ガンツの護衛3『ホワイトイーグル』

■シリーズシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:4〜8lv

難易度:難しい

成功報酬:3 G 16 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:01月10日〜01月16日

リプレイ公開日:2005年01月11日

●オープニング

 キャメロットから南西二日ほどの所にギルフォードという街がある。
 街の広場の一角には、近頃ギルフォードで有名になりつつある彫刻家ガンツが、冒険者達をモデルにした作品が飾られている。それを満足そうに見つめているのはガンツ当人である。
「さあて、年も明けたし、そろそろ新しいモデルを探しに行くとするか‥‥!」
 何か閃いたのか、ガンツは荷物をまとめるとキャメロットへと旅立ったのである。

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? ギルフォードの彫刻家ガンツが来てるんだが‥‥」
 冒険者ギルドのおやっさんが依頼人のガンツを呼ぶ。
「また新しいモデルを探しに行くんだがよ、また護衛と荷運びを頼もうと思ってな。聞いた話によると、キャメロットから片道二日半ほどの所にホワイトイーグルってぇ白い鷲が居る山があるんだ。今度のモデルはソイツにしたいんだ」
 イキイキとした表情で話すガンツ。
「ホワイトイーグルってのは鷲に似てるがクリーチャーに分類される怪物だぞ。人間サイズでも獲物にして食っちまうらしい。そんなもんに好きこのんで会いに行きたいとはねぇ」
 ツッコミを入れるおやっさん。
「だから、こうして依頼に来たんじゃねぇかよ! 今回も報酬弾むし、道中の食費だって持つからよ、頼む!」
 頭を下げるガンツ。今回も材料となる岩が荷車に積まれて冒険者ギルド入り口に置かれている。熊の時よりは幾分小さいだろうか。
 おやっさんは肩をすくめて苦笑しつつ、冒険者達を見るのだった。

●今回の参加者

 ea0827 シャルグ・ザーン(52歳・♂・ナイト・ジャイアント・イギリス王国)
 ea0923 ロット・グレナム(30歳・♂・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea1131 シュナイアス・ハーミル(33歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea2128 ミルク・カルーア(31歳・♀・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea3098 御山 閃夏(31歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea3329 陸奥 勇人(31歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea3888 リ・ル(36歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea5876 ギルス・シャハウ(29歳・♂・クレリック・シフール・イギリス王国)

●リプレイ本文

「冬山でホワイトイーグルの相手って‥‥今回はかなりハードだな」
 肩をすくめるウィザードのロット・グレナム(ea0923)。
「ほわいといーぐる‥‥なんだっけ? ジャパン名では聞いた事あるかもしれないけど‥‥」
 今回のモデルの事を改めて尋ねておく浪人の御山閃夏(ea3098)。おそらくジャパンには生息していないが、それを知る者もいない。
「今回は空飛ぶクリーチャーが相手であるか」
 飛行する敵を想定し、護衛の立ち回りを考えているナイトのシャルグ・ザーン(ea0827)。
「確かに彫刻の対象には相応しいかも知れないが‥‥飛行生物とはまた厄介だな。まぁ、それも面白いか‥‥」
「鷲の飛ぶ姿は勇壮だしな。面白そうじゃねぇか。良い出来上がりを期待させて貰うぜ」
 不敵な笑みを浮かべるナイトのシュナイアス・ハーミル(ea1131)、浪人の陸奥勇人(ea3329)の両名。
「これで三度目だな。これまでの彫刻の評判はどうだ?」
「上々だぜ! あれから、広場に領主の紅茶男爵も見物に来たんだぜ!」
 シュナイアスに笑顔で答えるガンツ。
「この前は素敵な彫像にしてくれてありがとうございました。今回もよろしくお願いします」
 丁寧に挨拶するクレリックのギルス・シャハウ(ea5876)。
「モデルのナイスポーズを決めた『コアギュレイト』を掛ける姿、なかなか鬼気迫ってただろ。今回も期待してるぜ、相棒!」
 ギルスと握手するガンツ。そして、もう一人の相棒、彫刻の助手を担当するナイトのミルク・カルーア(ea2128)にも握手を求める。
「期待にお応えしてみせますわ」
「今回もバッチリ任せてくれ。岩の運搬は、熊の時に使った手で行こう」
 そして、縄を編んで岩運びの準備を調えた蒼天二刀流ファイターのリ・ル(ea3888)。ギルスの荷物も一緒に担ぎ、出発進行だ。

