●リプレイ本文
●猪突の試練
「朱雀の姐御、お久しぶりでやす。前回はヘタうっちまって申し訳無ぇ‥‥、今度こそ汚名返上できるよう魂(タマ)張ってキバりやさぁ。あと、試練にかこつけて、またどっかの忍者とかが襲ってこねぇとも限らねぇし‥‥。姐さん、気をつけてて下せぇ。あたいも全力でお護りさせて頂きやす!」
朱雀の刺繍を入れた鉢巻を巻き、利賀桐真琴(ea3625)が首領に挨拶する。
「ふふっ‥‥、期待しているわよ。‥‥色々な意味でね」
含みのある笑みを浮かべ、朱雀が真琴の肩を叩く。
舐めるようにして真琴を見つめ‥‥。
「いよいよ、最後の試練じゃな。それにしても何やらキナ臭さも漂って来たようじゃが‥‥」
何処か遠くを見つめながら、馬場奈津(ea3899)が気合を入れる。
敵の襲撃に備えて開催地を転々としているため、試練の途中で襲われる事は無くなったようだが、各地で河童忍軍が襲われている事もあり、首領達が妙にピリピリとしているようだ。
「玄ちゃぁ〜ん♪ プロポーズ、嬉しかった〜〜♪ 答えは勿論『はい』しかないわよ〜♪ 本当にありがと、玄ちゃんv 挙式費用は麒麟衆持ちで盛大にやろうね」
勢いをつけて玄武に抱きつき、山浦とき和(ea3809)が嬉しそうに頬ずりした。
「こ、こらっ! やめろって! ひ、人が見ているだろ!」
純真無垢な乙女のような表情を浮かべ、玄武が耳の先まで真っ赤にする。
よほど恥ずかしかったのか、ゲホゲホと咳き込みながら‥‥。
「‥‥な〜んて浮かれてないで、気持ち引き締めて頑張るよ、玄ちゃんの為にもね! あ、これ預かっといてくれる? でも指輪は外さないわよ、お守りだしね」
キリリッとした表情を浮かべ、とき和が短槍を渡して指輪にキスをする。
「五輪際もあとわずか!! 白虎衆の優勝は間違いないけど、頑張らなくちゃ!!」
白虎衆の勝利を確信しながら、柊小桃(ea3511)が位置につく。
「皆の衆‥‥、覚悟はいいか。それでは‥‥始めいっ!」
大きく深呼吸をした後、麒麟衆の審判が試練の開始を宣言した。
審判の掛け声と共に走り出す参加者達。
「優勝は貰ったのじゃ!」
出来るだけ壁の数を減らすため、奈津がダブルシューティング+バーストシューティングを放つ。
それと同時に麒麟衆の審判が壁となり、奈津の放った一撃をモロに喰らう。
「せ、説明し忘れていたが、武器の使用は‥‥禁止‥‥だ‥‥」
口からダラダラと血を流し、麒麟衆の審判がグッタリと倒れる。
この後、お仕置きが待っているためか、わざとらしく泡を吐き‥‥。
「そういう事は早く言ええええええええええ!」
その骸(ぉ)を飛び越え、奈津が雄たけびをあげる。
事前に聞いた時は曖昧な返事をされたため、お仕置きとばかりに小指を踏む。
「のおわわわああああ」
ピンポイントな攻撃を喰らい、麒麟衆の審判がブクブクと泡を吐く。
「あらあら、あっちは随分と盛り上がっているようね。私もこうしちゃいられないわ。こういうのは勢いが大事。女は度胸って言うじゃないからね。山浦とき和、いっきまぁーす!」
玄武に投げキッスをした後、とき和がダッシュで壁を突き破る。
「いっくよ〜♪ ぴーちめりーだ〜っしゅ☆」
ぴんく色に染めたまるごとメリーさんを身に纏い、小桃が躊躇する事なく壁をガンガンと突き破っていく。
「へっ、どんなに頑丈な壁だろうと脆い点ってのはあるんでさぁ!」
他の参加者達が壁をどんどん先に進んでいったため、真琴が遅れを取り戻すべく壁を突き破っていくスピードを上げる。
「そろそろいい頃じゃの。欲張り過ぎて失格になっても意味がないからな」
28枚目の壁を突き破り、奈津がホッとした様子で溜息をつく。
失格になった場合はO点のため、無理をしてまで高得点を狙うつもりはないようだ。
「それじゃ、私も止めにしようかな。玄ちゃんが両手でバッテンを作っているし‥‥。良妻は夫の意見に従うものだからね」
