二つの主題

■シリーズシナリオ


担当:Urodora

対応レベル:11〜lv

難易度:普通

成功報酬:4 G 88 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:03月28日〜04月03日

リプレイ公開日:2009年04月21日

●オープニング

「私のやっている事は、劇中劇、バーレスクだ。終わった物語の筋をもう一度追っているとも言えるな」
 暗室の暗闇、照らされた灯りに紛れ、訪れた商人に男は言った。
 商人にとって昔馴染みの客人から注文ではあった。
 だが、しばらく会わない間に随分と雰囲気が変わったものだ。そう感じつつ聞き返す。
「御入用の物はこれで?」
 注文されたの物は上質な紙とペンだ。紙は貴重品だ。
 貴族でもなければ手が届かないものの一つである。
「結構」
 満足気な返事を背にした帰り際、扉を開いた商人の耳に
「なぜだ」
 そんな呟きが聞こえたような気がした。


●JJ

  
 解放されたジャンヌは元気がない。
 嘆いていても仕方ない事は分っているが、だからといって元気になれるわけではない。 
 あの事件の後、冒険者の手によって村は解放された。
 かといって村に住むわけにはいかない、ジャンヌは一時的にイワンを頼った。
 キエフで過ごす日々は平凡とは言えないが、つまらないわけではない。悲劇の主人公は自分には似合わないとばかりに明るく振舞っていた。
 そんな彼女は飼い猫が心残りだった。
 猫は家族同然に育った仲。
 生きていると信じたかったけれど、あの状況で生きていると信じられるほどジャンヌは子供でもなかった。
 けれど父親の安否は大丈夫だと感じている。
 あのヴァンパイアは、
「君達二人は必ず解放する。それが私の矜持だ」
 そう言っていた。
 邪で冷めた感じのする男だったが嘘を言っているような気はしなかった。
 猫を捜しに行きたい。
 彼女の想いは強くなってゆく。
 だが、一人で捜しにいくわけもいかない。
  
 【解説】

 猫探しです。例の村に行くことになります。
 目的は猫の安否の確認ですが、ピクニックやハイキングを兼ねても良いと思います。
 村の近くには温泉もあります。入る必要はないですけれど、選択としては面白そう。
 ちなみに猫が居るのは主の居た館です。
 館の周りには掃討しきれなかったズゥンビがいる程度ですので、たいした脅威ではありません。
 ただし、ジャンヌにとって村や主の館を再度訪れるという事は、起きた出来事との対峙ですので、結果どうなるのかは誰にも分りません。
 起きた過去についての対処は自分の経験も大事かもしれませんね。



●イワン

 村は解放された。
 だが、帰還できるわけではない。
 間借りしているキエフの家で、耳にする世界の情報は気が重くなるものばかりだった。
 そんな日々の中でイワンは、ある出来事を気にかけていた。

 ランス・ジャンバルジャンは別れ際にイワンに伝言を残していた。
「私がもしもの時はジャンヌを頼みますよ」
 前から彼はそう言っていた。
 その日も冗談だとばかり思っていたのに、真剣な顔をしてランスはイワンに告げた。
 自分は些細な事で、無実の人を殺めた。
 だからこんな辺鄙な場所に逃げてきた。
 ジャンヌの母親はキャメロットにいる。
「あの子が大きくなったら教えようと思っていたのですが、君に託しておきましょう」 
 ランスは事件のさい封印した自らの剣が村の近くにあるという神殿に捧げてあると語った。
 いま家に飾ってあるのは、それの模倣品。ただの剣だと。
「たいした理由ではありませんね、ありふれた事」  
 告白されても現実感は無い。 
 イワンにとってジャンヌは気になる相手だが、自分の身のほうが大事だ。
 余計な問題を持ち込んでしまうと狭い共同体で生きづらくなるのは知っていた。
 だから、その事に関しては忘れてしまい誰にも話さなかった。
 
