【死の輪番】少女の謎
|
■シリーズシナリオ
担当:やなぎきいち
対応レベル:6〜10lv
難易度:普通
成功報酬:5
参加人数:9人
サポート参加人数:2人
冒険期間:11月29日〜12月04日
リプレイ公開日:2005年12月08日
|
●オープニング
●宮廷図書館INパリ
分厚い本をゆっくりと捲る。
──パラリ
古い羊皮紙の、かびたような独特の臭いが鼻を突く。埃っぽい錯覚に捕らわれるが、手入れの行き届いたこの図書館にそんなぞんざいな扱いの本は無い。日の当たらない部屋が、そのような錯覚を引き起こしているのだろう。
その羊皮紙に記されたインクの跡をひとつひとつ指でなぞり、文字列に苛立たしげな息を吐くと読み飛ばしてイラストと表題を見比べるように眺める。
──パラリ
もう細やかなインクの跡に挑戦することもせず、表題とイラストだけを眺める。
「ダンゴとビブロ‥‥ビブロ、じゃなくて、ビフロンスだったか‥‥ダンゴ‥‥」
赤毛のクレリックたちが調べた2体のデビルについて調べ上げるべく、ラクス・キャンリーゼは宮廷図書館の蔵書と向き合っていた。
どこか挫折気味の上、ちょっとした記憶違いもあるようだが。
それでも、彼を知るものであれば‥‥頭を使うという彼にしては奇跡的な選択に、その成長ぶりに、思わず涙したかもしれない。
その後に待つ悲劇を知らなければ。
●夕暮れ──INパリ
ほくほくと羊皮紙を握り締めたラクス・キャンリーゼ。いったい何日通いつめたのか‥‥ニコル・リファレに尋ねれば明確な答えが得られるだろうか。おそらく、ラクス本人に尋ねても記憶にはあるまい。
そんな地道な、目の霞むような、血の滲むような努力の結果、彼は僅かばかりの情報を入手していた。
その手に握る羊皮紙の中に。
「ラクス・キャンリーゼ?」
女性の小さな声に呼ばれた気がして、ラクスは振り返った。
女性というには幼いような‥‥そんな声の持ち主は、やはりラクスの目線より低いところに頭のある少女である。
「俺も有名になったものだな!!」
見知らぬ少女に名を呼ばれたことに何の疑問も抱かないのは、やはりラクス・キャンリーゼというところか。
一時とはいえ行商人の傍らに立ったことのある赤毛の射撃クレリックや正騎士と呼ばれる男が共に行動していたのであれば危険を知らせる叫び声を上げたであろう。
アルジャーンと呼ばれる──アサシンガールと呼ばれた少女。
「知りすぎてしまったのね」
招くように手を差し伸べる少女。
その手に、気付けば白い珠が‥‥片手に1つ、両手で2つ。重ねると右手の珠にまとまって、左手にまた1つ現れる。
「その年で大道芸人か! なかなかやるな!!」
「気に入ってくれたの?」
「ああ! もう終わりか?」
「じゃあ、お代の代わりに『その羊皮紙』を『くれる』?」
にっこり笑った少女に、乞われるままに羊皮紙を手渡してしまうラクス。
「‥‥あ、あれ? いや、それは‥‥」
自分の行動に首を傾げる青年。渡してはいけないもののはずなのだが‥‥渡さなければならない気がする。
再び白き珠の大道芸を見たラクスは‥‥軽いめまいを感じた。
「‥‥あれ?」
目が霞む。細かな文字を見すぎたためだろうか。
体がだるいような気がするのは‥‥きっと腹が空いているに違いない!!
