●リプレイ本文
「冬山でホワイトイーグルの相手って‥‥今回はかなりハードだな」
肩をすくめるウィザードのロット・グレナム(ea0923)。
「ほわいといーぐる‥‥なんだっけ? ジャパン名では聞いた事あるかもしれないけど‥‥」
今回のモデルの事を改めて尋ねておく浪人の御山閃夏(ea3098)。おそらくジャパンには生息していないが、それを知る者もいない。
「今回は空飛ぶクリーチャーが相手であるか」
飛行する敵を想定し、護衛の立ち回りを考えているナイトのシャルグ・ザーン(ea0827)。
「確かに彫刻の対象には相応しいかも知れないが‥‥飛行生物とはまた厄介だな。まぁ、それも面白いか‥‥」
「鷲の飛ぶ姿は勇壮だしな。面白そうじゃねぇか。良い出来上がりを期待させて貰うぜ」
不敵な笑みを浮かべるナイトのシュナイアス・ハーミル(ea1131)、浪人の陸奥勇人(ea3329)の両名。
「これで三度目だな。これまでの彫刻の評判はどうだ?」
「上々だぜ! あれから、広場に領主の紅茶男爵も見物に来たんだぜ!」
シュナイアスに笑顔で答えるガンツ。
「この前は素敵な彫像にしてくれてありがとうございました。今回もよろしくお願いします」
丁寧に挨拶するクレリックのギルス・シャハウ(ea5876)。
「モデルのナイスポーズを決めた『コアギュレイト』を掛ける姿、なかなか鬼気迫ってただろ。今回も期待してるぜ、相棒!」
ギルスと握手するガンツ。そして、もう一人の相棒、彫刻の助手を担当するナイトのミルク・カルーア(ea2128)にも握手を求める。
「期待にお応えしてみせますわ」
「今回もバッチリ任せてくれ。岩の運搬は、熊の時に使った手で行こう」
そして、縄を編んで岩運びの準備を調えた蒼天二刀流ファイターのリ・ル(ea3888)。ギルスの荷物も一緒に担ぎ、出発進行だ。
道中、剣術師範リルによる寒稽古。
「最近、ギルフォード戦隊ってのが活躍してるらしいんだがよ、もしこの中に‥‥居たら、彫刻した俺も鼻が高ぇよなぁ」
意味ありげに冒険者達を見るガンツ。
「寒い時は稽古に限るな。ロットも一緒に体を動かさないか?」
ロットや勇人から譲ってもらった新装備を試していたリルが、話題を逸らそうとしたのか声を掛ける。
「ただでさえ寒い上に岩まで運ばなきゃならないのに、寒稽古なんて‥‥死んでもやらないぞ」
しかし、高速詠唱『リトルフライ』で空中に逃げ出すロットであった。
雪景色の山に入った冒険者達。
山岳での土地感を活かし、なるべく安全なコースで先導するシャルグ。
上空から周囲を警戒していたギルスが安全を確認して降りてくる。
「どうして石材彫刻の道を選んだんですか?」
「俺の情熱を受け止められる素材には石が最適だったのさ。なんて言うか、彫刻ってのは石との闘いなんだ」
何やらガンツの話は冒険者達にも通じる所がありそうである。
シャルグの意見を参考に、ホワイトイーグルの痕跡を探すべく先行するリル。勇人が続く。
「しかし、話に聞くと随分デカイみてぇだが、普段は何食ってるんだろうな?」
牛でも平気で捕まえそうな雰囲気だと笑う勇人。
「クリーチャーとは言え、ベースは鳥と考えてるんだがな」
そして、大型の猛禽類が餌場にしそうな場所へと到達するのだった。
「戦う所が良く見えて、それでいて木や岩などの遮蔽物があって‥‥」
ミルクの提案を考慮し、キャンプの位置を決定する。
「寒さ対策が必要であるな」
スコップで雪かきをし、キャンプの設営をするシャルグ。更に、薪を集め、油を使って焚き火を起こすなど、手際が良い。
「冬は餌も少ないだろうし、見つければ喜んで襲ってくるだろう」
いつでも戦えるようにしているシュナイアス。
「相手のほうから見つけてくれそうな気もするが、先手を取られるのはマズイからな‥‥来た!」
『ブレスセンサー』を使っていたロットが、大型の飛行生物の接近を感知!
「Kuiーーーッ!」
猛スピードで滑空してくるホワイトイーグル!