 だが、救われた村の話を聞いた後。
 イワンは剣の事を思い出し、行かないと駄目な気がしていた。


【解説】

 託された剣が祭ってる神殿にイワンは行くかどうか迷っています。
 彼は本心では行かなくても良いとも思っています。自分の中に閉まってしまえばそれで済むので、けれど反面行かないと駄目だと感じています。
 神殿までは二日程度です。
 ちょうど神殿にはデビルが立ち寄っているようです。
 ランスの剣は伝説の聖剣というほどではありませんが、それなりに価値のある物のため偵察に来たのかもしれません。
 神殿の内部は一直線ですが、罠らしきものもあるようです。
 訪れたと思われるデビルは目撃情報から推測してアビゴールです。
 アビゴールとヘルホース合わせて一体ですので、不利というほどではありませんが、昨今の事情により強化されているためお気をつけて。
 それと、この剣を手に入れるには貴方とって一番大事な形あるものを捧げていく必要があります。
 そういう仕掛けです。
 嘘をついても構いません。嘘をついたと分るのは自分だけですから。

●今回の参加者

 ea0029 沖田 光(27歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea7242 リュー・スノウ(28歳・♀・クレリック・エルフ・イギリス王国)
 ea9342 ユキ・ヤツシロ(16歳・♀・クレリック・ハーフエルフ・フランク王国)
 eb4721 セシリア・ティレット(26歳・♀・神聖騎士・人間・フランク王国)
 eb5076 シャリオラ・ハイアット(27歳・♀・クレリック・人間・ビザンチン帝国)
 eb7876 マクシーム・ボスホロフ(39歳・♂・レンジャー・人間・ロシア王国)
 ec0246 トゥルエノ・ラシーロ(22歳・♀・ファイター・ハーフエルフ・イスパニア王国)
 ec0886 クルト・ベッケンバウアー(29歳・♂・レンジャー・ハーフエルフ・フランク王国)

●リプレイ本文

●村へ


 向こうにある橋の上、溶けて崩れる雪の涙は自らの思いを示しているようだった。
 起きた出来事を振り返り、張りつめた気持ちをもう一度ほぐせば良いのか、それともこのまま暗い想いに呑まれてしまえば良いのか、彼女は悩む。
 だが、悩んでみても答えが出るわけでもない。
 歩くたび跳ねる泥を撒き散らし、飛んだ滴が降りかかる相手、白の毛並みを背景に斑が描かれる場面を見、ジャンヌは言った。
「スノーじゃなくてブラウン」
 言われたほうは何を言われたのか分らず、首を傾げる。
 獰猛という言葉が相応しいその生物。
 純白の狼は助けを求めるように飼い主へ数度ちらちらと視線をやる。
 視線を向けられたユキ・ヤツシロ(ea9342)は、どう返せば良いのか迷って、スノゥを撫でた。
「猫探し。なーんか嫌な予感がしますね。悪魔を崇める邪悪な男が魔王復活の生け贄に使ってたりするんですよ。そこで凄いバトルが! あ、なんでもないです。こっちの話ですから」
 シャリオラ・ハイアット(eb5076)は相変わらず、シャリオラ節全開だ。
「そういえば、捜しに行く猫の名前はなんていいましたっけ?」
 シャリオラの直感で聞いた、なぜかは分らない。
「フールだよ」
「フール。そこかはかなくと嫌な予感がバリバリします」
 シャリオラの悪寒は多分てきとーに当たるだろう。
 さて、道中は平和、平和。
 沖田光(ea0029)が今回きた意図を話し始めた。
「フール君ですか? 少々大柄ですが、僕も猫飼ってるんですよ、黄色に縞模様が可愛い子を。だから、他人事とは思えなくて」
「それってタイガー! 虎じゃないですか?」
 シャリオラが突っ込んだ
「え、猫ですよ。たぶん」
 客観的に見るとそれは虎。だが、沖田にとっては猫、沖田は天然という種族に属するようだ。
「なに、面白い人たちね」
 話を聞いていた。トゥルエノ・ラシーロ(ec0246)が笑った。
 彼女はいわゆる代理人だ。
 トゥルノエはロシアに来たのは初めてである。
 偶然という現象によって、キエフでは旧知の仲であるクルト・ベッケンバウアー(ec0886)に出会ったようだ。 
「お探しの猫さんですが、どのあたりに居るとお考えで御座います」
 リュー・スノウ(ea7242)がジャンヌな聞いた。
「フールは薄暗いところがすきなんだよ。でも、リューさんの話し方が面白いで御座います」
「そうで御座いましょうか?」
「で、御座います」
 ジャンヌが復唱した。
「バリバリで御座います。それにしてもフール。根暗そうですね」
 シャリオラは嘆息した。
 そのうちに、村に辿りついた。ジャンヌは意外と明るい。元々、楽天的なのだろう。
 猫を捜索するといっても村は広い。
 ユキがジャンヌに言って、猫の匂いのついた鈴をスノゥに、
「スノゥ、ごめんね。貴女は犬じゃないのは判ってるけれど、もし出来るのなら匂いを探して欲しいの」
 パク。差し出された鈴ごとユキの手を噛んだ。
「パクじゃなくてね、ターゲットへ走って欲しいの」
 パクパク。
「スノゥ、わざとやってるでしょう? もうゴー」
 ユキに叱られたスノゥはやっと駆け出した。
「さて、僕達も捜してみましょうか」
 沖田の言葉で皆、分散して猫の探索を始めるのだった。