 道中、剣術師範リルによる寒稽古。
「最近、ギルフォード戦隊ってのが活躍してるらしいんだがよ、もしこの中に‥‥居たら、彫刻した俺も鼻が高ぇよなぁ」
 意味ありげに冒険者達を見るガンツ。
「寒い時は稽古に限るな。ロットも一緒に体を動かさないか?」
 ロットや勇人から譲ってもらった新装備を試していたリルが、話題を逸らそうとしたのか声を掛ける。
「ただでさえ寒い上に岩まで運ばなきゃならないのに、寒稽古なんて‥‥死んでもやらないぞ」
 しかし、高速詠唱『リトルフライ』で空中に逃げ出すロットであった。

 雪景色の山に入った冒険者達。
 山岳での土地感を活かし、なるべく安全なコースで先導するシャルグ。
 上空から周囲を警戒していたギルスが安全を確認して降りてくる。
「どうして石材彫刻の道を選んだんですか?」
「俺の情熱を受け止められる素材には石が最適だったのさ。なんて言うか、彫刻ってのは石との闘いなんだ」
 何やらガンツの話は冒険者達にも通じる所がありそうである。
 シャルグの意見を参考に、ホワイトイーグルの痕跡を探すべく先行するリル。勇人が続く。
「しかし、話に聞くと随分デカイみてぇだが、普段は何食ってるんだろうな?」
 牛でも平気で捕まえそうな雰囲気だと笑う勇人。
「クリーチャーとは言え、ベースは鳥と考えてるんだがな」
 そして、大型の猛禽類が餌場にしそうな場所へと到達するのだった。

「戦う所が良く見えて、それでいて木や岩などの遮蔽物があって‥‥」
 ミルクの提案を考慮し、キャンプの位置を決定する。
「寒さ対策が必要であるな」
 スコップで雪かきをし、キャンプの設営をするシャルグ。更に、薪を集め、油を使って焚き火を起こすなど、手際が良い。
「冬は餌も少ないだろうし、見つければ喜んで襲ってくるだろう」
 いつでも戦えるようにしているシュナイアス。
「相手のほうから見つけてくれそうな気もするが、先手を取られるのはマズイからな‥‥来た!」
 『ブレスセンサー』を使っていたロットが、大型の飛行生物の接近を感知!
「Kuiーーーッ!」
 猛スピードで滑空してくるホワイトイーグル!
「うひょお。すげぇスピードだ」
 戦闘体勢になるリル。
「‥‥あんな大きくてよく飛べるね、あれ」
 ガンツの護衛について、二刀流に構える閃夏。念のため他方向も警戒しておく。
「白き神よ、その使徒に仇なす者を退けたまえ」
 『ホーリーフィールド』を張るギルス。
 同じくガンツの側に残り、『オーラエリベイション』を掛けるシャルグ。
「我が輩の体がホワイトイーグルを見るのに邪魔かもしれぬが、護衛ゆえこればかりは勘弁願いたい」
 巨体を活かし、右手にヘビーシールド、左手に『オーラシールド』を構え、更に『オーラボディ』を掛けてガンツの上側を防衛する。
 親指を立てて見せるガンツ。
 ジャイアントソードを地面に突き立て、『オーラエリベイション』を発動させたシュナイアス。ガンツから少し離れ、ホワイトイーグルを引き付ける囮役である。
「それじゃ手筈通り、ガンツの方は任せるぜ。‥‥俺の見切りが大鷲に通用するか。試すにゃ良い機会だからな」
 無手のまま、囮役に加わる勇人。
「ホワイトイーグル‥‥創作意欲がわいてきたぜ!」
 そして、一心にハンマーを振るい始めるガンツと、その傍らで助手に徹するミルク。