「うひょお。すげぇスピードだ」
戦闘体勢になるリル。
「‥‥あんな大きくてよく飛べるね、あれ」
ガンツの護衛について、二刀流に構える閃夏。念のため他方向も警戒しておく。
「白き神よ、その使徒に仇なす者を退けたまえ」
『ホーリーフィールド』を張るギルス。
同じくガンツの側に残り、『オーラエリベイション』を掛けるシャルグ。
「我が輩の体がホワイトイーグルを見るのに邪魔かもしれぬが、護衛ゆえこればかりは勘弁願いたい」
巨体を活かし、右手にヘビーシールド、左手に『オーラシールド』を構え、更に『オーラボディ』を掛けてガンツの上側を防衛する。
親指を立てて見せるガンツ。
ジャイアントソードを地面に突き立て、『オーラエリベイション』を発動させたシュナイアス。ガンツから少し離れ、ホワイトイーグルを引き付ける囮役である。
「それじゃ手筈通り、ガンツの方は任せるぜ。‥‥俺の見切りが大鷲に通用するか。試すにゃ良い機会だからな」
無手のまま、囮役に加わる勇人。
「ホワイトイーグル‥‥創作意欲がわいてきたぜ!」
そして、一心にハンマーを振るい始めるガンツと、その傍らで助手に徹するミルク。
ガンツのイメージが固まるまで、防戦に徹する冒険者達。
「チ‥‥思った以上に面倒な相手だな‥‥」
ガディスシールドを構えて防御に徹するシュナイアス。左右の爪を巧みに使ったホワイトイーグルの『ダブルアタック』を辛うじて防いでいる。
「ひえー」
わざと情けない悲鳴をあげつつ、『ダブルブロック』で防いでいるリル。
「なるほど、あの高さからこっちを捉えてる訳か。目の良さは相当なもんだぜ‥‥だが、悪いがこっちもあっさり捕まる訳にゃいかねぇな!」
『オフシフト』で見事に回避する勇人。すれ違い様に軽く蹴りを入れて牽制する。
「Kuiーーーッ!」
囮役の冒険者達を手強いと見たのか、今度はガンツ達の方へと向かってくるホワイトイーグル!
「依頼人に手を出させる訳にはいかないんだよ!」
高速詠唱『ライトニングサンダーボルト』で牽制するロット。
「通さぬ!」
一瞬怯んだホワイトイーグルだが、再び滑空してくるのを今度はシャルグが壁になって盾で防ぐ。
「お前の相手はこっちだぜ。余所見は無しにして貰おうか!」
切り札『強烈な匂いの保存食』を出して注意を引き戻す勇人。
「Kuoーーーッ!」
文字通り強烈な匂いに誘われホワイトイーグルが目標を勇人に定める!
「今だ、頼む!」
「父と子と精霊の御名において、モデルさんナイスポーズ!」
ガンツの合図とともにギルスの『コアギュレイト』で見事硬直!
‥‥しかし、そのままホワイトイーグルは墜落してしまった。
「ダメだ。この作戦は使えねぇ‥‥!」
気を取り直し、硬直の解けたホワイトイーグルと再戦。
「喰らって上げられないね、これは‥‥」
負傷した前衛と入れ替わった閃夏が『ダブルブロック』でホワイトイーグルの『ダブルアタック』を受け流す。
「神様とガンツさんがじ〜っと見ています。ナイスポーズでがんばってください」
その間にギルスの『リカバー』で回復し、ホワイトイーグルの相手をしていく冒険者達であった。
「待たせたな! 後は好きに戦ってくれてOKだ!」
完全にイメージを固めたガンツが冒険者達に宣言する!
「さて、許可も出たことだし、とっとと片付けるとしますか!」
今度は当たるように『ライトニングサンダーボルト』を撃つロット!
「ここからは私も戦いますわ!」
念のため『オーラパワー』を剣に掛けると、ガンツと彫刻を護衛できる位置から『オーラショット』を放つミルク!
「さあ、全開でいくよ!!」
「コカトリスも強かったけれど、こいつも強ぇな」
閃夏とリルが『ダブルアタック』と『ダブルブロック』を駆使してホワイトイーグルに攻撃を開始する!
一度、上空へと退避したホワイトイーグルだが、まだ獲物を諦めていないのか、再び上空から急降下!
盾を捨て、剣を両手持ちにしたシュナイアスが迎え撃つ!
「これで終わりだ‥‥落ちろ!」
『デッドorアライブ』でダメージを最小限にし、『スマッシュ』を叩き込む!
戦闘が終わってもなお、ガンツの彫刻する音は響き続けていた。
「よし、焼き鳥だ。冬山での動物の肉は貴重だからな」
リルの提案で、ホワイトイーグルは冒険者達の腹に収まる事となった。
「これだけデカイ上に白い羽根なんてそうそう無いだろうし、上手くすれば一儲け‥‥うん、悪くないな」
焼く前に毟った羽根を羽飾りにするロット。キャメロットに帰った後、幸運の羽飾りという触れ込みで売り捌き、彼らの報酬が少し増えた事をここに記しておこう。
また、『大鷲仮面』として活躍した『エクセレントマスカレード』をホワイトイーグルの羽根で飾る勇人。今後は『白き大鷲仮面』と呼ばれるに違いない。
「今回も皆のおかげで良い作品が出来そうだぜ!」
冬だというのに流れる汗を拭いつつガンツ。
こうして大雑把に出来上がった彫刻は、まだ仕上げ前だと言うのに動き出しそうな雰囲気さえあった。
「最初は山の熊、今回は空の鷹、次は海で戦っている私達の姿が目に浮かびますわね」
事前に用意した大量の布で彫刻を保護しつつ、苦笑するミルク。
「そいつぁイイ!」
大笑いするガンツ。果たして冗談なのか真に受けているのか。
「神様とギルフォードの人達は、あなたの新作をじ〜っと待っていますからね、じ〜っと」
「また面白いモデルを見つけてくれよ」
ニッコリ笑うギルスと、ニヤリと笑うリル。
「また次の作品にも力を貸してくれよな!」
ガンツは最高の笑みを浮かべて、冒険者達と握手を交わしていくのだった。
いずれ彼らが英雄と呼ばれる日が来ることを願っている。