「疲れてるの? 何日かパリに滞在してるから、また見たくなったら探してみて」
心配するようにラクスの顔を覗き込んでそう言うと、アルジャーンは白い珠を両手で弄びながら夕闇に消えていった。
●リプレイ本文
●見舞い
何はともあれ少女の情報が無いことには始まらぬ、と足並みを揃えたわけではないにも関わらずラクスの家へ揃い踏みする冒険者。ラクス・キャンリーゼは確かに今ひとつ本調子ではないのであろう、寝床から起き上がることもせずに友人たちを迎え入れた。
「ラクスさん、一人で調べるなんてやるじゃない! 具合が悪くなるまで調べ続けるなんて、さすがね」
「ラクス殿が宮廷図書館に通うようになるとは‥‥にわかには信じられぬ話だな」
にこやかな表情を絶やすことなく、横になるラクスへと語りかけるフィーナ・アクトラス(ea9909)。美麗な眉間に皺を刻み込んで呟くフィソス・テギア(ea7431)を咄嗟に肘で突く。
「まあ冗談は置いておくとして、それによって得られた情報が何者かに奪われたとなるとそれなりに重要な情報であるようだ。一連の件に関する手掛かりになるかもしれぬ。奪い返しておいたほうが良かろう」
どこか恨みの滲むフィソスのじと目に、ラクスは全く気付いていない。彼が見ているのはただ一点。長い付き合いであり気心の知れた間柄でもある音無影音(ea8586)──
「これ、お見舞い‥‥」
──の手にしたバスケット。
どうも、そこへ詰め込まれた果物が気になって仕方ないようだ。
「‥‥今ご用意いたしますね」
苦笑しながら代わりにバスケットを受け取ると、マイ・グリン(ea5380)はそのまま果物を切り分けに下がる。
うきうきそわそわと子供のように目を輝かせるラクスの頭を、ぐわしとアール・ドイル(ea9471)がわし掴みにした。
「面倒だ、とっとと吐け」
「アールさん、だめですよっ!」
慌てて腕にぶら下がるようにテッド・クラウス(ea8988)が止める。
ラクスは病人気分だが、厳密には病人ではない、デビルに魂の一部を奪われただけ──しかし、それは生命力を奪われることに他ならない。幾度も魂を削られ気付かぬラクスも迂闊だが‥‥どれだけの生命力が奪われたのか、それは目に見えない。
外見上はいつもと変わりなくとも──生命力の希薄になった今の彼には、普段どおりの行動のアールの一撃は致命傷になりかねないのだ。
「‥‥お待たせいたしました」
手早く果物を切り分けたマイが腕によりをかけて食事を作っていたミィナ・コヅツミ(ea9128)や利賀桐真琴と共に腹の虫を刺激する香りを漂わせながら戻る。
「はい、ラクスさんにはポリッジです。体調が悪くてもこれなら平気ですよね? しっかり食べて早く良くなってくださいね」
トレイに乗せたポリッジを供するミィナの心遣いに気を良くするラクス。フィーナも影音もミィナもマイも心配など一握りで殆どは打算から来る演技なのだが、気付くラクスではない。
「で、その相手の特徴を教えてもらえないかな。『少女』というだけでは探せないからね」
マーヤー・プラトー(ea5254)の穏やかな物言いにきょとんとするラクス。ルシファー・パニッシュメント(eb0031)は嫌な予感を禁じえなかった。
そして、その予感は現実のものとなる。
「あー、小さかった」
「‥‥‥」
殴れば思い出すんじゃねぇか、と拳を握るアールをテッドとマーヤーが押さえる。
──日もとっぷりと暮れ、アールの苛立ちが極限に達したころ‥‥いや、フィーナがルーンタブレットを手にした頃合いと言うべきだろうか。
