたが、近頃いろいろと物騒な事件を風聞で聞き‥‥」
隠れ住んでいる村とは言え、村の者たちは主に狩りと武芸に精進し、普通に里にも降り、中には旅をする者もいたためあちこちで起きる山賊や夜盗たちの仕業には心穏やかならぬものがあったそうで。
「その中で、乱が起きたという話を耳にして、付き合いのある村の様子を見に行ったわけですね？」
レヴィンが確認すると男は頷き返し、モンドが一番気になっていたことを男へと尋ねかけます。
「‥‥長官は‥‥長谷川殿の安否を伺いたい」
「見つけた時には村の近くの川岸に打ち上げられていた。死んでいるとも思ったし、村を滅ぼした者たちの１人と思い話を聞くために連れ帰った‥‥場合によってはと思ったが‥‥」
連れ帰り傷の具合を見て助からないだろうと思ったそうですが、手当てをして牢に入れて様子を見ていたところ、思った以上の回復力で命を長らえ、身分を聞いたところ‥‥。
「‥‥江戸の近況は耳に入っておらず、助かるための嘘か与太話かと疑ったと‥‥」
明衣が言えば、大きく頷く男。
「飯や水が欲しいかと何か欲しいものがあるかと聞けば、酒をくれと笑って言いおったのを見て、流石にまともではないと‥‥だが証の品だといわれ例の煙管を持って江戸に確かめに来て、この様だ」
「そりゃ御頭らしい」
「じゃ、じゃあ、平蔵さんは‥‥今は村で、無事‥‥なの、かなっ？」
その言葉を聞くために、石榴は震える声で男へと尋ね。
「あぁ、怪我は完治しちゃいないが、殺さなきゃ死なないな、信じられないしぶとさだ」
その言葉に僅かに目に涙を浮かべて微笑する石榴に、レヴィンもその手を取り安堵の表情を浮かべ。
「怪我人に過ぎた酒はいかんな」
低く笑う明衣、そして嵐山は口を開いて。
「俺らにゃ御頭が必要だ。こちらからできる援助や協力ならするし、報酬だって出そう。それにお互い伊達にゃ良い思いはしてねぇわけだしな」
嵐山の言葉に目を向ける男。
「だから御頭を帰しちゃくれねえか」
嵐山の言葉に男は一行を見回せば、暫し思案する様子を見せ、やがて深く息をつくと頷くのでした。
●不穏な動きの女
「行った、か‥‥」
村の男たちと共に平蔵を迎えに出て行った一行を見送った後、ラスティ・セイバー（ec1132）は小さく息を洩らして牢へと目を向けました。
数名の捕らえた男たち全員を放すのはある意味危険な賭けとも思えましたが、いざという時にあの一行ならば大丈夫だろうし、何より信用していない為の人質と見られる方が困るとなり。
その後今牢に残っているのはこの間捕らえた女のみです。
数名の盗賊たちも、女と協力した浪人たちも余罪があったりお仕置きは免れなかったりとした中で、女一人が留め置かれた状態で牢に入れられていたのですが、ラスティはこの女が妙に気がかりでなりませんでした。
盗賊たちが処刑されたということは、女が牢破りしてまで助けようとした男も当然仕置きになっているわけで、暫くの間は気が触れたかのように暴れまわっていた女ですが、ある日を境にすっかりと大人しくなっていました。
「あの女の様子は？」
「それが‥‥」
「相変わらず、気味が悪くっていけませんや」
牢番２人が口を揃えて言う言葉、どうやら今捕物に向かっている一行が戻ってくるときを考え、女の牢を同心に付き添ってもらい移動させたのですが、その時にも気味悪く笑っていたそうで。
「っと、牢の準備はできている？」
そこにリーゼ・ヴォルケイトス（ea2175）の声がかかったかと思うと、見ればリーゼが牢へとやってきたところで。
「首尾は？」
「一網打尽。ただちょっとこの後が忙しくなりそうでね」
今回の捕物は雹害の八十助自身を捕らえるもの、そして捕らえた八十助から聞き出すことがあるようで役宅内はにわかに慌ただしくなってきています。
「ところで、そっちの守備はどうだった？」
小夜もやってきて言えば、一行が平蔵を迎えに出かけて行ったことを聞き。
「良かった‥‥平蔵さん、さっさと戻ってきてくれればいいのにね‥‥」
微笑を浮かべて言うリーゼに死に様な御仁でもないだろう、低く笑って言う小夜。
「悪いが役宅の方は頼んだ。すぐに出ることになるだろうからな」
「ああ、任せておけ」
小夜の言葉に頷いて答えるラスティ、小夜とリーゼはすぐに盗賊たちを牢に引き立てる手伝いに戻るのでした。
「‥‥ねぇ、異国の兄さぁん？」
その時くすくす笑いで耳へと入ってくる女の声。
「今のどさくさにあたしを逃がしてくれたら、あんたに手柄を取らせてあげるよぉ？ 牢を破れって、そう言った盗賊が勿論いるのさねぇ」
