鋼鉄のアルカンシェル〜闇と月、会合す
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■シリーズシナリオ
担当:立川司郎
対応レベル:8〜14lv
難易度:やや難
成功報酬:4 G 56 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:11月05日〜11月11日
リプレイ公開日:2005年11月14日
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●オープニング
銀狐によってメトロが壊滅に追いやられて、はや二月。
メトロの残党十二名は、いまだアルカンシェルに下る事もなく、弱小勢力が集まる貧民街外層に集まっていた。
この人数でメトロを再建させる事は、恐らく不可能だ。再建したとしても、エリアを奪われた現在、足場となる地区が無い。
「‥‥もう、アルカンシェルに行ってもいいんじゃないか。他の奴らだって行ったんだろ?」
一人が呟いた。すると、厳しい表情で別の少年が顔を上げる。
「何言ってんだ、じゃあリーダーはどうなるんだ! あいつは銀狐に‥‥」
「そんなの分かってる。でも、リーダーは死んだんだ!」
声を荒げて叫ぶ。
しん、と場が静まった。
この場の誰もが、ここに居ても仕方ない事は分かっていた。自分達子供だけで生きていかなければならない‥‥この貧民街で、子供達は集って、それでようやくわずかな糧を得ていた。
一番小さな子供、十才の少年が毛布にくるまったまま、口を開いた。
「‥‥銀狐は、美味しい物を食べているって聞いたよ。銀狐に入ったら、たくさんお金がもらえるって‥‥」
「駄目だ、あんな連中の言う事なんて聞けるか!」
最年長の少年が言う。
「でも‥‥何で銀狐はそんなにお金があるんだろう。‥‥変な薬を使ってるせい?」
「リーダーの行方も気になるな。‥‥行くか?」
銀狐のエリアに、リーダーを探しに。遺体という形であれ‥‥それが、メトロの最後の仕事。そこに行けば、リーダーとも、銀狐の謎も分かる。
少年達は、立ち上がり、冷え込む屋外へと向かっていった。
アルカンシェルの面倒見、ゴーシュの手元には羊皮紙が握られていた。
羊皮紙には、シャンティイ領主の紋章が押印されている。
「‥‥どうやら卿も、フゥの樹にはだいぶん苦戦させられているようだな」
「その‥‥レイ‥‥ナ‥‥あっと、領主様は何て仰ってるんですか」
そのアルシエロの口調からは、レイモンドへの尊敬や関心は感じられない。特に、ハーフエルフであり、苦難の生を送ってきたアルシエロにとって、領主や貴族などはどうでもいい存在なのかもしれない。
ゴーシュは手紙をテーブルにおくと、椅子に背をもたれた。
「大麻の行方について、何か分かる事がないかと。‥‥今まで大麻を栽培していたと思われる森が焼けたらしい。しかし、フゥの樹が流通する大麻の量が減る様子はない。だから、どこかに大麻を栽培している場所があるんじゃないか、とお考えなんだ」
「それがここだと? ‥‥ある程度痩せた土地でも育つならば、貧民街で栽培するのは考えられますが。‥‥金になるんだろうし」
「ギルドの連中には、引き続き大麻の流れについて調べてもらう。お前は、銀狐に会いに行け」
今まで長い間抗争を続けてきたメトロと違い、銀狐の動き、目的、リーダーともに全く情報が無い。
ゴーシュは危険を承知で銀狐に会いに行く事で、あちらの情報を得ようと考えた。
また銀狐という人物が、ギルドの者の言うようにフゥの樹が連れているアサシンガールなのか、会えばそれも分かるだろう。
とりあえずは、お互いのエリアの不可侵条約についての話し合い。