36枚目の壁を破ったのと同時に、とき和が満足した様子で玄武の元に駆け寄った。
「こ、こら! まだ結婚していないだろ! ‥‥恥ずかしいじゃねえか」
恥ずかしそうに頬を染め、玄武が気まずく視線を逸らす。
「うっし、あたいは41枚目までいきやす! 見ていてくださいね、朱雀の姐御!」
気合を入れて拳を握り、真琴が最後のスパートを掛けた。
「ま、負けないよ〜!」
次の瞬間、小桃が全速力で走り出し、真琴と横に並んで41枚目の壁に激突する。
「くっ、また足手纏いに‥‥ちきしょうーーー!」
大粒の涙を浮かべながら、真琴が悔しそうに壁を叩く。
こうして猪突の試練は、とき和の勝利で終わり、玄武から祝いのキスをもらうのだった‥‥。
●猪肉の試練
「いよいよ最後の試練でござるか。長かったような短かったような戦いでござったな」
しみじみとした表情を浮かべながら、沖鷹又三郎(ea5927)が試練場に罠を仕掛けていく。
試練場には猪の方に豚や、それ以外の生物もいるため、失敗すると減点されてしまうらしい。
ただし、麒麟衆の審判が事前に報告していなかったため、逆さ吊りにされて鞭打ちの刑を喰らっている。
「2年近くに渡ってやって来た五輪祭も、とうとう終わりか。玄武と遊ぶのも、これで最後か。ちょっと名残惜しいのう」
何処か寂しそうな表情を浮かべ、錬金(ea4568)が溜息をつく。
「‥‥て言うか最後じゃねえぞ。本当の戦いはこれからだっ!」
呆れた様子でツッコミを入れ、玄武がジト目で金を睨む。
「な、何!? それは本当か、玄武!」
玄武の胸倉を掴み上げ、金が彼の身体をユサユサと揺らす。
「い、いまさら嘘をつく必要なんてないだろ」
ゲホゲホと咳き込みながら、玄武が金の両腕を掴む。
「なあ、玄武よ。壁にミミアリー障子にメアリーとも言うから、問題があるのなら語れる部分だけでいいんじゃが、この石版は一体なんなんじゃ?」
そろそろ真相を知るべき時だと思ったため、金が玄武に石版の謎を聞くため顔を近づける。
「‥‥分かりやすく言えば、秘宝の在り処を示す鍵って感じだな。あいつらさえ襲撃してこなければ、のほほんと五輪祭を楽しめたんだがなぁ‥‥」
気まずい様子で視線を逸らし、玄武が不満そうに愚痴をこぼす。
「‥‥わたくしが修行の旅に出ている間に色々とあったようですね」
朱雀からルミリアの事と石版の事を聞き、三笠明信(ea1628)が疲れた様子で溜息をつく。
彼女の無念を晴らすためにも、この試練は負けられない。
「随分と盛り上がっているようだが、そろそろ時間だ。‥‥準備しろ」
金の肩をぽふりと叩き、龍深城我斬(ea0031)がコクンと頷いた。
我斬は今回の試練で称号を得る事が出来れば、今持っている酉忍の称号と合わせて、酉亥(鳥居)忍となるため、意地でも勝ち抜くつもりでいるらしい。
「さーて、泣いても笑っても最後だ! やってやるぜっ!!」
猪の群れを睨みつけながら、伊達正和(ea0489)が気合を入れる。
「俺が獣に遅れを取ると思うなよ」
勝ち誇った様子で笑みを浮かべ、紫上久遠(ea2841)が辺りを睨む。
猪の群れは不機嫌そうに地面を蹴り、久遠達を睨んでフンと鼻を鳴らす。
「訓練された猪って訳か。‥‥面白い」
越中国則重を握り締め、我斬が猪の群れと対峙する。
「獅子奮迅に暴れてやるぜぇぇっ!!」
猪の群れが突撃を開始したのと同時に、正和が雄たけびを上げて刀を振るう。
「せめて‥‥一匹だけでも!」
全身に泥を塗りたくって臭いを消し、明信が警戒した様子で近づいていく。
「‥‥邪魔をするなよ」
猪の群れと間合いをとりながら、久遠が明信に対して警告した。
「そちらこそ!」
突進してきた猪の顔面を殴り、明信が背後を取って捕獲(+10)する。
「チッ‥‥、一匹だけか」
遠距離からソニックブームを叩き込み、久遠が抜刀術で猪を倒す(+10)。
