光の行先 〜gimel 〜
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■シリーズシナリオ
担当:Urodora
対応レベル:1〜5lv
難易度:難しい
成功報酬:3 G 7 C
参加人数:8人
サポート参加人数:6人
冒険期間:05月17日〜05月27日
リプレイ公開日:2007年05月20日
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●オープニング
●顎
「君は、そうやって自分だけは正しいと主張するわけだ。薄汚れた情動と欲望を身に秘めているのにね。例えば、君はその手で毎日数え切れないほどの命を喰らっているのだろう? 生きるために仕方ない、そうだね、そうだろう。それなら、私のやっていることを否定することができるのかい」
注がれた琥珀色の液体に、濁った赤色の滴を落とし飲み干した後、彼は続ける。
「世界の理だから? 自己弁護に走る君も素敵だ。何が正しくて何が間違っているのかを決めるのは世界の法。けれど私はその法に従う気が無いだけさ。私は私、何物の束縛も受けない」
脅える鼠に彼は何事か囁く。
「そんな眼をしないで、可愛い貴方。もし恨むなら、君自身を創った世界を恨んで欲しいよ。いつか死に行く定めなら、ただ漫然と生きるよりも、誰かの役に立ち消えること。それも素晴らしい選択だと思わないかい」
立ち上がった彼は、指先を震える鼠の頬に滑らしたあと、別れの挨拶を告げる。
「さようなら、愛しい貴方。私の中でずっと生きて欲しい。命は永劫の鎖の輪、その連鎖の中でずっと続いて行くものだから」
扉の軋む音は処刑の宣告のようなもの。
鈍い響きの後。首切り人が斧持ち訪れるだろう。
●妖精の戯れ
今宵も、戯れのごとき生を持ち寄り一時の夜を過ごそう。
闇に覆われた街は息絶えたごとき静寂に包まれ、靴の奏でる音だけが人がいること指し示す。
夜は命の終わりであり、また始まりでもある。
この黒い幕の中で生まれる世界は月の祝福を受けた静かな場。
太陽の輝きは眩しい。ただ、眩しいからその光は何もかも曝け出す。けれど、その正しさに耐えられぬ者もいる。
月明りはとても優しく身を照らす、だから少女はその温もりの下で踊るのかもしれない。
──此処には誰もいない。
自らを解き放ち舞踏をはじめた少女は、月光に照らし出され妖精のようにも見えた。
●ギルド
神父は言った。
「そもそも、なぜナタリーが狙われているのか? それが分からなければ対策の立てようも無いですな」
中年ギルド員は答える。
「今までの調査結果から、ある程度の予測はつくんじゃないか。と言っても、まだ曖昧で不確定だが、狙っているわりに、何か待っているようにも見えるしな」
「どうやら、ナタリーも以前に比べて活動的になったようですので」
「動いてみると言うことかい? しかし、あまり無理はさせないようにな」
中年ギルドの言葉に神父は頷いた。
光の行先
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●まとめ
概要については前回までの報告書参照のこと。
●今回の要点
基本フリーです。
皆さんの意思と裁量の範囲内で任せます。
今回から、ナタリーを同伴させて移動もできます。
ただし、彼女の取り扱いにはくれぐれも気をつけてください。
目的は「彼女の保護」であることも忘れずに。
●関連地域
表示距離は、徒歩で片道です。
「キエフ内」
「幻影の洞窟のある村」3日弱
「ヴォルニ地方、中心都市ヴォルニフ」4日弱
●登場人物
■ナターシャ・アスガルズ
会話はできません、筆談や仕草は可能。自分から積極的に反応しません。
※その他の人物は省略します。
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●リプレイ本文
●キエフ
初日、出発前にナタリーを訪ねてきていたルーテ。
「ごめんね、お姉さん色々な事情で・・・・・・」
ナタリーは彼女を出迎えた、一通りナタリーとルーテが遊んだあと、ちょうどやって来たニーシュ・ド・アポリネール(ec1053)と出会ったようだ。
「こんにちは、ナタリーさん。それよりルーテさん、今回はどうしました?」
ニーシュの問いに、ルーテは
「いや、その、ちょっと旅行してたら、そのーえへへ」
「そうですか、これで私も思う存分、羽が伸ばせるというものです」
