光の行先 〜bet〜
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■シリーズシナリオ
担当:Urodora
対応レベル:1〜5lv
難易度:難しい
成功報酬:2 G 25 C
参加人数:8人
サポート参加人数:3人
冒険期間:04月02日〜04月08日
リプレイ公開日:2007年04月11日
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●オープニング
●湖
泳いでいる魚。
湖面の波紋は静かにひろがっている。茫然とその移り変わりを眺めているだけで、毎日は続いて行くだろう。
届かない底。湖に映った自分の姿を見つめ、ある人は恨み言だけを繰り返し、ある人は捨てた想い出に縋りついているのかもしれない。
雨が降る。
その落ちた粒の数だけ波紋は増えていくだろう。透明だった湖も重なった波紋に濁り閉ざされ、いつしか何もかも混ざりあい、湖中を泳ぐ魚の姿も見えなくなる。
優しい日々。いつまでも続くと思っていた日常。そんな嘘で塗り固められた現実を真実と信じている人々は、湖さえ覗く気もないのかもしれない。けれど、それで生きていると言えるのだろうか。本当に?
その問いの答えを得る前に、泳ぐ魚はどこかへ消えた。
●雨
冷たい感触。
彼女が気づいた時、すでに雨はやって来ていた。冬の最後を飾る重い雪はいつしか雨に変わり、水を吸った防寒着の肌触りは最悪だ、それでも雨の匂いが彼女は好きだった。
乾いた土に降った雨の弾けた感覚、あがる瞬時の晴れを予感させるあの瞬間が心地よいから。
灰の空を仰ぎ、帰路への道のりを確認する視線の先、そこにあるのは古びた教会。
あれから、なぜ自分が狙われるのかを何度も反芻した。分かるようで分からない理由が頭の中を巡る。
雨の中で、また自分の考えに沈んだ彼女、その傍で猫の鳴く声がする。
どこかで鳴いているそれは、きっと捨てられた、もしくは自由を選んだ勇者かもしれない。
その鳴声に我に返ったナターシャは、雨音に混ざった鳴声を聞き、なぜか悲しみに捕らわれていた。
●ギルド
中年ギルド員の元へ再度訪れた神父は、自らの懸念が当たったことに驚きと不安を感じつつ、今後どうするかについて中年と話していた。
「得られた情報と襲ってきた奴等、その関係を洗うことが必要かもな」
神父の話を聞き、前回の報告書を見た中年は言った。
「でしょうな。しかし、またいつ襲ってくるか、油断はできません」
「とはいえ、一番の問題は、なぜあの子を襲うかだろう?」
中年の疑問に神父は
「その点は、本人が何か知っている気もしますが」
「でも、何も話してくれないのだよな・・・・命の危険もあるしな、そのあたりなんとかならんのかね」
「難しいでしょうな、傷。特に見えない傷を治すのは容易なことではありませんから」
神父はそう言うと深く溜息をついた。
光の行先
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●まとめ
概要については前回までの報告書参照のこと。
●今回の要点
基本フリーです。
皆さんの意思と裁量の範囲内で任せます。
けれど、目的は「ナターシャの保護」であることも忘れずに。
●関連地域
「幻影の洞窟」がある村に移動調査可能です。
ただし日程を全て消費します。
※登場人物も前回と同じなので省略します。
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●リプレイ本文
●村へ
旅支度を終えたセツィナ・アラソォンジュ(ea0066)とマリオン・ブラッドレイ(ec1500)は互いに顔を見合わせると先にあるという村について思いを寄せた。
ギルドで別れを告げた仲間の声を後に、キエフを出発した彼ら。道中、無事何事も無く村には到着する。問題はここからだ。
セツィナは、直接情報を聞き出すを難しいと感じ、マリオンに言った。
「私は、憑依されたという人物に話を聞いてみます」
冷静な彼とは対照的に
「そんな生ぬるい手で分かるわけないじゃない。ようはここ、ここよ」
無意味に頭のあたりを指しているマリオン、いったい何するつもりなのだろうか。
