フリーソーメン

■シリーズシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:2〜6lv

難易度:易しい

成功報酬:1 G 69 C

参加人数:10人

サポート参加人数:-人

冒険期間:09月21日〜09月26日

リプレイ公開日:2004年09月25日

●オープニング

 今回の敵は強敵アル!
 ワタシ達があまりに目立ってきたため、秘密結社が挑戦状を叩きつけてきたアルよ。
 その名も秘密結社『フリーソーメン』アル!
 秘密結社なのに堂々と名前を明かしているトコロが素敵アルね!
 構成員は全部で5人。
 普段はソーメンの食べ歩きをしている食通アル。
 メンバーの中には何処かで見たことのあるような美食家達がいるらしいアルね。
 ちなみに勝負の内容は美食家達を唸らせる料理を作る事アルよ!
 ワタシ達って本を作るつもりで名前を売っていたはずアルが、なんで料理対決になってしまったんアルかねぇ‥‥?
 ‥‥謎が謎を呼ぶ展開アル。
 一体、どこで勘違いしたアルかねぇ?
 まぁ、面白そうだから勝負してみるアルよ。
 勝負する料理は、和食、洋食、中華にゲテモノ、オリジナルの5品。
 審査員は桑原爆山、セニョール・セボン、デコポン、キバヤシ・ホクト、村岡源一郎の5人アル。
 そのうち3品以上の料理で合格点を取る事が出来ればワタシ達の勝利アル!
 それじゃ、頑張るアルよ♪

●今回の参加者

 ea0042 デュラン・ハイアット(33歳・♂・ナイト・人間・ビザンチン帝国)
 ea0248 郭 梅花(32歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea0697 如月 あおい(28歳・♀・忍者・パラ・ジャパン)
 ea0789 朝宮 連十郎(37歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea0861 緋邑 嵐天丸(25歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea3547 ユーリィ・アウスレーゼ(25歳・♂・バード・エルフ・ロシア王国)
 ea3582 ゴルドワ・バルバリオン(41歳・♂・ウィザード・ジャイアント・イスパニア王国)
 ea4141 鷹波 穂狼(36歳・♀・志士・ジャイアント・ジャパン)
 ea4927 リフィーティア・レリス(29歳・♂・ジプシー・人間・エジプト)
 ea6601 緋月 柚那(21歳・♀・僧侶・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

