模倣せし鬼3〜模倣犯ランズ=シシリー

■シリーズシナリオ


担当:立川司郎

対応レベル:6〜10lv

難易度:やや難

成功報酬:4 G 9 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:05月02日〜05月08日

リプレイ公開日:2005年05月11日

●オープニング

 騎士団の監視下にある“彼”を、夜中にこっそりおとずれたのは一人の少女だった。
 少女‥‥セレスティンは、何とか騎士達を言い含めて彼の牢の前にやって来た。確保されてからずっと、こうして、牢の端に座り込んで何か呟いていた。
 ようやくつかめたのは、彼が“ヒス・クリストファ”という名前である事、もう一人の犯人が“ランズ・シシリー”という名前である事。そして、何者かは分からぬ神父の存在が背後にある事だった。
 セレスティンは、自室に戻ると今までの事を羊皮紙に書き留めて考えはじめた。
 7日ごとに事件が起きる事、これはバラバラ殺人‥‥おそらく、シシリーの犯行。シシリーはおそらく剣を使い、それも相当の使い手だ。先日の調査で仲間を切ったのは、シシリーと見て間違いない。
 もう一人が今回捕まった、クリストファ。彼は雷の魔法を使い、死体に残っていた奇妙な痣は落雷によるものであると思われる。
 それにしても‥‥。セレスティンは、考え込んだ。
 シシリーの様子。あれは、冒険者達が見張っている事を知っていたかのようだった。彼らが来るのを待っていた‥‥いや‥‥“おびき出された”? 7日ごとに事件が起こり、ギルドに依頼が回り、誰かが来るのを待っていた‥‥。
 その結果、クリストファは捕まった。
 もし、これが全てシシリーの仕組んだ事であるなら、全く油断がならない。
 シシリーが何を考えて事件を起こし、どうやってクリストファやフゥの樹と接触したのか‥‥何故死臭アスターの犯行を模倣するのか、調べねばならないだろう。

 セレスティンが自室に籠もっている間、クリストファ逮捕の知らせは町に届いていた。まるで自分たちが捕まえたかのように、騎士達が誇る。その彼らが口にする逮捕劇は全くちぐはぐで、口裏を合わせる事すらしていなかったりするが、あまり問題では無いらしい。
 町の人々は喜び、騎士達を褒め称えた。
 だが、その裏で囁かれる、セレスティンの噂。町中にたびたび冒険者と思われる者と出歩いていた事、事件について彼らが調査していた事。
 やがて、再び事件は起こった。今度は全く無差別に、全く不規則に。
 ようやく本領を発揮した‥‥そういった様子で、事件は続く。やはり事件は解決していないのだ。町は再び沈黙し、騎士達の喜びはつかの間で終わる。
 彼らに貰った服を身にまとい、質素な町娘を装ってセレスティンは町に出る。
 しかし、零れる金色の髪と透き通った白い肌は隠せない。
 セレスティン様‥‥何故事件は続くのですか。犯人は捕まったのではないのですか。
 町の人々は声を掛けてきた。
 ‥‥いや、事件はまだ終わっていないわ。もう一人、犯人が居るの。どうか、夜歩きは気を付けなさいな。
 セレスティンは小さくそう答えると、城へと戻っていくのだった。

●今回の参加者

 ea1987 ベイン・ヴァル(38歳・♂・ファイター・人間・フランク王国)
 ea3147 エルフェニア・ヴァーンライト(19歳・♀・ナイト・エルフ・ノルマン王国)
 ea3677 グリュンヒルダ・ウィンダム(30歳・♀・ナイト・人間・ノルマン王国)
 ea3692 ジラルティーデ・ガブリエ(33歳・♂・ナイト・人間・神聖ローマ帝国)
 ea3855 ゼフィリア・リシアンサス(28歳・♀・神聖騎士・人間・ビザンチン帝国)
 ea4817 ヴェリタス・ディエクエス(39歳・♂・神聖騎士・人間・神聖ローマ帝国)
 ea7191 エグゼ・クエーサー(36歳・♂・ファイター・人間・フランク王国)
 ea7210 姚 天羅(33歳・♂・ファイター・人間・華仙教大国)