多分、彼女の性格からすると頭を使うというより、脅すあたりのような気もするのだが・・・・。
ともかく、二手に別れた彼らは落ち合う場所を決め、情報収集へと出るのだった。
●冒険者ギルド 昼間
「ああーもう、何がなんだか分かりませんわ」
呆れた顔で彼女のほうを向く人影とギルド員たち。
ここは冒険者ギルド、そして声をあげた彼女の名をロザリー・ベルモンド(ec1019)と言う。
「お嬢ちゃん。営業妨害だぜ、さっきからブツブツと」
ロザリーは、関係した報告書にあった貴族という表記について調べている。今回の事件に繋がるその二文字「貴族」それが背後で繋がっていると考えたからだ。
とはいえ、裏付けるための証拠は無い。あるとすれば彼女の前に立つ、中年ギルド員の内部にある気もするが、彼が積極的にそれを話すことはまず無いだろう。
「だいたい、貴方が大人しく話してくれれば分かることなんですわ。さあ、話なさい。話さないのなら当家の力をもって・・・・」
ロザリーの剣幕に、中年ギルド員は周りの様子を伺いつつ宥めるように言った。
「おいおい話す、話さないって何の事だよ? お嬢ちゃんの言ってるのがもしあれなら、公にできることじゃないんだぜ。俺の首もかかってるからそう簡単にはな。だいたい世の中、無料で情報が手に入らないもんだ、おっと口がすべったぜ」
自分で弱みを暴露しているあたり、彼も人が良いのか悪いのか分からないが、これは利用しだいで、どうとでもなりそうな気もする。
「それよりもギルド員さん。自分は知りたいことがあるのですが」
はぐらかされる前に、ヤグラ・マーガッヅ(ec1023)それと洞窟についての情報を聞いた。
「ん、家族構成? 何のことだ。俺は依頼についての内容は知っているが、その関連詳細までは知らんぞ」
彼は、例の村の裏事情までは知らないようだ。
次にロザリーが追求するかと思われた。しかしそろそろ時間である。このまま放置しておくわけにも行かないだろう、彼らはひとまず教会へ行くことになる。
●教会 昼
「ロシアで、白の教会とは珍しいですね」
昼食の準備をしつつ、ヤグラは神父とともに話をしていた。
「そうですな、私はノルマンの出身でしてな。あの子が引き取られた商家もノルマンの出。その縁であの子も引き取ったのです」
神父が言うには、彼女はノルマンの出身だという。
「片親が吟遊詩人だったようですな。幼い頃に聞かされた歌? それが形見のようなものらしいです。あの子も昔は活発な子で、よく歌っていた」
「歌ですか?」
「ええ、歳のせいか、歌詞は忘れてしまいましたが」
神父はそう言うと寂しそうに笑った。
狭い部屋の中。
くすんだ金に短めの髪、どこか物憂げな表情をしたその少女は、机の上に載った羊皮紙に、何事か書き記している。
ナターシャ・アスガルズ。
羊皮紙に記された文字は、そう書いてあるようだ。
「それが君の名ですか?」
少女が振り向いた先には、黒髪の女がいる。とらえどころのない雰囲気をもつ女は、微笑みむと返事を待つでもなく傍らの椅子に座った。
一瞬、どうするか迷っていた少女ナタリーは、少し遅れて頷いた。それを確認したクロエ・アズナヴール(eb9405)は、続けて文字が綴られる音を聞き、ただそこに居る。
しばらくした後、ドアが叩かれ
「お昼の準備ができましたよ」
ヤグラが昼食の誘いにやって来たようだ。ナタリーはクロエに視線をやる、それを受けたクロエは、彼女の手を引き食堂へと向かった。
「セイバー、ルーテーさーん。もっと優しく」
「・・・・私まで仲間だと誤解されるから、やめてよ」
ニーシュ・ド・アポリネール(ec1053)とアスタルテ・ヘリウッド(ec1103)は庭先で犬と戯れているようだ。今はニーシュが犬のセイバーに襲われている。
襲われているといってもじゃれつかれているだけなのだが、ニーシュが言うと妙に変態チックに聞こえるのは、なぜだろう? そうきっと役得だ、そうに違いない。
そういえば、昼食を食べ終えたヤグラはナタリーにそれとなく、手伝うように言ってみたようだ。戸惑っていた彼女だが、クロエのお付でヤグラと一緒にかたずけたようだ。
そして庭先に集まった昼間警備担当の彼らの前で、ニーシュはセイバーアタックを喰らっている。