 ガンツのイメージが固まるまで、防戦に徹する冒険者達。
「チ‥‥思った以上に面倒な相手だな‥‥」
 ガディスシールドを構えて防御に徹するシュナイアス。左右の爪を巧みに使ったホワイトイーグルの『ダブルアタック』を辛うじて防いでいる。
「ひえー」
 わざと情けない悲鳴をあげつつ、『ダブルブロック』で防いでいるリル。
「なるほど、あの高さからこっちを捉えてる訳か。目の良さは相当なもんだぜ‥‥だが、悪いがこっちもあっさり捕まる訳にゃいかねぇな!」
 『オフシフト』で見事に回避する勇人。すれ違い様に軽く蹴りを入れて牽制する。
「Kuiーーーッ!」
 囮役の冒険者達を手強いと見たのか、今度はガンツ達の方へと向かってくるホワイトイーグル!
「依頼人に手を出させる訳にはいかないんだよ!」
 高速詠唱『ライトニングサンダーボルト』で牽制するロット。
「通さぬ!」
 一瞬怯んだホワイトイーグルだが、再び滑空してくるのを今度はシャルグが壁になって盾で防ぐ。
「お前の相手はこっちだぜ。余所見は無しにして貰おうか!」
 切り札『強烈な匂いの保存食』を出して注意を引き戻す勇人。
「Kuoーーーッ!」
 文字通り強烈な匂いに誘われホワイトイーグルが目標を勇人に定める!
「今だ、頼む!」
「父と子と精霊の御名において、モデルさんナイスポーズ!」
 ガンツの合図とともにギルスの『コアギュレイト』で見事硬直!
 ‥‥しかし、そのままホワイトイーグルは墜落してしまった。
「ダメだ。この作戦は使えねぇ‥‥!」

 気を取り直し、硬直の解けたホワイトイーグルと再戦。
「喰らって上げられないね、これは‥‥」
 負傷した前衛と入れ替わった閃夏が『ダブルブロック』でホワイトイーグルの『ダブルアタック』を受け流す。
「神様とガンツさんがじ〜っと見ています。ナイスポーズでがんばってください」
 その間にギルスの『リカバー』で回復し、ホワイトイーグルの相手をしていく冒険者達であった。

「待たせたな! 後は好きに戦ってくれてOKだ!」
 完全にイメージを固めたガンツが冒険者達に宣言する!
「さて、許可も出たことだし、とっとと片付けるとしますか!」
 今度は当たるように『ライトニングサンダーボルト』を撃つロット!
「ここからは私も戦いますわ!」
 念のため『オーラパワー』を剣に掛けると、ガンツと彫刻を護衛できる位置から『オーラショット』を放つミルク!
「さあ、全開でいくよ!!」
「コカトリスも強かったけれど、こいつも強ぇな」
 閃夏とリルが『ダブルアタック』と『ダブルブロック』を駆使してホワイトイーグルに攻撃を開始する!
 一度、上空へと退避したホワイトイーグルだが、まだ獲物を諦めていないのか、再び上空から急降下!
 盾を捨て、剣を両手持ちにしたシュナイアスが迎え撃つ!
「これで終わりだ‥‥落ちろ!」
 『デッドorアライブ』でダメージを最小限にし、『スマッシュ』を叩き込む!
 戦闘が終わってもなお、ガンツの彫刻する音は響き続けていた。

「よし、焼き鳥だ。冬山での動物の肉は貴重だからな」
 リルの提案で、ホワイトイーグルは冒険者達の腹に収まる事となった。
「これだけデカイ上に白い羽根なんてそうそう無いだろうし、上手くすれば一儲け‥‥うん、悪くないな」
 焼く前に毟った羽根を羽飾りにするロット。キャメロットに帰った後、幸運の羽飾りという触れ込みで売り捌き、彼らの報酬が少し増えた事をここに記しておこう。
 また、『大鷲仮面』として活躍した『エクセレントマスカレード』をホワイトイーグルの羽根で飾る勇人。今後は『白き大鷲仮面』と呼ばれるに違いない。
「今回も皆のおかげで良い作品が出来そうだぜ!」
 冬だというのに流れる汗を拭いつつガンツ。
 こうして大雑把に出来上がった彫刻は、まだ仕上げ前だと言うのに動き出しそうな雰囲気さえあった。
「最初は山の熊、今回は空の鷹、次は海で戦っている私達の姿が目に浮かびますわね」
 事前に用意した大量の布で彫刻を保護しつつ、苦笑するミルク。
「そいつぁイイ!」
 大笑いするガンツ。果たして冗談なのか真に受けているのか。
「神様とギルフォードの人達は、あなたの新作をじ〜っと待っていますからね、じ〜っと」
「また面白いモデルを見つけてくれよ」
 ニッコリ笑うギルスと、ニヤリと笑うリル。
「また次の作品にも力を貸してくれよな!」
 ガンツは最高の笑みを浮かべて、冒険者達と握手を交わしていくのだった。
 いずれ彼らが英雄と呼ばれる日が来ることを願っている。