むろん、上手く話しがまとまるはずもないが。
「ここにゃ、悪魔とか天使とか‥‥そんなもんは必要ねえ。もしフゥの樹の一味だっていうなら、退散して頂かなきゃなあ」
大麻ごと、な。
ゴーシュは煙草に手をつけ、ゆっくりと煙を吐いた。
●リプレイ本文
カルゼ・アルジス(ea3856)がメトロのメンバーの所に向かうと、そこには少女が一人賄いをしていた。すう、と彼女がこちらを見る。
「あれ‥‥リアさん」
ララ・ガルボ(ea3770)が彼女を指して聞くと、少年が眉を寄せて息をついた。
「どうしても飯を食わせるんだって言ってきかないからさぁ。‥‥俺達は行くからな」
少年が言うと、リアは微笑して頷いた。
「じゃあ、私も行ってよろしいですか?」
ララがすい、と彼らの前に飛び出した。彼女は26才のシフールだ。仲間というには年が離れているが、体が小さく飛行も出来るシフールは、隠れる場所には困らない。
「連れて行ってもいいんじゃない?」
カルゼが一言言うと、少年が頷いた。シフールは飛べる上、体も小さい。
しかし、フランシア・ド・フルール(ea3047)となると別だ。少年は、上から下まで黒ずくめの僧服で清潔感のある姿と顔立ちを見て、困ったような顔をした。
「あんた目立ちすぎる。そんな格好で行く気? んな格好で来られたら、オレらすぐ見つかるよ。それに、隠密行動も全然出来そうに無いし、逃げ足も速くなさそうだし」
カルゼも逃げ足はあまり速くないが、魔法がいくつか使える上、背格好もここに居るメンバー達と違わない。
格好は着替えたとしても、年輩の上に綺麗な身なりと顔立ちのフランシアではどうしても目立つのは避けられない。その上、逃走に不利だ。
「不要と言うならば、敵に襲われた際の身代わりとも考えなさい。敵の目をそらす事が出来ます」
「そもそもたどり着く前に見つかるよ、あんた連れてると。不要というか邪魔」
メトロの少年にはっきりそう言われ、フランシアは了承するしかなかった。
「ではこれだけ伝えておきましょう。現在アルカンシェルの面倒見であるゴーシュ殿は、フゥの樹という悪魔崇拝団体と、大麻の流れについて調べておいでです。貧民街には大麻が流通しており、その接点を発見すると大きな手柄となるでしょう」
「俺達は、手柄が欲しくて連中の調査をするんじゃない。確かに俺達は埋葬とかしないけど、リーダーの死体を奴らの居る所に置いていくのは嫌だ。だから行くんだ」
フランシアの一歩引いた言い方は、メトロのメンバーには伝わりにくいようだ。カルゼはそれに気づいていた。
「大麻のことは気に掛けておくから、フランシアさんはここに居てよ」
「彼らのリーダーには、気を付けなさい。フゥの樹は、殺したと思わせて大麻で利用するなど、卑劣な手を使います」
とカルゼは、メトロの仲間の様子を伺うようにして見た。あまり気分が良くなさそうだ。
それじゃあ、とカルゼは手を振ると、彼らとともに駆けていった。
体をローブで覆い、刀を隠した様相で源真霧矢(ea3674)はカウンターの椅子を引いた。こんな場末の酒場ですら、貧民街の酒場に比べれば小綺麗に映る。
彼がリアンコートの酒場を回っているのは、貧民街の事情について聞き込みをする為であった。周囲に目を向け、話に耳を傾ける。
「なあ、店主。ちょっと聞いていいか? あの塀の向こうに居る餓鬼どもの事さ」
貧民街の話が出て、カウンターの客が笑いながら話しに混じってきた。
「なんだぁ、あんな所に用事か。よせよせ、ここで酒が飲めているうちは、まだあっちに行く事ぁねえ」
「住もうってんじゃない。‥‥あの辺に病気が流行ってるっていうのは、なんでなんだ?」
