修行

■シリーズシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 65 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:05月27日〜06月01日

リプレイ公開日:2006年05月29日

●オープニング

●食費節約
 ごるびーを真の漢にするため、みんなで寺に行くアルよっ!
 この寺は由緒正しき河童大仏が飾ってある場所で、隠れた名所として知られている場所アル。
 あちこちに蜘蛛の巣が張っていたりするアルが、絶対に気にしちゃ駄目アル!
 ペットと一緒にレッツゴーあるっ!
 ま、間違っても食費を浮かすために、寺に送り出すわけじゃないアルからね。
 み、みんなのためを‥‥思ってアル(視線逸らし)。
 ワタシが留守番しているから、頑張って修行をして欲しいアル(握り拳)。

●今回の参加者

 ea0282 ルーラス・エルミナス(31歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea0946 ベル・ベル(25歳・♀・レンジャー・シフール・モンゴル王国)
 ea2722 琴宮 茜(25歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea3827 ウォル・レヴィン(19歳・♂・ナイト・エルフ・イギリス王国)
 ea4026 白井 鈴(32歳・♂・忍者・パラ・ジャパン)
 ea4927 リフィーティア・レリス(29歳・♂・ジプシー・人間・エジプト)
 ea5927 沖鷹 又三郎(36歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 eb0752 エスナ・ウォルター(19歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・イギリス王国)

●リプレイ本文

●床掃除
「‥‥えっと、床の埃は箒で掃いて‥‥けほっけほっ! うっ‥‥、蜘蛛の巣が‥‥はううううう‥‥」
 目を瞑って箒をプンスカと振り回し、エスナ・ウォルター(eb0752)がゲホゲホと咳き込んだ。
 寺の住職に頼まれて本堂の床掃除をしているのだが、あちこちに蜘蛛がいるため怖くて目を開けている事が出来ない。
「‥‥ここの住職は掃除嫌いなのか? まさか俺達が来るまで汚れを溜め込んでいたわけじゃないよなぁ」
 面倒臭そうな表情を浮かべ、リフィーティア・レリス(ea4927)が辺りを睨む。
 本堂の床以外は綺麗に掃除されているため、後者の方が可能性的には高いのだが、そこまでする理由があったようには思えない。
「まぁ、そう愚痴るな。ここは当面の間、寝泊りする場所で修行する場所だし、お寺は西欧での教会に相当する大切な場所なんだろ? 文句を言わずに掃除をしようぜ」
 苦笑いを浮かべながら、ウォル・レヴィン(ea3827)が雑巾をきつく絞る。
 噂では雑巾になる前は住職の褌として愛されていたという話もあるが、考えた時点で負けたような気がするので気にしない。
「まぁ、俺も分かっちゃいるんだけどなぁ。色々と……気になる事があるだろ?」
 ウォルの雑巾をマジマジと見つめ、レリスが乾いた笑いを響かせる。
 それと同時にごるびーが雑巾に飛び乗り、レリス達の前をツーッと通り過ぎてゆく。
「こら、待てっ! 雑巾で遊んじゃ駄目だぞ」
 箒の先でごるびーの行く手を阻み、レリスが呆れた様子で溜息をつく。
 ごるびーは箒の先に頭をぶつけ、ウルウルとした瞳でレリスを睨む。
「泣いたって駄目だぞ。ちゃんと掃除しないと、お仕置きかエサ抜きな」
 住職に見つかると面倒な事になるため、レリスがごるびーの頭をぺちぺちと叩く。
 すると、ごるびーは太陽の光を利用し、サンアタック(頭の光)を炸裂させた。
「うわっ‥‥、眩しい! こ、こら! ごるごー! そういう事に頭を使っちゃ駄目なんだぞ!」
 あまりの眩しさに目を背け、ウォルがごるびーにむかってブツブツと文句を言う。
 しかし、ごるびーはレリスの突き出した鏡攻撃(反射)に驚き、両手で両目を押さえている。
「ご、ごるびーさんを苛めちゃ駄目です。‥‥って、ラティもごるびーさんを玩具にしたら駄目だよ」
 愛犬のラティがごるびーを咥えてサンアタック遊びを始めたため、エスナがレリスから鏡を受け取り対抗した。
 ラティは鏡の光にビックリしたのか、ごるびーを放り投げて軒下に隠れる。
「おおっと、危ないって、ああっ!」
 ごるびーを受け止めようとして思わずトスを出してしまい、ウォルがハッとした表情を浮かべて汗を流す。
 ごるびーはボールのようにしてクルリッとまわり、レリスの頭上めがけて落ちていく。
「そこかっ!」
 瞳をキラリと輝かせ、レリスが反射的にアタックを放つ。
「きゅきゅきゅ〜」
 レリスの一撃を喰らって加速がつき、ごるびーが悲鳴を上げて井戸の中にチャポンと落ちた。
「お、思わず手が‥‥。わ、わざとじゃないからな」
 ごるびーが井戸に落ちたため、レリスが気まずい様子で視線を逸らす。
「大丈夫ですか、ごるびーさん!」
 慌てた様子で井戸に駆け寄り、エスナが釣瓶を引っ張り上げる。
 ごるびーは釣瓶の中でグルグルと目を回し、口の中から蛙をペッと吐き出した。
「とりあえず生きているな。今回の件はごるびーだって悪いんだぞ。反省の意味も込めて、本堂にある大仏でも磨いてこい」
 そう言ってウォルがごるびーを本堂にある大仏の前まで連れて行く。
 ごるびーに魂と書かれた褌の成れの果て(雑巾とも言う)を手渡して‥‥。

