午忍の章

■シリーズシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:6〜10lv

難易度:難しい

成功報酬:3 G 71 C

参加人数:15人

サポート参加人数:-人

冒険期間:02月09日〜02月14日

リプレイ公開日:2005年02月16日

●オープニング

 ‥‥五輪祭。
 それは河童忍軍の間で互いの技を競い合う祭り!
 河童忍軍は競技の審判を務める『麒麟衆』を頂点に『玄武衆』、『白虎衆』、『青龍衆』、『朱雀衆』の5衆が存在し、五輪祭にむけて各地に散らばり任務を遂行しながら己の技に磨き続けている。

 麒麟衆は純粋な河童だけが所属出来るエリート忍軍。
 リーダーは九千坊と呼ばれる河童。
 キュウリの違いが分かる通な男。

 玄武衆は河童を愛す者達が所属する忍軍。
 河童以外の冒険者達も受け入れており、忍者であるかは拘らない。
 首領は亀の甲羅を背中に背負い、三日月の仮面を被った怪しい奴。
 変態と天才は紙一重である事を自ら証明したいらしい。
 誰かのツッコミがなかった場合は、夕日にむかって泣きダッシュ。

 青龍衆は実力のある者ばかりが所属する忍軍。
 河童以外の者も多数所属しており、任務に失敗した者にはキツ〜イお仕置きが待っているとか。
 首領の名はゴルゴ。
 ハードボイルド系の河童で、首に巻いた赤い布がトレードマーク。

 白虎衆はビジュアル重視の忍軍。
 表向きは旅芸人の一座をしているおり、色仕掛けなどを得意としているらしい。
 首領は河童の女性で、西洋文化を愛している。
 彼女は中華系の巨乳美女。
 甘い言葉で誘惑するぞ!

●午忍の章
「よくぞ、ここまで来た我が精鋭達よ! ここまでこれたのは皆、実力のあるものばかりのようだな。今回の試練は今までの試練と異なり、馬に乗って戦う事になっている。馬のないヤツは何か別のものに乗っておけ。本人が馬と断言すれば、馬でないものでも認めてやろう。ただし、冒険者に乗って参加するなよ。その場合は判定が難しくなるからな。馬らしきものを乗って来い!」
 麒麟衆の審判と思われる男が台に立ち、参加者達の顔を睨みつける。
 予選の途中で河童達がすべて脱落した事もあり、少し機嫌が悪そうだ。
「今回のポイントは10ヶ所ある。1はスタート直後で、2〜9はコース、10がゴール寸前になっている。ひとりにつき20ポイントやるから、ペース配分をしておいてくれ。途中にはいくつかのトラップがあり、一定以上のポイントがないと、転倒してポイントを失ってしまう。ここで配分しているポイントが高ければ、そのままトラップを回避する事が出来、どんなトラップが仕掛けてあるか予想出来れば、そこに配分したポイントが倍になる。トラップは全部で5つあるから、頑張って当ててみてくれよ」
 そして麒麟衆の審判は竹馬に乗って姿を消した。

・現在までの結果
<玄武衆>      卯の欠片
外橋恒弥       丑忍の称号
錬金         卯忍の称号
山浦とき和      子忍の称号
           巳忍の称号
総合ポイント     68

<青龍衆>      子の欠片
           辰の欠片
阿武隈森       子忍の称号
           寅忍の称号
不動金剛斎      卯忍の称号
岩倉実篤       子忍の称号
           辰忍の称号
阿武隈森       辰忍の称号
ゲレイ・メージ    巳忍の称号
総合ポイント     66

<白虎衆>      丑の欠片
           巳の欠片
南天流香       丑人の称号
           寅忍の称号
南天輝        巳忍の称号
総合ポイント     56

<朱雀衆>      寅の欠片
デュラン・ハイアット 丑忍の称号
ルミリア・ザナックス 寅忍の称号
伊達正和       寅忍の称号
           辰忍の称号
跳夏岳        寅忍の称号
総合ポイント     48

●今回の参加者

 ea0042 デュラン・ハイアット(33歳・♂・ナイト・人間・ビザンチン帝国)
 ea0282 ルーラス・エルミナス(31歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea1050 岩倉 実篤(37歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea1628 三笠 明信(28歳・♂・パラディン・ジャイアント・ジャパン)
 ea2476 南天 流香(32歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea2557 南天 輝(44歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea2841 紫上 久遠(35歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea3511 柊 小桃(21歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea3809 山浦 とき和(33歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea4568 錬 金(64歳・♂・僧兵・ドワーフ・華仙教大国)
 ea5298 ルミリア・ザナックス(27歳・♀・パラディン・ジャイアント・フランク王国)
 ea5927 沖鷹 又三郎(36歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 ea6177 ゲレイ・メージ(31歳・♂・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea6195 南天 桃(29歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea6264 アイーダ・ノースフィールド(40歳・♀・ナイト・人間・イギリス王国)