 スノゥが行き着いたのは、因縁のある館。
 ジャンヌがその話を聞いた時、一瞬、動きが止まる。 
 リューは、そのジャンヌの様子を気にかけ話しかけた。
「怖いので御座いますか?」
「ううん、こわくない」
 ジャンヌの様子にリューは優しく諭した。
「本当に辛いのは解らないままで終わる事。与えられた命の長さが違う者と最期まで共に在るはそも難しく。だからこそ『かもしれないで』妥協するは、失くすより後悔は濃くなりましょう」
「だから来たんだ」
「そうですね。躊躇おうとも、前へと歩き得る結果はきっと、優しいもので御座いますよ」
 リューにジャンヌは頷き返した。
 館の前には、死に切れぬ者たちが、立ち塞がっていた。
「ここが私の見せ場ね、みんな退いて独りで十分。弔いは任せるわ」
 トゥルエノはズゥンビ程度の相手では無敵に近いので、戦闘シーンを克明に書いても仕方ないため、省略イメージ。
「えい」
 ザク、ズゥンビ昇天した。
「や!」
 ザクザク、ズゥンビは昇天した。
「何、この手抜き具合、貴方やる気あるんですか」 
 シャリオラ君、記録係がいつも真面目に記録していると想ったら、大間違い、特にのこの記録係は気分で動くのだ。
 一通り片付けた後、トゥルエノが一息ついた。倒れたズゥンビを天に返すため、リュー、ユキ、シャリオラが祈りを始める。
「終わった。あとはレイアに報告ね、でも私の存在っていったい」
 トゥルエノが自己の存在について考えてしまった。
「トゥルエノさんは、道を切り開いてくれたんだよ」
 ジャンヌのナイスフォローだ。
「道ね──。それじゃいきましょう。大切なもの、いえ猫を捜しに」
 ジャンヌは戸惑った。何も感じていないふりをしていたが、恐れがないわけではない。
 祈りの響き、その中で沖田はジャンヌの態度を見、手をぎゅっと握り。
「亡くなった方には何もしてあげられないけど、ジャンヌさんには今僕達が付いていますからまずは猫さん見つけて、少しづつ元気の力を蓄えましょう」
 そして歩き出す。
 館。
 いや過去に向って。
 フールは変わらずそこにいるだろう。
 発見され、最初に彼の爪の犠牲になったのは誰でもない。
「さぁ、これでひとつ区切りがつきました。次は、助けますよ、お父さんを!」
 引掻き傷だらけのシャリオラの肩にフールはなぜか勝ち誇ったよう乗っていた。
 そう、前に進むのはそれほど難しい事ではない、少しだけ勇気があればそれで良い。
「みんな! ありがとう」
 ジャンヌはやってきて良かったと本当に思う、もし来なければ。
 忘れる事もできず、区切りもつかず、きっと自分の行動を後悔することになっただろう。安らぎを得、猫とじゃれ合う少女の姿をスノゥがじっと見つめていた。
 
 
 