ようやく『少女』について思い出した情報をぽつりぽつりと語り始めたラクス。その言葉を聞き、今まさに帰ろうとしていたルミリア・ザナックスが目を見開いた。
それは、アルジャーンと呼ばれたアサシンガールそのものだったから──
●宮廷図書館
「しかしまた随分と難儀な事に‥‥放っておくわけにもいかないのだけれど」
マーヤーは深く息を吐いた。羊皮紙の臭いの満ちた空気が少し、動く。
どの辺りの本なのか、それすらラクスは覚えておらず、フィーナは肩透かしを食らったのだが、ラクスがたった一人で何日もかけて調べ上げたこと。
「少なくとも挿絵の特徴は聞けたわけだし! 人数では私たちの方が勝るんだもの、同じ本に辿り着けないなんて情けないことは言えないわよね」
しかも情報に辿り着いたのはあのラクスである。同じ事ができなかったなど、プライドにかけても口にしたくない。
‥‥誰も言いはしなかったが、内心は同じ気持ちであることだろう。
復興戦争を経たばかりのノルマン宮廷図書館の蔵書はひどく不確実である。いや、宮廷図書館に限らず、冒険者ギルドや教会などでも、文書や書物、物品を問わず散逸してしまっているものが少なくない。
「‥‥‥」
誰からともなく、宮廷図書館の蔵書を見上げる。答えは見えないわけではない、この中にあるのだ。
──しかし、散逸しているとはいってもその蔵書は膨大な量に上る。
「ラクス殿が羊皮紙の内容をしっかり覚えてさえいればこのようなことをする必要はなかったのだが‥‥」
そんな想いを抱いたフィソスは、後に後悔することとなる。
「ありました、ビフロンス。ダゴンは一緒に載っていませんけれど‥‥」
「‥‥これは‥‥」
ミィナが開いたページには巨大で歪んだ人間の頭部の挿絵がある。見ているだけで酷く不快になる絵で、マーヤーも思わず渋面を作る。
そして辛うじて読み取れる『ビフロンス』の単語。
「死体‥‥‥技術‥‥」
細やかな文字を指でなぞるように読み解くフィソス。けれど、専門書らしいその書物の文章は難解で斜め読みすら許さない。
「ラクスさんじゃなくても書き写すしかないかもしれないですね、これは」
ミィナが疲れたように溜息を吐いた。これはむしろ、挿絵と表題しか見ない、と割り切ったことを褒めてやるべきだったか──フィソスは苦い笑みを浮かべた。
「でも、書き写したところで誰か読めるんでしょうか?」
ミィナの素朴な疑問に、仲間たちは思わず言葉を噤んだ。書物はゲルマン語で書かれているが、ゲルマン語にそれほど造詣の深い者がいただろうか‥‥?
「他にもっと簡単な本もあるかもしれないし、探してみましょう」
フィソスよりゲルマン語に秀でたフィーナも解読に挑戦するものの見事に失敗。諦めずにっこりと微笑むとミミクリーをとなえ首を伸ばすと、手の届かない書架の本を物色し始めた。
「確かに、投げ出すわけにはいかないからね。頑張ってみよう」
次いで腕を伸ばしたフィーナから本を受け取って、マーヤーは再びパラリとめくりはじめた。
それもそうかと2冊目の本を受け取ったフィソスが不意に訪ねた。
「ところでフィーナ。胴を伸ばせば楽なのではないか?」
「服は伸びないもの、お腹が冷えるじゃない。ラクスさんに病人扱いされるのは御免被りたいの」
──数日後、そんな彼女らに、エルフの父娘が光明を齎す。
●水蠍の女傑
パリの裏通り、その闇にひっそりと沈むように佇む漆黒の小鳩亭。
「きなくせぇ情報ならこういう場所で聞いたほうが早ぇだろ」
至極アールらしい理由で小鳩亭の扉を開くアールの表情はどこか不本意。『傷の舐めあい』と毛嫌いするハーフエルフ組織‥‥その手を借りる選択をせざるを得なかったのだから、それも当然のことかもしれない。