●リプレイ本文

「はぱかはんぱぱーん、恵方巻きー!! これで玄武にも春が訪れるぞい」
 キュウリ大目の太巻きを高々と掲げ、錬金(ea4568)が縁起の良いとされる方角をむいて無言で食べる。
 太巻きの中にはキュウリ以外にも七種類の具が入っており、服を食べるという意味合いもあるらしい。
「初午や〜、ああ初午や、初午や♪」
 青色のくの一忍者服に身を包み、山浦とき和(ea3809)が人参の入った籠を腰にぶら下げ、嬉しそうに玄武と腕を組む。
「おいおい、俺は玄武衆の首領だぞ。こんな所をまわりの奴らに見られたら勘違いされちまうぜ」
 とき和の事をジト目で睨み、玄武が恥かしそうに頬を掻く。
「え〜良いじゃないのさ〜、玄ちゃんと私は一心同体♪ それともなんなの? 私を乗せられないって言うの? 表に出て貰おうじゃないのさ!」
 玄武の甲羅を指でなぞり、とき和が艶っぽい笑みを浮かべて呟いた。
「いや、これには深いわけが‥‥って、馬いるじゃん!」
 とき和に表まで引っ張り出され、玄武が驚いた様子で彼女の馬を指差した。
「居るなら最初から連れて来い! ‥‥って言う抗議は聞っこえなぁ〜ぃ。だって玄ちゃん、嫌だ嫌だって言っても、本当は照れ隠しをしているだけでしょ♪」
 ウリウリと玄武を小突き、とき和がニヤリと微笑んだ。
「ち、違うっ!」
 顔を真っ赤に染めながら、玄武が恥かしそうにそっぽをむく。
「そうだ! 今度、勝った時は何をして貰おうかねぇ〜。甲羅の中身は見せて貰っちゃったし‥‥。前回は素敵な中味を有難う♪ な・か・み♪」
 甲羅を外した時に浮かべた玄武の表情を思い出し、とき和がクスクスと笑い出す。
「お、覚えてろ!」
 雑魚がよく使う台詞を吐き捨て、玄武が涙を浮かべて逃げていく。
「今回の試練は趣が違うな。さて、どうしたものか?」
 立て札に書かれている内容を読み終え、岩倉実篤(ea1050)が溜息をついて腕を組む。
「‥‥お前らしくないな。いつも通りに行けばいい」
 木の上から飛び降り、ゴルゴが実篤の肩をポンと叩く。
「おたくがゴルゴか。私は真理を追究する錬金術師だ。難しい依頼をこなし、腕を上げたいと思っている。もちろん河童忍軍の祭にも興味ありだ。よろしく頼む」
 ゴルゴにむかって声をかけ、ゲレイ・メージ(ea6177)が愛馬カウンタックに乗って現れた。
「‥‥ああ、期待しているぞ」
 カウンタックの身体を触り、ゴルゴがコクンと頷いた。
「みんな気合が入っているわね。私達も頑張らなきゃ」
 参加者達を引き連れ、白虎が扇子をパタパタと仰ぐ。
「‥‥随分と余裕だな。まぁ、いい。俺も負けるつもりはないからな」
 まったく興味がないのか、ゴルゴが何も言わずにその場を去る。
「相変らずクールな方ですね」
 白虎から借りた大胆なスリット入りのチャイナ服を身に纏い、南天流香(ea2476)が苦笑いを浮かべて呟いた。
「そんな事より、その服‥‥ちょっと大胆じゃないか」
 視線のやり場に困りながら、南天輝(ea2557)が不満そうに愚痴をこぼす。
「そんなにわたくしの足が気になりますか?」
 戸惑う兄の顔を見つめてクスリと笑い、流香がわざとらしく生足を見せる。
「こらこら、あんまり苛めたら可哀想よ。漢はみんな狼なんだから」
 輝があからさまに動揺したため、白虎が冗談まじりに微笑んだ。