●リプレイ本文

 地図を受け取ったジラルティーデ・ガブリエ(ea3692)が部屋を出ていくのを見届けると、エルフェニア・ヴァーンライト(ea3147)はグリュンヒルダ・ウィンダム(ea3677)が書いていた絵に視線をやった。
「リアンコートの二人の息子の肖像‥‥それを元にして人物画を書いています」
「確かあなたはあの領主の息子について調べていましたね。何か分かった事があったら、教えて頂けませんか」
 エルフェニアがヒルダに問うた。
「私もそれほど調べては居ませんよ。ただ、名前がイングリートとハルトマンという、としか。あなたが行って調べて頂けるなら、私はその間尋問に専念出来ます」
「もし彼らが犯人ではなかったら?」
「犯人では無かったとしても、フゥの樹に関連しているのは間違いないと思います」
「分かりました。では私はシャンティイに行って参ります。後はよろしく頼みます」
 エルフェニアは踵を返すと、姿勢を正して歩き去った。
 一路、シャンティイへ。

 一方ベイン・ヴァル(ea1987)は、エグゼ・クエーサー(ea7191)と連れだって聞き込みを開始した。酒場や市場など、人が多い場所で殺人事件について聞いて回る。しかし、こう殺人事件が続いては夜歩きする人も減っており、酒場も人気がなくなっていた。
 また、ジラが教会でそれとなく噂を流した事も効果があった。殺人鬼による事件は、悪魔となったアスターが行っているのだと話したのである。これは嘘なのだが、悪魔だといえば人は夜歩きをしなくなるだろうという考えがあっての事だった。
 商売替えをしなきゃならん、とぼやく酒場の主人と別れた二人は、深夜の街中をあの緑地帯まで歩きだした。暗闇の中、緑地帯の前に黒い影がうすぼんやりと立っているのが見える。側に、それよりずっと小さな人影があった。
「ガブリエ君!」
 エグゼが声をかけると、ジラはふいと視線をむけ、返事もせずに羊皮紙に視線を落とした。横に立っていたセレスが、顔をこちらに向ける。
 ジラが見ていたものはヒルダに借りた地図だった。地図を探していたジラに、ヒルダが以前セレスから見せてもらった地図を書き写して渡したのである。ジラはそれに、犯行のあった場所に印をつけていた。
 やはり、事件はこの緑地帯周辺に集まっている。理由の一つは、この緑地帯が街の中心部にあり、移動する際に通りやすいという点にあった。また、犯人が犯行を行う際、夜になると明かりが少ない為に見つかりにくい。
「もう一人に遭遇したって聞いたけど?」
 エグゼがベインを振り返る。もう一人の犯人に遭遇したのは、前回エグゼの代わりに来た者であった。彼女とて剣は使うが、シシリーには及ばなかった。
「そのシシリーについて、何か分かったの?」
 セレスが聞くと、ベインが口を開いた。
「ああ、誰なのかは分かった。ただ、家には居ないようだな。長い間戻って無いそうだ」
 ランズ・シシリー。元は、この街の騎士の家系である。しかし30年前にアスターが暴れ回った際、彼の家系の者は彼に殺害された。騎士では無い者と、女性を残して。
 彼は、その残された女性の子であった。その後は貧しい生活を強いられ、ランズも騎士になる事はなかった。残された母も既に死亡している。その後、シシリーは街で剣を習いながら、騎士団の元で街の警備を行っていた。
「周囲の人の話によれば、幼い頃から鼠などの動物を捕まえてきてはナイフで切り刻むなどの行為を繰り返していたそうだ。母親はよく分からない宗教に傾倒し、街の人との付き合いもなかったらしい」
「それがフゥの樹か。で、シシリーの剣の腕前はどれ位なんだ」
「かなりの使い手だ」
 ベインは、エグゼに答えた。
 エグゼは腰の刀に軽く手を触れ、それから何か思い出したように鞄へ手を突っ込んだ。
「お嬢さんはそろそろお城に戻らないと。ほら、これをあげるからガブリエ君に送ってもらえよ」
 エグゼは、鞄から何かを取りだし、セレスの手に握らせた。小さな、水晶のペンダントだった。セレスはぎゅっとそれを握りしめ、見上げる。
「‥‥えっと、あ、ありがとう」
 高価なものではなかったが、セレスは嬉しそうにペンダントを見ていた。そっとジラが背中に手をやり、押し出す。
「行くぞ。ベインとエグゼに付き合っていたら、朝になる」
「分かったわ、それじゃあ行きましょう」
 セレスはちょこんと会釈をすると、ジラに付き添われて城の方へと帰っていった。
 エグゼが振り返ると、ベインは無表情のままにエグゼを見返していた。
「確かフゥの樹について聞きたいと行っていたよね」
「ああ。お前達はリアンコートの一件に関わっていたと聞く。実は俺が関わったクレイユの事件でも悪魔崇拝の痕跡があってな‥‥関連があるかもしれん」
 エグゼが関わっていたリアンコートの一件。それは、フェールという騎士から持ち込まれたものであった。正確に言えば、フェールではなく、その周囲の勧めにより、だが。エグゼ曰く、とにかく融通がきかない男。霧の立ちこめる森に、リアンコートの侍女が連れて行かれたと聞いたフェールとエグゼ達は、彼女の捜索に乗り出す。やがてその森で大麻が採取されている事、それがリアンコートの領主に繋がっている事を知る。
「その時裏に居たのが、フゥの樹とあの神父だ」
 悪魔、それが神父に会った者の共通した認識。
 エグゼは斬りかかろうとしたが、それを仲間に制止された。
「まるで幽鬼のように現れて‥‥今太刀打ち出来る相手じゃない。仲間に止められなければ、俺は‥‥」
「倒せないと思っていた者を倒せる時は、必ず来る。‥‥クレイユの事件のようにな」
「そっか。そうだよな」
 エグゼはくるりと振り返ってベインと向きなおった。