余所者を見る眼差しで警戒心を隠さぬ常連客。アールがカウンターに腰掛けると、興味を失ったようにそれぞれの話題へと意識を埋没させてゆく。
ぶっきらぼうに問い掛けられたマスターはワインを注ぎながら世間話のように口にしたが、語られた言葉は世間話にすぎず、アールはワインを一気に飲み干すと腰を上げた──面倒臭ぇ、と。
──数日後、改めて漆黒の小鳩亭を訪れたアールは幾度か剣を共にした知人と幼き同胞の協力で情報を得ることとなるが、その情報を仲間たちに伝えることはなかった。
●邂逅
「‥‥具合が悪い時は、動き回ったほうが元気になる‥‥‥」
ジャパンに古くから伝わる治療法‥‥などと嘯いてラクスを引っ張り出した影音。
「‥‥でも、歩くのはまだ辛いでしょうから、軍馬を用意したので使ってください」
むやみに歩き回らないよう軍馬に押し上げ、マイもせっせとラクスを連れ出す準備☆
ラクスを扱う時のポイントは彼を上機嫌に保つこと。そしてそれは、影音にとっては容易いことで、マイにとっては日常の行動そのものだった。
パリの街を東へ西へ聞き込みをしながら、ラクスに聞こえないよう小声で言葉を交わす2人の女性。
「‥‥1人の時にアルジャーンに遭遇して、羊皮紙と魂を奪われたというのは‥‥。連れ去られたり殺害されなかっただけ幸運なのかもしれませんけど」
「その悪運が‥‥ラクスだよね‥‥クス」
愉快そうに馬上の人を見上げる影音。
その視線の先で、単純な青年が単純という言葉そのものの反応を示した。期待に、瞳が、輝く──
「‥‥影音さん、お気をつけて。‥‥きます」
自分の指に納まっている石の中の蝶がその羽を動かしているのを見て取り、マイが小さく警告を発する。だんだんと羽ばたきが早くなり──
「おお、大道芸人! また会ったな」
にこやかに少女を手招くラクスに小さな溜息を洩らし。影音は短刀に手をかけた。
タリスマンを使用する間もなく接近してくる少女。会話が成立する距離になれば、ラクスは再び望んで魂を売り渡してしまう‥‥マイは軍馬の手綱を手放し、軍馬を走らせた!
「‥‥アリス、ラクスさんをお願い」
「‥‥ルミリアからも、チェルシーからも聞いてるよ、アルジャーン。ふふ、一度‥‥手合わせしてみたいと思ってたんだよね‥‥」
「その艶めき、月露か。随分珍しい物を持っているものだな」
ちらりと影音の手にする担当に視線を投げただけでその魔法武器を看破する少女。その声は確かにアルジャーンと呼ばれる少女のものだが、発される言葉は話に聞くアルジャーンとは違いすぎた。
俄かに、空気に殺気が混じる。
「くっ!」
──キィィン!!
殺気に反応した影音、咄嗟に首筋を隠すように抜いた月露でアルジャーンの投げたナイフが弾ける!
「‥‥出来れば穏便に済ませたかったのですけれど」
表情を引き締め、狙い済まして投じたダガーは易々とかわされた。宙を舞うダガーがマイの手元に戻るのを知っているような表情。このアルジャーン、それともアルジャーンと関わるデビルだろうか、どちらかがマジックアイテムに関して深すぎる知識を持っているのは間違いなさそうだ。
フッと翳された手から闇色の結界が張られる。
決して弱くはないと自負している影音。けれどデビル魔法すら高速詠唱で操る少女は話で聞く以上に厄介な存在だった。月露もダガーも巧く少女を捕らえきれず、与える傷より受ける傷が明らかに多い。
背後に回りこまれ捻られた肘が鈍い音をたて外れる。そのまま捻られ、ブチブチと何かが千切れる。痛みに悲鳴を上げる間もなく、背後から顔を覆うように視界に入った手が眼球を貫く!