●祭壇


 「刃を交えるのか?」
 目の前に立つ鎧を纏ったデビルは問う。
 瞳に宿す静寂も輝きは相手の意思を伝えていた。
 迫る緊張、通路にゆらめく灯りの先にある間、視界に見えるのは捧げられた剣。
 マクシーム・ボスホロフ(eb7876)はセシリア・ティレット(eb4721)を見た。
 セシリアが戦う意思があるのか確認するためだ。
 交差するもの。
 確かに何かを取り戻すとためにやって来た。だが、マクシーム自身、過去を追っているだけなのかもしれない、そう感じている。
 湧き上がる自責にも似た苦さは視線の先に原因がある。
 その前、セシリアはデビル。
 何が悪いわけでもない、だが。
 セシリアの内部に渦巻くのは何色の想いだろう。
 ──その影。
 初めて感じる圧力。イワンはやってきたことを後悔している。
 他人の説得によって自分の心が簡単に変わらないことは、イワン自身が一番良く知っていた。
 弱さとは自らを省みることによって生まれる迷い、選ぶことのできない結果。自らの心を省みないものにはそれが何なのかを知ることはできないのかもしれない。
 イワンの視線は祭壇の剣、
 届かないものがそこにあるのか、それとも。
 イワンの脅えを感じたクルト・ベッケンバウアー(ec0886)は、数秒考えた後、 
「僕の後ろに隠れて」
 そう言うと軽く頭を撫でた。
 ここの来る途中、クルトはイワンの心のうちは聞いた。
 中身は自らの行動を言い訳しているだけだった。保身に走るイワンの言葉でも、やって来た事をクルトは素直に褒めた。
 まだ、聞きたいことはいくつかある。
 けれど今は語るよりも大事なことがある。
「でもね、守りたいものがあるなら」
 背で語るほど、自分の姿が様になるとは思っていない。
 格好なんてどうでも良い。
「自分で守るものだよ」
 クルトは静かに言った。
 迷宮の奥。
「何を欲する?」
 悪魔は背後にある剣を省みる。
 目的はこれであるのは知った。
 セシリアは戸惑う。
「私は」
 足掻くことに疲れた。
 なぜやって来たのだろう
「私は」
 言葉が止まる。
「未来を手に入れる」
 セシリア。
「よかろう、未来と称するもの。取りもどしてみせるがよい。抜け──人の子よ」
 淡々とデビルは言った。
 暗闇、迷宮、その口調、どこかで見た記憶 光景、映像は連なる焦点、立てた弓の背後でマクシームは独り呟いた。
「過去を断ち切るため。いや、救うため。か」
 つがえる、何を、抜いて、矢を。
 込める腕、何度目の行いだ、が彼の瞳に宿すは殺意ではない違うものだ。
 切迫する空間。
 奏でられる戦慄は十字に掲げられる血に流れる夢も現に貫き意思を呪い眠りを病みに断ち切り現実、進み飛び交い突き刺さる鏃の嵐を巻き散らす。
 セシリアは剣を握った。
 進んだ先に佇むデビルは己の定めを埋め静かに宣告する。
「貴様では勝てぬ」
 傍らの死馬がいななくと絶望は身を絡む。
 剥がれぬ運命。
 形あるは救われること無き凝集、尖る切っ先に集う憎しみ、数に鈍く光るは終わりなき反芻に続く、勝敗、成否、勝敗、成否、一から十に回る物が身を撃ち続ける。
 自らの背負った罪。至るは死でも、
「やらなければ」
 セシリアは退かない。
 下された判断、デビルは相応の礼を持って返す。
 両牙、左右断、背円より四方、右から左に荒ぶる軌跡がセシリアを襲う。
 勢い吹き飛び、己の技量で迎え打ち返すこともできず強かに宙へ浮き、描かれた無数の弧円は剣の律動、回転する白刃の行方を彼女は追う後、地に乾いた音が響く。
「そこまでだ。無意味な勝負を挑むは無能」
 デビルは剣を収めた。
 かなわぬなら諦めればそれで良い。
 無理に戦うことに何の意味がある。
 たが、セシリアは自らの誇り、囚われている何かを捨て去ることはできず。
 睨んだ。
 此処に在るは。
 ナガルルモノ定まらずありてなく抗う人の群れ、望みの数だけ弾け縛られ進めど穢れ去就へ至るは猿の一存、一存欲せど私情にあらば、無明に光も求められまい。
 いずれに転べど全て同、逝けば諸とも何処も獄、業火に焦がれてのた打ち回り、闇に正義に運び喰らいて、裁いて、消えるも。
 女の無手。 
「私がこの手で救わなければ」
 セシリアの意思は堅い。
 彼女の武器はその身のみ、強さは反して弱さを含む。
 デビルは立ち上がったセシリアを目視すると
「痴れ者が、神にでもなったつもりか? 身の丈に合わぬ願いなど無粋の極み、堕ちよ」
 蔑みを込め、解放する。。  
 這う闇、何度か傷つき地を這う冒険者たちが居る。
 真の力を発した後に放たれた衝撃、悪魔の力の前に屈していた。
 態勢を崩したマクシームは自嘲めいた想いを抱く。こんな時は直接戦えるほうが良いのかもしれない。
 同時に伏したセシリアの様子を伺う。
 マクシームの視線の先、転がった武器はまだ遠い。
 