「悪行の結果ですね。ニーシュ君」
クロエがなんとなくそんなことを言った。
「悪行って何をしてるのでしょうね、ニーシュさんは?」
ヤグラが問いにアスタルテが
「連戦連敗のナンパ記録とかじゃないの?」
ありえそうなことを言った。
「ノ・・ン。そんな冗談言ってないで、助けて」
倒れたニーシュはセイバーに顔を舐められているらしい。
そんな様子を見て、ナタリーは少しだけ、そう少しだけ和らいだ表情でその様子を見つめていた。
●冒険者ギルド 夜
アスタルテとニーシュは夕食後、ギルドへ情報調査に向かっていた。
二人の統一見解は
「殺人は、一人ではなくて、犯人は猟奇鬼とナタリーの両親と推測されるゴーストなどではないのか」
ということのようだ。しかし、それを答えとして求めるためには、大きな問題がある。
「両親のゴーストが過去にも存在した。そしてなぜそれが今まで洞窟に封印されていたか」
を立証する必要があるからだ。それはそれとして、今彼らは関係すると思われる個別殺人についての情報を彼らは調査している。
「芸術的なのには、何か理由があるのかな」
アスタルテが調べていった結果、猟奇鬼の殺人にはある特徴がある。オブジェとして見立てて殺す場合と、何の意味も無く殺す場合。
前者と後者の関係性は特に感じられないが・・・・
「ルーテさん、分かりましたよ。子供です、子供の数」
ニーシュが調べた情報を彼女に告げる、前者の場合一人っ子ではない。後者の場合は、一人っ子である。
「? どういうこと」
アスタルテの問いに
「どういうことでしょう」
ニーシュは、照れ笑いで返す
「そこまで分かってて何も分からないの!?」
「このニーシュ、名探偵ではありませんので、あしからず」
なぜか自信ありげに断言するニーシュに、アスタルテは呆れた。しかし、重要なのかどうかは分からないが情報らしい情報は手に入った、あとは事件について確認することが必要だろう。時間はあまりないが、彼女たちは事件を担当したと思われる人物についての情報を調べだした。
●教会 夜
夕食の後、ソリュート・クルルディアス(ec1544)教会の周囲を警戒を兼ねて散歩している。前回の襲撃が複数だったことも解せない、あれほど人員を割けるのならば、もし本気になれば、このような教会一つ簡単に落とせそうな気もする。
問題は、報告書の内容にあった幽霊か。しかし、あれは本当に幽霊なのだろうか? どちらにせよ、警戒を怠るのは危険だろう。彼女は一巡りすると戻って行く。
その彼女より遥か遠くに人影が一つ立ち・・・・。
ロザリーとクロエはナタリーを寝かしつけるため、部屋へと向かっている。
多少慣れたのか、二人の言うことは何も言わず聞くようだ。ロザリーはおやすみの挨拶してナタリーを優しく抱いたあと警備へと向かう。
クロエは、ナタリーが寝付く前に、枕元で一つ話を聞かせた。それは彼女にとって自らの過去を重ね合わせた寓話でもあるのだろう。、
「あるところに、笑えない道化がいました。それはずっと泣き顔で、それが人々の笑いを誘います。しかし、彼はそれが悲しくて余計に泣いてしまいました。そしてそのうちに、それが嫌になって泣き顔のまま、笑っている仮面を被ってしまいました。
しかし、泣いたまま被った仮面は外れなくなってしまいました。涙を止めなければ仮面が外れなくなってしまったのです。仮面は笑っているのに、笑えない。そうして彼は・・・・寝てしまいましたか?」
クロエの話を聞きながら、ナタリーは眠ってしまったのだろうか? 寝息のようなものが聞こえる。
彼女は話しながらも思っていた。この子の過去もそうだ。けれど私の仮面が剥がれるときが来るのだろうか。
いや、いまさら被った仮面を脱げるほど私に勇気は無いのかもしれない。だからこそこの子を救いたいのだろう、偽善者。人のことは言えない・・・・
クロエは彼女を護るかのように、傍にいる。
「あら、相変わらず料理の腕は落ちていないようですわね。そういえばお父様のお弁当も美味しかった」
ロザリーはヤグラ作成の夜食、ボルシチのパン煮込みミルク風味を食べながら言った。彼女の言っているお弁当とは、初日に彼の父であるセシェラムが弁当を配布したものだ。
「父も、結構な腕前ですからね」
「それではお父様も一緒に当家の・・・・料理番に」