霧矢はちょっと可愛い娘が住んでたんだが、ぽっくり死んじまって、などと作り話をして誤魔化した。
「ありゃあいつもの事だ。あそこの連中は死体も放置しっぱなし。鼠なんかもうろちょろしてるし‥‥汚い所に住んでると、病気になりやすいって聞いた事があるぜ」
メトロと銀狐との戦いで死んだ者が路上に放置されていたように、貧民街では死体を埋葬する事がまずほとんど無い。そのせいか、悪臭も鼠も発生しており、お世辞にも綺麗な通りとは言えない。
だったら死体は埋葬すればと思うのだが、そもそも貧民街に教会自体が無く、信仰もせず、あのような所に来る物好きな聖職者も居らず、埋葬したいという考え自体があまり無く‥‥。
このような事情で、悪環境が続いていた。病気が流行するのは、大麻のせいではないらしい。しかし、だからこそあの環境では、大麻が蔓延するのはあっという間だろう。
一方、カルゼ達が撤退して来るまでの間調査の為に貧民街を出たキサラ・ブレンファード(ea5796)は、霧矢とは別に大麻を調べようとしていた。
霧矢と同様に大麻が貧民街やリアンコートから持ち出される、とは考えていた。
それを持ち出すルートが、必ず存在する。
が、領主の手の者から麻薬情報を聞き出す、などとアバウトな事を考えていたキサラは、そもそも領主の手の者とどうやって接触するのか、あんまり考えていなかった。
霧矢と合流したキサラは、彼から聞き込みの結果を聞いた。
「領主っちゅうてもリアンコートは今シャンティイ直轄やし、レイモンド卿には卿と面識が無いと会われへんよ? わしも卿の関係者って、知らへんし」
「卿の関係者であれば、ある程度情報を把握しているのではないか?」
大麻の流通について、卿の手の者であれば何らか聞き出せるのではないか、とキサラは思った。
「それが無いから、依頼出しはったんやないの?」
困ったように、キサラは口を閉ざした。
霧矢の提案で、貧民街の数少ない出入り口のうち、銀狐側に近い北側の門を見張る事にした。ここで待っていれば、人の出入りは確認出来る。
昼間開け放たれた門から出入りするのは、主に少年達だった。彼らは貧民街にあるわずかな店や露店の為の商品を運んでいるのである。
働く事の出来る少年達は、町に出て食い扶持を探したり小遣いを得たりしていた。
「やけに大きな荷車が居るな。‥‥二台‥‥三台か」
キサラが、出入りする荷車の数を数えながら呟いた。格好も綺麗で、貧民街を出入りする子供達とは違い、顔色も良かった。
しかし捕まえて聞き出すには、人数が多い。恐らく馬車の中にも、何人か居るだろう。
「やはり、町の外に持ち出す気だな。これ以上の追跡は無理か‥‥」
やむなく馬車を送ると、キサラと霧矢は貧民街の方へと引き返した。
「私はメトロを迎えに行かなければならない」
「ああ、わいはリアンコートの方を当たってみるわ。あっちにも売人が居るやろからな、捕まえる時は声掛けるさかい」
キサラは頷くと、霧矢とわかれて行った。
エリアの中は、銀狐とアルシエロの会談が行われる事もあって、警戒はその会場となる貧民街中心部に集中していた。
建物と建物の隙間に身を隠し、少年の一人が周囲の様子をそっと探った。カルゼもララも、口を閉ざして彼の言葉を待つ。
「‥‥よし、居ない」
少年が様子を見ながら、別の少年が仲間を呼び寄せた。
「ここに来るまでに、戦闘があった場所に行ったけど‥‥リーダーの体は無かったな」
「なんか、死体が全然無かったね」
カルゼは、周囲を気にして小声で聞いた。
他の地区には、あちこち死体が転がっている。埋葬をしない為、彼らがするのは、せいぜい邪魔にならない所に置いておく事だ。よっぽど大事な人だった場合、自分たちの寝泊まりしている所に骨になるまで置いている。