「諸君! 私がジャパン料理界征服を企む裏料理界の支配者、デュラン総統だ! 今日は『フリーソーメン』の諸君の為に裏料理界が誇る鉄人達を連れてきた。フフフ! どうだ! ビビったか? たじろいだか?」
 いかにも偉そうな衣装に身を包み、デュラン・ハイアット(ea0042)がワイン片手に登場した。
「我等を倒すのか。‥‥面白い。その実力‥‥見せてもらおうか!」
 高々と拳を振り上げ、フリーソーメンの面子が笑う。
 よほど自信があるためか、デュラン達を見下しているようだ。
「フリーソーメンよりも何よりも‥‥俺のミンメイちゃんを付け狙う野郎が現れるたぁ、油断ならねぇ状態だな。ココはいち早くミンメイちゃんワールドに到達せねばっ! ミンメイちゃん、俺雨にも負けず風にも負けずに頑張るかんな!」
 解説役としてミンメイに同行し、朝宮連十郎(ea0789)が密着度120パーセントでニヤリと笑う。
「そろそろ勝負を始めていいかな?」
 鬱陶しそうに連十郎を睨みつけ、桑原爆山がわざとらしく咳をした。
「なんだと、この親父っ!」
 不機嫌な様子で腕をまくり、連十郎が爆山の胸倉を掴む。
「桑原爆山。随分と偉そうにしている様だが、先日も『たかが料理人が!』と発言して問題になったそうだね。もう引退だな。冥途の土産に鉄人の料理を食べて逝くがいい」
 高笑いを上げながら、デュランが挑発的な態度をとる。
「それほどウマイ物なのか。‥‥楽しみだな」
 デュランの事をジロリと睨み、爆山が口元を歪ませ腕を組む。
「それじゃ、勝負を始めようぜ。あまりのうまさに腰を抜かすなよ!」
 仲間達に合図を送り、連十郎が後ろに下がる。
「つーか、何で本を書いているだけで秘密結社がケンカ売ってくるんだ? 世の中は不思議な事だらけだな。そんなフザケた野郎共は思い切り締めてギュっと言わせなきゃな!」
 調理場から爆山の事を睨みつけ、鷹波穂狼(ea4141)がかなり大きく深さのある鍋を使い、ドジョウをたくさん入れて煮始めた。
「オイラ、ジャパンの文化をもっと知りたいのだ! だから『和食』にチャレンジするのだ」
 作る料理を決めるため、ユーリィ・アウスレーゼ(ea3547)が材料を手に取り考えた。
「そう言えばこの間食べたミソスープがとっても美味しかったのだ。ジャパンでは『味噌汁』と言う物だって、嵐天丸殿に教わったのだ!」
 もわもわんと味噌汁を思い浮かべ、ユーリィがじゅるりと涎を流す。
「よし、決めたのだ! 今回はその『味噌汁』を作ってみるのだ★ でもジャパンの料理は全体的に薄味だと思うのだ。オイラ好みの味にすれば、絶対にもっと美味しくなると思うのだ! 爆山チャンもウットリしちゃうに違いないのだ★」
 鍋の中に材料を放り込み、ユ−リィがランランと鼻歌を歌う。
「やっぱみそ汁っつうのはダシが基本なんだと思うぞ。つーワケで協力してもらうぜ。ご利益って言葉もあるからな」
 爆山の事を捕まえ、緋邑嵐天丸(ea0861)が出汁をとろうと試みる。
「馬鹿者! 敵に協力を求めるとは、なんたる事! 本来ならば失格だぞ!」
 地響きが起こるほどの大声で怒鳴り、爆山が見事な裏拳を放つ。
「ぐはっ‥‥、つ、つええ!」
 大量の鼻血を噴きながら、嵐天丸が爆山を睨む。
「漢なら‥‥根性をみせい!」
 全く視線を逸らさず、爆山が勝ち誇った様子で腕を組む。
「ああ、見せてやろうじゃねえか!」
 自ら熱湯の中に飛び込み、嵐天丸が気合を見せる。
「ぐわっ!! 何かミョ〜なニオイなのだ!! 汗くさいとも何とも言えないニオイ‥‥。まるでマッチョなおにーさんが押しくら饅頭しているようなニオイなのだ。これってもしかして、噂の『漢汁』とかいうジャパンの名物なのだ!? きっとこれをお味噌汁に混ぜたらコクが出て美味しいと思うのだ! 混ぜてみるのだ〜〜」
 険しい表情を浮かべて鍋を睨み、ユーリィが鍋の中身をかき混ぜた。
「‥‥なんだか物凄い臭いだな」
 クラクラと眩暈を感じ、穂狼がフラつきながらも料理を作る。
「あ、嵐天丸殿に味見をしてみて欲しいのだ★」
 毒々しい色をした味噌汁を完成させ、ユーリィが嵐天丸に味見を頼む。
「マズッ!」
 ぶしゅーっと味噌汁を吐き捨て、嵐天丸がグッタリと倒れる。
「出来上がりなのだ! 『漢汁風味の味噌汁』がイッチョアガリだぜ〜、なのだ」
 爆山の前に味噌汁をドンと置き、ユーリィがニコリと微笑んだ。
「これが俺の料理だ! 喰らいやがれ!」
 豆腐の中で暴れるドジョウを爆山に突き出し、穂狼がえっへんと胸を張る。
「素材を生かした料理か。このドジョウは‥‥ウマイ! しかし、この味噌汁は‥‥イロモノ向きだっ! 提出する相手を間違えたな! よって0点!」
 味噌汁を一気に飲み干し、爆山が立ったまま気絶した。
「まぁ、仕方ないか。何か、ヘンな料理ばっか炸裂してっけど、良かったら食べてくれッ」
 念のため連十郎をドツキ倒し、嵐天丸がミンメイに和菓子をプレゼントする。
「ありがとアル! お金に余裕が出来たら、何かお返しするアルよ」
 満面の笑みを浮かべながら、ミンメイが和菓子を受け取った。
 ちなみにミンメイは貯金の大半を紙代に費やしているため、お金に余裕が出来るのは本が出てからの話らしい。

「噂ほどでもないようだネ!」
 和食が合格点を得られなかったため、セニョール・セボンが鼻を鳴らす。
「ごきげんようセニョール。料理の邪魔をする君は、まるで、母親にかまって貰えない子供だな。ママンの手料理が恋しいなら鉄人の味を堪能するがいい」
 リフィーティア・レリス(ea4927)を紹介し、デュランがマントをバサリッと翻す。
「そんな事を言ってもいいのかナ? 判定は僕の気持ち次第だヨ」
 いやらしい笑みを浮かべ、セボンがデュランを言葉で脅す。
「‥‥それは楽しみだな」
 含みのある表情を浮かべ、デュランがクスリと笑って背をむける。
「イテテッ‥‥。おっ、次の試合が始まっているのか」
 タンコブの出来た頭を撫で、連十郎が辺りを睨む。
「お目覚めかい? まぁ、そこで見ていなよ。すぐに片付けちゃうからさ」
 先手必勝とばかりにセボンを殴って気絶させ、レリスが面倒くさそうに料理を作る。
「ほら、完成したぞ。家畜の適当焼きだ」
 セボンに冷水をぶっ掛け無理やり起こし、レリスが自分の料理を披露した。
「こんなモン喰えるわけ‥‥いえ、食べます」
 レリスがジロッと睨んだたため、セボンが怯えた料理で料理を食べる。
「‥‥美味いだろ? まさかマズイなんて言わないよな?」
 卵をグシャリと握りつぶし、レリスがセボンの肩を叩く。
「そ、そりゃモチロン! う、うまいです」
 カタカタと身体を震わせながら、セボンが頷き涙を流す。
「苛められっ子の心理をついた見事な作戦だな」
 そして連十郎は感心した様子でレリスを見つめ、グッと親指を立てるのだった。