●修行
「しふしふですよ〜☆ ごるびーさんのおかげで河童大仏さんがピカピカですよ〜」
 本堂の中に置かれた大仏のまわりをクルクル回り、ベル・ベル(ea0946)が嬉しそうにごるびーを褒めまくる。
 ごるびーはウォルの言いつけを守って河童大仏を磨いていたのだが、てっぺんまでいったところで頭の汚れが気になり、そこばかりを集中的に磨いていたらしい。
「本当にピカピカでござるな、眩しいくらいに‥‥。まぁ、拙者も僧兵の端くれでござるから、仏像を磨いた経験はあるのでござるが‥‥、頭だけ輝いて見えると、妙な違和感があるのでござるな‥‥。まぁ、河童大仏というくらいだから、逆に有り難がられるかも知れないのでござるが‥‥」
 引きつった笑みを浮かべながら、沖鷹又三郎(ea5927)がダラリと汗を流す。
 ごるびーが河童大仏の頭を磨いたせいで、眩しくてマジマジと見る事が出来ない。
「はやや? こっちは蜘蛛の巣だらけですよ〜」
 河童大仏に見とけて蜘蛛の巣に引っかかってしまい、ベル悲鳴を上げて辺りを飛び回る。
 蜘蛛の糸はベルの身体に絡まり、途中で千切れて宙に漂った。
「だ、大丈夫ですが、ベル殿!?」
 落ちてきたベルをガッチリとキャッチし、又三郎が心配した様子で声を掛ける。
 ベルの身体には大量の蜘蛛の巣が絡まっており、そこから蜘蛛が糸を垂らしてぷらんと揺れた。