ニーシュは細い目をさらに細くして、微笑みを浮かべている。決して女性ハントの足枷が無くなった、などと彼は思っていないはずだ。
「代わりにほら」
というルーテの視線の先にいるのはフォックス・ブリッド(eb5375)である。ちなみにまるごとぺがさすを着ている。色々ネタをその身に潜めているようだが、大人の事情というものがあってあまり顕現できなさそうである。
「大丈夫なのでしょうか、彼・・・・・・」
ニーシュの気持ちは良く分かる。とにかくルーテは去って行った。
他にもナタリーに接触した面々がいたので紹介。
「今日は爆炎の必要は、ないようですね」
ナタリーは知らない人には簡単に近寄らないので、ジークリンデの記憶読み取りは控えておこう。爆炎は・・・・よほどのことが無いと、日常では必要がない気もする。
「眠い」
その隣のアンリは、寝ずの番をするらしい。ということで昼間は寝ているようだ。
ということで今回、幻影の洞窟がある村へ向かうことになったナタリー達。
「ナタリー君、準備は良いですか?」
クロエ・アズナヴール(eb9405)にナタリーは小さく頷いた。
「ナタリーさん、無理はしてはいけませんよ」
ロザリー・ベルモンド(ec1019)の言葉に、ナタリーは微笑む。
そんな彼女達に近づく怪しい影。
「はぁ、ぺがさす龍聖剣!! さあ幸せのクローバーです」
色々ぎりぎりな気もするが、多分OKな技を駆使して、まるごとフォックスが両足を振り回しつつ接近してきた。ニヒルで気障なのに、その様子は無残な気もしないでも無い。
「なんですの、あれは?」
唖然としているロザリー、クロエは見てみぬふりをしている。ナタリーには意外と受けてるようだが、表情がほとんど動かないので、よく分からない。
「・・・・彼だけ置いていくわけにもいかないでしょう、とりあえず村までついて来てもらいます。道中は脱ぎますよね」
しばらくした後クロエは落ち着いてそう言ったが、多分脱がない。というよりも、それしか服を持参していない気がする。
その頃、冒険者ギルドでは。
「それで、何の用かしら? 父に呼ばれたから来てみたけど」
「報告書のイメージとは、かなり違うご様子」
ニーシュは純粋に驚いている。目の前にいるのは気は強そうだが意外と良い女だ。
「お話は伺っております。ひとまずこれなどいかがですか?」
「君、交渉って奴が分かってるね、感心、感心」
ヤグラ・マーガッヅ(ec1023)が差し出した物を見た女の目の色が変わる。
さて、ニーシュとヤグラの前に現れた女、名をソフィア。ラドノフ家長女、元眼帯の学者である。
そのソフィアに、ニーシュは彼とルーテが導き出した断片の一つを話した。それを聞いたソフィアは
「そうね、仮に君の言う説が正しいとすると、一つ大きな問題があるかも」
「と、いいますと」
「ゴーストは基本的に理性を保てないものなのよ。だから犯人がゴーストとその例の貴族だとして、一定の条件、生前の強い想いなどが関係しているのなら別の場合もあるでしょうけれど、それで目標を明確に分けることは難しい気がするわ。仮に偶然だとするならば、かなり確率が低いと思うのだけど」
「では、例えば貴族側が意図的にゴーストを利用して行っているとも考えられるのではないでしょうか?」
「そうだとするなら、何のためにそうする必要があったのか、それが分からないとなあ・・・・。そう言えば、私はその洞窟について行けばいいの?」
ソフィアはヤグラに向かって問うた、ヤグラはにっこりと微笑むと頷く。
「ごめん、今回は他に抜けられない用事があるのよね。とりあえず一つ借りってことで次は必ず助けるから」
彼女は、ヤグラに向かって謝ったあとニーシュに向かい
「きっと事件の裏には必ず動機があるはずよ。手段と方法よりも、その動機を推測見つけてから糸口を導いたほうが、推理は楽になるかもよ、色男さん。ただ、真実なんて、たいていつまらない理由なものだけどね」
片目を瞑ってそう言ったソフィアに対し
「色男とは・・・・・・お褒めの言葉を受け賜わりまして、光栄の至り。このニーシュ、いずれお美しいマドモワゼルとお茶などご一緒したいものです」
少し芝居がかった仕草でニーシュはそう返すのだった。
ヤグラがギルドから戻ってきたのを見たロザリーは、彼の元へとやって来た。
「ヤグラさん。ショールありがとうございます。いつもよくして頂いて・・・・将来私の冒険譚を書いてもらう時、貴方の事は必ず記す様に命じますわ」
微笑んでヤグラに言う。どうやらマーガッツ家の男は手が早いらしい。そんな感想はいらない気もするが、とにかくヤグラも、