 揺らぐ視界。
 一瞬、意識が飛んだ
 頭を振ったクルトは口内をつたう塩気に気づいた。
 地面に叩きつけられた反動だろう。
 今までのやり取りをみる限り、このデビルは命を取るつもりではないような気がする
 このまま逃げてしまうのも手段の一つだとクルトは感じていた。
 けれど、彼の背後にはイワンがいる。
 自分の言った科白を撤回して逃げる。
 命を守るためには、それが正解かもしれない。
 クルトの迷いを遮るかのように、
「未来が欲しいのなら越えて行け、それもできぬのなら去れ。立て、勝負はまだついていない」
 デビルは挑発した。
「あいにく、往生際は悪くてね」
 マクシームは立ち上がりそう返した。
 イワンは繰り広げられる光景をずっと見ていた。
 なぜ、目の前で冒険者たちが戦い続けるのか、分らなかった。
 逃げればいい、そんなイワンの視線に入ったのはセシリアが失った武器。 
 このまま戦えば、負けるのは分っている。
 最も近い距離にいるのは自分自身だ。
 選択は二つ、どうするかはイワンの意思。
 その時だった。
「行きなさい! 今、あなたの友を守るとき、そして──」
 かすれた叫びセシリアの物。
 イワンはそれでも悩む。未知の恐怖。このまま逃げてしまえばそれで何もかも上手く いくような気がした。
 どうすれば、答えを探して立ち上がったクルトの背にイワンは助けを求めた。
 クルトはその視線を背後に受けているのを感じつつも、無言のまま弓を構える。
 同時に、デビルはセシリアの声に注意を向けた。
 マクシームはその隙を見逃すほど馬鹿でもない。
 放った矢はデビルを射抜く。
 その間を駆け抜けたイワンは転がった剣の前にいる。
 クルトはイワンの姿を視認して思った。
 きっともう自分が言葉をかける必要もない。ならば、自分は自分の役目を果たすまで、引き絞り、マクシームに続いてクルトも矢を射る。
 拾い掲げた剣をイワンはセシリアに渡すために走った。
「はい、これでいいよね」
 手渡された重みをセシリアは感じた。
 力。
 込めた両手を添え、ゆっくり貫く。
 刃は滑るように、無抵抗のままにデビルの鎧の継ぎ目に刺さった。
 深々と胴を貫いた剣、デビルは自らの終わりを悟った。
 仮初の肉体も捨て、消え行くのもまた真実、痛みが来る。
「よかろう。未来を掴むが良い。人の子よ、さらばだ」
 デビルの絶命共に、彼の愛馬が雄たけびをあげた。
 だが、二人の射手は冷静に矢を取り出すと、ゆっくりと狙いを定め──放った。
 場に覆う黒い霧は晴れた。

 そして彼らは何かを失い、何かを得るだろう。




●おまけ。


 さて、やってまいりました。温泉で御座います。
 温泉といえば、皆さんご存知のように、入浴シーン。
 今回、男ぽいのは皆無。
 独り美青年・他は女性というなかなかよいシチュエーションです。
 はい、では、ルーレットオン。
 本命はトゥルノエ、大きいのは見栄えが良い。
 対抗シャリオラ? 個人的にはいわゆる少女ということでユキ、ジャンヌも見逃せない。
 大人の女性はリュー。いや。ダークホースで沖田。
 何、ノリが違う?
 記録係の楽しみだ。最近、物騒すぎて疲れた。
 さて、湯煙の中、張って克明に記録。
 え、もう時間? ギルドから帰って仕事をしろって、誰かやって来たのに
 だから、書かせろって、色々最近倫理がうるさいから書くな、無理、ナニソレ?
  
 ────。

 この続きは脳内補完でお会いしましょう。
 それでは全国一千万の入浴ファンの皆様。
 無念。