「キサラさんは、大麻の栽培に使われているんじゃないかって言っていました。ここって土地が痩せてるでしょう?」
大麻の栽培には少なくとも、日の当たる土地が必要となる。
「リーダーの遺体、もしくは木偶も栽培地界隈に存在しているんじゃないかしら」
ララがそうぽつりと口にすると、急に少年は立ち上がった怒号を上げた。
「たとえそうでも、お前に木偶なんて言われたくない!」
ララは突然の事に、びっくりして硬直している。
「す、すみません」
ララは謝罪の言葉を口にするが、彼らの機嫌は良くなりそうもなかった。カルゼはこの双方の間に立って途方にくれている。
「ここからだと、東側から迂回して逃げた方が止さそうだね。ララ、フランシアさん達に知らせてきてくれる? 僕は彼らと一緒に居るから」
「分かりました。気を付けてください‥‥あの、後で私も戻ってきますから。カルゼさん、大麻の場所‥‥サンワードで聞いてみたらどうでしょう?」
気まずそうに、ララは飛んでいった。
「サンワードか‥‥よし、それじゃあ試してみるか」
カルゼは鞄から、スクロールを取りだした。
銀狐が会談の場所に指定したのは、貧民街の中心部だった。抗争が何度も発生していた、アルカンシェルとメトロのエリアの中心部には緩衝地帯が設けられていた。
緩衝地帯といっても、誰も人が住まない、ただの廃墟だ。
廃墟の一つ‥‥入り口は銀狐エリアとアルカンシェル側に一つずつ。
アルシエロの後ろには、リア・アースグリム(ea3062)と遊士璃陰(ea4813)、それとアルシエロの肩にちょこんと座り、セルミィ・オーウェル(ea7866)が襟元をしっかりと握っている。廃墟の外には、幾人もの仲間が待機していた。
璃陰はいつになく緊張し、背筋に汗をかいていた。銀狐は、まだ14才程の少女だ。
銀色の髪をしており、側に立つ少年が弓を持っていた。
報告書によれば、フゥの樹に居る少女は弓を使うといわれていた。
アルシエロは自分の名を名乗ると、立ったまま話を始めた。銀狐も椅子に座る事はない。
「‥‥用件はなんだ」
銀狐は、冷たい目線でアルシエロを見ていた。まるで、深い闇のような‥‥。
「あんた達にあんまり引っかき回されると、被害も出るばかりで戦いも長引く。ただでさえ貧困にあえいでいるこの地区の皆、迷惑被る。メトロを壊滅させて満足したなら、これ以上干渉しないでほしい」
「何故そんな話をこちらが聞かねばならない? ‥‥それにチームを拡大するのは、地区を潤わせる為‥‥そして自己の為。違うか」
「あんた達は大麻があるから、そうだろうさ。でも大麻は仲間にも害を及ぼす。俺たちはそんなのゴメンだ」
「‥‥そうかな? だが事実、こちらは満足している。金も手に入る。お前達が、そんなきれい事を気にするとは思わなかったな」
彼らの話は、平行線を辿るばかりだった。
璃陰は周囲の銀狐のメンバーを観察するが、鉄の爪やフゥの樹の主要メンバーの姿は無い。
「悪魔なんかに手を貸したら、それこそ騎士団が来る。わからないのか」
「‥‥騎士団? レイモンドが騎士団なんか送るものか。そんな不用意な事をすれば、領下の貧困層が暴動を起こす。どっちが正しいとすれ、彼らは常に不満を持っているからな」
「なぜ戦う事を止められないんですか? 傷つけ合うのは‥‥大人の世界だけで十分です」
リアが、間に割っては言って声をあげた。アルシエロと銀狐の視線がリアに向けられる。
璃陰は、つい、とリアの手を引く。銀狐は彼女の主張にふ、と笑い声をもらし、アルシエロは不満そうに眉を寄せている。
「そんな夢のような話を信じてるなんて、ばかげているな。現実を見てないのか」