「よくお似合いです。差し上げた甲斐がありました」
どうやら、ヤグラはナタリーが甘いものが好物と聞いて、なにやら作っているらしい。
「それはおやつ。わ、私の分もありますでしょうか・・・・」
ロザリーの言葉に、ヤグラは頷くのだった。
セツィナ・アラソォンジュ(ea0066)は難しい顔して村への道を歩いていた。
「何しけた面してるのよ」
「いえ、元からこういう顔ですが」
マリオン・ブラッドレイ(ec1500)は、その返事を聞いて
「まったく冗談が通じない男ね、だいたいこんな事件の解決なんて簡単よ、簡単」
マリオンは妙に自信がありそうだ。セツィナはその様子を見て、
「その方法を教えていただきましょう」
セツィナの態度に、憤慨しつつもマリオンは、
「黒幕をぶっ飛ばせば、万事解決よ!」
返答を聞いた両者の間に、冷たい沈黙が一瞬流れる。
「それで、その黒幕は何処の何方でしょうか?」
「知らない。そうよ、そこらの情報屋でも脅して聞きましょう! 私はナタリーと遊んでいるから、セツィナが行ってきなさいよ」
言い切ったマリオンに、セツィナは沈黙するしかなかった。
ソリュート・クルルディアス(ec1544)は内心、自分は調査向きでは無いと少し思いつつも、ひとまずヴォルニフへの道を急いでいた。
道中、朱の鎧を来た物騒な集団や、行進していく怪物などもいたようだが難を逃れた彼女。
旅をするのには良いけれど、もっと風情のある旅行がしたい気もする。
などと思いつつ、彼女の前にヴォルニ地方の中心都市ヴォルニフの姿が見え始めた。
【中略 情報部分は別記】
各自情報を集めた後、キエフにて合流したメンバーは、それぞれの思いを胸に戻ってきたようだ・・・・・・。
クロエに手を引かれ、教会へ戻っていくナタリー。陽が傾きはじめ、辺りが暗くなり始めた頃。
「ナタリー君?」
立ち止まったナタリーに疑念を感じ、クロエが声を掛けた時だった。震え繋いだ指先からクロエは感じた。そのナタリーの視線の先に現れたのは、ぼんやりとした人影のようなものだ。
ナタリーを守るかのように立ち、クロエは剣を構えその影と対峙する。
物音を聞いて最初に駆けつけたのはソリュートだった。先日感じた人影の正体がそれでは無いかと彼女自身はどこかで思ったが、相手は無作為に攻撃魔法まで使ってくる。余裕がなくなった彼女もまた剣を抜き戦い始めた。
「ぺがさす龍聖矢ー! ナタリー嬢の前から失せるのです」
現れた一陣のお笑い。ぺがさすフォックスが、またもやギリギリな技を使用している。
「ナ、ナタリーさんを守らないと」
人影とフォックスの姿、どちらに動揺しているのか分からないが、ロザリーもレイピアを構えた。
「ついに私の出番。見てらっしゃいナタリー」
この状況でマリオンが、呪文を唱え始めた。ただ数人仲間を爆風に巻き込む恐れが・・・・。
「肉を切らせて骨を壊すのよ!」
ここは教会。白クレリックもいる、多少の怪我は大丈夫だろう。
火炎球が、もやのような人影に向かって飛ぶ、その周りの人たち結構巻き込み、轟音とともに爆発した。
「これだから火の術士は困りものですね」
風に吹き飛ばされたセツィナが妙に冷静な口調で言う。
後から駆けつけたニーシュが見たものは、ヤグラが一所懸命みんなを治療している姿を見てナタリーが笑いを堪えている場面であった。
「結果的に成功ですか? それにしても真っ黒な着ぐるみペガサスが深い傷を負って中心に倒れていますが、彼はいったい何をしたのでしょうか・・・・・・」
この戦闘の結果、人影は逃げ去った。
付き従う王女に仮面の道化師は言いました。
「姫が笑顔を取り戻した時にこそ、この仮面が音もなく外れる時でしょう」
暗闇のベールに包まれる時の中に集う騎士たちは、手と手を繋ぎ、彼女を守りつづける。
太陽が落ち、月が顔出し始めた頃。
ナタリーの両脇を固めたロザリーとクロエが手を引いて連れて行く、途中ニーシュは騎士の礼を保ち接する。
月光に照らし出された教会。その場に集った彼らは、まるで一枚の絵の中に住む人物達にも見える。
「それでは、おやつにしましょうか? 皆さん」
ヤグラの声を聞いたナタリーは、彼女の騎士である彼らに向けて、はっきりと微笑むのだった。
●道筋
それでは、今までの調査結果と今回の調査を加味した結果を下記に提示する。
今回の事件において、焦点をいくつか最初に述べておく。
〇キエフの猟奇鬼の正体
〇ナタリーのみが生き残った理由
〇幻影の洞窟の墓とナタリーの関係
〇なぜ、いまさらナタリーが襲われるのか?