 人の気配の無い夜の街を、一人の少女と青年が歩き続ける。セレスのやや後ろを歩きながら、ジラはセレスの話をきいていた。
「30年前、即位したばかりの父上はアスターを捕まえる事が出来なかった。被害者は増え続け、結局パリの騎士団が動く事になったわ。それ以来、我が領地内の権力争いは激化した。そしてまた、殺人鬼が現れたわ。でも城内の人達は次の覇権に夢中だし、騎士団もやっぱり殺人鬼の尾を捕まえる事が出来ないで居るの」
 ふい、とセレスが振り返る。ジラが立ち止まっていた。セレスは静かに彼の前に立ち、手を取る。ジラの体には、隠されてほとんど見えないが包帯が巻かれていた。
「クリストファが逮捕されシシリーが活発化した。フゥの樹が城に付け入る隙をつくってしまった事を読めなかったのは、俺の責任だ」
「悪魔が恐ろしいのは、人を殺す事ではないわ。人の心に付け入る事。‥‥付け入られる隙さえなければ、何も怖くはない。だから、わたくしは悪魔が怖くないわ」
 毅然とした様子で、セレスはまた歩き出した。
 君に何かあったら悲しむ者は沢山居る。
 セレスが振り返ると、ジラは声を出した。
「今後は特に気を付けた方がいい」
 セレスは頷いた。