「くらえっ!」
目から光線が出るほど猪を睨み、正和が背後に回り込んで飛び乗ると、刀を突き刺し捕獲した(+10)。
「ふっ、笑止! 料理人といえば料理、料理といえば食材じゃ、食材を目の前にして怖気図いていられようか! そこの猪、貴様のもも肉、ハラミ、内蔵、すべてもらったぁぁっ!」
一番美味そうな猪に目をつけ、金がホイップを使って首を絞める。
その後も金は猪を一匹捕獲(+20点)し、猪鍋の準備をし始めた。
「なかなか上質な肉でござるな。これなら絶品の牡丹鍋を作る事が出来るでござる」
満足した様子で笑みを浮かべ、又三郎が捕獲した猪(+20点)を捌く。
「どけっ! 俺は強い奴にしか用はねえ!」
猪達を倒していき、我斬が猪の頭を探す。
我斬が狙う獲物は頭のみ。
‥‥それ意外に興味は無い。
「この一瞬に‥‥賭ける!」
祈るような表情を浮かべ、我斬がブラインドEX+ポイントアタックを使い、猪の眉間に小太刀をグサリと突き刺した。
唸り声を上げながら、猪の頭(+30)がグッタリと倒れる。
こうして猪肉の試練は終了し、亥忍の称号は我斬が得るのであった。
●猪鍋の試練
「ついに最後の試練か。色々と気になる事も多いが、とりあえず今は目の前の試練に勝つ事が優先だな」
険しい表情を浮かべながら、阿武隈森(ea2657)が牡丹鍋に手をつける。
牡丹鍋の中には先程まで試練場で暴れていた猪の肉が入っており、参加者達によって食べやすく味付けがされていた。
「全ての石版が揃った時に何が描かれるのか楽しみですね」
お土産として持ち帰るため、鉄の容器を用意しておき、ルーラス・エルミナス(ea0282)が牡丹鍋を食べていく。
牡丹鍋の中にはキュウリやナスが入っていたが、絶妙な味付けによって無難な味に変化しており、麒麟衆の審判が悔しそうな表情を浮かべている。
「この試練に参加しているのはふたりだけ‥‥。この様子だとたくさん食った方が勝ちのようだな」
幸せそうな表情を浮かべ、森が麒麟衆の肩を叩いて豪快に笑う。
麒麟衆の審判は思惑が外れてしまったため、ションボリとした表情を浮かべて溜息をつく。
「負けませんよっ! まとりょーしかさんのためにも!」
オーラエリベイションを使って魂を震わせ、ルーラスが牡丹鍋をあっという間に平らげる。
まとりょーしかが応援に来ているせいもあってか、ルーラスもここで負けるわけには行かないようだ。
「‥‥面白い。途中で逃げ出すんじゃないぞ! おかわりだ! おかわり持って来い!!」
ルーラスに対抗するため、森が徐々にペースを上げていく。
「望むところです! まとりょーしかさん、私に力を!」
森の挑発には乗らず、自分のペースを保ちながら、ルーラスが牡丹鍋を平らげた。
‥‥既に勝負は均衡状態。
どちらが勝ってもおかしくない。
「負けるかああああ!」
牡丹鍋の熱さも忘れ、森がスパートをかける。
「いきますよっ!」
それと同時にルーラスが一気にペースを上げ、次々と牡丹鍋を平らげていく。
‥‥結果は僅差。
ギリギリのところで森に勝利した。
こうして五輪祭は幕を閉じ、石版の謎が明かされる事となる。
しかし、それはまた別の話‥‥。
石版を追う者達の正体と共に語られる事になるだろう。
●総合結果
・76点 (亥の欠片入手!)
玄武衆
・58点
青龍衆
・20点
朱雀衆
白虎衆
●猪突の試練
・36点(亥忍の称号獲得!)
山浦とき和(玄武衆)
・28点
馬場奈津(青龍衆)
・0点
利賀桐真琴(朱雀衆)
柊小桃(白虎衆)
●猪肉の試練
・30点(亥忍の称号獲得!)
龍深城我斬(青龍衆)
・20点
錬金(玄武衆)
沖鷹又三郎(白虎衆)
・10点
三笠明信(朱雀衆)
伊達正和(朱雀衆)
紫上久遠(玄武衆)
●猪鍋の試練
・10点(亥忍の称号獲得!)
ルーラス・エルミナス(玄武衆)
・0点
阿武隈森(青龍衆)