甘えるかのように言う女は牢内の男のために牢破りを企てたの一点張りでずっと黙っていたはずなのですが、突然言い出した他の盗賊の事に眉を寄せるラスティ。
『俺の取り越し苦労ならばそれで良いが‥‥襲撃が一回、未遂が一回。三度目が無いとも限らん』
皆が出かけるときに本丸をあけるわけにはいくまいと留守を申し出たラスティは、色めき立つ牢番たちを手で制して女を見つめ。
「‥‥‥‥今お前は自分で他の盗賊の存在を認めた」
「えぇ、だから‥‥」
「だから」
女の言葉を遮ってラスティは言葉を続けます。
「だから、その盗賊の事はこの後じっくりと、取り調べで聞くことにしよう」
「っ！！ あぁああっ！！」
ラスティの言葉に狂ったように牢の格子に武者ぶりつく女をラスティは冷ややかに見つめて。
「悪いが、皆から聞いた長谷川殿の人となりから考えれば‥‥手柄に焦る必要はない。その手は使えん」
女の真意はどうであれ、手柄に焦らせて逃げるか手引をさせるかを狙った様子を退けると、ラスティは改めて門番たちに女の監視と女の言葉を聞いてはいけないと釘を刺して役宅警備に戻るのでした。
●逸る気持ち
大人数が江戸を抜けるのに水路が楽、ということで綾藤で船とちょっと気の利いた船頭を用意して貰い出かけた一行は、男たちの言う滅ぼされた村にやってきて船を止めれば、そこに供養をしたあとが見えるのに思うところのある様子の石榴。
「ここより陸路になる船はこの村の外れに隠しておける場所がある」
主格の男が言うのに案内されて森の道を分け入れば、やがて少し行ったところに小さな広間が見えて。
「夜に進むのは危険じゃ？」
船で大分時間を縮めることができたものの夜の闇の中で森を進むのは危ないため野営かと思われたのですが、男がすぐだと言ってその広間に面した岩の麓の草を何やらかき分ければ、そこにぽっかりと穴が開いており。
「ちょいと窮屈ですが、ここを潜って貰います」
言って先にくぐって入っていく男、もし罠だったら、一瞬よぎる不安もありますが、そこに体を縮込めて飛び込んだ嵐山は、ちょっとやそっとのことだったら自身は耐えられるという自信から出た物かもしれません。
ともかく、やっとこさ穴を通り抜けた嵐山はそこに村が広がっており、何やら出てきた武装の男と先に入っていった男が言葉を交わしているのを目にして目を瞬かせます。
「申し訳ない、わが村に巨人族を通すのは初めて故、ちと穴が狭ぅござろう」
武装の男が声をかければ穴から這い出た嵐山に続きモンド・明衣、そしてレヴィンと石榴が村へと入ってきて、その後ろを牢に入れていた男たちが続きます。
「馬やあんたらがここにいるんだ、他にも道があるだろうに‥‥おお痛ぇ」
わざとらしく岩で刷った場所をリカバーで癒しつつ笑う嵐山、森を抜けてくる道はもっと入り組んでいて危険だからと抜け穴からのご招待だったようで。
「では、あの牢の御仁、本当に役人であったか‥‥由々しき事となった」
役人に隠れ住んでいた村を知られたことを指しているのでしょうが、その意をくんだモンドはにっと笑いながら首を振って。
「なに、改方が召捕るのは悪党ばかりでな。手違いで入って貰ったものもいないわけではないが」
その言葉に頷くと、客の間を用意しようと告げて戻っていく武装した男が歩き去ると、案内をしてきた男がこちらへと一行を呼んで。
そこは村の中でも珍しい石壁の一見すれば蔵のようなところ。
重い鍵で戸を開ければその蔵の床にある戸を開けて下りていく階段。
期待と緊張に小さく息をのむ石榴はぎゅっとレヴィンの手を握り、男について２人階段を下りて行き。
続いて明衣・モンドと降りていくと、地下への扉を前に通れるのかと戦々恐々としながらの嵐山が続いて。
地下の間奥、そこある格子の向こう側に気配を感じてじっと見つめる一行。
「よぅ、遅かったなぁ」
低く笑う声にはっとする一行。
男が部屋の隅にある明かりを手に戻ってくれば、その行使の向こう側、髭や月代が伸びて大分凄い状態ではありますが、確かに見知った長谷川平蔵その人が。
男が牢の鍵を開け、怪我が完治していない平蔵をモンドと嵐山で助けて牢から出れば、案内される大きな屋敷へと足を踏み入れ、客間で明衣が手当てをして。
「まずは私の出番だな」
明衣がそう言って当てをしている間、一行は村の事は他言無用であること、今までの詫びについては改めて人を近いうちに江戸に送ることなどが告げられるのでした。