 ヴェリタス・ディエクエス(ea4817)はギルドで読んだ、アスターの事件に関する報告書を思い返しながら、話をはじめた。
 それは30年も前に遡る。監獄で死刑執行人として勤めていたアスター・ケイニッヒは、黒の修道士と出会った事により殺人鬼への道を歩み始めた。看守を殺害した後、アスターは次々と殺人を犯していった。騎士団も彼を追ったが、その足取りはなかなかつかめず、ついに犠牲者は30人を越える。手を焼いた領主‥‥セレスの父や近隣の村々は金を出し合い、ギルドにアスターの駆逐を依頼した。
 時を経て30年後。死した後も死霊として彷徨っていたアスターは、何者かによって解放される。
「それ以降は、報告書を読んだ方が早いかもしれんな」
 ヴェリタスが話を終えると、姚天羅(ea7210)はああ、と返事を返した。ヴェリタスと共に訪れた監獄は、アスターが勤めていた監獄である。しかし今は移転し、誰も使っていない。ここに一人の老人が住んでいた。
 暗い廃屋の更に奥、老人はひっそりと生きていた。
「お主。また来たのか」
 老人はヴェリタスを見ると、声をあげた。ヴェリタスはふ、と微笑して老人の側に腰をおろす。姚はヴェリタスの後ろに立ったまま、耳を傾けていた。
「ご存じのように、殺人鬼はまだこの街に居ます。ご老人には、もう少しお聞きしたいのですが」
 ヴェリタスが話し出すと、老人はたき火に薪をくべながら語り出した。
「さて‥‥アスターはずいぶん殺したもんでな、わしも犠牲者の事はよくしらん」
「アスターはここで死刑執行者として働いていたと聞きますが」
 姚が聞くと、老人は顔をあげた。
「ああ。この監獄に居た女囚が牢で生んだ子でな、母はすぐに死んでしもうたが、アスターはここで育った。それ以来、剣の腕も何も、この監獄で学んだ。だがなあ、アスターとその殺人鬼は別じゃ。いくら模倣したとて二人は別人‥‥目的も方法も少しずつ違って当たり前、だからあんまりアスターに拘らん方がええよ」
 アスターが何を考え、犯行に及んだのか。それはもう誰にも分からない。
 老人の元を立ち去り、道すがらヴェリタスは監獄の側にある墓地に寄った。ヴェリタスが足を止めたのは、一つの墓の前。
「これがアスターの墓か。ヴェリタス、シシリーが奴を模倣しているなら、死刑執行者としての奴も模倣するだろうか。‥‥要するに、ヒスを殺しに来るかって事なんだが」
 さあ‥‥とヴェリタスは曖昧に答えた。あの老人は、アスターに拘るなと言っていた。シシリーは確かにアスターを模倣しているが、ここ最近の二人は決定的に違う所がある。
 アスターは性癖からか、女性や子供を多く殺害した。老人や男性は数少なく、これについては顔を見られたり遭遇した為に殺害したと見られている。
 しかし、シシリーは男性であろうと構わず殺害している。
 ヴェリタスが見下ろす墓‥‥今は葬られているはずの遺体を失っていた。もしかすると、全ての答えはもっと先にあるのかもしれない。