と、和やかなムードを今回も破ったのは
「何か来ます」
狐目の女、夜中に会うと怖そうだ。ではなくて、現れたソリュートは敵らしき者の来訪を告げた。
●村で
「ということは、洞窟で墓を見つけ、それに掛かっていたペンダントを触った時に、何かに憑かれたということですか?」
憑依されたという村人にセツィナは話を聞いていた。
「ゴーストが出るという話だから勇気を試すために行ったんだけどな、もともと曰くがあるところだから、出てもおかしくはないが」
「曰く?」
「ああ、それについてはすまん。話したくても話せないんだよ」
そう言うと村人は口ごもってしまう。
「そうですか、ありがとうございます。私も一度洞窟を見てきますね」
セツィナは、洞窟に向かった。
「いいたかないんだけどぉ、私ってば人一人消し炭にすることなんて何とも思わないから、質問には素直に答えた方が長生き出来ると思うの。お解り? この乾燥した時期に山火事とか大変よね」
マリオンの頭を使った作戦は、ある意味頭を使っているといえるが・・・・やっぱり脅しのような気も、前もこのようなことがあったことに、村長は諦めたのか、周りに誰もいないことを確認したあと。
「あの事件に関係した貴族とは、とある地方の領主。とあると言うよりこの地を治めている領主が関係しているという噂もあって、あまり詳しくは話せないのだよ。私もそれがどんな御方は知らないが、キエフの別宅にいつもいるという話だからな。そのあたりは理解してくれ・・・・」
マリオンはさらに追及するか迷ったが、これ以上は墓穴を掘る可能性もあると見て
「じゃあ、最後に一つ。その洞窟に逃げ込んだ夫婦の子供って娘で、キエフへ養子に出されたのよね」
「よく知っているな、金髪で可愛い子だった。ハーフエルフだから、見かけそれほど歳は取ってはいないだろうな」
セツィナは洞窟の中の墓の前にいる。墓に記された文字は何かの詩歌のようにも見える。彼は何気なく、墓に掛かっていたペンダントを手にする、その先についていた宝石。そこには
「N・Aの誕生を祝って」
そう彫りこまれてあった。
●暗闇の教会
教会は包囲されている。手薄な警備の隙を突かれたともいえる。
組織的に動く彼らだが殺意はまったく感じない。各々が抑えられていた時、ソリュートの前に立った男は、派手なマスカレードを着けて笑った。
「やあ、お嬢さん。今宵は月が綺麗な夜だね。もしかして私の可愛い人形はまだ黙ったままなのかな?」
普段なら、それは笑える光景だろう。月光に照らされた仮面の男がおおげさな手振りでおどけるように一言、一言話しているのだから。
「どなたでしょうか? 私は貴方のような変な方にお会いするのは初めてですけれど」
ソリュートは、何の動揺も無く行動するようにみせかけ、剣を抜く準備をしている。
「おっと物騒なものはしまって欲しいな。今日は戦うために来たわけではない。ご挨拶、ご挨拶。私の可愛い人形の保護者たちの姿をこの目で見たくてね」
何が可笑しいのか分からないが、仮面の男は笑い続けた。
「深夜に訪問なんて常識にかけますよ」
「これは失敬、次は土産もきちん持ってこよう。そろそろ操り人形の糸を仕込むのにちょうど良い年頃かもしれない。さて、余興はこのへんで、帰るとしよう。黙ったままの人形なんて面白くないからね、もっと、もっと、もっと頼むよ、そのあたり。努力を期待しているよ」
闇に彼は消えた、哄笑のみを残して・・・・。
●情報のまとめ
それでは、今回得られた情報のまとめ。
○教会の神父は事件に関係していない。「ソリュートの調査により判明」
○村の洞窟にあったペンダントにはN・Aの誕生を祝ってと彫りこまれていた。
○殺人の方法は、子供の数によって変わっているようだ。
○幻影の洞窟で起きた事件、その夫婦の子供は娘である。
○夫婦を殺害したのは、幻影の村がある領地の領主という噂がある。
彼は、ほとんどのキエフの別宅にいるようだ。
○ナターシャは吟遊詩人の娘で、子守唄代わりに聞かされていた歌が形見らしい。
○中年ギルド員は金と権力に弱い。
○中年のギルド員の娘は遺跡調査である村にいるらしい「ニーシュの調査により判明」
○仮面の男が襲ってきた、この男が猟奇鬼なのだろうか?
以上
続