その他にもポイントはあるが、大きく言うとこの四つといえるかもしれない。
それでは、幻影の洞窟の村に向かったセツィナ、マリオン、クロエ、ヤグラ、ロザリーらの調査から得た事を報告する。
幻影の洞窟で今まで得た情報は、内部にある二つの墓がナタリーの両親であることを確定するための情報、それが彼女の両親であることの確認とも言える。そして、今のところ確証は無いが、ほぼ解答と言えるだろう。
そこで問題となるのは、なぜ彼らがここで殺されたか、そして彼らの子供はどこにいったのか?
今回の調査で分かったことは
「あの二人は、逆恨み。復讐としては、もっともくだらない上に悪趣味な理由で殺されたのさ。そういえば、そろそろ彼らの結婚記念日だな」
「女の子なら、母方の兄が引き取る予定だったよ。あの墓も彼が作ったものだ。けれど確か色々あって彼も亡くなって、隣村の教会が保護したと聞いたよ」
という村人の証言だ。ちなみにナタリーと村人の反応は無かった。墓の詩文は悼む歌。ペンダントについての判断はここでは下されなかった。
キエフに留まったニーシュの調査について触れよう。
ニーシュが訪れた、ヴォルニ領主のキエフ別邸と事件について調査結果。
ヴォルニ領主は、別邸にも、ほとんど居ない。彼の行動予測するのは難しい。ある使用人の証言によると
「奴は狂ってるぜ、確実に・・・・」
容姿については、それほど特徴が無いらしいが、仮面のコレクターのようだ。そして、領主は二人兄弟らしい。
猟奇鬼を担当した当時の人間は、
「あの犯人、確実に楽しみでやっているな。特に女性の場合は、また見事なまでに美しく殺っていたよ。そういえば、その時は必ずなぜか背中に大きな傷があったが、あれはなんだろうか」
ヴォルニフに向かったソリュートの調査結果についてまとめよう。
ヴォルニフはキエフ西方、ジトーミルとの間にある都市である。ソリュートが街についた時、特に緊張感は漂っていない。
どうやら、ヴォルニフ自体を治めている有能な腹心である執政官は優秀らしく、都市としての治安や機能は、かなり優れているようだ。
ソリュートの疑問の一つである、今回の出兵について周りに聞くと
「ああ、あんたの言う軍は狼牙騎士団の奴等だろう。あれは領主直属の親衛隊だからな。こういっちゃなんだが、ここの領主様は、ちょっと訳ありなんだよ。弟君が継いでくれれば良かったものを・・・・ハーフエルフではなかったからな」
答えた男は溜息をついた。
領主の肖像画は、すんなりとみつかった。とり立てて特徴のある顔とはいえないが、ひとまずソリュートはその写しを持ち帰ることにした。
最後に門の村に向かったヤグラが手に入れた情報を簡潔に記す。
「ロザリオの子なら、キエフの豪商に引き取られたよ。幸せな生活を送っていたようだけど、何かの事件に巻き込まれたと風の噂で聞いたな」
以上、今回手に入れた情報は主に上記の通りである。
では、ここまでの調査によって判明した結果を最後にまとめてみよう。
幻影の洞窟にあった墓はナタリーの両親の墓だと推測される。彼女の両親は何者かによって殺害されている。その理由は両親とその殺人者の間にあった、なんらかの関係のようだ。
殺害当時生き残った子供がナタリーだとすると、彼女は母方の兄の手によって引き取られる予定であった。しかし、彼もなんらかの理由によって亡くなり、隣村の教会にてナタリーは保護されたあとキエフの豪商の元に引き取られた。
現状では、例の仮面の男がキエフの猟奇鬼である可能性が高く、ヴォルニ領主であるという推測も立つ。だとするならば、彼がなぜナタリーを狙うのか? その動機が犯人である事実を組み立てる鍵となるだろう。
他に殺害方法の差異についてだが、ヴォルニ領主は二人兄弟の兄、養子もいるようだが子供については表沙汰にはなっていない。そのあたりに理由があるのかもしれない。
さらに今回襲ってきた人影は、幻影の村で起きた幽霊騒ぎのさい現れたゴーストが憑依したもので、ナタリーの両親の片方だとも考えられる。
以上
●余地なき選択
時は来た・・・・・・。
例え真実なき答え、先の見えぬ選択だとしても、選ばざる負えない。
教会に届いたその手紙は短く。
「近いうちに、私の可愛い人形を迎えに行くよ」
きっと選択は二つしか無いだろう。
己が手でみつけた答えを信じ、元凶を打ち倒すため自ら死地に赴くか? あえて襲い来る牙を受けて立つのか?
闇に沈む光。
その行先、道を切り開くことこそが、君達に与えられた使命なのだから。
続