 狭く暗い通路を抜けて彼女達が牢の前に立つと、彼はゆっくりと顔をあげた。
 ゼフィリア・リシアンサス(ea3855)は静かに中に入り、ヒスの前にしゃがみ込んだ。
「お腹がすいてませんか?」
 返事が無い。しかし、ゼフィリアはかまわずに籠に入れてもって来たパンを出す。籠の中には、先ほどいれたばかりのお茶が入っていた。カップに注ぎ入れ、ゼフィリアはヒスの前にパンとお茶を差し出した。
 ヒスはじっと彼女の手元を見ていたが、やがて手を伸ばした。彼に面会するにおいて、ヒルダとゼフィリアは正装で訪れていた。かつ、ヒルダは騎士団にリアンコートの領主の息子に関する情報を聞き出す為だと説明した。これは嘘は言っていない。
 ヒスはパンとお茶を口にしながらも、二人の事を気にするようにちらちらと見ていた。
「ヒスさん。お聞きしてもいいですか? 私達は、今回の事件とフゥの樹について調査をしています。あなたのお母さんを生き返らせてもらえるそうですけれど‥‥その神父様から聞いたんですか?」
 ゼフィリアが問い返すと、ヒスが答えを返してきた。
「フリューゲル神父は言ったよ。悪徳を積めば、お母さんを生き返らせてくれるって。僕はもっと強くなって、いずれ神父様みたいになれるって」
「シシリーさんとも、その事で勝負をしているんですか?」
「勝負は‥‥シシリーが。シシリーは人殺しが好きだから。勝負をしながら殺していくのが楽しいって。そうして、いずれ悪魔になるんだって」
 悪魔になる?
 ゼフィリアは言葉を失った。悪徳を積んで神父みたいになる? その為に人を殺している? 呆然とするゼフィリアにかわり、ヒルダがヒスに問いかけた。
「少しこれを見てもらえますか?」
 ヒルダは、書いてきた絵をヒスにみせた。一枚と二枚目は、リアンコートの領主の二人の息子に仮面を被せたものだ。三枚目はジェラール。
「この中にシシリーは居ますか?」
「居ない。で、でもこれ‥‥イングリートさんだ。イングリートさん‥‥優しい人だ。頭もよくて‥‥いい人。こっちは知らない」
 ヒスはジェラールの事は知らないようだ。
「フゥの樹はどうやって接触しているのですか? 神父を含めて、彼の活動について分かる事があれば教えてください」
「知らない‥‥集まる時は手紙が夜中に入ってる。場所も変わるし‥‥。この間は、森の中の教会に行ったよ。でも何かズゥンビの死体を焼いたとか‥‥すごい臭いだったよ」
 この教会については、ギルドの依頼が入っていた教会だと後に判明する。事件は既に解決し、関わっていた者も捕まっていた。
「シシリーさんっていろんな人を連れて行っていますよね。その人たち‥‥どこに居るんでしょうか。ほら、どこに住んでいるのかなって」
 飲み干したカップにお茶を注いでやりながら、ゼフィリアはヒスの言葉を待つ。
「僕は‥‥知らない。でも、森の中に行ってた。偏屈なじいさんが近くに住んでるけど、あんまり耳がよくないし誰が来ても興味を持ってないから見つからないんだって」
「ありがとう、ヒスさん」
 ゼフィリアは体を起こして笑顔を向けた。
 ヒスは、子供のような顔でゼフィリアを見上げていた。最も残酷な、子供。

 そのころ、エルフェニアはセレスの元に戻ってきていた。
 あまり楽しそうな顔をしていない。セレスがやや離れた所に居るのを確認すると、エルフェニアは調査結果を話し始めた。
「あの二人の息子の行方は、まだシャンティイの騎士団にもつかめていません。ただ、フゥの樹の動きはありました」
 つい最近の事である。
 エルフェニアは、仲間の顔を見回した。
「パリからカシェ写本がシャンティイに運ばれました。その道中で、フゥの樹と思われる者の犯行が行われています。‥‥殺されたのは、フェールさん」
 驚いているエグゼとヒルダに、エルフェニアは続ける。
「写本を運ぶ囮役として、別任務を受けていたようです。‥‥ですが、フェールさんの遺体は消えました。今までの事件と同様に、です。今までアスターの遺体、クレイユ、各地で遺体が消えています。フェールさんの件も、これらと無関係では無いと思います」
 そこまで話すと、エルフェニアは一息ついた。俯いたまま、細い声を出す。
「騎士団によれば、付近でハルトマンと思われる男が目撃されているそうです。犯人は彼に間違いないでしょう」
 しかし、引き返す事は許されない。その件には、別の仲間が当たっているはずだった。
 エルフェニアはフェールの事を思いかえし、深いため息をもらした。
(担当:立川司郎)