「セボンに勝ったくらいでいい気になるな! わしは負けん!」
 自分のデコをポンと叩き、デコポンが鼻息を荒くする。
 セボンが惨めな負け方をしたため、かなり腹が立っているらしい。
「デコポン。自分のデコを叩くと良い音がするだろ? 中身が無い証拠だ。料理の批評ぐらいは中身のあるものにしてくれよ。内容が無い様では困る。‥‥おっと、失敬失敬。私とした事が駄洒落を言ってしまったよ」
 爽やかな笑みを浮かべながら、デュランがデコポンを挑発する。
「そんな事を言っているのも今のうちだっ!」
 悔しそうにデュランを睨み、デコポンがギリギリと歯を鳴らす。
「そろそろ、あたしの出番だね!」
 腕をまくって気合を入れ、郭梅花(ea0248)が料理を作る。
 彼女の作る料理は『肉を使わない中華料理』と『本物を使わない中華料理』のふたつ。
 見た目だけでは本物と見分けがつかないため、デコポンも食い入るようにして覗き込む。
「料理は食材が大事よね‥‥すにーくすたぁ♪ 君に決めたー!」
 すにーくすたぁ(ロバ)の肩を叩き、如月あおい(ea0697)が指を鳴らす。
『マテーイ!』
 不満そうにあおいを睨み、すにーくすたぁがブルブルと首を振る。
「鉄板の上で踊るロバ‥‥。シュールでいいと思うんだけど?」
 シュールな映像を思い浮かべ、あおいがニコリと微笑んだ。
『‥‥』
「大丈夫、これはパフォーマンスだから。ツッコミ役がいなくなると困るし」
 苦笑いを浮かべながら、あおいがすにーくすたぁを慰める。
『オイ!』
 呆れた様子でツッコミをいれ、すにーくすたぁがジト目で睨む。
「‥‥ここ、なんだか熱いわね」
 気まずい雰囲気になったため、あおいが服を脱ぎ始める。
『脱ぐナやぁ!』
 突然あおいが脱いだため、すにーくすたぁが尻尾で隠す。
「わしを色仕掛けで落とす気か。そんな手には‥‥」
 尻尾で胸が見えないため、デコポンが興奮気味に目を細める。
「合格点が出たら‥‥全部脱ぐわ」
 色っぽい仕草で迫り、あおいが妖しく耳元で囁いた。
「ほ、本当か。どれどれ、こりゃウマイ」
 完成したばかりの料理を奪い取り、デコポンが何度もデコを叩く。
「裸が見たいからって適当な事を言ってないよね? もしそうなら‥‥許さないんだから!」
 コメントが適当だったため、梅花が拳を震わせる。
「本物の素材を使っているから、うまいのは当然だろ」
 本当に料理が美味かったためか、デコポンが当然とばかりに答えを返す。
「‥‥残念アルね。この料理に本物の素材は使ってないアル!」
 デコポンをビシィッと指差し、ミンメイがニヤリと笑う。
「全く見抜く事が出来ないなんて、単なるスケベだったようだね」
 呆れた様子でデコポンを見つめ、梅花が大きな溜息をつく。
「だが、約束は約束だ!」
 鼻息を荒くしながら、デコポンがあおいに迫る。 
「何の事かしら? 約束って‥‥」
 しかし、あおいは冷たい視線でデコポンを見つめ、そそくさと服を着始めた。
 