「白虎お姉様〜、私だけ称号を取れてないです〜」
 白虎の身体にしがみつき、南天桃(ea6195)が瞳を潤ませる。
「気にする必要はないわ。頑張る事に意味があるのよ」
 桃の頭をヨシヨシと撫でながら、白虎が彼女の事を励ました。
「そうそう。イキの良いスッポンが手に入ったので、さっそく調理するでござる」
 スッポンの入った鍋を置き、沖鷹又三郎(ea5927)が料理の準備をし始める。
「おお、これは活きのいいスッポ‥‥、うお〜、とってくれぇぇぇぇ!」
 鍋の中を覗き込んだ瞬間、スッポンに鼻を噛まれてしまい、金が悲鳴を上げて涙を流す。
「師匠がスッポンに噛まれたでござる!?」
 激痛に苦しむ金を見つめ、又三郎がパニックに陥った。
「このバカ弟子が〜!」
 あまりの激痛に雄たけびを上げ、金が又三郎をガツンとブン殴る。
「はっ!? 師匠の雷声に吃驚してスッポンが離れたでござる!」
 げふっと血反吐を吐きながら、又三郎がゴロリと転がった。
「早くも脱落者かい?」
 グッタリとしたふたりを見つめ、朱雀が髪を掻きあげクスリと笑う。
「ところで聞きたい事がある。親切に掲示された五輪祭の『現在までの結果』を見て少し謎が‥‥。石版の欠片は各衆に見事に分かれているが、欠片というからには全部ひとつに揃えなければ意味は無いのではないか? 石版が完成しなければ、五輪祭の謎は恐らく解けないな。後で欠片を奪い合う競技でも行うのかも知れんが‥‥。先代から何か聞いていないのかね?」
 今まで行った競技の結果が立て札に書かれていたため、デュラン・ハイアット(ea0042)が険しい表情を浮かべて朱雀を睨む。
「‥‥やはり欠片の数が鍵なのか?」
 大粒の汗を浮かべながら、ルミリア・ザナックス(ea5298)が朱雀の事を問い詰めた。
「それは‥‥秘密さ。教えちゃったら面白くないだろ?」
 妖艶な笑みを浮かべながら、朱雀が麒麟衆の審判を逆さ吊りにして鞭でしばく。
 どうやら前回と前々回の説明で、朱雀集の紹介を忘れていた事が原因らしい。
「まあ、深く考えても仕方ない。試練に集中するか」
 朱雀の態度を不審に思いながら、デュランが試練会場にむかう。
 今回の試練は今までのものとは異なり、複数の試練を行わず上位三名が称号を与えられるようになっている。
「ところで明信殿。‥‥以前の文はお読み頂いたであろうか‥‥? で、出来ればご返事を頂きたいのだが‥‥」
 ラブレターの返事をもらうため、ルミリアが絞り出すようにして声を出す。
「では、これを‥‥。いかんせん使い慣れないゲルマン語‥‥。試練の後に‥‥読んでください‥‥」
 ゲルマン語で書かれたラブレターを手渡し、三笠明信(ea1628)が恥かしそうに頬を染める。
 試練の後だと反省会などあるため渡し損ねてしまう可能性があるため、付き合っても良いと書かれた内容の手紙を渡す事にしたらしい。
「それじゃ、ふたりとも頑張るんだよ。祝いの意味も込めて、今回は何があっても罰はなしだ。他の連中もふたりに感謝するんだね」
 妖艶の笑みを浮かべながら、朱雀がふたりの肩を抱く。
 何故か含みのある笑みを浮かべているが、それが何を意味しているかは分からない。
「‥‥安心して。今回は得意分野の乗馬で挽回させて貰うわ」
 そしてアイーダ・ノースフィールド(ea6264)は馬に飛び乗り、目の前のコースを睨みつけた。