 ‥‥ぱくっ☆

「ご、ご、ご、ごるびー殿。い、いま何かを食べたような気がするのでござるが、拙者の気のせいでござるよねぇ? きっとモシャモシャと口を動かしているのは、顎の体操‥‥でござるよな? 先程のお粥もたらふく食べたはずでござるから、蜘蛛を食べたりするような真似をするとは思えないのでござるが‥‥」
 すぐさまごるびーの身体を持ち上げ、又三郎が口の中を覗き込む。
「うっ‥‥! ご、ごるびー殿。拙者が美味しい料理を作るから、二度と蜘蛛なんか食べちゃ駄目でござるよ」
 青ざめた表情をうかべながら、又三郎がごるびーの口を閉じる。
 しかし、ごるびーは蜘蛛の味に満足したのか、河童大仏にしがみついて天井まで行き再び蜘蛛を取ろうとした。
「こぉらぁ! そこで何をやっておるんじゃ! それはとっても有り難い河童大仏様じゃぞぉ!」
 地響きするほどの大声が辺りに響き、寺の住職がごるびーを叱りつける。
「きゅ、きゅ、きゅー!?」
 驚きのあまり両手を放し、ごるびーが河童大仏から転がり落ちていく。
「わっ、わっ!? ごるびーちゃんがぴんちですよー」
 慌てた様子で飛び上がり、ベルがごるびーをキャッチしようとする。
 しかし、間違ってごるびーの頭を掴んでしまったため、上手く掴む事が出来ずに落としてしまう。
「きゅっ、きゅっ、きゅっ!」
 大粒の涙を浮かべながら、ごるびーが必死になって宙を泳ぐ。
「ご、ごるびー殿っ! いま助けるでござるっ!」
 河童大仏のところにむかって走り出し、又三郎が滑り込むようにしてごるびーをキャッチした。
「あ、危ないところでしたよぉ〜」
 ホッとした様子で汗を拭い、ベルが床にペタンと座る。
「ハラハラしたのは、こっちの方じゃ。それよりもそろそろ修行を始めるぞ。又三郎、やってくれるよな?」
 そう言って住職が又三郎に精神注入棒を手渡した。

●食事
「あ〜、修行をしたらお腹が減ったよ。今日のご飯は何かなぁ〜?」
 本堂での厳しい修行(座禅)を何とか乗り越え、白井鈴(ea4026)が疲れた様子でぺたんと座る。
 座禅をする事によって煩悩を取り払った気分でいたが、やはり食欲には勝てなかったのか、腹の虫がグウグウと騒ぎ始めているようだ。
「ごるびーさんもすっかりマトモになったようですね。あっ‥‥、木の皮を齧っちゃ駄目ですよ」
 ごるびーが木の皮をガジガジと齧っていたため、琴宮茜(ea2722)がひょいっと奪って叱りつける。
 一応、ごるびーは煩悩が抜けて少女マンガのように爽やかな表情を浮かべているが、食い意地だけは抜けなかったらしく必死になって木の皮に両手を伸ばす。
「まぁ、ごるびーさんの気持ちも多少なら分かるんですが‥‥。俺も故郷を旅立つ時や、オークションで大金をはたいた時は、苦しい生活をしていましたからね‥‥。だから今日は貧乏の辛さを知っている者として、皆に心行くまで食事をして貰いましょう」
 江戸を立つ前に購入してきた食材を愛馬ウィンディアから下ろした後、ルーラス・エルミナス(ea0282)が袖をまくって厨房にむかう。
 厨房にはルーラス達のペットが待機しており、腹をグウグウと鳴らして料理の完成を待っている。
「入り口には鳴子が仕掛けられていたはずなのに‥‥。ま、まさか裏口から‥‥」
 ハッとした表情を浮かべた後、茜が鳴子を飛び越え裏口に向かう。
 裏口には厳重に鍵が閉めてあったのだが、何者かが錠を解除してペット達を厨房の中に入れたらしい。
「まさかこの子達じゃないよね? 裏口の鍵を開けた犯人って‥‥」
 虎丸の顔をマジマジと見つめ、鈴が不思議そうに首を傾げる。
 その横でルーラスのペット(まとりょーしか)が針金を咥えて立っているが、鈴はその事に対して全く気づいていないようだ。
「さあ、刻限です。宴を開始しましょう」
 鈴の肩をぽふりと叩き、ルーラスがペット達と一緒に料理を運ぶ。
 ルーラスの作った料理はどれも愛情がこもっており、ペット達が涎を垂らして待っている。
「涎で水溜りが出来ていますよ、ごるびーさん」
 空腹のあまり極限状態に達したごるびーを見つめ、茜がクールにツッコミを入れた。
 ごるびーは慌てた様子で涎をズズッと吸い込んだが、己の欲望に打ち勝つ事が出来なかったため再び大きな水溜りを作る。
「これだけ美味しそうな料理が並んでいるんだものね。さぁ、食べよ、食べよ」
 満面の笑みを浮かべながら、鈴が『いただきます』と言って両手を合わす。

『いっただきまぁ〜す』

 それに合わせてペット達も涎をズズッと吸い込み、一声鳴いてから目の前の料理を食べ始めた‥‥。