「影音さん!」
「‥‥やばいかもね‥」
的確に急所を狙う少女に弱音とも取れる言葉を吐く。が、脂汗を滲ませた影音の表情は生気と悦びが溢れていた。血で血を洗う瞬間こそ影音が常に望む、彼女が最も輝く瞬間なのだ。
狭くなった影音の視野の端でマイがアンデッドスレイヤーを投じる。さっくりと頚動脈を切り裂くが、そこから血は流れない。
「‥‥死体に急所はないというのですか‥」
絶望に彩られたマイへ、血塗れの影音へ、ぶっきらぼうな言葉が投げられた。
「面白そうなことしてるじゃねぇか」
「アール‥‥邪魔」
瞳を紅に染め、静止する暇もなく振るわれたハンマー。極度に重く作られた破壊用のそれが少女の脚を粉砕する!
「‥‥影音さん、今のうちに回復を」
エボリューションに阻まれたその死闘は、魔法効果が途切れると共に唐突に終焉を迎えた。
アルジャーンの輪郭がぼやけ少女の身長の倍はあるだろう巨大な頭が分離し、空に溶けるように消えた。
──後には、原形を失いかけた少女の死体が打ち捨てられるように残された‥‥
●裏通りの棲家
雰囲気の悪い裏通りはパリにも存在する。
ルシファーとテッドは共に聞き込みをしながら市場や商店の連なる下町を抜け、やがて裏通りへと辿り着いた。
「ここか」
先日のアルジャーンの目撃情報を辿り、少女が壮年の男と共に裏通りの外れに潜んでいることを突き止めたのだ。人の気配を確認した上でドアを蹴破ろうとするルシファーを止める。
「デビルと関わりがあるなら、一人とは限りません」
そう警告し双方の武器へとオーラパワーを付与するテッド。ルシファーもミミクリーを唱え、改めて扉を破る!
同時に、雷光が二人を貫いた!!
「我々の邪魔をするな!」
「貴方たちのしていることを見過ごすわけにはいきません! 目的は何ですか!!」
交渉の余地無しと判断しノーマルソードを振るいながら男に詰め寄るテッド。鮮血が床へ独特の紋様を作る。
「油断するなといったのは貴様だろう」
男の背後からテッドを狙うインプへ伸ばした腕でトデス・スクリーを振り下ろす! 辺りから現れた鼠がインプの姿に戻ったのだ。
「目的は何だ! 羊皮紙はどこだ!?」
インプといわず、男といわず、家屋といわず、トデス・スクリーが抉る!
対照的に、手本のように美しく鋭い軌跡を描くテッドの攻撃も時折放たれる扇状の衝撃波が周囲を巻き込む!
「なんだ、コイツはエボリューションを使わないのか。楽勝だな」
鼻で笑ったルシファーがインプを刻む!!
「‥‥そうか、ヴィリーを殺した冒険者の仲間か!」
「ヴィリー? ‥‥あなたも行商人の仲間ですか!?」
それは先般殺害された行商人の名前に他ならない。そしてテッドは確かに4人の仲間の存在を確認している。
「そうだな、あの方を信奉しているという点では仲間と言えるかも知れないな」
あの方──それがデビルを示す言葉であろうことは、想像に難くない。
「あなた方は‥‥悪魔崇拝者ですか」
無数の傷を負いながらも、にやりと血の溢れる口元を歪め無言でダガーを振るう!
その行動が何よりも雄弁に答えを語っていた。
「貴様らの商売は実に興味深い。全てを話すのならば命は奪わないでおいてやろう」
愉しげに投降を促すルシファーだが、応じるようなら悪魔崇拝などしないだろう。
「間もなく魔法陣が全ての生命を喰らうのだ、命など惜しくはない!!」
ならば、と喉元を貫くトデス・スクリー。断末魔の叫びを上げることなく、男は事切れた。
鮮血の臭いが胸を焼くその部屋でラクスの筆跡の残る羊皮紙を回収し、二人の騎士は無言で部屋を後にする。
──間もなく魔法陣が全ての生命を喰らう。
脳裏に残響を響かせながら‥‥