「最も得意とする馬術競技こそ最後の試練、負けられません」
 負け兎、3式の姿で登場し、ルーラス・エルミナス(ea0282)が胸まで黒く染まった兎の姿で試練に挑む。
「ふ、俺の華麗な馬術を見せてやるぜ」
 足掛けロープを軽々と飛び越え、紫上久遠(ea2841)がルーラスに続く。
「はははっ、冒険者は駄目じゃと言われたが、河童や首領に乗ってはいかんとは言われておらん」
 玄武に肩車されながら、金が豪快な笑い声を響かせる。
「あ、あれ! 玄ちゃん? ‥‥きゃあ!?」
 いきなりのスタミナ切れで馬子が果てたため、とき和が悲鳴を上げてコースをゴロゴロと転がった。
「お前‥‥スタミナ配分、間違ったな」
 哀れみの表情を浮かべ、玄武がとき和にツッコミを入れる。
「‥‥この試練、油断は出来ないな」
 リトルフライを使って驢馬の上で偉そうに腕を組み、デュランが第3ポイントで人参に気をとられないように警戒する。
「うおっ‥‥、こんな場所で人参か」
 危うく馬から落ちそうになりながら、実篤が手綱を引いて人参を避ける。
「あれだけ人参を与えておいたのに‥‥」
 トラップに使用する人参は最高級のものを使用しているため、予め対応策を用意していた流香も苦戦している雰囲気だ。
「まさかこんな場所で足止めを喰らうとは‥‥」
 幸せそうに人参を頬張る馬を見つめ、明信が頭を抱えて溜息をつく。
「こら、喰うな!」
 馬の手綱を引きながら、輝が何とか興味を逸らそうと頑張った。
「しまった! ここにトラップか!」
 第5ポイントに差し掛かった時点で丸太を喰らい、久遠が血を吐き捨て再び馬に乗りなおす。
 この試練では馬に落ちても失格にならないため、素早く立て直す事が出来れば問題ない。
「今回こそ、称号を手に入れるんだから〜〜っ!!」
 眩暈のする頭を左右に振りながら、柊小桃(ea3511)が愛馬『相馬 駆(そうま・かける)』に飛び乗った。
「これじゃ、弓矢を射る余裕がないわ」
 無数の丸太が飛んできたため、アイーダが短弓を地面に落とす。
「ハナ殿、太助殿、スネーク殿‥‥。我に力をっ!」
 河童達の声援を糧にしながら、ルミリアが傷だらけになって先に進む。
「確かこれもルール違反じゃないよな」
 ウォーターボムを放って牽制し、ゲレイが他の参加者達を妨害した。
「わわっ、暴力反対ですぅ〜」
 ゲレイの攻撃を寸前で避け、桃が涙目になって抗議する。
「今こそ、勝利を、愛馬、ストームガルドよ、駆け抜けろ」
 これまでの遅れを取り戻すため、ルーラスが汗だくになりながらゴールを目指す。
「‥‥ぬおっ!」
 第8ポイントで虎バサミに引っ掛かり、デュランが前のめりになって倒れこむ。
「そこですっ!」
 瞳をキラリと輝かせ、明信が虎バサミを飛び越える。
「きゃあっ!?」
 虎バサミを踏んで馬が転んでしまったため、流香が悲鳴を上げて草叢の中に転がった。
「大丈夫か?」
 流香に黙って肩を貸し、輝が馬の傍まで連れて行く。
「‥‥たくっ。俺はいつになったら勝てるんだ」
 ほろりと涙を流しながら、久遠が愛馬しるばーの足から罠を外す。
「後もう少しだ。頼むぞ、カウンタック!」
 だんだん馬が疲れてきたため、ゲレイが大声を出して勇気づける。
「負けないですよ〜」
 虎バサミのある場所を通り抜け、桃がゴールを目指してスピードを上げた。
「もう少しでゴールなのにっ!」
 悔しそうな表情を浮かべ、アイーダが先頭集団を追いかける。
「これで‥‥面目は保てたな」
 ゴール寸前で落とし穴に落下し傷つきながら、実篤が荒く息を吐き捨て最後のポイントを通過した。
「く、悔しいでござる。もう少しで勝てたのに……」
 ようやく落とし穴から抜け出し、又三郎が疲れた様子で溜息をつく。
「まぁ、こんなものかな」
 差し入れの水を一気に飲み干し、小桃が手拭いを使って汗を拭う。
「‥‥もはやこれまでか」
 今回も称号を得る事が出来なかったため、ルーラスがガックリと膝をつく。
「まぁ、いいじゃねえか。俺はお前の頑張る姿勢が大好きだぜ!」
 そして玄武はニカッと笑い、ルーラスの事を励ました。
 ‥‥こうして午忍の試練は幕を閉じた。

             結果  合計
<白虎衆> 午忍の欠片入手
柊小桃          12  19 午忍の称号
沖鷹又三郎        12  23 午忍の称号
南天桃           6  23
南天流香          2   8
南天輝           1   8
総合ポイント       33+56=89

<朱雀衆>
三笠明信         10  33
ルミリア・ザナックス    3   5
アイーダ・ノースフィールド 3  −2
デュラン・ハイアット    1  −1
総合ポイント       17+48=65

<青龍衆>
岩倉実篤         14  49 午忍の称号
ゲレイ・メージ       2  12
総合ポイント       16+66=82

<玄武衆>
ルーラス・エルミナス    8  18
紫上久遠          2  17
錬金            2  12
山浦とき和         0  27
総合ポイント       12+68=80

注意:合計は今までの参加した全試練の合計です。