「いつも我々の陰謀に踊らされているキバヤシ君。君が動揺する様はいつも陰ながら拝見させてもらっているよ。いつもの調子で頼むよ。君には最高の鉄人を用意した!」
 不敵な笑みを浮かべながら、デュランが指をパチンと鳴らす。
「変漢の次は堂々と名前をさらす秘密結社か。ジャパンの闇は果てしなく深いのだな! しかし、我輩の辞書に屈服の文字はない! その秘密結社が我輩の前に立ちはだかるとあらば、倒すのみ! 例え畑違いの料理対決でもな」
 凄まじいオーラを身に纏い、ゴルドワ・バルバリオン(ea3582)がキバヤシ・ホクトに勝負を挑む。
「あれは‥‥まさか! <中略>という事なのか!」
 話が意味もなく長いため、大半の台詞をカットされ、キバヤシが別の意味で陰謀に気づく。
「何をそんなに怯えているかはワカランが、我輩の作る料理だが野趣あふれる山菜ソーメンだ!」
 くわっと表情を険しくさせ、ゴルドワがランニングコースで採取した山菜を材料として使う。
 その中には毒々しい色のしたキノコや、妙な匂いのする草も混じっているが、ゴルドワは全く気にしていない。
「こりゃ、随分と豪快な料理だな」
 手拭いで鼻と口を覆い隠し、連十郎が後ろに下がる。
「どれ、味見を‥‥うむ、ちと苦いがいけるではないか! よし、完成だ!」
 ドクドクとしょうゆを流し込み、ゴルドワ画の麺味を確かめキバヤシに渡す。
「こ、これは醤油の味が人類の滅亡を意味し、麺が世界‥‥げふっ」
 コメントの途中で血反吐を吐き、キバヤシがグッタリと倒れる。
「‥‥ん? 料理が残っているではないか。食べ残しはイカンぞ! よし、我輩が食べさせてやろう!」
 そしてキバヤシは気絶したままゴルドワにソーメンを流し込まれ、意識が戻る事がないままアッチの世界に旅立った。

「キバヤシが判定出来なかったため、この勝負はなしだ。いまのところ2対1で俺達が有利。次の戦いで俺達の勝ちか、引き分けが決まる!」
 青ざめた表情を浮かべるミンメイを支え、連十郎が気合を入れて大声を上げる。
「我が組織がここまで苦戦するとは‥‥。やはりお前達のバックには、あの御方が‥‥」
 何かを悟った様子で頷きながら、村岡源一郎が連十郎を指差した。
「‥‥あの御方? 何を勘違いしてるんだ」
 訳も分からず首を傾げ、連十郎が源一郎に問い返す。
「キバヤシ君の言っていた事は本当だったのか。まぁ、良い。勝負を続けよう」
 勝手に連十郎の言葉を深読みし、源一郎がクスリと笑って座敷に座る。
「相変わらず喧しいね、村岡! 君のテンションにはついていけないよ。正に自分だけの世界。鉄人の料理で心ゆくまで語ってくれたまえ。一人でね‥‥」
 畳を突き破った登場し、デュランが天井裏へと消えていく。
「あれが君達のリーダーか。いや、違う。そうか‥‥そういう事なのか!」
 怯えた様子で天井を見つめ、源一郎の血管が切れる。
「なんだか妙な奴が相手じゃのう。まぁ、良い。審査員を唸らせるほどの究極料理を作ってやろう。出番じゃぞ『ぽるしぇ』! 華麗なる蹴り裁きを見せるのじゃ!」
 ロバのぽるしぇに命令し、緋月柚那(ea6601)が連十郎を鍋に入れる。
「ぐはっ! 何で俺がっ!」
 グツグツの鍋に放り込まれてしまったため、連十郎が悲鳴を上げで柚那を睨む。
「これも料理の一環なのじゃ」
 クリエイトハンドで食料を作り出し、柚那が鍋の中へと入れていく。
(「あの娘‥‥。一体、何を考えているんだ。あれでは1回戦目と同じじゃないか」)
 険しい表情を浮かべながら、源一郎が顎を擦る。
「‥‥甘いのう。これは和でも洋でも中華でもない、柚那オリジナルスペシャルを作るのじゃ!ただし今回限り。同じものは二度と味わえないものじゃ。残さず‥‥食え」
 源一郎の考えを察し、柚那がニコリと微笑んだ。
「ふっ‥‥、こんなモノでワシを唸らせる事など出来るものか! 一気に喰らうてやるかい!」
 オーバーアクションで箸を割り、源一郎が料理を喰らう。
「こ、これは‥‥!? も、もえ!」
 それと同時に源一郎の表情が変わり、何も言わずにどんぶりを睨む。
「それはうちの手書きじゃぞ!」
 満面の笑みを浮かべながら、柚那がどんぶりの底に書かれた文字をさす。
「‥‥萌え料理か。はははっ、わしの負けじゃ!」
 豪快な笑い声を響かせ、源一郎が柚那の料理を絶賛する。
「今回は我々の勝利のようだな。場末の料理屋で寂しくソーメンでも啜っていたまえ。ごきげんようバッドラック!!」
 そしてデュランは壁を突き破って登場し、爽やかな笑みを浮かべながら、フリーソーメンたちに別れを告げた。