「‥‥今はここのエリアの話だ。答えろ、銀狐。‥‥お前は俺たちを利用しようってのか」
アルシエロの目が、熱く光る。銀狐は、ふと薄く笑うと、腰に手をやった。
後ろの仲間が、剣やナイフに手をかける。璃陰は即座に声をあげた。
「アルシエロ、行け!」
リアはアルシエロを後ろに庇い、剣を抜く。ぐい、と外から手を引かれてアルシエロが引っ張り出された。セルミィは肩から滑り落ち、慌てて竪琴を抱え込む。
「あの‥‥」
「セルミィ、アルシエロを頼みます!」
「は、はい。‥‥リア様もお気を付けて‥‥」
ふわりと少年達の頭上を抜け、セルミィは飛び出した。待ち伏せしていたのか、外も既に交戦状態だ。その中からアルシエロを見つけ、頭上に向かった。
中では、まだ璃陰とリア達が戦っている。
最初から、このつもりだったのか。銀狐の背後から、次々に少年達が駆け込み、突破しようとする。リアと璃陰は、扉の前に盾になる形で、アルシエロをガードした。
少年とは思えない、身のこなしだった。
ナイフや剣を巧みに使い、リアと璃陰を追いつめる。なによりその背後から襲いかかる銀狐の矢は、いかにしてもリアと璃陰には避ける事が出来なかった。
気が付くと璃陰は、半分意識を失いながら、アルカンシェルのエリアを歩いていた。アルシエロも多少の傷を負っていたが、その身につくもののほとんどは返り血のようだ。
ぐい、とリアが顔をあげる。頬についた血を手で拭う。
「‥‥何故戦わねばならない」
アルシエロは、まだ言うのかといった様子でため息をついた。
「何故って? 貧しいからさ。それ以上にどんな理由がある。‥‥俺たちはそれぞれ、いろんな理由があってこんな生活を送っている。俺は‥‥見ての通りハーフだから、ここに来た。戦わなければ、命を繋ぐ事が出来ない」
「あの〜‥‥あの、メトロの方と協力する事は出来ないんですか?」
セルミィが、アルシエロに問いかけた。銀狐との戦いは避けられずとも、メトロとも戦う理由はないはずだ。
「向こうにも、私たちの仲間が付いています。彼らは今、銀狐のエリアの調査から戻ってきたそうです‥‥会ってみていただけませんか?」
お願いをするように、セルミィはじっとアルシエロを見上げる。
「それと、霧矢様からもご報告があるそうです。やっぱり、大麻はシャンティイ各地に売られているようですよ。アルシエロ様‥‥あなたは、死んではなりません。死んだら、みんなが悲しみます。私も心配です」
アルシエロは彼女の必死の言葉に、ふい、と笑みをもらした。
「変な奴だな‥‥ハーフエルフの俺に、死ぬなって言ったのはお前が初めてだ」
「そ、そうですか?」
彼の笑みに、少し照れたようにセルミィが顔を赤くした。
「わかった‥‥そうまで言うなら、メトロを引き取ろう」
和解するには‥‥長い時間がかかるだろうが。アルシエロはそれを思ってか、表情を再び曇らせた。
カルゼ達を、アルカンシェルエリアからも近い小チームエリアで待ち受けると、キサラとフランシアは彼らを脱出させた。
潜入したカルゼ達は、まずリーダーの遺体の場所を探し始めた。戦闘が起こった場所を探し、それから遺体が路上から撤去されている事に気づき、その遺体の場所を探してエリア中を探してまわった。
「遺体は、全部エリア中に一緒くたに埋められたみたいだ。リーダーが居るかどうかは確認出来なかった」
「何故だ‥‥遺体をどうするつもりだ、奴らは」
キサラは、すう、と目を細める。
「大麻の場所も、見つけてきた。町の空いた場所のあちこちを畑にしてた。道のあちこちにも生えてたから、持ってきたよ」
カルゼは一房だけ、萎れた草を差し出した。
やはり、ここは大麻の栽培が行われている。
(担当:立川司郎)